ファンタジーで戦闘なアニメ映画ランキング 12

あにこれの全ユーザーがアニメ映画のファンタジーで戦闘な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月10日の時点で一番のファンタジーで戦闘なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

83.2 1 ファンタジーで戦闘なアニメランキング1位
この素晴らしい世界に祝福を!紅伝説(アニメ映画)

2019年8月30日
★★★★☆ 4.0 (501)
2354人が棚に入れました
交通事故(!?)によりあっけなく人生の幕を閉じるはずだったゲームを愛するひきこもり・佐藤和真(カズマ)は、ひょんなことから、女神・アクアを道ずれに異世界転生することに。「RPGゲームのような異世界で、憧れの冒険者生活エンジョイ!めざせ勇者!」と舞い上がったのも束の間、転生したカズマには厄介なことばかり降りかかる。トラブルメーカーの駄女神・アクア、中二病をこじらせた魔法使い・めぐみん、妄想ノンストップな女騎士・ダクネスという、能力だけは高いのにとんでもなく残念な3人とパーティを組むことになったり、借金で首が回らなくなったり、国家転覆罪の容疑で裁判にかけられたり、魔王軍の幹部を討伐したり、たまに死んだり……。そんなある日、駆け込んできた紅魔族の少女・ゆんゆんの爆弾発言にカズマたちは凍りつく。「私、カズマさんの子供が欲しい!」事情を聞けば、めぐみんとゆんゆんの生まれ故郷「紅魔の里」が、滅亡の危機に瀕しているという。里を救うために旅立ったゆんゆんを追いかけて、紅魔の里へ向かうカズマたちだが――!?カズマたちパーティを襲う最大の危機!平凡な冒険者カズマが過ごす、異世界ライフの未来はどっち!?

声優・キャラクター
福島潤、雨宮天、高橋李依、茅野愛衣、堀江由衣、豊崎愛生
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

なんだろねこの安定感

原作未読 1期2期視聴済

“伝説”ってここ30年くらいで一気に安っぽくなった単語じゃないですかね。にょろにょろ伝説…って見ただけでプークスクス不謹慎な私。
知らんうちにTV版があにこれランキングのTOP5位以内に。まぁそのうち収まるところに収まることでしょう。乱高下しているあにこれの歴代順位はどこ吹く風。外野の喧騒をよそにわりと堅実に作られたコメディの劇場版90分です。

2期まで放送済。その間、主人公カズマはフル稼働。パーティメンバーはそうでもないらしい。2期ではダクネスとアクアをしっかり掘り下げて、やや薄めむしろ一発芸担当だっためぐみん(CV高橋李依)が今回の主役。しっかり段階を踏んでますね。
めぐみんのペアというか同族のゆんゆん(CV豊崎愛生)もTV放送にて慣らし運転を完了するレディーパーフェクトリーぶり。彼女らの一族は紅魔族(こうまぞく)と呼ばれる魔術に長けたチート集団という設定。その紅魔族の皆さんは…


 {netabare}俺が見えないのか すぐそばにいるのに{/netabare}


あ、悲壮感みたいなのはありませんよ。隣人すら見ないか見えてないのかとにかく自由過ぎる人達でした。事前に楽しみにしてたのは3点、

1.声出して笑うところ1個でもあればOK

 ⇒ありました。充分×2

2.密かに進んでるアレはどう?

 ⇒{netabare}魔王軍の腹心がうっかり討伐されてるお約束。物語は匍匐前進してます。{/netabare}

3.劇場版ならではの…

 ⇒きっと映えますよね。爆裂魔法の作画。素晴らしかった。
 ⇒さらに舐めたようなぐだぐだな画を劇場で!と。この点は微妙…


ファン必見の劇場版でしょう。
パーティメンバーで今回めぐみんに白羽の矢があたりこれで仲良くみんな掘り下げられました。今後はアクア、めぐみん、ダクネスとその掘り下げられてきた人物像・家族・過去を使ってコントを作っていけばよいと妙に安心できる良作でございました。

おそらく今後はマンネリとの闘いになると思います。
そういえばTV版のレビューで、『このすば』は古典で王道のお笑いルールを踏襲、と述べてました。


 マンネリか? それとも 定番なのか?


やや後者寄りだと思ってます。「飽きたー」とかいいながら無ければ寂しい。知らんうちに紅…じゃなかった、、、『このすば』に染まってるのです。
そうやって染まったあなたをなぐさめるやつはもう…(自主規制)



※閑話休題

■受け継がれる駄女神

豊崎さんここで修行して『慎重勇者』に繋げたんだろうなぁ(適当)



視聴時期:2020年4月

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2020.05.16 初稿
2020.08.12 修正
2020.12.08 修正

投稿 : 2024/11/09
♥ : 70
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

伝説の始まりは、紅い目とともに

アニメーション制作:J.C.STAFF、
監督:金崎貴臣、脚本:上江洲誠、
キャラクターデザイン:菊田幸一、
音楽:甲田雅人、原作:暁なつめ

めぐみんとゆんゆんの故郷・
紅魔の里が危機にさらされている。
魔王軍の幹部から攻め込まれ、
被害が出ているという手紙がゆんゆんの元へと届き、
里を守るためにカズマたちが奔走するストーリー。
ほとんどのキャラが総出演する
まさに映画的な内容の作品だ。

ダクネスファンの私としては、
活躍の場面が少なかったので、
もの足りない部分もあったが、
コンビ?ともいえるバニルも登場して、
一緒に戦ってくれるのが楽しい。
今回は、それよりもアクアの出番がかなり少なく、
ファンにとっては物足りなかったかも。
ただ、このすばで、最も人気の高いめぐみんが
中心の作品なので、多くの人が満足できる
内容になったのではないだろうか。

物語の中心は魔王軍幹部・シルビアとの戦い。
いつもと同じパターンを踏襲する形だが、
そこに紅魔族の人々の特性や秘密が語られることになる。

いちばんの見どころ?は、{netabare}カズマとめぐみんが
一緒の布団で寝るところになるだろうか。
90分という限られた時間のなかで、
このシーンが2度も出てくるのは笑ってしまった。
それとは別にシルビアの胸に
挟まれるのもサービスかもしれないが、
客観的に考えるとドン引きのシーンだ。{/netabare}

紅魔族のルーツが明らかになる部分は、
もうひとつのこの作品の見どころ。
TV版からの長いつながりや、
ある人物の影響力の強さに失笑してしまう。

全員がお約束のネタを持っている
吉本新喜劇のようなパターンのため、
登場人物が多いほど、割かれる時間が長くなる。
ウィズ&バニルに加え、ベルディア&ハンスという
これまでの魔王軍幹部も総出演するなど、
TV版のファンをかなり意識した内容。
しかし、その分、ほかの描写が短くなって、
紅魔族のキャラが薄く感じる。
あるえ、ふにふら、どどんこの同級生トリオなどは、
ほぼ最初の紹介だけで終わってしまっている。
めぐみんの父母もそれほど目立った感じはなかった。
ただ、こめっこは原作で今後も大活躍するキャラのようで、
映画でもかなり重要な役どころにはなっている。

軸はめぐみんとゆんゆんの友情になるのだろうが、
やはりメンバー全員の見どころを描かなくてはならず、
全体的に焦点が定め切れていない感を受ける。
観ているときは、それなりに面白いのだが、
思い返してみると、ぼんやりした印象になる。

この作品を観ていて思い出したのが、
押井守初監督作品の『うる星やつら オンリー・ユー』だった。
TV版を好きなファンを意識して制作された作品は、
ファンはもちろんプロデューサーも満足する内容だったが、
ひとつの作品として考えると、お約束を並べた
TV版の延長でしかなかった。
同時上映だった相米慎二監督の『ションベン・ライダー』を
鑑賞した押井監督が、自分の作品との大きな違いに
愕然としたというエピソードは有名だ。
アニメの枠にとらわれない面白い作品を
目指していた押井監督らしい話といえる。

このすばには、しっかりとした原作があるので、
ほとんど当てはまらない話だろうが、
映画版と比較してどうだったのだろうと想像してしまう。
いずれにせよ良くも悪くも、ファンを大いに意識した
サービス満載の映画化といえるのだろう。
(2020年8月1日初投稿)

投稿 : 2024/11/09
♥ : 57

元毛玉 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

こ・の・す・ば(大音量)

原作既読
アニメ化前から原作読んでます。
ギャグが自分的には波長が合うのか凄くツボっす。

お話のざっくり概要
前世で壮絶な死を遂げたサトウカズマ
美しい水の女神アクア様によって異世界に転生される事に
心優しい女神様は自ら進んでサトウカズマについていった
そして、魔王軍幹部ですら吹き飛ばす最強の魔法を操る
アクセルの町随一の大魔導士めぐみんと
高潔な貴族でいかなる攻撃にも屈しないクルセイダーの
ダスティネスフォードララティーナ18歳
を仲間に加え、魔王軍幹部を次々に撃破する快進撃
…というのがウソなのは本編を視聴すれば分かりますw
おバカ駄女神と中二病問題児とドM変態バツイチ処女の
3人と外道カズマの一行はゆんゆんの元に来た手紙から
紅魔族の里へ向かう事に…
ってな感じ

結論からいうと、能登かわいいよ能登
能登さんが出ているという話を聞いて
居ても立っても居られないと思い劇場に足を運びました。
うん。やっぱり能登さんの声たまんないわw

物語は概ね原作通りで一部アニオリです。
作画は劇場版だからといって特別良い訳ではなく
いつも通りっす。
声優もいつも通りフリーダムです。能登さん最高です。
音楽は…確かに大音量のエクスプロージョンは大迫力。
キャラはめぐみんの母親が最高でした(ry

えーと、、、
このすば劇場版は失敗じゃないかなーと思った次第
だってだって、思いっきり笑えないし
カズマに「このへたれ!さっさとやれよ!」
とかヤジ飛ばせないし
ビールは飲めるけど…なんか、自宅のこのすばと比べて
全力で楽しめなかった…いつも通り凄く面白かったけど
笑いをこらえないといけないのはなんか違う…
やっぱり、このすばは自宅でビール片手に
ヤジを飛ばしながらゲラゲラ笑って視聴するに限りますね

本編視聴が大前提なので誰でも楽しめるという訳ではなく
思いっきりこのすばファン向けの内容です。
本編が大好きな方は間違いなく楽しめますけど
劇場だと爆笑できないのが辛い所です(苦笑)
とにかく能登さんは最高です(*´Д`)ハァハァ

投稿 : 2024/11/09
♥ : 43

85.4 2 ファンタジーで戦闘なアニメランキング2位
劇場版 メイドインアビス -深き魂の黎明-(アニメ映画)

2020年1月17日
★★★★★ 4.2 (534)
2319人が棚に入れました
隅々まで探索されつくした世界に、唯一残された秘境の大穴『アビス』。どこまで続くとも知れない深く巨大なその縦穴には、奇妙奇怪な生物たちが生息し、今の人類では作りえない貴重な遺物が眠っている。「アビス」の不可思議に満ちた姿は人々を魅了し、冒険へと駆り立てた。そうして幾度も大穴に挑戦する冒険者たちは、次第に『探窟家』と呼ばれるようになっていった。アビスの縁に築かれた街『オース』に暮らす孤児のリコは、いつか母のような偉大な探窟家になり、アビスの謎を解き明かすことを夢見ていた。ある日、母・ライザの白笛が発見されたことをきっかけに、アビスの奥深くへ潜ることを決意するリコ。リコに拾われた記憶喪失のロボット・レグも自分の記憶を探しに一緒に行くことを決意する。深界四層でタマウガチの毒に苦しむリコ。リコを救ったのは成れ果てのナナチだった。ナナチを仲間に加え、ボンドルドの待つ深界五層へと三人は冒険を進める。そこで、プルシュカと名乗る女の子に出会い…

声優・キャラクター
富田美憂、伊瀬茉莉也、井澤詩織、森川智之、水瀬いのり
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

妥当な構成と不適当な導線

2020年1月公開 105分でR15+指定


導線が悪いと思います。同時期で楽しめてる我々ではなく後続の方々にとって。
新作劇場版はTV版1期の続編にあたります。そして予定している2期はこの劇場版の続編になる模様。

 1期⇒劇場版⇒2期

矢印の変更やスキップはNG。1期は劇場版を楽しむための、劇場版は2期を楽しむためのそれぞれ必要条件が確定してます。しかもこれ以外に総集編映画が存在してたりと、視聴順が分かりづらく極めて不適当かと思います。
劇場版飛ばして2期観てしまう方が続発することでしょう。それ以前にやや混み入ってくると二の足を踏んでしまうものです。それが勿体ない。せっかくの良作なのにハードルが設置されてしまいました。


まあでも異議申し立てはそれくらいで、劇場版を続編としたことは極めて妥当な判断でもありました。劇場版として切り取る必然的な理由があったからです。
こと“冒険アニメ”に関しては私の浅いアニメ歴上この『アビス』ほぼトップクラスといってよい。
まず美術が素晴らしい。層を下がっていく度に景色が変わり、そのどれもが初めて見る光景だったり。さらに戻るべき場所オースの街も手抜きなしで描かれていることを地味に評価してます。
次に立ちはだかる困難が容赦ありません。“命がけの大冒険”を地でいくとこんな感じになるんだろうな、の説得力がそこにあります。
最後に探窟家のメンタリティがいかにもな感じでぶっ壊れています。
途中出会う人も先人もそして主人公のリコも。

{netabare}一層 : アビスの淵  深度0mから1350mの空間を指す。上昇負荷は軽い目まいと吐き気
二層 : 誘いの森   1350mから2600mの空間。上昇負荷は重い吐き気と頭痛、末端の痺れ
三層 : 大断層    2600m~7000m。二層に加え、平衡感覚に異常をきたし、幻覚や幻聴を見る
四層 : 巨人の盃   7000m~12000m。全身に走る激痛と、穴という穴からの流血
五層 : なきがらの海 12000m~13000m。全感覚の喪失と、それに伴う意識混濁、自傷行為
六層 : 還らずの都  13000m~15500m。人間性の喪失もしくは死。詳細不明{/netabare}

普通は一層すら勘弁です。そこを「憧れは止められない」で行けてしまうのが探窟家なんでしょう。
おさらいすると不動卿オーゼンの『監視基地』は二層。ナナチの住処四層は、リコがタマウガチに襲われミーティを送った場所であり、1期の終了地点でもあります。
そして五層『前線基地(イドフロント)』に待ち受ける黎明卿ボンドルド(CV森川智之)とのあれやこれやが劇場版で繰り広げられる物語となるわけでした。

このボンドルドがもう強烈過ぎて劇場版に押し込んだ感があるんですよ。
一大絵巻としての冒険物語がTV本編です。冒険というのは山場やポイントがあって、その一つ始めの関所にあたるのがオーゼンのとこ。オーゼンもだいぶユニークでしたが、二つめの関所の主ボンドルドには一人で根こそぎ持っていかれてしまいそうです。丸くなる前の野生爆弾くっきーが場を荒らしまくって後は一面焼け野原みたいな。冒険物語がバトルアニメに変貌してしまう怖さがありました。
全13話なりのバランスを崩しかねない存在それがボンドルド。ということで流れのあるTV本編からは切り離してリコたちに対峙させたのでしょう。動きも大きくなるのでスクリーンが映えます。

六層は還らずの都。上昇負荷は人間性の喪失もしくは死。目下リコ・レグ・ナナチの三名は五層なう。その五層には六層に行くため必ず通過しなければならないポイントがありそこにはボンドルドが鎮座。
因縁の深いナナチや一緒にミーティを送ったレグとリコにとっても激突必至です。果たして無事六層に向えるのか?動きが映える劇場版とか言っちゃってるのでドンパチはあると思っていただいてけっこう。

澄み切った悪意なき悪とはもっとも手が悪い。
人間でも善行を行ってると固く信じている時に最も残虐になれるのです。

冒険にとって必要不可欠なエピソードでありながらあまりにも規格外な存在であるため劇場版に押し込められた黎明卿をぜひご堪能ください。おそらく原作者の異常性癖がこれでもかと出ております。
あ、位置付けの話だけで文字数を取っちゃいました。



※ネタバレ所感

■1期のラストから

{netabare}「おや?反応が消えていますね」
「おめでとうナナチ。ついに成し遂げたんですね。」
「あなたにはたくさんのお礼が言いたい。是非ともまた会いたいですね」

1期第13話のラストのラストは黎明卿の不穏な一言で締めでした。
遡ることちょっと前。昏倒していたリコはミーティのお陰で戻って来られてましたね。

「私がずっと見てきた探窟家たちと同じ憧れにあふれた目」

リコの目に移ったミーティです。{/netabare}

{netabare}この劇場版で憧れを止められなかったもう一人の女の子が加わりましたね。これで五人パーティです。
ミーティを送って生への執着が無くなりかけてたナナチも「冒険が楽しい」と言いだしました。{/netabare}

これ以上ない2期への申し送りではないでしょうか?


一言
{netabare}ナナチとボンドルドの顛末はあれで良かったのだろうか?特にナナチ。{/netabare}



視聴時期:2020年10月 

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2020.10.31 初稿
2021.08.28 タイトル修正

投稿 : 2024/11/09
♥ : 58

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

「喜びしか知らぬ者に真の祈りは産まれません」。夢と祈り、その果てにあるものは…。

幕張でほぼ満員の中で鑑賞。流石は劇場版!なスーパークオリティーのかなり原作に忠実な映像化。故に原作の良いところも悪いとこも出てる。


原作の時点で思ったが、一番美味しいトロなエピソードになりそうだったのに、この幕切れは少々勿体無い。プルシュカの件もだが、単行本ならもう一冊、映画ならもう30分くらい尺が必要だったかな。


しかし、全体的にはやはり最高にサイコー!。特に戦闘シーンは、ちゃんと燃えるセットアップが出来てるからこそ超絶作画で上がる。


特典でミニカレンダーがもらえるとは豪華やし、EDはなんと表現していいか水墨画がヌルヌル動いてるような凄まじい出来映えで、これどうやって作ったのか撮影したかもよくわからぬ逸品だ。


原作ファンなら当然見に行くとして、アニメのみの人はまぁ言わなくてもわかってるだろうが覚悟して見るべし。


ボンドルドは、あたしの好きな「ガンソード」の鉤爪の男くらい好きな悪役なので、イッちゃってる悪役好きには見逃せない。


それにしても、結局ボンドルドの真意は明らかにならずで、その辺が後々きいてきそう。


次の2000年、祈手、お祈り骸骨、「喜びしか知らぬ者に真の祈りはうまれません」、祈る手の形な白笛、たぶんこれらはみんな繋がってるだろう。


さらに、ボンドルドのオブセッションが祈りなのは明らかだ。これらのことから彼は単なるマッドサイエンティストなんじゃなくて、大きな目的があってやってるうちにあんなことになっちゃったんじゃないかな?。大いなる絶望の果に、あんな存在になっちゃった…だったらより好きになっちゃう。


原作でたぶんその辺も今後明らかになって、ボンドルド倒しちゃったことに後悔、あるいは彼に対する気持ちがより複雑になりそう。


オススメ動画「カートリッジの作り方」、ワクワクさんとゴロリの有名動画のパロディー。ナナチ「こんなの作りたくないよ!だ」。


「メタルインアビス」、クソ映画界の雄メタルマンの博士とボンドルドの夢のマッドサイエンティストコラボ。「本当に申し訳ない」。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 52
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

新しきボンドルド

キネマシトラス制作。

隅々まで探索され尽くした世界で、
唯一残された秘境の大穴アビス。
アビスの不思議に満ちた姿は、
幾多の人々を魅了し冒険へと駆り立てる。

いざボンドルドの待つ深界五層へ。
レグ、リコ、ナナチは冒険を進める。

深界五層は探検隊の前線基地である。
そこには奈落へと誘う祝福の祭壇がある。
六層の上昇負荷は人間性の喪失、または死、
ここから先は決して戻れない旅であるのだ。

劇場版として完成度は高い。
評価が高いことは認めざるを得ないが、
少しばかり物語が定型化しているのでは。
{netabare}悲劇の種は結局のところ、
似たような人物を造形するのだろうか、
ヒト在らざるボンドルドの矜持が響かない。{/netabare}
しかし常軌を逸した人物だけが、
この場所に踏みとどまれるのかも知れない。

{netabare}またもや悲劇は繰り返され、
それが最後の試練であるかのように、
思わぬかたちで審判が下され幕が下りる。{/netabare}
勇敢なのか、無謀であるのか、
奈落の底に黄金郷があると信じて、
人をまた冒険へと駆り立てるのだろう。

ナナチには幸せになって欲しい。
レグもリコも知りたかった真実に、
辿り着いて欲しいと願います。
メイニャの存在がどこか救ってくれた。

どちらにしろ旅の無事を祈るばかりです。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 51

70.9 3 ファンタジーで戦闘なアニメランキング3位
ゴブリンスレイヤー GOBLIN’S CROWN(アニメ映画)

2020年2月1日
★★★★☆ 3.6 (181)
833人が棚に入れました
ゴブリン退治に出向いて消息を絶った令嬢剣士を探して欲しい。剣の乙女からの依頼を受け、北方の雪山に向かうゴブリンスレイヤーたち一行。襲撃される寒村、謎の礼拝堂と、今回のゴブリンの群れの行動に違和感を覚えるゴブリンスレイヤー。「取り戻す…、失った物、全てを! 」囚われの令嬢剣士を救うため、雪に囲まれた古代の砦を舞台に、圧倒的な強さを誇る“何者"かに統率されたゴブリンたちとゴブリンスレイヤーたちが激突する! !

声優・キャラクター
梅原裕一郎、小倉唯、東山奈央、井口裕香、内田真礼、中村悠一、杉田智和、日笠陽子、松岡禎丞
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

ゴブスレのコスプレ

称号は

{netabare}“慎重勇者”でよくね?{/netabare}

60分一本勝負。劇場版と言いつつTV版の延長でワンエピソード追加したくらいのボリューム。COCO壱のちょいがけソースかラーメン屋の替玉みたいなもんと思えばいいかもしれません。というわけでしてご新規の皆さまは元ネタのTV版を視聴後にぜひまたお越しくださいませ。

やや短めの尺。OVA1話分に合わせたかのような軽めの脚本。映画館に足を運ぶ必要性は感じません。今(2020年11月)からですとレンタルor配信ですので、そうなれば敷居自体は低いですから元ネタのファンなら気軽に手に取ってよいでしょう。私は映画やってるのすら知りませんでしたので内容の如何を問わずなんかラッキー!って感じ。

だから基本的には文句はないのだけどごめんなさいね。違和感が少しばかりある。

{netabare}・令嬢剣士の帯同はプラスにはなってませんでした
・以前だったら帯同させるにももっとメリデメを冷徹に計算してたと思う
・妖精弓手の矢じり摘出の時に周囲の警戒怠ってたよね{/netabare}

肝心の慎重さ足りなくなってません?
ゴブリン相手に慢心せず愚直にPDCAを回す偏屈者。主人公ゴブスレさんの従前の人物評です。
敵さんを先回りした策がハマった時も、知恵の蓄積だったり可能性を一つ一つ潰していった形跡など“らしさ”を感じたものでしたが今回はそんな職人気質のゴブスレさんに“ご都合”の匂いがしてました。
{netabare}※酸素摂取できる指輪を配布したり稲妻魔法の使用制限を要請するなど伏線として利いてるとの見方もできましょうがなんか違うんだよなぁ。{/netabare}


ゴブスレっぽいものという結論になりますでしょうか。
それでややネガティブ評にはなりますが評価気にしないでくださいね。
所詮60分ですからまずはご自身の目で確かめていただいてという作品でしょう。



※ネタバレ所感

■策士策に溺れる?

{netabare}雪上決戦。事前戦闘でボスに発信器(剣回収用)みたいなのをつけて下準備。追撃戦でゴブリン達が門から出てきたら誰かが囮になるかもしくはデコイみたいなのを魔法で出して敵に追わせる。それで門から出きったら上から雪崩起こすので良かったんじゃね?とどうしても思ってしまう。雪崩を戦略に組み込むなら後面が崖と敵さんより下り斜面(谷側)に陣取るのがどうも腑に落ちませんでした。{/netabare}

{netabare}だから雪崩にわんさか巻き込まれるクライマックスは不謹慎ながら大規模コントのオチみたいな見え方をしてました。
ドリフのオチのテーマ(『盆回り』というらしい…)を脳内で流すとしっくりきましたね。{/netabare}



視聴時期:2020年10月 

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2020.10.23 初稿
2021.08.20 修正

投稿 : 2024/11/09
♥ : 38

scandalsho さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

TV版より面白くない劇場版とは?

TV版は視聴済み。

TV版よりエログロの少なくなった本作は、TV版より魅力が半減したと言わざるを得ない。
ゴブリンの恐怖とゴブリンスレイヤーの執念。
TV版で描かれた、この物語の良さが、ごっそり抜け落ちている。

女騎士の存在も評価を難しくしている。

明らかに自制心を失っている女騎士を同行させる理由が「誇り」だけでは視聴者の理解が得られない。

案の定、彼女の冷静さを欠いた行動が、事態を悪くしていく。
しかも、身体能力に劣る神官よりも足が遅い女騎士。

物語を面白くするためにそうしたのだろうが、そういう所が本家のTV版とギャップを感じされる一番の要因なんだと思う。

ゴブリンスレイヤーは、どこまでも用意周到に、慎重にゴブリン退治を行う人物。
その人物像と大きくかけ離れてしまう。
単なる主人公最強系の役回りになってしまっている。

これではゴブリンスレイヤーの面白さが伝わらない。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 29
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

あなたが落としたのは、金のゴブスレですか? 銀のゴブスレですか? そうですか、じゃあ正直者なあなたに、キレイなゴブリンスレイヤーをあげましょう。という違和感。

[文量→中盛り・内容→酷評系]

【総括】
ゴブリンスレイヤーのOVA。60分。

テレビシリーズは☆4をつけている、好きな作品なのですが、本作はイマイチでした。多分、本編を観ていなければ感じない違和感なんでしょうけど、それがどうにも。クオリティ自体は低くないし、ツマンナイわけではないんですけど。

ていう部分をレビューで書きたいと思います。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
本作の良さといえば、ゴブリンに対してはどこまでも冷徹で、執念深さをもって滅するところにあると思うけど、城攻めの時のゴブリンスレイヤーは、あまりにも無謀且つ雑。

ある意味で、ゴブリンを最も高く評価しているはずのゴブリンスレイヤーなのに、ゴブリンを侮っていたように思う。敵に弓があったら死んでいるシーンが何回もあった(てか、あるのに撃たない)。それに、プロテクション+雪崩は先制攻撃に使うべきだろう。剣なんかにとらわれず、先ずは敵の殲滅。剣は後から回収できればラッキーくらいのスタンスのはずでしょう。

ゴブリンスレイヤーは勿論優しい男ですが、あくまで第一優先はゴブリンの撃滅にある。だからこそ、(テレビ版の最後の)唯一のワガママを言った(そして仲間が協力してくれた)「牧場防衛戦」には、彼の人間らしさが見えて感動したのである。

それが、いくらゴブリンにリベンジしたい気持ちに共感できるとしても、ちょっとあの女騎士に肩入れし過ぎ。なんか、「キレイなゴブリンスレイヤー」って感じの違和感があった。もっと「汚ない、でも純粋なゴブリンスレイヤー」が好きなんだけどな。

これなら、「ゴブリンスレイヤーの日常、(鎧)ポロリもあるよ!」の方が、まだ観たかったかも(笑)
{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 24

74.8 4 ファンタジーで戦闘なアニメランキング4位
空の境界 第三章 痛覚残留[ツウカクザンリュウ](アニメ映画)

2008年2月9日
★★★★★ 4.1 (735)
4263人が棚に入れました
1998年7月、複数の捻じ切られたような変死体が見つかるという、人間の仕業とは思えない猟奇殺人事件が発生する。そんな中、“伽藍の堂”の所長である蒼崎橙子に一件の依頼が飛び込んできた。依頼内容は事件の犯人の保護、あるいは殺害。犯人の名前は浅上藤乃。殺された被害者たちに陵辱されていた少女だった。式は藤乃の暴走を止めるために行動を始める。

声優・キャラクター
坂本真綾、鈴村健一、本田貴子、藤村歩、能登麻美子
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

自身と似て非なる能力者に式は何を思うのか

「空の境界」は奈須きのこによる、同人誌に掲載された長編伝奇小説である。全7章で構成され、本作は第三章「痛覚残留」が映像化された。「そらのきょうかい」でも「くうのきょうかい」でもなく、「からのきょうかい」なのでお間違えの無い様に。
略称は「らっきょ」。

「空の境界」は奈須きのこの小説だが、奈須きのこと武内崇の所属する同人サークル(現在は有限会社Noteのブランド)「TYPE MOON」の作品に「月姫」、「Fateシリーズ」などがあり、「空の境界」と世界観を共有している。奈須氏によると「微妙にズレた平行世界」とのこと。


劇場版「空の境界」は圧倒的な映像美、迫力満点の戦闘シーンと、難解且つ素晴らしい世界観を、原作小説を忠実に再現し映像化したufotableの力作である。
本作のメインテーマは「境界」である。相反する二つのものに関するメッセージが緻密に組み込まれている。
その各々に対する矛盾もまたテーマの一つだ。
奈須氏の命の重さ、禁忌を主題とした本作の完成度には脱帽するばかりである。
「生」と「死」、「殺人」と「殺戮」などについて考察するわけだが、テーマがこれであるから必然的にグロテスクな描写がある(しかも美しかったり)。
また、難解な言葉(辞書的意味では用いない)や、時系列のシャッフルにより、物語の理解はやや困難である。
しかし、この時系列シャッフルこそが「ミステリ」における叙述トッリクとして作用しているのである。
決して時系列の通りに見てはいけない(2度目からはご自由に)他にも、原作にはなかった「色分け」が行われている点も魅力的だ。式の服の色や、月の色なども見てみると楽しい。
全7章に渡って展開される両義式と黒桐幹也の関係も素晴らしい。
設定はここで説明するとつまらないので、作品を視聴することをお勧めしたい(丸投げであるが(笑))
副題のThe Garden of sinnersは直訳すると「罪人の庭」と言う意味。sinには(宗教・道徳上の)罪という意味があり、guiltの(法律上の)罪とは区別される。
Theの次のGardenが大文字であることから、これはギリシアの人生の目的を心の平静(アタラクシア)に見出した精神快楽主義のエピクロス学派を意味する。よってThe Garden of sinnersは快楽主義に溺れた道徳的罪人という意訳が適切ではないか。



第三章の本作は「空の境界」の時系列で、全7章のうち3番目にあたる作品だ。本作の視聴で第一章での伏線を回収し、第二章のその後を展開する。本章に登場する浅上藤乃は、巫条霧絵や両儀式と同じ能力者であり、彼女も悩みを抱えて生きてきた。彼女の思いや、彼女と両儀式の接触により生じる式の心情の変化、式の信条について知ることが出来る。
第一章俯瞰風景の直前の話であるので、式と幹也の関係を一章と比較してみるのも良い。
本章は一章・二章と比較して話が理解し易く、初めての視聴でも面白く感じられると思う。
本章のメインは浅上藤乃である。彼女の変化に細心の注意を払って観て欲しい。
副題の ever cry never life は直訳すると「いつも叫ぶ、決して命でない」となるが、この場合、「いつも叫んでいる、一度も生きたことは無い」といった訳だろうか。

考察←観る前に見ない様に。
{netabare}

時系列:3/8
1998年7月
両儀式:18歳 職業:高校生(サボりがち)
黒桐幹也:18歳 職業:大学中退 伽藍の堂に勤務

原作との相違:小
原作との尺の比 155P:57min=1:0.53(1分当たり2.72P)
(一番原作との尺の長さの比が合致していると判断される2章の比を基準:1とする)
(原作の頁数は講談社文庫を用いる)


・「無痛症」について
「無痛症」という病気は実際は無く、「先天的無汗症」という病気が之に該当する。
痛み・熱さ・冷たさなどを始めとした触覚全般に関する感覚が存在せず、体温調節が非常に困難である。
「痛覚」の定義として皮膚・粘膜・骨膜・内臓などに生じる感覚とあり、痛覚が無いということは五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)の内、触覚が無いに等しい。
般若心経に「無眼耳鼻舌身意、無色声香味触法」という文言がある。即ち「目・耳・鼻・舌・体・心といった感覚器官は無く、其々の器官に対応する対象[色(=物体)・音・香り・味・触覚・観念]も無い」という意味で、般若心経中では、龍樹(ナーガールジュナ)により完成させられた「空」の思想の説明に用いられている。(般若経自体は龍樹以前から存在する)
注目したいのは、「体が無ければ触覚も無い」という表現である。之即ち「触覚が無ければ体を感じることが出来ない」ということである。
浅上藤乃の場合はデビック症という延髄炎の一種で、感覚の麻痺を起こす病気で、失明の虞さえある。
藤乃は加えて鎮痛剤の一種「インドメタシン」の大量投与により、痛覚を人工的に失った。
彼女は常に自身の体を感じることが出来ず、虚ろな日々を過ごしていた。これは痛覚が「生の実感」を得るのに必要不可欠な要素であり、五感中で最高に重要な感覚であることを証明している。彼女は国語の読解力に欠け、他人の気持ちを「理解」することは出来ても、「実感」することが出来なかった。これも痛覚が無い為である。


・「殺人」と「殺戮」について
「殺人」とは、相手に抱く感情が、自己の容量を超えてしまったとき、それが極端になるとき人を殺してしまうこと。人が互いの尊厳と過去を秤にかけて、どちらかを消去した場合のみ、それは殺人となる。人を殺したという意味も罪も背負う。そして、人を殺すということは自分自身も殺すということである。
また、殺人は殺す側が「人」として相手を殺すことが必要で、死体が肉塊であったり、消し去られてしまったりする場合は、人としての尊厳が無く、「殺人」とは呼べない。
「殺戮」とは、殺された側は人だが、殺した方は人としての尊厳も意味もない。後の意味も罪も無い。自然災害に例えられる。殺戮は殺す相手を特定せず、殺される意味を持たない。
すなわち大義名分の無い殺人と言える。式は彼女の置かれた境遇から人一倍「殺人」に対する意識が強く、殺戮を酷く嫌う。藤乃の五人目以降の殺人は「殺戮」と定義されている。


・「浅上藤乃」について
{netabare}浅上藤乃の起源は「虚無」。荒耶宗蓮は両儀式と相反する能力者をつくる為、彼女の痛覚を復活させ、「死に接触して快楽する存在不適合者」にさせたのだ。
浅神家は混血の大敵である四家系「浅神」「巫浄」「両儀」「七夜」の一つであり、
浅上藤乃は浅神家の没落から母と共に浅上家に引き取られた。
彼女は、両儀式、巫条霧絵と同様に起源に「虚無」を持ち、特別な家系故に、特別な力を発現した。視界内の任意の場所に螺旋を作り、対象の強度に関係なく曲げる(捻る)能力、その名も「歪曲」(要するにサイコキネシス)。
浅神家は両儀家と異なり能力者の発現を忌み嫌う。浅上藤乃は幼少期に能力を発現し、能力の元である「歪曲の魔眼」を封じる為、父親によって強制的に感覚を奪われ、人為的に感覚を喪失してしまう(人工的無痛症)。
彼女は幼い頃「痛覚」を持っており、薬物の過剰投与によって「無痛症」になってしまった。
『第二章殺人考察(前)の考察「式と織」について』で述べた見解として、式は「抑圧」の感情を、織は「解放」の感情を受け持つと記述したが、浅上藤乃の場合は、
「抑圧」の感情により傷を耐え忍び、「解放」することを恐れた。
中学時代に幹也に「傷は耐えるものじゃない。痛みは訴えるものなんだよ」と言われていたが、これを実行出来ていたら、彼女はここまで苦しまずに済んだだろう。能力を取り戻した彼女は「痛み」(ストレス)の「解放」の手段として能力を発動し、他人の痛みを自身の痛みの代償とした。
腹部の虫垂炎が原因で「痛み」が止まず、痛みの発散の為に殺人を繰り替えす。
後に他人を殺すことに快楽を覚え、必要以上の能力の発動を行い、殺戮を始める。精神的苦痛から自身を陵辱した不良に対する復讐を行っていたが、いつの間にか無関係な他人を殺害するようになった。式は彼女が無関係な殺害を始めた時点で、彼女の殺害を決意した。
式に「おまえは血の味を知ったケダモノだ。人殺しを愉しんでいる」と指摘され、
「それは貴女でしょう。わたしは、愉しんでなんか、いない」という言葉は、痛みで思考が麻痺しながらも「まとも」でない自分を認めたくないという心情の表れである。

「太極図」で式が一つの肉体に二つの人格を持つ二重存在者なのに対し、彼女は万物の移り変わりを現す螺旋の方向性を視認出来る存在不適合者である。
荒耶宗蓮による恢復によって、バットで殴られた際の脊髄の炎症は治療され、不定期に痛覚が復活するようになった。
幼少期に封印されていた能力が復活したことに依り、その能力の威力は凄まじく、式を凌駕するものだった。更に後には透視能力(千里眼)をも発動出来るようになった。
彼女も巫条霧絵と同様に荒耶宗蓮の「根源の渦」、『 』への到達という最終目標の為に両儀式と接触する駒となった。
一章では述べなかったが、この似て非なる式・霧絵・藤乃の三者の共通点として、
「虚無」を起源とし、「根源の渦」、『 』への到達の鍵であること。三者とも「生」の実感が得られず、「今」を生きることに全力を注ぎ、快楽への傾倒が何時起きても可笑しくない不安定な存在であること。黒桐幹也という存在に、三者とも一種の憧れを抱いており、自分を受け入れてくれる唯一無二の存在として、彼を欲していることなどが挙げられる。この点に関しては五章矛盾螺旋や終章空の境界で改めて記述する。{/netabare}


・ほんの少し――ほんの少しだけ、おまえよりの殺人衝動――」について
{netabare}第六章「黒桐幹也」についてで述べるが、彼は「どこまでも普通で、誰よりも人を傷つけない」という起源を持っている。中立かつ博愛である彼は誰かを特別視することが出来ない。自分の親類と赤の他人とを同等に扱わなければならない。式が幹也に人殺しについての一般論を期待した(というか幹也には一般論しか言えないのを分かっていた為、自分を否定して欲しかったのである。)のは、この起源に起因する彼の性格によるものである。
社会的に罪を背負うことがなくとも、自責の念だけは残り、それは償うことの出来ない罪の意識として、当人を苦しめることになる。式が罪の意識は常識によるものだから、常識のない自分を野放しにしてよいのかと幹也に問うたとき、彼は「式の罪は、僕が代わりに背負ってやるよ」と回答した。
式の「かわりに一つだけ分かった。自分の生き方、自分が欲しいものが。とてもあやふやで危なっかしい物だけど、今はそれにすがっていくしかない。そのすがっていくものが、自分が思っているほど酷いものじゃなかったんだ。それが少しだけ嬉しい」という台詞は、式が生の実感を得る上で必要不可欠な殺人衝動が、浅上藤乃との戦闘で式の殺人衝動が思ったほど酷くなく、浅上藤乃を許せるものであったことから、一般論を期待していたけれど、人間味のあることを言ってくれた幹也に向けて、幹也の期待に応えられる殺人衝動という意味で言ったものである。式は織の消滅によって空いた伽藍洞の心を幹也で埋めることを決意し、織の幹也と幸せに生きるという夢を叶えるため、幹也と共に生きることを決意し、自分の生の実感を得る手段としての殺人衝動を幹也に認めてもらえるようなものにすることを決意した。因みにこの会話は第三章の最重要場面である。ここでの約束が七章で果たされることになる。
{/netabare}
・「傷跡」について
浅上藤乃をイメージして奈須きのこ監修の下、梶浦由記によって作詞・作曲された。中学時代に浅上藤乃は黒桐幹也と出会い、今回再び助けられた。
「ねえ、生きていると分かるほど抱きしめて」という歌詞や他の歌詞から、彼女の「生の実感」への渇望と、憧れの混じった恋について上手く纏められている。



・「痛覚残留」という作品について
幼い頃に「歪曲」という能力を発現し、封印されてしまった浅上藤乃。彼女は能力の封印の代償として「痛覚」を失ってしまう。痛覚を失うことで外部からの刺激・自らの身体の感覚を失い、「生の実感」をも失ってしまう。彼女は痛みを知らず、感情の抑揚も乏しく、鮮花に「誰にも憎まれない娘」と評されるほど温和で穏やかな性格となった。
無痛症の為、自身の身体の異常が検地出来ず、外出に厳しい礼園女学院生ながら、主治医に定期的に診て貰う為に外出をしていたところを不良に絡まれ、半年間に亙って性的暴行を受けたが、感覚が無く、感情に乏しい為ほとんど抵抗はしなかった。
しかし、金属バットで背中を強打されたことで脊髄に損傷を受け、不定期に感覚を取り戻すようになる。ある日感覚を取り戻している時間に不良のリーダーに腹部を刺され、自己を防衛する為に「歪曲」により湊啓太以外の4名を殺害してしまう。
実際には腹部を刺されるよりも能力の発動の方が早く、彼女は刺されていなかった。
彼女は腹部に虫垂炎(後に腹膜炎)を患い、その痛みは腹部の傷として彼女に認識される。
彼女は陵辱されたという精神的苦痛から、不良への復讐を行い、湊啓太を捜索する。他人の痛む様子を見ることで「生の実感」を得ることを覚え、他人の痛みで自身の痛みを補完しようとした。しかし、手段と目的が入れ替わり、殺人に快楽を覚えるようになり、殺すことで「生の実感」を得る為、殺戮を始めた。痛むが為に人を傷つけるのではなく、人を傷つける為に痛む傷。傷は人を殺す理由の為に永遠に消えない。
式は能力を発現している時の彼女を酷く嫌い、之を殺すことで排除しようとした。藤乃の能力「歪曲」により左腕を失うが、「直死の魔眼」の力により、「歪曲」の描く螺旋を殺すことに成功し、藤乃に勝った。
しかし、彼女が無痛症に戻ってしまったので式は殺害を止め、彼女に巣食う盲腸を殺すことで幕を閉じた。


・名言(原作より抜粋)

藤乃「――はい。とても・・・・・・とても痛いです。わたし、泣いてしまいそうで――泣いて、いいですか」

藤乃(お腹が痛い。見えない手に、私の中身が鷲摑みにされる不快感が。吐き気がする――いつもはそんなものはしない。めまいがする。――いつもは唐突に意識が落ちる。腕がしびれる。――いつもは目で見て確認する。 とても、痛い。――ああ、生きている。)

藤乃「・・・凶れ」

橙子「黒桐は間に合わなかったか。さて。嵐が来るのが先か、嵐が起こるのが先か。式ひとりでは返り討ちにあうかもしれないぞ。両儀」

幹也「馬鹿だな、君は。いいかい、傷は耐えるものじゃない。痛みは訴えるものなんだよ、藤乃ちゃん」

式「万物には全て綻びがある。人間は言うにおよばず、大気にも意志にも、時間にだってだ。始まりがあるのなら終わりがあるもの当然。オレの目はね、モノの死が視えるんだ。おまえと同じ特別製でさ。だから――生きているのなら、神様だって殺してみせる」

藤乃(やっと手に入れた痛覚なのに、今はこんなにも憎い。でも――ほんとうだ。痛いから――とても痛いから、死にたくないと渇望する。このまま消えるのはイヤ。もっと、生きて何かをしなくちゃいけないんだ。)

藤乃(もっと生きて、いたい。もっと話して、いたい。もっと思って、いたい。 もっと ここに いたい。)

式「痛かったら、痛いっていえばよかったんだ、おまえは」

幹也「・・・罰っていうのは、その人が勝手に背負うものなんだと思うんだ。その人が犯した罪に応じて、その人の価値観が自らに負わせる重荷。それが罰だ。
良識があればあるほど自身にかける罰は重くなる。常識の中に生きれば生きるほど、その罰は重くなる。浅上藤乃の罰はね、彼女が幸福に生きれば生きるほど重くて辛いものになる」

幹也「そっか。じゃあ仕方ない。式の罰は、僕が代わりに背負ってやるよ」

式「もうひとつ白状するとさ。・・・・・・オレも、今回ので罪を背負ったと思う。けど、かわりに一つだけ分かった。自分の生き方、自分が欲しいものが。とてもあやふやで危なっかしい物だけど、今はそれにすがっていくしかない。そのすがっていくものが、自分が思っているほど酷いものじゃなかったんだ。それが少しだけ嬉しい。ほんの少し――ほんの少しだけ、おまえよりの殺人衝動――」
{/netabare}

感想

本作は一章,二章と比較して分かり易い作品で、世界観がだんだんと理解出来てきた中で、式と似た境遇の人間・浅上藤乃と式を絡ませ、両者の違いや、式の信条などを視聴者に刻銘に印象付けさせ、五章矛盾螺旋への繋ぎとしての役割が十分に果たせている。
一章に比肩する式の戦闘シーンや空の境界随一のグロテスクな描写の多さが特徴的だった。
本章は幹也から式への想いの表現が多かったが、式から幹也への想いの表現が少なく、式が何を想っているのか想像することが出来た。もしかしたら藤乃の幹也への想いに嫉妬していたのかもしれない。
「努力してみる」などツンデレ気味の発言も含まれている。
ほんの少し――ほんの少しだけ、おまえよりの殺人衝動――」と言った式の覚醒後初めての笑顔は大変可愛い。
{netabare}
「凶れ(まがれ)」という言葉が式に向けて何度も発せられたが、あれは殺戮が彼女に「生の実感」を与える唯一の痛みへと変貌してしまったことを示しているのと同時に、自分の存在を否定するものの排除という「殺人考察(前)」における式に似た心情であると考える。
藤乃は可哀想な人生を歩んできたが、その中での幹也への恋と、「普通でありたい」と思う心が彼女の心の糧となったと思う。最期に式によって殺されなかったことは、彼女にとっても、式にとっても良いことだった。無痛症は治らないだろうが、盲腸が治って良かった。
最初と最後に出てきた「とても・・・とても痛いです。わたし泣いてしまいそうで――泣いて、いいですか」という言葉が藤乃の本音だろう。
最後に痛覚がある状態で盲腸の痛みを実感し、「痛い」から「死にたくない」と「渇望」する。という強い思いが湧き出てきた。
もっと生きて、いたい。
もっと話して、いたい。
もっと思って、いたい。
もっと ここに いたい。
という「痛い」=「居たい」という強い意志が「痛覚」があることで具現した。
同時に自分が愉しんでいたモノの正体に対する痛み、自分が犯した罪、自分が流した血の意味を「実感」した。
藤乃「痛みは耐えるものじゃなくて。誰かに愛してと訴えるものなんだって、あのひとは教えてくれたんだ」
とあり、「痛み」の正体を知るに至った。
式が言った「痛かったら、痛いっていえばよかったんだ、おまえは」という言葉のとおり、もっとはやく「痛い」と言えていればと思う。
{/netabare}

この三章は、一章,二章を視聴した上で「両儀式」という人物について考えさせる作品だった。
浅上藤乃という式に似た殺人鬼の登場。彼女も特別な家系の生まれで、それ故に不幸な人生を歩んでしまう。本章は藤乃への同情を誘うとともに、式の心の揺らぎが見られる。
一章と二章を繋ぐ三章。そして二章と三章を繋ぐ四章へと話は進んでゆく。

本作は考察のし甲斐があり、非常に面白い。また現代人への処方箋のような役割を果たし、私達にカタルシスを与える。

私は全章視聴後原作を購読したが、読み応えがあって大変面白い。アニメを観た人は補足の為にも、お勧めしたい。
未視聴の方は、是非挑戦していただきたい作品である。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 48
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

痛みと無痛 生きている実感の境界線

1998年7月、この第3章は時系列でも3番目のエピソード。
鑑識官に「人間の仕業とは思えない」と言わせるほどの猟奇殺人事件が次々発生。
しかも被害者は複数の若い男性ばかり。
第3章でのゲスト的な主人公は浅上藤乃。
このページの「あらすじ」欄に犯人の名前まで書かれているが
彼女が数人の男性に取り囲まれ陵辱されているシーンからスタートするため
猟奇殺人事件の犯人が誰かすぐに見当はつくし、これは犯人探しの話ではない。

黒桐 幹也も働いている人形工房「伽藍の堂」の所長である蒼崎橙子(あおざき とうこ)に
「事件の犯人・浅上藤乃の保護、あるいは殺害」という依頼が舞い込み
藤乃の暴走を止めるため、両儀式が活躍する・・というのがこの第3章の内容。

痛みを感じない無痛症である藤乃が初めて感じた、生きている実感というものに
おそらく自分と似たものと反発を感じた式の気持ち。
相変わらずのお人良しぶりで優しい幹也が偶然出会った藤乃の人間像。
痛々しくてとても悲しい話ではあるのだけれど、
藤乃が感じていた痛みの本当の原因がわかったとき、あぁなるほどなと。
外部から受ける痛みと内部からの痛みは、同じ痛みでも違いがあって
それは外部から受ける傷と内面で傷つくのとの違いにも似ている。
傷というものは大抵痛みを与えるものなわけだけれど、
同時に、その痛みを知ることで生きている実感が持てるし、
人間らしさを保てるというもの。
果てはそれが生きていく理由にも繋がるのだよね。

しかし藤乃の場合・・・
{netabare}
自分が痛みを覚えた時に殺戮を繰り返しているので
生きている自分の実感と相手の痛みとの相互関係に少々疑問が残る。
彼女を陵辱した青年たちへの復讐心だけだったら納得がいくものの
それだけに留まらなかったということは、殺人による快楽をも覚えてしまったことになり
だからこそ式はそんな彼女を許せなかったのだろう。
というわけで、式の持つポリシーのようなものも感じ取れた。
{/netabare}

それだけでなく、これまで幹也からの式への想いはかなり伝わったものの
式から幹也に対しての想いはあまりハッキリ描かれていなかったので
この3章での幹也に好意を抱く藤乃の存在が、
式の嫌悪感を増幅していたようにも感じることができたのは良かった。
第1章で、式の腕があんなだった理由もわかるしね。
とにかく今回は藤乃がやたら強くて、バトルシーンも見応えがあり
「痛覚残留」というタイトルの文字通り、観ているこちらも痛覚を刺激される映像が多く
全体的に悲しみに彩られたストーリー同様、音楽のほうも雰囲気があって
単体で観てもわかりやすくまとまった回だったと思う。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 41
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

強制された抑圧と、境界を越えた解放

原作未読。
全8章からなる物語の3章目。約60分。

「空の境界」全章に共通する項目は、第1章のレビューをご覧ください。
→ http://www.anikore.jp/review/450724/

1章より前、2章より後の話。
ストーリーは比較的独立しており、この話だけ観てもわかりやすい構成になっています。

この回では少し笑いの要素が入ってきます。
また、黒桐幹也の妹、黒桐鮮花の出番があります。
彼女は清涼剤みたいな存在で、話に柔らかみをもたせてくれています。

ただし、残虐性にも拍車がかかっています。
人間の負の面を強く表現している印象です。
残酷な話と軽いテンポの会話、その組み合わせで、他の章との重みのバランスを取っているのでしょう。

映像面の見所は、嵐の中での戦い。
水を切るように動く表現は、実にスタイリッシュです。

EDテーマは「傷跡」。


【3章「痛覚残留」の考察】
{netabare}
過去に、黒桐幹也と浅神藤乃は出会っています。

幹也「いいかい?傷は耐えるものじゃない。痛みは訴えるものなんだよ」

これは、私たちの日常生活にも繋がってくる発言です。
「抑圧」=「傷を耐える」という行為は、周りに危害を加えないと同時に、自分の中にストレスどんどんため込んでしまいます。
そして、たまりにたまったストレスは、ふとしたきっかけで爆発してしまう。
それを防ぐためには、ストレスを定期的に「解放」=「痛みを訴えることを」してやらなければならない。

浅神藤乃は、精神的にはごく普通の人間です。
しかし、痛みを訴える方法が「能力の発動」という特殊なケースだったため、「人工的に感覚を抑える」という方法で、強制的に抑圧され続けてきたわけです。


そして、金属バット殴られた衝撃で、一時的に復活した痛み。
むりやりイスに縛り付けられ、勉強させられ続けてきた人のロープが、ふいにほどけたと考えると分かりやすいと思います。

自分のやりたいようにできない、つまり「生」を実感できない「空っぽの」状態から解放される。
やっとストレスの発散が可能になりました。
ただし藤乃は、痛みを感じている間はストレスの解放が終わっていない、つまり、痛みを訴え続けなければならないと解釈しています。
だから、殺しに対して「私は楽しんでなんかいません!」と藤乃は言ったんでしょう。

しかし、抑圧が解放されることに、徐々に喜びを覚え始めた藤乃。
必要最小限の解放ではなく、必要以上の解放へと、その「境界」をまたいでしまった。
それが、「殺人」という行為を超え、無関係な人々を巻き込む「殺戮」へと移行し、式の怒りを買ってしまうことになったわけですね。

しかも、実際はナイフで刺された痛みではなく、もともと持っていた病気による痛みだった。
そのため、永遠にストレスの発散が終わることがないわけです。

さんざんたまっていた「ストレス」が一気に解放されたわけですから、藤乃はあれだけの力を発揮しました。
そして同時に、余命いくばくもない藤乃。

この状況を打開する方法が、式にしかできない「病気を殺す」という行為だったのでしょう。

この浅神藤乃が、2章のラストで語られた「死に接触して快楽する存在不適合者」に相当します。


【全て見終わった人へ】
{netabare}
4章で分かりますが、痛覚が戻ったのは、バットで殴られたのがきっかけではないんですね。
荒耶宗蓮の仕業だった。


7章でも触れられていますが、

殺人=相手に抱く感情が、自己の容量を超えてしまったとき、それが極端になるとき人を殺す。人が互いの尊厳と過去を秤にかけて、どちらかを消去した場合のみ、それは殺人となる。人を殺したという意味も罪も背負う。そして、人を殺すということは自分自身も殺すということ。
殺戮=殺された側は人だが、殺した方は人としての尊厳も意味もない。自然災害に例えられる。

と区別されています。
この違いを強調しているため、藤乃に危害を及ぼした人以外への殺害行為を「殺戮」と呼んで、式は嫌っていたわけですね。


なお、劇中で橙子が式に渡したカードキーの名義は「荒耶宗蓮」となっています。
橙子「名義は古い知人のものを拝借したがね」
ここで、初めて名前が出てきています。

また、カードキーの色は、蒼、橙、ピンクの3色。
「式、織、両儀式」の着ている3種類の着物の色と被ります。
また、
橙子「式一人では返り討ちに遭うかもしれんぞ、両儀」
すでに橙子は、式の2種類の人格に加え、3つ目の人格に気付いていたんですね。

{/netabare}

{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 34

57.8 5 ファンタジーで戦闘なアニメランキング5位
ドラゴンクエスト ユア・ストーリー(アニメ映画)

2019年8月2日
★★★☆☆ 2.9 (81)
133人が棚に入れました
少年リュカは父パパスと旅を続けていた。その目的は、ゲマ率いる魔物たちに連れ去られた母を取り戻すこと。 旅の道中、遂にゲマと遭遇し、魔物たちと激しい戦いを繰り広げるパパス。 しかし一瞬のスキをつかれ、リュカが人質にとられてしまい、手出しができなくなったパパスは、リュカの目の前で無念の死を遂げる―― それから10年。故郷に戻ったリュカは「天空のつるぎと勇者を探し出せば、母を救うことができる」というパパスの日記を発見する。 父の遺志を受け継ぎ、リュカは再び冒険の旅にでることに。 立ちはだかるいくつもの試練、そしてビアンカとフローラ、2人の女性をめぐる究極の選択。果たして冒険の先に待ち受けるものとは!?

声優・キャラクター
佐藤健、有村架純、波瑠、坂口健太郎、山田孝之、ケンドーコバヤシ、安田顕、古田新太、松尾スズキ、山寺宏一
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

親から子へ、そして孫へと受け継がれる使命

この物語の原作は、エニックス社が1992年に発売した『ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁』のゲームです。
そしてドラゴン・クエストⅤは、ゲーム要素だけでなく、壮大な物語でもあります。
それは、親から子へ、そして孫へと使命が受け継がれる感動作でした。

物語は、主人公のリュカが五歳のときから始まります。
リュカは父親と共に、世界中を旅しています。
旅の目的も、その先に何があるのかも、リュカは知りません。
だが、大きな運命の渦に巻き込まれ、リュカは想像を絶する日々を体験します。
{netabare}
以下はドラゴンクエストⅤについてですので、映画ではカットされている箇所や変更されている箇所もあります。
古い記憶なので間違いもあるかもしれません。

父親が亡くなり10年経って、初めてリュカは父親の旅の目的を知ります。
母親のマーサは、リュカが生まれて間もなく、魔界に連れ去られたのでした。
魔界からマーサを救い出すことができる唯一の人物『天空の勇者』を探し出す。それが父パパスの旅の目的でした。

父の遺志を受け継ぎ、リュカもまた世界中を旅します。
長く、辛い日が続きます。

やがて彼は旅の途中で結婚し、子供ができます。
子供が10歳になったとき、リュカはついに天空の勇者を見つけるのです。

そのとき、リュカはきっと次のように感じたことでしょう。
「どうりで父親のパパスが世界中を旅しても、見つけられなかったはずだ…
 だって、そのときは、天空の勇者はまだ生まれていなかったのだから…
 その天空の勇者が、こんなにも身近な存在として現れるなんて…、夢のようだ」と…

そして、マーサを救い出す新たな旅が始まるのです。


また、心にジーンときた箇所を、いくつか以下に書き記します。好きなところだけ読んでください。

パパスと天空の剣: {netabare}
天空の勇者だけが使用できる『天空の剣』をパパスが見つけたとき、
「なんで私には、この剣が使えないのだ…」と、パパスは悔しがり、嘆きました。

きっとパパスは、天空の剣を使い、今すぐにでもマーサを救いに行きたかったのでしょう。
そのときのパパスの悔しさが、心に沁みました。
{/netabare}


ルドマン家の宿命: {netabare}
サラボナに住む大富豪ルドマンは、実は先祖代々から受け継がれた使命を持っていました。
150年前の先祖ルドルフは怪物ブオーンを封印しました。しかし、その封印は150年ほどしか持ちません。
封印が破られたら、もう一度ブオーンと戦い、封印する必要があります。それは命がけの使命でした。

先祖ルドルフから、まだ見ぬ150年後の子孫ルドマンへ宛てた手紙が、とても辛い内容でした。
ルドマン家が娘フローラの結婚相手を募集した真の目的も、実はブオーンと戦える勇者を見つけるためだったのです。
そう考えると、ルドマンもフローラも、辛い宿命を背負っていたのです。
{/netabare}


ルドマンとフローラ: {netabare}
リュカがビアンカと結婚する際、ルドマンとフローラは、結婚式の準備を全て行い、結婚費用全てをルドマン家で支払いました。
本来はフローラのための結婚式だったのですが、リュカとビアンカのために懸命に準備したのです。

二人は凄く心が大きく、清らかでした。
そして、結婚式の翌朝、リュカとビアンカたちが旅立った後、
ルドマンがフローラに、「もう泣いても良いんだよ」と言うと
フローラはルドマンの胸に顔を埋めて号泣します。
実はフローラは、リュカが大好きで結婚したかったのです。彼女はとても立派な女性でした。
{/netabare}


サラボナの町の人のうわさ: {netabare}
サラボナの町の人たちは、ルドマン家を尊敬していました。
でも、ルドマンが娘フローラのために準備した結婚式を、見ず知らずの旅人リュカとビアンカのために行ったことを知ると、
ルドマンのことを「お人好しの馬鹿」のように軽蔑します。その軽蔑の期間は11年ほど続きます。
でも、11年後に、サラボナの町に災いをもたらしていたブォーンをリュカ達がやっつけると、
町の人たちは、ルドマンのことを「先を見通した凄い人」だと、再び尊敬します。

人の噂というのは、いつも無責任であてにならないものです。自分をしっかりもつこと。それが大事だと思います。
{/netabare}


過去へ帰った際のできごと: {netabare}
リュカはゴールドオーブを取り戻すために過去へと旅します。
旅立つ前に妖精の女王は、「過去に行くのはとても辛いことですが、それでも行くのですか?」とリュカに念押しします。
リュカには大切な目的があったので、「行きます」と元気よく答えるのですが…
でも、リュカが旅立った過去は、父親パパスが亡くなる数日前でした。

リュカは幼い頃の自分に会い、「どんな辛いことがあっても頑張るんだよ」と言い、さらに「お父さんを大切にするんだよ」と告げます。

このときの言葉には、リュカの悲痛な叫びがこもっていました。
そして、リュカが過去から現在へ戻る際、パパスの死ぬ瞬間をもう一度見ることになります。見たくもないものを見せられるのです。
そして現在へ戻ってきたリュカは、大粒の涙を流し、床にうずくまります。声にならない叫び声をあげます。
妖精の女王は、そんなリュカの悲しみを察し、しばらくリュカには誰にも会わせないようにしました。

このときのリュカの気持ちは想像を絶する辛さ、悲しみがありました。思わず私も涙を流してしまいました。
{/netabare}


カボチ村での出来事: {netabare}
カボチ村では、怪物が毎晩現れるため、村人は恐れていました。
怪物は農作物を食べ荒らしはしますが、決して人を襲いません。
それどころか、怪物を見て恐怖のあまり足をもうつれさせ怪我した村人を、怪物は背中に乗せ村まで運んだりしました。
でも、村人は怪物を退治することを決め、お金を出し合い、リュカに怪物退治を依頼します。

リュカが怪物に出会うと、それはリュカが昔飼っていたキラーパンサーでした。
キラーパンサーはリュカを思い出し、リュカと行動を共にします。
それを知った村人は、リュカが自分が飼っている怪物で村からお金をだまし取ったと誤解します。
そしてその誤解は最後まで解けずに、リュカ達は村から追い出されます。

人というのは自分勝手な都合で人に責任を押し付ける無責任な生き物です。
そうならないように日々謙虚に生きることが大切だと思いました。
{/netabare}


ポートセルミで聞いた天空の勇者の正体: {netabare}
港町ポートセルミで、「天空の勇者を見た」という人にリュカは出会います。
でも、その人の話をよく聞くと、その人が天空の勇者だと勘違いしていた人は、リュカの父親パパスでした。
その人は、「あんなに強くて立派な人は世界中探しても他にいない。名前はパパスといっていたな」と、盛んに語ります。

リュカは、天空の勇者の話ではなかったけど、その話を聞いて嬉しくなりました。
だって、見ず知らずの人が、リュカの大好きな父親のことを盛んに褒めているのですから。

この話を聞いたとき、私も思わず頬笑みました。
{/netabare}
{/netabare}

私は昔、このゲームをしたときに、物語の素晴らしさに感動しました。
そして原作の小説を読み、涙を流しました。
原作は、NHKの大河ドラマと比較しても遜色ないほどの素晴らしい内容です。

ドラゴンクエストⅤのゲームをされたことがない方は、映画を見る前に少しでもやっておくことをお勧めします。
映画は約100分ほどしかありません。そして主人公が子供の頃の話は、大幅にカットされています。
だからゲームをしたことが無い方は、物語について行けないかもしれませんし、ゲーム経験者の方が大いに感動するシーンも、あまり感動できないかもしれません。

壮大な物語を語るには、あまりにも短い時間でした。
でも私は、この映画が大好きです。

この映画は、ラストが原作と異なっています。
このラストに関しては、賛否両論がありますが、このラストがあるからこそ、ユア・ストーリー なのでしょう。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 30
ネタバレ

雀犬 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

おもいでブレイカー があらわれた!

→たたく
 にげる
 ぼうぎょ
 どうぐ


 「Filmarksで2点台の爆死映画を今更叩いてどうするんだよ」と言われそうだけど、まぁ観てしまった以上感想を残しておきましょう。この映画は評判がめちゃくちゃ悪くて、一緒に観た2人もボロクソに貶していたし、他の知り合いに感想を聞いても「すげーがっかりした」てな感じで、褒める人が1人もいないという有様でした。かなりやばい。

 大人気RPGゲーム「ドラゴンクエスト5」の映画化作品。この映画がなぜここまで叩かれたのか、お話するには映画後半の重度のネタバレをしなくてはいけません。でも公開されてから随分立ちましたので、もうバラしても良いかなと思います。

{netabare}
 ゲームの内容はご存知の方も多いかと思いますが、軽く説明しておきます。「ドラゴンクエスト5」は主人公は父とともに冒険する幼少期からゲームが始まり、卑劣な敵ゲマの計略によって父親を亡くし奴隷として過酷な日々を送ります。そこから脱出、そして結婚、やがて生まれる子供とともに父親の敵討ちを果たし、果てには世界を救うという、一人の英雄を人生を疑似体験できるという当時としては画期的なRPGゲームだったわけです。

 ゲーム上、結婚相手はプレイヤーが選択することができます。幼馴染のビアンカか、大富豪の娘フローラか。フローラを選んだ方が冒険は楽になるのですが、幼少期はビアンカと一緒にイベントをこなすこともあってビアンカを選ぶ人が多数派のようです。私はフローラ派なのですが、それを告白するとビアンカ派からはいつもゴミを見るような目で見られます。

 それはさておき、もちろん映画でも結婚相手を選ぶシーンがあります。結婚までのイベントが高速で進むのは、2時間の映画であれば観る前からある程度覚悟はしているので、違和感を感じながらも鑑賞に耐える内容かと思います。問題は後半です。突然ボスキャラがネタバレを語り始める。今まで観てきたシーンは現実ではサラリーマンの青年がVRでゲーム体験プレイして懐かしんでいる脳内映像なんだよ、こんなゲームにマジになってどうすんの?いい加減大人になれよwwww 大草原。的な説教を始める。はぁ?何これ。

 要は夢オチというやつで、結局「ゲームは素晴らしいもうひとつの現実だ!」と主人公(=勇者=サラリーマン)の逆切れパワーでボスが消滅して終わり。めでたしめでたし。観客はブチギレたままだから全然めでたくないのだけど。

 山崎監督はドラクエ5をプレイしたことがないのに映画を制作したらしい。なめとんのか。でもまぁそうだろうなと思う。ここまで不快指数の高い映画はなかなかない。何が不愉快なのか。それは「子供の頃ファミコンでゲームをしていた世代の人たちは、当時友達が少なくて、一人でゲームをしていた寂しい思い出しかなくて、恋愛やらスポーツやらでリア充していた人たちに比べて劣等感を抱いているんだろう」という偏見が丸出しだからです。上から目線で「よしよし、ゲームだって立派な思い出だよ」なんて同情されても、そんなの余計なお世話でしかありません。だいいちそんな認識は時代錯誤も甚だしい。

 takarockさんが本作に関して鋭い指摘をしていました。「今の時代、ゲームは卒業するものではない。それを勘違いしている」と。まさしくその通り。大人も普通にスマホでゲームをしているし、むしろゲームは子供との接点になる時代です。山崎監督の価値観は、幼女連続殺人事件(※)が起きてオタクが犯罪者予備軍扱いされたはるか昔の時代のまま止まっているのではないかと考えてしまう。そうでなければこんな映画は作りようがありません。

 平成になってから現実と虚構の価値が横並びになったなんて社会学の話は、映像作品を作る人間なら知っていてしかるべきでしょう。老害は勉強しないから老害になってしまうのでは。

 ドラクエ5の主人公は父親を目の前で殺され、奴隷として働かされ、結婚した後も愛する妻がモンスターに攫われる、自分は石にされてしまう、と逆境続きの超ハードな人生を送る。今から想えば僕たちはそんな逆境を跳ね返す主人公の生き方をカッコイイを思い、自分は偉大な男になれる、なんて世間を知らないが故の少年の全能感みたいなものを、ゲームの勇者に仮託していたように思うのです。

 でもドラゴンクエストユアストーリーの主人公は最初から最後まで俗物でした。モンスターには逃げ腰で恋愛も優柔不断。僕は何を見せられているんだろう。まぁそれは主人公が実際は冴えないサラリーマンという伏線で、結局これが作り手の「俺は子供の頃ゲームなんてしていなかったぞ自慢」だと気付いたあとは、居酒屋で連れとこの映画の悪口を1時間くらい話す羽目になりました。

 世間の評判も散々なんですけど、ドラゴンクエスト小説版の作者が「勝手に私の小説の主人公の名前(リュカ)を使うな!」とゴネたり、制作にかかわったピクチャーエレメントが破産したりと後味の悪い作品になってしまったのが残念ですね。

※1988年に関東で幼女が連続誘拐殺人される事件があり、逮捕後に犯人の部屋が公開される。ビデオテープが山積みになった異様な光景が話題になり、それからマスコミは徹底的なオタクバッシングをはじめる。アニメやマンガ、ゲームに夢中になっているオタクは現実と空想の区別がつかなくなった人間として猛烈に叩かることになった。このマスコミ主導のオタク差別は根が深く、いまだに続いている。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 27

takato さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

山崎貴という問題。元気と貴はもう勘弁!。

原作に愛がある人間が抱くなら問題ないが、愛もセンスもない人間が抱くからレイプになる。

ドラえもんCG番第二作は「のび太の新婚前夜」と「おばあちゃんの思い出」を足して2で割っただけという恐怖…。そして大爆死。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 15

71.6 6 ファンタジーで戦闘なアニメランキング6位
BURN THE WITCH(アニメ映画)

2020年10月1日
★★★★☆ 3.7 (128)
635人が棚に入れました
正解には表<フロント>があれば裏<リバース>がある。遥か昔からロンドンに於ける全死因の72%は、人々が見ることのできないドラゴンと呼ばれる“異形の存在"が関わっていた。だが、人知れずそのドラゴンと相対する人々がいた。ドラゴンの存在を見ることができるのは、フロント・ロンドンの“裏側"に拡がるリバース・ロンドンの住人だけ。その中でも、選ばれし人々がウィッチ<魔女>/ウィザード<魔法使い>となり、ドラゴンと直接接触する資格を持つ。主人公は、自然ドラゴン保護管理機関「ウイング・バインド」(通称WB)の保護官である新橋のえるとニニー・スパンコールの魔女コンビ。彼女たちの使命は、ドラゴンに接触できない人々に代わり、ロンドンに生息するドラゴンたちを保護・管理することだった。

声優・キャラクター
田野アサミ、山田唯菜、土屋神葉、平田広明、引坂理絵、麦人、小林親弘、田中美央、清水はる香

ひろたん さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

対照的な二人の女子高生の魔女がクールに、オシャレに、ポップにドラゴンとバトルするお話

この物語は、二人の女子高生が主人公で、しかも、魔女です。
この二人の性格は、とても対照的です。
「ニニー」は、喜怒哀楽がわかりやすく思ったことは態度に出す明朗快活な性格です。
「のえる」は、喜怒哀楽を見せないクールビューティで、ジト目が特徴的です。
観ると分かりますが、こう言うコンビって結構見るよねって感じがします。
それだけ王道のキャラ付けなのですが、そこには変わらない面白さがあります。


■オシャレ

この物語は、二人があーだこーだと言いながら、ドラゴンと戦います。
その時の姿は、学校の制服に赤のシェパードチェック柄のマントをまとっています。
また、小型の乗用ドラゴンにも乗っています。
そして、戦う武器は、なんと「笛」。
でも、その笛裁きとそこから繰り出される魔法がさっそうとしていてあざやかです。
キメるところは、とてもカッコイイです。
それでいて、ギャグも適度にポンポンはいってきます。
これらのバランスの良さが全体的にこの物語をオシャレに見せています。


■劇伴がとてもいい

魔法ファンタジー活劇映画のような感じです。
不安感を伴いながらもテンポ良く進み、時折重厚感がある感じです。
場面によっては、シンセを使ったリズミカルな曲も混ざります。
この物語は、現代のロンドンを舞台にしています。
でも、この劇伴のおかげで現代のゴチャゴチャを遠ざけた舞台を作り上げています。
それが、この作品がもともと持っているクールさにオシャレ感を足しています。


■物語がちゃんとしている

この物語、結構、伏線がありますし、最初から最後まで一本の筋が通っています。

この物語は、主人公の「 おとぎ話なんてクソでしょ」と言うセリフで始まります。
そして、「魔法は途中で解ける」と続けます。

途中のドタバタ劇で、最初のこのセリフを忘れかけてしまいます・・・。
しかし、終わってみると気付くのです。
それは、このセリフを回収するためだけにこの物語があったのだと言うことにです。

途中のステンドグラスの絵や、最後に出てきたドラゴンの名前。
それらは、あるおとぎ話がモチーフとなっています。
それを女性が他人に頼らず、自らの力で未来を切り開いていくと言う主題に昇華させ、
現代的なファンタジーで描いて見せたところは流石だなと思います。

しかも、この物語では、それをこうあるべきだと説教臭く語ることはありません。
さらっと描いて、気付いてくれたらそれでいい、そして、どう考えるかは自由、
そんなノリなんです。
こう言うのをクールって言うんだなと、あらためて気づかされました。


■まとめ

普通に面白かったです。
この「普通に面白い」とは、どう言うことを言うのでしょうか?
私は、あれこれ考えたりせず単純に観ているだけで面白いことを言うのだと思います。
しかし、その面白さの裏にある主題に気が付くと、
その描き方やセリフに対し、なんてクールなんだろうとシビれてきます。
つまり、二度おいしい作品になっています。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 19

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

今後の展開に期待したい作品

「BLEACH」でお馴染みの久保帯人先生原作。
本作は週刊少年ジャンプでも連載されていたので、一応、原作既読です。

60分と短編なので、一気見できるのも嬉しい。

60分と短編なのに、キャラがしっかり立っていて面白い。

そして、今後の展開に期待が出来る、謎を残したエンディング。

良いですね。
今後の展開に期待したい作品です。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 14

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

これからというところで

バーン・ザ・ウィッチ。
魔女を燃やす?
なんのこちゃですが、観たらなるほどです。

カテゴリーはファンタジーコメディーという所かな。
それに浮遊感のあるアクションもあったりして。
とにかく、要所要所にユーモアが散りばめられています。

舞台はロンドン。
表と裏がある設定です。
まあ、ほぼ裏のロンドンですが。

裏ロンドンでドラゴンの管理をする二人のウィッチが主人公です。
ニニーは快活明朗、切れやすい。
ノエルは冷徹利発、毒をはく。
仲がいいのか悪いのか。
信頼関係で結ばれた二人のスピーディーなやりとりが楽しいです。

このアニメの魅力は何と言って空中戦闘と爆発シーン。
それに攻撃アイテムが凝って、いちいちかっこいい。
へー、フーン、こりゃスゲー・・・となります。

とりあえず、伏線を撒いたところで終了。
全編描くなら2クールくらいで丁度よさそう。
続縁があれば是非観たいです。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 14

70.5 7 ファンタジーで戦闘なアニメランキング7位
センコロール2(アニメ映画)

2019年6月29日
★★★★☆ 3.8 (31)
222人が棚に入れました
ビルの屋上に突如、出現した謎の白い生き物と、その姿を気だるげに見つめる少年・テツ。彼は、その生き物に「センコ」という名前をつけ、自在に姿を変える能力を使って、ひそかに高校生活を送っていた。だがある日、テツはその秘密を、同じ学校に通う少女・ユキに知られてしまう。そのふたりの前に謎の少年・シュウが現れ、センコをめぐる戦いが勃発する……。その後、テツたちの前にもうひとり、メガネの謎の少女が現れる。彼女の名はカナメ。とある組織に所属するカナメは、センコとは別の謎の生き物を操り、脱走中のシュウの跡を追っている。カナメの登場により、テツとユキとセンコの戦いがまた始まる……。

声優・キャラクター
花澤香菜、下野紘、木村良平、森谷里美、高森奈津美、赤羽根健治
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

青空、白い風船

宇木敦哉監督作品、才能溢れる短編の続編。

突如、街に現れた白い巨大生物と、
それを操る少年少女たち。
感性豊かな想像力・表現力に圧倒され、
謎が謎を呼ぶ不思議な世界観が心地良い。

主人公、ヒロインに襲い掛かる災難に、
またそれを追う別の少年少女が現れる。
短いながらも物語の背景が語られ始め、
{netabare}日本特定動物対策管理研究所なる組織が、
ある時はドローン、凧と呼ばれる、
未知の不思議な生物を捕獲・調査している。{/netabare}
センコのもちもち感がたまりません。

背景や人物のペイントなど、
簡略化された表現もあるのですが、
色彩センスが素晴らしいので、
むしろ作品の個性に繋がっている。

世界とリンクすること、それは見えない繋がり。

非日常と繋がる不思議な青春物語が、
どこに着地し何を伝えてくれるのでしょう。
これは楽しい、アニメの良さがあります。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 26

四文字屋 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

厨ニ満開

センコロールと合わせて、劇場で鑑賞。

そこで感じたことは、
非常に贅沢で、かつ中途半端に「物語化」されたセカイ系作品、
というものだった。

これは、前作「センコロール」と合わせて
決して否定しているのではない。

セカイ系という作劇スタイル自体が、
すでにアニメの中の、ひとつの要素として、
取り込まれ、咀嚼され、充分に昇華(消化?)しているという事実への、
これは一種のひねくれた賞賛なのだ。

登場人物の数も、怪獣の数も倍化して、
社会とのつながりらしきものも
中二特有の衒学的ケレン味で描かれる。

バトルもコミュニケーションも、
スムーズに、
まるで絵空事のように綺麗に描かれる。
そして何がしかのドラマ的結論は、
少なくとも作中では明示されることはない。

評価・評点とは別に、
センコロール3への「ツリ」も含めて、
今の時代にもそんなカテゴライズが生きているとしたら、
これこそが、
「厨ニモノ」のあるべき姿だ、と強く納得できる。

次もきっとあるとして。
それは厨ニ万解となるのか、
厨ニ崩壊となるのか。

注意して見守りたい。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 13

ひろたん さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

70分が「あっ」と言う間。

ありふれた普通の街並み。
その一角にあるビルの屋上にそれはいた。
いろいろなものに姿形を自由に変えられる不思議な怪物である。
そして、その怪物を操る少年が「テツ」。
テツは、その怪物のことを「センコ」と呼ぶ。
そのテツとセンコの視線の先、少し離れたビルの屋上に突如謎の怪物が出現した。
それは、センコと同種のように見えるが、はるかに巨大であった。
しかし、この世界では、「また"怪獣"だよ」と普通の出来事らしい・・・。

すごい。
最初からこの不思議な世界観に引き込まれる。

その後、テツは、同じ学校に通う少女「ユキ」とひょんなことから知り合いになる。
テツは、不本意ながらもその少女と一緒に行動するはめになってしまった。
それは、その少女が秘めたある能力のせいだったのだ・・・。

王道のボーイ・ミーツ・ガール。
この後は謎が謎を呼ぶ展開が続き、「あっ」と言う間にエンディングを迎える。

この作品には、良いところがたくさんある。
もちろんこの唯一無二の世界観は言わずもがな。
話の展開もテンポよく進み飽きさせない。
キャラデザもとても好感がもてる。
特に花澤香菜さん演じるユキがいい。
不思議な怪物どうしの戦いは見もの。
そして、ryo(supercell)のビートの効いた音楽がそれを引き立てる。

この作品は、70分が「あっ」と言う間だった。
それだけ、面白い作品なのである。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 11

66.5 8 ファンタジーで戦闘なアニメランキング8位
ベイマックス(アニメ映画)

2014年12月20日
★★★★☆ 3.8 (207)
1180人が棚に入れました
ヒロは、幼いころに両親を亡くし、兄タダシと2人きりの生活を送っていたが、ある日、謎の事故により兄タダシは帰らぬ人となる。
ひとりぼっちになり深く心を閉ざしたヒロの前に現れたのは、つぶらな瞳と空気で膨らんだ白くて大きな体を持つ"ベイマックス"。彼は、亡き兄タダシが、人々の心と体の健康を守るために開発したケア・ロボットだった。
「どのくらい痛いですか?」「泣きたい時は泣いていいのですよ」と優しく寄り添う"ベイマックス"のおかげで、ヒロは少しずつ元気になる。
そして、兄の死に疑問をいただいて謎を追うと、世界の脅威となる巨悪の存在を知り、兄のために戦う決意をする。ヒロの味方は、戦闘能力・戦闘意欲のない優しすぎるベイマックスのみ。果たして彼は世界を救うことができるのか、そして、兄タダシがベイマックスに託した驚きの使命とは。
ネタバレ

Yulily さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

ベイマックスが うしろから包み込んでくれる、あたたかいストーリー

ここは...わたしの住む都市?
目の前に広がるどこかで見たような景色...
けれども少しだけ異国っぽい雰囲気もあるこの場所は...

アメリカ、サンフランシスコと東京をミックスした「サンフランソウキョウ」という架空都市。

そのせいだったのでしょうか...
ここは非日常的なファンタジーの世界であるのに、どこかに実在しているのではないかと....そんな気持ちにさせたのは。

科学が進歩した世界では尖ったフォルム、禍々しい色。そんな近未来的なデザインのハイテクロボットを見かけます。

しかしこの作品の「ベイマックス」というロボットは白くてやわらかそう、さわって良い?あなたはふわふわなの?そんな印象でした。

開発者タダシはこのロボットを「人々の心とカラダを守る」ケアロボットという使命のもと作りました。
それに相応しい柔らかなフォルムが優しさを感じさせています。

とっても大きいベイマックスがちょこちょこと歩く仕草や

通路を通れないからとカラダを自ら押し潰したりとお茶目だったり

簡単にカラダに穴が空いてしまうことは戦うための存在ではないという理由でしょう。その柔らかい雰囲気としてうまく表現されていました。

この一挙手一投足に至るまで全てが愛らしくユーモラスなベイマックス。大いに癒されます。
あなたも癒されること間違いなしです!!

{netabare}
中盤では大切な人を失うことから アクションストーリーへと移行。未知の敵に向かうため主人公や学友が秘密のヒーローになるのです。

正義とはなんでしょう
復讐心からくる正義は果たして正義なのでしょうか。
その間で葛藤する主人公ヒロ、信頼できる仲間は一緒に悲しみ、ヒロを諭してくれるのです。
{/netabare}
いちばん好きなシーンがあります
ヒロをそっと包み込むベイマックス
背後からやさしく、あたたかくヒロを包みこむ仕草。

画面を通して伝わってくる、わたしの背中もあったかくなるような
ヒロの表情を見ていると
感じているその安心感が伝わってきます...

心にも...愛情、安心、やすらぎが直に伝わる行為、包み込む「ぎゅう」

包んて欲しいときも
包んであげたくなるときも
心と心が伝わる大切なスキンシップ
ベイマックスがヒロを包み込むシーンに胸がぎゅうってなりました....

この作品すごくまっすぐなストーリーで、かけがえのない仲間との絆を描きます。
中盤からアクション作品かと思いましたがやはり「心」に重きを置いています。
とても素敵な作品、とても心があたたかくなりました。

AIさんが歌うエンディングテーマ Story (英語版)ソウルフルな歌声にぐっときます!ベイマックスがしてくれたような包容の力を感じます。その声に胸があつくなりました。

キミがくれた希望で 強くなれたもう怖くない...
今はキミを近くに 感じるから...

投稿 : 2024/11/09
♥ : 53
ネタバレ

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

「私はベイマックス。あなたの健康を守ります。」

2014年公開。
ディズニーの長編アニメ映画54作目。
(前作:アナ雪、次作:ズートピア)

感動作だと聞いていましたが、
確かに感動しました(´;ω;`)

と同時に、ベイマックスのマイペースなキャラに笑い、
近未来な発明品たちにワクワクできて…。

1つの作品で多様な楽しみ方ができました^^

100分ほどの作品です。


● ストーリー
14歳で高校を飛び級で卒業したヒロ・ハマダ。

科学に対する天才的な頭脳を持ちながらも目標がなく、
非合法のロボット・ファイトに熱中していた。

そんな彼を見かねた兄・タダシは、
自分の大学の研究室へヒロを連れて行く。

科学オタクたちの発明品や、
タダシの発明品『ベイマックス』、
そして憧れの教授に出会ったことで、

ヒロは大学入学を目指して研究を始めた。


この作品で鍵となるのは、
“ベイマックス”というキャラクターです。

ベイマックスは、
タダシが発明した心と体を癒すケア・ロボット。

人の健康状態や体の傷をスキャンして、
適切な処置をしてくれます。

さらにボディは、
思わず抱きしめたくなるようにできているという完璧さw

ちょっと体は大きいけれど、
一家に一体いれば、心も体も健康的に過ごせそうです^^


≪ ベイマックスというキャラの使い方 ≫

このベイマックスというキャラの使い方が、
とても上手です。

ヒロは天才的な科学の知識を用いて、
様々な発明品を作ります。

他にも、タダシの友だちが研究しているような、
近い未来に実現するかも…というような発明品がたくさん。

そんな彼らの活躍は、
とても勢いがあってワクワクします。

それに対して、
ケアに特化したベイマックスはとてもおっとりさん。

緊急事態にもマイペースで対処w

そんなベイマックスのキャラを生かすことで、
作品に“緩急”が生まれます。

ベイマックスの緩さは笑える場面でもあり、
よりキャラクターに愛着が湧いてきます^^


≪ 感動。だけどオチは… ≫

物語は100分があっという間に過ぎてしまうほど、
とても引き込まれて楽しめました。

近未来な発明品たちにワクワク。
ベイマックスの緩さに笑う。
そして感度的なシーンも。

私は視聴中に2回泣かされました(´;ω;`)
({netabare} 1回目はタダシの研究途中の様子が録画されたものを見た時、
 2回目はベイマックスとの別れのシーン。 {/netabare})

ディズニー映画の最後は、
「クスッ」と笑える小さなギャグで終わる事が多いように思いますが、

今回も同じように笑えるシーンで最後は締めくくられました。
が、この笑いがとてつもなく微妙で…。

「今までの感動を返して!」と
作品を台無しにされた気分になりました。

これなら無理して笑いで締めくくろうとせずに、
感動的な余韻で終わってくれた方がよかったです。

アメコミヒーローな後日談もいらないと思ったけど、
原題が「Big Hero 6」なので仕方がないのか…。


● 作画
舞台は「サンフランソウキョウ」という、
東京とサンフランシスコを混ぜた架空の都市です。

作中にも東京の街並みが取り入れられていたり、
ベイマックスの頭部は神社の鈴がモチーフにされていたりと、
日本的な要素も多いです。

さすがディズニー、
作画がすごいと感じるところはたくさんありました。

特にベイマックスが街を飛び回るところが印象的です♪
…ケア・ロボットに空飛ぶ機能が必要なのか疑問だという意見には同意ですw


● まとめ
ヒロの頭脳とその発明品もすごいけれど、
それを見せる演出はもっとすごい。

ベイマックスのキャラは緩いけれど、
その緩さは愛されるキャラとして十分な魅力。

私もベイマックスに日々の疲れを癒してもらいたいわ…。笑

ストレス社会なんて言われる現代にこそ、
ベイマックスというキャラは必要とされる存在ですね。

人々のために、という願いを込めて、
懸命にベイマックスを開発したタダシ。
実は一番好きなキャラです。

ベイマックスのプログラムは、
彼の優しい心をしっかり受け継いでいますね^^

投稿 : 2024/11/09
♥ : 29

HIRO さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

マシュマロみたいなケアロボット

☆総評、物語
ディズニーアニメなので設定視聴年齢は子供だが大人も十分楽しめる作品でした。
作画も常に進化していて高層ビル群や雑居ビルの立ち並ぶ路地裏などは「攻殻機動隊」でのそれと変わらないレベルになっているとおもいます。
3DCG作品のフラッグシップはディズニーアニメなのかな・・・・
とさびしい気持ちになってしまった(作品とは関係ありません。)

シナリオは十分に楽しめて、ちょっぴり涙がでたりするところがあったりと
劇場に足を運ぶ価値は十分あるとおもいます。


☆声優
相変わらず吹き替えのお上手でない方が起用されていますが、許容範囲のれべるでした。

☆キャラクター、作画
建物、乗り物、室内の奥行きの表現3Dの良さを十分表現していると思います。
キャラクターは個人の好みもあると思いますが、とりたてて主人公が魅力的とは思いませんでした。

☆音楽
エンディングで、AIさんの「Story」がEnglish Versionで流れて着ました。調べたわけではないので良くわかりませんが、日本の劇場むけにこの曲がチョイスされたみたいです。

☆データー
ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオズ製作で、54作目にあたる。原作は6人の日本人ヒーローが主に日本を舞台に戦う『ビッグ・ヒーロー・シックス』

スタッフ
監督:ドン・ホール クリス・ウィリアムズ
製作:ロイ・コンリ
製作総指揮:ジョン・ラセター
脚本:ロバート・L・ベアード

役名:原語版:日本語吹替版

ベイマックス :スコット・アツィット: 川島得愛
ヒロ・ハマダ: ライアン・ポッター: 本城雄太郎
タダシ・ハマダ: ダニエル・ヘニー: 小泉孝太郎
フレッド :T・J・ミラー :新田英人
ゴー・ゴー: ジェイミー・チャン :浅野真澄
ワサビ: デイモン・ウェイアンズ・Jr.: 武田幸史
ハニー・レモン: ジェネシス・ロドリゲス: 山根舞
ロバート・キャラハン教授 ジェームズ・クロムウェル: 金田明夫
アリステア・クレイ アラン・テュディック: 森田順平
キャス マーヤ・ルドルフ: 菅野美穂
将軍 エイブラハム・ベンルービ: 中田譲治
アビゲイル・キャラハン ケイティ・ロウズ 植竹香菜
ニュースキャスター ビリー・ブッシュ あべそういち
警察官 ダニエル・ガーソン 坂口候一
Mr.ヤマ ポール・ブリッグス: 立木文彦
女ボス シャーロット・グレイジアン :甲斐田裕子
ヒースクリフ デイビット・ショーネシー: こねり翔
フレッドの父親 スタン・リー :大木民夫

投稿 : 2024/11/09
♥ : 21

67.0 9 ファンタジーで戦闘なアニメランキング9位
ファイブスター物語(アニメ映画)

1989年3月1日
★★★★☆ 3.7 (106)
409人が棚に入れました
クラウン大銀河に存在する4つの恒星系(イースター、ウェスタ、サザンド、ノウズ)と長大軌道を持つスタント遊星により構成されるジョーカー太陽星団が、この物語『ファイブスター物語』の主な舞台である。星団には極めて発達しつつも緩やかに衰退を始めている文明が存在している。4つの太陽系の幾つかの惑星に居住している人類は、無数の国家を形成し、国家は互いに勢力拡大を争っていた。その国家間紛争の切り札が、「モーターヘッド」(作中ではMHと略して表記することが多い)と呼ばれる人型の巨大ロボットであり、過去の超文明の血を受け継ぐことにより超人的な戦闘能力を持ち、MHを操ることができるヘッドライナーたち(人々には「騎士」と呼ばれる)であり、その両者の仲立ちをする人工生命体が「ファティマ」である。

ポロム さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

キュベレイ

原作未読
キッズステーションで放送したのでノリで録画して観ました
1時間ほどで観れる、ファイブスター物語の序章らしいです
第1話をOVAとしたものらしいけれど、原作見ていないと理解がしづらい

前半の20分の妙な雰囲気に引き込まれ、後半になるにつれて「これ、後30分で綺麗に終わるの?」と思ってたら一応スッキリ終わった
「これは序章に過ぎないよ!原作見ようね!」みたいな雰囲気で今後起こることを淡々と予言したナレーションで締められた

作画はキャラデザや瞳の書き方など時代を感じて若干古く感じるものの、
書き込み量が半端じゃなくて、本当に昔の作品なのか・・と思うほどセル画が綺麗

主人公のソープが男性に見えないほど中性的な容姿で眉目麗しい
(本当に男性なのだろうかと疑いの目で見ていましたが、作中で突然のシャワーシーンがありました よくわかりませんが疑いが晴れました ありがとうございます)

1つ妙に気になったのが、ファティマスーツのデザイン
調べたらデカダン・スタイルと呼ぶらしいです
あの、当たったら痛そうな大きな肩パットにミニスカスタイルなのが何か世紀末感漂ってるお姿だと思って考えてみると、
機動戦士Ζガンダムに登場するモビルスーツのキュベレイにそっくりですね

最後登場する赤いドレスの頭の帽子の△三角具合と肩パッドに思わず
「・・・烏賊みたいだな」と呟いてしまいました

投稿 : 2024/11/09
♥ : 27

蒼い✨️ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

原作を読んでない人の感想。

女性のような容姿のイケメンが美少女ヒロインを狙う変態ハゲジジイを成敗するお話。
一行で物語を要約すればこうなりますね。

私は原作を読んでなく作品に思い入れがありませんので
主人公が耽美なシャワーシーンで視聴者サービスをしていたり
なんか、敵が北斗の拳の悪党っぽいなあ
稲でも刈るように首や腕が切断されて飛んだり血が噴き出たりで
敵の兵士の死に方が南斗水鳥拳っぽいなあ
と笑いながら観てました。
観る前はもうちょっと幻想的なお話をイメージしてたのですが
結構少年漫画チック。

作画は当時の基準を考えたらとても美麗でしたが
ストーリーには特に感動も興奮もしませんでした。

劇場公開当時のリアル世代で
原作者・永野護先生の世界のファンには
とてもいい作品であるかもしれませんけどね。

かくもこんな評価になってしまったのは
かつて永野護先生がデザイナーとして参加した黒歴史RPG
『エアーズアドベンチャー』を私がプレイ済みであるのが
関係してるのかもしれませんね。

ということで一度観た感想を終わります。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 18

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

不条理な世界で王子様の迎えを待つお姫様とロボットのお話、それと超作画のファンタジーアニメ

『ゴティックメード』公開ということで永野護原作の今作を直接関係無いとも知りつつ予習しますた
(でもこの予習は無駄ではなかったよー)
永野さんといえば独特のセンスが光った『エルガイム』のキャラデやメカデが有名
今作は永野さんのライフワーク的マンガ作品らしいですが原作のどの辺をアニメ化したのかは読んでないので知らんっす;


まず目を引くのが永野さんのただでさえ繊細な絵柄をものの見事にアニメ化しているところっす
『うる星3』や『ぼくの地球を守って』のやまざきかずお監督に『エスカフローネ』や『劇場版X』の結城信輝さんキャラデというタッグはまさに時代が成した技といったところでしょうかw
髪や瞳など、とにかく線の量がハンパなく多くて何気ない立ち絵一つ取っても描き込み量ヤバイっす
原画もそうですけど、こーゆのってとにかく動画殺しですよねwww
だから好きよ結城信輝さん^q^


で!お話の方はかなりひでぇ話www
“モーターヘッド”と呼ばれるロボットを操作するために必要な“ファティマ”と呼ばれる女性の体を改造して作られるサポートユニットをめぐっての陰謀渦巻く政治抗争に主人公とヒロインが巻き込まれていくってお話・・・
はい!^^;
もうこれ倫理的に色々アウトっすねw


ってか世界観の設定は実際に見てもらうのがイチバンっすね
専門用語が多いけど全然難解じゃないです
だいぶナレーションと説明ゼリフで解説されてるんで原作未読だろうが関係なしの内容っす
それとSFでありながら王政や騎士道精神といったキーワードが随所に登場し、西洋ファンタジーめいた雰囲気も醸し出してます


主人公のレディオス・ソープが美女と見紛う程の美青年、ヒロインのラキシスもソープを強く慕っていて麗しい美貌を持つ
という【美男と美女がイッパイ】というポイントがイチバンの見どころだと思います
そーゆーの重要よね


大していい話だとは思いませんでしたが;永野さんのマンガをアニメ化しようぜ!って心意気は確かだったと感じます
だってゴティックメードの省エネっぷりっていくらなんでもおま(ry;
80年代の作風がお好きな方は是非チェックしてみてください、ホント凄い作画ですよ!

投稿 : 2024/11/09
♥ : 13

67.9 10 ファンタジーで戦闘なアニメランキング10位
岬のマヨイガ(アニメ映画)

2021年8月27日
★★★★☆ 3.5 (40)
137人が棚に入れました
居場所を失った17歳の少女。彼女が辿り着いたのは、どこか懐かしさと共に温かみを感じさせる、海の見える古民家“マヨイガ"だった。それは、“訪れた人をもてなす家"という、岩手県に伝わるふしぎな伝説。血のつながりがない新しい家族たちとの、ふしぎだけどあたたかい共同生活が、新しい居場所“岬のマヨイガ"でいま始まる――。
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

心がざわつく優れた映画だと思います。青少年へのメッセージかな?

 他人が集まることで家族となる疑似家族ものの一種ではあります。東日本大震災の後の復興の一面を切り取ったような話でもあります。さらに、あらすじ通りではない部分もあるので、ネタバレとしておきますが、{netabare} 妖怪大戦争もの{/netabare}でもあります。

 これらがご都合主義的に組み合わさって、比較的派手な絵もなく音楽の無い場面も多く淡々と話が進みますので、退屈する人はするでしょう。

 ですが、この2人の少女が不幸を背負った原因を考えたときに、果たしてそんな単純な話なのか?と気が付きます。震災という大きな大きな不幸と、家族に起こった世間から見たら個人的な不幸。そのどちらも人々にとっては逃げ出したい現実になります。

 その中で自分は誰といたい、どうしたいという気持ちと向き合いましょうと。そして、誰を守りたい、どこで暮らしたいと言えるようになると、不幸から脱するきっかけと新しい何かがみえてくるよ、という風に見えました。

 この3人を助けてくれるのはなんといっても {netabare} 土着の妖怪 {/netabare}たちです。つまり、土地であり共同体です。これは人間も一緒でした。人間は弱いので、辛いもう離れたいと思う気持ちが出てきます。それが地域を滅ぼすことになるという事だと思います。

 本作については、見て欲しい対象年齢を少し低めにしていると思います。それは不幸な現実とどう向き合うか、ということを分かりやすく伝えたいからなのかなあ、と思います。
 震災の不幸も初めは少々デオドランドして、見やすくしすぎでは?と思いました。が、震災の不幸をクローズアップしすぎないように、そしてそこの嫌悪感恐怖感で映画が伝えたい「不幸」の本質を見失わないようにするためかなあと思いました。
 そして、なぜそうしたのかを考えると、逃げる=自殺とか考えてしまう少年青年に対する何かなのかなあ、という気がしました。

 とはいえ、大の大人が見ても、見ている途中で心がざわめく映画ですし、視聴後感はハッピーエンドではありますがこれからもいろんな不幸が起きるけど、戻るべき場所、共同体があるから頑張れるんだ、という風に見えました。

 なお、初めの狛犬のシーンはここでは述べませんが2つの見方ができますね。
 そして、飼われるのが三毛猫です。必ずメスですからあの家には女性しかいません。つまり巫女という風にも取れましたね。

 アニメーションとしての技術的なところは、超一流ではないかもしれません。評価点が平凡なのもそのせいです。が、作品としては、脚本とメッセージ、演出などで良くここまで仕上げたなあという印象でした。青少年向けという前提でいえば、100点中88点くらいつけてもいいかもしれません。

 ということで、隠れた名作だと思います。1回しか見ていないので、もうちょっといろいろあるかもしれませんが、1回集中して見たのでかなり疲労感があります。つまり、出来が良いということです。
 刺激とキャラ萌えを期待すると退屈かもしれませんが、視聴中そして見終わったあと、心が動く映画です。いい映画でした。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 8

テナ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

古いけど色々と良い家じゃん

見に行くか、見逃すかを悩んだ作品です。
でも、せっかくなら見に行こう!と見て来ました。
最初は岬の上にある家が頭上から映し出されるシーンの私の感想は。

森と草ばっかり、景色めちゃ綺麗じゃん、絶壁じゃん落ちたら死ぬ、家の庭めちゃデカいじゃんでしたw

私はユイとひよりは姉妹かと思って居たら違うのですね。
元々は他人同士だった2人をお婆ちゃんが引き取りマヨイガで生活する事になります。

ひよりは両親を居眠り運転の車に衝突され失ってしまいます。
きっと、それが原因?で喋れないのだと思いますが、その辺の説明がなくて……多分。

ユイは両親が離婚して父と二人暮しです。
父は、母が出ていったのはユイのせいだと言います。
挙句の果てに、ユイが用意していたご飯を、いきなりキレだして机から弾き飛ばすし。
自分が辛く当たるのは、全てはお前の為だ!と言う始末……

明らかに、奥さんが出てったのは貴方のせいですよ。って思いました。

作中で私が良いシーンだと思ったのは、ラストのユイが偽物の父に無理やり連れていかれそうになるシーンです。
ユイは父が怖くて何も出来なくて何も言えなくて……ひよりも助けようとするけど何も出来なくて……

でも、ひよりにとって、お婆ちゃんとユイと3人は家族だから、新しい家族を二度と絶対失いたくないから、彼女は声を出す!
両親を失って無くした声だけど、姉を失わない為に出した声……血なんて繋がってなくても、出会って数日でも間違えなく家族で大切だから、守りたいって気持ちから出た声。


後は、お婆ちゃんのピンチに駆け着けた、ひよりが、お婆ちゃんの「自分に出来ることを」って言葉から考えて行動したシーンが凄く良かったです。

さて、作品としては面白いと思います。
原作はもしかしたら面白いかもしれません。
でも、映画で見たら……設定がイマイチ理解しにくかったり視聴者側が想像で補わないとならない点が多すぎる気がします。

キャラの心情のヒントが少なすぎて感情移入が出来にくく、最後まで見ても消化不良って感じが残ってしまいます。
うーん、面白くはなくはないですが……普通くらいかな……

声優さんも余り上手くはないかな?
なるほど、ゲスト声優さんですか……
私はアニメでは物語が1番楽しめるポイントで物語が良かったり、キャラに感情移入しやすければ、あまりも酷くない限りは言わないのですが、物語も中途半端と感じる部分もあり。
そちらが更に浮き彫りになって感じたりもしました。

声優さんで言うと、座敷わらし役で、ナナニジの藤間さくら役をしてる天城サリーさんが出てます。
私のアイコンもナナニジの佐藤麗華ですが、ナナニジのアニメはともかく、ナナニジの音楽も聞くし、計算中も見てて好きなので、その辺も楽しみにしてましたが、セリフ少なっ!w(*꒪꒫꒪)

作中には、座敷わらし以外にもカッパや雪女など妖が沢山出てきます。
実は、私は妖怪が割と好きです。
理由としては父が妖怪などが好きで小さい頃から、妖怪番組やら本やらを見て育ちました。

だから、その辺も気にしてましたが、あれだけ妖怪居て殆ど山火事を消す方に回って出番と言う出番もなくw

面白いのは面白いとは思うし作品のメッセージ性も伝わりはしましたが、オススメしますか?となれば話は変わってくるかな?とは思ってしまいます。
好きな人は好きになれそうな作品かな?と思います。

お婆ちゃんの昔話の語りは面白いしわかりやすかったと思います。
作風をガラリと変えてくるのもいいですねꉂ(ˊᗜˋ*)ヶラヶラ

あっ、冒頭の山道の作りもすごく良かったです。
私の母方の実家がド田舎なのですが、山道の再現が凄く良かったです。
後は、落ち葉や枯れ草の種類や葉の色や道の色もリアルで上手く再現してるなぁ〜って少し懐かしい気持ちになりました(ˊo̴̶̷̤ ̫ o̴̶̷̤ˋ)

投稿 : 2024/11/09
♥ : 7

さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

夏休みの妖怪映画

妖怪ウォッチが下火になってきたはずが、まさかの妖怪映画バブルが到来しましたねえ。
震災後の岩手が舞台という事で、どんな闇の深い映画なんだろうと気構えていましたが、心配していたような事はなく、10歳未満でも安心して楽しめる物語になっていました。良かった。
だからそうだとは限らないのですが、緊迫感は薄めです。大人が見るにはやや退屈に感じる場面がありました。
じゃあ、面白く無いの?
いえ、そうではありません。流石のデイビッドと思えるだけの作画良さがありました。
(マヨイガのCGはもう一歩踏みこんで欲しかったですが)
作画で楽しめるオタクならそこそこ楽しめるんじゃないでしょうか。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 6

66.5 11 ファンタジーで戦闘なアニメランキング11位
劇場版 Fate/Grand Order 神聖円卓領域キャメロット 前編Wandering; Agateram(アニメ映画)

2020年12月5日
★★★★☆ 3.5 (50)
281人が棚に入れました
長く。長く、旅をしてきた―。遍歴の騎士に与えられた旅の終わり。西暦1273年エルサレム。かつての友と刃を交えようとも、遠き日の過ちと向き合うこととなっても、最後の忠節を果たすべく、ベディヴィエールは烈風吹き荒ぶ砂の大地を歩みだす。これは、ひとりの騎士の物語。

声優・キャラクター
宮野真守、島﨑信長、高橋李依、坂本真綾、川澄綾子、水島大宙、沢城みゆき、置鮎龍太郎、内山昂輝、安元洋貴、子安武人、田中美海、小松未可子、鶴岡聡、稲田徹、千本木彩花、鈴村健一

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

自分の世界に入ったり、呟く騎士

 何かの使命のために砂漠を放浪していたベデヴィェールが、聖都で藤丸、マシュ、ダ・ヴィンチと出会い、お互い騒動に巻き込まれ、行動を共にするお話だったです。
 「Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-」の続きでもないようで、関連性もないだったです。作画が、ややバビロニアよりキャラ設定など、落ちる感じがしたです。

 いつもの藤丸、マシュな感じだけど脇役っぱく、マシュの存在感がややあった感じです。最初からベデヴィェールの心の声、が目立ち、苦悩や過去の回想が多くを表していることが多かったです。

 出会った都で、訳の分からない正当化した難民の虐殺から、藤丸たちを巻き込み多くの砂漠の移動から、行くとこ行くとこ、師子王の従える円卓の騎士の襲撃にあう展開です。
 出会いがあり、犠牲がある中で、それらを目の当たりにしていったベデヴィェールの決意が、後編への伏線になると思うです。

 明らかに獅子王、配下である円卓の騎士の非道な行動に対する、反発、怒り、戦いの決意があるのは、わかるです。
 襲ってきては戦う、襲ってきては新キャラらも参戦して戦うの繰り返しで、見ていると目的が分かりづらくなる感じがしないでもなかったです。 

投稿 : 2024/11/09
♥ : 4

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

そして、この旅の終わりを知る

この作品の原作ゲームは未プレイですが、2016年から2018年まで大晦日に放送された特番や、2019年に放送された「絶対魔獣戦線バビロニア」は視聴済です。

そしてビックリなのは、dアニメストアで5/1~5/15までの期間限定で配信されたことです。
きっと後編の劇場公開がコロナ禍の影響で5/15に延期になったこともこの配信に関係があるのかもしれませんね。

きっと原作ゲームをプレイ済の方にとっては堪らないご褒美的な作品なんだと思います。
私はアニメしか視聴していないので、そこまでご褒美的には受け止められませんでしたが、この作品の魅力の一つである「過去にアニメ化された作品」のキャラに再びお目見えできるのは個人的に嬉しかったり…


「私は今度こそ、この手で、我が王を殺すのだ――」

遍歴の騎士・ベディヴィエールとカルデア一行が足を踏み入れた特異点――
西暦1273年のエルサレム。
そこは民たちが住処を追われ、三つの勢力が対峙する不毛の地であった。

白亜の城を築き、民を殺戮する獅子王と「円卓の騎士」を討つべく、
ベディヴィエールらは「山の民」と協力し立ち向かう。
大切な仲間をも喪う死闘を終えた彼らは、
強大な力を持つ「太陽王・オジマンディアス」に同盟を持ち掛ける。
しかしオジマンディアスは獅子王の計画を明かし、
自らの民を守るためにその提案を一蹴する。

獅子王の真意を知り慄くベディヴィエールたちだったが、仲間たちとともに、その目的を阻止すべく、
聖都・キャメロットへの進撃を決意するのだった。

そしてついに、聖都決戦の日を迎える。

冷酷非道に成り果てた獅子王の真の狙いとは。
滅びの約束された世界で、人類を救済する方法とは。
赦されぬ罪を背負い続けたベディヴィエールの迎える結末とは。


公式HPのSTORYを引用させて頂きました。

この作品で描かれているのは、「第六特異点 神聖円卓領域 キャメロット」のシナリオが基になっているそうです。
2019年に放送された「Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-」は、第七特異点を基にしています。
第六特異点の方が、第七特異点より先行した物語であると考えるのが一般的だと思うのですが、今回この作品を視聴に伴い、一般的な解釈だとちょっと辻褄の合わない点があることに気付きました。

物語を視聴したのは前編のみです。
従って、後編も視聴すると辻褄が合ってくるのかもしれませんけれど…
この作品を視聴する上で結構重要なキャラに関する辻褄なので、引き続きフォローしたいと思います。

アニメーション制作は、Production I.Gさん…
これまでfateシリーズはufotableさんによってアニメ化された作品が多いですが、2019年にテレビ放送された「Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-」はCloverWorksさんが制作されているんですよね。
ufotableさんとは作風の違いを感じましたが、CloverWorks制作の作品とは、殆ど違和感がありませんでした。

この「Grand Order」を一つの括りだと考えると、結果的には良かったんだと思います。
もっとも、Production I.Gさんのクオリティに文句の付けどころなんて、そもそも無いんですけどね^^;

一方物語の方ですが、作品のタイトルに「円卓の騎士」とある通り、アーサー王とアーサー王に仕えたとされる騎士の物語が描かれています。
円卓に座ることを許されたランスロット卿、ガウェイン卿、トリスタン卿やモードレッド卿など、著名な人物が登場するので視聴意欲も俄然湧いてきます。

藤丸立香や、マシュ・キリエライトが円卓の騎士と、どの様に関わりを持っていくのか…
そもそも第六特異点における歪みの元凶は何なのか…
見どころも盛りだくさんですよ!

主題歌は、坂本真綾さんの「独白」

上映時間が約1時間半程度の物語でした。
ゲームをプレイしていないので、理解度は浅いと思いますが、浅いなりに楽しませて貰えた作品になりました。
後編も絶対視聴したいと思います。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 3

栞織 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

ゲーム知らないので難解→修正版があり?

テレビのバビロニアしか知らないので、見ていて退屈でしたし、冗長に感じました。ただ、イスラエル周辺の砂漠地帯のロードムービーとしては、現地の有様がリアルにアニメで描かれていて、そこは嘘が少なかったと思います。しかし設定が聖都というファンタジーものにあるような基地を、十字軍のアーサー王と円卓の騎士が作っているという話で、史実にはありえませんし、もうゲームがそういうものだからといって納得させられるしかありませんでした。

そういう無理やりな感じが画面全体にあって、作画は落ちてはいませんが、とても力が入っているというものではなかったです。シナリオや絵コンテのテンポが悪く、長々と砂漠を歩いている場面が続くので、作画としてもやりようがなかったのではと思います。ただ戦闘場面はいつものFateらしく、そこはよかったと思いました。エフェクトなどは綺麗でした。特に最後のトリスタン戦はよかったと思います。

しかしとにかく話が獅子王のアーサー王を、その最後の側近であったベルヴィエールが倒しに行くという話で、もうわかるように沈鬱な話であります。アーサー王はたぶんFateシリーズのセイバーだと思うのですが、獅子王である人物の声優さんはいつものセイバーの人ではないみたいで、なんか見ていてよくわからなかったです。しかしベルヴィエールの回想場面ではセイバーだったですからねぇ。マシュと立香もいることはいますが、バビロニアみたいに大活躍という感じではなくて、物語を先導する役回りだけです。脇キャラも地味だし、恋愛模様もまったくありません。いやベルヴィエールのセイバーへの思いがあるのですかね?しかしシナリオではまったくそれは読み取ることは私にはできませんでした。後編はもう少しそのあたり改善されるのでしょうか。円卓の騎士の敵たちも、まったく感情移入できないキャラたちばかりで、敵ながらあっぱれとかそういうものがほとんどありませんでした。とにかくFateのHeaven's feelやZeroのノリを期待したらだめです。

けれど見ていてよかったと思ったのは、特殊効果で、ベルヴィエールの回想場面で、昔の童話の挿絵みたいなタッチで人物が動いていたことです。そこは昔絵本でこういう絵を見たな、ということで懐かしかったですよ。円卓の騎士の話もありましたかね。そこだけは、作画点として加算させていただきます。

追記・2021/12/28

Youtubeでこの劇場版キャメロットのコマ切れ動画がたくさん昨日から出ていて、気になったので某所でこの前編の動画を見てみました。同じ動画かと思いきや、明らかに修正版です。話のシナリオの方もだいぶ変更されていると思います。ヴェルビエールとセイバーの回想場面が変更になっています。その他、数えきれないぐらい変更点がありました。某所についてはここで明言する事は避けますが、あるという事だけ書いておきます。

作画も全編にわたり修正が入っています。こうした例は以前フルメタルパニック3でも見た事がありましたが、本作でもやり直しをしたようです。修正版は本当に素晴らしく、私が以前指摘した問題の部分はすべて改善されていました。惜しむらくは、おそらくこの動画は劇場公開時には間に合わなかっただろうという事で、きっと製作が大変だったのでしょう。しかしこうしてファンの元へ、また改善版を届けることをしたスタッフの方々は、非常に良心的だと思います。

従いまして、点数の方も大幅にアップしておきました。後編はまたそのうち見られればいいと思います。この作品も他のFateシリーズのように、名作になればいいと思います。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 3

63.1 12 ファンタジーで戦闘なアニメランキング12位
劇場版 探偵オペラ ミルキィホームズ~逆襲のミルキィホームズ~(アニメ映画)

2016年2月27日
★★★★☆ 3.6 (35)
140人が棚に入れました
研修旅行に来ていたミルキィホームズの4人。猿たちに囲まれ温泉につかり、のんびりしているところに警報が鳴り響く!怪盗帝国の4人が宝を狙ってやってきたのだ。ミルキィホームズVS怪盗帝国、双方トイズをフルに使っての激しいバトルが繰り広げられる!さらにGenius4の面々も駆けつけ、三つ巴の激闘に発展!だが、その大激闘の最中に、上空から激しい雷が!!被雷したミルキィホームズの4人はまたしてもトイズを失ってしまい・・・。

声優・キャラクター
三森すずこ、徳井青空、佐々木未来、橘田いずみ、明坂聡美、岸尾だいすけ、寺島拓篤、下野紘、南條愛乃、新谷良子、田村ゆかり、沢城みゆき、真壁刀義、金尾哲夫、伊藤静

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

全てのシリーズの伏線を回収する!たぶんこれが最初で最後の集大成的ファンムービー!!バリツ!!!

2009年からメディアミックス作品としてスタートした『ミルキィホームズ』シリーズの集大成的劇場版


偵都ヨコハマを舞台にトイズと呼ばれる超能力を駆使する探偵学院の少女4人組ミルキィホームズ
それに相対する怪盗帝国、さらに警察組織Genius4を絡めた三つ巴の争いを描いたヒロイックファンタジー
シリーズによって作風が異なるものの、今作は総監督に森脇真琴、監督に桜井弘明、脚本にふでやすかずゆき、キャラデザに沼田誠也、ということでパロディやデフォルメなど不条理コメディ色がメインの作品となっています


まず第2幕で散々【黒幕】っぽい動きを見せていながら結局何一つ正体が明かされなかった森・アーティ(ちゃん?)の正体が明かされる
まあバレバレにも程がありましたがw
さらに黒歴史などと酷評された岩崎版ミルキィこと『Alternative』シリーズからエドガー・モランがメインの敵役として登場
錦織版ミルキィこと『ふたりは~』と『TD』からフェザーズが登場
そしてアイリーンちゃんをはじめとしたゲストキャラが多数登場
モブを含めるとホント凄いことになっています;
つまりこれまで並行していた全てのアニメ作品を【全肯定】しつつ特に各作品を説明する描写やセリフが無いため【ファンムービー】であることが大前提となっているお祭り映画であると言えます


さらっと新日プロレスネタもいくつかありつつwそもそも今作の敵役の一人に真壁刀義が声優で参加していてショートケーキを食べていたのが特に面白かったですねw


森脇版ミルキィと言えば原作ゲームを無視しまくった‟ダメダメなミルキィホームズ”によるポンンコツ不条理コメディですが、それを逆手にとった今作のクライマックスではウルっとさせてくれる泣かせのシークエンスで成長した4人の声優の渾身の芝居が堪能できます


オチは少し弱い・・・というかアルセーヌさんの手の上で転がっていましたーwっていうこれもシリーズではお馴染みの落とし方でしたね;
ただでさえ上級者向けと言われれるシリーズでしかもかなりハイテンポに進む今作ですが、ファンであるなら観ない手は無いでしょうb

投稿 : 2024/11/09
♥ : 7

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

何度転んでも立ち上がる! 七転八倒!それがミルキィホームズです!

2016年の大晦日に「探偵オペラ ミルキィホームズ ファンファンパーリーナイト♪ 〜ケンとジャネットの贈り物〜」が放送されました。
このミルキィシリーズはこれまでずっと視聴を続けてきて穴を空けたくなかったので、大晦日の特番前に本作を視聴する事としました。

このシリーズ…短編作品を踏まえると、結構な数の作品が制作されているんです。
時系列で並べると以下の構成になります。

・探偵オペラ ミルキィホームズ:2010年秋アニメ 全12話
・探偵オペラ ミルキィホームズ 特別編:2011年8月 全1話
・探偵オペラ ミルキィホームズ 第2幕:2012年冬アニメ 全12話
・探偵オペラ ミルキィホームズ Alternative ONE & TWO:2012年8,12月 全2話
・ふたりはミルキィホームズ:2013年夏アニメ 全12話
・探偵歌劇ミルキィホームズTD:2015年冬アニメ 全12話
・劇場版 探偵オペラ ミルキィホームズ〜逆襲のミルキィホームズ〜

物語の舞台は「偵都ヨコハマ」
この街には「トイズ」と呼ばれる特殊能力を使って暗躍する「怪盗」と「探偵」が存在しており、日々己のプライドをかけて激しい攻防が繰り広げられ…という下りなら、手に汗握る展開の連続が期待できそうな作品をイメージできますが、この作品は少し趣向が異なっているんです。

物語の中心にはミルキィホームズ…著名な探偵をご先祖様に持つ4人組のチームですが、これまで見てきたところ、彼女たちは「トイズ」の能力の定着がどうも今一つ…
もう今まで何度失ったり復活したりを繰り返してきた事か…

トイズの能力を持たない探偵は怪盗にとって赤子の手をひねるようなモノ…
当然展開もグダグダになりますし、トイズを失って何度も苦い思いを味わってきました。
それでも彼女達は絶対諦めないんです。
例えどんなにボロボロになっても…
このシリーズ…グダグダな展開が数多くありながら、それでもここまで続いているのは根強いファンのお陰だと思っています。

こうして本作の物語が動いていく訳ですが、ミルキィの原点に還ったような…そんな印象を受けた作品でした。
まず本作の大前提として「一見さんお断り」の作品となっています。
まずキャラの説明は一切なく、これまで視聴してきた人には懐かしく感じられる「ボケとツッコミ」についても、何の前触れもありません。

でもこの作品はこれで良いんだと思います。劇場版ですから尺に限りがあります。
無駄な説明に時間を割く余裕なんてこれっぽっちも無いんです。
なので、この作品をしっかり楽しみたい方は、過去作品からの視聴をお勧めします。

これまで事件の起きる展開は大体お約束でした。
①怪盗アルセーヌとその一味である怪盗帝国が騒ぎを起こす
②探偵ミルキィホームズが出動~現場に急行し怪盗と対峙
③明智小衣率いる警察組織「Genius4」が現場に駆け付け、良かれと思ってやった事が結果的にミルキィの足を引っ張る
④グダグダな展開に移行…

でも、今回「偵都ヨコハマ」を騒がせる怪盗はアルセーヌではありません。
「偵都ヨコハマ」には暗黙のルールがあるんです…禁忌を犯したモノには鉄槌が下される筈…
しかし、遥か時空を超えた因縁…蓄積された時間と抑圧を糧に立ち塞がる力はとても強大…
「偵都ヨコハマ」を舞台に繰り広げられる捕物帖…決して画面から目が離せません。

何故ならこの作品に出演する登場人物は、これまでそれだけの歴史を刻んできているから…
ミルキィ…いつも明るい4人組ですが、落ち込む事だってあります…
自分達の無力さ…不甲斐なさを本気で攻めた事も一度や二度ではありません。
でも…どん底から這い上がるための4人組…それがミルキィホームズなんだと思います。

そんなミルキィを見守るアンリエットさん…
何だかんだ言いながら窮地には必ず駆け付けるこころちゃん…
それにフェザースだって…
そしてそれらの糸が絡み合ってミルキィの逆襲に繋がっていくのです…
本作でも十分過ぎるくらい、登場するキャラは魅力的に描かれていたと思います。

ワクワクする展開と魅力的なキャラ…気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

上映時間約70分の作品です。
完走して振り返ってみると、これまでの主要キャラは全て登場したのではないでしょうか?
ミルキィの活躍を称える新聞記事の下には天城茉莉音ちゃんの名前もありましたし…
久々にミルキィを視聴しましたが、色々と思い出しながら視聴できたので嬉しく思いました。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 5

qwerty さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ミルキアンには◯〜△ 初見さんは×

森脇真琴監督が作るミルキィが帰って来る!と期待していたのですが…
第1幕、第2幕の皮を被った何か得体の知れないものを見た、というのが正直な感想です。
これはおそらく森脇監督が総監督という立場で、実際に制作の中心にいたであろう人は、桜井弘明監督であったことが理由かもしれません。

前半はほとんどギャグパートですが、ネタを詰め込みすぎてわかりにくい上に、みんなテンションが高すぎる。尺が足りないのか?と思っていたが、その割にはトゥエンティが出てきて解説するシーンは長すぎる。そして何よりもTV盤第1幕、第2幕でやったネタを映画でやる。くどいくらいやる。同じネタを繰り返し過ぎて、ギャグが面白いというより「またか…」と思ってしまう。

後半はキャラクターが真面目に現実に向き合うようになり、演出もガラリと変わる。所々にギャグを挟みつつそのままクライマックスへ。
後半は落ち着いていて割と良かった。キャラクター、特にシャロの可愛さと良い子っぷりが十分に感じられてぐっときました。
しかし、前半から急にテンションがかわるので、「さっきまであんなにいい加減だったじゃないか!」と思わずにはいられませんでした。



音楽:TDでも担当していたELEMENTS GARDEN。とても良い曲を作るグループだと思いますが、今回はキャラクターの声にかき消されて聞こえません。
作画:PVで見たそのまま。第1幕のタッチをTDの塗りにした感じです。それと顔芸多し。
ストーリー:そんなものは存在しません
脚本:理性を疑うレベル。
演技:終始テンションが高い。それと、プロレスラーの真壁刀義さんが演じる役がありますが、思っていたよりも悪くない演技でした。もともとセリフは少ないですが。
ギャグ:面白いものもありますが、どんどん流れていくのでその面白さを感じる暇がない。
キャラクター:TVに出てきたレギュラー、準レギュラー、端役に至るまで全員出てきます(一瞬しか出ないこともありますが)。探して見るのも楽しみのひとつです。

良いところ:エリーが今回は結構エロいです。後、変身シーンは思わず笑ってしまいました。G4が久しぶりに全員出てきたたことにもちょっとだけ感動。最初に流れる、「映画を見るときの注意」(シャロ編)も面白かったです。


総評:
ミルキアンにとっては好きなキャラクターがまた見れるということで◯ですが、作品自体の質は良くないので△。

初見さんには絶対にオススメしませんし、見たとしてもミルキィホームズはこんなものなのかとは思わないで欲しい。TV版は本当に名作です。

適度なカオス、そして可愛く魅力的なキャラクター、加えて最後はちょっと良い話で終わる。それがミルキィホームズの魅力で、いまだに第1幕が1番人気が高い所以なのだと思います。
製作者は今後、続編(期待してます!)を作るときはこのことを念頭において作って欲しいです。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 2
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