2018年度のホラーおすすめアニメランキング 4

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2018年度のホラー成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年09月12日の時点で一番の2018年度のホラーおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

63.4 1 2018年度のホラーアニメランキング1位
伊藤潤二「コレクション」(TVアニメ動画)

2018年冬アニメ
★★★★☆ 3.1 (139)
446人が棚に入れました
『伊藤潤二傑作集』『魔の断片』を原作とする。
『伊藤潤二傑作集』は、『富江』『双一の勝手な呪い』『フランケンシュタイン』など、伊藤さんの人気作を全11巻に収録した作品集。
『魔の断片』は、「Nemuki+」に掲載された読み切り『解剖ちゃん』『黒い鳥』など、全8作品を収録。

声優・キャラクター
三ツ矢雄二、下野紘、名塚佳織、緑川光、小山茉美、末柄里恵

野菜炒め帝国950円 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

ありのまま起こったことを話すぜ ホラーアニメ見てると思ってたらいつの間にかギャグアニメを見ていた

なにを言ってるかわからねーと思うが俺にも分からねー。

世界の巨匠伊藤潤二氏のホラーコレクション集。

ホラーとは書いたが厳密に言えばホラーっぽい何かだと思う。
その何かが高度なギャグであることに気付くのに少々の時間を要するのだがそれはまた後ほど。

少なくともホラーと聞いて期待されるであろう恐怖感とかそういうのとは少しばかり縁遠い。

ただ雰囲気は妙におどろおどろしく悪く言えば気持ち悪い。
伊藤氏の絵柄は本来もっと気味が悪いと思うんだがこのアニメに関しては少しばかりそういうのが緩和されてる印象を受ける。
もっと忠実に気味悪く出来たはずである。

ともあれその抜群の気味の悪さ故にどうしてもホラー的ななにかを期待させてしまうんだがどういうわけかアニメで見ると絵柄 演技 見せ方 そのすべてが我々を恐怖より笑いに誘(いざな)ってしまうのだ。

シュールな笑いていうのかね こういうの。

怖いと思った回数より笑った回数のが間違いなく多いと思う。

そういう意味では下手な狙ったギャグアニメより笑えたぶん秀逸なギャグアニメであるとも言える。

笑わせようとする意図は無いのだと思うのだがそういうのに限って笑えてしまう。
そんな経験おそらく誰もがあることだろう。

繰り返すが雰囲気は実に素晴らしいのだ。
だからこそなんだかんだでラストが気になり見入ってしまう。

だが困ったことに物語のオチがよく分からん回もちらほら存在する。

例えばある不気味な存在がいたとしてソレがいったいなんであるのかとかいう説明が放棄されてるため不気味な話ではあったが結局なんだったんだ?て感じになってしまう回も少なくは無い。

知ってる人がどれだけいるかは知らないがホラー短編集「新耳袋」とかもそんな感じだった。
タイプ的には似たようなもんだろう。

そういう細かいとこを気にしたらダメなのかもしれないが気になるんだから仕方ない。
なんともすっきりしないこの気持ちをどうしろと言うのだろうか。

尚、オチの無い回の多い作品ではあるがたまに当たり回が紛れてるのがまた心憎い。

宝クジに当たるよりはるかに当たり回の確率は高いぶん随分良心的である。

不気味というだけでなくどこかシンミリとさせてくれるような秀逸な回も存在する。

個人的なお勧めだが「緩やかな別れ」と「案山子(かかし)」のラストは中々印象に残るものだった。

あんざんことか読んじゃうお茶目な人もいたらアレなんで念のため。

絵柄のせいなのかこれまた余り人気の無い作品のようだが回の出来自体は確かにピンキリではあるが惹き込まれるモノがあるのも確かであり間違いなく見て損はないであろう。

いや多分。

絵柄で敬遠するという行為はそれだけで人生の0.何%かは損していると言える。
絵柄が最優先されるのは薄い本だけで充分なのだと私は思う。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 19

ねるる さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

スタッフの愛がこもっている"気持ち悪さ"特化のホラー作品!

原作未読。

ホラー漫画家"伊藤潤二"の著書『伊藤潤二傑作集』『魔の断片』に含まれる作品を原作とした、オムニバス形式のアニメ。1話に2作品が含まれます。

"怖い"というよりは、"不気味""気持ち悪い"に特化したような作品でした。グロ要素も多めです。
基本完結した短編集なので、話によって面白さ、怖さに差があります。
個人的な気持ち悪さNO.1は、10話の「グリセリド」。作品の空気感が音と映像から溢れてて、生理的に本当に無理と思う話でした。
2話の「ファッションモデル」6話の「隣の窓」は普通に怖かった。

物語に出てくる女性キャラは、全体的に色気が滲み出てるように感じました。作品自体が、しっとりした雰囲気が続くのでそう感じるのかもしれません。
化け物キャラは、気持ち悪いと感じる要素詰め込まれているので、怖いです。トラウマレベルです。

人気声優たちが各話ごとにメインキャラに声を当てていて、プロが演じるホラーを感じられます。
三ツ矢雄二さん、細谷さん、梶くん、良平さん、下野さん、吉野さん、名塚佳織さんなどなど、この方々の他にも超豪華なメンツが声を当てています。折笠富美子さんの絶叫は素晴らしかったです。

音楽も絶妙に怖さを増幅させてて素晴らしかった。効果音での気持ち悪さの演出がうますぎました。

EDは、各話ごとに映像が変わるので最後まで目が離せない構成になっています。

全体的にとても手が込んでいて、スタッフキャストの作品への愛を感じました。
様々なアニメ作品がある中でも、特殊な今作品。
大声でオススメはできないですが、あと引く面白さ魅力があります。トラウマ覚悟で見てみて欲しい作品です。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 9

シャベール大佐 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

気持ち悪いけれど、かなり笑えるホラー作品

ホラー漫画を原作として、毎回2つのエピソードで構成されるオムニバス形式の作品。全12話で計24のエピソードが描かれています。
内容的には、不気味だったり、不思議だったり、あるいはかなり気持ちの悪い物語が多く描かれていますが、どの話も発想が面白かったので、最後まで飽きることなく、とても楽しめました。ただ、ホラー作品として、観ていて怖かったかというと正直微妙なところ。作品の中で起きることがあまりにも現実離れしているためか、全体的にシュールな空気が漂っており、また、毎回の話のオチも、「え?これで終わり!?」みたいな唐突さがあって、なんだか笑ってしまうことが多かったです。
個人的に特に印象に残っているエピソードは、第2話Aパート「ファッションモデル」と第10話Aパート「グリセリド」で、前者のキャラはとんでもなく強烈でしたし、後者の内容の気持ち悪さは尋常ではなかったです。
声は、毎回なかなか豪華な声優を起用していて普通に良かったです。作画は、それほどリアルな系統の絵柄ではないので、グロいものが得意ではない自分でも意外と平気でした。全体的に独特な雰囲気や味があって悪くなかったと思います。また、EDの映像は、毎週その回の内容に合わせて変えていましたが、遊び心が感じられて楽しかったです。
最後まで観終わって振り返ると、24のエピソードの中で全く面白くないという話はなかったようで、どの回も平均して楽しめました。いちおうホラーというジャンルなので、意図したものかどうかはわかりませんが、笑ってしまうような場面も非常に多くあり、シュールコメディとして、とても出来の良い作品だったように思います。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 12

66.8 2 2018年度のホラーアニメランキング2位
殺戮の天使(TVアニメ動画)

2018年夏アニメ
★★★★☆ 3.2 (343)
1450人が棚に入れました
ビルの地下の最下層で目を覚ました少女、レイチェル。 彼女は記憶を失い、自分がどうしてここにいるかさえ分からずにいた。 地上を目指し、ビルの中をさまよう彼女の前に現れたのは、顔を包帯で覆い、死神のような鎌を持った殺人鬼ザック。 「お願いがあるの…お願い、私を殺して」 「一緒にここから出る手助けをしてくれよ。そしたらお前を、殺してやるよ」 二人の奇妙な絆は、その””誓い””をキッカケに深まっていく。 果たして、ここはどこなのか。二人は何の目的で閉じこめられたのか。 彼らを待ち受ける運命とは。 密閉されたビルから脱出する二人の決死行がはじまった……!

声優・キャラクター
千菅春香、岡本信彦、櫻井孝宏、藤原夏海、伊瀬茉莉也、大塚芳忠
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.8

「走りっ…ン出したらぁ~、何か答えが・出るだろう~なんて

2話までの感想{netabare}
1話見た段階では「あ、面白そう」と思ったんだけど、2話見たら…ってかOPの段階でそれが揺らぎかける。
え、鎌男レギュラーなん?
うーん、どうなんだろ、あんまヒャッハーヒャッハー煩いと邪魔に感じそう。

それと気になるのは、これゲーム原作?脱出ゲーム?
ゲームなら「とにかく色々試してみよう」とやってみて結果的には意味の無かった行動ってあると思うんだけど、アニメでもそれ再現してたりする?
「描写されることにはすべて意味がある」ってのはそれはそれで疲れるけど、アニメって大体これ寄りだと思うので…そうでないなら早めに「そうでない」と心しておかないと余計な疲労が貯まりそう。{/netabare}

園芸ネタ{netabare}
あそうそう、手紙に添えられてる花はヒナゲシだかなんだか、とりあえずケシ。
こちとら中学ン時旧校舎の中庭に薄紫のヤベー芥子が生えてたなぁとか、ヤベーもんがヤベー勢いでヤベーだったのでその程度でいちいちピリピリできない。
新宿某デパートの屋上(遊技場+園芸コーナー)で山野草として子供達の遊技場のすぐ横でトリカブトが陳列されてたとか、そんなん普通。
花言葉?知るかよ。{/netabare}

3話感想{netabare}
うーん、うーん…。
映画“キューブ”好きなのでこれはそれ系でイケるかな?と思ったが、なんか乗り切れない。
レイチェルが危機意識持ってないからどうしても緊迫感に欠ける。
おかげで出てくるキャラも単に頭おかしいだけで怖くはない。
好きと言いつつ記憶曖昧なのもどうかと思うが、キューブの…2だっけ?{netabare}サヴァン症候群大勝利だったの。
あれは危機感持ってなかったけど、代わりにサポートする奴が危機感煽ってたワケで…う~んう~ん。{/netabare}
レイチェルの過去に迫ってゾっとする事実が明かされるとかあればいいけど、果たしてどうなんだろう。{/netabare}

8話までの感想{netabare}
アレだ、以前ちょくちょくゲームの初見プレイ実況ってのを見てた(今はアニメ追うだけで手一杯)けど、あれの見所って実況者が「〇〇(正解)にいつ気が付くかな?」とか「気が付いた時にどう反応するかな?」ってところで、正解や攻略方法を詰まることなくスイスイ解いちゃったらつまらないことこの上ない。
それは攻略動画であって初見動画ではない。
さて、で、殺戮の天使だけど、ど~にも攻略動画寄りなんだよね。
元のゲーム知らないけど失敗を引かないで常に正解を引き続けてる感じ、初見プレイって体なクセにそれやられると興覚めで。
そう思っちゃうのも「失敗(失敗でなくても最適解以外)=死」って印象が強くて…。
もうさ、死に戻り能力でも指パッチンで時間巻き戻しでもいいから死亡シーン集流した方が面白いんじゃね?とさえ思えてたり(※)。
(殺戮の天使とは方向性違うのかも知れないけど例えば“LIMBO”ってゲーム、やったことない人からしたらノーミス動画より死亡動画のが面白いぞい)

そう思ってたところ、8話にしてようやく、やっと、「死んではいないけど最適解ではなかったかも?」っていう可能性の展開が見えてきました。
今までの選択がどう影響する?って流れで、それによってはツケを払うことになったりする…のか?

ところで※部分。
なんでも放送は途中までで後半はネット配信のみだって?
ひょっとしてネット配信部分は「残酷で流せなかったバージョン」とかで死亡シーン集だったりして。
バカな選択してバカな死に方するのね。
レイチェルの首スポーンと飛んだりミンチになったり「レイチェルが殺されたー」「この人でなし」とかね、そっちのが面白いんじゃないかなー?{/netabare}

12話(放送最終回)までの感想{netabare}
(タイトルの続き)オレもアテにはしてないさー、してないさ~」
って“男達のメロディー”ネタはこの前カリギュラでやったばかりじゃーん、ヤバイヤバイ引き出しないのがバレてまう。
んでこの作品、てっきり天使=レイチェルだと思ってたら、“あの施設”の住人「俺たちは天使だ」だってさ。
そしてザックは「(レイチェルに)出~会~わなければ殺戮の天~使でいられたあ↑」だってさ。
そ、そうッスか…。
12話で「実はレイチェルは両親を殺してたのでした!どう、ビックリした?」みたいなことされて「えっ今更!?」って感じで一周回って驚いた。
そう思わせといて実は…って展開なのかも知れないが、続きは有料WEBでってことで放送はここでおしまい。
…。
な、なんだこれ?
ひとまずキリのいいところまでやってWEB部分はボーナストラックみたいなのを期待(見るかどうかは別)してたんだけど、そうじゃなかったっぽい。
果たしてそこまでして続きが見たいかというとそんなでもなく…。
「あのね商法」というか…最近だとイリヤやインフィニティフォースが「続きは劇場で」ってのをやってたけど、これって効果あるのかね?
う~ん、う~ん…新たなビジネスモデルの模索として評価すべきなのだろうか…。{/netabare}

総評{netabare}
タイトルに使った“男達のメロディー”の歌詞の一番有名なフレーズ「運が悪けりゃ死ぬだけさ」だけど、この作品にはそれが一切ない。
もうちょい噛み砕いて言うと、「主人公が最後に勝つ」「主人公が最後に生き残る」なんてのは物語である以上分かりきってることで。
見所はそんな結果に至るまでの「判断誤ってたら負けてた」「運が悪かったら死んでた」等の綱渡り演出でありハラハラドキドキ部分だと思うのだけど…“殺戮の天使”にはそれが無い。
そりゃあね、レイチェル自身が死にたがってるしザックは不死身だし。
各階層の住人もなんかゴチャゴチャうるさいばっかりで全然“怖い”って感じがしない、“シュガーライフ”のキャラのほうがよっぽどコワイ。
生命の危機的にも異常者の深淵的にも。
各フロアの番人の“拘り”も知ったこっちゃない、どれも共感できなかったし各人のルールもアホ臭い。
一番唖然としたのはキャシーが希望通りの死に方をしなかったら「ちょっと待て、それウチのシマじゃノーカンだから」とばかりに防弾ガラスのガードを解いて刑場へ乱入して返り討ちって展開。
ギャグだったのかなぁ?

しかし…こんなツマラナイ内容なのはワザとだったのかも?と考えてしまったり、これは好意的解釈になるんだろうか。
ツマラナイって言うと失礼か、一般受けしない内容ってことね。
あんまり一般受けする内容にしちゃうと「続きは有料WEBで」ってのは悪い方向に騒ぎになりそうだし、ワザと間口を狭めてコアな人を狙い撃ちするつもりだった?
どれだけいる知らんけど…ってかだったらワザワザ放送するなよ、と思わなくもないが。{/netabare}

投稿 : 2024/09/07
♥ : 9
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

積み重ねが活きたラスト4話……なのに配信限定(泣)…と思っていたらAT-Xにて年末に放送するそうですよ!

2018年夏アニメ。TV放送で12話+WEBアニメ4話、全16話。
ラストの4話はニコニコで有料視聴しましたが、なかなかお気に入りの作品となりました。

【12話まで視聴して】
もう少しテンポよく進めてくれれば12話に収まったのでは…とは言わない方が良いかな?w
正直この先が見たくて仕方ない。制作側の狙い通りに釣り餌に掛かったなあって自分でも思いますけどw
ゲームではどうなのかわからないですが、脱出ゲームの部分よりもレイとザックの関係性、人の心を抉る独特のホラー展開が見所ではないでしょうか。絵的にはこのくらいの怖さがいいけれど、展開はもっと怖くても良かったかもしれない。ラストにはそれを期待したいです。


配役は安定感がありました。個人的には千菅さんと藤原さんが特にお見事でした。
レイ役の千菅春香さんは感情を出さない演技に最初違和感があったものの、12話まで見ると絶妙な塩梅だったなあと。
エディ役の藤原夏海さんの演技、じわじわ怖い。最近よく見かけるけど少年役本当に上手ですね。
ザック役の岡本信彦さん、各階のキャラクターの声優さんも安定した演技で良かったです。

{netabare}
脱出ゲームはほとんどオマケみたいなもので、見所はレイチェルとアイザックの関係性の変化と、過去の罪を抉り出す独特のホラー(?)展開。序盤は物語があって無いようなものなので、そこで断念してしまった人がいたとしたら構成が少し残念な気もします。ラスト4話が配信限定というのがさらに残念だけど…。
レイとザックが半ば依存とも感じられる独特の信頼関係を築いていく過程はなかなか好みでした。
脱出ゲームだけで進むかと思ったらそうじゃなくて、特にレイチェルの罪と過去を暴いていく物語だった…。先が気になってしまいます。
全体の物語は最後まで見ないと何とも言えませんが、できれば最後までちゃんと見たいなあ。 {/netabare}(2018.9.27)



【最終話まで視聴して】
思った以上に良い作品でした。
序盤の脱出ゲームの印象とは打って変わり、終盤は純粋に人間ドラマの様相になっていきました。閉鎖空間からの脱出そのものにも意味があったとも感じられて良かったです。
テンポが良くないのはちょっと残念かな。

何年後かで良いから是非TVで最後まで放送し直して欲しいかも。ラスト4話が配信限定なのがむしろ視聴者を逃してしまってる気がしてあまり良いやり方とは思えません(同じくラストが配信限定のハイスコアガールは私は断念しましたし…)。早いうちから公式サイトでは告知されていましたし、アマプラだけでなくニコニコ動画やバンダイチャンネルでも有料なら視聴は出来ますが。

{netabare}
自分の罪を知り神に(あるいは誰かに)赦されたいと願うレイチェルに狂った者たちが魅了され、最終的にはレイとザックが人間としての自分自身を受け入れていく物語。
身勝手なレイと殺人の衝動を抑えられないザックが、共依存から純粋に互いを必要とする関係になっていく過程がかなり丁寧に描かれています。レイに「笑顔」と「死んだ瞳」という正反対のものを求めるザックとダニーの対比も良く出来ていました。
地下深いビルの中に居た者たち全員が、狂っていてもあくまでも「人間」であると語られたこともとても良かったです。

この物語では、聖書や神の存在を語りながらも「原罪により人が生まれながらに罪を背負う」のとは違い、閉鎖空間での出来事が「自身の犯した罪と向き合う」というのが印象的でした。
最後まで見ると、何度生まれ変わっても罪から脱することが出来ない「六道輪廻」思想の方がイメージが合致するかも。

ラスト2話は積み重ねが特に活きて良かったです。
レイが願ったことは「誰かに望まれて生き、誰かに望まれて死ぬこと」。それはレイ自身が誰かを心から受け入れて大切に想わなければ叶わないことで、それを感じ取ってザックもまた変わっていたのですね。
レイとザックが地下深いビルの中から俗世間に出ることに「生まれ直す・生まれ変わる」イメージを感じられたのは興味深かったです。最後の長い廊下が何だか産道のようだったなあと。


そういえば夏アニメでは「ハッピーシュガーライフ」に共通要素が多かったですね。
親の影響で狂った子どもたちが自身の存在意義を問う物語であり、それを他人への歪んだ執着や情の描写で表現したのも似ています。主人公カップル(で良いの?w)がどちらも最終的には排他的で献身的な関係、かつ反社会的な存在として終わったのも共通かな。
どちらも面白かったです。{/netabare}
(2018.11.19)


2018年年末にAT‐Xにて二日間に渡り全話放送だそうです。めでたい!
しかし私はBS民だ!めでたいがめでたくない!(2018.12.24)

投稿 : 2024/09/07
♥ : 23

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

お願い、私を殺して…

この作品の原作ゲームは未プレイですが、結構人気のあるゲームだったようですね。
YOUTUBEなどでも実況プレイ動画が配信されているようですから…

この物語の主人公はレイチェル・ガードナーという13歳の少女です。
彼女はビルの地下の最下層で目を覚ますのですが、記憶を失っており自分がここにいる理由が分かりません。
出口を探してビル内を彷徨っていると、突如彼女の目の前に死神の様な鎌を持った男が現れました。
彼はザックという全身を包帯で覆った殺人鬼…彼もまた出口を探していたのです。

幼いが頭が回るレイチェルと、体力と腕力に自信があるザック…
ここで二人は妙な取引をするんです。
「お願いがあるの…お願い、私を殺して」
「一緒にここから出る手助けをしてくれよ。そしたらお前を殺してやるよ」
こうしてビルから脱出する二人の決死行が始まり物語が動いていきます。

正直序盤の展開は微妙でした。
二人に襲い掛かるのは理不尽なまでの執拗な嫌がらせ…
ビルから脱出したい二人と、ビルに閉じ込めておきたい相手とお互いの目的は真逆なので、衝突は避けられないのは分かるつもりです。

でも、レイチェルとザックの言動には矛盾が見え隠れするんです。
二人で様々な罠をかいくぐりながらレイチェルが口にするのは「私を殺して」ばかり…
でもザックは嘘を絶対につかない男…
手を変え品を変え襲い掛かる攻撃から結果的にレイチェルを守り身体中満身創痍なんです。
ザックはレイチェルとの約束を違えぬよう、全力全開で立ち向かうんです。

約束も大事…嘘をつかないのも大事…
だけど、生きる希望を見失った少女を、自分を厭わず己の身を挺してまで守る理由って…?
と考えると、ザックが不憫に思えて仕方ありませんでした。
ザックの憎まれ口が災いして不憫さは影を潜めていましたけれど…

だからこのままの展開で物語が進んでいたら、この作品の評価は低かったと思います。
このままで進んでいたら…ですけど。

ですが中盤以降、物語の雰囲気が少しずつ変わっていくんです。
レイチェルとザックの言動は相変わらず…
それなのに作品に対する心象だけが変わっていくんです。

死線を潜り抜けた数のせい…?
レイチェルに対するザックの呼び方が変わったせい…?

そんな事を考えながら視聴していましたが、物語の終盤にザックが言った一言で全て腑に落ちました。
「おまえ、人らしくなったな」
レイチェルのどの様な過程を見てザックがこの台詞を言ったのか…
ネタバレになるので記載はできませんが、この台詞が聞ける頃の二人を見ていれば一目瞭然です。

でも…それだけじゃないんです…
ザックはレイチェルを変わったと言いましたが、変わったのはレイチェルだけじゃないんですよね…
運命…という言葉で片づけるのはあまりにも過酷な試練でした。
ザックは殺人鬼…ビルから出たら自分に何が待ち受けているのか…凡そ察しは付くと思います。
それでも、レイチェルとの約束を最優先に行動しました。

過酷な試練の果て…二人を待ち受けるのは一体何なのか?
終盤に向け評価が上がった作品だったと思います。
ラストの纏め方もこの作品らしさがあったのではないでしょうか。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、遠藤正明さんの「Vital」
エンディングテーマは、レイチェルの「Pray」
個人的にはエンディングに軍配です。

1.5クール全16話の物語でした。
テレビでは12話分が放送され、残りの4話はAmazonの「primevideo」で配信されました。
あくまでも個人的見解ですが、このケースは今後増えそうな気がします。
テレビ放送は最初から枠が決まっていますが、放送中に天災や事故などのアクシデントが起こる可能性は否定できません。
実際に夏アニメでも放送できない事態の起こった作品がありました。
あまり無いのかもしれませんが、作っているうちに尺が伸びてしまう作品もゼロではないかもしれません。
残りの物語をネットで配信する…そういう救済策があっても良いのでは、と個人的には思います。
本作がテレビとネット配信に分かれた理由は分かりませんけれど…
結果的にしっかり堪能させて貰った作品になりました。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 23

57.5 3 2018年度のホラーアニメランキング3位
アラーニェの虫籠(アニメ映画)

2018年8月18日
★★★☆☆ 2.9 (25)
106人が棚に入れました
郊外の工場跡地に建つ巨大集合住宅。最近では、女子高生の変死体が発見され、不可解な心霊現象が目撃されるなど、いわくつきの噂が絶えない場所だった。ここに引っ越してきた18歳の女子大生りんは、ふとしたきっかけで怪異に見舞われる。死の呪いの恐怖におびえる彼女は、やがてこの建物の謎を探る民俗学者の時世や、呪術師の斉恩らとの出会いを通して、自らも怪異の正体に迫っていく。
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

面白いが普通のサイコホラーかな?エンタメが不足かな。

 アマプラでリファイン版というのを見ました。内容の違いがあるかわかりません。本作も旧版も73分で時間は一緒でした。

 まずこの作品は「好きな子がめがねをわすれた」と関係ないのでしょうか?ヒロインもCGの雰囲気もそっくりです。が、本作は坂本サク氏という方が1人の人間が作ったとあります。関係があるのかないのか。

 先にちょっと気を付けて欲しいのはせっかくいい雰囲気で始まったのに花澤香菜さんの名前が黒地に白く大きくクレジットされます。ここでせっかくの没入感が現実に引き戻されてしまいます。

 細かい点ですが、洗面所でガラスのコップで薬を飲むのって米映画の影響ですよね?薬のビンも日本では見かけないタイプですし。このホラー的演出は陳腐かな、と思います。

 冒頭でこの2発が来たのでちょっと首をかしげたくなりますが、最後まで見て面白くなくはないです。ただ頭では面白いんですけど、若干映像や演出がありきたりで刺激が足りず飽きる場面はありました。

 で、本作ですがちょっとネタバレを含む感想です。というのは解釈しないと作品の中身の感想が言えないからです。ただ、その解釈を楽しむ作品なので見る気がある人はお気を付けください。

 ネタバレ考察 1回目視聴時

{netabare} この作品の大きな構造を解釈すると黒髪のJKの方のナスハが、同じマンションのリンちゃんを事件で殺してしまった。その結果2重人格になったということでしょうか。もしくはリンのイメージの格好をしているだけかもしれません。少なくとも虫が肌の上や皮下を這う妄想は統合失調症なのでしょう。

 というのは、ナスハじゃないと分からないはずの母親とのフラッシュバックがあるからです。首の傷も伏線なんでしょう。新築のマンションに越してきたナスハの母子が母が何かのきっかけでナスハを虐待するようになった。それでリンがうらやましくなったということでしょう。

 首が傾くは、自分の首の怪我の関係でどうしても傾けてしまうのか。心理的なものか。蛾というのは成長したい生まれ変わりたいという象徴の気もします。

 で、蛾と病気ですが、歴史上の記事・記録、民俗学者、マンションに本当に起きた事件なのかという点においてあいまいです。ただ、マンションの荒廃した様子からいって何かがあったのだとは思います。リンあるいは母が死んだ等の事故物件としてなのかどうかもわかりません。

 最後のシーンで生命反応的なものが全部ゼロになっています。これがナスハの心が死んでリンとして人格が統合されたという意味なのか、本当に死んでしまったのかが読み取れませんが、飾ってある花から言って実際に死んだのではないかと思います。

 ではなぜ死んだかというと、民族学者的な男が実は連続殺人犯で殺されたととるのがいいのでしょうか?ナスハが昔の事件の記事に触発されて殺人犯を犯していた。で、車にはねられただとちょっと読み過ぎかなという気もします。素直にとれば母親に刺されたということかもしれません。 {/netabare}

 という感じで短いシーンや細かな表現でヒントがあるのでは?と思わなくはないのですが、エンタメとしての面白みが若干足りないのでもう1回見て考察するのをどうしようかな、という気がします。
 昔の実験の表現が無ければもっとわかりやすかったんでしょうけど、1人の人が全部作ったということで多分その辺は計算しているんだとは思います。

 評価は映像は結構良かったです。声優さんはさすがの花澤香菜さんですが聞きなれた声なのでこういう映画に向いているかどうかはあります。音楽はまあ普通。ストーリーは考察は面白いですが、謎は普通のサイコホラー…に今のところ見えます。エンタメ度は不足です。なのでうーん、キャラ含めて3点…まあ3.5点でもいいかな、という感じでした。


 

投稿 : 2024/09/07
♥ : 8

Fanatic さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

原作・脚本・作画・音楽……監督が一人で手がけた劇場アニメ

アラーニエとは、女性と蜘蛛が混合した怪物のことで、アラクネの語源です。

何の予備知識もなく、タイトルが気になってなんとなく観始めたたら、クレジットでいきなり花澤香菜さんの文字が。
説明不要かとは思いますが、PSYCHO-PASSの常守朱や、ニセコイの小野寺小咲など、数多くの作品に出演していらっしゃる人気声優さんです。

タイトルから単なるB級ホラーかと思っていたのに、そんな一流どころを使うほどの大作だったの?とびっくりしましたが……。
内容は、B級ホラーでした。

後から調べて分かったことですが、この作品、監督の坂本サクさんが監督・原作・脚本・アニメーション・音楽を一人で手掛けられた劇場アニメだそうです。
劇場アニメにも関わらず、画面全体から滲み出ていたチープさはそのせいだったのか……と納得でしたが、一人でこれだけのアニメって作れるものなのかと、逆にびっくりもしました。

作画は3Dキャラと実写を組み合わせたような感じで、アニメ映画というよりは3Dホラーゲームのような印象を受けました。
キャラの表情が乏しいとか、手ブレ演出がくどいとか……前述した通り滲み出るチープ感は隠し切れませんが、お一人で制作されたことを思えば、逆に恐ろしいクオリティの高さです。

内容は、主人公のりんが不気味なマンションで怪異に襲われるお話。
舞台装置や全体の色調、雰囲気は、なんとなく「サイレントヒル」を思い起こさせます。

ストーリーは、正直、ほとんど分かりませんでした。
途中、斉恩(呪術師)のセリフの中に、設定的なものを端的に説明していた箇所がありましたので、そのまま書き起こしてみます。

「心霊蟲のいなくなった肉体が魄(はく)、
死ねない体となった肉体が死を求めて人を狩る。
最初は人の死の予兆が見えるようになる。
やがて首が傾き始め、体中の心霊蟲を追い出し、
意思を持たない死魄兵となる。
死魄兵は人工的に生み出された人形だ。
どこかに元凶となる人間がいる」

……だ、そうです。
って、それだけじゃ何のことやら分からないと思いますが、まあ、そんな感じの話です(笑)

中盤以降は、リアルとノンリアルの狭間で、暗示的・抽象的なカットを繋ぎ合わせたようなシーンが続きます。
難解な構成なので、一度観ただけでは正確な解に辿り着けそうにはありません。

説明臭くなる表現は意識的に削ぎ落とされているようですし、監督も「解釈は自由」と仰ってるので、観客それぞれが好き勝手に想像しながら観ることを前提に作られているのでしょう。

花澤さんの演技は良かったですが、ホラーとしての怖さは、まあまあかな?
物語として「おすすめ」とは言えませんが、一人でどこまで作れるのか……という興味だけでも、一見の価あるかもしれません。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 1

たナか さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

花澤香菜×Jホラー

個人制作ホラー映画アニメという尖った作品。
高密度高層住宅団地で繰り広げられるシチュエーション・スリラー。

キャラの魅力ガーwwww

ざーさんがナイス。アニメ声すぎて現代劇には向いてないがホラーだとリアリティのなさがかえって効いてる。ホラー映画のビビり演技のウザさが減るうえ、絶叫をやりすぎなくてもきちんと差分が生まれる。音響も悪くない。

キャラの作画は妥協なのか意図的なのか不明だがこれはこれで独特の雰囲気。画面は全体的に呪怨やリングなどのJホラーやホラーゲームのムービーみたいな絵作りで、アニメなのにもかかわらずホラー映画独特の不気味さを醸し出すことには成功していると思う。それなら実写でいいじゃんとなりそうだが、ホラーをアニメならではの表現に挑戦することに意義があるのでしょう。実写でこれやったらすげえ怖いというか虫モノをフォトリアルなCGでやったらあまりにもキモすぎる。

キャラ萌えは置いとくとして「わかる」ことが重要視される媒体のアニメでこれをやる勇気。というかこれ個人でなければできないわな。監督のネームバリューがない限りスポンサーが絶対つかないやつ。でも人間は「わからないもの」を怖がるのできちんとホラーの文脈で作劇するならその場で全部説明はできない。という意味でホラーとアニメはすこぶる相性が悪い。

そのうえ虚構と現実が入り混じり現在と過去が交差するという欧米実写映画さながらの複雑なプロット。あえて全部説明しないモヤモヤ系。男どもは丁寧にヒントをくれますが、いかにも重要キャラのようにこれみよがしに登場するくせにあっさり死ぬので毎回消化不良。流石に全員これだとオマエモカーという可笑しみさえあるが、そもそもりん以外は…。

ムシのキモさを押し出したキモグロスプラッタにはしたくなかったのでしょうが、バイオハザードみたいな要素が浮いてるのは残念。軍隊の生物兵器とかは擦られだが鉄板なので悪くはない。しかしアスリート並みのパワー・スピード・スタミナを兼ね備えているりんは昔運動部で身体能力抜群!みたいな方便くらいは欲しかったかな。

ちょっと欲張りすぎたかなあという印象。実写モヤモヤホラーの傑作「CUBE」や「プラットフォーム」のように一発ネタのシンプルなギミックで興味を引く作りならまだ見やすくなったとは思う。「結局あれはなんやねん」ってオチなのは変わらないけど。

巨大高層マンションの不気味さは出来てたし絵作りのセンスは感じられる。今のお絵描きAIの技術でやったらもっといいものができると思うのでまた挑戦して欲しい。

悪食的な怖いもの見たさ、もしくはざーさんファン以外は観なくていいかも。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 0

59.5 4 2018年度のホラーアニメランキング4位
闇芝居(第6期)(TVアニメ動画)

2018年夏アニメ
★★★☆☆ 3.0 (26)
104人が棚に入れました
2013年に第1期が放送された「闇芝居」は、身の回りの怪奇な都市伝説をテーマに、現代では珍しくなった紙芝居をデジタル表現で見せるホラーショートアニメ。第6期となる新シリーズでは、 身近な自然現象を題材にした、新たなストーリーが展開される。

声優・キャラクター
津田寛治、村井良大、平野良、石川由依、春名風花、須賀貴匡、野村修一、山崎直樹、竹井洋介、高山猛久、福田芽衣、田上真里奈、山口綾子、岸野聡子、沢井正棋、天乃舞衣子、今川碧海、とみたけ、佐々木舞香、野口衣織、鈴木聖奈、平野貴大、今城文恵、長谷川里桃、Sara、高島優毅

ninin さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

闇は深くなるばかり

全13話 1話5分枠のショートアニメ

闇芝居の6期です。都市伝説を主題にしている作品、1話ずつお話が違うので、この期から観ても大丈夫です。

5期と同じく一人方が全話ナレーションしていましたね。

1期から観ていると、展開に慣れてしまいましたw

ちょっとやそっとのことでは驚かなくなりましたねw

箸休めにどうぞ~

投稿 : 2024/09/07
♥ : 8

daruma さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

タイトルなし

感動系の話が多かったシーズンでした。

少しだけ初期のようなホラーも増えてきていてよかったです。

もう少し昔の「世にも奇妙な物語」みたいになればハマりそうな気がします。

「山曳呼」のラストはぞくっときました。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 1
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