ボンズでロボットなアニメ映画ランキング 1

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早速見ていきましょう!

70.3 1 ボンズでロボットなアニメランキング1位
ANEMONE / 交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション(アニメ映画)

2018年11月10日
★★★★☆ 3.8 (86)
429人が棚に入れました
まだ幼かったあの日。
父はアネモネを残して戦いに赴き、そして帰ってこなかった。
アネモネの小さな胸に深く残る後悔。彼女の心を支えたのは、ぬいぐるみのガリバーとAIコンシェルジュ・ドミニキッズ。
7年が経過し、アネモネは父が散った戦場――東京にいた。
アネモネは実験部隊アシッドが実行する作戦の要として、人類の敵「7番目のエウレカ=エウレカセブン」と戦わなくてはならないのだ。
エウレカセブンにより追い詰められた人類は、もはやアネモネに希望を託すしかなかった。
そしてアネモネは、エウレカセブンの内部へとダイブする――。

声優・キャラクター
小清水亜美、名塚佳織、三瓶由布子、山崎樹範、沢海陽子、山口由里子、銀河万丈、三木眞一郎、内田夕夜、辻谷耕史、玉野るな
ネタバレ

TAKARU1996 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

少女の夢の終わり、迷える子羊が見た光

この歳になると、作品を見て驚くと言う事が中々出来なくなってきます。
これまで観た、読んだ、聴いた、体感したモノに左右されて、日常生活の中で「驚き」を感じると言う事は滅法少なくなってきました。
そんな退屈な日々を終始送っている私ですが……


久しぶりに映画館で仰天致しました。


この映画、端的に言って「凄い」です。
凄いとしか言いようがありません。
「観客を圧倒させる新しい物語を作ってやる!!」と言う製作側の熱意が一身に感じられます。
『交響詩篇エウレカセブン』と言うシリーズ自体、過去作のシーンを取り入れてはいても、決してそれ頼みにはしていなかった。
そんな事実を今回、『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』を観て実感した次第でした。
人気だったシーンの二番煎じ
再構成でお茶を濁す、はたまた劣化になるアニメもとにかく多い。
昨今、決して否定出来ない事実と言えましょう。
しかし、本作にはそれらが全くありません。
特に、世間的に上記のような存在と思われていた前作『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』に、ここまで新しき意図が隠されていた事を知れたのが、私としてはとにかく嬉しかったのです。

取り敢えず、観ていない方は今すぐ映画館に行った方が良い。
過去作品を観て来た人程、生じる「衝撃」が本作にはあります。
私はこれまでの作品「ほぼ」好き(例外が1つだけありますが、ここで話す内容ではありませんね)
と断言出来る程の「全肯定信者」ですが、過去作品を観て来た人程「衝撃」があるのですよ、本作は。
特に、過去作で何かしら不満に思うモノがあった方には、その見方がかなり変わる内容でしょう。
もしかすると、そういった方は本作でかなり救われるかもしれません。
何かしら「エウレカセブン」に触れてきた人には、是非とも観て欲しい映画だと強く感じました。


まだご覧になっていない方への忠言

私は前作も楽しんで観る事の出来た人間ですが、『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』は『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』が期待外れだった人程、楽しめる作品です。
前作はPLAY BACK/FORWARDを駆使した、初見の方には決して観やすくない構成でしたが、実を言うと、あれには明確な意図があります。
あそこまで複雑に前後した意味、『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』を観ると解るでしょう。


『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』は世界観をこれまでとガラッと変えてきました。
スカブコーラルの世界におけるボーイミーツガールを期待していた人からしたら、東京における脅威との戦いは肩透かしも良い所でしょう。
しかし実を言うと、それにも意図があります。
敢えて世界観を全く違うものとした意味、『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』を観ると解るでしょう。

③『交響詩篇エウレカセブン』はProject EUREKAとして、様々に物語を展開してきました。
アニメ、映画、漫画、小説等で語られた彼等の物語、中には自分の好みに合わないと感じた作品もある事でしょう。
安心して下さい、そんな不満を抱いていた方は軒並み救済されます。
『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』を観ると解るでしょう。


この映画を観る前には出来るだけ、本作以前の作品を体感しておいた方が宜しいかと思われます。
取り敢えず、本編『交響詩篇エウレカセブン』と劇場版『交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』の視聴、そして漫画版『交響詩篇エウレカセブン』は予め読んでおくと、一部場面で悶死する程の衝撃を食らうでしょう。
しかし、必ず観なければいけないと言う訳ではありません。
本作だけでも十二分に満足できる出来でしょう。
あ、でも『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』は観ておいた方が良いです。


そして最後に、観終わった際は何故本作が『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』なのか?
何故『ハイエボリューション2』ではないのか?
ちょっと頭の隅に考えておく事を推奨します。





ここからは、まだ観ていない方は絶対読まないで下さい。
致命的なネタバレがあり、本作における「衝撃」を劇場で体感したい人は、この先を読まない事を強くオススメします。





いいですか?





では、更に数行空けてからカスタムタグ込みで語ると致します。





{netabare}
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…わたしは
わたしはあなたのいるこの世界を守りたかった
あなたがいなくなった世界に何の意味があるの?

『交響詩篇エウレカセブン ニュー・オーダー』エウレカの台詞より抜粋
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はい、正しくその通りでした。
彼女は、彼のいなくなった世界に意味を見出せていませんでした。
生きる事に意味を感じられなくなった彼女は、彼を取り戻す事だけに意味を求め続けました。
何度も、何度も、PLAY BACK/FORWARDを繰り返して……

大好きな人が生きている世界を夢の中で構築し続け、その度に何度も彼は死んでいきました。
TV版、漫画版、小説版、ゲーム版、劇場版『ポケットが虹でいっぱい』、続編『エウレカセブンAO』、新劇場版『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』
生きている世界を生み出しても、絶対に彼女の前からいなくなってしまう絶望
結局、夢は夢でしかなかったのです。
どう足掻いても、彼は死んでいく。
どんなに頑張っても、彼は息絶える。
彼――レントンは死んでしまうのでした。


「物語」と言うモノは「視点」によって如何様にも変化を遂げるモノです。
藤子・F・不二雄先生の短編で「裏町裏通り名画館」と言う作品がございますが、アネモネと共にダイブしていく中で、私は自然とその内容を想起しておりました。
誰を主人公とするか?
誰からの視点で物語を紡ぐか?
「物語」とは言わば、無限に生み出す事の出来る創造物です。
その変化によって見方は変わるし、解釈も変わる。
本作『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』も、その事を強く伝えてきた作品でした。

今回の主人公は「アネモネ」
彼女の視点から物語が綴られています。
アネモネが「エウレカセブン」内に精神を送ると、見えてきたのは正しく過去作品の映像
襲ってくるニルヴァーシュを何度も、何度もやっつける彼女
襲われたコックピットからは何度も、何度も負けていく少女の姿が見えました。
そして、その度に、彼女は叫ぶのです。

「レントン!!!」

アネモネは疑問を抱きます。
レントンとは誰だろう?
どうしてあそこまで悲しく叫ぶんだろう?
そんなモヤモヤとした感情を尻目に、彼女は人類を救う為「エウレカセブン」の中へ何度もダイブし、ニルヴァーシュを殺し続けます。

結局、アネモネが観ていた映像と言うのは全て、エウレカが生み出した過去作品の「夢」に他ありません。
死んでしまったレントンを取り戻す為に、エウレカは何度も何度も夢を見て、過去を繰り返して、彼を救う事の出来る世界を探し続けていたのです。
しかし、どうあっても彼は救えない。


彼女――アネモネが邪魔をする。


だから、エウレカは恨みと悲しみの慟哭を繰り返すのでした。
TV版のアネモネのように。

いやはや、唖然とするしかないでしょう、これは。
エウレカとアネモネの立ち位置が『交響詩篇エウレカセブン』と一気に逆転している!?
観ていたこちらも驚愕の一途です。
まあ、正確に言えば『交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』でも、彼女達はTV版と正反対のキャラクター構造でしたが、本作はそれを更に衝撃的に上乗せした展開となっています。
エウレカがあそこまで「アネモネ」になるのかと感じた際には、私の心は切なさで張り裂けそうになりました。
彼がいなくなってしまったから、彼女もこうなってしまった訳で。
しかし、そのせいで20億人以上の人間が死んでしまった訳で。
その中には、アネモネの父親「石井賢」も含まれている訳で。
彼女達が互いに相手へ恨みを抱くのも、当然の話と言うモノなのです。
誰も救われません。
皆が皆、可哀想

しかし、そこで本シリーズが最初から伝えてきた事を改めて打ち立てたのがやっぱり「エウレカセブン」だと切に感じます。
互いの想いを否定せず、手を取り合って温かい息吹を作り出すシーンがそこにありました。
今回は、アネモネの方がエウレカに寄り添う形で……
第2の「バレエ・メカニック」を、私は此処に見つけたのです。
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「生きていたい。気付かなきゃよかった、こんな気持ち」

「生きて良いんだよ。生きちゃいけないなんて誰も言ってないんだよ」

「だって苦しいの! あの人がどこにもいないの! そんなの、そんなの……」

「きっと伝わるよ!」

『交響詩篇エウレカセブン』第48話「バレエ・メカニック」一部シーンより抜粋
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はっきり申し上げるに、12年経ってここまで「冒険」をしているアニメ映画と言うのは、私も観た事がありません。
「TV版と同じようにすれば、視聴者のウケも良いだろうし、例え劣化といわれたって、同じような展開をなぞれば良いでしょ!!」
新作として出す作品は、上記のような妥協が見え隠れするのが本当に多い。
正直、フロンティア・スピリットを持っていないそんな作品には、うんざりする事ばかりの始末でした。
しかし、本作を作っているスタッフは違います。
決して同じ世界観や展開でお茶を濁さず、新しい「物語」を創り続けています。
『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』のPLAY BACK/FORWARDが死んでしまったレントンを取り戻す、エウレカの戦いの証明だったと言うのは思わず鳥肌が立ちました。
それは、決して「ハイエボリューション」と言う進化を無駄にしていない証拠でもあったから。
あれだけ酷評されていた前作を全く無駄にしていない「愛」
元を正せば、過去作品自体も全く無駄にしていない「愛」
そして、それらを踏まえた上で新しい『エウレカセブン』を見せてくれる「愛」
そう、本作もまたファンの間で賛否両論となる映画でしょうが、間違いなく「愛」に溢れた作品なのです。

新しき設定も増えています。
きちんと観なければ意味不明な展開も目白押し
何だこれは!?と憤慨する方もいらっしゃるかもしれません、好き過ぎる方は特に。
ある意味「夢」に固執し過ぎてしまう「夢追人」は絶対に楽しめない作品です。

しかし、そういった方はこれまで何を観て来たのかを、私は考えてみたくなります。
『交響詩篇エウレカセブン』を観て、一体何を学んだのかを問いかけたくなります。
あの作品で伝えられてきた事の1つには、変化に対する受容と肯定も含まれていた筈です。
エウレカは自らが変わっていく事に戸惑い、反発し、激昂し、落胆し、不安定になりながらも、最後には自分が変わった事を素直に喜ぶ事が出来ました。
アネモネもまた、自覚出来ていなかった変化に終盤で気が付き、自分の素直な気持ちを見つめ直して、結果として生まれた感情を自然に吐露出来ました。
彼女達は確かに変化を遂げましたが、しかしそれでも、その変移を肯定する事が出来たのです。

そして『エウレカセブン』の素晴らしい所は、例え変化を遂げていたとしても、根底自体はまるで変わっていないと言う事
エウレカだけを終始考え、想い、愛し続けたレントンのように、その根っこはまるで「変化」していないのです。
本作もまた、それが十二分に理解出来た産物でした。
エウレカの、レントンに対する真っ直ぐな愛
アネモネの、父親やドミニクに対する一途な感情
甘酸っぱい想いとか、恥ずかしくなる感情とか、悲しくなる気持ちとか、悔しくなる心とか、悶え殺してくる程の感動や興奮、葛藤や悲痛
TV版でずっと感じていた「思い」も、本作には容量充分に詰まっています。

「進化」とは、言ってしまえば「変化」の類語
新しき設定や世界観等、変化した概念もあるでしょう。
しかし、それを「進化」として、スタッフ達が紡ぎだす新しき物語として受け入れた先に、変化していない根底を見出す事が出来るのだと思います。
前作はレントンからエウレカへの熱き想い
本作はそれに対する返答とアネモネが齎した付加価値
変わっていないモノは確かに描かれています。
それを見出せるかどうかは等しく、貴方様の観方に懸かっていると言えましょう。

ただ、言ってしまえば本作はまだまだ「本番」じゃない。
全体の「幕間」に過ぎません。
『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』が続編の「2」を冠していないのは、これが「アネモネ」の物語であると同時に、ここで一気に「新世界」へ引きずり込む意図があったからでしょう。
だとしたら「進化」の続きは一体何処に辿り着くのか?
『ハイエボリューション1』の続編「One World One Future」か、それとは全く異なったエウレカの物語か?
どちらにしても「夢」を凌駕した最高の「現実」を、彼女には見せてあげて欲しい。
その為には、彼の存在が必須
『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』はレントンとエウレカが紡ぐ「2」番目の進化まで……
彼等と波に乗り続けようと思えた「進化過程」です。
{/netabare}





貴方にとって「エウレカセブン」とは何ですか?
何が備わっていれば、貴方の思う「エウレカセブン」になりますか?
回答を既に得ている私は、最後のエウレカが紡ぐ、最高の物語まで、彼等と波に乗り続けます。
取り敢えず今、スタッフの皆さんに言える一言

「愛と衝撃と、進化を与えてくれてありがとう」

レントンのように、最後まで思いっきり駆け抜けて下さい。
私も、最後まで思いっきり駆け抜けますから。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

全シリーズ全作品全肯定!全シリーズ全作品全肯定!!全シリーズ全作品全肯定!!!

近未来の東京に突如として出現した未知の存在、七番目のエウレカ=エウレカセブン
強烈な毒素を放ち、謎の巨人ニルバーシュXで73の国と26億人を虐殺したその猛威を振るう
現代兵器では太刀打ちできないその存在に唯一対抗出来る手段として、人類に託された望みはただ1つ
わずか14歳の少女、石井・風花・アネモネをエウレカセブン内に電送、ダイブさせるのだ
7年前、実の父をエウレカセブンへのダイブで亡くしたアネモネは、そのトラウマと戦いながらも戦果をあげる
だが、ダイブした先の世界で出会った青緑色の髪の少女のことが気がかりになっていた…


『交響詩篇エウレカセブン』のリブート劇場版である『ハイエボリューション』3部作の2作目…ですが↑のあらすじを読んでいただくと分かるのですがぶっちゃけ【『ハイエボ1』は観なくていいです!】
世界観が完全にリセットされてるので今作だけで十分完成された映画になっているのでホント、『ハイエボ1』観てないから『ANEMONE』はやめとこ、とか【絶対に損してるのでやめてください!】


いや、厳密には『ハイエボ1』の中で話が分岐しており、実は今作に登場する“闇堕ちしてしまったエウレカ”の世界線と“ラストシーンに登場するレントン”の世界線は『ハイエボ1』の中で分岐してるので、今作をご覧になったあとで気になった方は『ハイエボ1』をチェックすればそれで十分補完出来るはずです


さて『ハイエボ』3部作ですが過去のエウレカセブンシリーズの映像を使った総集編…と思いきや当時の映像の中にいるはずの無い人物が違和感無く描き足されていたり、設定そのものがだいぶ変わっていたりと、どうやら過去作との直接的な繋がりは無いように観られていました


しかし今作で石井・風花・アネモネちゃんの暮らす世界からダイブインする、という形で過去作映像流用の世界が内宇宙として描かれます
これが今もなお“シリーズの聖典”として祀り上げられるTVシリーズ版『交響詩篇エウレカセブン』だけでなく、劇場版『ポケットが虹でいっぱい』や続編TVシリーズ『エウレカセブンAO』も含めて描かれるんです
もっと細かく観るとゲーム版やコミカライズ版も出てくるのでチェックしてみてください(笑)


劇中の中盤まではこれら過去作映像流用世界を否定していく形でアネモネちゃんは勝利を収めていきます
劇中では「偽りの神が作ったゴミの山」とか「ゴミ掃除」とまで言われてますw
しかしクライマックスでアネモネちゃんはエウレカセブンの中枢的存在であるエウレカがこれら過去作映像流用世界を「とある理由」で作り出してしまったことを“許す”のです


【これはつまりエウレカセブンシリーズ全てを“許す”ってことなんです!】


思えばエウレカセブンシリーズはファンを裏切り続けてきました
『ポケ虹』『AO』『ハイエボ1』…とにかくコアなファンであるほどオリジナルのTVシリーズの感動がひとしおに高く、故に蛇足で駄作な続編が増えていくことに一種のアレルギーの様になった人も少なくないでしょう
「エウレカセブンに続編なんかイラネェから!原点こそ原理だから!」とね
オイラがそうですから!w


だけどそんなシリーズ達の存在を“全て許した”のが今作です!
あまりにもこれまでのシリーズ達とはかけ離れた世界観を理解するだけで頭いっぱいになってしまうかもしれませんが、エウレカセブンシリーズに思い入れがある人ほどこの映画は好きになれること間違いありません!
とりあえずオイラは2回観ましたがなんとかしてもう1回観たいと思ってますw


過去作映像流用の部分では、あえて“アスペクト比”を当時のままにしてあるのでそれがスマホ画面→アナログTV→映画レターボックス→地上波デジタルなどと変化していくところにも注目して欲しいです
これはアネモネちゃんが真実に近づく事で変化していってることに気付くと思います!


アネモネちゃんの初陣であの「Tiger Track」が流れるのも素晴らしいですね
『ハイエボ1』の時、結局エウレカセブンシリーズの思い出って曲とセットになってるから曲の差し替えはよくないな…って思ってたんですよ
それがまさかあんなところで「Tiger Track」が流れるとはw
不意打ちにも程がありますw
それとクライマックスでも“凄い1曲”が流れます!!!
この曲は過去作で挿入歌だったというわけではありませんが、“あのネ申回”のサブタイの元ネタとなった楽曲です!
もう劇場で失禁しそうwなくらいはわわわ!!!ってなりましたよね
ニクい演出、いやエモい演出ですわ


そして『エウレカ』といえばロボ作画、ボンズといえばロボ作画、なワケですが今作ではあえて作画的な観どころのクライマックスとは別にグラフィニカによる3DCGで描かれるクライマックスがあり、2段階のクライマックスとなっております
これはもう世界観把握でいっぱいになった頭を破裂させるような展開でアッケに取られてしまうかもしれませんw
それがまた“映画らしくて”好きですね~
とにかく何回観ても「良い、好き」と言えるスルメの様な味わい深い作品なので、少しでもエウレカセブンシリーズに思い入れのある人は絶対に観た方がいいです!!!


最後になりましたが「Tiger Track」を手掛けたDJ KAGAMIことKAGAMIさんが2010年に、『ハイエボ1』までデューイ・ノヴァク役を務められた声優の辻谷耕史さんが今作収録期間中に、それぞれ急逝されています
謹んでご冥福をお祈りすると共に、エウレカセブンというシリーズの一端を氏らの素晴らしいお仕事で担っていただけたことに感謝の意を一ファンの身として表したいと思います

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

「世界か、愛する人か―ひとりぼっちの少女たちの、究極の選択」。

この作品は、交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション全3部作のうち、第2部に相当します。
本編では正直アネモネは決して幸せと言えるキャラでは無かったので、逆転の展開を期待しながら視聴を始めました。


まだ幼かったあの日。
父、ケン は幼いアネモネを残して戦いに赴き、そして帰ってこなかった。
ちゃんとお別れを言うことができなかったアネモネの小さな胸に深く残る後悔。

7年が経過した。アネモネは父が散った戦場――東京にいた。
人類の敵、7番目のエウレカ=エウレカセブンと戦うための組織・アシッドの一員として、
アネモネには人類の希望が託されていた。
そして、アネモネはエウレカセブンの中へとその精神を送り込む。

アネモネがエウレカセブンの中で出会ったのは、ドミニクという青年と、エウレカという青緑の髪をした少女。
この出会いは何を意味するのか。そして、見え隠れするレントンという名の少年の姿。

アシッドに囚われていた謎の男・デューイは予言する。
「お前たちが見ているエウレカセブンはエウレカセブンではない。
偽りの神が創っては破棄した無数の不要な世界。いわばゴミの山だ」

アネモネとエウレカが出会った時、全ての真実が明らかとなり、新たな世界の扉が開く――。


公式HPのSTORYを引用させて頂きました。

視聴したらきっと皆さん気付くと思います。
もう過去作の設定云々を気にしている場合じゃなくなっていることを…

本作の主人公はアネモネ…
ですが、彼女にはもう一つの顔があるんです。
彼女は、石井風花という日本で暮らす女の子なんです。

東京に住む女の子がどうやってエウレカやレントンのいる世界に行くのか…
序盤からいきなり頭の中に?マークが浮かぶことになるのですが、視聴を進めるとちゃんとその謎も明らかになります。
エウレカの世界にアネモネが行く方法…結構画期的だと思いますよ^^

それと間違えてはいけないのが、この物語で万人に周知されている「エウレカ」は、私たちの知っている名塚佳織さん演じるエウレカでは無いということ…

この世界におけるエウレカは、世界各地で増殖し続けるスカブなんです。
そしてとうとう日本に7番目のスカブがやってきました。
7番目のスカブだから「エウレカセブン」と呼称されていましたけれど…

現実世界の「エウレカ」は物理攻撃の効かない存在…
そんなエウレカを撃退するため、アネモネも所属する国連の戦略部隊アシッドは、「ある特別な方法」を駆使しながら世界中のエウレカと対峙しているんです。

アネモネ…
いつも頭痛に悩まされ、大量の鎮静剤が欠かせなかった彼女…
エウレカと何かと比較され続け、激しい憎悪を剥き出しにしていた彼女…
ようやく自分の気持ちに気付いて大粒の涙をボロボロ流す彼女…
本編のアネモネに対する私の印象はこんなところです。

本作品での彼女は大量の鎮静剤が必要なわけでも、エウレカに憎悪を燃やすこともありません。
ですが、公式HPのSTORYに記載されている通り幼いころに最愛の父を亡くしていたので、寂し気な表情を見せていたり、一人でポツンと考え事をしていることが多い感じ…
決して自ら積極的に誰かと交友を深めようとすることはありませんでした。

物語が進み、やがてアネモネは究極の選択を迫られることになります。
もう周囲を顧みず、自分の事ばかり優先することなんてできません。
だって悲しみに沈む沢山の人の顔を見てきたから…
自分たちに向けられた視線に対する意味も分からない訳じゃないから…
これだけ色々周りが見えているにも関わらず選べない選択肢…
彼女がどう決断するのか…本作品の見どころだと思います。

この辺りまで視聴するとだいぶこの作品が面白く感じられると思います。
物語の内容も第1部との繋がりが見られるようになりますので…

そして終盤…
これで大団円でも良かったのでは…?
という展開が待ち受けていましたが、それは単なる通過点でしかありませんでした。
ここまで視聴すれば、何となくですが第3部の着地点は想像できると思います。
ですが、第3部の物語にアネモネがどう絡んでくるのかは気になるところです。

上映時間95分の物語でした。
第1部だけでこのシリーズを評価しなくて正解だったと思います。
第2部で格段に面白くなりましたし、アネモネとエウレカとの絡みは泣けるポイントが満載ですし、何より前作まで視聴を続けてきた人へのサービスカットも見れましたし…

第3部の上映は2021年とのことです。
今度はどんな物語が展開されるのか楽しみにしています。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 14
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