ベルリンの壁で探偵なTVアニメ動画ランキング 1

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74.8 1 ベルリンの壁で探偵なアニメランキング1位
マスターキートン(TVアニメ動画)

1998年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (256)
1538人が棚に入れました
元SASのキートンがさまざまな難事件を鮮やかに解決していく推理サスペンス。原作=勝鹿北星、作画=浦沢直樹の人気同名マンガが原作。かつてイギリス陸軍特殊空挺部隊SASに所属していた平賀・キートン・太一は、現在は保険の調査員をしている。本当は考古学者をめざしており、考古学だけで食べていきたいのだが望みはかないそうにない。そんな太一は、保険の調査の仕事のほか、SASの要請や考古学の研究などで世界各地を飛び回り、数々のやっかいな事件に巻き込まれる。それらを太一はSASや考古学の研究で培った技術や知識、持ち前の機転で解決していく…。

声優・キャラクター
井上倫宏、桑島法子、永井一郎、菅原正志、辻親八、キートン山田
ネタバレ

とまときんぎょ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

一話完結の仕事人

普段は柔和で実は…「能ある鷹は爪を隠す」キートンさん。かっこよすぎです。
離婚して未練タラタラなくらいがバランス取れてていいんでしょうか。

携帯電話などなくポケベルもあったかどうかの時代。
今の時代だと「この日本人すご過ぎww」などとすぐSNSに乗っかっちゃって顔が割れてしまうんでしょうか。

台詞で必要なことは語ってくれるので、作業しながらの「ながら観」にも最適でした。
(かわいい女の子も出てこないので画面に目が釘付けにはならないしね)
かと言って、大切な締めの部分では言葉で多くを補い過ぎず…という大人な引きの良さもありました。
味わい深くもアッサリとした一話完結式なので、そこをもっと掘り下げて長く観たいのに物足りない‼、という感覚を残す話もありました。



〜好きだった話〜

{netabare}4話・爺さん回
この老いぼれ、実は…のパターンで、婆さん回もあった。

5話・屋根の下の巴里
「人はどんな時でも学べる」というストレートな勤勉メッセージ。

7話・チャーリー
幼馴染との邂逅。最後、どんな風に受け止めていたのか。
嫉妬とか尊敬とか、…?多くを語らないで、ママへの一言が印象に残る。

12話・御婦人たちの事件
イギリスが舞台だから、ミス・マープルみたいなおばあちゃんも登場。

13話・穏やかな死
テロリストの使用する爆弾を造り続けてきた男の、ある日の気づきとは。手に汗握るスリリングさと、チョコレートの甘さと。もっと早く気づけやと言いたい。

15話・長く暑い日
キートン vs 孟犬。もうちょっと続きどうなったのか(とくに、犬のその後!)観たかった。
若き日の覇気あるキートンお父さんが、かっこよい。

18話・フェイカーの誤算
「一流の仕事人は…」が口癖の詐欺師。なんかおかしい。キートンが対決するのと思いきや、「一流」のこだわりにより二転三転。
ちょっとうまいこと行き過ぎだけど、正直者がバカを見ない話でホッとする。

19話・空へ…
めんどくさい鬱屈少年の話。
「こんなにいい天気なのに学校なんてもったいない」と言えちゃう娘はいいなあ。
平賀家が息子でなく娘なのが、何となく家風が分かるような気がする。

20話・臆病者の島
爺さんかっこいい!回。動きのキレがね。

21話・アザミの紋章
歴史上の逸話から探る人物像。見てきたかのような、個人的記憶のような演出の切り替わり、とても見応えがあった。アニメ独自の演出なのか、原作からなのか知りたいところ。巻物が動く演出はアニメだからな、面白さかな。

22話・シャトー・ラジョンシュ1944
「だんなさまのお考えになる事は、だんなさまが生まれる前から、わかっております。」
忠誠心ですよ…おとっつぁん(誰)!!(T_T)
戦火の中で採りごろの実を採りに行くとか、ほんのちょっとだけ、その気持ち分かる…。たぶん私の中のソレはみみっちいけど

25話・砂漠のカーリマン
キートン賢くかっこよすぎ。
砂漠の過酷なサバイバル。
砂漠に行く前に原作もぜひ熟読しておきたいです。でも砂漠にとても行きたくないです。

26話・家族
かつての金メダリストが夢から目覚める…冒頭のシーンが絶妙に切ない。
26話、27話、28話は面白いけどちょっと似てるかな。ヨーロッパの内紛や分断を下敷きにしていて深みが感じられるぶん、え、深刻な内容なのにもう終わり?ってなる。

33話・背中の裏町
女の求める父の姿。あえて真実を突きつけないキートンはんに惚れてまうで…

34話・瑪瑙色の時間
大人の情けなさやふがいなさを見ている子供達。たぶん私も見られてる。
「俺はもう一度立ち上がろうと思う。自分を憐れんでいる時間なんか、ないんだ。」うむ。

…しかし「瑪瑙」のグリーンて結構、人工染色されてるような…

35話・五月の恋
婆さんかっこいい回。
ここだけミセス向け恋愛漫画みたいなムードだけども。キートンの娘さんステロタイプなお節介やきだけども。

38・39話・狩人の季節
キートンと上官の邂逅。器用貧乏なんだねキートンさん。
あー、見終わっちゃった…という寂しさが募ります。
もっと長く見せて欲しいと度々感じていたものが最後に2話連続になると?時の流れは余裕をもって感じますが、そんなに内容のボリュームアップはしないものですね。むしろこれまでの一話完結の簡潔な強さを感じました。まことに勝手な話ですが。 {/netabare}


原作は、原案やら原作者やらの表記について一悶着あったらしく、長らく再版されなかったらしいですね。
とても面白かったので読んでみたいです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 38
ネタバレ

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

浦沢作品では一番好き

<2019/5/26 初投稿>
原作既読。

主人公の平賀・キートン・太一さんは名前からわかる通りハーフで母が英国人、父が日本人。

さらに多様な経歴、極めて高い経験値とスペックの持ち主です。

ところが容姿はどーみてもコテコテの和風で、お人好しでうだつの上がらないおにいさん。
今は冴えない考古学の大学講師という謎キャラです 笑。


キートンの経歴をもう少し書くと・・・

ネタバレというほどでもないけど一応閉じておきます。
{netabare}
オックスフォード大を考古学専攻で卒業(中退だったかな?)

在学中に大学で出会った英国人女性と結婚、一女をもうけるも離婚。

で離婚のショックでなぜか英国陸軍・特殊空挺部隊(SAS)に入隊、そこで伝説級の活躍。
実績と特にサバイバル技術が高く評価されSASの教官まで務めます。
(SASは米国のデルタフォースみたいなもんらしいです。)

でもなんか違うと思ってSASを辞職(除隊)。{/netabare}

そして今は日本に住み普段は大学講師をやりながら、たまに娘に世話を焼かれたりしながら、考古学の発掘調査に勤しむ毎日。

しかし大学講師だけでは食えないキートンはイギリスの保険会社ロイズ(※)のオプ(調査員)もやってます。

なので日本と欧州を行ったり来たり。
飛行機代だけで足が出そう 笑

そんなキートンが保険事故の調査や発掘調査などでさまざまな事件や出来事に遭遇、
時に事件を解決し、
時に出会った人々と暖かく柔らかい交流があったり、
せつないやるせない思いをしたり、
とかそんな話。

(※)正確にはロイズは保険会社や保険引受人の組合組織で、特定の保険会社ではありません。ちなみにロイズは世界最古の保険を取り扱った組織とも言われ、保険会社だけではなく個人、つまりお金持ちが保険の引受人として取引できるようになってます。日本の保険の常識とはかなり異なった組織・制度です。
キートンは個人の保険引受人からの依頼で調査を行うこともあり、物語に厚みを加えています。


原作は浦沢直樹さんの漫画なのですが、浦沢作品の中では一番好きです。

他にはMOSTERやPLUTO、パイナップルARMYも好きですが、本作はパイナップルARMYにやや近い印象。


浦沢作品の特徴は登場人物の表情。
無言のシーンでもどんな感情なのかが一目でわかる画力は流石です。
キャラクターの書き分けも完璧。
日本人と欧米人がパッとみで区別つくキャラクターデザインって案外少ないと思うんですよね。

前述の通り欧州が舞台となることも多いのですが、その背景や会話、出てくる料理なども本当に自分がその国にいるような気分になれてしまいます。

基本1話完結のお話も、変な外連味はなく地味ですが、1話1話心に染み入る深みと温かみがあります。

いずれも高品質な短編の良作・佳作を何十本も積み重ねたような。


そんな原作をアニメでは丁寧に忠実に再現しています。

この「マスターキートン」
私は超有名作だと思ってたのですが、時間というのは情け容赦ないですね。

隠れた、というより時代に埋もれた名作だと思います。

今時のアニメとはかなり趣が異なりますが、「最近のアニメに少し食傷気味」「ストーリーのしっかりした物語を楽しみたい」という方にオススメしたい作品です。。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 39

四畳半愛好家 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

人間はなぜ学ぶのか?

浦沢直樹原作の名作漫画のアニメ化作品。
基本的に1話完結×全39話。
推理、救出、人探し…等々、各話ごとに大きく話が変わるため飽きさせない構成。

主人公である平賀・キートン・太一は、イギリス人と日本人のハーフで、オックスフォード大学に進学したエリート。

考古学者でありながら優秀な保険調査員。(ただし、就職口の大学を目下探し中)

複数の言語を使いこなすマルチリンガルであり、特殊部隊「SAS」でも数々の戦果を上げた異色の経歴を持つ。当然戦闘力もかなりのもの。戦闘やサバイバルの際には、軍の知識だけでなく、考古学の知識を活かすことで、危機的状況を脱する…。
 
そんな超人にもかかわらず、性格に嫌味な部分がなく、世界中の多様な考えを持つ人物たちとも直ぐに打ち解けられる魅力的な人物。(抜けてる部分もある点が彼の魅力の一つになっている)

顔も声も髪型も地味だけど…正直格好いい!!


主人公が超人なので「俺TSUEE!」系の作品の一つではあるかもしれない…。
しかし、物語が現実的なので、そういう「臭さ」はない。
同時に「爽快感」も薄い。

俺TSUEE!系作品が好きな人が観ても楽しめるかは謎。

とりあえず「地味な作品」「大人向け作品」も楽しめる人にオススメ。
1話1話が濃いため、一気見はキツい。
1話1話丁寧に観ていきたい作品。(ビールとか飲みながら)

●個人的に特別好きな回3つ

①5話:「屋根の下の巴里」

 人間はなぜ学ぶのか? そんな問いにキートンなりの回答をしてくれます。
 教授がまた最高の人物でね…この回が個人的にはベストです!!
 「学ぶこと」の楽しさを知っている人に是非観てもらいたい!
 勉強は辛い面もあるけど、それ以上に楽しいものだと思うんです…!
 (研究室生活に戻りたいとは思わないけど…)

②25話:「砂漠のカーリマン」
 あにこれのサムネ画像はこの回ですね!
 とにかく格好いい回!痺れる回!
 この作品って面白い知識が詰まっていて、そこも魅力的ですね!
 しかし砂漠でスーツは本当に正しいのかな…?

③35話:「五月の恋」
 この回はキートンの娘、百合子が主人公な回です。
 百合子の優しさと温かさに涙。
 父譲りの優しさに加え、若さゆえの真っすぐさやパワーが彼女の大きな魅力です。
 
以上の3つが特に好きだったのですが、きっとファンごとに違う意見を持っちゃう作品なので、あまり参考にならないかな…。

それぐらいレベルの高い話が揃っている名作です!
(ただ「学ぶ」のが好きな方は、5話だけでも観てみてほしいな…なんて。)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 15
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