ペンギンでファンタジーなアニメ映画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがアニメ映画のペンギンでファンタジーな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月23日の時点で一番のペンギンでファンタジーなアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

75.8 1 ペンギンでファンタジーなアニメランキング1位
ペンギン・ハイウェイ(アニメ映画)

2018年8月17日
★★★★☆ 3.8 (266)
1227人が棚に入れました
小学四年生の少年アオヤマ君は、一日一日、世界について学び、学んだことをノートに記録する。利口な上、毎日努力を怠らず勉強するので、大人になったときにどれほど偉くなっているか、見当もつかない。そんなアオヤマ君は、通っている歯科医院の“お姉さん”と仲がよく、“お姉さん”はオトナびた賢いアオヤマ君を、ちょっと生意気なところも含めかわいがっていた。ある日、アオヤマ君の住む郊外の街にペンギンが出現する。海のない住宅地に突如現れ、そして消えたペンギンたちは、いったいどこから来てどこへ行ったのか…。アオヤマ君はペンギンの謎を解くべく研究をはじめるのだった。そしてアオヤマ君は、“お姉さん”が投げたコーラの缶が、ペンギンに変身するのを目撃する。ポカンとするアオヤマ君に、笑顔のお姉さんが言った。「この謎を解いてごらん。どうだ、君にはできるか?」“お姉さん”とペンギンの関係とは? そしてこの謎は解けるのか?少し不思議で、一生忘れない、あの夏の物語。

声優・キャラクター
北香那、蒼井優、釘宮理恵、潘めぐみ、福井美樹、能登麻美子、久野美咲、西島秀俊、竹中直人

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

史上最高のおねショタSF映画!もりみー原作が苦手な人にこそ観てもらいたい!

『四畳半神話体系』『夜は短し歩けよ乙女』『有頂天家族』のもりみー(森見登美彦)の新境地を『陽なたのアオシグレ』『台風のノルダ』の石田祐康と新井陽二郎のタッグが描いたジュブナイルSF


とある郊外の町が舞台
10歳にして勉強や研究に熱心な好奇心旺盛で達観した思考を持つ少年、アオヤマ
ある日、海も無い町中に唐突に大量のペンギンが出現したのを目撃する
アオヤマ少年と友人はすぐさまにペンギンの出自を探す探検に出るが謎は深まるばかり
その後アオヤマ少年はその達観視した口調が災いし、クラスメートのガキ大将と衝突してしまう
そのピンチを彼が淡い恋心を抱く近所の歯科衛生士の“お姉さん”に救ってもらう
アオヤマ少年がペンギンの謎を追っていることを知ると“お姉さん”はジュースの缶を宙に放り投げた
すると彼女が投げたジュース缶が突然ペンギンにメタモルフォーゼした
「この謎を解いてごらん、君には出来るか?」
かくしてアオヤマ少年は“お姉さん”とペンギンの関連を探り出そうとするのが…


まず一連のもりみー原作の多聞に漏れず、達観視した上から目線な主人公による一人称が主軸となっているのですが、早合点するなかれ
もりみー原作でありながらも畳み掛けるような喋り口調でまくし立てる作品ではないのです
主人公が落ち着いた少年であるという点や、アオヤマ少年を演じた北香那の感情を殺した芝居、そして全体的に間を大切にしたテンポ感を含めて、どちらかというととてもゆったりとした時間が流れる作品になっています
かつ暑苦しい青春モノでなく、もっと爽やかなジュブナイル作品というのも手伝っていますから「もりみー原作はちょっと…」という方にこそチェックしていただきたいところです


この辺りの演出、石田祐康率いるスタジオコロリドの若いスタッフが中心となったことも大きいと思います
少年の、自覚なき恋心を大切に描いていますし、その一方で少年が“お姉さん”に興味を抱くキッカケが“お姉さん”の豊満な「おっぱい」というのがエッチでコミカルでとっつき易いです
また、過去作の様にスタジオコロリド内製が強いのかと思いきや、流石に初の長篇ということもあって亀井幹太監督が演出処理を買って出る、佐藤順一監督がクリエイティブアドバイザーとして参加する、等これまでのコロリド作品とは規模の違いを感じます
一言で言うなれば、これまでのもりみー原作アニメが若者向けな文学作品だったのに対し、今作は老若男女広く、もっと言えばファミリー路線にも喰い込める、本当の意味でのエンターティメントに振った作品に仕上がっていると言えましょう
今日までコロリドを見捨てなかったフジテレビにはよくやった!と言いたい


ところでもりみー原作といえば【いまいち何を考えているのかわからないヒロイン】の存在でありますが、今作の“お姉さん”もまたもりみーヒロインであることに変わりありません
彼女のイヤラシさの無い奥ゆかしさを、蒼井優が見事に演じきっていてコレにも拍手です
キャスティングは完璧で、いわゆる大人の事情なども感じさせません
それは主題歌に起用された宇多田ヒカルの「Good Night」も同じで、まさにこの映画の為にある一曲と言える楽曲です
エンドロールで程よい余韻に浸れることを保証いたします


また、途中で『台風』が来たり、『坂のある町を駆ける』のは思わずコロリド作品ファンには笑みがこぼれてしまうところでしょうw
コロリドにとっては今作が初の長篇にして、1つの記念碑となった、のではないしょうか?
まあ細かいことは置いとくとしても、とかく【おねショタ】っていうジャンルは本当に尊いと思ったのがオイラの本音ですよw

投稿 : 2024/11/16
♥ : 18
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

私たちはどこから来て、どこへ行くのか

スタジオコロリド制作。

石田祐康監督、待望の初長編作品。
ひと夏の不思議な体験を鮮やかに描く、
心弾む思春期ファンタジーの良品であろう。

主人公アオヤマ君は研究熱心で、
世界の不思議に興味津々、
日々学んでは、知の探究に励む。
少年特有の好奇心と冒険心も旺盛で、
気になるお姉さんのおっぱいにも、
多大な関心を持つどこにでもいる少年だ。
{netabare}突然、広場の空き地に現れたペンギンたち。
忘れる事の出来ない、ひと夏が始まる。{/netabare}

少年の視点で描かれる数多くの演出、
世界や異性に対する戸惑いと妄想こそ、
どこにでもある思春期の原風景なのだ。
ペンギンハイウェイとは何であろうか!?
{netabare}それは人が歩む、進化への道であり、
思春期から大人になるための道標だ。{/netabare}

ここでは2つの世界が衝突している。
{netabare}折りたたまれ亀裂が生じた世界の果てと、
成長の儀礼として、少年が歩む内的世界だ。{/netabare}
どこか村上春樹「海辺のカフカ」を想像する。

移ろいゆく記憶を、夏という季節に見出す。
それは美しい等式、解けない夏の方程式、
どれだけの冒険をして大人になるのだろう。

私たちは幾つになっても、道の途中なのだ。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 63
ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

表はペンギン、裏はエヴァンゲリオン

世界観:9
ストーリー:8
リアリティ:6
キャラクター:7
情感:6
合計:36

小学四年生のアオヤマ君は、一日一日、世界について学び、学んだことをノートに記録している男の子。利口な上、毎日努力を怠らず勉強するので、「きっと将来は偉い人間になるだろう」と自分でも思っている。そんなアオヤマ君にとって、何より興味深いのは、通っている歯科医院の“お姉さん”。気さくで胸が大きくて、自由奔放でどこかミステリアス。アオヤマ君は、日々、お姉さんをめぐる研究も真面目に続けていた。
夏休みを翌月に控えたある日、アオヤマ君の住む郊外の街にペンギンが出現する。街の人たちが騒然とする中、海のない住宅地に突如現れ、そして消えたペンギンたちはいったいどこから来てどこへ行ったのか……。ペンギンへの謎を解くべく【ペンギン・ハイウェイ】の研究をはじめたアオヤマ君は、お姉さんがふいに投げたコーラの缶がペンギンに変身するのを目撃する。ポカンとするアオヤマ君に、笑顔のお姉さんが言った。
「この謎を解いてごらん。どうだ、君にはできるか?」

(公式ページより抜粋)

視聴経緯については、先日見た「若おかみは小学生」同様、2018年に公開されたアニメ映画で、さよ朝やリズ青と共に名前があげられることが多かったから。

若おかみ~があまり響かなかったので、4作品中トップにあげられることの少ない本作は正直あまり期待していなかったのですが、意外にも高得点でした。

冒頭のあらすじを読むとこじんまりとした作品のようですが、スケールが大きく、SF、セカイ系と言ってよいでしょう。それでいて、個人の思春期の問題がテーマにされており、私はエヴァンゲリオンを連想しながら見てしまいました。

{netabare}本作はいくつかのもの(お姉さん、海と呼ぶ球体、ペンギン等)が象徴的に描かれていて、それを何と捉えるかで様々な受け取り方になると思いますが、全体のテーマは私にとっては「異性への憧憬」や「アニマの昇華・離別」(それによって少年は成長するのだ!)であると捉えました。(ペンギン・ハイウェイが象徴する道も、少年が通る成長の道ではないか)

個人的に、自作長編小説におけるテーマのひとつであり、お姉さん的なキャラを登場させたことがあるので、最早そういうテーマでしか見られなかったのですが(苦笑)
注.私の言う「アニマ」とは、ユングのものとはズレていると思いますが、精神的な異性に対する憧憬の原点(簡単に言えば理想の女性)みたいなもので、例えば、初恋の相手が2次元(アニメキャラ)みたいな形で接触する人も多いのではないかと思われます。

ですので、万人受けはしないと思いますし、特に女性は共感できるのか不明。女性にも異性への憧憬はあるでしょうが、本作のモチーフがそれに符合するのか全くわかりません。

そのようなごく個人的な体験により、お姉さんが偶像でないかという疑問は、最初の喫茶店のシーンから出てきて、コーラがペンギンに変わったところで確信に変わりましたね。

普遍的なテーマに寄って考えると、幼少期は想像(内的)世界と現実(外的)世界が共存しているけれど、どこかで想像世界に踏ん切りをつけて現実世界のみを見るようになるということでしょうか。

小説を書くことでお姉さん的存在と問答し、離別した私としては、アオヤマ君がお姉さんに再会できるのは内的世界に向き合うかもしれない老後、究極的には死んだ時だと思ってしまいますが、そうやって大人になった自分にとって、彼には昔の自分を重ねてしまい、背中を押してあげたくなりました。{/netabare}

青春の原風景を見に行けた感じでしょうか。主人公の性格や豊かなお姉さんの憧れが真っ直ぐで、爽やかな満足感を得られました。

客観的にも、テーマが深くて濃いものである割に、テーマに対応するぎりぎりの低学年を主人公にし、愛くるしいペンギンを登場させることで巧みにカモフラージュされているので不快感はあまりなく、終盤はジェットコースターのようなアニメーションも堪能でき、楽しめる作品と思います。

(2020.6視聴)
(参考評価推移:4.3)

投稿 : 2024/11/16
♥ : 27

71.4 2 ペンギンでファンタジーなアニメランキング2位
映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ(アニメ映画)

2019年11月8日
★★★★☆ 3.7 (61)
234人が棚に入れました
ある日の午後、お気に入りの喫茶店「喫茶すみっコ」へとやってきたすみっコたち。おなかをすかせて注文した料理を待っていると、突然、地下室から物音が。 「地下室のすみっこに誰かいる・・・?」 みんなで中に入って行くと、そこには一冊のとびだす絵本。ひどくボロボロで、ページの大事なところがなくなっている。桃太郎のお話のページには背景があるだけで、おじいさんもおばあさんもいない。すると突然、大きな影が現れて、えびふらいのしっぽが絵本にすいこまれてしまう! すみっコたちがおっこちた物語の世界にいたのは・・・新しいすみっコ?

声優・キャラクター
ナレーション:井ノ原快彦
ナレーション:本上まなみ
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

自分らしさの檻の中でもがいてるなら♪……おいでよ すみっコへ

「すみっコぐらし」というキャラクターコンテンツについては、
私は名前を知っている程度。

ただ、サンエックスが生み出す不可思議生物?については、
昔ちょっとハマっていた「たれぱんだ」等、
何だか大人の心にも引っ掛かる物を感じていて……。

本劇場版でサンエックスの最新成果&集大成の一端を確認したい。
という気持ちはありましたが、映画館までわざわざ足を運ぶ程では……
と部屋の片隅で躊躇していたわけですがw

本作の反響ホント凄いですね(驚)
せいぜい傍流で細々と語られる程度の映画かと高をくくっていたら、
いつの間にか、この秋冬のアニメ映画では、
『アナ雪2』に次ぐ位の勢いで、エンタメニュースのド真ん中で持て囃されている。

押し出されるように私もいつの間にか、お子様連れのママさんに混じって、
映画館のド真ん中に座っていましたよw


滑り出しの感触は簡素なキャラクターアニメ。
隅っこで落ち着いている、各種“すみっコ”にも声はなく、
セリフは、無言のキャラたち仕草等を補完する
井ノ原快彦さん&本上まなみさんのナレーションのみで、淡々と場面が進んで行きます。

序盤は部屋の隅に落ち着くまでの来歴等
“すみっコ”の生態紹介にゆる~く費やされ、
これは初心者にも優しい間口の広いお子様向け映画かな?

……と油断してたら、“すみっコ”たちが、
おとぎの国々の各登場人物に落とし込まれる“本番”以降、俄に高度化。

この“すみっコ”……そのキャラで、あんな役とか務まらないだろうw
というツッコミ待ち等、ハイレベルなキャラ芸も次々と繰り出されるので、
最初の方でしっかりとキャラを把握しておくことをオススメします。

いつの間にか、作画も音響も簡素な中に力強さがあることも分かり、
これは単純にアニメ映画としても侮れない出来と、
“すみっコ”ワールドに没入させられて行きます。


「号泣した!」、“すみっコ”好きの男性のための限定上映会開催!
との評やニュースも耳にしていた本作。

皆、各々、社会の役割を演じる中で、俺はちゃんとこなせていない、
こんな端役は俺の役割じゃない、自分らしさを見失ったなどと、
精神を磨り減らしている。

いや……もはや、自分らしくなければ幸せじゃない!
と自分を探すよう脅迫する言説にすらゲンナリしてしまっている。

本当の自分だろうが、偽物だろうが、
今、自分がここで落ち着けるなら、それで良いじゃない?

こんな感じで、“すみっコ”たちに世の大人たちの涙腺は
突き崩されて行くのでしょうか?


私は号泣!までは行かず、涙が氾濫しそうになる程度でしたが、
本作がブームになるなんて……世の中まだまだ荒んでるんだなぁ~と、
むしろ、そちらの方にも泣けてきますw

但し、終盤の{netabare}鬼の助太刀{/netabare}には、
ベタですが、私の涙腺も一部決壊しましたね……。あれはズルいw


自分の役割に囚われず手を差し伸べられる人間に私はなりたい。


心に養分を補給され、再び社会の隅っこに戻っていく私なのでした……。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 14

でこぽん さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ゆるキャラが織り成す涙腺がうずく幼児向け物語

このアニメは幼児向けです。
ですが、学生が見ても大人が見ても大いに感動します。
私も思わずポロリと涙がこぼれ落ちました。

物語はすみっこをこよなく愛するゆるキャラたちが絵本の中に吸い込まれてしまい、そこから抜け出る内容です。

ゆるキャラたちは声を出しません。
声を出すのはナレーションの人だけですし、ときどき説明する程度です。
物語の大部分はゆるキャラたちのかわいらしい動作が中心です。
その動作に癒されます。
この動作がつまらないと思われる人は途中で寝られると思います。中盤まではいたって単調です。

しかし、ラスト七分、今までとはうって変わって、シリアスな展開となります。
あるキャラクターのとても可哀想な現実を見せつけられます。
アニメだから魔法とか奇跡とかで幸せにできるはずなのに、この映画ではそれをしません。
幼児向けアニメでここまで可哀想なことをする必要ないだろうと、私はつい思ってしまいました。
近くの席にいた幼稚園の男の子が、思わず「かわいそう」とつぶやいていました。そして後ろの席からは、すすり泣く観客の声が聞こえました。

でも安心してください。魔法も奇跡も起こりませんでしたが、最後はハッピーエンドで終わることができました。しかも、ハッピーエンドにする方法が、実に現実的で暖かみがあり感動します。
魔法や奇跡を起こさなくとも幸せにする方法があることを、私は教えられました。

例えば、地震や台風で家を失った人にとって、つらい現実は変えようがありません。でも私たちは義援金やボランティアをすることで、少しは被災者の方を癒すことができると思います。
決して無理をせず、自分たちができる方法で困っている人を助ける。
日本中の人がそのように行動してくれたら、未来は明るくなると思います。
この映画を見終わって、そう感じました。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 32
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

だいじなこと

よこみぞゆり原作。
Amazon Primeにて視聴完了。

いつもの喫茶店、いつもの隅っこ。
すみっコたちはお気に入りのお店で、
古くなった1冊の不思議な絵本を見つける。
絵本の中で知り合ったひよこのために、
おとぎ話の世界を巡る旅が始まる。

心を豊かにする素敵で優しい物語だ。
ももたろう、あかずきん、にんぎょひめ、
子供の頃、良く聞いた童話の世界で、
{netabare}ひとりぼっちのひよこは迷子になっている。
どの世界にも居場所がなく涙がこぼれる。{/netabare}

色鉛筆で書いた絵本のような素朴な絵が、
子供だけではなく大人の心にも響いてくる。
のこりもの、にせもの、自分をもてないもの。
すみっコたちにも理由があるのだろう。
そしてきっと僕たちもどこかで、
心から安らぎ落ち着ける場所を探している。

素直な気持ちで楽しめました。
新しいものなんて落ちてないけど、
だいじなものがたくさんここにあります。

実り豊かな時間が持てます。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 23
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