2019年度のボンズおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2019年度のボンズ成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月29日の時点で一番の2019年度のボンズおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

83.1 1 2019年度のボンズアニメランキング1位
モブサイコ100 II(TVアニメ動画)

2019年冬アニメ
★★★★☆ 4.0 (480)
2335人が棚に入れました
ごくフツーの暮らしがしたいと願う中学2年生・影山茂夫、通称「モブ」。
一瞬で人混みに紛れてしまうほど、サエない外見をした彼は、
じつは誰よりも強力な超能力の持ち主だった……。
そんなモブと彼を取り巻く人々との青春や恋、静かに降り積もりやがて爆発する数々の感情。
そして、かつてモブの前に立ちはだかった謎の組織「爪」の再臨。
思春期真っ只中の少年の魂が咆哮する、明日はどっちだ!?

声優・キャラクター
伊藤節生、櫻井孝宏、大塚明夫、入野自由、松岡禎丞、佐武宇綺、藤村歩、細谷佳正、國立幸、松井恵理子、楠大典、丹沢晃之、M・A・O、石田彰

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

少年漫画主人公の最前線。スーパーな作画、ひたむきな心!。

 本作は大人気作品ですから私が今更しゃしゃり出る必要はないと思います。本作だけでなくone先生の作品についての分析では「山田玲司のヤングサンデー」で先生ご本人を混じえて解説しているのでそちらをご覧になっていただくのがベストだと思います。


 そこで、今回はモブが少年漫画主人公の新たなエポックだと私は考えるのでここまでの少年漫画の主人公の変遷、その結実としてのモブ、という視点で書いてみます。


 かつて主人公は公明正大な正義の象徴であった。戦前から戦後すぐまでの漫画における主人公は何の影もない理想、道徳の権化といっていいものでした。この主人公像を後年も受け継いでいるのは「ドカベン」こと山田太郎などであります。時代が良い意味でも悪い意味でも邪気なく正義を信じられた時代において、主人公も正にその流れを受け継いでいたのです。


 しかし時代を経るとそうも言ってられなくなってきました。高度経済成長の矛盾、リアリズムを求める作家たちの想い、なにより学生運動に代表されるプロテストの時代がやってくると主人公も変化します。


 アメリカン・ニューシネマの主人公たちと同じように破滅的な程に若い主人公たちが、影のある社会の中で苦闘する梶原一騎に代表される暗い影がある主人公へ、もはやイノセントではない主人公、社会の時代になっていったのです。その代表が「あしたのジョー」の矢吹丈でしょう。


 そんな流れが主流になるも、ニューシネマと同じで10年も暗い話を見てるとお客さんはいい加減ウンザリしてきました。しかも、好景気のビックウェーブが訪れて主人公はまた変化します。80年代以降の二大潮流はイノセンスと不良です。


 80年代少年漫画の主人公の代表は当然歴史的な存在である「ドラゴンボール」の孫悟空でしょう。主人公観が一周したように思えますが、ポイントはこちらはアホという点です。不良もまたアホという点では共通しています。彼等は完璧な存在ではない。彼等はアホだけど、いやアホだからこそ真に重要なイノセンスな持っているというところがポイントです。


 バブルの時代ではもはや努力も影もあんまり必要ではなくなり、純粋さが強調されるようになります。そして強さを正当化するのに「選ばれし者」という視点が重要になります。血縁だったりなんなりで、努力するまでもなく特別な存在という流れが生じてきます。当時ジャパン・アズ・ナンバーワンだった日本としては、自分たちが「選ばれし者」だ、という認識が意識的、無意識的に存在していたからこそこのような主人公が時代を象徴したのでしょう。


 しかし、バブルは崩壊してカオスがやってくるとなかなか主人公像が定まらなくなってきます。混迷の時代がやってきて、もはや少年漫画自体が危うくなってきます。「選ばれし者」であることが呪いであるエヴァのシンジ君のような存在が現れたが決して主流にはなりませんでした。


 そんな中で突如、流星のごとく現れたのがone先生の主人公、特にモブでした。モブは少年漫画の脱構築でありながら、その流れを継承する真に偉大な新たな主人公像だと言いたいのです。


 モブは、冷静でもはや積極的に争うはないし競い合いません。彼等は海賊王を目指したりせず、トーナメント勝ち上がるわけでもありません。これらは「悟り世代」と呼ばれる現在の気分を体現していると言えます。


 なんでそんな競争するの?、なんで大きな夢だの出世だのに血道をあげないといけないの?。「そんなこしてもモテませんよ」。モブにはもはや単純な成長神話を信じていない、信じられない現代の象徴なのです。無条件で信じられていたことに距離を置いて、冷静に分析する脱構築の眼差しがここにはあります。


 では、彼は熱くなれるものが何もないのか?、それでは少年漫画の主人公としてどうなのか?。そこでもう一つの主人公の流れが活きてくると私は思います。それはアウトサイダーとしての主人公という観点です。


 歴代の主人公たち、特にジョジョの主人公たちが典型ですが、ジョナサンを除いてみんな不良であり、学校や社会の外にいるアウトサイダーたちです。しかし、いやだからこそ彼等は黄金の魂を有している。学校や社会に組み込まれて単なる歯車としての「良い子ちゃん」にならない気概なくして黄金の魂は宿せないのです。


 このアウトサイダーの流れは歴代の少年漫画主人公の変遷の中でも変わらず活きています。彼等は決して主流派ではなく例外の存在であり、自分の道を生きているという点では同じなのです。


 そこでモブを見てみると、彼もまたアウトサイダーだとわかります。彼の師匠が霊幻な時点でそれは明らかでしょう。師匠が強くもないし、人間的に完成されているわけでもない、むしろ社会から見ればダメ人間というのが重要なのです。彼は何にも持ってないようで、モブには一番大事なものを持っています。それは「良い奴になれ」という精神です。


 クソみたいな社会、感情が劣化しきった人々の中で、「良い奴」であれ!。コレほど簡単そうに見えて成し遂げがたい、アウトサイダーな生き方が現代にあるでしょうか?。もはや社会が良くなることは殆どありえない、抜け駆け上等な世界の中で、それでも「良い奴」であれ。投げるな、諦めるな、真っ当であれ。


 成功しなくても、夢を追いかけなくてもいい。それよりも出会って深く繋がれた人々に対するリスペクトを、「選ばれし者」じゃなくて「モブ」であっても「良い奴」であることが一番のヒーローなのだ、という主張が彼からはビシビシ伝わってきます。この大人さと気高さ、テーマとエンタメの融合度の見事さは他にはピクサー、近年のディズニー作品くらいしか類例がない見事さです。


 是非とも3期をやっていただいて、あの感動的なラストを早く見たいものです。「良い奴」になろうと努力しあがいてきたモブが最後に救ったものは…。そして、エクボは最高の相棒キャラである。


2019年最高のアニメは本作だと確信してやみません。たぶんラストになる3期は号泣だろうなぁ…。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 27

TAMA さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

違法ダウンロード?アナタ、呪われますよ?

1期のOP曲で伏線を散りばめてたのに1クールで終わったので回収しないのかな?と思ったら2期で回収してきた。2期は大満足です!

…ブロッコリー。


原作・未読。
アニメ・全話視聴。(全13話・30分アニメ)(特別編OVAアリ)


2期なので説明は省きます。
ギャグ・日常系・成長系・シリアス系・バトル系、全てバランスが良く面白かったです。エピソードによっては心に刺さるものもあり、『モブ』もそうですが『霊幻』や『エクボ』等の周りのキャラも良い味出してました。


やはり最初はOP曲ですね。作画や表現方法は素人なので語彙力があまり無くて上手く言えませんがとにかく凄い!
コラージュや錯視やスライドアニメーション等、表現方法が凄い!中毒性があったと思います。私は結構ループして聴いたし観ました。『モブ』『霊幻』『律』『エクボ』『テル』のカットのとこは魅入りましたね。
歌詞もキャッチーでOP曲のチカラの入れようは素人目でも凄いとしか言いようが無かったです。
多分、美術系の学校行ってる人なら詳しい情報とか分かるんでしょうね。ちょっと羨ましいなぁ。


次はやはり『モブ』ですね。
成長…というか、成長しようとする『モブ』がとても心を打ちました。中学生の葛藤もありながら、持ってる【チカラ】、他の人には視えない世界、『モブ』自体が干渉出来る世界は呪いも霊も人間も同じ距離の世界のモノ。
確かにこれを誰かに相談しようとしても「?」で済めば良いが、変な事を言ってるイカれた奴としか思われないでしょう。
ある意味『霊幻』と出会ったのは『モブ』にとって最高の救いだったのかもしれませんね。
ま、『霊幻』は『モブ』で儲けてますが(笑)

…でも正体を知ってた。『いい奴だ』。


次は『霊幻』ですね。
詐欺師というかメンタリストというかあの話術は今回も健在でしたね。いやー…羨ましい(笑)
0能力だがなんやかんや話術で乗り切るけど『モブ』に対しての信頼は熱いモノを感じますね。
今回は『霊幻』が致命的なミスをするけどそのエピソードはちょっと感動しました。
1期を観てまだ2期を観てない方が居るならここのエピソードはオススメですね。

…「特別な何か」かぁ。あの話術や「対被憑依者飛び膝蹴り」等の身体能力は結構凄いと思うけどね(笑)


バトル系のとこで1つだけ先に一言。
温泉宿泊券とか海鮮と肉で選べるとかアフターケアまでバッチリなのな!羨ましいなぁ!

と、話は戻すとして。
敵がハッキリしていて分かりやすかったですね。1期を観てたら余計に分かりやすいのでは無いでしょうか?ここは本当にシンプルなんで観て頂いた方が良いと思います。少し書くだけで結構なネタバレになってしまうし。
ただ『肉体改造部』の人達、『最上』の言葉、バトルの中での『モブ』の葛藤とかオススメです。

…司令塔のやる気スイッチが火災保険て(苦笑)


最初から最後までスムーズに観れたし楽しむ事が出来ました。アイキャッチのこだわりも、募集されたED後の1枚絵もね。
個人的には原作は終了してるし最後までやれると思うので3期やってくれないかな?と希望したいですね。


最後は『霊幻』みたいに締めますか。
確かCコースまであったから…

絵やギャグ物が苦手で無ければ全話オススメのDコース!…って事で♪

投稿 : 2024/12/28
♥ : 6

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

1期の名曲OP「99」MOB CHOIRは高校の合唱部とかで歌ったらカッコいいんじゃないかと思うんです

<2019/4/28 初投稿>
原作は未読。
本作は2期目ですが、1期とまとめてのレビュー・評価です。


ヘタウマと称される作品であっても、人によっては「ただ下手なだけ」「手抜き」に見えたり。
ヘタウマって見る人の感性にマッチするかどうかなのでしょうね。

モブサイコ100、私はピッタリハマってしまいました。

その絵柄・キャラクターデザインは至ってシンプルで見ようによっては雑とも。

でも表情は豊か(←ここものすごく大事)

どこかで見たような絵なのに、どれとも似ていない、目だけでもそれとわかる不思議な個性。

さらにこれをアニメ化したbonesの力量が相まって高品質のアニメに仕上がっています。

物語も
「もしモブキャラのように地味な男の子が超絶超能力者だったら」
という一見シンプルで底が浅そうなお題をうまい具合に膨らませてます。

こういうのをセンスの塊と言うんだろうな。
ONEさん、すごいわ。


主人公は地味だけど心の優しい少年・影山茂夫(シゲオ)。
茂夫の音読み+モブキャラのように地味なことから通称「モブ」と呼ばれています。
実はモブにはものすごい超能力(と霊能力)があります。
周囲にはその能力をひた隠しに隠して・・・というわけでもないようですが、いかんせん陰が薄くて中学のクラスメイトは誰も気がついていない 笑。

そんなモブが強さを発揮する爽快感と熱いバトルを味わう作品であり、

モブの師匠(?)の霊幻新隆(れいげんあらたか)やクラスメイト、超能力者達、"エクボ"などの悪霊、変な敵達など味濃いめのキャラの皆さんを楽しむお話でもあり、

そんな人たちに囲まれたモブの成長物語でもあります。

よくよく考えてみると、やはり今期放送された「ブギーポップは笑わない」といろいろ真逆な作品かもしれませんね。

ブギーポップは箱庭的
モブは一つの点を大きく膨らまして

とか言っても漠然としすぎでしょうか。
(私はどちらも好きです)


本作は物語性とエンタメ性合わせ持つ超優良作品だと思ってます。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 31

75.6 2 2019年度のボンズアニメランキング2位
キャロル&チューズデイ(TVアニメ動画)

2019年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (395)
1299人が棚に入れました
人類が新たなフロンティア、火星に移り住んでから50年になろうという時代。多くのカルチャーはAI によって作られ、人はそれを享楽する側となった時代。ひとりの女の子がいた。首都、アルバシティでタフに生き抜く彼女は、働きながらミュージシャンを目指していた。いつも、何かが足りないと感じていた。彼女の名はキャロル。ひとりの女の子がいた。地方都市、ハーシェルシティの裕福な家に生まれ、ミュージシャンになりたいと思っていたが、誰にも理解されずにいた。世界でいちばん孤独だと思っていた。彼女の名はチューズデイ。ふたりは、偶然出会った。歌わずにいられなかった。音を出さずにいられなかった。ふたりなら、それができる気がした。ふたりは、こんな時代にほんのささやかな波風を立てるだろう。そしてそれは、いつしか大きな波へと変わっていく───

声優・キャラクター
島袋美由利、市ノ瀬加那、大塚明夫、入野自由、上坂すみれ、神谷浩史、宮野真守、堀内賢雄、宮寺智子、櫻井孝宏、坂本真綾、安元洋貴、大塚芳忠、菅生隆之、梶裕貴、蒼井翔太、東山奈央、佐倉綾音、飯塚昭三、白熊寛嗣、浅沼晋太郎、久野美咲、田村聖子、落合弘治、吉野裕行、谷昌樹、岩崎ひろし、諏訪部順一、青山穣、柿原徹也、山寺宏一、沢木郁也、林原めぐみ、木村昴

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

魂を揺さぶられる音楽が聴けるアニメ

このアニメを楽しんで見るこつは、音楽を純粋に楽しむことです。
そうすれば、素晴らしい歌に出会えます。魅力的な音楽を楽しめます。

実際に、このアニメで歌われる音楽で、私は魂を揺さぶられました。
音楽好きの人にぜひともお勧めするアニメです。

音楽は世界共通の言語です。
年齢や国籍に関係ありません。
ましてや文化や肌の色にも関係なく、
歌い手や演奏者の心を聴き手に伝えてくれます。感動を与えてくれます。

今回、第二話ででてきた 「The Loneliest Girl」の歌、
これが実にすばらしい。
歌詞はすべて英語ですが、キャロル&チューズデイの二人の心が、じわーっと伝わってきました。
また、オーディションの決勝戦でアンジェラが歌った「Light a Fire」も名曲です。私の心にしっかりと響きました。

そして、キャロル&チューズデイが準決勝で歌った「Lost my way」も名曲です。
単純なピアノの伴奏だけなのに、透きとおるような二人の歌声が見事に調和しています。
さらに後半のエンディングの「Not Afraid」も素晴らしい。低音部から高音部まで歌いこなせるアンジェラならではの魅力的な歌でした。
ついでにサイドニアフェスでキャロル&チューズデイが歌った「messege in the Wind」は、まさに風の妖精が歌っているような美しい音色でした。


この物語では、音楽を通じて、孤独だった少女たちが友達になり、やがて、仲間が増えていきます。
これも、音楽の力です。
おそらく孤独だったのは、キャロル&チューズデイだけでなく、アンジェラもでしょう。

世の中に、魔法というものは確かに存在します。
そのうちの一つが音楽です。
音楽は人の心を変えます。人の行動を変えます。そして、世界を変えます。
それは素晴らしいことです。

この物語は、キャロルとチューズデイの成長だけではなく、アンジェラの心の成長も描いています。
今まで我儘で世の中の厳しさを知らなかったアンジェラが、芸能界で生き残る厳しさを知り、少しずつ人間としての優しさを身につけてゆく物語でもあります。

最後にみんなで歌った「Mother」。あれはキャロル&チューズデイやアンジェラに仲間ができたことの証明です。
多くの人が一緒に歌うのは、それだけで感動します。

少々脱線しますが、
昔は交響曲と合唱とは全く別物として扱われていました。
しかし、ベートーベンの第九により、この二つが初めて融合したのです。
音が聞こえない型破りの作曲家が、音楽は何ものにも束縛されない自由なものであることを証明してくれたのです。
彼女らも、それを証明してくれました。
難民キャンプで育ったキャロルと大統領候補の娘のチューズデイ。
この二人がつくる歌は、まさに人類の輝かしい未来を象徴しています。

もし、海外の人と話す機会があれば、キャロル&チューズデイの話をしてみませんか?
それがきっかけで多くの人と親しくなれるかもしれませんよ。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 68
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

火と火星と火曜日と

オリジナルアニメ

視聴動機は2位以下を大きく引き離し【楽曲提供:Nulbarich】。好きですこの人。
2位は【キャラクター原案:窪之内英策】。『ツルモク独身寮』は名作なのです。“声優” “BONES” “Netflix提供オリジナルアニメ” 等が理由というわけではありませんでした。

そのNulbarichの楽曲はOP「Kiss Me」 ⇒ 良き
2クール全24話の前半1クールのOPでした。後半のOPに何がきたかと思えば、【小山田圭吾】。これまたどストライク。懐かしき渋谷系ってやつです。

そして作りに作ったりの挿入曲39曲。全部にハマることはなかったとはいえ、ことごとく良い。音楽の嗜好性で評価がわかれそうな作風でした。良きにつけ悪しきにつけ音楽アニメです。端的に、


 曲が素晴らしかっただけに他を頑張ってたら名作になりえた作品


視聴後の「えらい手のかかったPV」だったなとの印象が拭えません。

人類が火星に移住しだして早50年。移民出のキャロル(CV島袋美由利)と引き籠りお嬢様チューズデイ(CV市ノ瀬加那)とが意気投合して音楽で成り上がっていく、みたいなストーリーライン。
楽曲作成は人間からほぼAIに取って代わっている世界で、アナログな彼女らがどうのし上がっていくのかしら?といったところが興味を引くポイントでした。


▼物語
エピソードが軽いのと連続性を感じられない

{netabare}・高視聴率番組決勝出場の娘を監禁とかむしろ騒ぎ大きくしない?
・ストーカーのシベールもパッと登場しパッと退場{/netabare}

どうも違和感が残ります。ただし重要なところは消化不良ながら一定の答えは導き出せている。

{netabare}・母親と大統領選挙に絡む悪事
・火星の移民と移民への差別の問題
・タオとアンジェラのデザイナーチャイルド設定

3つめはぶん投げっぱなしに見えますが、兄と妹のような繋がりを意識させてアンジェラに救いを与えたんだろうと解釈してます。
前2つはそれなりでした。{/netabare}


▼キャラ
主役二人のキャラがびっくりするほど薄いと感じるのは私だけでしょうか。


▼作画 音楽 声優
GOOD!



いかんせん主役二人のキャラが立ってません。単発エピソードも説得力に欠けるため感情移入がしづらい。毎話新曲が聴けるのは良しとして、穿った見方をすれば、プロモとしてのアニメ動画を見せるのありき。日常エピソードは次のプロモまでの尺繋ぎかのようでした。

2クールの中でピークとなるような回{netabare}(12話:マーズブライテスト決勝、最終24話){/netabare}はあるものの、物語の描写が希薄なためカタルシスを得るまでには至らないのです。


でもまあいっか。なんだかんだ歌唱シーンではもってかれるし、そういう音楽を聴くものとして楽しむことにしたら気持ちも楽になりました。
普通の作品ならストーリーやキャラで魅せるようなエモーショナルな部分を歌が担ってくれてたようなもので、これはこれで実験的だったと思います。高評価の理由ですね。


  “ 音楽の持つ力 ”


そんなものを愚直に信じて、言葉ではなく音楽で語ろうとした意欲的な作品であると評価しました。詳細は後述します。
{netabare}※音楽史を紐解けば、人種問題について音楽が社会を変えていく役割を担った部分が認められます。『キャロチュー』主に後半で描かれた移民の問題などはそんな現実世界とのシンクロ率が高い。{/netabare}

・・・ただし良曲のなかでもアーティガン(CV宮野真守)のだけはイマイチのれませんでした。彼は癒しキャラとしてポジションを確立してたのでそれで良しとします。



※ネタバレ 音楽で語るetc

■ A I 社会でのアナログへの憧憬

私よりちょっと上の世代ですと、CDとアナログレコードとの転換期を目の当たりにしてます。
音もデジタルとアナログとでは違う。CD全盛となって温もりのようなものが無くなったと嘆く声をよく耳にしました。この皮膚感覚の有無は作品評価に繋がりそう。
チューズデイが音楽に触れたきっかけがシンディ・ローパーと実在のアーティストをフィーチャリング。サブタイトルはこれまた往年の名曲をもってきてアイキャッチはアナログ盤のワンカットです。
楽曲もやや80年代の匂いがしますね。“ベストヒットUSA”に馴染んでる世代の方には違和感がないと思われます。

{netabare}作中の世界は人の心の機微すら汲み取って曲を作れるAIが存在する設定です。
ロボットが人に取って代わる話はSFの定番であり、そのカウンターとしての人間賛歌を音楽という題材を使って描いたらこうなるんだろうな、のわりと分かり易い世界観でした。
近未来AI万能社会での人間のあり方といったテーマを、デジタルCDとアナログレコードとの関係とで示唆してた気がします。

アンチAIという立場を意識せずに、自然体で向き合ったのがキャロルとチューズデイの主役二人。{/netabare}

{netabare}裏主人公アンジェラ(CV上坂すみれ)だって、「マネージャーをAIにするわよ」と言われて露骨に嫌悪感を示した序盤でした。AIシンガーのアイコンであり、その現実を受け入れながらも温もりを求めて苦悩しアナログへ回帰していく。起伏のある魅力的なキャラでした。
キャロル&チューズデイの二人とアンジェラはいわば表と裏。合わせ鏡のようで作品の魅力に繋がってましたね。{/netabare}


■ 火にまつわるエトセトラ

火星。火の星が舞台です。情熱だったり生命の輝きだったり人の温もりだったりを、 “火” という言葉を使って歌詞に取り入れていたのは火星とかけてるんでしょうか。
ついでにチューズデイは火曜日。この作品は火に溢れてます。キャロルだって“聖歌”の意味合いがあって、クリスマスキャロルにはキャンドルの灯りが良く似合います。

{netabare}アンジェラの「Light A Fire」とキャロチューの「The Loneliest Girl」を聴き比べてみてほしいです。マーズブライテスト決勝で両者が披露した珠玉の一品。

闇・孤独・火といったワードが共通しており、抱える孤独に対して“寄り添う”キャロチューと“立ち向かう”アンジェラといった両者が呼応するかのような曲になってます。
歌詞も曲調もそうだし、キャラクターを表している曲にもなってあり、さらに今後の展開をも示唆していました。

アンジェラに必要だったのはキャロルにとってのチュー、チューズデイにとってのキャロルみたいな存在。

言葉ではなく曲で!
どっかのマンガの拳で語り合う世界と変わりません。{/netabare}


■VOICES FROM MARS

「火星の歴史に刻まれることとなった奇跡の7分間」毎度のガスのアバン。

{netabare}登場アーティストが増えてくるうちに7分ってそういえば!とわりと早い段階でネタの見当はついておりました。

「We Are the World」がクライマックスというこれ以上ない高いハードルを設定して大丈夫か?

この曲も7分です。そしてレコードとCDの端境期に埋もれた曲でもあります。レコードで一通り収益をあげて、その後CDを発売してみたもののさっぱり売れずに権利関係の煩雑さでしばらく絶盤となってたとか。アナログ時代の徒花のような大曲がモチーフとなってるのも感慨深いところです。


歌唱前。
「あなたたちこそが闇の中の光」「その光でもっと多くの人を照らすべきね」とクリスタルさん(CV坂本真綾)。いつの間にか「Light A Fire」してるキャロチューさん達だったりしました。


そして大曲「Mother」↓

 愛をともし火にして

 =火の正体は“愛”でした


 (母よ)進むべき道を示して

 =まだまだあなたが必要です


楽曲のクオリティは高かったです。というか好み。{/netabare}


{netabare}「Mother」って“地球”の意味もあるよね?

苦境に立ってる地球や難民に向けてのメッセージでもありました。あー言いたくてたまらない…

 {netabare}愛は地球を救う!{/netabare}{/netabare}



他にも歌詞に込められたメッセージなどひも解くと面白いかもしれません。なにせ39曲ありますからね。主題歌含めると40曲超えます。
ただしでもね、、やっぱりカタルシスが足りない。これだけの曲があってしっかり耕しておけば猛烈に感動しただろうに。。。もったいないなあ。




※閑話休題

■+Ultra

海外展開を視野に入れた作品を提供していく枠とのこと。
吹き替えが主戦場の声優さんの投入が目立ちましたね。おかげで洋画っぽかったです。
マーズブライテスト審査員(カトリーヌ、ベニート)、大統領補佐ジェリーの声あてはそういった方達でした。
セリフ回しなんかわかりやすかったかも。カトリーヌやTVショーの司会者のあの「HAHAHA」とテロップ出そうなセリフ回しをアニメ専業声優さんだと難しかったかもしれませんね。

{netabare}先述の火星・火・火曜の繋がりとか外人わからんでしょう。しかし敢えてそこわかってて狙ってるとしたら面白い。そんな茶目っ気が好き。{/netabare}



■奇跡って?

{netabare}そういえば、最終話Bパートを指して「どこが奇跡なん?」のツッコミ多数。

・ビッグアーティストが集まったのが奇跡?
・奇跡的な良曲を作れたこと?

“ミラクル”は最終話Bパートの7分間そのものを指さず、作中では描かれていない7分間の後日談を指して、“奇跡”と言いたかったのかもしれません。

・地球と火星間の関係が良好になったとか
・親子関係が好転したとか
・アナログシンガーの再評価があったとか
・デズモンドが一命を取り留めたとかフローラがスターダムに戻ったとか

知る由もありませんが、きっかけとしての7分間。
その根拠はこれ↓

{netabare}「奇蹟とは、常に結果に対してではなく、信仰を深めるきっかけとして起こるものなのです」
 byパイナップルARMY{/netabare}{/netabare}



視聴時期:2019年4月~9月 リアタイ視聴

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2019.10.09 初稿
2020.04.14 修正

投稿 : 2024/12/28
♥ : 54
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

トゥルー・カラーズ

アニメーション制作:ボンズ
総監督:渡辺信一郎、監督:堀元宣、
キャラクター原案:窪之内英策、
キャラクターデザイン:斎藤恒徳、音楽:Mocky、
音楽制作:フライングドッグ
原作:BONES・渡辺信一郎

西洋の油絵を彷彿とさせるようなオープニング。
女性デュオのヴォーカルに
アコースティックギターの音色が美しく重なる。
カーペンターズやキャロル・キングが脳裏に浮かぶ。
街並みはニューヨークを思わせる。

フジテレビがノイタミナとは別枠で、
より海外を意識した作品を発信することを
目的として制作される
「+Ultra(プラスウルトラ)」の第3弾。
あらゆる部分で海外のテイストが見受けられる。
そばかすのある金髪お嬢様のチューズデイと、
アクティブでサロペットパンツを着こなす黒人風のキャロル。
ふたりが火星のアルバシティで出会い、
音楽で意気投合するところから物語は始まる。
女性デュオとしてミュージシャンを目指すふたりは、
マネージャーのガスやAIプログラマーのロディーたちと
ともに音楽による表現の道を歩んでいく。

各話タイトルは、60~80年代のアメリカのヒットナンバー。
どれもインパクトのある良い曲ばかりなので、
知らない曲があれば、ぜひ聴いてみて欲しい。
総監督・渡辺信一郎の趣味が色濃いのではないだろうか。
個人的に思い出深いのは5話タイトルの
ザ・ポリスの『Every Breath You Take』。
日本語タイトルは『見つめていたい』。
アメリカ・ビルボードチャートのランキングで
8週連続1位を記録した大ヒット曲。
ウッドベースを弾くスティングを中心とした
モノクロのPVが最高に格好良くて、
子供ながらにこれは何か違うと思ったものだった。
インパクトがあって好きなのは9話タイトルの
モット・ザ・フープル『All The Young Dudes』で、
日本語タイトルは『すべての若き野郎ども』。
イアン・ハンターの気だるげで絡みつくような
ヴォーカルに泥くさいギターとキーボード、
若者の胸を打つメッセージ性のある歌詞も良い。
当時の若者のアンセムになったグラムロックだ。
解散寸前だったグループを存続させるために
デヴィッド・ボウイが曲を提供したが、
自身でも歌っていることがある。
キャロル・キングの作った曲が『A Natural Woman』と
『It's Too Late』の2曲入っているのは、
渡辺総監督の嗜好の表れだろうか。

この作品の最も特異なポイントは、
レベルの高い劇中曲を全てオリジナルで作成したことだろう。
オリジナルサウンドトラックを購入したが、
テイストの違う良曲揃いで、
何度でも繰り返して聴くことができる。

特にコンテストやライヴで披露された
アンジェラの『Light A Fire』、『Move Mountains』
『ALL I WANT』、そして
キャロル&チューデイ『The Loneliest Girl』や
『Someday I'll Find My Way Home』、
ピョートル『Dance Tonight』、
シベール『La ballade』、GGK『Gravity Bounce』などは
どれもその1曲で通用するほど聴きごたえ十分。
中でもいちばん好きなのは『Light A Fire』だ。
よくこれだけのアーティストと曲を集めたものだ。
70年代から00年代くらいまでに海外で流行った曲の
テイストが散りばめられているように思えるが、
インタビューなどを読むとかなりざっくりとした
指示しか出していなかったようだ。
それでも、どの曲も懐かしさを感じさせる。
例えばキャロチューの曲は、生音と女性ヴォーカルが特徴の
カーペンターズやキャロル・キングが基本だろうし、
アンジェラはフージーズのローリン・ヒルあたりを
意識しているのだろう。
GGKの曲は、90年代にアリーヤなどが一世を風靡した
プロデューサー・ティンバランドのチキチキと呼ばれる
サウンドを意識しているのは明らか。
幅広い魅力ある楽曲を聴かせてくれるのは嬉しい。
それにしてもアンジェラとキャロル&チューズデイ役の
アーティストのアリサや
ナイ・ブリックスとセレイナ・アンを
抜擢したのは、さすがのセンスの良さを感じさせる。

それと、キャラクターの造形や背景でモデルを想起させる。
タオ→テイ・トウワ、
キャロル&チューズデイ→カーペンターズ
(サイモン&ガーファンクル)
アンジェラ→ローリン・ヒル
クリスタル→ビヨンセ
ピョートル→ブルーノ・マーズ
OGブルドッグ→50セント
ガス→ジャック・ニコルソン(『シャイニング』)など。
事細かくチェックすれば、もっと出てくるだろう。
そういうことを想像する楽しみもある。

この作品は、基本的にはやりたい音楽をやるための
アニメと言っても差し支えない。
そもそも出発点はボンズの社長と渡辺総監督、
フライングドッグの社長によって、
本物の音楽のアニメ作品を作ろうという
コンセプトで立ち上がったもの。
世界に通用する良い音楽を違和感なくやるために、
火星という舞台が考えられたという。
これが地球だとどうしても様々な制約が
生まれてしまうからだということを
フライングドッグの社長がインタビューで語っていた。
上質な音楽を自由にやり切るために
全てが始まった企画なのだ。

さまざまな方面のアーティストに声をかけて、
幅広い有名アーティストが集まった。
フライング・ロータス、サンダーキャット、
ベニー・シングス、スティーヴ・アオキ、
エヴァン・”キッド”ボガート、ローレン・ダイソン、
コーネリアス、Nulbarich、cero、
アリソン・ワンダーランドなどのメンバー。
最近の最前線の音楽については疎いので、
私にとっては知らない名前もたくさんあるのだが、
例えば、サンダーキャットというベーシストは、
ケンドリック・ラマーのアルバム『To Pimp a Butterfly』に
参加しており、そのなかの『These Walls』という曲が
グラミー賞を受賞するなど世界的に知られている人物。
フライング・ロータスはジャズのジョン・コルトレーンが叔父で
6枚のアルバムをリリースしている親日家だ。
また、ここで初めて知ったベニー・シングスは、
作品内で多くの楽曲を手がけているが、とても質が高いと思う。
オランダ出身のプロデューサーということで、
これからさらに有名になるかもしれない。
前期OPを担当したNulbarichも初めて知ったが、
とてもセンスの良い曲で、日本人ということに驚いた。
挿入歌を手がけるアーティストは音楽のジャンルも多彩で、
映画制作でも集められないほど、あり得ない企画といえる。

ただ、そのせいでシリーズ構成や脚本を
練られなかったのは残念なところ。
当初の脚本は渡辺あやの名前で発表されていた。
これは『カウボーイ・ビ・バップ』の脚本を
TVドラマ『白線ながし』の脚本を手がけた信本敬子が
書いたのと同様に、普通のアニメにはしないために
新たな風を入れる試みだったのだろう。
しかし、スタートした時点で既にクレジットはなく、
原作とシリーズ構成を渡辺総監督自身が担当している。
テイストの違うオリジナルの楽曲を
多くのアーティストに依頼したため、
ストーリーに費やす時間が短くなってしまい、
降板する事態になってしまったと想像する。

渡辺あやは映画『ジョゼと虎と魚たち』で、
一躍有名になった脚本家。
この作品は、監督の犬童一心や
俳優の妻夫木聡、池脇千鶴などの名も高めた傑作。
とても心に沁みるラブストーリーなので、
もし未見な方がいたら、ぜひ観てもらいたい。
私は映画館で2度観て、田辺聖子の原作にも手を出し、
DVDも購入してしまった。
今度はアニメ化もされるので、
実写と併せて観るのもいいかもしれない。

話が逸れてしまったが、
そんな事情もあり、シリーズ構成や脚本に問題点が
あるのは否めない。曲に細かい指示を出せないことが
多かったらしく、曲に合わせてストーリーを
作り変えたこともあったそうだ。
物語に合わせて曲を作ったのは、
『The Loneliest Girl』だけ(12話までは)と
いうことだったので、ストーリーにはかなり苦労したようだ。
そんななか、唯一脚本が良かったと思えたのが
15話の「God Only Knows」だったのだが、
この回だけを信本敬子が担当していた。
やはりじっくり時間をかけて脚本を書いてもらえれば、
良いストーリーになったと思える。

一応、作品全体には、ぼんやりとしたひとつの流れがある。
それは人々が誰もが持っている「素晴らしい色」とでも
言うべきものだろうか。
第1話タイトルにシンディ・ローパーの
『トゥルー・カラーズ』を持ってきたことに
作品が目指したものを何となく読み取ることができる。
{netabare}それは、現在の世界情勢を反映させた、
民族主義的な火星の政治家たちの動きや、
現在、アメリカやブラジル、イギリスで起こっている
世界の流れをつなげて描いているのだろう。
しかし、ストーリーとしては、そのような民族主義に
LGBTやデザイナーズ・チャイルドなどの素材を
散りばめただけで終わってしまった。
音楽も当初はAIと人での対比で進めていたはず
なのだが、どこかへ飛んでしまっている。{/netabare}
おそらく主役をアンジェラにしたほうが、
ストーリーとしてはまとまったと思う。
全体を見渡すと、ほぼアンジェラが中心にいる
ストーリーに見えてしまう。

{netabare}最終話でミュージシャンたちがボランティアで集まり、
『We Are The World』的なメッセージを送る。
あらゆるものは、歌詞にあるような「母的」な
自分自身のアイデンティティに帰属し、
それぞれが違った美しい光を放つということだろう。
この『MOTHER』という言葉には、
おそらく「地球」という意味もあって、
常に変化が求められている時代であっても、
皆が地球という共通の「母」があるということか。{/netabare}
ラストのタイトルがサム・クックの
『A Change is Gonna Come』という差別体験について
歌った公民権運動につながる曲を使用している
ことからもそれは想像できる。
ただ、『MOTHER』を歌うことが
当初から煽り続けた「奇跡」かと問われると、
そこまでは感じられないし、
シリーズ構成が崩壊したせいで、積み重ねが弱く、
心に届くような物語にはならなかった。

とはいえ、アニメではまず集められそうにない
面子を集め、質の高い音楽を制作し、
それに合わせたストーリーを構築したのは素晴らしい。
演奏やダンスの動きもクオリティが高く、
実際に撮影をしてアニメに取り入れた、
こだわりの作品となっている。

これまで誰もやったことのない領域に手を伸ばし、
一定のレベルでやり遂げた。
それについては称賛したい。
(2019年10月26日初投稿)

投稿 : 2024/12/28
♥ : 60

71.8 3 2019年度のボンズアニメランキング3位
文豪ストレイドッグス 第3シーズン(TVアニメ動画)

2019年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (179)
946人が棚に入れました
白虎と黒獣――中島敦と芥川龍之介の共闘がフランシス・Fとの決戦を制し、大国より襲来した「組合(ギルド)」との巨大異能戦争は終結を迎えた。その戦いの中で結ばれた「武装探偵社」と「ポート・マフィア」の休戦協定も継続する中、彼らによって壊滅の危機から守られたヨコハマの街は、今日も路辺に日常という物語を紡ぐ。だが、そこには、流入する海外犯罪組織の噂や、「組合(ギルド)」残党の影も見え隠れし……。一方で、太宰治は案じていた。“魔人"の目覚め、新たなる災厄の始まりを。暗渠にうごめくは、盗賊団「死の家の鼠」の頭目、フョードル・D。その恐るべき謀略が、ついに牙をむく!

声優・キャラクター
上村祐翔、宮野真守、細谷佳正、神谷浩史、豊永利行、花倉洸幸、嶋村侑、諸星すみれ、小見川千明、小山力也、小野賢章、谷山紀章、羽多野渉、小清水亜美、瀬戸麻沙美、宮本充、雨宮天、櫻井孝宏、植田ひかる、森川智之、花澤香菜、福山潤、石田彰

Acacia さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

人の為に生き、自分を肯定する事。

【2019/07/13 追記】

全体的に物語で勝負ではなく
キャラ萌えで勝負した3期だったかな。と、思います。

娯楽としては間違っていないと思いますが、
自分は文ストには文学や哲学書を読むような
少し、捻くれたテーマも求めてもいるので
残念な所もある。

最終話だけは熱く密度の高い話でしたが、
敦と孤児院の院長の話と
共喰いに関しては原作の端折り方が少し下手。

この二点はかなり期待していたので
肩透かしを喰らいました。

唯、ED曲の「Lily」
歌詞が素敵です。人を支える事に
充足感と自己肯定を感じつつも何処か
縛られ、息苦しさを感じる生き方。
己をさらけ出す様で恥ずかしいですが共感できます。

共喰い以降の原作は正直迷走している様にも
見受けられるので、アニメという媒体は
まだ続くのか…少し期待しながら待ちます。

追記は以上です。

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たまには放送中のアニメもレビューを。
また追記します。

放送前のPVでやたらと2016年のテレビシリーズと
劇場版の映像を流用していたので、
制作間に合ってないのかと少し憂いていましたが…成程。

劇場入場特典。後に劇場版円盤に特典として付属した。
過去話、「太宰、中也、十五歳」を
やるんですね。客層が解ってますね…。

文ストのノベル全て読破した感想としては、
「黒の時代」以外は陳腐です。

オチがワンパターンで、独自の作風以前の問題。
少しでも小説に触れた人間が読めば、
執筆者の器が透けて見えてしまう。
第1シーズンの「蒼の使徒」関連。あれはノベルです。

2016年放送第2シーズンの「黒の時代」は
ノベルも面白く、物語に味わいを加える為。

また、太宰というキャラクターの多面性を
知る為にも面白い仕掛けでしたが。

原作漫画は更に加速して楽しめる事が解っているのですが、
ノベルだと、正直不安です。
この話は中也に深く関わる内容なので、
女性層には受けは良いと思います。

自分、男なので余り中也と太宰の関係に
惹かれる物はないですけど。
(どちらかと言うと敦と鏡花の方が…。)

背景美術、撮影は変わらず、世界観がブレていない。
アクションも良く動く。キャラクターも演者も魂がこもってる。

まだ1話目なので、今後の放送待ちです。
ただ、放送前は期待100%だったのが、少し不安も混ざりました。

後、1話で気になった点。新規OSTが1曲も無い。
全て前テレビシリーズと劇場版から流用してます。
放送前PVでは新OSTも確認できているので、
ここも不安を混ぜつつ期待します。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 12

ninin さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

やつがれは

原作未読 全12話

文豪ストレイドッグスの3期です。1期・2期から観ることをオススメします。

横浜を舞台に文豪の名前をしたキャラクターたちが集う武装探偵社と横浜を拠点しているポートマフィアたちとの異能力を使った戦いを描いた作品です。

今回序盤は、太宰のポートマフィア時代のお話でポートマフィアになる前の中原中也との出会いを描いていました。

次に現代に戻り、間にギルドの話を挟み、武装探偵社とポートマフィアに試練が待っていましたね。

程よくコミカルなところは変わりませんし、太宰は相変わらず切れていましたね。

まだまだ続きがあるような終わり方でした。

OP は1期でこの作品のOP歌っていたGRANRODEOさん、EDはラックライフさんが歌っています。歌はかっこいいし映像も凝っていましたね。

最後に、EDを歌っているラックライフさんはこの作品で知りましたが歌詞も曲も好きですね^^

投稿 : 2024/12/28
♥ : 13

イツキ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

【対フョードル編】過去の敵はいつまでも敵じゃない

文スト第3期。2期の組合(ギルド)戦より姿をちらつかせていた「魔人」フョードル・ドストエフスキーとの対決を描く。
この作品の見どころの一つは、今まで敵が敵であり続けたことがないという点。意図的か否かは不明だが、一度は敵対関係にあっても、より大きな目的のために手を結び助け合うのが今までの常だ。2期で「ヨコハマを守る」ため協力関係を結んだ探偵社とポートマフィアと同じく、今期ではその組合の長・フィッツジェラルドが鍵となると言っても過言ではない。敦と芥川のタッグも前作にましてすばらしく、もはや新・双黒を予感させる。他にも、夏目漱石の登場や中原中也の過去「十五歳編」など見どころは多い。
筆者のお気に入りは第12話「回向(ECHO)」。詳しくはネタバレになってしまうため控えるが、敦と芥川による共同戦線、探偵社とポートマフィア両組織の長、森と福沢による意外なタッグ、最後の太宰とフィッツジェラルドによるどんでん返しなどどこまでも視聴者を満足させてくれる内容となっている。
読後感ならぬ鑑後感は良いが、それだけに、このまま終わってほしくない、もっと見ていたい、と思わせられる。4期に期待したい作品。
(1クール全12話)

投稿 : 2024/12/28
♥ : 3
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