ブレインズ・ベースでロボットなおすすめアニメランキング 5

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのブレインズ・ベースでロボットな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月25日の時点で一番のブレインズ・ベースでロボットなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

71.9 1 ブレインズ・ベースでロボットなアニメランキング1位
神様ドォルズ(TVアニメ動画)

2011年夏アニメ
★★★★☆ 3.6 (1181)
6385人が棚に入れました
故郷の村を後にして、東京で平穏な大学生活を送る匡平は、想いを寄せていた日々乃に告白しようとしていた。だがその日、彼女と2人きりになったところで惨殺された遺体を見つけてしまう。さらに帰宅途中、正体不明のモノに襲われた匡平のもとに、故郷から案山子と呼ばれる奇妙な人形を操る、妹の詩緒が訪ねてきて……。

声優・キャラクター
岡本信彦、福圓美里、茅野愛衣、木村良平、村瀬克輝、小林由美子、沢城みゆき、高垣彩陽、山口理恵、花澤香菜

せもぽぬめ(^^* さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

2期がつまらなかったら承知しないんだからね(○`ε´○)

■一気見して正解だったかも(*^-゚)
実は2話まで観て放置してたんですよぉーこの作品・・・(*゚ー゚)>
そんでもって、もう内容忘れてたので・・・(。--)ノ最初から一気に10話迄観たところ、だんだん面白くなってくるではないですか(ノ´▽`)ノオオオオッ♪
 
ストーリーの方はと言いますと、なんとなく「ひぐらし」の雛見沢村や「GOSICK」の名もなき村を思い出すような設定ですね♪
人里はなれた閉鎖的な故郷・空守村で神と崇められている見た目ロボットな「案山子(カカシ)」とそれを操ることが出来る「隻(セキ)」呼ばれる特別な人間がいるのです。
村人以外には知られていないような特別な村に、日向家と枸雅家の二大名家があるのだけれど、両家の間ではなにやら確執があったみたいですね♪
 
そんな自分の村と「隻」という特別な立場をすてて、普通の生活を望むべく上京した主人公の枸雅 匡平(kuga kyouhei)なのでしたが・・・
ある事件をきっかけに幽閉されていていた筈だった、幼馴染みでもある枸雅 阿幾(kuga aki)と何年ぶりかの再開で、空守村の因縁から逃げられないと気付き物語が動き出していくのです♪
 
 
■途中まで観た印象は(*゚・゚)ンッ?
前半は物語のテーマがなかなか見出せなくって、ただ見てるって感じでしたε-(ーдー)ハァ
「案山子」が神様ってなんなの・・・
動くとなんで歌が聞こえてくるの?オルゴールなの・・・
匡平と阿幾ってなんでいがみ合ってるの・・・等々・・・
とにかく疑問ばっかり浮かんでましね(*'ω'*)?
なので、前半は各キャラクターをよーく観察して後半に備えておく感じでした♪
 
結構キャラの表情は豊かに描写されていて、詩緒(utao)ちゃん見てても可愛いなって思うところがあれば、ちょっと怖いかもって思える表情があったりして喜怒哀楽を丁寧に表現している印象を受けました♪
それは、他のキャラも同様なのでそんなところに注目してもらっても良いかもですね(*^o^*)
 
それと、この作品はロボット・・・じゃなくって神様だから、バトルを楽しむ作品ではないですね!
やっぱり、キャラの心理描写で楽しむタイプの作品って気がします♪
 
中盤に差し掛かってくる頃から、じわじわ物語の全貌も見えてくるので、ストーリーの方も楽しめるようになってきますよ!
後半に来て新キャラ登場とか、最終的にどういう形の結末を用意しているのか解りませんけど、最後まで目が離せなくなって来た感じなのです♪
 
 
■総評
やっぱり後半に入ってからストーリー的に盛り上がってきましたね♪
まだ、空守村にはまだ謎が多いような気がしますけど、概ね主要キャラも出尽くした感じで、だいぶキャラ同士の相関関係が理解できて、面白くなって来た感じなのです。
前半がプロローグだとしたら、後半は起承転結で言えば物語の導入部分あたる「承」ってところではないでしょうか?
なので、多少は盛り上がって来たのですけど、これからが本番っていう印象なんですよ!
そんな状態の中で1クール終了って・・・それでは中途半端って言われてもしょうがないですねw
でも、無理矢理に山場をつくって(゚Д゚) ハア??って言われるよりは良かったのではないでしょうか(>o<")
まぁできれば2クールでしっかり完結してくれるのがベストだったような気がしますけどね(T▽T)
完全にお預け状態になちゃいましたよぉ♪
でも、2期で1期以上の盛り上がりを見せてくれたらちゃんと許してあげるんだからね!!
キョウヘイとアキがきっと私に感動を届けてくれるはずなので首をながーくして待ってますよ♪
o┤*´Д`*├o アァ~2期の前にもう一回復習が必要になりそうな気がします♪
 
 
■MUSIC
OP曲『不完全燃焼』
 歌:石川智晶
 本当に物語は不完全燃焼だったんだからねw
 
ED曲『スイッチが入ったら』
 歌:石川智晶
 本当にスイッチが入ったら1期終了だったんだからねw
 
ED曲『夏の庭』
 歌:石川智晶
 7話の空守村で起こった悲しく切ない事件を思い出すナンバーです♪
 あきぃぃぃぃー!!Σ(T▽T;) って思わず叫びたくなっちゃいますね♪
 
※石川智晶の詩・曲・歌は力強くてストレートに心に響くんですよ(*^o^*)
 
2011.09.08・第一の手記
2011.09.29・第二の手記(追記:■総評、■MUSIC)

投稿 : 2024/11/23
♥ : 45

セメント さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

フカンゼンネンショウナンダロ ソウナンダロ ソウナンダロ

神神神アニメその1です


物語についてなんだろ?そうなんだろ?そうなんだろって?
独特の空気が流れていて、私個人としては非常に楽しめたアニメですね
明るいギャグコメ話の次には割と重たいシリアス話が来たりと、なかなか気が引けないシナリオ展開もそうですが
言い得も知れない独特の面白さを支えていたのは、キャラの人間的魅力が大きいと思います
案山子の席という、能力バトルもの的な、キャラ立てしやすい設定に加え、ニヒルでありながらどこか人間臭さを感じる個性的なキャラが多く、一層物語を引き立てれていました
また、詩緒ちゃんと日々乃さんという二大派閥、9話から遅れて登場したまひるも入れると三大のヒロイン勢も可愛くてですね、私なんかはモチベーションが非常に上がってたわけです
7話ビッチ先生回とか12話マガツヒ暴走回とか、まぁ1話からそうとも言えるんですが、結構見た目にも情緒的にもエグイ描写がまま見られるなど、キャッチーな萌えアニメかと見せかけて、実は正反対の質アニメなんですよね、当時原作未読の私は結構驚いてたんですが

作画についてなんだろ?そうなんだろ?そうなんだろって?
6月某日、秋葉のゲマでやってた上映会イベントに、なんとか抽選通って参加してきました
ゲストに岸誠二監督と脚本の上江洲誠氏を招いてのトークショーでは裏話も多く聞けて、非常に楽しませていただいたわけですが
「AB」「瀬戸の花嫁」の名コンビ、岸監督と上江洲氏に迎え入れ、この二方には珍しい硬派アニメというスタンドながらも、日常シーンもキャラが崩れずに丁寧で、且つアクションシーンはエフェクトもバッチリ決めるなど大胆な映像になっていて、思いのほか素晴らしかったです
また、イベントでも話されていた、EDに入る前の場面展開の上手さ、工夫された引き方が毎話に施されており、そこでもググッと引き寄せられるんですよね
続きが気になる!っていうのが、アニメには矢張り一番大事ですよ、放送時間の被ってる他アニメとの競合もある中で、次週も見たいっていうモチベアップに直結しますからね
まぁ結局最終回もそれをやったから、不完全燃焼なんだろ?と言われる所以となってしまったんですが
果たして二期あるんでしょうかね、やるやる詐欺で原作を持続的に買わせようという魂t(ry
番宣ポスターの話とか、映像特典の話とか、応募フリーなのにロフトプラスワンイベントみたいなノリだったのが良かったですね

声優についてなんだろ?そうなんだろ?そうなんだろって?
程よく新鮮で、かつ安定した声優配役になってますね
福圓さんの詩緒ちゃんは感情豊かで可愛いし、茅野さんの日々乃さんも包容力溢れててやばいし、花澤さんのまひるなんかは、新境地に達してましたよね
小林由美子さんの桐生も、ムスッとした彼のキャラにだいぶ合ってました
そして「瀬戸花」で強烈なインパクトを残した政さんでお馴染み、村瀬克輝さんが勾司朗役で出演しており、しかもこれがまた良キャラなもんだから、その辺も私にフィットしてたんでしょうね
あと案山子の鳴き声的なものを、主題歌を歌ってます石川智晶さんが担当してるんですよね
アニオリ設定ですが、良い味出してましたね、全然アリだと思います
”ただの案山子ですな”

音楽についてなんだろ?そうなんだろ?そうなんだろって?
OP「不完全燃焼/石川智晶」、これは恐ろしい中毒ソングですね
初めて聞いた時からずっと耳について離れないんですよね、今シーズンはこれか、ゆるゆりのOPがずっと脳内でループしてた気がします
石川さんのアニメタイアップ曲は毎回濃いんですけど、これは凄まじいですね、中毒ソングを意図して作ってありますが、ちゃんと成功させてるあたりプロですね
映像もシャープでかっこいく作られてますし、匡平が歌詞とリンクして叫んでるシーンもワクテカさせてくれますよね
今夏一番と言ってもいいアニメ主題歌なんじゃないかと思ってます
”My name is 豆腐”でお馴染みのED「スイッチが入ったら/石川智晶」これもまた良い曲です
サビにかけてゾクゾクしてくる感じのイメージですね
なんだかんだでアニソンが良いと名作臭が増しますよね、特に石川さんが歌うと尚更

キャラについてなんだろ?そうなんだろ?そうなんだろって?
今期は双子アニメが多かったですねぇ、パッと思いつくのは「ピンドラ」「青エク」「アイマス」「BLOODC」とか
容姿だけでなくタイミングまでピッタリのいかにもな双子キャラだと後ろに上げた二つが、容姿や性格が全然違う双子キャラだと前の二つが該当しますか
今作だと、容姿は同じなのに、性格が全然違うし敵同士っていう、また違う分類の双子キャラでしたね
ところで、これの原作のCMで、”神と呼ばれる謎の人形を操る少女、詩緒。ドジで短気な甘えん坊は、恋もする、そして戦う”ってなフレーズがありましたが、”恋もする”というのがアニメではなかったですよね、若干ブラコンのきらいはありましたが
詩緒ちゃんがビッチになる展開だけは、やめてくれぇえーえーえー!!


「神様ドォルズ講座」わー!!!
なんかスタッフで飲んでる時に予告を実写パペットでやろうかと決めてみたいですね
あの本編の後でこのテンションですから、すっごい浮いてるんですけど、そこがイイ
思いがけない企画でしたが、ハズレの多い実写映像の中で、稀に盛り上がってましたね
ククリも喜んでるゥー!!!
ドォルズ講座で番組を続けるのはどうかと思いますが、永く見ていたい、面白い部類のアニメだと思います、見てない人是非見てください
見ないとビーム!ビーム!ビーム!ビーム!ビーム!

投稿 : 2024/11/23
♥ : 13

bati さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

2期ありますよね??

タイトルを見て⇒「あ!本屋で何度か目に留まったやつだ!」
ということで見始めたアニメです.
漫画の表紙だけを見ていたときの勝手なイメージと、
実際の内容が全く違っていたのでビックリしましたw
(勝手なイメージ⇒こてこての恋愛もの)


実際には、案山子という木製の神様を操る才能を持った若者たちの物語.
1話から変な物体(案山子)が飛んだり、マンションの壁ぶち抜いたりと激しい戦闘.

ストーリーの中心であり、「隻」と呼ばれる、案山子を操る若者たちは、それぞれ悩みを抱えている様子.その元凶ともいえるのが彼らの「故郷の村」.
決して村と決別することは出来ない、という内容のセリフもあり、この村にはなにか大きな力があるようです.


さて、どんな展開で話が進んで行くのか.

1~4話位「(・∀・)ドキドキ」

5~10話位「( ゚д゚)おぉぉぉ!?」

11~12話「(´・ω・`)え??次最終回?」

最終話「∑(´д`*)」

え、終わり?って感じでした.
ほとんど何も解決してないですよね?
決着ついたと言っていいのは、匡平と日々乃のk…ゲフンゲフン.
フラグ立てまくって終わった感じです.


最終回のEDでは今後のストーリー的な映像が流れていて、
「2期やりますよー!」っていう空気出してましたけど、
・・・そこまでやるなら2クールで作ってください!、
って思ってしまいました.
そこら辺も加味して、「物語の評価」は3.5と自分としては低めの評価にしています.内容的にはすごく魅力のあるアニメでした!


とりあえず、2期を待つしかないですね.

《最後に》
日々乃さんの胸の作画どうにかならないかな?w横からの絵を見るたびにビックリしてしまうんですよ∑(゚Д゚;)
そして、詩緒は・・・表情がかわいいです.

投稿 : 2024/11/23
♥ : 13

58.4 2 ブレインズ・ベースでロボットなアニメランキング2位
イノセント・ヴィーナス -INNOCENT VENUS(TVアニメ動画)

2006年夏アニメ
★★★★☆ 3.4 (74)
431人が棚に入れました
西暦2010年。 地球規模で同時多発的に発生したハイパーハリケーンは、世界各国に甚大な被害をもたらした。 80億まで膨らんだ人口は一気に50億が失われ、30億まで減少。 経済・軍事のバランスが崩壊した。日本政府は経済特区を各地に作り、限定的な復興を成し遂げた。 かねてより開発されていたパワードアシスト技術が復興に大いに貢献することになる。しかし、特区以外の地域は貧困が拡がり、スラム化が進んでいく。 支配階級は自らを「ロゴス」と名乗り、パワードアシスト技術を軍事に転用。貧困層を「レヴィナス」と呼び、壁の外へ締め出した。
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

”イノセンス”を汚すのは

2006年7月放送開始のオリジナルTVアニメ。全12話。

川越淳さんが監督を務めた、現在のところ唯一のオリジナルアニメーションです。
ずいぶん昔にどこかで3話位まで見てなんとなく中断してしまった記憶が…。
今見ると、単純な面白さよりも良かった、好きだなって感情の方が先に来る作品。


【あらすじ】
舞台は西暦2035年。
2010年に起きた天変地異により、地球の地理も国家も大きく様変わりした世界。
日本の特区に住まう支配層「ロゴス」の特殊部隊〈ファントム〉を脱走した葛城丈と鶴沢仁は「ヴィーナス」と呼ばれる少女・登戸沙那を〈ファントム〉から守りながら逃亡生活を送っていた。
心に虚無しか持たない丈、純真無垢で謎多き沙那、二人を強く牽引する仁。
軍とレジスタンスの戦い、重装甲兵器・グラディエーターの秘密、沙那の謎、三人の関係の変化を描く物語。


ジャンルとしては近未来SFロボットものであり、体制と反体制の抗争劇もあり。キャラクターデザインもデフォルメ弱めで、バイオレンス・グロも強め。
古い言い方をすれば「リアル系ロボットアニメ」。その中心に主人公達の人間ドラマを置いています。
監督としては好きなように見て何を感じて考えてもらっても良いですよ、ってスタンスみたいですね。


【物語】
{netabare}本筋が王道でわかりやすいのは美点。
世界観が頭に入ればあとは割とストレートな展開なので、キャラクターに感情移入しながら楽しめます。
何気にOP映像で展開(人間関係)を読み取れるようになってるんですよ…。キャラクターばかりのOPって個人的に良いイメージがないけど、これは凄いですね。(脚本家曰く「必要な要素がOPのタイトルバックに全て描かれている」)

ロボットものとしてはグラディエーターの設定が物語にしっかりと絡んでいるのが好き。個人的には作品テーマにもしっかりリンクしていると思います。

倫理観の線引きが明確なのも良いですね。
この世界がどんな倫理観で成り立っていて、それをどんな風に表現するかが一貫しています。
敵にも味方にもそれぞれの倫理観や考え方を持つキャラがいるので、その点で現実味を感じられます。キャラクターの役割と立ち回りが明確なので、行動原理も伝わりやすいんですよね。
{/netabare}

【映像面】
{netabare}格闘戦のコンテが丁寧なので、アクションも地に足が着いた印象になっています。加えてパワードアシストスーツがあるため多少派手な白兵戦を描いても現実感を損なわないし、第1話のスーツの機能の描写も良かった。
ロボットアクションについては、モデリングには時代なりのぎこちなさはあるのですが、動きや重量感・質感は回が進むごとに良くなっていきました。

ミリタリーの描写も良い。
特に第1話、仁の拳銃の描写や劇場での三人のシーン、映画的演出を意図したというだけあってとても丁寧でわかりやすいです。
第1話は最も情報の詰め込み方が上手い回と言っていいかもしれない。初回で世界観ほぼ説明できてるのは凄いですね。
たまに妙に外連味のあるデザインがあるのはご愛敬。

ドラマパートについても、時に実写的な見せ方をする絵コンテと、それを活かす質の高い作画が最初から最後まで嵌まっていました。コンテ演出の意図をしっかり汲んでいます。(助監督の河村智之さん、本作と鋼鉄神ジーグで助監督されてから、色々お仕事して最近だとラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の監督やってる…。すごいな…)
感情表現のための間がしっかり取られているのも情感があって好き。
キャラデザの長町英樹さん、生き生きした素晴らしい作画をされてますね。(この後NARUTOやMAGI、アイマスへ。こっちもすごいな…)
ピアノの連弾の作画は作曲者の演奏を録画して作画に起こしているとのこと。手描きは大変だったと思いますが、凄く良かった!{/netabare}

【音響関係】
{netabare}視聴前は沙那の名塚佳織さんが楽しみで、想像通りに良かったです。
丈の声の変化、だんだん感情が声に出てくる微妙な演技が好き。
音楽も素晴らしいですね。連弾のピアノ曲などの楽器演奏も良いですし、エレクトリック系の曲の異質感も好きです。サントラCD買いましたがとても聴きごたえがあって、作曲石川智久さんの入れ込み具合も熱い。{/netabare}


【勿体なかった点】
{netabare}沙那はもっと能動的に活躍しても良かったかも。
前半は仁が牽引役なので、丈と沙那はどうしても受動的になってしまう…。ただ、後述しますが無力だからこそ出来ることがあったのだとも感じます。

セリフに頼らない丁寧な描写をされている分、視聴者側の知識や注意力が要求されます。伏線も張られていますがもう少しわかりやすい演出でも良かったかも。
当時WOWOWでの放送だったこともあり、知る人ぞ知るレアアニメになってしまったのが心底勿体ない…!!

たまにBGMの使い方の細切れ感があって、これは好みの問題だとも思います。
ピアノの連弾のシーンなどはしっかり長く聞けて、曲の良さも活きているのは凄く良かった。{/netabare}


【主人公三人の関係性と”イノセンス”を汚すもの】
{netabare}三人の関係性をしっかり描いて消化しきったのが素晴らしかったと思います。

沙那の扱いを通して丈と仁の人間性が対比されているのが上手い。
人間性を失わなければ戦えない兵器を空虚だから扱える丈と、父の失脚によって生まれながらに持っていた人間性の土台を失った仁の姿には、真逆の答えがあったなと。

仁は第8話で沙那と丈を裏切ったことで後戻りできなくなるわけですが、それまでに変われたかもしれないポイントがいくつかあったんじゃないかな…。仁の過去を知ってしまうと、仁は誰も信用しないし、自分の欲望を捨てることも出来ないとも感じますが。
仁の動機が矮小で残念だという感想はたまに見かけますけど、私はこういう自分の存在意義を掴むために足掻くキャラクターが好き。他の理由だったら好きになっていなかったと思いますね。
周囲の動きを見てると、可能性は僅かながら残っていたのかなと私は思っていました。虎二や千倉が仁に沙那を任せたこともそうですし、特に丈が沙那にピアノを弾かせるのを止めようとするシーンは顕著ですね(もっともあのシーンの演出意図は、仁が自分のやり方を変えない頑なさだとは思いますが)。何をされてもどんな感情を向けられても、仁は変われない所まで来てしまっていた。
仁は無条件に自分を信頼していた丈と沙那を手酷く裏切ったあの時に、自分自身を汚しきったのだろうなと。

仁が二人を利用していたとしても、その関係は仁と沙那にとっては本物だったし、それが彼らの心の強さの土台になったのかも知れないとも感じました。
丈と沙那が裏切られて傷ついても仁を恨まなかったのは彼らの純粋さの証だと思いますし、二人が仁を恨むような精神性であればセブンチルドレンが心を開くこともなかったでしょう。

他者を信じることは、時として相手への過度で間違った期待であったりする。でも丈と沙那は裏切られても仁を責めず、自分の心と使命に従った。二人はある面では最後まで仁を信じ、仁を信じた自分の心を偽らなかった…自身の純粋さを自分自身で汚すことをしなかったのだと感じています。

丈役の野島健児さん、インタビューで「丈の心は虚無」だと監督から言われたそうで(大変な役だ…)。
そんな丈の空虚な心に流れ込んだものが深い悲しみと恐怖でも、それは丈が知らない感情のひとつで、丈にとって新しい発見ではあったのですよね。
セブンチルドレンの沙那への想いが、丈の心に生まれた感情とシンクロしていくのがすごく良かったと思う。
他人の感情でしか泣かなかった丈が、最後に仁のために泣いたのは丈自身の心の動きです。その空虚でなくなった心を抱えて、自分の意思で旅立って行くラストもすごく良かった。
丈の過去を気にする人もいますけど、私は過去が描かれなかったということは「何も無い」し「何も持っていない」し、「何も無いことにこそ意味がある」ということなのだと思っています。

沙那は無力で無知で純粋な少女です。
純粋さは時として愚かですが、悲しみが憎しみに変わりかけたセブンチルドレンの心を癒せるのは彼女だけでした。それはヴィーナスである沙那が、仁に裏切られた悲しみを憎しみに変えずにいられたからです。
沙那の心を支えたのもまた、丈の純粋さと愚かさであったと思います。
沙那もラストでは新しい一歩を踏み出し、丈を送り出す強さを手に入れている。再会が楽しみになるような爽やかさもすごく良かったです。
あのラストめっちゃ優しくて微笑ましくて好き。


おまけで、ごらのことも少し。
ごらはトラブルメーカーで、シリーズ構成がごらをもう少し上手く動かせれば良かった、と反省点として挙げているキャラクターです。
結果的には、レヴィナスの一般人の感覚を視聴者に提示するのが一番重要な役割となりました。生き延びるために倫理観も優しさも捨てて、はらわたまで腐った人間のひとりなわけですね。
ただし、終盤で少し様子が変わっています。ごらは大怪我をした丈を心配したり沙那への恋心を見せたりする。
私は彼を「人は純粋さを取り戻すことも出来る」と感じさせられるキャラクターだと思っています。人は自分で自分の心を汚していくけれども、良い出会いや自分自身の決断で純粋さを獲得していくこともある。
この世界にも少しは明るい未来を期待しても良いのではないかと感じられて、ごらはこれで良かったのだと思います。{/netabare}


【第1話「奈落」だけちょっと詳しく】
{netabare}劇場の内部に裸婦像とか鳥かごとか仮面とか示唆的なオブジェがあって、キャラクターの性質と合わせた演出だろうと思っていたら、やっぱり監督がコンテ切った時に意図したモンタージュとのこと。
沙那が助けたのがウシガエル。もっと可愛い生き物にするアニメもあるだろうけど、沙那の純粋さを示すにはあまり女子好みではない動物のほうが適していると思う。後に丈が、特区も貧民街も「同じ腐ったはらわたの匂い」と言っているし、見た目や住処が違っていても中身は変わらないということかなと思うんですよね。
放射性廃棄物や毒物が入っていたドラム缶が簡易的な橋をかけるのに使われてしまっていたりとか、この世界やばいなあっていうのをしっかり押し出してくる…。
地下壕変わりに沙那を避難させた舞台下の奈落。サブタイも「奈落」というのが、この先暗い展開になるのだろうと思わせる。
最終話でもまたここに戻ってくるのですが、モンタージュに使用されたものがどうなったか確かめるのも面白いですよ。{/netabare}


【余談】
{netabare}DVDに付いてる冊子に監督インタビューがあり「現時点での僕の代表作です」とあって、40年以上のキャリアの中で現在唯一のオリジナルアニメなんだよなあと遠い目になってしまった…。オリジナルも出来るとは思っていたけど、リアル系でもここまで突き詰めた作りができるとは失礼ながら思ってはいませんでした。作中の描写に少しでも説得力を持たせるために最初に特大の嘘を吐いておく手法も良い。
最近こういう素直で丁寧なロボットアニメ見てなかったので、なんだか心が洗われました(笑)。

公式サイトの監督インタビュー
http://www.innocent-v.com/special_interview.html

これによると準備期間が一年ちょっと位みたいなんだけど…。それでオリジナルアニメ作るとか、ハードワーク過ぎてどういうことなの…???(この前後数年は川越監督は休みなく働いているので…いや、多分暇が出来ればTVアンパンマンのお仕事が常に入るんだから途切れることは無いだろうな…)
それからミリタリー描写のバランス(アメリカの軍人さんからは褒めて貰えるような描写でも、私達一般人にとっては馴染まない)の難しさ等についても語られていたり。

川越監督はジャンルごとにストーリーの王道を掴むのが上手で、元々実写を志していただけあって演出の引き出しも多い。アニメ的な演出とそうでない演出を織り交ぜることもできる。アンパンマンシリーズとダイナミック作品を並行できるのは、ジャンルに求められる倫理観・リアリティの線引きを明確化して最後まで一貫できるから。
監督はいつも少しづつ新しいことを、普段通りにやり続けて、かつやり通している。スタッフとのコミュニケーションもきちんと取れる方のようですし、アニメ監督としては優秀な人だと思っています。職人的かと思えば独創的な部分も見せてくれたりしますしね。懇意のアニメプロデューサー南喜長さんの存在も大きいです。
ここ何年かの間にもコンスタントに新作を担当されているので、追いかけるのがすごく楽しいです。
{/netabare}
(2023.3.19)

投稿 : 2024/11/23
♥ : 3

58.1 3 ブレインズ・ベースでロボットなアニメランキング3位
機神大戦ギガンティックフォーミュラ(TVアニメ動画)

2007年春アニメ
★★★★☆ 3.4 (55)
301人が棚に入れました
西暦2035年、「赤道の冬」とよばれる未曾有の異常気象によりクラウド(EM-cloud)と呼ばれる電磁雲で覆われ、既存のエネルギーが消失した世界。人類を救ったのは世界各地で発掘されたオーパーツ「頭像」のオーバーテクノロジーだった。そして、各国が「頭像」(OXII)を元に巨大ロボットを開発し、新たな世界秩序構築の主導権を賭けた「もっとも賢明なる世界大戦」WWW(Wisest World War)がUN主導で実施される。

ネロラッシュ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

gímikの世界観は面白いなぁ。

ギリシャ神話の神々の遺物を取り込んだロボットでの世界大戦。

かつて後藤圭二氏がいた制作集団gímikの世界観は面白いなぁ。

作中に登場する共鳴感応システムというのを用いて、敵国のバトルやパイロットを覗き見するのだが、一人ひとりの過去だとかを丁寧に描いているので、それぞれの戦いで感情移入出来る!

無駄死にじゃね?もあるんだけど、まぁ戦争だし全員生存させるのは難しいよなぁ…
これさぁ〜、ウルトラマンシリーズや特撮ヒーロー物のようなラストでね。
ベタなんだけど、胸にガンガン響いてきたよ!!

制作ブレインズ・ベースだが、メカのギガンティックはstudio A-CAT担当の3DCGなので、A-CATの頑張りが目立つし、メカデザ陣が豪華!!
もちろんCVも豪華ですが。

マイナス点はキャラの作画が安定してなかったこと。特に第1話は酷いね。
一昔前の海外に作画丸投げ!って感じであった。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 0

62.8 4 ブレインズ・ベースでロボットなアニメランキング4位
新ゲッターロボ(TVアニメ動画)

2004年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (30)
168人が棚に入れました
突如、人類に牙を剥いた者達がいた。その姿は古来から伝わる伝説の生き物「鬼」そのものであった。ゲッター線研究の第一人者、早乙女は鬼たちに対抗するべくゲッター線を動力とする巨大ロボット、ゲッターロボを開発するが、試作型のゲッターロボでは鬼に太刀打ち出来なかった為、新型のゲッターロボの開発とそれを乗りこなせるパイロットの選定を急ぐ事にした。

一方、東京・新宿で借金の取り立てを相手に喧嘩に明け暮れる一人の男がいた。彼の名は流竜馬。後に自分がゲッターロボのパイロットとして鬼との壮絶な戦いに巻き込まれる事になろうとは、この時、まだ知る由も無かった…
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

投げっぱなしに見えて実は生真面目〈漫画版読了&東映版視聴後追記〉

新作アニメ「ゲッターロボアーク」2021年夏公開決定を記念してYOUTUBEにて期間限定で配信していました。
以下の動画もコンパクトでわかりやすく、とても良かったです。25分程度なので興味ある方は是非。
「ゲッターロボ大検証 ―アークへの果てしない道―」永井豪、永井一巨、川越淳、寺田貴信 出演
https://www.youtube.com/watch?v=YMsAPMAAk1Q


【ゲッターロボシリーズについて】
{netabare}本作『新ゲッターロボ』は、(何故かあにこれだとTVアニメになってますが…)ゲッターOVAなどと呼ばれるシリーズの3作目。2004年夏より順次リリースされた全6巻のOVA作品、全13話です。

1974年より放送されたTVアニメ「ゲッターロボ」と石川賢による漫画版はメディアミックスで同時展開されたもので、漫画版はTVアニメの原作ではありません。(上記動画でも永井先生が仰ってます。)

しかしながら、1998年より展開されたゲッターOVA3作は石川賢先生の漫画版(97年の「真ゲッターロボ」以降)が元になっています。物語は原作準拠ではないそうですが、OVAでの「原作」表記は正しいということになります。デビルマンもそうだけどまあ複雑だよね‼{/netabare}

グロや下ネタ、バイオレンスもあるので苦手な人は注意してくださいね。


【物語】
キャラクターにテーマを背負わせる作劇であることを理解するとやろうとしていることに合点が行くのではないかと。
何よりもまずはキャラクター(主人公)を見る作品。
{netabare}
ゲッター(ゲッター線、ゲッターロボ、ゲッター線に見込まれた人類といった要素全て)に滅ぼされた鬼やゲッターを危惧する神々に襲われ、竜馬たちはゲッターを使って戦うが、そのままゲッターを受け入れて良いのか?というのが物語の骨子。
石川先生と川越監督の個性の違いも感じられて興味深いです。

石川先生の漫画を読んだことがないため色々と調べてはいるのですが、相当スケールの大きなSFであることくらいしかわからず(汗)。
「ゲッター線が何であるか」については原作者である石川賢先生が明確な答えを描いていないようですから、少なくともご存命であった本作制作当時にアニメ側で回答を用意することは避けたのではないかと推測しています。
加えて川越淳監督はキャラクターを描くことを優先するクリエイターですから、ゲッター線の核心に触れずに起承転結を作るために竜馬の物語となったのではないでしょうか。{/netabare}

【作画】
{netabare}力強く荒々しいタッチ、劇画を思わせるキャラクターデザイン、ビビッドな彩色、独特の動画など好みが分かれると思います。
この独特の作画はグロテスクな描写を緩和させるために選択したものと思われます。
アクションと画面作りもわかりやすく、絵コンテも毎回決まっていますから私はとても見やすかったです。{/netabare}

【音楽】
BGM好きです。和風の音作りも光る。
OP,EDももちろん好きです。OPのイントロに読経でアニメの固有名詞が流れていくのは有名な話。
挿入歌多めなのが良いと感じるか悪いと感じるかは好み次第でしょうか。

【声優】
皆さん素晴らしかったですね。
{netabare}低い声になってからの梁田清之さんのやんちゃな演技を見る機会はなかなか珍しいのでは?
ミチルさんや頼光といった女性キャラクターが異常に格好良かった。
特に朴さんはこの頃は青年役が多く、担当声優からは頼光が若武者なのか女性なのかがわからない面白さがありました。今見返すと、絶妙に女性的な声でお見事だなと思います。
梁田さんと朴さんのファンの方は必見。{/netabare}


【感情で描き出すキャラクター同士の距離感】
利害関係から始まる信頼関係と奇妙な仲間意識が好き。
竜馬、隼人、弁慶、ミチルは、次第に互いに情が移っていくのが何とも言えないです。

{netabare}
竜馬の心境の変化を追っていくと物語の全体がわかりやすいかな。
竜馬は彼なりの義侠心もあるにはあるけど、暴力には暴力で返す人物。不法滞在している外国人にも気さくだったりとか、私は実は結構好きなキャラです。
元々は無理矢理攫われて来てゲッターロボに乗せられますが、鬼との戦いから逃げるという選択肢は達人の死に立ち会った時から竜馬の心中には無くなっています。
竜馬は幻の中で見た巨大なゲッターには自分が乗っているのを見た時に、ゲッター線がどのようなものかをうっすらと理解し、自分がゲッターに見込まれていると知ってしまった。竜馬は自分のせいで破滅の未来が来るのを恐れて一度はゲッターロボを降りますが、新宿が壊滅する様を見て逃れられないと思い知ります。
だからゲッターロボごと自分が世界に存在しなくなることで、竜馬は世界を守る。無限の時間と空間の中で、永遠にゲッター線に抗い続ける道を選ぶのです。

最初のゲッターロボは3人のシンクロが重要とされていたにも関わらず、新炉心のゲッターロボは竜馬単独での搭乗時に異常な出力を記録します。それは竜馬がゲッター線に見込まれている証です。
しかし最終回の時のように竜馬だけならゲッター線に取り込まれかねない。ずっと3人でゲッターロボに乗り続け、仲間と感じていたからこそ、隼人と弁慶がストッパーになれた。自分が正気を保てたのは二人のお陰だと理解していても、竜馬は独りで戦いに赴きます。
竜馬は何かを背負おうとは考えてはおらず、ゲッター線が導く未来が心底気に入らないから、自分がそうなってしまうのが嫌だから抗う。竜馬の生来の気質から来た行動なんですよね。
最終回まで見て、3人でゲッターに乗ったことには意味があったと解るのがとても好きです。


早乙女一家の描写も好きでした。
写真から推測するに母親も研究者だったのでしょうが、ミチルの反発ぶりからして、お母さんもゲッター線研究のせいで命を落とした可能性もあるのでは?とか思ってしまいますね…。達人もまたパイロットとして殉職していますし。
第2話前半で、竜馬がミチルに「お前の兄貴の死を汚すんじゃねえ」というシーンが好きです。竜馬の人間性がわかるのも良いですし、ミチルが少しだけ竜馬に対しての認識を改めた様子も見える。そしてこの言葉に反発しなかったミチルの様子から、彼女が家族に対していかに複雑な感情を抱いているかがわかります。解剖実験中の鬼が蘇生して博士を襲った時も、ミチルはちゃんと父親の心配をしますし、博士も研究所を爆破するとなればミチルを逃がしているんですよね。
そもそもミチルが鬼を研究し始めたのだって、ゲッターロボで人類を守るという早乙女博士の行動が切っ掛けであった可能性もあると思っています。
ミチルさんホント好きだよ。隼人がミチルを庇うシーンも好き。あの性格でありながら実はちゃんとヒロインしてるんだよね(笑)。
{/netabare}

【雑感】
{netabare}最終回タイトルの「いく」が平仮名なのが良いですよね。
「行く」ならばそのままの意味。第1話のタイトルがこれ。
「逝く」ならば「死ぬ」。永遠の地獄へ旅立つ。
「往く」ならば「目的地へ向かう、行き交う」。様々な時間と空間を彷徨いながら、ゲッターに抗うことこそが竜馬が選択した道。
どれも当て嵌まる。格好良いなあ。

何年かぶりに見て、投げっぱなしのようでいて実は監督の生真面目さが滅茶苦茶出てるなって実感した(笑)。答えを出せない・出さないと決めた所は全てボカシて、漫画版のテイストを取り入れながら竜馬と周囲のキャラクターをしっかり描いたのは、アニメスタッフの全身全霊だったんじゃないかと感じます。
川越淳監督は基本的には予算とスケジュールをきちんと守りながら、自分のやりたいことも上手く織り込んでいく職人肌のクリエイターです。アクションを盛り込む際にも、その作品の対象年齢を考えて描写を工夫できる人。
理詰めで物語を書いてくれる脚本家を捕まえられれば、川越さんの熱い演出とマッチして安定した作品になるでしょう。映画なのかOVAなのかTVアニメなのかがわからないのが鬼門ですけれども…(苦笑)
川越監督のロボットアニメが待ち遠しかったので、来年のアーク公開を楽しみにしたいなと思います。{/netabare}
(2020.11.7)


再視聴したので以下各話感想です。
【各話感想】
{netabare}第1話
冒頭から世界観を描く。からの主人公登場。荒くれで学の無い粗忽者だけど気さくで人好きする竜馬の人柄がさらっと描かれるのが良い。
竜馬、外国人のお姉さんに「カワイイ~」って言われてるけど、かくいう私も新ゲ竜馬は気持ちの良いキャラだなあと思う。
神社でのアクションと手水でのどを潤す竜馬の不信心ぶり、早乙女博士の底の見えなさ。前半でここまでしっかり描写するの詰め方が上手い。
後半で達人と竜馬がちょっと仲良くなってるのが…。早乙女博士、達人の死でショック受けていても表情は絶対に見せない。空が泣くというお約束の演出も、この画面作りと作風だと人の感情はわかりにくくなるので、かえってバランスが取れてるように思う。
あとはロボットアクションの良さだよなあ…巨大な鬼の出現シーンでの背景の使い方とかホント好き。

第2話
ミチルさん美人。最初は竜馬に良い感情を持ってなかったのに「おめえの兄貴の死を汚すんじゃねえ」の一言で少し見る目が変わるのが良い…ミチルさんの父への複雑な感情とかよくわかる。後で家族写真出てくるけど仲良さそうなんだよ…ミチルさんは早乙女の娘であることを否定しないし。
鬼の研究をしてるってのも、早乙女博士の研究を否定しながら肯定してるようで何とも複雑。こういう家族描写好きだ。
で、隼人なんだけど…私は何も言わないぞ(笑)。知的好奇心とエネルギーを向ける先があれば暴れない男なんだきっと(適当)。内田さんの怪演よ…

戸部敦夫さんの絵柄とアクション大好き。90年代からずっと知っていたアニメーターさんなのでゲッターにいてくれるのが嬉しい。
この回のゲッター2良い。辛うじて研究所の前で止まったゲッター2と登ってくる朝日も良い。ラストカットの陽光を浴びるゲッター2も良い。あと暴走した時にぶん殴って止めるのはお約束。


第3話
冒頭から面白い。弁慶じつはモテるよね。弁慶の性格や背景が短い尺でも良くわかる。
根っこが甘えん坊でこのままだとゲッターには乗らないだろうけど、和尚や仲間の死で修羅道へと分け入っていく。竜馬もそうだったけど、それぞれゲッターに乗る理由(感情)もきちんと描く。
キャラクター心理は本当にわかりやすくて、続くミチルさんと早乙女博士のやりとりからもピリピリしながらもお互いを心配しているらしいのがわかる。バイオレンスも持ち味ではあるんだけど、感情表現に目を向けるとさらに楽しめる作品だということがもう少し認知されても良いのでは。
今更だけど頼光の刀、ゲッターから切り出したものなんだっけ。だから鬼が狙うんだな。
弁慶と竜馬のやり取りがまた良い。親切心から早乙女博士を助けようとしてゲッター3に無理やり乗せられちゃう弁慶やっぱり好き。視聴者に癒しと言わしめるだけはある。
この回の鬼のデザインと変形凄く好き。何気にUFO状態とかSFしてる。


第4話
4話にして2度目の研究所の危機。3人の諍いから戦う理由を描き出して、やっとチームになる。隼人と弁慶に対して竜馬はゲッターに乗る理由は何もないと言ってるけど、達人の死がかなり影響してると思う。竜馬なりの義侠心のようなものはあるはず。
最初は身勝手で一人で勝手するな、無茶するなと言われてるのが、最終回では竜馬なりに仲間のために一人で勝手するのが上手いよね…。ちゃんと全体の流れが決まっていたんだろうなあ。


第5話
アバンの雲の上の戦闘すごく好き。月しか見えない静謐な雰囲気とか、地上からは見えないであろう孤独感とか、何が起きても不思議じゃないと感じさせる。次のシーンで地上では雪が降っているのも好き。
戦国時代の地層から発掘される鬼にせよ地下で骸を晒すゲッター試作機にせよ、意味を持たせられるかは現在の人の行動や回答次第っていうのが共通する描写。
博士とミチルさんは研究者、ゲッターチームは実践者として答えを探すことになるけど、隼人は両方の側面を持ってるから損な役回りだ(苦笑)
そのあたり、ミチルさんはもっと活躍しても良かった気がする…というか私が好きなんで活躍して欲しかった。


第6話
冒頭、巨大な赤い月、陰影の強い作画、見応えのある殺陣で舞台が変わったことがすごくわかりやすくなってる。博士とミチルさんのシーンに比べ色彩が暗くなっているのもあってまるで切り絵のようでとても雰囲気が良い。黒平安京編良いよな全部良いけどな!
頼光と竜馬の殺陣がまた良くて、上座下座が入れ替わるのが優勢劣勢の入れ替わりを表してるみたいでホント好き。
あと監獄の竜馬の「出ちゃう、ぞっ!」がホント好き(笑)。石川さん若い演技が上手すぎる。竜馬さん、下郎って言葉の意味知ってるの…?
頼光の胸触って一度は離れるけど、覚悟が決まってるとわかれば容赦しないっぽい竜馬さん良いですな。
隼人と弁慶の再会シーン、状況の説明がわざとらしくないのが好き。隼人と弁慶は考えて動いてんのに竜馬は本能で清明からケンカを買って真相に近づいてて笑ってしまう。
私は状況を動かすのが典型的な主人公だと思ってるんだけど、竜馬は色んな意味で状況を動かす。ゲッター線に望まず見込まれているのも併せて。だから見ていて楽しい。隼人と弁慶は視聴者に対して物語の理解度を上げる働きをして、かつフォロー役って感じでこの回好きだなあ。

余談だけど、チェンゲのゴウはいないと状況が動かないキーパーソンタイプの主人公だと思ってる。動かす意志を見せるのが渓。で、渓も人間関係ではキーパーソン。そしてゲッターの中心に竜馬。それぞれ役割の違う主役で誰がいなくても成り立たない。そりゃ複雑になるわ、チェンゲ。


第7話
ゲッターロボと竜馬と晴明が揃い状況が動きだす。
さておき、この回初見で竜馬さん二人のこと仲間だと思ってたの!?と思った衝撃が忘れられない(笑)。各々の意図が時に対立しつつ共に行動することになる。確かに腐れ縁だけど、どうにも好きにならざるを得ない描き方するんだよなあ…ミチルさんや博士も含めて人間関係がすごい好きだよ、新ゲ。
弁慶の夜逃げに笑わされつつ、何気なく隼人が大事な話を整理してくれるのが有難い。焚き火に悪魔の顔が浮かび上がるのが良い…んだけどこれは鬼なのかゲッター線の暗喩なのか。弁慶が難しい話でも眠くならないの、よっぽど腑に落ちなかったことなんだろうなあ…
竜馬と酔った下っ端兵士の会話が素晴らしすぎる…。ホント好きだよこのシーン。戸部さんのすっきりした絵柄と表情付けが良くて。アクションも好き。三人が合流して絆が確かに感じられるの良いよね。
そういやずっと思ってるんだけど晴明は人間なの?鬼なの?


第8話
前半はとにかくバトル。川越監督はゲッター1からゲッター3まで出来るだけ出そうとしてくれるのが好き。竜馬メインの物語なのでどうしてもゲッター1が露出多くなるけど。
頼光、貴重な女性キャラが…。竜馬が童子斬丸を墓標代わりに置いてくるの、男女関係なく武将への弔いとしてだと考えると、本人の生きざまを肯定しているようで好き。

黒平安京編、石川先生の作品へのリスペクトなのかな?新ゲの物語としては時空を超えていることがわかれば他の舞台でも成立はするけど、平安京を選んだのはパラレルワールドとわかりやすいから?そしてそこに生きる人々は同じ人間だと描く。ゲッターによって他の世界にも災難が降りかかると思わせ、最終話の竜馬の行動のヒーロー性を増すという狙いかな?と。
当の竜馬はわかって無さそうだけど(笑)


第9話
腹立てたからって研究所の設備一つ壊してる竜馬さすがすぎる…(笑)。ミチルさんのロングヘア好き。引きこもりの老人と言いながらこんな厄介な仕事引き受けてるミチルさんすごく不思議なんだよな。研究者の探求心か、娘として父が心配なのか…
竜馬、これだけ凄惨な世界を見てゲッターと自分自身の危険性をやっと認識するの、やっぱり頭良くないんだなあとか思ってしまう(苦笑)。
竜馬が研究所を去るのはゲッターを恐れたというよりも、自分自身がその未来を創る可能性があることを嫌悪したから。新ゲ竜馬こういう所好きだよ。
竜馬が出て行ったと聞いて弁慶が「何で止めなかったんだ!」って真っ先に言うの好き。隼人の言葉も好き。慣れ合わない独特の仲間意識が良い。

…清明ロボは何度見てもグロテスクですな…。OVAじゃなくTV放送だったらR15位かなあ(汗)


第10話
3年間の不在で帰る場所なくなってるのすごいしんどい…さらに新宿に大被害が出る。ネオゲは市街地戦が売りだったけど、新ゲだと人的被害に言及してるのが作風の違いだなと思う。
演出しかクレジットされてないけど多分絵コンテも川越監督だよね?竜馬の分岐点だもんな。
隼人、竜馬がゲッターに見込まれているのが気に入らないのに戻ってくるとちょっと嬉しそうなんだよなあ…複雑な所だけど。あとやっぱり弁慶は癒し。


第11話
清明の捨て台詞が不吉で好き。第1話での達人への「先に地獄で待ってやがれ」という言葉が悲しい。竜馬がゲッターに見込まれているのでおそらく普通に死ぬ未来はないのだろうから。
ロボットを作ったことで地下に何かが起こった、まではともかく理由はあったんだっけ?ゲッター線何でもありだな…
竜馬隼人弁慶それぞれに考え方があって対立し、どこまでも慣れ合わないのが良い。
弁慶が倫理観的にはストッパーなのが上手いと思う。新ゲは弁慶の役割が強く押し出されていて、破戒僧だけど外道ではないっていうのが好き。早乙女研究所にいる人達皆ゲッターのせいである意味道を外れてるもんなあ…


新ゲッターロボ第12話
ゲッターロボの最初の試作機が起動した時に地下に突然出現したゲッターエネルギー、これがある限り人類は鬼に狙われ続けるから消し去ってしまわないといけないわけだよね?だからもしかしたら博士は鬼以上の強大な敵が現れるのを待っていたのかな、と思わなくもない。早乙女博士、ゲッター線に取り込まれつつ人としての在り方を保持しているギリギリの段階だったんだろうか…
博士とミチルさんとのやり取りと、写真の演出好き。
隼人、竜馬に何を言いたかったんだろう。弁慶の気持ちのやり場をそらしてやる所、隼人もまたやり場のない気持ちを抱えてる感じする。
竜馬が人間離れしてきているのを弁慶の戸惑いと隼人の目線で表現するのが上手い。アニメキャラがどんだけ血みどろでも指摘されなければ視聴者は異常だとわからない。というか気にしないのがマナーだもんな(笑)


最終話
川越監督は最終話に色々詰め込み過ぎなんですよ好きですけど!

そういえば地獄の窯の底、スパロボNEOのラストステージなんだっけ…あの清く正しいNEOでえらいけったいな場所選んだなあ…

ゲッター線が進化を促すというのは結局出てきてない…よね。強さを求めるだけなら竜馬がいればいいけど、3人が乗り込むことに意味があると描いてくれたのが好き。
ゲッターの行きつく姿と言われて竜馬が覚悟決まった表情してるのが…。地獄変で見せられた光景を再来させないという決意なんだろうな。
序盤でやってた3人が心を合わせるのが大事っていうことを、ゲッター線に取り込まれないための楔としてラストに生かしているのが良く出来ている。
地獄の窯の蓋はまだ閉じていないなら、いつかの3人の再会も可能性はある。その時は敵の襲来もセットかもしれないけど。

川越監督のゲッターは巨大な宇宙の意志に対してそれでもと言い続けるドラマを一貫し、スケールの大きな物語と地に足が付いた人物描写が両方味わえるのが美味しいです。脚本の大西信介さんも13話分全てを一人で担当されていて、とても丁寧に書いてくれたと思う。バイオレンスを話題にされがちな作品だけど、根っこには結構ウェットな感性があるなと3度目の視聴で改めて感じました。
ゲッターロボアークにさらに期待が高まる。楽しみです。{/netabare}
(2021.6.27)


【原作読了&東映版視聴後追記】
今回は心理描写と演出に注目して見てみました。
あとは漫画版を読んだり東映版を見たこともあり、わかってきたことも多少。

漫画版(ゲッターロボサーガ)をコンパクトに再編したのが本作で、ゲッターチーム登場の見せ場は漫画版に寄せています。ただし漫画版よりもバイオレンスな味付けは強かったかも。
特徴的なのが武蔵坊弁慶の存在。名前からして武蔵と弁慶を統合していますが、サーガの全ての3号機パイロットの要素を詰め込んで作中での役割を強く明確に押し出した、特異かつ見事なキャラクターです。

東映版の影響もそこかしこに見えますね。ミチルは性格は全く違いますし恋愛要素はないものの、3人にとって守るべき仲間であるのは変わらない。ミチルが3人と早乙女博士のサポート役であること、十字架のネックレスを身に着けていることも東映版を踏襲しています。
ゲッターに滅ぼされた鬼達・鬼を操る清明・それを操る神が敵なのは、アンドロメダ流国をわかりやすく置き換えたのかなと感じますね。

石川賢先生の他の漫画作品からのオマージュも多いとのこと。それらの作品はまだ未開拓ですが、今気づいたことを取り急ぎ書き留めています。

【ツイッターでの雑多な感想】
{netabare}第1話から第4話
竜馬と隼人の登場はアレンジを加えて短縮しつつも大きな流れは漫画に近い。ミチルさんは漫画版とも東映版とも全く違う。弁慶が仏僧なのは敵が鬼となっている世界観に合わせて獏の要素を入れている。

新ゲのロボ戦は地上戦での演出が背景と連動してて好き
ロボ戦で電線が切れれば街灯が道なりに壊れたりとか、ゲッター1が墜落して衝撃で川が氾濫したりとか…90年代ロボアニメにはよくあったと記憶してるけどどうだったっけか
ネオゲ市街地戦に対して新ゲは地方の自然の中で戦ってるの好き

皆大好き新ゲ4話の地獄へのエレベーター、指揮を執ってるのが隼人・全体を後押しするのが竜馬でゲットマシンの並び順の通りなの、演出上もマッチしててゲッター線の導きって感じ…偶然のはずなのになあ
雲の上まで上がった時の月といい、敵をゲッタービームで蒸発させたシーンといい、新ゲ演出家は月が好きすぎるんですよ
私も好き

弁慶がお前の無茶に付き合ってたら命がいくつあっても足りないってセリフ、竜馬の大した命でもない癖にってセリフ…見返してみると全く素直じゃない…大西さんかコンテ演出かわからないけど台詞回しが一筋縄では行かない。
漫画版だと石川先生はちょっとひどいと思う台詞も親愛の表現として書いている節がある。

新ゲ5話
隼人が先人の死に意味があるのかと問うの、あなたそんなこと考える人でしたかってツッコミたくなるんだけど、最後まで見ると忽然と消え失せたものさえ捨て去れないというか意味を探さずにいられない性分なんだろうな…
G見たのでやっとわかるけど3系がネット使ってるのポセイドンが元ネタじゃんね…監督東映版好きなんだなあ。OPのゲットマシン発進シーンも東映版Gのオマージュ。
ちょっと次回予告格好良すぎですね
そして読経のクレジットに感謝ですね
どういうツテなんだろう本気で謎だ…

新ゲ6話
別のアニメ始まった!背景や空気感でここまで別世界ってわかりやすい演出するのはほんと親切だわ
赤い月が好きすぎるし月をバックに馬に乗った鎧武者とかスタッフ好き放題しすぎだし石川先生はきっと笑って許してくれたんだろうなって
あとアクション
何度も言うけどアクション演出いい

どこかで「新ゲはミチルさんがモブ」って感想見たことあるんだけど私は逆だと思うな。ミチルさんにせよ頼光にせよ女性陣への態度や気持ちを見せて男性キャラの行動や心理を明確にしてる。本筋に関わる活躍じゃなくて心理面で。
赤鬼の巻物、せっかくなら腰巻も黄色とか虎柄とかにして欲しかったなあ。新ゲッター1のパンツ黄色いから。
この回竜馬が鬼を迎撃するシーンからラストまでの畳みかけ方がめっちゃ好き。一気に事態が動き始める。

新ゲ7話
ほんと晴明って何者よ
まあ陰陽師って式神とか鬼とか使うからなんだろうな
この回のゲッター2好き。苦戦するシーンもトマホーク使うシーンも。
ロボ作画は若干荒いんだけどコンテ演出が神がかってる、チェーンのたわみ方とかも作画上手な人じゃないと出来ないし。
竜馬さんの仲間なら~、発言好き。3人が再会するところも。
7話はちょうど折り返し地点。人間関係と本筋の肝になる色々な事柄がかなり明確になってくる回で、全13話の構成がきちんと見える。

新ゲ8話
黒平安京では一般人との絡みもちょくちょくあるので、竜馬の性格の本質がわかりやすい。早乙女研究所の中だけで話が進んじゃうと狂犬っぽさが目立ってしまうけど。
いやそれなら近隣の街を守る展開とかにしろよって意見は認める。現代の話も見たかった…。
黒平安京でゲッターロボが戦うシーンで和風建築が対比になってるのが好き。津波とかも。

新ゲ9話
家族写真が…このシーン好き
東映版見たのでわかるけど、和子さんもかなりイメチェンしてるっぽくて気になる…。登場して欲しかったなあ
この回の隼人と竜馬のやり取りめっちゃ好き。(別に良いシーンでも優しいシーンでもないが)
あと漫画版読むまであまり思わなかったけど竜馬の垣間見た世界、かなりおぞましくなってる。竜馬が隼人と弁慶を意図せず殺す画は漫画版にはないからなあ。なんだかんだで容赦ないなあスタッフ…。
漫画版先に読んでた人の方がショッキングなんだな、これ。
ああ緑のゲッター烈火っぽいのいた…。ゲッター號に見えるようなのもいるし。
地獄変の世界の演出がどれも好きなんだけど。
ここまでで竜馬の本質がどんなかを描き、ゲッターについての問い掛けをしているので凄く響く。細かい所理解できなくても、竜馬の心理をきちんと追っていればなんとなくついて行けるっていう塩梅。

特典映像の「竜馬が斬る」で早乙女博士役の有本さんが鬼って何って話で「人の心の鬼」って言ってたの印象的だったな。
有本さんはまた違う意味で言ったと思うんだけど、ゲッターの意思にどうアプローチしていくかはキャラの心に委ねられているっていう意味では本質を突いた発言だったよなあと。人は心の在り方次第で鬼や悪魔にもなる。ゲッターロボを駆る者がどんな意思を持つかで希望が見えるかもしれず、他種族を全て滅ぼし進化のどん詰まりに行き着くかもしれない。

あれ…?じゃあ現代→恐竜帝国→未来→現代って変遷したアークと、現代→黒平安京→現代&地獄の窯の中って変遷した新ゲって流れが近い…!?
監督の御業か偶然か?

黒平安京のラストもやたらとロケーション含めたバトル演出に手が込んでるんだよな…。和風建築とロボとの比率とかが見てて楽しくて、巨体感とか重量感好きなんで惚れ惚れする。逃げる人達との対比や津波も監督作品だとお約束。
どんだけ作画班に大変なことを毎回やらせるんですかね…

新ゲ10話
冒頭の竜馬と隼人の会話めっちゃ好き。演出も。基本思ったことは口に出す竜馬でも一切本当のことが言えてない。つらい…。
隼人もこれまで本音で話したことが無いから問いただしたくても煽るような言い方しかできない感じか…。
新ゲ隼人成人はしてると思うんだけど高校生の東映版よりさらに不器用だよね…。早乙女博士を問い詰める時も煽る言い方になってるし。

あっ新宿の目…東映版だと新宿の目の裏側に百鬼帝国の基地があった。
今も昔も象徴的なオブジェなんだなあ(田舎者の感想)

鏡面やガラス、刃物に写り込む演出は川越監督のコンテに散見される。勿論川越監督ばかりじゃなく色んな演出家がやっているけど、ベテランさんに多く見られる気がするな…私が見た限りだけど。

新ゲ11話
ああ、今見ると緑のクリスタル部分が光ってるのはゲッター線が荒ぶっているのか…。竜馬のかなり荒っぽいセリフも、ネット上で書き出されたのを見かける度に今一しっくりこないと思ってたけど、竜馬自身がゲッターに呑まれかけているからなんだな…。こわいこわい。
今回新宿を壊滅させたの、あの未来に至る可能性を竜馬に自覚させるためだしな…
竜馬の精神は確かにタフだし英雄的だけど、それでもあの決断に至らせるためにひたすら心を折りに来る。
竜馬は竜馬なりに新宿を気に入っていたし顔見知りも少なくなかった。3年経って自宅も失い知人も減って、竜馬自身が新宿を壊滅させてしまうのだからやるせない。

東映版武蔵と新ゲ弁慶は偉大だ…。竜馬と隼人がぶつかり合ったり反目しあっていると、その人間性で本音をさらけ出させる。
新ゲではなかなか本音を言わない二人の考えを、弁慶に対して話させることで吐き出させる。それを聞いた竜馬と隼人の関係も多少なりとも変わっている。竜馬の野生性、隼人の知性、弁慶の人間性が真っ向からぶつかり合うシーン。これがないと3人の心は一つになっていなかったと思う。

新ゲ12話
三匹の序盤のやり取りめっちゃ好き(これしか言ってないな…)
演出に言及できるような能力私には無いんだけど、それでも言いたくなるんですよね。
四天王と三匹が戦うシーンにミチルさんと博士が会話するシーンが重なっている。尺を詰めれば別々にも出来るだろうけど、意図的にこういう演出にしてあるんだろうな。全員が右手から左手の四天王に顔を向けていて、全員で四天王と戦っていると感じられるのが私は好き。
隼人とゲッター2が危機的状況に陥るのと合わせて早乙女博士の作戦しかないと思わせるのも上手いなあと思う。
ところでゲッター2状態から竜馬がオープンゲットしているのはもしかしてジャガー号の操作系がダメになってるんだろうか…。本当にヤバいな。

ミチルさんの十字架のネックレスが東映版と違ってシルバーなんですね。東映版、チェンゲ、新ゲの地獄変ではゴールド。
それで足元に十字架が転がるシーンで腑に落ちた。ああ、兄が死んでから登場する新ゲミチルさんの十字架は死者を悼むものなんだなと。
ゴールドの十字架のネックレスは隼人の母から息子へ、男性(隼人)から女性(ミチル)への愛情の象徴で良いと思うんだけど。
早乙女博士が達人さんに語り掛けながら窯の蓋を開くシーンと重なっているので、達人さんへの追悼、博士への追悼、他の全員が生き残ってほしいという祈り等色々な思いがこもっている。
同じゲッターシリーズで印象的なアイテムを別の意味合いで使う所が繊細だなと思う。

あっ…原画に川越監督が…

新ゲの早乙女博士の真理に辿り着いている感。
竜馬と隼人の出した結論、アニメアーク見た後だと凄く綺麗に頭に入って来る。新しい発見があるというか鮮明になっていくというか。
死者に意味を持たせられるのは生きている者たちだけってセリフがあったのもそう。
「愛する者のためにだけでも、戦い続ける価値はある」って新ゲでは言ってないけど、色んなシーンでその思いが通底しているのを感じる。{/netabare}
(2021.12.5)

投稿 : 2024/11/23
♥ : 5

計測不能 5 ブレインズ・ベースでロボットなアニメランキング5位
爆闘宣言ダイガンダー(TVアニメ動画)

2002年春アニメ
★★★★☆ 3.1 (5)
54人が棚に入れました
「バトロボ」同士を双方のコマンダーが行動を指示し戦わせる「バトロボマッチ」。主人公の少年・曙アキラは、リューグを始めとするチームメイトのバトロボたちと絆を深め合いながら、バトロボマッチのチャンピオンに贈られる伝説の称号「タイタンクラウザー」の獲得を目指す。

声優・キャラクター
瀧本富士子、甲斐田ゆき、麻生智久、梁田清之、小野坂昌也
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