フォーカスTVアニメ動画ランキング 5

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画のフォーカス成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月07日の時点で一番のフォーカスTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

74.7 1 フォーカスアニメランキング1位
【推しの子】第2期(TVアニメ動画)

2024年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (229)
792人が棚に入れました
「この芸能界(せかい)において嘘は武器だ」 地方都市で働く産婦人科医・ゴロー。 ある日"推し"のアイドル「B小町」のアイが彼の前に現れた。 彼女はある禁断の秘密を抱えており…。 そんな二人の"最悪"の出会いから、運命が動き出していく―。
ネタバレ

青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

漫画のメディアミックスの光と闇

『かぐや様は告らせたい』などの赤坂アカ(原作)、『クズの本懐』などの横槍メンゴ(作画)による原作漫画は、『週刊ヤングジャンプ』と『少年ジャンプ+』(集英社)で連載中(既刊15巻、原作既読)。
アニメ2期は、全13話(2024年)。監督と制作会社に1期からの変更なし。監督は、『私に天使が舞い降りた!』、『恋する小惑星』などの平牧大輔。制作は、『イエスタデイをうたって』、『NEW GAME!』などの動画工房。
※3期の制作が決定。および、原作漫画が単行本16巻で終了することが発表。
(2024.7.1投稿 10.12「全体の感想」を追加)

【あらすじ】
自らの作品に強いこだわりを持つコミュ障漫画家・鮫島アビ子(CV.佐倉綾音)は、自ら描いた漫画「東京ブレイド」が「2.5次元舞台」としてメディアミックスされるほど大人気であった。
しかし、あがってきた舞台の台本を見たアビ子は、その内容に納得できず脚本家を「この人、ちょっと創作者としてのセンスが…」と全否定。2期は、こうした漫画のメディアミックスの光と闇を中心に描かれていくことに…

なお、今回も1期の「恋愛リアリティショー」と同様に、本作の内容と類似していて、なおかつより悲惨な事件が直近にリアルでも生じていました。
もっとも、本作は、そういう問題がなぜ生じてしまったのかを、漫画家からの視点だけではなく関係者の様々な言い分を代弁するような形で解説するような内容にもなっていると思います。


【漫画のメディアミックスの光と闇】
2期の冒頭は、作中で人気漫画とされる『東京ブレイド』の「2.5次元舞台」で実際に行われているという演出のキャスト紹介から始まります。いきなりド派手な演出です。

当然、このシーンは原作漫画にありません。なぜなら、漫画とアニメは、同じ二次元ではあっても、無音声で静止画(漫画)と有音声で動画(アニメ)とで表現形態が異なるからです。

仮に漫画原作者が、このシーンの細かいイメージを持っていたとしても、漫画では表現できません。そこをアニメ制作者が原作者の意図を忖度して必要な動き・音などの情報量を付け足し、そのイメージをどこまで再現できるのかが腕の見せどころだったりします。

もっとも、漫画とアニメは、表現形態が違うのですから、漫画のシーンをアニメでもできるだけ同じように再現することだけが必ずしも「効果的な表現」とはいえない場合もあります(例えば、動画の強みを生かすため、バトルシーンを加えたり長くしたりするなど)。そうすると、同じシーンでも原作者と監督との間で表現者として異なる解釈の余地も生じてきます。

加えて、アニメの場合は、時間的な尺の問題もあるので、原作漫画の内容をカットする必要も出てくる。そして、カットした内容と辻褄を合わせるため、原作の内容自体にも修正が加えられることに…


本作の内容は、漫画を2.5次元舞台化する際の舞台裏を赤裸々に描いているわけですが、面白いことに『【推しの子】』という漫画をアニメ化する際にも同じ現象が起こっているという「二重構造」になっています。

というわけで、特に原作ファンにとっては、アニメが原作漫画をしっかりアニメ化出来ているかどうかも見所の一つかもしれませんね(笑)


【音楽】
オープニングは、『呪術廻戦2期-懐玉・玉折』オープニング「青のすみか」などのキタニタツヤと元SexyZone現timeleszの中島健人のユニットGEMNが歌う「ファタール」
エンディングは、『呪術廻戦2期-渋谷事変』エンディング「more than words」などの羊文学が歌う「Burning」

オープニングの「ファタール」は、フランス語で致命的、運命的という意味。特にオープニングは、歌詞が本作の内容とリンクしてます。


【全体の感想(※2024.10.12追加)】
{netabare}私は原作漫画のファンですが、2期は原作漫画をしっかりアニメ化出来ていたと思います。なんなら原作以上のクオリティであったとすら思います。
もっとも、そう思う一番の理由は、舞台という題材自体が漫画よりアニメ向きだったということに尽きると思います。

例えば、漫画で「役者の感情表現に依存した演技」と書いたところで、その部分の表現について、声と動き、なんなら音楽まで情報が加えられるアニメの表現に情報の少ない漫画が敵うとは思えない。ただ、アニメ制作者が補ったそれらの情報が適切であることが前提にはなりますが…

でも、本作のアニメ制作陣は、こちらの想定をはるかに超える情報を補っていたので、リアルで『東京ブレイド』の舞台を作るつもりで取り組んでいたんじゃないかと思うほどのクオリティでした。本当にそこはすごいと思いました。
(※ちなみに、本当にリアルで『東京ブレイド』が年末に舞台化されるそうです)。


あと、2期は、アイを殺害した犯人を追うミステリー部分がかなり後退してしまった内容だったのですが、漫画家自身が漫画のメディアミックスの問題を漫画化したことに意味があると思ってます。

実際はアニメよりもっとひどいのかもしれないし、そうじゃないのかもしれませんが、メディアミックスに関わる様々な人たちのリアルな一面が見れたことが、アニメのレビューを書く私にとっても参考になる部分がありました。

小説や漫画をアニメ化する際、多くの関係者が初めから駄作を作るつもりなんかなくても、本作の伝言ゲームのようなディスコミュニケーションが生じることで、いわゆる「クソアニメ」ができてしまう。

原作自体は、アニメ化されるくらいなんで、多くの人から支持される面白さがあったはずなんですけどね…


さて、2期は単行本8巻までのアニメ化でした。実は、原作漫画が16巻で終わることと3期の制作決定が発表されたので、3期は今まで通りのペースだと2クールで一気に最後までできることになります。

個人的には、結末がどうなるかにもよりますが、最後まで一気にやった方がよさそうだとは思っていますがどうなるでしょうか。
ちなみに、私は漫画とアニメで結末を変えるのもアリだと思ってます。{/netabare}


【14話の感想】
{netabare}まあ、売れた作家に文句言える人って貴重ですよね。
そんなに文句言うなら、あなたが書けばいい、どうせあなたの感性で書いても売れやしないって言われるわけですから…。

いいシーンでした。{/netabare}

【15話の感想】
{netabare}前半は、「原作者VS脚本家」
お互いがリスペクトを持てば分かりあえるかもという1つの理想像。まあ、話し合ってもお互いに譲歩する気がなきゃまとまるものもまとまらないので、確かに博打です。

後半は、「幼馴染VS今カノ」
他人の境遇を想像して泣くことができるやつに悪いやつはいねえ!
私は、有馬かなより黒川あかね派!だけど、アクアの楽しい思い出のほとんどは、「かな」とのものばかり(笑){/netabare}

【16話の感想】
{netabare}目の星が黒くなったり白くなったりする演出が、1期と比べてパワーアップ。ダークサイドに落ちると次第に白から黒になっていって、感情表現の一つみたいになってますね。

あと、東京ブレイドの公開初日。吐息が白くなる描写がすごい。

2期は、物語上、特にアイの影が薄いのですが、オープニングにも出てくるし、アクアのトラウマとして、ちょいちょい存在感を発揮。【推しの子】は、やっぱりアイの物語でもあるなあと。

そして、「幼馴染VS今カノ」ラウンド2「開幕」です。{/netabare}

【17話の感想】
{netabare}劇中劇である「東京ブレイド」が開幕しちゃいました。

舞台は、無音声静止画の漫画より有音声動画のアニメの方が表現しやすいと思うわけですが、その分、補わなければいけない情報が増えるので、原作漫画をどうアニメ化するのかを個人的に注目していました。

そんな中、上で書いたように「漫画では表現できないアニメならではの表現満載」で、アニメの良さが出ていたと思います(まあ、「キャラの原作の再現度が高い」っていわれても、そもそも「東京ブレイド」知らねーよとは思いましたが(笑))

あと、今回は黒川あかね役の石見舞菜香さんが推す鳴嶋メルト回。メルト推しが増えそうな内容でしたね(笑)

※劇中劇であるはずの「東京ブレイド」のレビュー動画を発見。コメント欄も秀逸です。上で「東京ブレイド」知らねーよと書いた自分が恥ずかしくなりました。天才っているんですね。
https://youtu.be/jLh1sONIDYY?si=TkaTCkL870QwZDuR
{/netabare}

【18話の感想】
{netabare}個人的には、舞台とあかねの過去の回想シーンとの繋ぎがよかった。
回想シーンって、物語に違う物語が入ってくるので、繋ぎが難しい。そこを冗長にならずに緊張感を保って元の物語に戻っていったように感じました。間の取り方が上手いというか。

あとは、原作漫画では、役者の感情演技に依存した脚本と書かれていただけのところを、実際に声優さんたちが実演していくところが見処に。特に石見さん、普段からはちょっと想像つかないような声で、別人かって思うくらい頑張ってます。{/netabare}

【19話の感想】
{netabare}前回が黒川あかね回で今回が有馬かな回。

対比されて描かれることが多い二人。演技の方向性。幸せな家庭で育ったあかねと不幸な家庭だったかな。
最終的に、アクアをダークサイドから救い出すのはどっちなんでしょうか。

もっとも、かなは、自分の本性を抑えて周囲に合わせるキャラを演じてきたところがアイと似ているといわれています。が、この舞台限定ではあるものの、かなは本来の性格を取り戻しています。アクアもかなによって本性を取り戻すんでしょうかね。

さて、次回からは、舞台の打ち上げが始まって、おそらくアイの敵討ちの話もようやく少し進むはず…{/netabare}

【20話の感想】
{netabare}アイの声優である高橋李依さんが久々の出演。これもアニメならではの表現ですよね。

舞台の表現は、無音声静止画の漫画より有音声動画のアニメ向きだと思うので、アニメ制作は色々と補充する情報が多くて大変だったと思います。
でも、その困難を乗り越えて、これから本当に舞台「東京ブレイド」が作られることになるんじゃないかというくらいのクオリティでした。特に最近の技術と融合した舞台の進化もわかって興味深かったです。きっと漫画原作者陣も喜んでいるはず(笑)

さて、ようやくアイの敵討ちに関するミステリーも進行。原作が佳境を迎えているので、3期があるとして結末まで描き切った方がよさそうというのが個人的な見解ですが、どうなりますか。

【劇中劇「東京ブレイド」舞台化決定!】
20話の感想で「東京ブレイド」舞台化されるのでは?と書いたら、本当に舞台化されるようです。キャストの見た目だけですが、気合入ってますね。
https://www.marv.jp/special/theater_lalalai/{/netabare}

【21話の感想】
{netabare}朝帰りをして、ルビー、有馬かな、黒川あかねから心配されるアクア。愛されてるねぇ。アクアの正妻候補は、一応、この3人(※一人『ヨスガノソラ』がいますが(笑)、ルビー(さりな)のB小町再結成の回想シーンも含めて、これからの展開の前振りになってます)。

アイの敵と思しき人物が既に死んでいるとわかり、復讐という宿命から解放され、アクアの「右目に宿る星」が昇華して消滅するというアニオリ演出。

もっとも、物語は、これからアクアをめぐるラブコメも本格化するのですが、ミステリーの方もこれで終わりというわけではなく…むしろ結末に向けて盛り上がっていくはず…

まあ、まずは原作漫画の結末がどうなるか。そして、『【推しの子】』の場合は、アニオリ結末もありっちゃありだと思ってます。というか、漫画とアニメの結末をあえて変えるくらいはやってきそう。{/netabare}

【22話の感想】
{netabare}前半は有馬かなとのデートで、後半は黒川あかねとのデート。どっちも、そのままお持ち帰りできそうだったんですけどね(笑)

2期は、こんな感じで有馬かなと黒川あかねの対比が多かった。前半は、少女漫画が始まったのかと思いました(笑)後半は、あかねと別れようとしているというのもあるとは思いますが、かなと比べてアクアの態度がちょっとあかねに対して冷たい感じもする。でも、これは、二人の恋人としての関係値があがっているからこそとれる態度ともとれると思うんですよ。

さて、誰がアクアの正妻の座を射止めるのでしょうか。

最後のシーンで出てきたアクアに似た謎の男、エンディングで「サングラスの男:???」となっていましたが、隠しきれない大物オーラというか…宮野真守しかいないだろ!(笑){/netabare}

【23話の感想】
{netabare}今回はアイドルMVの作り方。未成年は深夜働いてはダメとか(ブラックな職場の代表格だった芸能界も「コンプライアンス」が浸透ですか(笑))、地下アイドルは大手事務所所属アイドルの10分の1以下でMV作ってるとか、ちょいちょい取材の成果らしき「リアル」を挟んでくる。
本作のテーマである「汚い現実」を「きれいな嘘」で覆い隠したのが芸能界。個人的には、こういう社会派的なところ好きです。

あとは、アクアの前世である雨宮吾郎の生い立ち。吾郎は父親が誰かわからないのですが今のところ手がかりはなし(物語に関わってくるかも不明)。ルビーの前世である天童寺さりなとは、母親からの愛情に恵まれなかったところが共通点。おそらくアイの本来の子供は、「魂がなかった」と言っているので死産だったと思われます。

1期ほどの盛り上がりはなかったですが、2期も概ね好評だったので3期もあるとは思うのですが、おそらく原作漫画が、原作陣が長期休養などに入らない限り、1年以内に終わりそうなので、まずはそっちを見届けたいと思います。{/netabare}

【24話の感想】
{netabare}今話でアクアと黒川あかねがキスしていましたが、あかねって『東京ブレイド』の「鞘姫」がそうであったように「負けヒロイン」感が満載なんですよね…。個人的には、あかねとアクアとの関係を原作漫画の最終回に向けてどう決着させるのかが注目点だったりします(ほっぺを膨らませるあざとさなどで、女性人気はあまりないようですが(笑))。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

9話 本筋を外れたエピソードはいらない。アイを描けないならもういいです。

 この舞台に9話かけましたか…これは完結まで行きそうにないですね。断念にしておきます。

 私は、作品の個々のエピソードというのは本筋を構成する要素になっていなければ、作品として成立していないという意見です。もちろんジャンルにもよりますが、本作はアイの「嘘と愛」を知るためのサスペンスと私は読み取っています。つまり犯人捜しが表のテーマでアイが裏のテーマになっている、1つの事件を追う推理ものの要素が強い作品であり、その推理を助けるための他の要素はノイズになるだけです。その点で2.5次元はひどかったですね。

 本作アニメ版は、大幅におかしくなってしまった原作以上に「原作者の日頃思っていること」が入ってきてしまいました。この部分まで原作を読んでいたので話は知っていましたが、むしろアニメの制作はここを大幅にカットすべきでした。舞台の具体的な描写とか本筋にまったく関係がありません。

 いくらサブエピソードの内容がテーマ的に深かったとしても、そんなのは本筋の物語を味わうのには邪魔なだけです。そして本作の2.5次元のエピソードは別に社会のアナロジーになっているわけでなく、狭い世界の対立関係の問題点だけでした。その後は舞台の作画を頑張りましたね、だけです。

 つまり、2.5次元舞台のエピソードの途中に出生の話があったとしても、2.5次元の舞台をやる意味はまったく別の話として分離してしまっています。犯人の正体と動機がどうやってアイの「嘘と愛」とかかわってくるのか?以外の要素は、付け足しでしかありません。
 この舞台の作中の制作者の誰かがアイの事件の真相にかかわっていて、舞台の内容がアイの件を示唆する何かになっていればまた違ったとは思いますけど。

 アクアの医者であった設定が、正直言えば転生の意味を全く活かせてないですよね。

 アニメ1話、1巻の出来に感動して、ここまで引っ張られてきましたが、やはり原作者は出落ちの人でしたね。アイというキャラが素晴らしかったので、設定やキャラを作る才能は否定しませんが、これ以上期待するとガッカリするのは目に見えているので、原作の方で結末だけ確認します。




2話 軸足の置き場所を間違えて、名作になりそこねないか心配です。

{netabare} レビューは全部見てからと思いましたが、この2話までみて思うところです。原作との改変具合が原作で危惧した方向性を強めている気がしました。

 この作品は内容が重層的でそれが良いという面もありますが、話の本質の軸足がどこにあるのかわからなくなっていっている感じです。5つくらいのレイヤーがあると思います。

 1つめが、星野アイとはどういう少女だったか。彼女の嘘と愛とは何か?2つめが星野アイを殺した犯人は?なぜ殺した?3つめ「転生」の意味は?なぜあの2人が転生したのか?4つめは芸能界のあるある、裏話、問題点。5つめはアクアとルビー、重曹ちゃんを中心とした芸能界の恋愛・ヒューマンドラマ

 結果的にこれらが融合して一本の筋になってゆけば、名作となるのでしょうが、今の「芸能界ネタ」に限って言えば、本当に必要なのか?という疑問が付きまといます。
 特にこの2.5次元のところまで既読で、このパートは必要なの?と思いました。というかここでつまらなくなって原作はやめた(8巻くらい?)のですが、私が知りたいのは1つめのレイヤー「星野アイ」です。星野アイの過去、同時代、裏表、そして死後に生きる人たちがその存在に振り回されつつ何か本質的なものを知る話が結末であってほしいと思います。

 その他のレイヤーはそのゴールにたどり着くための素材に留めたほうが良かったのでは?という点からいえば、2期の頭は「芸能界もの・芸能界時事」に軸足を置きすぎだし1期の半ばから「星野アイ」よりも「芸能界の問題・あるある・裏側」を描きたいという方向性に創作意欲が移ってしまったのかな?と思います。

 それでは面白い作品、興味深い作品にはなれても名作にはなれない気がします。原作は読まずに寝かしてありますので、ぜひそっちの方向に行ってほしいなあ。 {/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 12

たナか さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

ルナティック・パニッシュメント

大人気話題作2期に相応しい絶品クオリティ厨二アニメ。
もちろん一見さんお断りで今期は舞台編から。

01
1期の特別増量初回でショッキングな展開からリベンジミステリかのような導入そのままの流れを期待した初見勢からは初回だけの出オチ作品と評された本作。原作ファンでもない普通の人が「話題作なので見てみるかー」で安易に観てしまうと「え?なにこれ?犯人探しは?」とあまりに無粋で元も子もない感想を抱いてしまうのも当然。ダンジョン飯を見ても「え?妹は?何チンタラしてんの?」とか、フリーレンみて「え?これもう全部やりきってるやん。あと全部蛇足やん」ってなるし、水戸黄門や時代劇や相棒や半沢直樹見て「ゴツゴー!」ってなるでしょう。そもそもこれらは小中学生、もしくは小中学生の発達段階相当に脳が劣化あるいは退化した方々がターゲットです。

そんなあなたはもうアニメなんか卒業するお年頃。おめでとうございます。疲れた頭を脳死で休めるためか、童心に浸って汚れた心をリセットするか、若者に媚びて話を合わせるためには観てもいいものだが、見なくてもいい年齢なのにわざわざ見ておきながらわざわざバカにするのはコロコロコミック読んで「大人の鑑賞に耐えないッ」とか言っちゃうような大人気ない恥ずかしい行為。子供はこういう「人間の…闇…本質…」みたいな厨二アニメが大好きなもの。自分も中学生の娘がキャッキャしてるので当然観ます。

現代劇だとどうしても画面が地味になるので2.5次元の舞台でアニメ映えする画面作りには成功。わかりやすく作画スゲェな演出が出来る上手い話運び。しかしあまりに既視感ガーな設定だが想定顧客層にはきちんとウケてるのだろうか。もともと厨二臭いキャラばかりなのにさらに厨二感マシマシ。キャラの魅力ゥの底上げにはなっているのかも。ただえさえいつもキリッキリッしてイタいセリフばかりなのに、さらにクサいセリフを吐かせられる上手い設定。現代劇なのにここまでの厨二感は凄い。ファンタジーがないのにデスノートレベル。

品質は鬼滅を無視すればダントツで高品質。設定上室内で立って話すだけの場面が多い本作だが棒立ちで口しか動いてないカットが続くクソなろうとは雲泥の差。同じ場所で長い時間を過ごす場面でもやたらと多いカット割で飽きさせない画面作り。もちろん背景の使い回しなど皆無だし、アングルも変に凝り過ぎないが工夫を凝らした絵作りに感心。

重くなり過ぎないよう変顔コメディも差しこんでいるのにまったく厨二感が失われないバランス感覚も実にお見事。グロとギャグの差分が凄い鬼滅はもともと精神が健康な子供向けなので、脳が疲れてる時間帯には観るに耐えないだろうが、本作はマジで絶妙な塩梅でコメディ演出が全く邪魔しないため厨二感が損なわれずに素直に観れてしまう。凄い。

OPEDは映像も楽曲も凄まじいクオリティ。インパクト全振りな前期と比べると分が悪いかもだが、ファンには好評なのではと思う。もちろん好みではないがクオリティに抜かりなしの高品質なのには違いない。スポンサーの少なさからガッツリと儲ける気マンマン。グッズが沢山売れるといいですね。これ観てる熱心なファンでも若い子は円盤なんか買わないでしょうから。

しかしこの作者呪われてんのか。ラストのオチは爆笑した。ツイてるのかツイてないのやら。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2

68.4 2 フォーカスアニメランキング2位
転生貴族、鑑定スキルで成り上がる(TVアニメ動画)

2024年春アニメ
★★★★☆ 3.4 (183)
573人が棚に入れました
異世界に転生した主人公アルス・ローベントは、小さな領地を持つ弱小貴族の子として生きることになった。 アルスには特別な知力や武力はないが、生まれながらにして他人の能力・ステータスを見抜く“鑑定スキル”を手にしていた。 そのスキルを活かして世に隠れた「逸材」を発掘し、弱小領地から最強の領地へと変貌させていく。 心優しいアルスと、個性豊かな逸材たちの出会いと成長を描く異世界統一記が今、始まる!

声優・キャラクター
アルス・ローベント:藤原夏海
リーツ・ミューセス:坂泰斗
シャーロット・レイス:佳穂成美
ロセル・キーシャ:岡咲美保
リシア・プレイド:花澤香菜
レイヴン・ローベント:東地宏樹
ミレーユ・グランジオン:生天目仁美
ファム:戸松遥
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

(最終)カタルシスが不足している『なろう』は『なろう』といえるのか

【レビューNo.131】((最終レビュー)初回登録:2024/6/29)
ラノベ原作(なろう発)で2024年作品。全12話。
今期も異世界なろうっぽい作品が多く、ほとんどタイトル切りですが、本
作は「鑑定スキル」が「何の鑑定やねん?!」と気になったので視聴。
出来れば「イセレべ」っぽい「ネタ実況枠」のレビューをやっていきたい
のですが、そこまで香ばしさがある作品かどうかw

(ストーリー)
異世界に転生した主人公アルス・ローベントは、小さな領地を持つ弱小貴
族の子として生きることになった。
アルスには特別な知力や武力はないが、生まれながらにして他人の能力・
ステータスを見抜く“鑑定スキル”を手にしていた。
そのスキルを活かして世に隠れた「逸材」を発掘し、弱小領地から最強の
領地へと変貌させていく。
心優しいアルスと、個性豊かな逸材たちの出会いと成長を描く異世界統一
記が今始まる!
(作品情報より)

(評 価)
・第1話:ゲーム「信長の野望」などを下敷きにした作品かな
 {netabare}・1話の大まかな流れですが、
  ・主人公が現実社会で心臓麻痺っぽい死に方(過労死?)。
   → 田舎貴族のローベント家に「アルス・ローベント」として転生。
  ・3歳になったアルスは鑑定スキルで、ある兵士の鑑定を実施。
   槍より弓矢の適性が高いので、そちらへの転属を勧める。
   → 試してみると一同「おおー!!」
  ・この世界の文献を調べると、中央政権の腐敗が進み、今後動乱の時
   代を迎えそう。
   → 領地を守るためにまずは優秀な人材を集めねば!
  ・町で鑑定スキルで人材を物色していると、武力が高いマルカ人の少
   年リーツを発掘。
   (マルカ人は通常奴隷等で差別対象)
   → 当然登用は周りから大反対。
  ・アルスの熱心な説得の末、この領地最強の父・レイヴンが試験する
   ことに。
   → リーツは才能の一端を示し、父や部下たちも彼の才能を認め、
     無事アルスの家臣に。
     リーツは自分を見出してくれた大恩に報いるためにアルスに忠
     誠を誓うのだった。
  (まだ大したことをしていないということもありますが)3歳で異常に
  しっかりしている点を除けば、悪くない無難な滑り出しだったのでは。

 ・個人的には光栄ソフトの歴史シミュレーションゲーム「信長の野望」や
  「三国志」を下敷きにしてるのかなっという印象ですね。
  これらゲームも武将の能力・ステータスが数値化されていて
  ・有能な人材を発掘し登用していく
  ・知力や政治力の高い武将で国力を上げたり、謀略で他国の戦力を削っ
   たりしながら戦争準備を整えつつ
  ・武力の高い武将で周辺国に攻め込んでいく
  って感じなので。
  この手のゲームは今でもたまにやっているので、なんか愛着が持てた
  というのも大きいですかね(笑)

 ・でも当面は人材発掘でエピソードが創れそうですが、このターンが終
  わるとどうみせていくのでしょうか?
  発掘した家臣は見せ場がありそうですが、アルスをどう扱っていくの
  かがちょっとわからないんですよね。
  ・ひたすら「アルス様にために!」で担がれる神輿になる
  ・「鑑定スキル」の拡大解釈でガバガバ設定にw
  ・現実世界の知見を活かした「領地改革」
   (それじゃ劣化「現実主義勇者の王国再建記」になりそうですがw)
  まあその辺含め、今後も見守りたい作品ではありますね。
  個人的には「イセレべ」のような香ばしい作品になればという感じで
  すが、そこまでのパワーはないかもですね。{/netabare}

・第2-3話:早くも手詰まりの予感。大丈夫か?!
 {netabare}2人目の人材発掘は、魔法の才をもつシャーロットでしたが・・・
 正直2話かけてやるほどの内容ではなかったなっと。
 ・1話は時間配分がちょうどよく面白く視聴できた
 ・今回は(極論でいうと)1話と同程度の内容を2話に引き延ばした感じ
  → そりゃ内容も薄くテンポも悪くなり面白くなくなるよね
 例えば象徴的なのが2話の冒頭のシーンですが、
 ・この国の歴史や現状の説明
  → 1話の説明と大分被ってるし、全体的に無駄に長いよね
 って感じなんですよね。まあ一事が万事こんな感じで・・・

 仮に1クールを12話と考えると
 ・5話位まで人材発掘に使いたいよね
  → 5人ほど逸材を発掘するぞ!
 ・ちょっと待て!OP映像では3人しかいなくないか?!
  → 1人を登用するのに2話使うしかなくない?!
 しかも
 ・鑑定スキルって、一目で適正見抜くのですぐに終わるよね
  → よっぽど上手く話を創らないと2話分引っ張るって無理があるやろ!
 結構構造的に詰んでいるのかなあって感じがするんですよね。
 更に前回懸念事項に挙げたように
 ・人材発掘した後、鑑定スキルどうするの?
  → 出オチで終わるのか?!
    (敵の弱点や外交交渉時の突破口捜し等に使えるかもしれないが)
 ・逸材3人で回すのキツないか?
 等疑い出すとキリがないんですよね。
 まあ始まったばかりなので、これからを信じて待ちたいと思いますが。
 
 ただ1話の好調の滑り出しから一転、評価は急降下で次回も構造的に詰んで
 ないか?という不安を感じる展開だったかなっと。{/netabare}

・第4話:テンポは戻ったが、今度は作画が・・・
 {netabare}前回から3年が経ったようです。
 シャーロットも魔法の才能を磨き、ランベルク軍のエースに成長したよう
 です。
 成長といえば食生活がいいのか、奴隷時代の貧相な体からこちらも立派に
 育ったようですが、「とりあえず胸は爆盛りにしとけばいいやろw」みた
 いなセンスはどうにかなりませんかね。
 またアルス様に双子の弟妹できたようで・・・
 2人とも将来有望で、なるほどそういう逸材発掘もあるんかと。

 3人目の逸材は、知力の才を持つロセルでした。
 まあ攻撃力の高い2人を登用したので、軍師ポジの人材は妥当なところで
 すね。
 今回はロセルの2人の兄も武人としての才ありというオマケ付きです。
 (元々2人の噂を聞きつけて訪問したのがきっかけ)
 これを今回は(予想に反して)1話で収めてくれたので、テンポはよく面
 白かったですね。
 やはり2話構成だと、それなりに緻密に物語を創り込まないと厳しいです
 からね。

 ただ今度は作画が・・・
 元々低予算アニメということもり、作画は多少やむを得ないところはあっ
 たのですが、「前回こんなに酷かったっけ?!」という感じで。
 特にシャーロットなんか、美少女キャラ台無しだよ!!
 今後が不安ですね。
  
 次回はEDを歌ってるリシア回でしょうか。
 しかしサブタイの「嵐、来る!」って何なんや?!
 まあここまでは「なろう原作」と思えないほど、実直に創られているとい
 う印象なので、ここらで1発はっちゃけるのもいいかもしれません。{/netabare}

・第5話:アルス様とリシアの相乗効果を生み出した、いい回だった
 {netabare}今回は許嫁のリシア回でした。
 サブタイ「嵐、来る」から、周りをひっかき回す”とんでも娘”を予想して
 いましたが、
 ・政治力やコミュ力が高く、思慮深く行動できる
  (外面を繕うしたたかさも持ち合わせている)
 ・観察眼の鋭さや野心の高さから、アルス様を見定めようとしていたが
  ・アルス様のを本質的な人間性を見極めて、きちんと内面を好きになる
   (打算ではなく、純粋に人を愛する真っすぐさもある)
  ・民のことを慮れる優しさや上に立つ者の器も持ち合わせている
  ・(今は弱小貴族だが)アルス様の将来性もしっかり見抜いている
  本質的な人間性に優れた、好感度爆上がりなキャラでしたね。
  ”脳筋・シャーロット”との対比も面白く描かれていましたし。
 
 またアルス様の鑑定スキルも人材発掘だけでなく、今後の外交交渉等でも活
 躍しそうかなという期待も膨らみましたし。
 (またリシアの鋭い観察眼との相乗効果も期待できそう)
 ただリシアにドギマギするアルス様は、一見年齢相応で可愛げがあるのです
 が、中身は「DTおじさん」だからなあ・・・
 まあそれはさておき、リシアをしっかり描くことでアルス様との相乗効果を
 生み出した、いい回だったのではないでしょうか。
 前回酷かった作画も持ち直していたように思いますし。

 人材発掘のターンは終了し、ここから動乱の時代に向けての準備が始まるの
 でしょうか。
 それに父・レイヴンの病は何かのフラグなんでしょうか。とりあえず介抱に
 は向かったようですが・・・
 これ無関係だったら逆に何なんやって話ですが。{/netabare}

・第6-7話:ついにアルス様の時代来たる!
 {netabare}中央では総督が暗殺され、後継者争いが本格化。
 それに伴い、各地にも戦火が及ぶ事態に。
 一方のランベルク領も
 >それに父・レイヴンの病は何かのフラグなんでしょうか。
 やはりレイヴンの病は回復せずに悪化した模様です。
 そんな中、レイヴンの代わりに戦場で指揮を取る決意をしたアルス様で
 したが、レイヴンの与えた試練
 ・目の前で罪人の処刑を見ても平常心を保てるか
  → 初めての衝撃的なシーンに耐えきれず
 で、戦場にはレイヴンが出陣。見事敵を蹴散らすもレイヴンも病に没し、
 ついにアルス様が当主として立つことに。
 ようやく1話冒頭のシーンを回収ですね。

 「鑑定スキル」自体は単なる「情報収集」のスキルにしか過ぎないので
 ・その情報をどう活かし見せ場をつくれるか
 って話になるのですが、(スキルの性質上地味な印象は否めませんが)
 地に足がつき、実直に創ってるなあという印象ですね。
 (試練で挫折を描くなども真面目だなって感じですし)
 また動乱の時代に突き進むところで、アルス様が当主になるもの上手い
 切り替えだと思いますし。

 ただここからの「成り上がり」展開をどうするのか。
 物語的には一応
 ・総督の後継者争いの”兄”側につく
 という世界観なので、ここでいう「成り上がり」とは
 ・自らが天下を統一することではなく、”兄”を総督の座につけるため
  奮闘することで認められるってこと?
 ってところに留まるのかなっと。
 (将来的には天下統一ルートもあるかもしれないが)
 尺的にも”兄”の要請に呼応し進軍して、強敵と対峙して「俺たちの戦
 いはこれからだ!」位で終わりそうなんですよね。

 よくも悪くも実直な作品なので、予想を超えてくるのは難しいのかも。
 となると創り込みの丁寧さでポイントを稼げるかという感じでしょうか。{/netabare}

(最 終)
1クール使ってまさか人材発掘だけで終わるとは・・・
よく言えば”実直で丁寧”なんですが、このテンポの悪さはさすがにダレる
かなっと。
それに丁寧というよりは、無駄に間延びしている感じもしますしね。
個人的には
・人材発掘以外のエピソードに面白みを感じなかった
 ・「鑑定スキル=情報収集」ってだけの能力なので、人材発掘以外の見せ
  場が創りづらい
  「鑑定、この領主さまは凄い人物だ!」→それで?!って感じ
・主人公に魅力を感じなかった
 ・ただの「いい人」ってだけ
 ・それに「信長~!」とか叫ぶだけで転生要素が必要だったのかと
 ・また普段は(中身はおっさんなのに)10歳児のリアクションしてるのも
  どうなのかと
・発掘した人材も魅力がイマイチ
 ・やっぱ戦がないと見せ場がないよね

『なろう』ってかなりガバガバでも、
「チート能力をぶっ放して、有無を言わさず(力業で)解決」
というカタルシスを得ることで、作品のバランスが取れてるように思うので
すが(ガバガバ設定へのツッコミを入れるところも込みでw)、本作はそう
いうのが圧倒的に不足している感じなんですよね。
ではその分(コミック原作のような)話が創り込まれているのかといえば、
そこは”所詮は『なろう』”という感じで、薄っぺらいという印象ですね。
なので通常の『なろう』なら
「ガバガバで都合主義のサクサク展開が『なろう』の醍醐味」
で笑って許せるところを、中途半端に実直に創っている分逃げ場がないって
感じなんですよね。

2期も決定したようで、次は戦のシーンもあるだろうから、そこで発掘した人
材が躍動すれば評価も変わってきそうですが、1期はあまりにもテンポが悪く
個人的には5話の「リシア回」がピークだったかなっと。

・チートで無双すれば「これだから『なろう』は┐(-。ー;)┌ヤレヤレ」と叩かれ
・チートせず実直に創れば「カタルシスが不足している」と文句をいう
視聴者ってホント面倒臭いなあ(笑)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17

大重 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

こういうのが見たかった、と言いたくなるなろう系。ただ少しゆっくり気味かな

1話感想 4.0 こういうのが見たかった、と言いたくなるなろう系

なろう系ってのは、一応ね、面白そうな要素を詰め込むことで成立しているんですよ。
だからちゃんと作れば面白いはず。
なのにその質が低すぎて、逆にバカにしているのか、となってキレさせてしまう。
なろう系でもきっちり面白ければそれで全然良いんですよ。

本作はまさに、面白そうななろう系ですね。
鑑定スキル、なろう系の定番ですね。

その鑑定スキル一つで、優秀な人材を集めることで領地を発展させていく…。

良いじゃないですか。
これですよ、他のなろう系にも言いたいことは。

私はスマホ1つだけ持ち込んで異世界でどれだけできるかって内容なら、面白いと思いましたよ。
本当に身一つで異世界に行って、こちらの知識をどれだけ覚えていられるか。
そんな天才じゃなくても異世界で活躍できる、すごくバランスの良いチートだと思いました。
でも何で全属性だの全能力だの意味不明なもん付加するからどっ白けですよ。
つまんねぇ。案の定スマホはどうでもよくなってるし。

過度ではない適度なチート、ちゃんと能力を工夫、駆使しての成り上がり。
バランス良いですね。

そうなんですよ、そんなに強すぎないチートをちゃんと駆使して活躍していくなら面白いんですよ。

他作品だと、鑑定があるのに主人公を全ステータス999とかにして仲間を集める必要を一切なくして、何が楽しくてこんなものを見れば良いんだ? ということにするんですよね。本当に他作品は意味不明で…。
本作も主人公のステータスは見えないんでまだわかりませんが。
でも見せないことで安易にそんな展開にはしないんじゃないかと期待できますね。

これで良いんですよ。
何のチートも無いのは流石につまらない。
チートが過ぎてもつまらない。
適度なバランスが大事なんですよ。本当に他作品はわかっていない。
本作はちゃんとわかっていて素晴らしい。

つい熱くなってしまいました。アニメとしての出来も良いですね。
作画は綺麗で、また主人公の目的がしっかり提示されることで応援もし易い。
第一の仲間も差別されている中主人公に出会って… 応援したくなりますね。

とにかく気に入りました。これは見ます。

全話感想
決して悪くはなかったです。期待した内容はだいたい見られました。
ただ… 何か基本的には割とスローモーですね。

テンポの良い作品だと、1クールで戦争の1つ2つ片付いていても良いと思うのですが、本作は基本仲間集めで1クールお終い。

その仲間もたった4人。1人1人じっくり描いたのは悪くないですが…。
今後戦争するのに、まともな近接戦闘員が1人しか居ないのは良いのでしょうか。
ちょっとまったりし過ぎに思えましたね。

後は優秀な仲間達の優秀な描写が少なめでした。

とはいえ2クールもやるので、じっくり描いていたのでしょう。
今後も楽しみにしたいと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5

猫好き さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

主人公が可愛いのはいいけど、実際には組織運営をまったく理解していない残念話

これはちょっと変わった異世界転生もの。この作品、主人公が転生して得たスキルで人材を見極め、自分の領地を改革していくというストーリー。なろうにしては斬新なアプローチではあるよね

この物語の肝は何と言っても主人公アルスの「鑑定スキル」。どんな隠れた才能も見抜けるので、彼は有能な人材をどんどん見つけてきては自分の脇を固めていくところ。主人公は可愛いし、脇をどんどん固めていくストーリーは結構好きではあるんだけど、、、

でも、現実の組織運営ってそんなに甘くないのを知ってしまった私としてはいくらファンタジーでもこれは無いよなぁって思ってしまう。リクルートしてきた子たちがいくら才能があっても、すぐに即戦力になるわけじゃない。育てる時間も必要だし、既存の組織メンバーとのバランスも考えないといけない

それに、リーダーってのはただの「いい人」じゃなくて、カリスマが必要だと思う。そのカリスマ性を持って、組織内の権力闘争や人間関係の軋轢を抑えてどうやって部下を率いていくかが重要。アルスは可愛いけど、年齢で甘くみられるのは仕方ない。幼児(もしくはぽっと出の新人)に反感を持つ大人は多い。その反感をどうやって抑えていくかは重要なところ

この問題に触れないようにするためか、彼が幼少期から才能ある人たちを見つけて一から自分の親衛隊みたいにしてることで生臭い話に触れないようにしてるのは分かる

でも、現実では手持ちのイマイチ使えない人達をどうやってやる気を出させて使える子たちにすることこそが上に立つ人の采配能力であって、「出来る人を集めればOK」は違うんだよね。つまらない事で他人の足を引っ張る無能な連中をどう有効活用するか、そっちの方が問題になることの方が多いよ

その観点からするとこのお話は、能力があるにも関わらず不運で不遇にされている(と思っている人達)のためのファンタジーってことになる。自分の能力を見つけてさえくれれば、上手く行くはずなのにという人たちのための物語なのかなぁ

と、どうしてもそう思っちゃうので、アルスたちが上手く行けば行くほど「そんなことは無いのよ」と冷めた目でしまうお話になっちゃったと思う。アルスはいい子で可愛いから嫌いではないんだけど、テーマに対する踏み込みの甘さが気になってしまう点が残念

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3

70.9 3 フォーカスアニメランキング3位
忘却バッテリー(TVアニメ動画)

2024年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (134)
395人が棚に入れました
中学球界で名を馳せた完全無欠の剛腕投手・清峰葉流火、切れ者捕手の“智将”・要圭の怪物バッテリー。全国の強豪校からスカウトを受けていた彼らが進学したのは何故か野球無名校の東京都立小手指高校だった。さらに圭は記憶喪失で野球に関する知識も失っていた。 そしてかつて彼らに敗れ散り野球から遠ざかっていた天才たちも、偶然同じ高校に入学しており…。 巡り合い、再び動き出す彼らの高校野球ストーリーがいま始まる―!
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

従来のスポ根モノよりは一歩引いた視点が面白さに繋がっている(心理描写が丁寧)

【レビューNo.139】(初回登録:2024/8/18)
コミック原作で2024年作品。全12話。
キャッチコピーは
「天才たちは出会ってしまった…!」
「気づいてしまった もう、逃げられない。」
などのようですね。


(ストーリー)
中学野球界で圧倒的な力を見せつけ、相手の心をへし折ってきた清峰葉流火・
要圭の天才バッテリーコンビ。
過去に対戦した山田太郎も野球を辞める決意をして、野球部のない小手指高校
に進学するが、そこで清峰と要に出会ってしまう。
・要が「記憶喪失」により野球素人になっていた
・清峰は”要と野球をすること”にしか興味がない
2人は強豪校の誘いを断り、同校に入学していたのだった。
同校ではちょうど野球同好会が発足したばかりで、清峰は再び要と野球を始め
るために山田を誘うのだった。
そして同校には同じように清峰と要に心をへし折られ、野球と決別した天才プ
レイヤーの藤堂葵と千早瞬平も入学しており・・・
出会ってしまった天才たちの時間が再び動き出す。


(評 価)
・終わってみればコメディは必要だった
 本作はこの手のスポーツモノでは珍しい、ギャグをどんどんぶっ込んでくる
 のコメディ色の強い作品になっています。
 最初は宮野守さん演じる要のハイテンションなギャグについていけず、昔読
 んだ漫画『泣くようぐいす』が頭をよぎりましたね(笑)
 (同じようなギャグ&結構シリアスな野球描写だが打ち切りにw)
 なので、最初は「こんなギャグいるんか?!」と。
 でもキャラの関係性が構築されてくると、山田あたりがギャグやボケをしっ
 かり拾ってくれるので(ギャグ自体は寒くでも)意外とコメディとして成立
 してくるんでよね。
 それに最終話をみると、
 {netabare}「要の『お調子者キャラ』は壮大な伏線だったのか!」
 と受け取ることもでき、なかなか侮れない作品ですね。
 (最後まで視聴すると「滑り芸的なものも狙ってやってたのか?!」という
  気もしてくるw){/netabare}


・野球作品としてはかなり面白い
 ストーリーとしては、弱小校にワケありの才能あふれる主人公が入学してき
 て、さらに才能あるプレイヤーを説得しながら、イチからチームを作り上げ
 ていくという王道展開ですね。
 清峰・要の天才バッテリーコンビに加え、藤堂と千早も性格やプレースタイ
 ル等キャラがしっかり確立しており
 「この4人が同じチームでプレイしたらどうなるんだ!」
 という期待感がハンパないんですよね。
 特に藤堂と千早については
 ・頑なに入部を拒む2人を説得~入部への流れ
 ・清峰と要に心をへし折られたのは実はきっかけのひとつで、野球を辞める
  ことになった本当の理由
 かなり掘り下げられるので、キャラがより魅力的に描かれていきますし。
 {netabare}また要も一時的に記憶が戻り「智将ムーブ」を発動してくれましたし。{/netabare}

 そして山田太郎という有能なサブキャラもポイント高いかなっと。
 主人公は清峰と要のバッテリーコンビらしいのですが
 ・清峰:唯我独尊で言葉足らずのコミュ障
 ・要:「記憶喪失」でアホの子
 ということで、山田が語り部を担っています。
 山田自身は地道に努力してそこそこの実力者ではあるものの、4人の天才に
 は及ばない、いわば普通の高校球児なんですよね。
 そんな彼の視点から天才たちを語っていくという構成は、なかなか上手いや
 り方だったのでは思います。
 また山田の温厚で常識人というキャラは
 ・上述の通りコメディ展開の有能なツッコミ役
 ・個性派揃いの天才の中でのバランサー役
 ・持ち前の安心感あるキャラで要所でのチームの支え役
  (チーム内の人望も勝ち取っている模様)
 4人の天才が悪くいえば投げっぱなしのキャラなので、そこを山田を使って
 上手くフォローしているという印象ですね。

 でも個人的に一番のお気に入りは、土屋和季の加入シーンかな。
 {netabare}内野はタレント揃いだが外野が弱い。で、メンバー探しですが・・・
 彼も4人のような天才ではないのですが足という武器を待っていて、そこに
 (守備範囲の広い)センターという重要なピースが埋まる瞬間が最高にテン
 ションが上がるんですよね。
 「何やこのチーム!めっちゃ面白そうやん!!」{/netabare}

 
・部活動への問題提起とタイトル「忘却」に込めた思い
 まあ「問題提起」はちょっと盛ってますが(笑)
 象徴的なのが土屋のエピソードですが
 {netabare}・中学時代、体育会系のノリや上下関係の厳しさに馴染めなかった
 ・また野球部を辞めたことで”根性なし”扱いされることになった
 ということで2Dの野球に失望して、3Dへ逃げ込んだ経緯があるんですよね。
 スポ根モノなら、強キャラ主人公がそいつらをぶっ飛ばしてスカッと展開に
 なるんでしょうが、現実はそうもいかないわけで・・・
 「厳しい規律と上下関係というシステム。そのせいで埋もれてしまった才能
  もたくさんあるかもしれないと」
 山田のモノローグがなかなかに染みますね。{/netabare}

 また要についても
 {netabare}・元々は今の調子者キャラだったが
 ・清峰を一流投手にするために、努力で「智将キャラ」に変貌
 ・しかし勝ち続けていく中で、自分を厳しく律してきた負担や心をへし折っ
  てきた相手への罪悪感からいつしか「野球が楽しい」と思えなくなった
 ・そんな心の反動が「記憶喪失」
  (正確には「解離性同一性障害による人格交代」らしいが)
 という感じで「勝利至上主義」へ一石を投じるような描写がみられるんです
 よね。
 この辺は少し深読みしすぎな気もしますが、最終話で『要圭』という人間が
 描かれた上で、タイトル「忘却」に込めた作者の思いとは・・・
 単に「記憶喪失」いう意味だけでなく、「過去からの解放」といったものが
 含まれているのかもしれません。
 本作でも最後に
 「もし一つだけ何かを忘れられるとしたら、俺は・・・」
 で含みを持たせていますし。
 今後この辺りも明かされていくのでしょうか。

 「記憶喪失」によりお調子者で野球素人になってしまった要ですが、皆でイ
 チから野球に取り組んでいる姿はノビノビしていて、過去との対比を意識し
 ているようにも感じますね。{/netabare}


そんな感じで、
・序盤のギャグ展開は合わずに眉を顰めていたが
・イチからチームが出来上がっていくワクワク感
・キャラ同士の深まる関係性
・原作者の描きたいテーマ性
回を追うごとに積み重ねが生まれ、面白さが増していく作品なのかなっと。
今期では練習試合まででしたが、今後このチームが公式戦でどこまでいけるの
か純粋にみてみたいと思いますし。

原作者は女性の方のようですが、(男性目線の)従来のスポ根モノよりは一歩
引いた視点から描いてる感じが、独自の面白さに繋がっている感じがしますね。
(山田の語り部や独自性のある丁寧な心理描写が印象的だったかな)

OP「ライラック/Mrs. GREEN APPLE」
ED「忘レナ唄/マカロニえんぴつ」
・こういう方々がこぞって参戦しているのをみると、アニソンという分野も
 レッドオーシャン化しているのをつくづく感じますね。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 20
ネタバレ

青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

野球初心者から経験者まで

みかわ絵子による原作漫画は、『少年ジャンプ+』(集英社)で連載中(既刊18巻、原作未読)。
アニメは、全12話(2024年)。監督は中園真登。制作は、『呪術廻戦』、『ダンス・ダンス・ダンスール』などのMAPPA。
(2024.8.10投稿)

野球経験者なので野球アニメにうるさいといえばうるさいのですが(笑)、とりあえず評判が良かったので観始める。


【あらすじ】
主人公は、シニアリーグ(中学硬式野球)で圧倒的な才能を見せ、多くの有望な中学生選手たちのプライドをへし折ってきた天才バッテリーの清峰葉流火(きよみねはるか:CV.増田俊樹)と要圭(かなめけい:CV.宮野真守)の二人。

彼らの圧倒的な才能を目の当たりにした山田太郎(CV.梶裕貴)は、自らの才能の限界を感じて野球を辞める決意をし、野球部のない都立小手指(こてさし)高校に進学。しかし、そこでいるはずのない野球エリートたちと再会することに。

事故による記憶喪失により野球素人となってしまった捕手・要。幼馴染の要にくっついてきた投手・清峰。そして、太郎と同様に清峰・要バッテリーに心をへし折られ、それぞれの事情から野球を辞める決意をした遊撃手・藤堂葵(CV.阿座上洋平)と二塁手・千早瞬平(CV.島崎信長)。

出会うはずのない場所で出会ってしまった天才たちは、発足したばかりの野球部に入って甲子園を目指すことに…


もっとも、本作では、ようやくメンバーを揃えて練習試合をするところまでなので、本格的には続編に期待といったところ。


【要圭は宮野真守ありきのキャラクター】
主人公の要圭は、「宮野真守ありきのキャラクター」といってもいいくらいのはまり役(※作中でも中の人が顔出しで登場(笑))。

要(かなめ)は、シニアリーグ時代、冷静沈着な智将としてカリスマ性もあったのに、記憶喪失により野球に関する知識と興味だけ失って本来のお調子者キャラに(※あまりにも都合のよすぎる記憶喪失に疑問があったのですが、本当は、{netabare}記憶喪失ではなく、解離性同一性障害、いわゆる「多重人格」。{/netabare})

もっとも、要は、話数が進むと、{netabare}一時的に記憶を取り戻します(※本当は智将キャラに人格交代)。{/netabare}

「お調子者」キャラでは、一発ギャグで「パイ毛」(※乳首に生える毛)と堂々と言ってのけるコミカルな演技をみせるかと思えば、「智将」キャラでは、『銀河英雄伝説』のラインハルトのようなシリアスな演技をみせる。

その幅広い演技は、同じように幅広い演技で定評のある神谷明さんのあとを継いで『キン肉マン』の声優を射止めたのも納得です。


【野球初心者から経験者まで】
こんな宮野さんのコミカルな演技と、まずは野球部のメンバー集めから始まるので、特に序盤(5話まで)は、ゴリゴリの野球アニメというよりかは、学園モノなのでとっつきやすいかも。

また、要が記憶喪失で野球素人になってしまっているので、野球の基礎的な用語の説明なんかもしてくれます。

もっとも、坊主頭の強制など悪しき因習が未だに色濃く残る野球部に馴染めない問題、極度の緊張や精神的なプレッシャーが原因となって筋肉がこわばって体が思うように動かなくなってしまう「イップス」の問題なんかにも真面目に触れていて、野球経験者として好印象でした。

さて、肝心の野球のプレイシーンですが、主人公のチームにド素人が混じっているので、全般的ではなく部分的に緊迫感がある感じ。両チームの実力者同士の対決は、駆け引き含めてきちんと描かれています。

ただ、全体的にはよく動いているのですが、CGのせいなのか細かい動きに「硬さ」が感じられ(例えば、球をリリースするときの指の動きや、投球する際の腕の動きなどに柔らかさを感じない)、経験者的には実際の動きとの間に若干違和感があります。


というわけで、概ね野球初心者から経験者まで観ることができる内容になっていると思います。


【魅力的なキャラクター】
あとは、かっこいいキャラクターが多いので、キャラ人気が出そう。

しかも、ただ単にかっこいいだけではなくて、要はコミカルな面、清峰はコミュニケーション下手、藤堂はヤンキーキャラだけど繊細、千早はそつなくなんでもこなしているようで実は悩んでいたりと、それぞれギャップあり。

ただ、山田太郎といえば故水島新司先生の不朽の野球漫画『ドカベン』の主人公と同姓同名なのですが、本作の山田太郎は、体格は小柄で才能はそこそこ、清峰、要、藤堂、千早の4人の天才を冷静に俯瞰する狂言回し的な役回りとなってます。


【音楽】
オープニングは、Mrs. GREEN APPLEの「ライラック」
エンディングは、マカロニえんぴつの「忘レナ唄」

本作と同じような軽快な感じ

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5

鬼戦車 t89 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

広い世代にウケるものを制作するのは難しい様で…。

 最終話(12話)まで観ました。2024.07.03

 結局、主人公は野球と言う呪いに囚われていたんですねぇ…。ラストは何となく不穏な感じで締めました。

 最強バッテリーが他の選手を殺す(実力差を見せつけて野球の夢を潰す)のがテーマですが、実際の野球選手は脳筋で自分を客観視出来ない集団なので、そんなに気にすることあるのかな?

 日本のプロ選手を見ていると、絶対にメジャーで通用しないだろ?と素人でも分かる様な選手がメジャーに挑戦して、やっぱり活躍出来ずに逃げ帰って来ます。

 野球はサッカーとかより個人スポーツで、個人データが全てなのに、なぜメジャーへ行く?

 筒香選手なんかも、速球に弱いと言われていたのに、日本より速い球をガンガン投げてくる投手がめちゃくちゃたくさんいるメジャーでどうして通用すると思ったのか?

 データが全ての野球で、しかもプロですらこの有り様なのに、シニア程度の話でそんなに他選手の夢を喰えるか?アマの野球選手なんて実力差すら認識出来ないじゃないの?

 なんつーか、色々疑問でしたが、ボロが出る前に綺麗に終わって良かったと思います。野球界の闇は深いで!
………………………………………………………………………

 8話まで観ました。2024.06.08

 原作漫画既読です。原作は野球を揶揄したギャグ漫画ですが、アニメはスポ根路線にする様です。これは正しい改変の様な気がします。

 野球…それは昭和の悪い部分を煮詰めた様なスポーツです。軍隊式の組織、意味の無いシゴキ、途中で部活を脱落しようものなら、玉無しの落伍者として学生生活は終わり…。女子生徒にも嘲笑され続けます。

 弱小チームでも人格の陶冶のためにシゴかれるという、今ならブラック部活の典型みたいな地獄が各地で展開されていました。

 それでも、昭和世代にとって、スポーツの選択肢は、ほぼ野球しかありませんでした。なんだかんだ言って野球が好きなのです。

 もう、2度と野球はやりたくないないけれど、血の汗を流したあの頃を馬鹿にされるのは許せない…。若い子には親父達のノスタルジーは理解出来ないでしょう。

 アストロ球団に登場した、巨人軍に恨みを持つ選手で構成されたブラック球団みたいなもんで、「親父は巨人軍にか◯わにされたー!」とか言って、殺人野球を仕掛けてくるけど、一応野球で復讐するという…。

 多分、原作のママだと、野球に対してアンビバレントな感情を持った旧世代には受け入れられないという判断なんでしょう。

 原作のケレン味は後退していますが、何とか昭和世代の視聴に耐えるアニメになっております。虎の尾を踏まない様にするのは大変ですね。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3

62.5 4 フォーカスアニメランキング4位
ぽんのみち(TVアニメ動画)

2024年冬アニメ
★★★★☆ 3.1 (113)
282人が棚に入れました
「でてけぇー」! 広島県尾道市に住む女子高生・十返舎なしこは家を追い出され困っていた。「友達と遊べる場所がないけん…」父親が昔経営していた雀荘が今は空き家になっていることを知ったなしこは、みんなで集まれる場所に作り直すことを決めた。友達のぱい、泉とともに。遊び場を手に入れたなしこたちは、遊んだり、料理をしたり、お茶をしたり、時々麻雀をしたり…。そんな、なんでもない日常が愛おしくなる物語です。
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

5話 そしてバーベキューへ。

1話 竹書房の作品かと思うと原作なし…なぜ今時麻雀なのか分かりませんが…

{netabare} なぜ未だにマージャンなのかが不思議ですが、オリジナルの麻雀アニメの様ですね。親父趣味女子だけ日常系部活ものフォーマットです。部活ではないみたいですけど。

 オマージュというか直接登場しているのが、片山まさゆき氏に能條純一氏、福本伸行氏ですから、近代麻雀の竹書房が全面協力なんでしょうか。エンドカードも片山まさゆき氏の作品が勢ぞろいでした。
 ただ、原作付でもないし、明確にEDに協力竹書房とは出てなかったので良くわかりませんでした。
 全自動卓の造形も妙にリアリティがあるのでその関係のつながりもあるのでしょうか?

 で、キャラデザがクレジット無かったですが、どうもどこかで見たことがあると思い、Dアニのスタッフ欄で確認したら原案が春菊ねぎ氏ということで五等分の花嫁の人でした。
 アニメのクオリティはB級臭がするものの、それなりだと思います。

 話の内容は、まあ部活もののスタートという感じでした。鳥のマスコットがいる展開は今時か?「グーグーガンモ」か「たまこまーけっと」という感じで逆にちょっと新鮮です。

 初心者でも見られるように初心者をヒロインに配置して、ノウハウを伝授してくれるのでしょうか。ちょっとハズレ臭もしますが、1話はそれなりだったし、麻雀マンガも親父趣味女子だけ日常系も、ハズレは少ないしたまに「ゆるキャン」みたいな良作もあるので、見ると思います。{/netabare}


2話 まだどういう話かわかりませんが、麻雀の作画技術がすごい。ひょっとしたらイノベーションなのかも。

{netabare}  まだ、真面目な麻雀になってないので意図は不明。初めは麻雀に慣れればいいということなのかな?

 親父趣味女子だけ日常部活もの…の系譜なので、ストレスなく普通に見られます。また、どこまで何を描くのかに興味はあるので視聴継続は決定です。ただ、展開しだいでは、いつの間にか見なくなる可能性はあります。

 なお、西の地獄待ち(場に2枚見えていて山に1枚、手元に1枚の単騎待ち地のこと)は、某麻雀マンガを読んでいると、やってみたくなる待ちの一つであるあるに属すると思います。

「最初の記念に親はリーチェだ」のセリフですが、これは本来サイコロを回す前に言うべきセリフでした。ルール上、サイコロを回すのは親なので。これが演出でまだまだ初心者ということを表しているのか、何も考えていないかは不明です。

 ただ、サイコロの作画良かったですね。雀卓のサイコロの初めゆっくり回り出して、勢いよく回る感じが良く表現されていました。

 そして、今回気が付いたのはCG技術と麻雀アニメって結構相性がいいかもしれません。麻雀の場面の作画が相当楽になったのではないでしょうか。「咲」以外はほぼ見なくなった麻雀マンガの欠点は作画だと思うのですが、そのハードルは今回の技術でなくなったのでは?
 このクオリティで3DCG麻雀美少女脱衣ゲームを是非発売してほしいかも。

 作画は低カロリーにみえますが、そこそこの水準で悪くないと思います。

 EDの声優のクレジットに「電動雀卓ボイス 孫悦」というクレジットがあってちょっと笑ってしまいました。孫悦さんという声優は検索しても良くわかりませんでした。女優さんでいましたが同姓同名が多いので確信は持てませんでした。

 OPは面白い歌詞なのも好印象です。{/netabare}


3話 カレーと刺身をコーラで食うという地獄絵図。雀荘経営もの?

{netabare}  結果的にイカサマの説明(ただ、麻雀知らない人には理解できないと思い)と、料理、そしてカレーと刺身をコーラで食うという地獄絵図の話でした。

 妙に設備の説明を丁寧にしているので、この作品は結果的に麻雀ものというより、雀荘経営までのプロセスを描くのでしょうか?主旨があるとすればそれしかなさそうです。

 気が向いたら視聴継続、他で切るものが少なければ一旦中止するかも。ただ、週1で土曜の朝に見る感じじゃないと一気見はきついかも。 {/netabare}


4話 麻雀放浪記…渋いなあ。

 今回の冒頭のサイコロの練習とゲームの途中で「このゲームにサイコロを振る場面はありませんよ」と言われて、外の天気の話題をしていたシーンがありました。
 あれが阿佐田哲也「麻雀放浪記」に出てきた2の2というイカサマのシーンのオマージュだということに何人の人が気が付くでしょうか?映画が有名だし映画の最大の山場なので知っている人もいるか…しかし渋すぎでしょう。

 まあ、ゲームでしたが麻雀シーンはありましたし、話も動きそうですね。ところでトリの意味は?


5話 そしてバーベキューへ???

 まあ、もういいですかね。作画も何かわけわからなくなってきたし。初めのドラの爆弾のイカサマは「哲也」?かな。もうどうでもいいですけど。

 ということで5話まで持ちましたが、ここで中断です。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5

【失敗作の典型例-6】制作陣の悪ノリ・内輪ウケ

【レビューNo.108】(初回登録:2024/2/19)
オリジナルアニメで2024年作品。(7話切り)
コミック原作かと思ったら、講談社が初めて原作を手がけるオリジナルアニメ
らしい。
久しぶりの「麻雀モノ」ということで、どんなものかと少し期待してたのです
が・・・

(ストーリー)
JK(日常系)×麻雀×ご当地モノ(広島・尾道)みたいな?!

(評 価)
・「アカギ」や「哲也」のパロディやりたかっただけやろw
 まあ「JKが○○やってみた!」的なアニメはいろいろありますが、これは
 アカンわ。
 体感的に「日常系」:「麻雀」が8:2って感じで、
 ・「JKの日常系」アニメを創りたいがそれだけじゃ芸がない
  → とりあえず「麻雀」でも足しとけw
 位の感じで、(後述しますが)「何で『麻雀モノ』をやってるの?」と疑問
 を呈したくなるレベルですね。
 個人的には「『アカギ』や『哲也』のパロディやりたかっただけやろw」と
 勘繰りたくなる位中身が薄いなっと。

・制作陣の「おふざけ感」が強すぎる
 ・1話は予定通り(?)「主人公が麻雀を知らない」ということもあり、簡単
  な麻雀のルール説明(いうても「3枚1組でそろえていく」位だけどw)で
  今後「日常系」と「麻雀」をバランスよくみせていくのかと思いきや、話
  が進むに連れ「??」な展開の連続で・・・例えば
  {netabare}・「ネット麻雀」で負けた新キャラが主人公達の元に、リアルでの勝負を
   果たすために乗り込んでくるも、
   → 「野外麻雀」という名目で外へ連れ出し「バーベキュー大会」
      結局麻雀シーン一切なし?!
  ・「麻雀合宿」と銘打って旅館に一泊
   → 昼間の「尾道名所巡り」が無計画で旅館についたのが夜遅く
   → 新キャラが一番勝負したかったキャラが疲れて即落ち
     他のメンバーも眠気と戦いながらの麻雀大会
   → 当然まとまな麻雀になるはずもなく、途中で牌を積み上げたりと遊び
     出す始末?!
  ・海での水着回
   → 誕生日プレゼントに金持ちお嬢さまキャラが「金でできた麻雀牌」を
     渡そうとして、拒否られる(いろいろな意味で重いよw)
   → それを賞金として争奪戦が勃発
     (ビーチフラッグやビーチバレー等)
     そこに無理やり「麻雀要素」をねじ込んでくる?!{/netabare}
  (緩くても)普通に麻雀してればいいのに、制作陣の「おふざけ感」が強す
  ぎてコメディ展開も笑えんなと。
  こんな感じなので(パロディネタも併せて)制作陣の悪ノリ・内輪ウケにし
  かみえなかったんですよね。
  こんな扱いにする位なら「麻雀」要らなくねー?
  (どうも麻雀は「笑いの引き出し」に使いたいようでコレジャナイ感が・・・)

・キャラに魅力がないのかな
 とはいえ、日常系が面白いのかといえばこれもパッとしない。
 日常系でみせるには、キャラの描写が表面的で魅力に欠けるというか。
 例えば麻雀の打ち方とキャラの性格がリンクしていれば、両方の要素が相乗効
 果で面白くみえる気もするのが、(麻雀も同様だが)不自然に面白展開を作っ
 て力技で笑いを取ろうとしてる感じが目につくというか。
 (パロディを多用してるのもそういう表れなのかなあっと)
 どちらも中途半端で「共倒れ」になっている印象を受けますね。

正直この先も期待できないので、もう「切るしかなしこちゃん」だよwww
ただOP曲「ポンポポポン」は「麻雀用語」をふんだんに歌詞に盛り込んだ完成
度の高い出来で、これだけは唯一評価できるかなっと。

(追 記)
個人的にはこんなアニメを創る位なら、「藤井聡太八冠」で盛り上がる将棋界を
テーマに、「月下の棋士」を現在版にアップデートしたアニオリ作品でも創って
くれないかなと思ってしまった。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 15

鬼戦車 t89 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

ギャグは寒いが…。可愛い女子達と尾道、そして親父趣味の麻雀…。狙っていますねぇ。いや…、段々これじゃない感が…。

 最終話(12話)まで観ました。2024.03.23

 無理矢理終わらせた感じの最終話でした。元々雀荘なので雀卓は一台しかないわけでは無いし、リーチェは大金持ちのはず…。

 特に内容の無い日常系の物語なので、強引にオチをつけなくても良かった気がします。

 登場人物達を尾道のお祭りに参加させたり、盛り上げようと色々したのは分かりますが、どうにも跳ねない感じでした。

 この頃、日常系の話が流行しない時代と言われていますが、他のアニメに埋もれてしまった感じです。

 麻雀はやはり、金を賭けてタバコを吸いまくってやらないと面白く無い様です。

 学生の頃、良く徹マンしましたが、懐かしいなぁ…位の感想しかありませんでした。何かが足らんのですね。
………………………………………………………………………

 7話まで観ました。2024.02.22

 海に遊びに行く!水着回だぁ〜!って…。コレで興奮したり喜ぶ視聴者もいるかも知れませんが、何を今さら…。

 そして、麻雀要素が少し絡んだゲーム等してJK達が楽しそうに遊びますが、別に面白くも無いので何を見せられているんだ感が強いです。

 一体何がしたいのか?謎アニメになりつつあります。
………………………………………………………………………

 6話まで観ました。2024.02.11

 5話で五人目が加入しました。テンポが悪くなるだけのパロディーは影を潜めました。ネタ切れかな?

 しかし…、この五人目が他の四人程浮世離れしておらず、真剣に麻雀やりたいキャラなので浮いています。四人でキャッキャウフフしてた方が良かったんじゃ?

 ゲストキャラならともかく、これから五人で話を回していくのかな?主人公達仲良し三人組はそれほど麻雀好きそうじゃないし、ギャグマンガにあるまじき不穏さが漂ってきてます。

 五人目は排除した方が良い様な…。要らない子が混じっている感じは良くないですねぇ。後半どうするのかとても心配です。

………………………………………………………………………

 2話まで観ました。2024.01.15

 ワンクール、ネタ保つのか?と心配になる様なお話です。今回は全自動卓なのにツミコミしたり、燕返しするネタでしたが、これから何やるのかな?段々と上級者になるのかな?

 女子高生なのであまりギャンブル廃人的な話は出来ないし、おふざけギャグなので真面目に打つのもちょとなぁ。

 視聴継続しますが、段々とパワーが落ちてフェードアウトしそうです。最後までテンション保つかが一番気になります。
……………………………………………………………………… 

 1話観ました。2024.01.08

 何故かパパの持っている古い雀荘で仲良し女子達が麻雀やるそうです。

 初回、ギャグが寒いです。往年の麻雀漫画のパロディーなのは分かりますが、若いねーちゃんのやることではないです。非存在女子の面目躍如ってやつです。

 今の所、どうなるのか余談を許しませんが、麻雀に興味があるなら観ても良いかもです。

 

投稿 : 2024/11/02
♥ : 4

68.7 5 フォーカスアニメランキング5位
BanG Dream! It's MyGO!!!!!(バンドリ! マイゴ)(TVアニメ動画)

2023年夏アニメ
★★★★☆ 3.6 (152)
267人が棚に入れました
キャラクターとライヴがリンクする次世代ガールズ・バンド・プロジェクト、"BanG Dream!(バンドリ!)"から生まれる"現実(リアル)"と"仮想(キャラクター)"が同期するバンド"MyGO!!!!!"(読み:マイゴ)の活動がスタートする。
"迷子でもいい、前へ進め。"をキャッチコピーに燈(Vo)、愛音(Gt)、楽奈(Gt)、そよ(Ba)、立希(Dr)の5人で構成されている。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

最高に面倒くさいガールズバンドアニメ

【物語 4.5点】
私がいわゆる“2.5次元”コンテンツのアニメに関して、しばしばもどかしさを感じるのは、
コンテンツの中核で、偶像(アイドル)であるキャラを傷つけまいと躊躇する余り、
青春描写の踏み込みが浅くなりがちなこと。

物語の中で人物を息づかせるために必要な挫折や醜さを晒す脚本を書くと、
推しを傷付けられたとすぐに炎上する風潮。
それを気にしてか脚本が無難に萌えるネタに迷走したりする。
相当な青春作品の名手でも2.5次元だとカオス脚本を書いてしまう背景かと思われます。


その点、本作はとことんシリアス路線を志向し、序盤からキャラを偶像視せず、
人物同士が全力で傷つき傷つけ合っています。

プロットも最後キラキラなステージで大団円などゴールから逆算する帰納法ではなく、
その都度、このキャラならリアルでどう反応するかを重視してシナリオを紡いでいく演繹法で構築。

キャラにこんなこと言わせたら場が壊れてしまうのではないか?
というセリフもこの人物が言って不自然じゃなければ言わせる。
リアルを突き詰めた結果、最悪物語が崩壊しても構わない。
とにかく視聴者を疲れさせるとの監督の鬼方針w¹

ストレスを9話まで溜めに溜めて10話のライブ回で一気に解放する極端な構成。
煽りを受け11話でバンド名考案、ステージ衣装、新曲と普通の2.5次元アニメなら、
複数回に分けてエモさを醸すチェックポイントとして大事にするイベントを、
たった1回分にすし詰めにし、迷子たちのバンドを象徴する贄に捧げて、12話で慌ただしくバンド結成ライブする忙しなさは演繹法ならではの生々しい感覚。

そして、ライブ後の13話もただでは終わらない。
{netabare} 新バンドAve Mujicaの誕生。{/netabare}
ラストの凡そガールズバンドアニメとは思えないキラキラ感皆無なセリフが心に穴を穿つ重たい衝撃。
MyGO!!!!!はギスギスばかりだったけど、それでも青春していたんだなぁと、
逆説的に思い知らされました。


間違いなく人を選びますし、全然キラキラしてなくて楽しくないし(まぁ、私は終始“ギスドリ”満喫させて頂きましたがw)
嫌悪感を覚える方がいても仕方がない内容。
ですが、私は2.5次元アニメ脚本の自縄自縛を思い切り振り払った本作の挑戦を高く評価したいです。


【作画 4.5点】
サンジゲンによる3DCGアニメーションが軸。
ですが10話の燈から愛音への{netabare} 「一緒に迷子になろう」{/netabare} との殺し文句など、
心を揺さぶる場面では手描き重視で映像を構成することも。

{netabare} 10話ライブシーン{/netabare} のCGを見ていて感慨を覚えたのは泣き顔の進化。
演出の力もあるのでしょうが、各々が違う想いを抱えて、異なる泣き方をする。
この泣きの描き分けがCGでできていることに驚愕しました。
あのシーン。私は泣き顔見るために何度も観てしまいます。

カメラワークについて。10話ライブシーンのように自在にアングルを動かして臨場感を出す演出は相変わらずCGならではだなと思います。

が、それ以上に今回私が興味深いと思ったのが7話の楽屋、舞台裏のシーン。
カメラを敢えて防犯カメラみたいなポジションに固定して、
本番前後のバンドメンバーの落ち着きのない全容を“長回し”で定点観測したカメラワーク演出。

あっちでボーカルが不安で落ち着きをなくしたり、あっちで“野良猫”が気まぐれに動き回ったり。
迷子が迷子のままライブに雪崩込んで、ハプニングだったり、アドリブだったり、修羅場だったりw
俯瞰で体感することで、迷子のバンドのそわそわ感を共有できました。

これが手描きだと掛け合い終わったキャラは描くの面倒だから、とっとと画面から消えて欲しいとなるのでしょうがw
一旦モデル構築してしまえば何時までも映しておける。
これもCGならではの固定カメラ演出だったと思います。


【キャラ 4.0点】
MyGO!!!!!メンバー各人詳細については初回レビューで記したので割愛。

2.5次元では、しばしば、メンバー同士の仲睦まじいカットを多様して、
カップリングが尊い!とファンの忠誠心を上げるビジネスモデルがありますが、
本作はそこも無視。

バンドは上手くいかないもの。絆ではなく打算で結ばれたリアルな関係性の追求。
などの方針の元、脚本がメンバーを和気あいあいとカップリングしそうになると、
仲悪くして!と監督の鬼司令が飛んだそうでw

ただ安易に馴れ合わない女子同士には何とも言えない味わいが滲み出るもの。
私は愛音とそよさんの、どうせ私はこんなだよ、だから何?って感じの“カップリング”が好物ですw


視聴中『バンドリ』が新展開する正体不明の謎の覆面バンドAve Mujicaメンバーが作中で暗躍している。
との噂を耳にして情報を物色。

MyGO!!!!!もポエトミー多用して人を選ぶ面倒くさいバンドですが、
Ave Mujicaに至っては選ばれし者だけが招待される闇の儀式といった感じで、面倒を通り越してもはやアブナイですw

それだけに、どうしてあんな清楚そうなお嬢様方が黒いレースのパン……いやwマスクを付けて、
死と再誕を叫ぶに至ったのか?
何よりCRYCHIC解散の真相は?
制作中だという続編での解答を切望します。


【声優 3.5点】
MyGO!!!!!キャスト各人詳細については初回レビューで記したので割愛。

燈役の羊宮 妃那さん、立希役の林 鼓子さんは声優としてのキャリアもあって安定。

新人の方では愛音役の立石凛さんは、
逃げてる自分を煙に巻く掴みどころのないキャラボイス設定もあってか、
また御本人も初回収録時緊張したと語られていた通り、ややたどたどしい感じ。

それでも5話の愛音の過去掘り下げ回では、
慣れない感じの英語自己紹介も含めて奮闘していました。
ただ、やっぱり私には、愛音のボイスからは中学時代に生徒会長やっていたというイメージは沸いてきません。

一方、そよ役の小日向 美香さんは振れ幅の大きい役柄もあってか見せ場十分。
今後はバンドリだけに留まらず、
悪役令嬢役やメンヘラ女子役から声優としての地歩を固めていって欲しいです。

楽奈役の青木 陽奈さんは……セリフが短くてよく分かりませんでしたw


そんな中、芸能界でも筋金入りの2.5次元アイドル好きとして知られる
宮田 俊哉さん(Kis-My-Ft2)が燈の父役として出演。
先日は総集編ナレーションでも本作の魅力を熱く語っていました。


【音楽 4.0点】
劇伴担当はElements Gardenの藤田 淳平氏と藤間 仁氏。
キラキラ成分控え目。ピアノ等による静かな心情曲が目立つ。
時に無音も選択し、キャラ同士のギスギスした会話に視聴者を集中させる。


MyGO!!!!!のバンド曲は、キーボードを廃し、ギターを二本置く構成で、
メロディック・ハードコアを追求。
会話を交わすだけでは表現困難な心情を時にポエトリーも交えてぶつける歌詞も痛切な青春パンク。

初回レビューにて私はボーカル役・羊宮さんの役者としての力を引き出す“台本”を用意できるかが鍵との趣旨の見通しを語らせて頂きましたが、
10話のライブ曲は彼女が熱演するに値する素晴らしい“台本”でした。

コンテンツ中で“MyGO!!!!!結成秘話”と位置づけられる本アニメ。
アニメ以前にリリースされた楽曲群も視聴前はもうひと押しかな?と思っていましたが、
“前日譚”である本作を観ていく中で、メンバーの積み重ねて来た想いが語られた曲として愛着が沸いて来ました。
その流れで{netabare} 12話で披露された1stシングル「迷星叫」(まよいうた)のライブシーン{/netabare} は嬉しかったです。


【参考文献】¹『メガミマガジン2023年10月号』「BanG Dream! It`s MyGO!!!!!特集」ライブ・イズ・ワンダフル 迷子たちの悔悟と覚悟 (柿本広大監督インタビュー)より。



【10話感想】ここまでの鬱積した想いを詩(うた)に乗せて解き放った凄まじいライブ回
{netabare}
第10話。概略はこじれた諸々を歌の力で解決する音楽アニメの定番回。

この回の凄い所は、音楽の力を最大火力で放つため、
これまでの9話分を使って、前のバンド解散のトラウマ等を引きずるメンバーたちの抱えた迷いやら、汚さやら、自己嫌悪やらを、
キャラクター価値を毀損する勢いで、全力でえぐり出す鬱展開にひたすら費やして、
10話に向けて鬱屈したエネルギーを溜めに溜めて来た所。

9話でバンドが修復不可能な所までドン底まで落として屈んだ上で、
もう歌うしかないと主人公にも視聴者にも腹をくくらせる。
そして、歌で決めると覚悟してからはグズグズと次回に持ち越したりせず、
この第10話一回で一気に決めた所。

{netabare} 再び一人ぼっちになったボーカルが詩の朗読から始め、
おもしれー女だとギターが戻り、ドラムが戻り、
サイドギターが戻り、バンドにトドメの致命傷を与えたと思われたベースも戻る。
そしてポエトリーから蘇るバンドソング。
最後は心を曝け出した不器用な連中が泣きながらライブパフォーマンス。
(ただし“野良猫”は終始楽しげ){/netabare}

このバンドがなぜポエトリーを多用するのか。
OPアニメでなぜ円を囲んで演奏しているのか。
謎の氷解と手応えと共にMyGO!!!!!の完成がいよいよ近づいて参りました。

私も音楽アニメを見続けていると、こういう展開には多々遭遇しますが、
瞬間最大風速という点では過去最大級の感動回でした。


ここまで正直、ギスギスMAXな展開に心が折れそうになることもありました。
(と言いつつここ数話は、{netabare} 闇堕ちしたそよさんの狂気がIt`s そよtime!って感じで、とても楽しませて頂きましたがw{/netabare} )
キャスト陣がインタビュー等で口々に「10話は絶対見て下さい」と懇願するのを信じてついてきて本当に良かったです。{/netabare}


【1~3話までのレビュー】ボーカル・CV.羊宮 妃那、ドラム・CV.林 鼓子に釣られて飛び込んだ『バンドリ!』スピンオフ

長いので折りたたみ

{netabare}
声優が実際にバンド演奏したりする『BanG Dream!』(バンドリ)
新たな五人組バンド「MyGO!!!!!」(マイゴ)を描いたスピンオフアニメ。
初回は#1~#3の90分一挙放送。

【物語 3.5点】
暗い、重い、面倒くさい。
でも、やさぐれてなければロックじゃないとか痛いこと思っている私w
面倒くさいバンドは嫌いじゃないので望む所。

中心人物となる奥手なVo.燈(ともり)らは、中学時代にバンド崩壊という過去を抱えている。
#1~#2にて、事情を知らない外面陽キャ転校生のGt.愛音(あのん)視点で、トラウマの残る人間関係に外側から踏み込んでいく。

#3にて、ようやく燈の一人称視点にて、過去のバンド結成から崩壊までの内情を語るも、
{netabare} バンド活動が終わった本当の原因は明らかにならず持ち越し。
トラウマは解消せず、MyGO!!!!!結成すらされず。{/netabare}
むしろ鬱が深まって初回放送が終わる。

早い展開を求める昨今の風潮では、1話だけの放送だと、地味だと切られかねない。
よって3話まで一気は英断でしたが、それでも好みは分かれそう。
私は3話までに勝負曲披露すべく諸々飛ばしてでもアピールを急ぐ2.5次元が多い中、
中々気骨があるバンドアニメだなと好感しましたが。
初回で、そんなにキラキラした話じゃないよ?と方向性を示したことはある意味、親切ではあります。


【作画 4.0点】
サンジゲンによる3DCG作品。

本音を言葉にするのが不得手な子が多いため、表情描写も果敢。
帰宅して「表情筋死んだ~」ってなる愛音。伝わって来ますw

顔面だけでは語りきれない心情を反映しようと、風景や小物も駆り出される。
収集癖がある燈がペンギン絆創膏コレクションに秘めた、
過去を取り戻せるかもしれない期待と、やっぱり無理かもとの落胆。
繊細でした。

空間を構築してしまえば、視点変更やカメラワークが容易なのもCGの利点。
三人称と一人称の切り替えもスムーズでした。


【キャラ 3.5点】
メインバンドとなるMyGO!!!!!

迷子とマイゴをかけて「迷子でもいい、前へ進め!」とか言い出すし。
歌詞も“うじうじ しくしく”などとこじらせているし。
イメージカラーもブルーだし、曲名の総画数多いし。
キーボードを置かないギター2人体制だし。
捻くれた私はホント良い感じで面倒くさいな~とニヤニヤしてしまいますw

メンバー
Vo.高松燈(ともり)……高等部1年。“羽丘女子学園の不思議ちゃん”。周囲と折り合えないネガティブ思考などをノートにしたためる内に、作詞の才能も開花。

Gt.千早愛音(あのん)……高等部1年。羽丘女子学園に転校後、軽い気持ちで燈をバンドに誘い地雷を踏んづける。ギター&ボーカル志望だが、演奏はご無沙汰なのか今ひとつな模様。

Gt.要楽奈(らーな)……通学先など謎が多いオッドアイ。初回では{netabare} 超絶ギターソロを披露して去っていった{/netabare} のみだが、リードギターになる片鱗は示した。燈がぼっちだとしたら、楽奈はマイペースを守るひとり好きといった印象。

Ba.長崎そよ……月ノ森女子学園。面倒見の良い、優しいお姉さんといった印象だが燈らと同じ高校1年。大人しい子の世話を焼いて、気持ちを決めつけたり、伝書鳩にしたり……。個人的には、そよが一番警戒すべき人物だと身構えています。

Dr.椎名立希(たき)……花咲川女子学園高等部1年。ライブハウスでバイトする目付きが怖い一匹狼。接客態度も極悪wですが個人的には一番デレると萌えるキャラクターだと期待していますw

その他、燈らと中学時代、CRYCHICで同じバンドメンバーだった女子も絡み複数校にまたがる地雷原を形成。


【声優 3.5点】
MyGO!!!!!は2022年4月の結成後は暫くキャスト名を伏せて活動していたそうですが、
アニメ放送を控えた今年4月にキャストが発表。

Vo.燈(CV.羊宮 妃那さん)
最近『僕ヤバ』ヒロイン役で私がますます深みにハマっている声優さん。
2.5次元については私は『セレプロ』八木野土香役でも歌声を耳にしているはずですが、
声量で押すタイプではないこともあってか、あまり印象に残らず(むしろ、よく食べる道産子のイメージの方が強いw)

MyGO!!!!!においても歌唱しているというより、歌詞を台詞に見立てて演じている感じ。
今後の同バンドの浮沈は、作詞・作曲担当が彼女の演技力を引き出す“台本”を用意できるかにかかっているかと。
これまでのリリース曲も、時にポエトミー(曲が始まっても歌わずポエム喋るやつ)も交えて、ささくれていて良い感じですが、私はもっと攻めても良いと思っています。

Dr.椎名立希(CV.林 鼓子さん)
今年解散した声優ユニット「Run Girls, Run!」メンバー。
最近では『ニジガク』の2代目・優木せつ菜役も務める。
鼓子だけに実は鼓も叩いていたという発表は衝撃でした。
歌って踊って生徒会長も勤めてバンドもやるなんてパワフルですね♪
(二次元と三次元どころかコンテンツの区別もついていないw)

2人のキャスト発表が私がMyGO!!!!!沼に迷い込んだキッカケ。


Gt.千早愛音(CV.立石 凛さん)
「S・響・エースクルー合同オーディション2020」合格から響に所属する新人。
アコースティックギターは弾いたことあるが、エレキギターはMyGO!!!!!で初挑戦。
#1~#2ではモノローグ含めてシナリオを引っ張る役柄でしたが、正直まだ固さがある印象。
愛音も色々事情がありそうなキャラ。深掘りと共に新人声優が一皮剥ける様を見るのも2.5次元の醍醐味。

Gt.要楽奈(CV.青木 陽菜さん)
立石さんと同じオーディション合格から響に所属する新人その2。
キャラ同様、ギター経験は彼女の方が豊富な模様。
バンド組みたい願望がMyGO!!!!!で叶う。
『レヴュスタ』中等部で経験済の2.5次元舞台のスキル発揮にも期待。

Ba.長崎そよ(CV.小日向 美香さん)
『バンドリ!』がキッカケでベースを始めた新人声優がMyGO!!!!!でベースを弾く。
コンテンツも8年続くとこうした事例も出てきます。
初回では、そよの含みのある人当たりの良さを好表現。中々侮れない新人です。


【音楽 4.0点】
MyGO!!!!!が歌う主題歌。
OP「壱雫空」(ひとしずく)、ED「栞」共に痛切な歌詞世界ですが、
同バンドの中では叫びも控えめで、光明が差すだけまだ優しい部類。
あとは梅雨明け前にフライング気味に放送開始して良かったなとも感じました。


作中ドビュッシーなどピアノ定番曲が流れるのも、青春劇の割れ物注意感に拍車をかける。
ピアノ演奏する豊川祥子役に配された声優界最強のピアノガチ勢・高尾 奏音さんの激情はいつ爆発するのか?
震えて待ちたいです。


【感想】
私はアプリ『ガルパ』は未プレイ。アニメも1期3話の「きらきら星」の演出が合わずに挫折した口。
今、振り返れば「Poppin'Party」は、私にはキラキラして眩しすぎたのかもしれません。

ただ『バンドリ!』への興味は持続していて、アンテナ張っていた時に目に留まったのが本作でした。

同じ世界観でPoppin'Partyを軸に横へ広がる展開が目立つ印象だったアニメ本編。
最近は下の世代への縦展開もさかんなのでしょうか?
本作なら予習必須の過去作との関連も少な目で、脱落者の私でも何とか復帰して付いていけそうです。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 23

ゲリオ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

新規にこそ見て欲しい最高傑作

や…期待を遥かに上回る神アニメだった。97/100点。
自分は本コンテンツのファンだが、それを差し引いてもシリーズ最高傑作…いや、全アニメ作品含めて、ここ最近でトップに据えてもおかしくないような名作と言っても過言でないのではないか。
繊細な人間ドラマを描いたストーリーがともかく深く、キャラクターが悩み、苦しみ、迷い、それでも前へ歩み出す光景に胸を揺さぶられずにはいられない。
そして3Dアニメーションを長きに渡って業界の最先端で作り続けたサンジゲンさんの生み出す高い映像技術は、息をのむ圧巻の出来栄え。
総てにおいて文句なしの仕上がりだった。


本来ならもっと話題になってしかるべき作品だと思われるも、やはり「バンドリ」の看板が重い足枷となる。
バンドリシリーズと言えば、私のような固定ファンはいるものの、アニメファン全体としての視聴者数は実は少ない。
理由は2017年のTVシリーズ1期が主に作画面で悪い意味で話題となり、それを受けて2期以降はサンジゲン制作の3Dアニメに改修されたものの、本コンテンツのソシャゲである『ガールズバンドパーティ』をプレイ前提で視聴が推奨される内容だったこともあり、ゲームファン以外の視聴者を獲得出来なかったからだ。
また、3度のTVシリーズと映画やOVAも含めれば、実に10作前後制作されていることから、もはや新規が入り込める余地がないように感じられるのも無理もない。


ただし、今作に関してはそんな新規の人にこそ勧めたい!
なぜならシリーズ新章とも言える此度の『It's MyGO!!!!!』には旧作の絡みはほとんど存在しないからだ。
学校やライブハウスなどの舞台設定は旧作を引き継ぐものの、ストーリーはあくまで新キャラたちだけのもので、過去のアニメやゲームの内容を知らなければいけない要素は全くない。
だからこそ「バンドリ」の看板は足枷となり、言い方を悪くすれば邪魔でさえあった。
これはオンエア前から不安要素であり、シリーズファンの自分としては「バンドリ」が盛り上がってほしいけど「バンドリ」である限り盛り上がることができない…もどかしいジレンマに他ならなかった。
全話終了後の結果としては、アニメ系YouTuberさんやアニメライターさんらインフルエンサーが今作『It's MyGO!!!!!』を好評する発信をしてくれたお陰で、それなりに話題に挙がることが多かったのは嬉しかった。
ただ、作品のレベル的には、もっともっと盛り上がってしかるべき大作だったので、今でもアニメタイトルに「バンドリ」をかざしたのは悪手だったとは思っている。


前置きが長くなったが中身のレビューも書かなくてはならない。
今回は長文レビューになりそうなので敢えて項目事に感想を述べたい。


・ストーリー(20点満点中20点)
今までのバンドリシリーズの物語は「キラキラドキドキ」というワードが作品を彩っていたのに対し、ずばり今作は「ドロドロギスギス」である。
メンバー同士の「結束」なにそれ美味しいの?と言わんばかりに、ともかくメンバーがバラバラなのだ。今回の作品は。
ネタバレを避けるため詳細は語らないが、ともかく序盤から堕とす堕とす…上げるかと思いきや、さらにドン底に叩き堕とす!
あまりにも辛く苦しいストーリー、きらら作品が好きみたいなアニメファンはもしかしたら合わないかもしれないけど、自分としては大歓迎である。
過去の神アニメ判定した作品を振り返っても、自分は少女たちが挫折し、悩み苦しみ、そこから這い上がるサクセスストーリーが大好物なのである。

とはいえ、本ストーリーはあまりにも這い上がれる気配すら見えず、特に第9話のラストシーンは辛すぎて頭痛を催すレベル。もちろん「もう見たくない!」ではなく「どうすればいいんだ!助けてくれ!」という頭痛。
美少女アニメでこんなにも心を揺さぶられる作品、未だかつてあったろうか?あるわけがない。生死を扱うアニメじゃないぞ?ただの女子高生バンドアニメだぞ?
もはやどうやっても好転させることは不可能だ…そんな状況の中、それでも諦めなかった主人公の高松燈が第10話で奇跡の逆転劇を見せつける。
ドン底に堕ちたキャラクターたちが、青春のキラメキを一気に爆発させるカタルシスは圧巻の一言。第10話は本作を神アニメたらしめた究極の回だったと言える。
11話はこれまでの殺伐さを一変させるほのぼの回。
12話は「It's my go!!!!!」をサブタイトルとした実質の最終回だった。
そして13話は賛否両論の…(後述)
振り返れば色んな意味で恐ろしいほどに重厚な脚本だった。
毎週毎週、次が気になって仕方がない、久々にそんなアニメを見た気がする。


・キャラクター(20点満点中20点)
いや、キャラも非常に良かったです。
何しろ主人公バンド5人は全員が全員、心に何らかの欠陥を持つ女の子。
単に性格が悪いとかではなく、これまでの人生や、生まれ持った性質も起因してる子もいて、円滑なコミュニケーションを築くことが出来ない。
もちろん『ぼっち・ざ・ろっく』のように、コミュ障の一人を支えるような優しい世界は構築されていない。

例えば、千早愛音は一見するとみんなを引っ張れるようなポジティブな性格に見えるが、その実、自分が目立つことしか考えてない承認欲求の塊で、かつ実力以上に自分のことを過信している割とクズな子。
最初は「なんやこいつ…」と思う程に欠点だらけのキャラなのに、そんなウザ具合が逆にだんだんと愛着を持てるようになっていく不思議。
最初から優等生じゃつまらない、ダメダメな子が成長していく過程が面白いのである。

そんな愛音をさらに超えるようなカス・オブ・ザ・カス、それが長崎そよである。
最初はバンドを支えるママポジションに見えるが、実は真逆のとんでもない腹黒女だったことが発覚。
「なんで春日影やったの!!!」の台詞は個人的名言オブザイヤー。
本性を現した第8話以降は、階段を転げ落ちるかのように堕落し、メンヘラ、ストーカー、裏切りと考えられる全て悪行を行うまでに至る。
申し訳ないが、あまりの没落ぶりはストーリーを盛り上げる意味では最高の役割を果たしてくれた。ネタにもなったし最終的に一番好きなキャラになったのは自分だけではないだろう。
10話における愛音との対話は震えた。最初から切り捨てるためにバンドに入れたはずの愛音が、そよにとって生まれて初めて本音をぶつけ合えるような相手になるとはね…
あんなにダメダメでクズでカスだったキャラたちのことを、わずか数話でどうしようもなく愛おしいキャラに感じさせてくれるように仕立てた脚本は本当に素晴らしい。

あとは主人公の燈。生まれつき人とは感性が違って、他人とうまくコミュニケーションが取れないけど、誰よりも友達との絆を大切にする女の子。
グチャグチャのバラバラなメンバーをひとつに纏める奇跡を生んだ彼女の勇気は、どんな主人公より主人公してたと思う!
他のメンバー2人もめちゃくちゃ語りたいけど、あまりに長くなるので割愛。
また、もう一人の裏主人公、豊川祥子については後で触れる。


・作画(20点満点中20点)
ずっと言ってるけど、サンジゲンのCGは作画を超えてる。
2018年から制作が始まったバンドリ(&D4DJ)のミュージックビデオは全部見てるけど、最初から圧倒的だったのに更に進化が止まらない。
楽器を弾く細かな動きから髪の毛の揺れまで、細部に渡る拘りが毎度素晴らしすぎる。
今作の10話ライブシーンのダイナミックなカメラワークも凄まじかった。
感情の全てをさらけ出し、思いをメンバーにぶつけ合う描写…
あの映像だけでMyGOがどんなバンドなのかを100%再現出来ていた。

もちろんライブシーン以外も褒め始めたらキリがない。
特にキャラクターの表情に関しては、旧作に比べて一段と進化を見せる。
例えに挙げるキャラは、やはり長崎そよなのだが、序盤の母性と若干の嘘っぽさが見え隠れする顔、中盤の「なん春」事件におけるブチ切れ顔、目の光を失った闇堕ち顔、終盤の付き物が取れた顔、時には「わたしの衣装切れてるー!」とギャグ顔かましたり、まさに長崎表情七変化!
そよに限らず、各々のキャラが多彩な表情を見せてくれる本作を見れば「CGには温かみがない」という従来の定説は根本から覆ることだろう。
また、第3話における過去回は終始、燈の一人称視点でストーリーが進む。
まばたきの演出から、ラストシーンで涙で視界がぼやける演出まで…
3Dアニメならではの新しい試みに挑戦していて、見直して改めて素晴らしいと感じた。

そんな文句の付けどころがない仕事をしているのにもかかわらず、バンドリ2期~D4DJまでアニメが思うようにヒットしなかった件で、おそらくブシロード側でもCG路線を切り替える企画案も出ただろうに、サンジゲンさんの長年の功績を裏切らなかったことは称賛に値する。色々アニメが失敗してしまったのは、むしろブシロード木谷会長(社長)のせいだと思ってるので俺は。
サンジゲンさんはいつも最高の仕事をしてくれている。
まじな話で食わず嫌いでCGを敬遠してる人は、頭真っ白にして見てほしい。
作画に負けてる部分なんてひとつもないから!


・声優(20点満点中19点)
これも何度も言ってるけどね、バンドリ声優ってリアルライブで楽器弾くんすよ!
この点でもう既に同じ立ち位置では語れないわけ。
「歌って踊れる?キサマらの居る場所は既に我々が2000年前に通過した場所だッッッ!!」(by木谷海王)

そして本作においては、まず第一に主人公の燈役の羊宮さんである。
前クールの『僕の心のヤバいやつ』で一躍注目声優になった若手有望株。
大手事務所に所属し、次世代を代表する実力があるのに、拘束時間が長いであろうバンドリによく引っ張ってこれたな…って、自分からオーディションに参加してくれたの?…すごく有難いが、キャリアをバンドリに費やして良いのだろうか。
ポスト花澤にもポスト茅野にもなれるし、しかも独自な演技も出来る伸びしろしかない役者さんなので。
実は自分、MyGOの存在は前から知ってて、何ならキャスト名が公開されてない段階でオープニングアクトで登場したリアルライブも遠目で見たことあったけど、その時は「素人のお試しガールズバンド企画」みたいな感じだと思ってて、ボーカルの正体がこんな声優界の未来を担うような方だったなんて予想だにしなかった。

一方、愛音や楽奈は外部からではない自社ブシロ声優。
愛音役の立石凛さんは演技力という意味ではまだまだ新人の段階(それでも楽器が出来る点で文句は全くない)も、なんだか聞けば聞くほど味わい深い声となる。
他キャラのcvだったら少しアカンかもだけど、愛音というキャラにはピッタリな声質で、かつ中毒性があり、アニメ放送後のMX天気予報の「あっつぅ~いねぇ」が毎週の楽しみだった人も少なからずいたのではないか?
今までのバンドリ声優がそうだったように、ソシャゲの『ガルパ』の収録でどんどん演技力が向上することが予測されるが、上手くなって癖が無くなったら逆に困るね…w


・音楽(20点満点中20点)
爽やかな疾走感のあるオープニング曲の『壱雫空(ひとしずく)』がまず好き。
そこからMyGO!!!!!の既存の曲も聴いて全部好きになった。
第10話の挿入歌の『詩超絆(うたことば)』はストーリーの流れで朗読から入ったのだと思ってたら、原曲も同じく朗読でびっくりする。
ポエトリーリーディングというひとつの手法のようで、これがバンドの色となれば面白いと思う(多用されすぎると困るが)。
新章におけるもうひとつの裏バンドAve Mujicaは、重低音が特徴の…何系っていうのか、ヘビメタ系?ビジュアル系?MyGOと全然音楽性が違うのが面白い。
詩に思いを詰め込んで全てをさらけ出すMyGOの音楽と、劇をモチーフに作りこまれた世界観のAve Mujicaの音楽、対照的な2バンドが新たなバンドリを彩っていく今後が非常に興味深い。

今までのバンドリユニットと全て棲み分けが出来てるのがまた良い。
これまでPoppin'Party~Morfonicaまで、Elements Gardenが主に作曲してきたが、新章からはSUPA LOVEという別プロダクションが担当している。ただ、エンディングの『栞』や最終回の挿入歌は、エレガが作曲してるので全部が全部というわけではない模様。
なんにせよ、相変わらずバンドリ曲は全部好みなので、またリアルライブにも行きたくなってきたね。もちろんアルバムも予約完了。


・その他加減点(-2点)
これはマイナスにすべきが今は迷うが、リアタイ時にガッカリしたことで、最終回がAve Mujicaにジャックされたことが少しケチが付いたかもしれない。
Ave Mujica編がアニメで決定したのは大変喜ばしいものの、今作はMyGOの物語のはずで最後は彼女たちで締めてほしかったが何故ないがしろにしたのか、って気持ちは正直ある。せめて12話を形式的に最終回表記とし、13話をエクストラエピソード表記にすれば、不満は無かったかも。
ただ、よく考えたらAve Mujica編も今作に続く「新章第2パート」というわけで、いわばMyGOの物語もまだ終わったわけではないと考えれば、あの締め方はベストだったとも言える。
脚本家様を中心に優秀な制作陣が考えぬいた末の構成だったのだろう。

今作のストーリーを大いにかき乱し、Ave Mujica編の主人公となる豊川祥子。
最終回で祥子の行動理由の一片が明らかになったものの、それでもやや腑に落ちない面もあった。
今作第3話で燈視点の過去回があったように、次回作では祥子視点の過去回が描かれ、彼女の心情の変化の答え合わせが描写される機会があるかもしれない。
また、闇に堕ちた彼女を第2パートで救い出すのが、成長した燈らMyGOの面々となったらとても面白い。
次作の出来次第でマイナスポイントが解消され、満点を狙えるような名作が完成してくれることを期待する。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5

みのるし さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

好きにしはったらよろしいですわ。

バンドリもまあいろいろなハナシがありましたけど、今期のバンドリはひと味違う感じですな。

今回は全体的になんか暗い(笑)

今まではポピパの成長物語とかRASとロゼリアの振り返り物語とかそおゆうまあ比較的ノーテンキなハナシで、それはそれで面白かったんですが、今回みたく新しいバンドの結成からハナシするって場合、また同じようなハナシじゃあねぇ。アレやないすか。

んで、今回はこんな感じでってことなんでしょうけど、実はこのハナシ、ボクはハマっております。


なんだか今期見たいアニメ全然なくてですね。
コレと家事をやるでかい猫のハナシくらいしか見てないんすよねー。


実はボクも一応バンドとか長い間趣味でやってましてですね。
40歳半ばくらいまでやとったんですが、ある日突然いろいろめんどくさくなってやめちゃったんですが(笑)、基本バンドなんてものはまともな人間が簡単にハマるものではありません。

とゆー結論に至ったボクからすると今回のバンドリは実に面白い。


特にメンバーが素晴らしい。

タイコはいつもイライラしててオレのゆうことがきけねえのかとゆーオラオラ人間で、サイドギターはヘッタくそで全然練習しないし(笑)、ベースは八方美人の性格ゲロ悪オンナ。リードギターはどうにもならんし(笑)、ボーカルのコだけが陰キャなところを除けばまとも。そんなん。


だからまあリハも常に険悪な感じで、とにかくなんでお前らバンドやってんだってゆうくらい仲が悪い。

んで、仲が悪いのかってゆうと実はそうではなくて抱き合えばお互い棘で傷つけあっちゃうみたいなそおゆう関係なのかな。

なんしかメンバーそれぞれはお互いあまりレスペクトしてないのだけれど、ボーカルの子が書く歌はレスペクトしてるようなんで、ライヴでバチっとはまったら実はすげー!みたいなすぐ解散する伝説のバンド的な。

なんかそおゆう感じのバンド様相を呈しております。


最初からずっと見てて、これスモーキーメディスンみたいなバンドじゃね??とか思ってしまってひとりニヤニヤしとります。


とにかくですな。バンドみたいなもんはそうそううまいことイケへんのですよ。

せやからうまいことイケへんバンドの話はものすごシンパシーを感じてしまい、うんこれ面白い!となってしまうボクを誰が責められよう。


さて、今後の展開ですけど、とりあえずどうなってほしいとかはありませんで、解散するもよし、メンバーそれぞれ別のバンドに拾ってもらうもよし、楽器自体をやめちゃうのもよし、好きにしはったらよろしいですわ。

どんな結末になってもそれはそれでええ思いますんでとりあえず最後まで見てこましたろかなとは思てます。


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とゆうことで『ダミだこりゃ~このバンド~』と9話見終わって思ったのですが、10話。

これは神回でした。

いやまあもう『ふーん』『へー』の連発でして、まさかそんな風にしてバンドメンバーの演奏が再開されるにいたるとは思いもよらない展開でした。

先にも書きましたがメンバー同士は人間的にはお互いレスペクトしてないのですがこのメンバーを繋ぎ止めていたのはトモリちゃんの詩だったのですなー。

なので、トモリちゃんがメンバーを繋ぎ止めるために歌い続けたのかどうかはわからんのですが(おそらく違うと思う)、とにかく魂の叫びをステージの上から発してそして届けと(これがまた誰に向かってだとか実はよくわからない)。

早いハナシこおゆうことではないかと思いました。


それにしてもラストのライブシーンは実に圧巻で、ものすごいカタルシスのあるステージでした。

これはもうバンドリのライブ史上最高といってもいいほどのステージでした。
(あんなライブされたらそのあと演奏できないよ~。あの後にブッキングされてたバンド可哀想だな~とか思ったりしました。)

なんつったってノンリハぶっつけ本番のライブででサビのメロは出てくるわ、キメは合っちゃうわ、なんだこいつらすげえな!と。

そんあわけあるかいっと思いつつ、いや待てよメンバーによってはセッションで稀にそおゆう時あるかもなとか。

思ったりしてですよ。


いやいやなかなかでした。


まあとにかくそんなわけでステージはものすごいよかったんですが、やっぱりこのバンドはダメだと思うのですよ。

だって、そんじゃあちゃんと活動するかって話になって、ちゃんとリハやって、ライブの計画立ててってこいつらやるか~?って考えたら絶対やらへんて。ってかできへんて(笑)。

でもまあ、クライシックのコピバンじゃあダメだってことと、曲作りは誰かがDTMとかでつくったプリプロを譜面に起こして演奏したりするのはもはやバンドではないとゆうことは気が付いたっぽい。


さぁ~。これあと2~3話で終わっちゃうのか~。
いったいどおなるのやら~~~。

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とゆうことで最終回見てしまいましたわ!

とにかくMyGO!!!!とゆうバンドが出来上がって活動してゆくってことになりましたな。

相変わらずメンバー同士仲悪く、てゆうか歯に衣を着せぬお付き合いができる仲間ってんですかね。

お互い気を使いながら仲良しクラブをするってんならバンドなんかもともとせんほうがええのや!的な人間関係なのかなんかよくわかりませんが、なんかそおゆうよくわからないメンバー関係で成り立っておりますよこのバンドは。

またプレイヤーとしてのレスペクトもメンバー同士あんまりないみたいでそおゆうのんでうまいこといくのかどうか甚だ疑問ではありますが、とにかくトモリちゃんの書く歌がこのバンドの扇のかなめとなっておりましてですな、まあなんとゆうか意識的にはみなさんプロなのであります。


しかしなんか長続きしそうにないなぁこのバンド(笑)。


そおいえばこのMyGO!!!!とゆうバンド。
リアルでもこの声優さんたちが演奏してライブやってんですねー。

ツアーもやってんのかな?
よくわからんけどライブ映像も何種類かYouTubeに上がってますがな!

それがまあまあちゃんと演奏してるんですよ!ビックらこいたー!!

声優さんが練習してバンド的なこともやってまっせみたいなんではなくて、もともとある程度演奏できる人らを選んでキャスティングしてるんすかね。

なんかそんな感じですぜダンナ。

でもボーカルの羊宮妃那ちゃんて僕ヤバの山田ですよね。
これからお芝居の仕事がいそがしくなりそうなのに大丈夫なのか~~~。


心配だ!


・・・ま、ボクがそんなこと心配してもしょうがおまへんですわな。


とゆうことでいったんMyGO!!!!の話はこれにて終わりとゆうことですな。
いやあめちゃくちゃ面白かったですわ!


ほて、この次はバカテク・ヴィジュアル系の仮面バンド、オンナ版MALICE MIZERみたいなバンドの話がメインとなるんですかね。

よくわからんすけど、最近またああゆうバカテク・ヴィジュアル系のバンドも人気なんすかね。

ああゆう速弾き系のギタープレイとかきょうび流行らんような気もしますけどどうなんですか。そんなことないんですか??


ままとりあえず引き続きさらなるダークな展開が待ち受けてそうでいずれにしても楽しみです!!

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11
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