フランス革命おすすめアニメランキング 5

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのフランス革命成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年08月03日の時点で一番のフランス革命おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

73.6 1 フランス革命アニメランキング1位
ベルサイユのばら(TVアニメ動画)

1979年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (136)
625人が棚に入れました
18世紀のフランスで、男として育てられた14歳の貴族オスカルは新たに皇太子妃となるマリー・アントワネットを護衛する近衛隊長に任じられた。心優しい彼女を守って数々の修羅場を戦い抜くオスカルだが、贅沢三昧の王侯貴族と貧しい庶民の溝は日々深まっていき、やがて血で血を洗うフランス革命が勃発する…。

声優・キャラクター
田島令子、志垣太郎、上田みゆき、野沢那智、吉田理保子、三景啓司、市川治、キートン山田、内海賢二、京田尚子、安原義人、森功至

Enchante さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

トゲがあっても美しく散るベルばらワールド

第1話の冒頭から緊迫したおどろおどろしい雰囲気が漂い、不吉な予感を感じさせるBGMが特に秀逸です。そうした流れの中で、オープニングテーマ 『薔薇は美しく散る』が流れると、一気に「ベルばらワールド」に引き込まれます。

‘草むらに 名も知れず咲いている 花ならば~♪
(中略)
バラはバラは 気高く咲いてバラはバラは 美しく散る♪’

作風の雰囲気が強く伝わる凄い名曲です。

主人公のオスカルは貴族階級なのですが、望まれない女子の誕生だったため、男子として育てられ、王妃マリー=アントワネットの近衛士官になります。

その時代はフランス革命前の絢爛豪華なロココ調の彩りがある一方、貧しい庶民との生活格差が随所に描かれいて、革命前夜の序曲というのに相応しい世相が見てとれます。

もう一人の主人公・王妃マリー=アントワネットの話は、文豪シュテファン・ツヴァイクの伝記小説(こちらも大名作!)が底本となっていますが、上手に取り入れられてると思います。

デュバリー夫人との言葉の戦いや、王妃となる日の「国王崩御、国王万歳」の周囲の振る舞いが狂気じみていて、アニメならではの躍動感がありました。

ドロドロした内容やトゲトゲしいエピソードも盛り込まれており、そのバラの香りは、男女の悲哀に満ちた恋愛があいまって、気高く美しく散り、切ないです。

最後に、『ベルばら』でフランス革命の全容を学べると思ってはいけない、とだけ断っておきます。確かに本作は、数ある歴史もので、出色の出来栄えです。これをきっかけとして、歴史を学ぶという姿勢に否定するつもりは毛頭ありません。

よく誤解されますが、ポリニャック夫人にそそのかされた王妃マリー=アントワネットの浪費など、当時のフランス貴族中に蔓延していたものです。つまり、革命の要因でも何でもありません。

高校の教科書ではフランス革命は市民革命と書かれてあり、それに間違いはないのですが、今日の感覚で言う市民とは違います。『ベルばら』に出てくる貧民とも違うのはもちろん、所有権の不可侵性を主導した「ブルジョワ革命」がフランス革命の本質なのに、それを学べる部分が決定的に欠けてるのです。あくまで時代の雰囲気とフィクションを楽しむといった姿勢が良いと思います。

投稿 : 2024/08/03
♥ : 8

mikura さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

はじめて最後まで見たアニメ。

 1979年のアニメ。言わずと知れた歴史ロマンの大傑作。
 私が小学生から中学生のころ、夕方に何度も再放送されていて、衝撃的で官能的なオープニングに毎回胸をときめかせながら視聴していました。

 女性でありながら父親に軍人になるよう育てられたオスカルとその従者アンドレ、王妃マリーアントワネットとその愛人でスウェーデンの貴族フェルゼンを中心に、革命前のフランスを舞台にした歴史フィクション。

 オーストリアの女帝、マリア・テレジアの娘アントワネットが、政略結婚のためフランスのルイ16世に嫁いでくるところから始まります。このとき近衛連隊の隊員として、オスカルは国境付近まで迎えにくる。
 
 その後、当時の国王ルイ15世の愛妾デュ・バリー夫人とアントワネットとの確執、ルイ15世の崩御、フェルゼンとの出会い、社交界での数々の出来事や陰謀、そして有名な首飾り事件やヴァレンヌ逃亡事件、バスティーユ監獄の襲撃など、ほぼ史実にそった物語が主にオスカルの視点で描かれていきます。
 オスカルやアンドレはフィクションの人物ですが、これらの事件に密接に関わっていく形になっています。

 オスカルは近衛連隊長でアントワネットとも親しいため、当然王家側で、陰に陽にアントワネットを支えていくのですが、貧困にあえぐパリ市民や市民活動家たちとの交流を通じ、次第に気持ちが揺らぎ、葛藤を抱えていくのでした。
 
 何度見ても面白い。歴史の事実をもとにした物語なので、とてもリアリティがあります。高校で世界史を学び、当時の時代背景や周辺諸国の動向がわかってから見ると、またより深く楽しめました。

投稿 : 2024/08/03
♥ : 7

るるかん さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

フランスの歴史の一端として

フランスの貴族政治の隆盛期からフランス革命までのお話。
一般市民と貴族との乖離と貴族社会における陰謀と腐敗を
ドラマチックにアニメにした感じで、なかなか面白い作品
でした。マリー・アントワネットを守るオスカルは女性で
ありながら男として育てられ、美しすぎる近衛士官(王妃
の護衛をするかなり位の高い士官)で、とにかくカッコい
いメインキャラでした。

貴族の豊満政治に業を煮やした反乱兵士や市民の勢力が拡
大し、最後は実質のフランス革命のごとくバスティーユ監
獄が市民の反乱で陥落し、貴族政治は崩壊。マリー・アン
トワネットも処刑ということで、フランス革命の流れを、
アニメで観ることができる作品です。よくできています。
 
ドラマとしても、男性目線というよりは女性目線の恋愛観
が展開していて、いけないことも美しく表現されています。
しかし、陰謀に関しては、かなりネチネチしていて、この
時代のアニメ特有の陰湿な感じはあります。
 
女性が男らしい振る舞いをして、男らしい言葉を話す・・・
みたいな先駆け的作品であったと思う。OP曲の最初の画の
オスカルは、裸にバラがまとわりついている画だったので、
子供の頃はちょっと観るのが恥ずかしかった思い出がありま
す。
フランス革命はどうして起こったのか分かると思いますよ。

投稿 : 2024/08/03
♥ : 12

63.9 2 フランス革命アニメランキング2位
シュヴァリエ(TVアニメ動画)

2006年夏アニメ
★★★★☆ 3.7 (165)
1103人が棚に入れました
真実と忠誠の名において、私はお前に報復するときは18世紀、革命前夜のフランス。国王ルイ15世の御世――ヴェルサイユは栄光に輝き、セーヌ河の偉大な流れとともに、パリは美しくもおぞましい混沌に満ちていた。ある夜明け、一人の女性が亡骸となって、セーヌ河を流れ着く。彼女の名はリア・ド・ボーモン。棺桶の蓋には謎のアルファベット――《PSALMS》(=詩篇)が刻まれていた。その弟、デオン・ド・ボーモンは秘密警察に所属し、パリを騒がす淑女連続失踪事件の謎を追っている。姉もまたその犠牲者の一人だった。やがて、捜査を続けるデオンの前で禁忌の歴史が幕を開けるのだった……。


声優・キャラクター
泰勇気、水野理紗、成田剣、松元惠、佐藤晴男、喜多村英梨、稲田徹、櫻井孝宏、涼風真世
ネタバレ

らしたー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

類まれな格調の高さ

18世紀ヨーロッパ(主にフランス・ロシア・イギリス)を舞台に、史実とフィクションを巧みにミックスした骨太な物語が展開される。しっとりと落ち着いたトーンと淡々とした進行が特徴で、ターゲットは年齢層高めかと思われる。とにかく格調高いというのが第一印象で、オカルティックな要素が多分にあるにもかかわらずあまり荒唐無稽さを感じさせない。作画や音楽面も雰囲気を大切にしていることがよく伝わる素晴らしい出来。原作は知らない。あと萌とか期待するな。

●舞台
革命前夜のフランス。といってもルイ16世やマリー・アントワネットに代表される断頭台の季節ではなく、この作品はそれより一世代前、ルイ15世やポンパドゥール夫人らの時代。アンシャン・レジーム崩壊の序曲が静かに流れ始める火種の季節である。
主人公は実在したフランス外交官デオン・ド・ボーモン。姉の不審な死に端を発する「王家の詩」の謎をめぐり、秘密外交官としてロシア・イギリスを駆け抜ける。劇中、姉リアの魂が乗り移って女性騎士として描かれることがあるが、これもある程度史実を踏まえた設定である。

●脚本のうまさ
舞台をフランス→ロシア→イギリスと変え、最後は再びフランスの地で終幕を迎える、という構成。追う立場と追われる立場が幾度も逆転する展開が冒険活劇テイスト満載で飽きさせない。
うまいと思ったのはロシア編。プロット上ではロシアの変革は主人公たちにとってまったく関係のない話なのだが、女帝エリザベータからエカテリーナへと引き継がれる啓蒙政治の端緒を垣間見せることで、フランスの相対的な後退を印象付ける構成は見事。

●史実との整合性
半分以上フィクションなので整合性もなにもないわけだが、登場人物の年齢からなんとなく考察してみる。
そもそも西暦何年頃を想定した話かという点がひっかかる。{netabare}史実では1762年初頭にロシア女帝エリザベータが崩御している(劇中ではマクシミリアン・ロベスピエールによる暗殺)。劇中で間髪入れずに起こるエカテリーナによるクーデターも史実において1762年の出来事。夫であるピョートル3世を追い落として女帝エカチェリーナ2世として即位する。このあたりの展開は大筋で史実をなぞっているようなので、ためしに1762年当時における主要人物たちの史実年齢を見てみると、

デオン・ド・ボーモン(主人公):34歳
ルイ15世:52歳
マリー・レクザンスカ王妃:59歳
オーギュスト殿下(のちのルイ16世):8歳
サン・ジェルマン伯爵:55歳?
ポンパドゥール夫人:41歳
カリオストロ伯爵:19歳

ポンパドール夫人41歳はすごくいい線だが、なんかちょっと違う気がする。。若々しい主人公が34歳はありえないので24歳設定にすると、今度はオーギュスト殿下がまだ生まれていないことになる。マリー王妃の59歳てのもなあ。要するに登場人物の年齢設定は相当いい加減であり、同時代性は豪快に無視されていることがわかると思う。無理に答えを出すなら「だいたい1750-1780」てのが落としどころである。

ただ、こんなことを調べているうちに、1762年ってロベスピエールがまだ5歳に満たないよなあ、なんて気づいちゃって、おそらく作中のマクシミリアン(ロベスピエール)は、革命家として名高いあのマクシミリアン・ロベスピエールの名だけを史実から借りる形で、架空のトリックスターとして登場させているだけだ、そう考えると彼の人物設定だけが他の実在人物と違って原型がないくらいの大胆なアレンジがなされているのも頷ける、、なんて考えていたら最終回であの展開ですよ。一本取られた。{/netabare}


●総評
マイナーな作品ではあるが、力強さを感じる佳作。
個人的に少々残念なのは中盤以降ややファンタジー色が強く出すぎてしまい、せっかく丁寧に描かれてきた権謀術数の数々が薄っぺらくなってしまったところだろうか。

投稿 : 2024/08/03
♥ : 5
ネタバレ

Britannia さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

真実と忠誠の名において、私はお前に報復する

♠あらすじ
時は18世紀、革命前夜のフランス。
国王ルイ15世の御世、ヴェルサイユは栄光に輝きセーヌ河の偉大な流れとともに、パリは美しくもおぞましい混沌に満ちていた。

ある夜明け
一人の女性が亡骸となって、セーヌ河を流れ着く(姉、リア・ド・ボーモン)。
死の原因を調べる為、主人公(デオン・ド・ボーモン)は秘密警察に所属し、パリを騒がす淑女連続失踪事件の謎を追って行く。
後に、大きな歴史の渦に巻き込まれるのであった。
※シュヴァリエ (Chevalier)⇒フランス騎士

♥全24話視聴中の感情
並より良いね(★3.5)⇒ダレて来た切ろうかな(★3.0)⇒再び良くなってくる(★3.5)⇒もう夢中(★4.5)
{netabare}フランス⇒ロシア⇒イギリス
手掛かりが消えては移動って所でダレる、視聴中は詰め込んで1クールにまとめた方が良かったんじゃないかと思っていた、しかしそこを乗り越えると夢中になる、断念してたら勿体なかった。{/netabare}
レビューを見ると、結構視聴してるのに切ってる方が居るのはこの辺りだと思う。
後半の伸びが素晴らしいので中盤まで見れた方は切らないで欲しい。
原因の究明・好奇心・歴史・真実とは?
シリアスなシナリオが好きな人にはオススメです。

♦ネタばれ{netabare} {netabare}
♣良かった点
主要キャラの行く末、結末が素晴らしい。
(デュラン、ロビン、テラゴリー、マクシミリアン・ロベスピエール他)
物語を通してそれぞれが成長し相応しい結末を辿る
特にロビン、その後で2期を製作して欲しい。

♤涙
アンナ死後のくちづけ
長い年月アンナに愛され続けた、デオン・ド・ボーモンの余生
その年月以上に思い続ける姿には感動しました。

♡王家の詩
書物の姿をしており、選ばれた者しか開くことが出来ず手に持つことさえ出来ない
王家の秘密や繁栄のための予言が書かれている王家に伝わる未来の預言書。
真実ってのは興奮します。

♢個人的に気に入らない点
1番に、ファンタジー(錬金術・詩人)これマジ要らない
(強すぎる・バランスが壊れる・理解困難意味不明)ロミオ×ジュリエットも同様。
折角物語がシリアスで、作り込まれていて良いのに冷めるし幼稚になる
今作品を作成する上でエンタメとして必要なのだろうが極論を言えば乗り移りさえ要らない。
実在の人物は女装してたらしいし、ファンタジー削ればもっと深みが出たと思う(名作、★5だったかもしれない) {/netabare}{/netabare}

♧総括
見て良かった、とてもおもしろい作品です❤

投稿 : 2024/08/03
♥ : 16

じぇりー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

史実との整合性の取り方が絶妙!

主人公を始め、登場人物の多くは18世紀に実在した人々である。

特に主人公のデオン・ド・ボーモンの生涯は非常に興味深い。外交官であり騎士として優秀な活躍を見せていたが、後世になると「自分は女性」であると主張し、性別不詳な人物である。(男性である説が強いようなので、現在でいうところの「女装家」だったのかもしれない)

治世はルイ15世の時代。そう、フランス革命、マリー・アントワネット、ギロチン台など誰もが知っているルイ16世の1代前となる。アニメにも登場する愛妾・ポンパドゥール夫人などは有名だろう。

この頃のフランスは丁度、諸外国との戦争に負け、財政危機に陥って王家が求心力を失い始めた頃である。そのような状況下にも関わらず、王家への忠誠心厚いデオンは王命に従い、また姉の死の真相を探るため、様々な困難に向き合うことになる。

ホラー要素の強い作品であり、一部エグみのきつい描写があるので注意。
このように、本アニメは歴史を忠実になぞらえた内容ではなく、魔術やオカルトが存在する完全なフィクション作品ではあるものの、所々に史実との整合性を取っている部分もあり、それらが非常に見事に融合している。

3人の仲間を得、「四銃士」として「機密局員」の活動することとなったデオンは、その機密局という特殊性ゆえに、命がけの王命を受けているにも関わらず、国から一切の援護・保護が受けられない、いわば「孤立無援」の状況で事に当たっていく。

それをどのように彼ら四銃士が自らの手で切り抜けて行くのか、というのが大きな見どころの一つである。四銃士それぞれが、これほどまでの危険を冒してでも戦わねばならぬ何かを背負っている。
単純にアニメのストーリーとして見てみても、特に15話以降は、息もつかせぬ勢いで物語が展開していく。

作画に関してだが、ネタバレになるため詳細を書くことはできないが、終盤に行くにつれ、主人公に徐々に表れる「とある変化」はわざとらしくなく、かといって分かりにくくもなく上手く描かれていた。

そして、キャストは人気より実力を重視した配役であると感じた。この物語に引き込まれる要素は、声優の好演にもあると思う。

投稿 : 2024/08/03
♥ : 8

66.0 3 フランス革命アニメランキング3位
ラ・セーヌの星(TVアニメ動画)

1975年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (14)
90人が棚に入れました
18世紀、革命前夜からのフランスを舞台に、謎の美少女剣士を主人公にして描かれる史劇ロマン。セーヌ川周辺の花市場で花を売る少女シモーヌ。横暴な貴族に両親を殺された彼女は、謎の仮面の少女剣士「ラ・セーヌの星」として腐敗した貴族階級と闘う。そのシモーヌを陰ながら支援するのは、彼女を慕う青年ロベールこと「黒いチューリップ」だった。だがそんなシモーヌを待つ驚愕の真実。それは王妃マリー・アントワネットと彼女とを結ぶ数奇な血の絆だった。もともとは池田理代子の大人気少女漫画『ベルサイユのばら』のアニメ化企画が原点だが、企画が変遷していき、アニメ・オリジナル作品となった。活劇の迫力と史劇ロマン性にあふれた独特な少女アニメとして、根強い人気を保つ。

声優・キャラクター
二木てるみ、広川太一郎、武藤礼子、阪脩、水池通洋、寺島幹夫、小林清志、富山敬、野沢雅子

kuroko85 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

フランス革命を題材に取ったオリジナル作品

オープニングが妙な日本語だったのを覚えています。あれはフランス人でしょうか。フランス革命を題材に取ったオリジナル作品ですね。主人公はマリー・アントワネットの異母妹と言う設定で、この世の悪を「黒いチューリップ」と共に戦うと言う物です。当時のフランスは貴族の利権に関わる陰謀や、しがらみがあり、物語が進んでいくごとに、(それらの陰謀の)深みに入り込んで行く事で義理の姉であり、王妃であるマリー・アントワネットと接し、(国民の敵でありながら)特別な感情を抱くようになる。当時としては奥の深い(難しい)作品でした。

投稿 : 2024/08/03
♥ : 2

56.9 4 フランス革命アニメランキング4位
冤罪 eine falsche Beschuldi-gung(OVA)

2004年4月23日
★★★★☆ 3.1 (17)
130人が棚に入れました
時代はフランス革命、ナポレオン時代の後。主人公の少年ガイズは万引きをした罪で逮捕されるが、その過程で身に覚えの無い殺人の罪をきせられ、暴力の応酬が交錯する刑務所へと送りこまれる。理不尽な拷問や堀の仲間から受ける辱めの日々の中、再び自由を取り戻すことへの思いだけが彼の支えであった。

takumi@ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

レ・ミゼラブルではないけれど・・

舞台はフランス革命後のフランス。
ある日、主人公の少年ガイズは万引きをした罪で逮捕されるが、
取調べ中、身に覚えの無い殺人の罪をきせられ、終身刑に。

刑務所での理不尽な拷問や囚人仲間から受ける恥辱の日々の中、
担当弁護士ルスカと、ガイズを弟のように可愛がってくれるエバにより、
事件の真相や冤罪のわけを暴いていく・・というお話。

で、なんでこれがBLにジャンルされているかというと、
拷問、囚人や看守たちからのいたずら、及び暴行、輪姦、が
男同士だからなわけで。。微妙に納得いかない複雑な想いが
あるけれども、元々の原作がそういった内容のゲームだったらしい。

愛情がひとしずくも感じられない物語の背景は、
観ててちょっとつらいものがある。
ただでさえ無実の罪を着せられて終身刑。
それだけでもう誰も信じられない状態になってるはずだし・・
追い討ちを次々にかけるような悲惨な展開は、気持ちの良いものではない。

むしろ、投獄中の元新聞記者エバと、元凄腕の弁護士ルスカの
わけありな友情とか、ガイズを陥れた刑事・ギルディアスが選んだ囚人との
倒錯的に歪んだ関係のほうに焦点を当てた展開にしたほうが、
物語にもっと深みが出てきたんじゃないかと思う。

一応、エロシーンはちょくちょくと出てくるものの、
際どい事をしているわりには、なぜか全然何も感じられず。。
おそらくそれは好みや価値観によって、人それぞれなのだろうけど、
この作品を好きだという人がいるのかどうか少々疑問だ。
特に女性から好かれる作品には到底思えないのだが、
BL作品を相当な本数観たり読んだりしてきた上級者の中で
まっすぐな相思相愛に飽きたり、ベタベタラブラブが嫌いな人には
もしかしたら好評になるのかもしれない。

投稿 : 2024/08/03
♥ : 21

るぅるぅ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

私の心は犯されましたw

「あにこれ」のあらすじを読んだところ、冤罪で収容された少年が釈放される過程を楽しみに視聴しました。
そしてそれが間違いでした・・・。

刑務所の収容されると同時に洗礼として、犯される少年同士のレイプ描写と意表つかれる展開で度肝を抜かれましたね;;

初BLで私の心も犯されましたw
さすがにこの時ばかりは、萌キャラやハーレムアニメの有り難味を感じましたね。

衝撃的な展開により路線が違うと実感しましたが、2話完結なんで意地を出して視聴続行。

そして少年の冤罪を証明する弁護士と刑務所にいる仲間達により簡単に釈放される流れは、あっさりし過ぎて唖然としましたね。
ただ、主人公のガイズの犯された後でも冤罪が立証されると信じる気力と精神力に圧倒されたことは確かです。
私だったら発狂して死んだ魚の目になっていると思いますね;

このアニメはゲーム原作を再現する上で冤罪というテーマから生きる喜びを伝えたかったのかな と思います。

確かにBL要素を拷問として考えると生き地獄ですね。
変な刺激を味わったアニメとして忘れられない作品にはなりました!

怖いもの観たさで視聴すると良いと思います。
エロシーンの行為自体は特別に秀でた過激描写はないです。

投稿 : 2024/08/03
♥ : 10

nani-kore さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

色んな意味で超ハード級;;

BLとしてハードといえるかどうか。。
ショタ物の最高傑作として名高い本作、児童愛護の精神からは、大気圏外級にかけ離れています;
とにかくエグいです;;
凄まじい暴力をウケ続けた少年が、何とか生還できて、一応いきなりハッピーエンドで良かったです~3

コレを観て、ウヘヘという気分にはなれませんでした。
激しい作画崩壊も含めて、何とも目に痛い作品です。
ショタ物の最高傑作?そう評価する人々(女性かよ;;)の病みっぷりを思うと、あまりディープに深入りする世界ではないような気がします。

本作に限らず、一連のBL物を観ていて思ったこと。
レイプ始まりが多いという事実。
そーゆー潜在的願望が多いってコトでしょうか?
何だか病み悩みが悪化しそうです。
ここいらでBLは休憩っと。。

投稿 : 2024/08/03
♥ : 6

63.9 5 フランス革命アニメランキング5位
Pumpkin Scissors パンプキン・シザーズ(TVアニメ動画)

2006年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (215)
1340人が棚に入れました
停戦から三年を経た今も戦災という名の混乱が続く帝国。この戦災から帝国を復興させるため、専門課を軍隊内に設置した。それが陸軍情報部第3課(通称:陸情3課)及び実動小隊パンプキン・シザーズ。物語は、とある村にパンプキン・シザーズとして赴いたアリス・L・マルヴィン少尉と退役伍長ランデル・オーランドとの出会いから始まった。 

青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

アリスに引っ張り回されることに心地よさを感じはじめたなら、あなたももう立派なパンプキン・シザーズのメンバー

岩永亮太郎による原作漫画は、『月刊少年マガジン』(講談社)で連載中(既刊23巻、原作未読※4年の休載を経て2024年5月から連載再開!)。
アニメは、全24話(2006年)。監督は、『神秘の世界エルハザード』、『イナズマイレブン』シリーズなどの秋山勝仁。制作は、『宇宙戦艦ティラミスⅠ・Ⅱ』、『火ノ丸相撲』などのGONZOと、『天地無用!』シリーズ、『瀬戸の花嫁』などのAICの共同製作。
(2024.6.25投稿)

全く知らず、なんだこれと思って観始めたものの、古い作品だけど埋もれさせるのはもったいないと感じて、いまレビューを書いているくらいには気に入った作品(笑)

雰囲気は、『鋼の錬金術師』が近いけれど、ハガレンよりファンタジー色は弱め。また、「人の持つ狂気」を描いているところも共通点。


【あらすじ+設定解説】
第一次世界大戦前後の軍事技術を持つ架空の世界が舞台(ただ、回転式の砲塔を備えた戦車が最強で、航空機は出てこないので発展がいびつ)。
もっとも、軍事技術は二十世紀なのに、主人公のアリス少尉(CV.伊藤静)が所属する帝国は、十八世紀のフランス革命期(「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」の頃)のような「平民と貴族」との間に「家畜と人間」くらいの身分格差が残る社会というギャップがある。

その帝国は、共和国と国土が大きく荒廃するような大規模戦争をした後に停戦に至る。しかし、敗戦ではなく停戦であったため、旧態依然の貴族社会がそのまま残ってしまう。これが主な原因となって停戦から3年が経過してもなお戦争による社会的混乱は収束せず、貴族・軍部の汚職、難民、兵隊の野盗化などの「人為戦災」が続いていた。
そこで、帝国は、これらの問題に対処する専門部隊として陸軍情報部第3課(後にアリスが「パンプキン・シザーズ」と命名)の設置を決める。

もっとも、第3課の「戦災復興」は名目にすぎず、実際は戦争後に必要のなくなったはずの軍部が予算を維持・獲得するための口実として作られた捜査・逮捕権のないお飾りの部隊で、実情を知る軍部では「お祭り部隊」と小馬鹿に(3課のメンバーは、様々な理由から軍で行き場を失って閑職に追いやられた人たち)。

しかし、第3課課長のハンクス大尉(CV.チョー)以下、アリス少尉、オレルド准尉(CV.鳥海浩輔)、マーチス准尉(CV.鈴木千尋)、リリ・ステッキン曹長(CV.植田佳奈)、ランデル・オーランド伍長(CV.三宅健太)、軍用犬のマーキュリー号(CV.小川一樹)の6名と1匹は、人為戦災の根本原因であるカボチャのような硬い外皮に守られた権力者たち(パンプキン)を、切り裂くはさみ(シザーズ)として、建前ではなく真剣に人為戦災と向き合っていくことになるのだった。

物語は、退役軍人が野盗化して人為戦災として暴れている村に「パンプキン・シザーズ」として出動したアリス少尉たちと、戦後各地を放浪していたオーランド伍長との出会いから始まる。


【アリス・L・マルヴィン少尉】
本作は、主人公アリスをどう見るかで評価がガラリと変わる作品だと思う。

アリスは、帝国貴族の中でも特に偉いとされる「武家の名門貴族の次期当主」。そのため、見た目は「金髪碧眼のお姫様」でありながら、武芸を嗜み、その物言いや態度は高圧的な武人というギャップのあるキャラ。

「“不公平”が許せないからだ
貴族だから裁かれない、平民だから許される…笑止!
罪あらば裁く!悪あらば斬る!
それが貴族でも平民でも…皇帝陛下であろうとも!」

とのたまう性格はクソほど真面目。自分が正しいと思ったら猪突猛進、直情径行。
高い社会的地位には義務が伴うことを意味する「ノーブレス・オブリージュ」を臆面なく実行しようとする。

だから、私の登場当初のアリスの印象は、「うざいやつ」だった(笑)

お前は、今まで安全な貴族社会に守られ、社会の実情を何も知らない甘ちゃんが、ただノー天気に正義を振りかざしているだけなんじゃないか、偽善なんじゃないかと。

が、アリスは、どんな困難にぶちあたっても、へこたれないしブレない。とにかくその覚悟が尋常ではないのだ(彼女をそこまで突き動かす理由には何か秘密がありそう)。

そして、その強い信念が次第に周囲の人々の心を動かし、さらに視聴者の心をも動かしていく。


【ランデル・オーランド伍長】
もうひとりの主人公であるオーランドは、本作の世界における最強兵器である戦車に対し、生身で接近し、13ミリ対戦車拳銃「ドア・ノッカー」で装甲越しにパイロットをゼロ距離射撃するという、トンデモ人間兵器(901ATT(Anti Tank Trooper)通称「命を無視された兵隊(ゲシュペンスト・イェーガー)」)。

人間離れした大柄な体格や顔に傷跡があることから、フランケンシュタインを彷彿とさせる。性格もフランケンシュタインと同様に極めて温厚。

しかし、腰に提げたランタンへの点灯を合図として、一切の苦痛や恐怖を感じない殺戮兵器へと豹変する(その存在については、戦時中、噂されていたものの、軍部で秘密とされていた。)。

トンデモ人間兵器だけに、その精神的ストレスは想像に難くなく、現に悪夢にうなされるなどPTSD(心的外傷後ストレス障害)と思われる描写がある。

そう、彼の中でも戦争はまだ終わっていないのだ。

アリスとパンプキン・シザーズの面々は、オーランドが抱える秘密を暴き、彼の「人為戦災」を終わらせることができるのかも見処の一つ(ただ、本作では途中まで…続編希望…)。


【パンプキン・シザーズのその他のメンバー】
また、上にあげた二人を中心として魅力的なメンバーがその脇を固める。

見た目は冴えない中間管理職の中年男性で昼行灯の第3課課長のハンクス大尉。チョーさんがはまり役。

そして、女好きのオレルド准尉、オレルドの幼馴染で本作の普通の人枠マーチス准尉、天然ドジっ子リリ・ステッキン曹長、噛み癖がひどい軍用犬マーキュリー号。

各メンバーの背景描写もきちんとあり、第3課の雰囲気がよく伝わってくる。


【音楽】
OPが「残酷な天使のテーゼ」で有名な高橋洋子さんが歌う「蒼き炎」


【最後に】
本作では、パンプキン・シザーズのメンバーも視聴者も、とにかくアリスに引っ張り回されることに。
そんなアリスに引っ張り回されることに心地よさを感じはじめたなら、あなたももう立派なパンプキン・シザーズのメンバーだろう。

投稿 : 2024/08/03
♥ : 3
ネタバレ

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

「戦災復興」というテーマ

<2019/8/27初投稿>
原作未読。

以前より良い評判は聞くもなかなか機会がないなーと思ってたら、先日BS236で放送してくれました。

ワクワクしながら視聴。
期待のハードル上げすぎるとがっかりすることも多いのですが、本作は期待通りに楽しむことができました。


舞台は第一次大戦と第二次大戦の狭間のような架空の世界。

「帝国」と「フロスト共和国」による長期に渡る大戦の終結から三年後の帝国側でのお話です。

「戦災復興」を縦軸に
「国や軍部の歪み」を横軸とした
なかなか歯ごたえのある内容。

架空の国の戦後ですし、サイエンスファンタジー的な要素も少しあるのですが、復興の様子や人々の生活・仕事、軍隊や兵器、社会の仕組みなどの描写が細かく、現実に近いので没入しやすいと思います。


舞台となる帝国は皇帝を頂点とする厳然とした階級社会。
豪奢で堕落した生活を疑問にも思わない貴族たち。

その一方で被災した民衆はその日食べるものにも困る暮らしぶり。
常に貴族や軍部へ強い不満を持ちつつも、その階級差の高い壁にあきらめにも似た感情を抱き、鬱屈した日々を送っています。

二人の主人公アリス・L・マルヴィンとランデル・オーランドの所属する帝国陸軍情報部第3課、通称「陸情3課」の任務は「戦災復興」

陸情3課を創設した軍上層部の本音は「進まない復興に不満を抱く民衆へのエクスキューズ」、
つまりお飾りの「戦災復興」部隊として創設されたはずだったのですが・・・

陸情3課の面々はそうした軍上層部の思惑に囚われず、
軍や国や身分制度の壁といったさまざまな歪みに阻まれ、
戦災で被災した人々の生々しい心情とジレンマに葛藤しながらも、
戦災復興に真正面から向き合う。

本作の魅力は彼らのその「心意気」だと思います。

そんな魅力的な陸情3課の面々を紹介します。

◆アリス・L・マルヴィン少尉(隊長)
本作ヒロイン。
有力貴族マルヴィン家の次期当主。
戦災復興を使命として、貴族の義務=ノブレスオブリージュを心の底から信じて疑わず。
その直情的な言動はしばしば周囲を振り回すことも。
しかし、常に真正面から困難を受け止め、正々堂々と向き合うその姿には心の強さと爽やかさがあります。
金髪碧眼でスタイル良い美人。
でも色気はなし。
規律にはめちゃくちゃうるさい

◆ランデル・オーランド伍長
もう一人の主人公。
アリスの部下。
陸情3課では一番下っ端の新入り。
いたって穏やかで優しく平和主義、虫一匹殺せない。
その優しさと2mを超える巨躯は「独活の大木」「象さん」「朴念仁」といった感じ
でも実は元「901ATT隊(※)」隊員という出自から
腰に下げた青いランタンに火を灯すと非人間的なまでに攻撃的且つ強くなり、
そして大概重傷を負い、
最後は入院先のナースと尿瓶バトルまでがお約束。
アリスに依存気味。
猫好きで巨◯ン。

(※)「901Anti Tank Trooper隊」
{netabare} 戦中に設立された、非人道的な人体実験により改造強化された兵による部隊。
そのコンセプトは作中最強の兵器である戦車を歩兵で破壊すること。
クレイジーです。
901隊員は青いランタンを腰に下げ、火を灯すと(おそらく)暗示が発動して、痛みや恐怖を感じなくなり、敵に向かってただひたすら前進、攻撃する存在となります。{/netabare}
悲哀を含め浦沢直樹「MONSTER」に登場したグリマーさんを思い出しました。

◆オレルド准尉
金髪長身イケメンの女好きチャラ男キャラ。
軍内部から極秘情報を入手する際は、女口説いていろいろやってピロートークで。
と言いつつ、
実はメンタルもイケメン。
実は軍人としてもそこそこ腕が立つ。
実は喧嘩屋としてはかなり腕が立つ。
アリスがいない時は隊長の代わりに指揮を任されることも。

◆マーチス准尉
黒髪メガネキャラ枠。
頭脳派兼運転手。
見た目通り真面目だし規律にもうるさい方だけど、それよりも正義感が勝ることも多い。
オレルドと真逆の性格容姿だけど何だかんだ仲良し。
むっつりスケベ兼童貞疑惑あり。

◆リリ・ステッキン曹長
天然のドジっ子キャラ枠。
仕事はお茶汲みと軍用の伝令犬マーキュリー号のお世話と事務全般。
それでも階級はオーランドより上。
「一桁の足し算は間違えるくせに、帳簿の不正は一眼で見抜く」という謎スキルを持っている。

◆ハンクス大尉
3課の課長。
つまり一番偉い。
攻殻機動隊・公安9課の荒巻課長を昼行灯にしたような風貌。
曲者で切れ者の昼行灯。
チョーさんの声が合ってるんですよ、これが。

◆マーキュリー号上等兵
犬。
仕事は伝令(この世界は無線が無いようです)
ちょいちょい人を噛む。
頭からガブリ。
それで伍長待遇から降格させられたこともあるけど本人は気にしていない様子。
ゴールデンレトリバーかな。

テンプレキャラのオンパレードですが、それが心地良い。
キャラデザイン含め皆好きです。

また烈しいバトルシーンや兵器の描写などもかなり好み。

OP曲「蒼き炎」もかなり◎。
残酷な天使のテーゼ」でお馴染み高橋洋子さんが聴かせてくれています。


アニメはこれからが本番か?という盛り上がり手前の中途半端なところで終わってしまったのが残念です。

原作はまだ続いているそうなので、是非2期やって欲しいのだけど、アニメ放送からもう13年。
もう難しいんでしょうか。

投稿 : 2024/08/03
♥ : 21

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

戦争・貴族・平民、秘密部隊と実験…面白いですが奥行きが残念。

 評価が難しいアニメです。エンタメとしての出来はいいですが、奥行きがテンプレで表面をなぞっただけに見えます。

 ただ、その表面上の浅い舞台設定を使って描かれたアリス少尉というキャラは秀逸でアニメ内で大部分描き切れていたし魅力的でした。ヒロインのアリス少尉の貴族・軍人としての振舞いはキャラ萌えするには十分にカッコイイです。そしてもと901部隊のランデル伍長。ドアノッカーの絶対ゼロ距離射撃の不気味さと恐ろしさ。その象徴の青いランタンの光。

 舞台は戦時中の第1次世界大戦時よりしばらくたったくらいのヨーロッパのです。貧困と貴族政治。食糧不足が生じた世界設定です。その中で「貴族・平民・軍人」(24話のサブタイトル)のそれぞれの立場を描写します。
 さらにアンダーグラウンドの組織や、旧帝国陸軍の731部隊(森村誠一著「悪魔の飽食」で有名です)に似た人体実験組織など、かなりダークな世界を見せてきます。

 ということでキャラ造形、世界観、設定、ストーリーは決して低レベルのものではありません。戦争・分断・軍人として生きる事などなどが描かれていますし迫力もあるし、アリス少尉にひっぱられて、ランデル伍長を初め陸軍情報部第3課の面々がヒューマニズムに目覚めて行く展開はなかなか面白いです。

 ただ、なんとなくありきたりというかテンプレというか…こうグッとくる引きがないんですよね。キャラとしてアリス少尉と似たような立場で同じような行動をとる貴族キャラってマンガ・ラノベだけども沢山いると思います。
 86のレーナちゃんとか亡国のアキトのレイラちゃんとか。これらのキャラって、現代日本の道徳をそのまま持ち込んだ感じで、感情移入はしやすいんですけど浅い感じがします。

 主人公も、破滅的で自分が傷を負いながら、肉弾戦で相手と戦う男の主人公も沢山いると思います。物語のキャラ作りのための正義感とか道徳心とか設定のための設定が透けて見えるような感じがぬぐえません。

 少年マンガとしてのキャラ萌え、バトルマンガとしてはかなり優秀な部類の作品かとは思います。構成もちゃんとしているしアリス少尉のキャラをちゃんと描き切ったし。面白いのは面白いです。ただ、奥行きは残念ながらという感じです。

 あと、非常に「鋼の錬金術師」と類似してますよね。雰囲気というかキャラが。似たような年の作品だし、キャラの作風って似せようと思ってすぐに似せられるものじゃないと思うので、どっちが真似したとかではないと思いますが、不思議なくらい似ていました。

 作画等作品作りは2006年ということで丁寧ですし、エフェクトもいいです。青い光は結構カッコイイです。24話ですけど、展開が起伏に富んでいるし、キャラも沢山登場するので飽きる事はないと思います。

 視聴後感はあー面白かったといえる水準でエンタメとしては評価しますが、奥行きは見た目ほど奥行は感じないアニメでした。

 EDの曲がなかなかいいので音楽はその分上乗せです。

投稿 : 2024/08/03
♥ : 4
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