ファンタジーで漫画原作なアニメ映画ランキング 10

あにこれの全ユーザーがアニメ映画のファンタジーで漫画原作な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月25日の時点で一番のファンタジーで漫画原作なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

80.7 1 ファンタジーで漫画原作なアニメランキング1位
蛍火の杜へ(アニメ映画)

2011年9月17日
★★★★☆ 4.0 (1075)
5221人が棚に入れました
祖父の家へ遊びに来ていた6歳の少女・竹川蛍は、妖怪が住むという山神の森に迷い込み、人の姿をしたこの森に住む者・ギンと出会う。人に触れられると消えてしまうというギンに助けられ、森を出ることができた蛍は、それから毎年夏ごとにギンの元を訪れるようになる。

声優・キャラクター
内山昂輝、佐倉綾音
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

恋は儚い人の夢

「夏目友人帳」の緑川ゆきが原作で、同作品のアニメスタッフによって作成された短編映画です。


恋は儚い人の夢。
蛍の様に光り、白銀の雪のように輝き、やがて……。


誰もが開始3分で「あっ……これは」と思うはず。
分かってるんですよ、分かってるのに30分後には泣いている私がいる。


蛍は裏表のない、明るくも利発な女の子。

ギンは雰囲気こそ神秘的なものがあります。
しかし、その行動は迷い、恋し、決断する、真っ直ぐな男。

ピュアなキャラによるピュアなラブストーリーです。


{netabare}気軽に触れられる{/netabare}男子生徒。
蛍から{netabare}のプレゼントのマフラーを身につける{/netabare}ギン。
二人が{netabare}会えない季節も{/netabare}どんどん距離が縮まっていく。
ちょっとしたシーンにも説得力がありますね。

夏のイメージが強い本作ですが、冬があるからこその夏。
それが夏の風物詩である「蛍」と冬のイメージがある「ギン」という名前に込められた意味なのかもしれません。


そしてラスト。
涙が止まらない。

{netabare}
お面越しのとてもとても美しいキス。
その後ギンは転びそうになった人間の男の子に触れてしまいます。

「来い、蛍。やっとお前に触れられる」

お面の向こうの蛍の顔はそれまでにないほどの笑顔でした。


……でもね、これは事故ではないんです。
何年も何十年もお祭りに参加しているギンが、うっかりミスをするとは思えない。

「何があっても、私に触らないでね」

この約束がある限り、ギンも蛍も直接お互いに触れることはできません。

そして、後の妖怪の言葉。

「ギンはやっと人に、触れたいと思ったんだね」

つまり、これはギンの意志だったわけです。

確固たる意志を持っていたわけではないのかもしれません。
しかし、ギンは、蛍との約束を破ることなく、罪悪感を残すこともせず願いを叶えたかった。

そのためにギンは事故を装い、{netabare}「人の手というチャンス」{/netabare}を掴んだのでしょう。
{/netabare}


わずか45分という短くシンプルなストーリー。
それでいながら洗練されていて、温かさ、切なさ、色んな感情が溢れてきます。

美しいお話で完成度が高く、今まで見たアニメ映画の中では一番。
本当に大好きな作品です。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 140
ネタバレ

★mana★ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

10年分の想いを、今ここに・・(ギン視点で観てみました)

ねえ、蛍。
俺はずっとここに居るよ?
何年、何十年たとうとも。
たとえ、君の瞳に写らない
そんな存在だとしても。

俺が過ごした、途方もない時間。
そんな中で、蛍と過ごした時間は ほんの一瞬だった。
でもね、俺にとってはその一瞬が大切で愛おしくて、仕方がなかった。

蛍は俺に、優しくて、温かい感情をたくさんくれたね。
でも、それは、切なくて、苦しくもあったんだよ?
蛍は気付いてないかもしれないけれど・・
まるで夏の夜に光る、ホタルのヒカリのような、
そんな儚くて脆い、だけど、強くて、美しい。
そんな日々だったね。

蛍は俺に「忘れないで」と言ったよね?
忘れる訳がない。忘れたくない。
でもね、蛍は忘れてしまってもいいんだよ?・・


蛍に出会ったのは、蛍がまだ小さい時だった。

{netabare}

~蝉の詩、笑い声・・~
鳥達の囀り、木々の揺れる音・・
そんな森達の雑談と共に聞こえた、泣き声。
それが蛍だった。
蛍は、俺を見ても少しもこわがらなかったよね。
むしろ、楽しそうに俺に触れようとして来た。
まだ小さい蛍には「消える」という意味さえ理解出来なかったんだろう。
でも、俺には それが素直に嬉しかったよ。
1人の存在として認められているようで。

~夕やけの茜色、帰り道、遠回り~
「何かデートみたいデスネー」「色気のないデートデスネー」
そんな他愛ない会話を繰り返したね。
手をひいてあげる事は出来なかったけれど、
その先から伝わるこの想いは、一体何なんだろう?
何だか、胸の奥が温かくなるような・・

別れる時、蛍は俺の名前を聞いた。
俺の名前は・・無言・・疑問と不安。
そんな時、風が俺の背中を押した気がした。

~約束は「また明日」~
明日も来ると走って行った、蛍。

「ギンだ」

翌日 本当に蛍はやって来た。
そして、約束の場所で、待っていた俺が居た。

~夏はただ、咲き誇り~
冷たい小川に、暑い夏の日差しが差し、キラキラしてる。
全てが美しく、夏が輝いていた。
それは、蛍が側に居るからなんだよ?
蛍と見る全てが、今までとはまるで、違って見えた。

~その命輝かせ~
俺はただ、生かされて、ただそこに存在しているだけだった。
何も意味をもたない、あやふやなモノ。
だけどね、今まで感じた事のない、自分の存在。
俺は自分というものをこんなにも感じる事が出来るんだ。
夏が待ち遠しい、蛍に会える事が、素直に嬉しい。
そう思えた。
そんな夏が何度も何度も訪れた。

ある夏の事だった。
蛍は俺を驚かせようとして、見事に木から落ちて来た。
俺は、そんな蛍を受け止める事が出来なかった。
自分の存在が無くなってしまう事を恐れたのか・・?
そんな気持ちとは裏腹に、蛍は安堵の顔を見せた・・
そして、大粒の涙を流した。
何故泣いてるのかは、分かってた。
涙は止め処なく流れ続ける。
でも、俺は その涙を拭ってあげる事も出来ず、ただ、その泣き顔を見続けた。

出会わなければ、こんな想いをさせなかった?・・
出会わなければ、こんな想いはしなかった?・・

~終わらない、お話のその先に気付いて~
蛍は毎年、会う度に、成長していく。
それは、普通の人間の子なら当たり前の事なのは分かっていた、、つもりだった。
少しづつ、目線が近くなって来る。
それを複雑に感じつつ、俺の感情に違う何かが芽生えはじめた。
いつか感じた想いとは、全く別物。

蛍に・・会いたい。
蛍に・・触れたい。

この胸を締め付ける感覚は・・

~カラス達遠ざかり、どこかへと飛んでゆく~
離れてる時間がこんなにも長く、辛く感じるなんて・・
今まで考えた事も無かったよ。
蛍は今何をして、何を見て、何を考えてる?
いつからか、俺の中は蛍でいっぱになっていた。
いつか、こんな気持ちが届く日が来るのだろうか?

真っ白な雪の上に散る椿が一際紅く見えた。
俺の心の中のように。
真っ白な心の中に、真っ赤に燃える感情が一つ・・
蛍がくれた温もりで、いつもの冬より、身体も心も温かかった。

~夏はただ駆け抜ける、宝物、しまうように~
ある夏、蛍は言った。
春も、秋も、冬も、俺の事を考えていた、
そして、もっと一緒に居たいと。
俺は、自分という存在の全てを打ち明けた。
打ち明けなければならないと思った。
俺は、蛍を幸せにはしてあげられないから、永久に・・
こんな俺の為に犠牲になる事なんてない、もうここには来なくていいよ?
俺はずっとこうして、だだ存在しているだけで、何も変わらない。
“決して忘れられない、かけがえのないモノが一つ増えた事以外は”
だけど、蛍から返って来た言葉は優しく、心が苦しくなった。
そして思った。もう、こんな夏を続けていてはいけないと・・

~いつまでもなつかしい、あの頃は黄金色~
いつか蛍と行きたいと思った、 「妖怪達の夏祭り」。
誘うのは、ちょっと照れ臭かったけど
蛍は喜んで、行きたい!っと言ってくれた。
そして、少し不安な言葉を口にする。
不安な事はないよ、だって蛍は、俺が守るよ?
そう言うと蛍は、少し頬を紅くして
「そういう事を言われると、飛びつきたくなってしまう」と言った。
・・「飛びつけばいい、本望だ」
もし、それで俺が消えても何の後悔もない、今なら全て受け止める事が出来る。

~何気ない毎日の片隅を照らしてる~
手を伸ばせば、届く距離。
一番近くに居るのに、一番遠い存在。
俺は、蛍を抱きしめたかった。
そして、その手に、その髪に、頬に、
一瞬でいい・・その温もりに触れたい。
もう、気持ちが抑えきれなくなっていた。

~夏はまた、やってくる約束を守るように~
祭はいつもの夏と同じようにやって来た。
でも、今年は隣に蛍が居る。
毎年思い描いていた光景。
「デートみたいデスネー」「デートなんデスネー」
10年前、初めて会った日に交わした会話。
10年越しの、始めてのデート。
やはり、あの日のように手はひいてあげられない。
でも、振りなら許されるよね?

息を吹きかけると回る風車。
金魚すくいをする子供は、尻尾を隠しきれてなくて。
偽物の綿あめが空に浮かび上がり、その空に花火が咲き誇る。
蛍はそんな光景に、ずっと笑顔だったね。
その笑顔を見て俺も笑った。

このまま時間が止まってしまえばいい・・。
そんな、叶わぬ願いをそっと胸にしまい込んだ。

楽しい時間は一瞬だった。
蛍と過ごした10年分の夏がそうだったように。
そして、俺は帰り道に全ての想いを蛍に伝えた。
こんな事を言っても困らせてしまう事は分かっていた。
だって2人は決して交わる事はないのだから。
そして、お面越しにくちづけをした。
これが蛍に触れられる精一杯。
蛍に捧げる、精一杯の気持ち。

蛍は今どんな顔をしてる・・?

そんな時、小さな子供が飛び出して転びそうになった。
俺は咄嗟にその腕をつかんだ。

・・刹那、指先から光を放つように消え始めた。
「あの子は、人の子だったのか・・」

もう、何もこわくはなかった。
ただ、願いは一つ。

「来い、蛍!やっとお前に触れられる」


ねぇ?蛍、覚えてる?
初めて会った日の事を。
笑いあった夏の日々を。
俺は忘れた事なんてなかったよ。
春も、秋も、冬も、会えない日々
ずっと蛍の事を考えていた。
蛍としたい事でいっぱいだった。
蛍とみたい物でいっぱいだった。
蛍と感じたい事でいっぱいだった。

でも、もうさよならなんだね。

蛍、こんな俺に気付いてくれてありがとう。
こんな俺を受け入れてくれてありがとう。

蛍の温もりを感じながら、最後に伝えたい事があった。




「好きだよ」



~夏はただ咲き誇り、その命輝かせ・・~






※~〇〇~
ED・おおたか静流『夏を見ていた』

{/netabare}

投稿 : 2024/11/23
♥ : 58
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

出逢ったのが彼女で良かった

『夏目友人帳』でおなじみのスタッフでおくる50分ほどのアニメ映画で、
なんともせつない、だけど心にやさしくしみるお話。

主な登場人物を公式サイトから抜粋すると


〔ギン〕
山神の森に住むキツネの面をかぶった少年。

〔竹川 蛍〕
6歳の時 森で迷子になったところをギンに助けられて以来、
彼に懐き、毎年の夏 彼のもとへ通うことになる少女。


ある夏、妖怪たちが住むと言われている山神の森で迷子になった蛍。
泣いているところを助けてもらったのが、ギンとの出会い。

それ以来の毎夏 森で逢うことを重ね、強く惹かれ合っていくのだが、
人でも妖怪でもないというギンには
「人に触れると消失してしまう」という掟のようなものがあり、
互いに触れ合えないまま蛍だけが高校生へと成長し、
やがてふたりは・・・というお話。

触れ合えないという大きな枷があるせいで、
手を繋ぐことも、抱きしめることもままならない関係。
蛍がまだ幼さの残る少女だった頃は面白おかしく描かれるのだけれど、
中学、高校へと成長していく彼女の、彼への想い方や、
お互いの向き合い方の変化、そしてなんとも初々しい二人の逢瀬など、
丁寧にきめ細やかに描かれていくので、
観ているこちらはもどかしくも切ない想いに駆られる。

このお話は詳しく書いたら野暮なのであまり書けないが、
{netabare}
ギンの正体の真相というか素性に加え、
胸が苦しくなるような出来事が起きた後の妖怪たちの言葉に、
{/netabare}
「あぁ・・・そういうことだったのか」と
山神様がかけた術の本当の意味がわかり、
こらえていた涙がどっとあふれてしまった。

雰囲気的には、『夏目友人帳』1期の8話「儚い光」や
3期の4話「幼き日々に」に近いテーマを感じた。

せつないけれど、悲しいのとは違う温かさ。
妖怪たちや山神の純粋でやさしい想いと、ギンへの愛情。
それらは、観る前に想像していた以上のもので。

また、これは2回以上観るとすぐに気づけるのだが、
蛍の選んだ道がわかる部分にも、ほっとできて。
とても良い後味と、しっとりした余韻に、
エンドロールがなくなってもなお、みつめ続けてしまうほどだった。

満天の星がきらめく夜空や、緑深い森に流れる木漏れ日のようなピアノ曲や
少しとぼけた感じのオルガンのメロディーも、
ふんわりとしたこの作品の空気感を盛り上げてくれる。

現実的に考えれば、少女がたった一人で森に行くというだけで
事件が起きそうな不安がよぎるし、ましてやギンなんて不審者扱いを受けそうな
今の世の中なのに、なんて平和なんだろう・・と。
観ていると・・・のどかでゆったりしていた時代が恋しくなる。

そして個人的に、ずっとずっと大切にしておきたい愛すべき作品の1つです。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 81

85.4 2 ファンタジーで漫画原作なアニメランキング2位
劇場版 メイドインアビス -深き魂の黎明-(アニメ映画)

2020年1月17日
★★★★★ 4.2 (535)
2324人が棚に入れました
隅々まで探索されつくした世界に、唯一残された秘境の大穴『アビス』。どこまで続くとも知れない深く巨大なその縦穴には、奇妙奇怪な生物たちが生息し、今の人類では作りえない貴重な遺物が眠っている。「アビス」の不可思議に満ちた姿は人々を魅了し、冒険へと駆り立てた。そうして幾度も大穴に挑戦する冒険者たちは、次第に『探窟家』と呼ばれるようになっていった。アビスの縁に築かれた街『オース』に暮らす孤児のリコは、いつか母のような偉大な探窟家になり、アビスの謎を解き明かすことを夢見ていた。ある日、母・ライザの白笛が発見されたことをきっかけに、アビスの奥深くへ潜ることを決意するリコ。リコに拾われた記憶喪失のロボット・レグも自分の記憶を探しに一緒に行くことを決意する。深界四層でタマウガチの毒に苦しむリコ。リコを救ったのは成れ果てのナナチだった。ナナチを仲間に加え、ボンドルドの待つ深界五層へと三人は冒険を進める。そこで、プルシュカと名乗る女の子に出会い…

声優・キャラクター
富田美憂、伊瀬茉莉也、井澤詩織、森川智之、水瀬いのり

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

「喜びしか知らぬ者に真の祈りは産まれません」。夢と祈り、その果てにあるものは…。

幕張でほぼ満員の中で鑑賞。流石は劇場版!なスーパークオリティーのかなり原作に忠実な映像化。故に原作の良いところも悪いとこも出てる。


原作の時点で思ったが、一番美味しいトロなエピソードになりそうだったのに、この幕切れは少々勿体無い。プルシュカの件もだが、単行本ならもう一冊、映画ならもう30分くらい尺が必要だったかな。


しかし、全体的にはやはり最高にサイコー!。特に戦闘シーンは、ちゃんと燃えるセットアップが出来てるからこそ超絶作画で上がる。


特典でミニカレンダーがもらえるとは豪華やし、EDはなんと表現していいか水墨画がヌルヌル動いてるような凄まじい出来映えで、これどうやって作ったのか撮影したかもよくわからぬ逸品だ。


原作ファンなら当然見に行くとして、アニメのみの人はまぁ言わなくてもわかってるだろうが覚悟して見るべし。


ボンドルドは、あたしの好きな「ガンソード」の鉤爪の男くらい好きな悪役なので、イッちゃってる悪役好きには見逃せない。


それにしても、結局ボンドルドの真意は明らかにならずで、その辺が後々きいてきそう。


次の2000年、祈手、お祈り骸骨、「喜びしか知らぬ者に真の祈りはうまれません」、祈る手の形な白笛、たぶんこれらはみんな繋がってるだろう。


さらに、ボンドルドのオブセッションが祈りなのは明らかだ。これらのことから彼は単なるマッドサイエンティストなんじゃなくて、大きな目的があってやってるうちにあんなことになっちゃったんじゃないかな?。大いなる絶望の果に、あんな存在になっちゃった…だったらより好きになっちゃう。


原作でたぶんその辺も今後明らかになって、ボンドルド倒しちゃったことに後悔、あるいは彼に対する気持ちがより複雑になりそう。


オススメ動画「カートリッジの作り方」、ワクワクさんとゴロリの有名動画のパロディー。ナナチ「こんなの作りたくないよ!だ」。


「メタルインアビス」、クソ映画界の雄メタルマンの博士とボンドルドの夢のマッドサイエンティストコラボ。「本当に申し訳ない」。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 52
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

冒険と探求を続けるための凄惨な儀式

【物語 4.0点】
R-15。地獄でなぜ悪い。“宿敵”ボンドルドとの対話と対立を軸に、
アビスの深層のヤバさと、冒険に深入りし過ぎた人間のヤバさが、さらに深化。
常識を越えた“探窟家”の価値観から受ける負荷に
精神が押し潰されそうになる試練の100分間。


【作画 4.5点】
R-15。グロくてなぜ悪い。出血、部位欠損だけじゃない。
排泄や、生物の体内組織漏出など、
見たくない物を見せ付けてくる作画は健在。

怖じ気づいた鑑賞者を引き止めるように披露される圧巻の自然背景描写。
だから冒険はやめられない。ズルいよ。


【声優 4.5点】
本作のキーとなるボンドルド役・森川 智之さんが
沈着冷静に優しい声色から滲む狂気を好演。

もう一人のキー、プルシュカ役は水瀬いのりさん。
主人公リコ役の富田 未優さんが原作読んでいる際、
いのりんボイスでプルシュカのシーンを
脳内再生していたという“意中”のキャストで相性良好。


【音楽 4.5点】
劇伴は引き続きケビン・ペンキン氏が
フィルムスコアリング(映像合わせて作曲する)による新規書き下ろしにより、
人知を越えた体験と価値観に直面した登場人物の割り切れない感情に、
弦楽や高音ボイスを駆使した繊細で複雑な旋律で肉薄。BGMもいよいよ深層突入。

ED主題歌のMYTH&ROID起用も本作やペンキン氏による劇伴の作風にマッチした適材適所。


【キャラ 4.5点】
ついにメインストーリーのド真ん中に躍り出た黎明卿ことボンドルド。
某“白笛”による“筋金入りのろくでなし”
との評判に違わぬキチガイぶりでスクリーンを制圧。{netabare}「愛です、愛ですよ」{/netabare}

彼に挑むリコ陣営。脚本のシリアス化を中和するように、
ナナチのモフモフに宿る和みパワーにすがるパターンが定着。


【感想】
引き続き原作未読のまま挑みましたが、私にとっては予想通り、
本作は正義の主人公が悪のボンドルド卿をやっつける話ではなく、
リコの冒険心とボンドルドの探究心、
どちらがより強いのか、見方によっては、どちらがよりイカれているか、
さらなる深淵に挑む権利をかけた、ある種の儀式にも見えました。

泣ける展開もありましたが、私はTVアニメ最終話ほどは泣けませんでした。
TVアニメの時は探窟家に人生を無茶苦茶にされた人間の哀しみが伝わって来ましたが、
本劇場版に至っては、どーせ探窟家ってそうなんでしょ?
って感じで諦観。涙も涸れ果ててしまった感じでした。

決して主人公リコに全面的に共感して感情移入する物語じゃない。
作品傾向もさらに鮮明になって来たので、
私は一番人間らしさを残していると目している
ナナチのモフモフにしがみ付いて惨劇を眺めていました。

ただそのナナチですら確執や罪を越えて、冒険熱が再燃しつつある……。


そして発表されたシリーズ続編制作決定の報せ。

ええぃ、ここまで奥深くまで付いてきてしまったなら、もうヤケクソじゃ。
者共、地獄の底まで参りましょうぞ。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 42
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

この恐ろしくも残酷な真実

 2020年最初に見た劇場アニメは、『劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明』だぁ‼です。
 TVシリーズの続き、細かく言えば、最後に出てきたボンボルドの娘、新キャラ、プルシュカ登場この前年公開された「劇場版 総集編メイドインアビス 【後編】放浪する黄昏」の続きとなるのです。

{netabare}  前座アニメ、『マルルクちゃんの日常1』もなんだか和んだです。{/netabare}

 ナナチを加えて、次の旅へのリコとレグ、この先に待ち受けるのは、深界第五層、ナナチ、ミーティの宿敵となるボンボルドの本拠地なのです。
 第六層に進むには、そこにしかない侵入口、避けられないボンボルドの遭遇はいかにです。

 その前に出てくる美しい花畑にも、残酷?!な場面もあるので、キャラが可愛いのとは対象的な正にメイドインアビスだったです。これだけでは驚けないのが、この先なのです。

 意外な展開からのプルシュカとの出会い、ボンボルドとの遭遇、何かありそうだったです。
 思ったとおりになるです。ボンボルドの狙い、レグどうなっちゃうの?危ない!でしたです。
 プルシュカは純真な子供で、リコたちと仲良くなれるけど、この先の展開に私の頭の中は、超サイヤ人化したです。

 ボンボルドの非人道的な、善悪のかけらのない狂人性、「今日を生きる資格がない!」という憤りを感じたです。
 レグとボンボルドのバトルシーンは、正に大迫力必死だったです。

 明かされる白笛の謎、第六層に行くということ、ボンボルドという存在、プルシュカの運命、あまりにも残酷な真実を突きつけられ、この光景は目を背きたくなるほど、子供に見せられない内容だったです。
 白笛は、{netabare}ハガレンに例えると「賢者の石」に近いかもしれないです。終盤、新しい白笛ができたシーンあったですが、{/netabare}衝撃だった印象です。{netabare}(これは無残で、酷いと思えたです。){/netabare}(

 それらを乗り越えたとき、深海第六層の道が開けるのだろうか?要注目です。

 リコ、レグ、ナナチ、ボンボルド、プルシュカ各々、キャラとしての個性が強く出ていたお話だったと思うです。{netabare} 「to be continued」{/netabare}最後に出てきたこの文字、「私、気になります!」だったです。 

投稿 : 2024/11/23
♥ : 11

63.5 3 ファンタジーで漫画原作なアニメランキング3位
そらのおとしものFinal 永遠の私の鳥籠(アニメ映画)

2014年4月26日
★★★★☆ 3.5 (293)
2107人が棚に入れました
空から落ちてきた未確認生物《イカロス》は、空美町で「平和が一番」がモットーの少年、桜井智樹と共に暮らしていたが、いまだに智樹に笑顔を見せたことがなかった。
イカロスと同じく空に浮かぶ『新大陸』からやってきた未確認生物である《ニンフ》《アストレア》が、《マスター》の支配から解放されて自由に笑って生きている姿を見た智樹は、どうにかイカロスにも『普通の女の子』として自由に笑ってほしいと思うようになる。
戦略エンジェロイドとして作られ、感情をうまく表情に表せないイカロスが笑えないのは、主従の関係を結んでいることが原因であると考えた智樹だったが、突如あてがわれた自由に、イカロスは―――。

原作累計400万部を突破した大ヒットアニメシリーズが遂に完結!!感動に包まれた原作最終話にリンクした、ヒロイン《イカロス》の真実の物語。これが本当のそらおとフィナーレ!!

星々 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

原作読者向け

愛し方が分からず、主従関係をずっと望んでいたイカロス
主従関係を拒み、命令することを拒み続けた智樹

そんな二人がお互いを想い合って変化してる姿は切なかったです。

原作でも分からなかったことも、ハッキリと分かるようになっているところもあるので、普通に見てよかったと思いました。アニメではカオス(修道服の女の子)の扱いが原作と違うので、この形にしたのかな?

やっぱりアニメ作品で原作のカオスの話や表現は、やりたくてもできないのかも知れないですね。

アニメ派の人も原作17~19巻を見る前に読めば楽しめるかも知れません。
最低でも17と18巻を読めば何が起こっていたのか分かった状態で映画スタートって感じになるかと。

3期のアニメ自体がほとんどない中で、短い映画としてでも映像として見れたことは、いいことだと思うのですけどね。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 4
ネタバレ

ユニバーサルスタイル さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

天使の想いと物語の帰結を目指した完結編?

まず初めに、他の自分のレビューでこの作品の期待度を勝手に上げてしまったことに対してお詫びをしたいと思います。申し訳ありませんでした・・・。
正直レビューは書きたくなかったのですが、期待を煽った責任もあるので一応書きます。
これは今まで以上に「詳しく知りたきゃ原作読め」と突き放した感じの作りでした。酷評になってしまうかもしれませんが、お許しください。


時系列は前作(時計仕掛けの哀女神)の後になります。そして原作の流れとは異なった分岐を進んで一応の収束を迎えます。

エンジェロイド達とすっかり打ち解けたかに見えた智樹。しかしイカロスはいまだに智樹に笑顔を見せた事はありません。

ニンフ達と相変わらず戯れている間も、どうすればイカロスを笑顔にできるか考え続ける智樹。

イカロスにとっての幸せとは、愛の形とは何なのか。その結論を導き出したのは意外にもイカロス自身でした。


今まで作中で幾度か匂わせられていたこの世界の残酷な真実に、智樹以上にイカロスが勇ましく立ち向かっていく姿には心打たれました。



・・・このように掻い摘んで見ていくと悪くは無いような気がするのですが、やはり多くの違和感が残りました。

ネタバレ+悪い部分を挙げているので、見たくない方は見なくていいです。
{netabare}
ギャグ要素が少ない上、ギクシャクした感じで非常にテンポが悪かったです。今までの勢いあるギャグはどこへ行ったのか不思議でした。

作画がさっぱりした感じになったのは良いのですが、今までと比べてしまうと淡泊すぎです。特に瞳の描き込み具合や色彩の豊かさは、クオリティの面で敵わないと思います。

それから音楽を挿入するタイミングが合ってないと感じる場面が多々ありました。
例として、挿入歌『ERASE』を流すタイミング。ギャグシーンを背景に流してはせっかくの曲が台無しです。
美香子(会長)のBGMも使うタイミングを間違えると会話が非常に阻害されますね。聞こえづらかったです。智樹を叱責するシーンですね。

あと今まで隙なしだと思っていた早見さんの声が、クライマックスの叫び声でちょっと残念に感じてしまいました。泣き声もそうですけど、どうもイカロスに聞こえないというか、なんだか冷めてしまいました。
{/netabare}



作画は大きく今までと変化していますね。淡い色使いとややあっさりとした顔つきで、原作準拠に近い形にはなっていると思います。

ただ所々挟まれる回想シーン(使い回し)の作画を見ると、やっぱり今までの方がいいなあ・・・と思ってしまったのも事実です。

音楽で特筆すべきなのは、何より主題歌・挿入歌です。主題歌『Always Smiling』および挿入歌『ERASE』は早見さん&吉田さん安定の良曲でした。

今回BGMについては場面の切り替わりが早く、あまり集中して聴くことができませんでした。

キャスト陣で一番活躍したのはもちろん早見さんでしょうが、個人的には保志さんの安定ぶりが嬉しかったです。



前作と大きくキャラデザを初めとして変更があったので不安を抱えながらも、それでも期待はしていました。

しかし総集編を抱えた前作以上の早足な展開と、完結を謳いながらもしこりを残す終わり方には、ある種の無念さとスタッフへの憐憫と角○への憎悪の感情が渦巻いていました。

とにかく言えることは、この映画はサントラと主題歌CDだけ買えばもう十分であることと、角○さんはこの先も阿漕な商売を続けていればいつかバチが当たりますということです。


その中でも良かったと思えたシーン
{netabare}
・社会の窓の裏に隠し持っていたシナプス製の「カード」を無理やり奪われそうになる智樹。チャックを開けられた瞬間全身から発光して、ニンフ達を異世界へといざなう。
→チャック丸出しで眩しく輝く智樹は非常にシュールで笑えました。ここが一番笑えたポイントです。

・突然始まるそはらとニンフとアストレア、そして爺ちゃんによる「トモキの社窓から」。降車する条件として智樹とのキスを提示され戸惑う三人。
→三人の反応の中でも、アストレアちゃんの「キスって何だろう・・あいつとしたら気持ちいいのかな」という反応が非常によろしかったです(笑)

・ついに謎だらけだった会長の正体が判明し、イカロスが智樹に猛アタックを仕掛ける。
→さらっと大事なことが判明したので驚きました。この映画一番の収穫でした。

・イカロスがついに愛を理解し、智樹にキスをして愛を伝える。
→このために今までイカロスは苦しんできたんだ、とカタルシスが得られました。それからシナプスに侵入する際のシーンが一期OPのイントロとシンクロしていたことも分かって、名シーンだと思いました。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/23
♥ : 12

ナルセッチ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

角川にひたすら落胆と軽蔑(原作を読んで改めて怒りが・・・。)

原作のコミックを読んできました。
おかげでやっとFinalの本来の全体像がわかりました。

好き嫌いはあるにしてもちゃんと完結してました。
個人的にはとても良かったです。
普通にやっていれば特にひねりを入れなくても
無難な評価の映画ができたはず!

原作レイプどころの話ではなく、
「映画のできはどうてもいいから、Finalと名づければ
 最低限の観客動員ができるだろう」
と考えたとしか考えられない。

制作会社の運営等いろいろな事情があったのは
創造できるが一番許せないのは角川
日本を代表する大御所的企業ならプライドを持って
やれといいたい!


以下は以前の無いようです。
-----------------------------
多くの方のコメントにある通り、
シリーズのFinalを期待すると怨嗟の思いが湧く(怒)

単品の内容として(続編が続くと仮定すればだが)は
OP,ED共にシリアスなイメージで素晴らしいし、
開始直後のシーンと、
イカロスの訴え(涙)といい、
終盤の笑顔といい、
傑作と言えるレベルです。


各所で言われる通り予算の極端な不足が想像されますが、
アニメ版全部を見ても全くストーリーの繋がりがわかりません。
こんな滅茶苦茶な構成であれだけの品質を出せたのはスタッフさんの意地かも
しれませんね。
自分はスタッフには賛辞を贈りたいです。
ストーリー評価を3としているには悪いという意味では無く、
シリーズものとしては評価不能だからです。

今更の素人の戯言ですが、
クラナドの海外版のような出資募集をするような方法がもっと
積極的に使われてもいいかも。

無論知名度が違いすぎるのでうまくいくかはわかりませんが
そういう事を考えたくなる作品でした。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 6

74.5 4 ファンタジーで漫画原作なアニメランキング4位
僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング(アニメ映画)

2019年12月20日
★★★★☆ 3.9 (116)
742人が棚に入れました
雪が降り続く冬のある夜。ヒーロー社会を壊そうと目論む敵<ヴィラン>・死柄木弔たちが、密かに【何か】を運ぼうとしていた。彼らの動きを事前にキャッチしたプロヒーローたちが現場に駆け付け、激しい戦いを繰り広げる。その戦いの中、その【何か】は、仲間とともに去って行った。「実験は、成功した―。」という言葉を残して。ちょうどその頃、出久たち雄英高校ヒーロー科1年A組の面々は、引退したNo.1ヒーロー・オールマイトの後を継ぐ“次世代のヒーロー育成プロジェクト"の一環として、クラス全員で期間限定の校外ヒーロー活動のために日本のはるか南に位置する離島・那歩島(なぶとう)を訪れていた。ここしばらく大きな事件が全く起きていない平和な島で、駐在ヒーローとして島の人々の生活を助けながら、忙しく、それでいてのんびりとした時間を過ごす中、出久たちは真幌(まほろ)と活真(かつま)という二人の姉弟と出会う。ヒーローに憧れる活真と早速打ち解ける出久だったが、なぜか真幌は、かたくなに活真を出久たちから遠ざけるのだった。そんな中、突如謎の敵<ヴィラン>たちが那歩島に襲来、次々と島の施設を破壊していく。それを指揮するのは、「ナイン」。出久、爆豪ら1年A組のメンバーは力を合わせて敵<ヴィラン>に立ち向かうが、ナインの圧倒的な“個性"と力は想像を遥かに超えるものだった。なぜ、ナインたちは那歩島を襲撃したのか?そして、出久たち1年A組の“ニューヒーロー"たちは、果たして最凶の敵<ヴィラン>から活真と真幌、そして島の人々を守ることができるのか―!?

声優・キャラクター
山下大輝、岡本信彦、梶裕貴、佐倉綾音、石川界人、井上麻里奈、増田俊樹、悠木碧、広橋涼、畠中祐、真堂圭、三宅健太、諏訪部順一、黒沢ともよ、寺崎裕香、今田美桜、井上芳雄
ネタバレ

kakelu さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

前作以上の熱さ!!クラスメイトもしっかり活躍していたのがとてもよかった!!

映画公開日にさっそく行ってきたが……めちゃくちゃよかった!!!!

物語は劇場版といった感じで特に良くも悪くもない。
それよりも目が行くのは作画!!
やっぱり、ヒロアカの戦闘シーンの迫力はすごいね。
これだけでも見る意味がある。

そして、今回の映画の最大の魅力はクラスメイトがしっかり戦闘していること!!
大抵、主人公のデクとかっちゃんのワンマンになりがちだが、今作ではクラスメイトみんなが凄く活躍している。
攻撃力があまりない人たちも必死で体を張って戦っている。
泣けたね~~
こっちまで歯を食いしばってしまう!!

ラストの{netabare}奇跡オチ{/netabare}がう~んって感じだけど、まぁ劇場版だし仕方がないか。
映画でこの展開をしたということは本編の最終回で今回みたいなことはしないのかな?

ヒロアカ好きの人には自身をもっておすすめできる映画だった!!

投稿 : 2024/11/23
♥ : 8

佐藤くん さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

ヒーロー「達」

 オールマイトがいなくなった世界でどうするのか。今作ではその辺りもテーマになっています。
 今作の副題は「HEROES RISING」ヒーロー達の新進。複数形のヒーローが、力を合わせて一つになりオールマイトの代わりとして最凶の敵<ヴィラン>、ナインに立ち向かいます。
 メインビジュアルにも表れている通り、今作ではオールマイトの力は借りません。借りられません。まだ未熟な1年A組の生徒達しかいない中で、人々の身をヴィランから守ることができるのか。必見です。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 1

よれん。 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

事実上最終回の設定

作者が最終回でやりたかった展開と言ってたのですが
僕の想像を遥かに超える衝撃的な展開でした
映画というより完成され過ぎた一つの作品という印象でした
最後はちょいとご都合主義でしたがその状態でヒロアカ自体が終わったわけではないので問題ないし それを感じさせないくらい面白かったです
最近ヒロアカは少し僕の中で薄れて来てたのですが
この映画と4期のおかげでまた熱が復活しました
久しぶりに熱く燃えるようなものを見せていただきました
これ以上の映画を作るのは作者にとってかなり難しいですが
続編もあれば更に作ってほしいですね

投稿 : 2024/11/23
♥ : 1

71.2 5 ファンタジーで漫画原作なアニメランキング5位
海獣の子供(アニメ映画)

2019年6月7日
★★★★☆ 3.7 (129)
537人が棚に入れました
光を放ちながら、地球の隅々から集う海の生物たち。巨大なザトウクジラは“ソング"を奏でながら海底へと消えていく。 <本番>に向けて、海のすべてが移動を始めた―――。 自分の気持ちを言葉にするのが苦手な中学生の琉花は、夏休み初日に部活でチームメイトと問題を起こしてしまう。母親と距離を置いていた彼女は、長い夏の間、学校でも家でも自らの居場所を失うことに。そんな琉花が、父が働いている水族館へと足を運び、両親との思い出の詰まった大水槽に佇んでいた時、目の前で魚たちと一緒に泳ぐ不思議な少年“海"とその兄“空"と出会う。 琉花の父は言った――「彼等は、ジュゴンに育てられたんだ。」 明るく純真無垢な“海"と何もかも見透かしたような怖さを秘めた“空"。琉花は彼らに導かれるように、それまで見たことのなかった不思議な世界に触れていく。三人の出会いをきっかけに、地球上では様々な現象が起こり始める。夜空から光り輝く流星が海へと堕ちた後、海のすべての生き物たちが日本へ移動を始めた。そして、巨大なザトウクジラまでもが現れ、“ソング"とともに海の生き物たちに「祭りの<本番>が近い」ことを伝え始める。 “海と空"が超常現象と関係していると知り、彼等を利用しようとする者。そんな二人を守る海洋学者のジムやアングラード。それぞれの思惑が交錯する人間たちは、生命の謎を解き明かすことができるのか。 “海と空"はどこから来たのか、<本番>とは何か。 これは、琉花が触れた生命(いのち)の物語。

声優・キャラクター
芦田愛菜、石橋陽彩、窪塚愛流、稲垣吾郎、蒼井優、渡辺徹、富司純子
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

人新世の到達点

STUDIO4°C制作。

圧倒的画力で支持を受ける絵師、
五十嵐大介、彼もまた天才の系譜であろう。

多様な生命と自然界への畏敬を下地に、
14歳の少女琉花は不思議な兄弟に出逢う。
海と空に交わり導かれるままに、
琉花は水の中で身も心も自由になっていく。
色彩豊かに生命誕生の物語が動き始める。
素晴らしき海洋冒険譚であろう。

宇宙、そして広大な海の数式、
生命の躍動と神秘的な未知の世界。
サピエンスの偉大な旅、
そこには数々の螺旋状の記憶がある。

地質学では完新世から人新世へと、
観るものを圧倒する映像美と音楽、哲学。
素晴らしいアニメがまた1つ誕生した。
これは「鑑賞」ではなくもはや「体験」である。

生命はどのようにして誕生したのか。
原初の海はどのような形をしていたのか。
{netabare}パンスペルミア仮説を物語の背景とし、
隕石は精子、海は子宮、命の誕生祭が描かれる。{/netabare}

{netabare}大きく弧を描くザトウクジラの飛翔に、
生命の偉大さと美しさ、尊さを見る。
海の底で起ころうとしている奇跡に、
クジラたちのように声を合わせて歌おう。{/netabare}

美しく壮大な映像を前に、言葉はいつも足りない。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 68

四文字屋 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

言・語・道・断!

レビュータイトルの語意は、
近代、誤用が定着してしまったネガティブな慣用句としてではなく、
この熟語本来の意味と捉えていただきたい。
すなわち、
「言葉に、ならない」

そこにあったのは、
圧倒的映像体験。
これは鑑賞ではなく、祝祭なのだ。
哲学ですらなく、爆発する情動なのだ。
いや違うな。
凄まじい映像美に包み込まれ抱かれる、生命と神秘への賛歌・・・

これじゃ駄目だ、何を言っても、正しく言葉には出来ない。

ぜひ、劇場で。
体験していただきたい。

そうとしか、
言えない。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 28
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

空と海と風と

「私は…空を飛べる」

護岸の堤防を駆ける少女はまるで風のようである。名は“琉花(ルカ)”。
そんな彼女とジュゴンに育てられたとされる少年二名が織り成すファンタジー。
少年らの名は“海(ウミ)”と“空(ソラ)”という。


映画館で観たかった!ってその通りなんですけどちっこいモニターはモニターで味がある…かもしれません。ほぼ負け惜しみですが。
画面に引き込まれる感覚はそれほど大差ないでしょう。映画館を想像するに時計やスピーカーが目に入らなくなって、袖の幕すら気にならなくなるような感覚。できれば劇場の大画面と言わずプラネタリウムで観てみたいな、と無理難題が思いつく。そんな映画でした。


 映像凄いよー


2019年は劇場作品が元気で、そのやり取りの中で他のレビュアーさんからのご推薦があった作品です。
この際、地上波で見かけなくなったゴローちゃん目的でも、某『永遠の○』ヤーさん役の凄みで全俺の涙をさらった田中泯さんが目的でも構わないっす。劇場オリジナル作品の中でもなにかしら爪痕を残してくれそうなおとぎ話。

で、不肖このわたくし。さっぱりとまでは言わないまでもよく分かってません。
ただ母なる海とでもいうのでしょうか。生命の神秘みたいなのを感じるのであります。


 青 蒼 藍 碧


作品全編通して画面を支配する色。光の加減で顔を変える海の色彩。月明りに照らされることで漆黒の闇から開放された海岸。まるで東山魁夷の絵画のような色使いです。
そしてなにせジュゴンに育てられた少年らです。海と一体化したかのようなシーンはてんこ盛りでした。まるで『グラン・ブルー』のジャックマイヨールみたい。


そうまさに海に抱かれてα波出てるんじゃないかしら?な中盤まで。作品タイトルやキービジュアルから期待しちゃいそうなところは期待しちゃって良いと思いますよ。


一転して中盤からのイメージはときおり差し込む赤。

{netabare}「海が赤く見えるのは夕空のせいだけではない」
「夜になればわかる」

夕焼けで赤く染まる海を指してルカに何か嘯くソラくんです。海オンリーから宇宙にまで舞台が拡がっていくに従って重要な色合いとなってきました。{/netabare}

少しばかりスクラップ&ビルドな概念が思い浮かんで、ハイビスカスの花の色から、隕石衝突だったり、原初の炎だったり、闇を照らす火だったり、はたまたビッグバンのようなものを想像してしまう私。

なんか生命の神秘とかビッグバンとか何言っちゃってるんでしょうね?私。未見でこの感想読んでる方は「お薬増やしておきましたからねー」とつい言いたくなっちゃうんじゃないでしょうか。


 母なる海から宇宙まで


2時間くらいでこれらを提示するってこと自体すごいことなんだろうと今は納得しております。

壊して作って。斃れて起ち上がって。死んで生まれて。繋がって断ち切って。

α波出てると油断してたらいつのまにやら宇宙の神秘に両足突っ込んで戻ってこれない傑作です。



※余談中の余談

■これはどうでもよいのよ

『空と海と風と』
Wikiにも載ってないフュージョンバンド。ツアーのサポートメンバーや収録など縁の下の力持ちとしての歴のほうが長いかなぁ。
本作の主役名から真っ先に浮かんできたこのバンド。もしご存知でしたらある意味すごいです!

{netabare}そんな彼らとけっこうコラボしてたのが『SING LIKE TALKING』

本作のポイントとなる鯨の“うた”とは“語り”でもありました。
祭の始まりを告げる号砲は語りかけるように歌うその声です、というシンクロニティ。{/netabare}

{netabare}「私は…空を飛べる」
風のような少女は、終盤では植物の種子を遠くへと運ぶ風の役割をも担ってました。
作品は次第に母なる海から母なる地球を舞台へとスケールアップしていきます。少女はその象徴。
それと連なるように青味のあった世界に取って変わらんとする鮮烈な赤色。地球の風と炎です。

まさに『アースウィンド&ファイヤー』!!って悪ノリが止まりません。好きな人ごめんなさいね。
だって終盤の美術が『黙示録(邦題)』のジャケ絵みたいなんだもん。{/netabare}



視聴時期:2020年3月

-----


2020.05.14 初稿
2020.12.06 修正

投稿 : 2024/11/23
♥ : 45

68.3 6 ファンタジーで漫画原作なアニメランキング6位
劇場版 トリニティセブン 天空図書館と真紅の魔王(アニメ映画)

2019年3月29日
★★★★☆ 3.6 (68)
443人が棚に入れました
世界を崩壊させるという“魔王因子"を持つ魔王候補・春日アラタはトリニティセブンの一人である浅見リリスらと共に遺跡調査を行っていた。アラタの力に反応した強い力により、辺りはまばゆい光に覆われ、気づけばそこは古より天空に存在する、全世界の英知を司る場所・「天空図書館」だった。すると突如、紅い稲光とともに、顔がアラタにそっくりなある男が現れる―。名は紅の魔王“アビィス・トリニティ"彼は、魔王を滅ぼすための魔王であり、街を一瞬で消し飛ばす強力な力の持ち主故、長く「天空図書館」に封印されていた。アラタの魔王因子に反応してその封印を解かれた彼は、魔王としての力を取り戻し、世界を、すべてを無に還すことを目論んでいた。そのカギとなるのが、彼の娘・リリス――――なんと、リリスは最強魔王の娘だったのだ……っ!アビィスの危険すぎる力により囚われたリリス。アラタたちは、リリスを救い、最強魔王を打ち倒すべく魔王兵器を探すことに……。しかし、それを使えば、人の心を失い、完全に魔王化してしまうというが……。

声優・キャラクター
松岡禎丞、原由実、内田彩、佐倉綾音、日笠陽子、柚木涼香、村川梨衣、東山奈央、洲崎綾、釘宮理恵、諏訪彩花、三木眞一郎、山下七海、福原綾香、赤﨑千夏、前野智昭、伊藤静

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

たとえ人の心を失ったとしても、オレはお前を取り戻す…。

こちらは、劇場版第1弾 「トリニティセブン -悠久図書館と錬金術少女-」に続く、劇場版第2弾の作品となります。
劇場版一作ずつでも物語の起承転結は成立していましたが、登場人物の心模様や立ち位置に対するいきさつなど、相応の予備知識が無いとこの作品を堪能し尽くせないと思います。

まぁ、魔王候補は7人の美少女魔導士を侍らせていて、徐々にその7人を侵食していくハーレム展開作品なので、現状に至る過程は物凄く大切な位置付けです。
そのため、劇場版を含め前作未視聴の方は、そちらからの視聴をお勧めします。

この作品を視聴して気付いたこと…
まず1点目…作品のサブタイトルですが、一切の捻りがなく混じりっ気無しのストレートであること…
「天空図書館と真紅の魔王」って「何処で、誰と、どうする」が分かってしまうではありませんか!
この手の作品は物語を積み重ねる度にラスボスが強くなっていくのは常套なので、もちろんアラタが勝利するかはラストまで視聴しないと分かりません。

だけど、原作の連載が続いている作品の単発映画で主人公が消え去ってしまうとも思えません。
だから、この作品が重きを置いているのはラストに至るまでのプロセスです。
トリニティセブンの皆さまが、アラタ思いの春日聖がピンチに陥った彼にどの様な手を差し延べるのか…
結論ではなく、過程を楽しもうと頭を切り替えて視聴すると、実はメチャクチャ面白かったり…^^

そして2点目…本編を視聴するまで公式HPの、特にSTORYの視聴は避けた方が良いと思います。
私は完走後に公式HPを拝見しましたが、「こんなネタバレ載せて大丈夫なの!?」と思えるくらい重要事項が満載でしたから…

ヒロインの数が多いので、この作品ではそれぞれのヒロインの立ち位置を明確にした上で、均等、均一という概念をバッサリ切り捨てています。
物語の展開に応じてスクリーンに映し出される割合に軽重を付けているので、特定のヒロイン目当てで視聴して、軽めだったらすこしガッカリ感があるかもしれませんが、60分という尺を考えると、この構成は正解だったと思います。

それに、しっかりアピールすべきキャラは、然るべきタイミングでしっかり持ち上げられているので、違和感はありませんでした。
あやねる演じるレヴィや、奈央ぼう演じるリーゼロッテなんかは、見惚れることしかできませんでしたし、リリスも物語の展開に一役買っていましたから…

でも今回何気に美味しいところを持っていったのは、春日聖と行動を共にしているルーグだったと思います。
彼女の1人称である「当機」を何度も耳にしましたし、何より彼女には様々な立ち位置でのミッションが課せられていましたから…(^o^)
まぁ、彼女の天然な一面が功を奏したと言えるのではないでしょうか。
実際ミッション中の彼女は格好良くもあり可愛らしくもあり…
結構ポイントの高い見どころだと思います。

アラタが仲間と一緒に真紅の魔王とどの様に対峙するのか…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

主題歌は、ZAQさんの「Against The Abyss」

上映時間が約1時間程度の作品でした。
今回の一連の騒動を経て、アラタのハーレム指数はまた一段と上昇したと思います。
今でも相当良い感じなんですけど、きっとまだこんなモノじゃないんでしょうね。
アラタの築くハーレムは…
その行き末を含め、今後の展開を楽しみにしています。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 7

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

多分そこまで売れなかったんだろうねw

視聴理由 前作に続き

視聴前 まーたリリス先生がメインかな...

視聴後 あきお!?

この話は魔王の情報がある「天空図書館」にいったときの話

なんとこの話はあの「あきお」がメインヒロイン!
まぁ...リリス先生も重要な役割があんだけど...
映画で見たんだけど、もうアマゾンprimeであるんだよね...
多分そこまで売れなかったんだろうねw
前回の映画よりは良かったと思うんだけどなぁ

前回の映画でちょっと姿を現した少女あきおちゃんが今回かなり出てきます
本編で出てきた「荒地でずっと祈り続けてる少女」が関係してきます。ようやく伏線回収ですね!ほかにも伏線回収をたくさんしている(はず)ので進展は多少あります。ただ深く追求しちゃうと、多少突っ込みどころが出ちゃうのが難点だね。
それよりあきおちゃんがヒロインなのはうれしい
本編のレビューでも言ったけど「クールな感じ」って感じで一人だけ何かが違ったけど、これで君もデレニティセブンの仲間入りだね。
そして相変わらず新君はかっこいい。聖ちゃん可愛い。

音楽はZAQさん。作画は良いほう。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 3

67.0 7 ファンタジーで漫画原作なアニメランキング7位
ファイブスター物語(アニメ映画)

1989年3月1日
★★★★☆ 3.7 (106)
409人が棚に入れました
クラウン大銀河に存在する4つの恒星系(イースター、ウェスタ、サザンド、ノウズ)と長大軌道を持つスタント遊星により構成されるジョーカー太陽星団が、この物語『ファイブスター物語』の主な舞台である。星団には極めて発達しつつも緩やかに衰退を始めている文明が存在している。4つの太陽系の幾つかの惑星に居住している人類は、無数の国家を形成し、国家は互いに勢力拡大を争っていた。その国家間紛争の切り札が、「モーターヘッド」(作中ではMHと略して表記することが多い)と呼ばれる人型の巨大ロボットであり、過去の超文明の血を受け継ぐことにより超人的な戦闘能力を持ち、MHを操ることができるヘッドライナーたち(人々には「騎士」と呼ばれる)であり、その両者の仲立ちをする人工生命体が「ファティマ」である。

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

不条理な世界で王子様の迎えを待つお姫様とロボットのお話、それと超作画のファンタジーアニメ

『ゴティックメード』公開ということで永野護原作の今作を直接関係無いとも知りつつ予習しますた
(でもこの予習は無駄ではなかったよー)
永野さんといえば独特のセンスが光った『エルガイム』のキャラデやメカデが有名
今作は永野さんのライフワーク的マンガ作品らしいですが原作のどの辺をアニメ化したのかは読んでないので知らんっす;


まず目を引くのが永野さんのただでさえ繊細な絵柄をものの見事にアニメ化しているところっす
『うる星3』や『ぼくの地球を守って』のやまざきかずお監督に『エスカフローネ』や『劇場版X』の結城信輝さんキャラデというタッグはまさに時代が成した技といったところでしょうかw
髪や瞳など、とにかく線の量がハンパなく多くて何気ない立ち絵一つ取っても描き込み量ヤバイっす
原画もそうですけど、こーゆのってとにかく動画殺しですよねwww
だから好きよ結城信輝さん^q^


で!お話の方はかなりひでぇ話www
“モーターヘッド”と呼ばれるロボットを操作するために必要な“ファティマ”と呼ばれる女性の体を改造して作られるサポートユニットをめぐっての陰謀渦巻く政治抗争に主人公とヒロインが巻き込まれていくってお話・・・
はい!^^;
もうこれ倫理的に色々アウトっすねw


ってか世界観の設定は実際に見てもらうのがイチバンっすね
専門用語が多いけど全然難解じゃないです
だいぶナレーションと説明ゼリフで解説されてるんで原作未読だろうが関係なしの内容っす
それとSFでありながら王政や騎士道精神といったキーワードが随所に登場し、西洋ファンタジーめいた雰囲気も醸し出してます


主人公のレディオス・ソープが美女と見紛う程の美青年、ヒロインのラキシスもソープを強く慕っていて麗しい美貌を持つ
という【美男と美女がイッパイ】というポイントがイチバンの見どころだと思います
そーゆーの重要よね


大していい話だとは思いませんでしたが;永野さんのマンガをアニメ化しようぜ!って心意気は確かだったと感じます
だってゴティックメードの省エネっぷりっていくらなんでもおま(ry;
80年代の作風がお好きな方は是非チェックしてみてください、ホント凄い作画ですよ!

投稿 : 2024/11/23
♥ : 13

チョコ太郎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

原作ファン以外はきついかと思います。

原作の第1巻を非常に分かりやすくまとめた作品。

この劇場作品のストーリーはMHと呼ばれる巨大ロボと、MHを操る騎士達、そして騎士達のパートナーであり人工生命体であるファティマ達がおりなす壮大な星団史(のほんの一部分)を描いたものです。

原作にはまっている人が観れば最高に面白い作品だと思いますが、原作を知らない人が観た場合、用語・世界観・人物関係など、ほぼ全てでなんのこっちゃ?となること間違いなしです、アニメを観る前に原作にどっぷりはまることをお勧めします^^;

原作ファンとしては、現在のアニメクオリティーで再度映像化(1巻だけではなく)してもらいたい作品です。きっと凄いものができそう!!

投稿 : 2024/11/23
♥ : 6

ポロム さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

キュベレイ

原作未読
キッズステーションで放送したのでノリで録画して観ました
1時間ほどで観れる、ファイブスター物語の序章らしいです
第1話をOVAとしたものらしいけれど、原作見ていないと理解がしづらい

前半の20分の妙な雰囲気に引き込まれ、後半になるにつれて「これ、後30分で綺麗に終わるの?」と思ってたら一応スッキリ終わった
「これは序章に過ぎないよ!原作見ようね!」みたいな雰囲気で今後起こることを淡々と予言したナレーションで締められた

作画はキャラデザや瞳の書き方など時代を感じて若干古く感じるものの、
書き込み量が半端じゃなくて、本当に昔の作品なのか・・と思うほどセル画が綺麗

主人公のソープが男性に見えないほど中性的な容姿で眉目麗しい
(本当に男性なのだろうかと疑いの目で見ていましたが、作中で突然のシャワーシーンがありました よくわかりませんが疑いが晴れました ありがとうございます)

1つ妙に気になったのが、ファティマスーツのデザイン
調べたらデカダン・スタイルと呼ぶらしいです
あの、当たったら痛そうな大きな肩パットにミニスカスタイルなのが何か世紀末感漂ってるお姿だと思って考えてみると、
機動戦士Ζガンダムに登場するモビルスーツのキュベレイにそっくりですね

最後登場する赤いドレスの頭の帽子の△三角具合と肩パッドに思わず
「・・・烏賊みたいだな」と呟いてしまいました

投稿 : 2024/11/23
♥ : 27

70.0 8 ファンタジーで漫画原作なアニメランキング8位
劇場版 七つの大罪 天空の囚われ人(アニメ映画)

2018年8月18日
★★★★☆ 3.7 (54)
393人が棚に入れました
ここは妖精族や女神族や魔神族が存在する世界。魔神族の暗躍により、滅亡寸前だった大国・リオネス王国を救ったのは、大罪人であり伝説の騎士団〈七つの大罪〉と、ひとりの王女だった。そして、リオネス王国に平穏がもたらされてから少し時が流れたころ――。国王の誕生日を祝うため、幻の食材・天空魚を探しに辺境の地へやって来た〈七つの大罪〉たち。団長のメリオダスと、人の言葉を話す豚のホークは、天空魚を求めるうちに空高く、雲の上に存在する天空の世界“天空宮”へと飛ばされてしまう。天空宮には翼をもつ“天翼人”が暮らしている。メリオダスは掟を破った天翼人の少年と間違えられて牢屋へ入れられてしまう。天空宮では三千年間封印される凶悪な魔獣の解放を防ぐため、儀式の準備をしていた。だが封印を解こうと天翼人の命を狙う、“ベルリオン”率いる強靭な魔神族の集団〈黒の六騎士〉が姿を現す。残虐非道な彼らからみんなを守るため、メリオダスたちは〈黒の六騎士〉と激突する!

声優・キャラクター
梶裕貴、雨宮天、久野美咲、悠木碧、鈴木達央、福山潤、髙木裕平、坂本真綾、杉田智和
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

良くも悪くも王道バトル系

七つの大罪が勢揃いして、同じ方向を向いて戦っているってだけでも、贅沢な感じがしました。
いろんな意味で自由な人ばかりですからね(笑)。

王道バトル物として、充分に楽しめるレベルの作品でした。

ところで、『{netabare}息子と他人{/netabare}の区別がつかない父親って・・・?』。
この点だけは、最後まで引っかかっちゃいました。
この点だけが、マイナス評価です。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 9

66.6 9 ファンタジーで漫画原作なアニメランキング9位
劇場版FAIRY TAIL ‐DRAGON CRY‐(アニメ映画)

2017年5月6日
★★★★☆ 3.6 (41)
229人が棚に入れました
フィオーレ王国の神殿に祀られた魔法の杖・ドラゴンクライ。世界を滅ぼすほどの力を秘めるというこの杖が、王国の反逆者・ザッシュによって奪われ、ステラ王国の国王・アニムスの手に渡ってしまう。ドラゴンクライ奪還の依頼を受けた魔導士ギルド・フェアリーテイルのナツ、ルーシィ、ハッピー、グレイ、エルザ、ウェンディ、シャルルは、ザッシュを追ってステラ王国へと潜入する。そしてドラゴンクライを巡る攻防の中で、彼らはアニムスに仕える魔術師・ソーニャと出会うが…。ドラゴンクライを我が物にしようとするアニムスの狙いとは!? 国を救いたいと願うソーニャの秘密とは!? 様々な思惑が交錯する中、フェアリーテイルは世界の危機に立ち向かう!! そして、壮絶な闘いの中で、ナツの本能が目を覚ます――!?

声優・キャラクター
柿原徹也、平野綾、釘宮理恵、中村悠一、大原さやか、佐藤聡美、堀江由衣

73.1 10 ファンタジーで漫画原作なアニメランキング10位
デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(アニメ映画)

2024年3月22日
★★★★☆ 3.9 (40)
183人が棚に入れました
東京で女子高生ライフを送る小山門出と中川凰蘭。学校や受験勉強に追われつつも毎晩オンラインゲームで盛り上がる2人が暮らす街の上空には、3年前の8月31日から、突如現れた巨大な宇宙船「母艦」が浮かんでいた。異様な光景は日常に溶け込み、当たり前となっていたが、ある夜、東京で悲劇が起こる。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

クソやばい地球人の青春に遭遇した宇宙人には同情を禁じ得ません

3年前“8.31の悲劇”以来、宇宙からの“侵略者”の巨大<母艦>に覆われる東京。
その下でハイテンション女子高生ライフを送る主人公少女らの日常と、
<母艦>という非日常が混ざり合う中で、やがで開示されていく真相と共に、日常と世界の破滅が示唆される同名コミック(未読)の劇場アニメ化作品の前半部。


【物語 4.5点】
作風は青春の一頁が世界の一大事とシンクロするセカイ系の再生産。
2014~2022年連載作ということで東日本大震災後、コロナ禍の世相も取り込んだ人間&世界模様が描かれる。


大抵のセカイ系でイタいのは主に思春期主人公の周辺になりますが、
本作の場合は災害、事故での犠牲者ニュースをも、スマホゲーのイベントと並行してコンテンツとして高速消費して、飽きたらもうオワコンだと使い捨てていく情報過多社会の病理。
マスコミを不信する余り、ネット上の陰謀論界隈に沼る母親。
個体ごとの正義を絶対化し、SNS上でマウントを取り合うまででも十分イタいのに、武器を持って傷つけ合うまでエスカレートする人類の異様。
など、東京及び日本、地球全体がイタくて終わってる感が、痛いトコロをマシンガンのように撃ち抜く台詞回しによって醸し出されています。

大体、宇宙からの“侵略者”として<母艦>に防衛利権の匂いをプンプンさせながら、大仰なレーザー兵器で攻撃を仕掛けているわけですが、
彼らの目的が侵略かどうかなどは真剣に議論されることはなく。
そもそも実は{netabare} “侵略者”が直接手を下した犠牲者はゼロなのでは?とすら思います。
8.31の被害は<母艦>を<A爆弾>により攻撃した米軍によるものですし、
作中での犠牲者も小型&中型船への“防衛行動”の巻き添えを食ったものなのではないでしょうか。{/netabare}
リスクをあると決め付けた人間社会のおぞましさ、滑稽さの炙り出しも上々です。


人間視点のSFとして挑むと、全体に日常がとっ散らかった感、
後半、主人公少女2人の青春が事の発端と結びついた回想という、世界がひっくり返るシナリオ転換などに振り回される危険性もあります。

が、私の場合は冒頭から、これは地球人を観察する宇宙人の視座で俯瞰した方が折り合えると割り切って観たので何とか付いて行けました。

特に産業革命以後、200年程度という宇宙から見れば瞬きする間に、
文明を急発達させ、爆発的に増殖し、地球を壊す勢いで戦争や大量虐殺(ジェノサイド)を繰り返して来た人類。
この原爆を持ってしまった猿の如きキモい地球人。
果たして心の成熟は伴っているのだろうか?
ちょっと“イソベやん”の“内緒道具”を渡して裁定してみよう。

前章終わった段階で世界は一層波乱含みですが、
後章に向けて、命綱となるテーマは提示されていると思うので、
手応えを感じながら後半戦に挑みたいです。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・ Production +h(プラスエイチ)

個人的に、初代『ガンダム』、今敏監督の方の『パーフェクトブルー』など、
人間の顔ってちゃんと観察すると美形一辺倒ではなく、
時に昆虫の如く気持ち悪くもある。
そこを再現できている人物デザインに対しては点数を盛る傾向にありますが、本作も同様。
私は特に、おむすび顔に円な瞳のメガネ娘・出元亜衣のデザインが好きです。

<母艦>周辺に揺らめくレタリング?が、
ゴシック体で打ち出される作中テロップの生成、解体過程でも垣間見えるのも意味深。

観察者視点に一歩引かせる地球人デザインと、テロップのレタリングが、
私を冒頭から宇宙人視点に誘導した主因。


細部の背景美術にも社会風刺などを含んだ表現が散りばめられ情報量は多め。
私の脳裏に焼き付いているのは、8.31以降は数える程しか出ていない“侵略者”への防衛行動での民間犠牲者。
それをトップニュースで大騒ぎする傍らで映し出される交番の看板。
<母艦>関連を遥かに凌ぐ数の交通事故死傷者数。
この辺りも騒ぐと決めたニュースばかり取り上げるメディアと、
反発して陰謀論に囚われるネット民という両極端を想起させられジワジワ来ます。


総じて巨大<母艦>の大技だけではない、地球人のイタい所を表現する小技も効いた刺激的な作画です。


【キャラ 4.5点】
主人公の眼鏡っ子・小山門出(かどで)
ロングツインテールの中川凰蘭(おうらん)こと“おんたん”
メイン2人に、恋愛リア充を目指す栗原キホ、出元亜衣、
無口な長身黒髪ロング・平間凛。
JK5人グループが頭のネジが外れた掛け合いを繰り広げて、
<母艦>の非日常に対峙する日常世界を構築。

例えば門出は担任教師の渡良瀬を慕っていますが、
この教師と生徒2人の会話も、ちゃんとした型に収まり切らない人間と青春を示唆していて不謹慎で面白い。

あとは、おんたんのイケメンメタボな兄で“ネット監視員”(ニート)のひろしが挑む、
SNS空間に広がる“情弱”どもの“総意”とか。

全体に、情報社会に監視されることを前提として、
火を点けられないように社会が強いた役割を仕方なく演じてやってる倦怠感が滲み出ており、
これもまた地球人のオワッてる感を濃厚にします。


【声優 4.0点】
主演・小山門出役にはYOASOBIのボーカルとしても活躍する幾田 りらさん。
相方の中川凰蘭役には、あのさん。
メイン2人にアーティストをオーディション選出して周りをアニメ声優で固める布陣。

“ナチュラル”なボイス素材を求めてのアーティストの主演起用。
確かにおふた方とも、地声が高音スウィートなアニメ声で天然素材としては上質。
ですが、私はやはり自然体を求めるにしても、演技力を磨き上げた声優にナチュラルな演技をさせるのがベストと考えるので、この点数が上限。

ただアーティスト2人でと決めた以上は、
下手に声優の枠にはめずに、2人の表現者としての感性に任せるという判断は、素材を活かす上ではベターな選択。
掛け合いシーンでは同じ歌手ならではの波長が合い、
仲良く喧嘩する良いリズムが生まれていたそうで。
声優陣も交えたJK5人組のバカ騒ぎの空気感もスムーズに出ており心地良かったです。

原作者いわく、アフレコ時は、主演おふた方とも作品世界に入るための準備はしてくれていたとあって、
宣伝目的で起用した俳優・タレントを“お客様”扱いする劇場アニメ作品よりは良好な仕上がりだったと感じました。


EDクレジットの最後には、
門出が愛読する作中漫画でシナリオにも深く関わる黒い『ドラえもん』?wこと「イソベやん」にて、
イソベやんに“内緒道具”をせびる自堕落女子・デベ子を演じたTARAKOさんへの追悼コメントが表記。
『ちびまる子ちゃん』のさくらももこ役など、だらけた演技も天下一品の楽しいお方でした。
ご冥福をお祈り致します。


【音楽 4.5点】
情報過多な東京の日常社会に溢れる生活音、
そこを切り裂く<母艦>絡みの非日常の異音、放たれるレーザー兵器の発射音など、
立体的に表現された音響は、本作劇場鑑賞の一番の意義と言っても過言じゃありません。

主題歌は主演アーティストのお二人が担当。

前章はano feat. 幾田りら「絶絶絶絶対聖域」
作編曲を凛として時雨のTKが担当。

曲調はテンション高めの無邪気な作風ですが、
歌詞世界は“地球オワタ”“地球が壊れたよ”などとシッカリ病んでいるので油断は禁物ですw

投稿 : 2024/11/23
♥ : 20

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

衝撃作です。青春と正義と災害を描いた壮大な日常系本格SF。追記 2回目見ました。

 インデペンデンスデイ、ニーアアンダー7、ヒドゥン、デスノート、マイケルサンデル、ゴジラ、時をかける少女、311、機動戦艦ナデシコ、タコピーの原罪、ドラえもん…の要素が入った日常系です。
 他にもあるでしょうが、要するに要素が多いです。それぞれの視点で分解する難易度は高くないです。

 いや、すごかったですね。上映時間120分らしいですが、体感時間は80分くらいかな。情報量は180分くらいのが圧縮されている感じです。ジェットコースターの様でいてのんびり女子だけ(ではないですが)青春ものでもあります。

 浅野いにお氏の作品は「うみべの女の子」が好きで何度も読んでいますが、それ以外はどうも性が合わず本作も1話を試し読みかにかをして切っていたと思います。ただ、本作を見てやはりマインドは一緒かな…と。読んでみたくなりました。結末は違うと公言されているみたいですし。

 大人になる意味、現実社会に生きる思春期の精神の中身といえばいいのでしょうか。進路、恋愛、性、親、天才と凡人、いじめ、正義、友人…そういうものが襲い掛かってくる小学校から高校時代の生きづらさをSF的表現で見せたような感じです。

 災害のオマージュとして、日常と非日常のシームレス感あるいは断絶感が同時に存在するような作品ではありますが、一方でこの思春期に襲ってくる精神的なクライシスのオマージュとも見えます。

 テーマは結末を見ないと何とも言えませんが、ストーリーとしての結末は分かりませんけど、思春期の落としどころになるのかなあ、という気はします。

 特筆すべきは映像がすごい…というと語弊がありますかね。2次元アニメ的なアニメ表現ですが明らかに3DCGですよね。見やすいのなんの。エフェクトだよりでなく、戦闘シーン頼りでもないです。それでいて構図はいいんです。

 脚本も詰め込んだなかに映像表現で上手く補完しているので、結構頭を使わなくても話の筋は素直に読めます。伏線とか考察とかそういうのを無理にする必要がない分かりやすさです。考察系とエンタメ系の要素のいいところが上手く組み合わさっています。演出も面白さと迫力と緊迫感と上手く表現できていたと思います。

 むしろ頭を使うのは別のところですね。頭がクラクラします。SFと書きましたけど表題がデーモンなので…まあ、それは後半ですね。

 稀にみる名作になる可能性を秘めています。後半次第ですけど。私は絶対に行きます。
 で、映画で一儲けした後でいいので、120分×2で240分です。つまり20分×12で1クール行けますよね?広く世間に公開してはどうでしょう?

 私平日に見ましたが、サービスデイなのに2人しかいませんでした。この作品が埋もれるのはもったいないです。



追記 無理無理時間作って前章も見てきました。

 後章がもう始まっていますが、なんとか上映館を見つけ無理無理見てきました。やはり面白いのは前章、感動・深さは後章という印象です。

 前→後→後→前という順番で見ました。

 で、2回目を見て気が付きました。この作品は「これからどうなるの?」がとても素晴らしい構成にまとめられています。ですので、面白さで言えば1回目が圧倒的に面白かったです。

 ただ、後章をみてから前章を見ると、ああ、そういうことか…とか、微妙な伏線に気が付いたり、意味が重層的になったり見方が変わったりという深堀りができるようになります。

 まこととふたばがなんで田舎から出てきたの?とか東京という意味が分かってくると味方が変わります。
 あるいは、前章の小学生の門出の正義と、後章のシップと小比類巻の正義の対比の構造とか面白いですね。
 イソベやんはもちろん「トモダチ」ですが「未来」「正義」「便利道具」などなどいろんな意味を後→前で見ると感じました。

 で、あとはアメリカで12巻まで含めたであろう、配信版が始まったらしいですね。コミックスで確認しているので、マストではないですが、見たいものです。

 あと、EDのANOさんという声優の人の曲の入りは本当に良かったです。(いやもちろんANOさんという人の名前と顔くらいは知ってますけどね。歌手だったんですね)

投稿 : 2024/11/23
♥ : 11

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

意外と新しい感覚? かな!

先ほど観終わりました。
原作は未読です。
先ずは、前半部分まで。

面白かったです。ワクワク。
少しも飽きませんでした。
必ず、後半も観ます。

あ、EDの後も観てくださいね。





あんまり面白いので、原作コミックに手を出しています。
なるほど、この絵を動かしたのか。
あ、アングルが少し違ってる。
間の取り方の計算が絶妙。
そんな発見がいくつもありました。

でも後半部分の購入は手控えます。
私的には、やはり映像から入りたい気持ちです。
ぜひ、前章(本作)をご覧になってみてください。
そして後章をご一緒に楽しみませんか?

投稿 : 2024/11/23
♥ : 12
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