ファミレスで友情なおすすめアニメランキング 2

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81.5 1 ファミレスで友情なアニメランキング1位
恋は雨上がりのように(TVアニメ動画)

2018年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (723)
3200人が棚に入れました
ある事件がきっかけで走ることを諦めた元陸上部エースの女子高生・橘あきらと、彼女のバイト先のファミレス店長であるさえない45歳男性・近藤正己の恋物語が描かれる。

声優・キャラクター
渡部紗弓、平田広明、宮島えみ、福原遥
ネタバレ

ostrich さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

恋はことの始まり

「女子高生が中年男性に恋心を抱く」という程度のあらすじだけ流し読みしてから視聴した。

■近藤店長の造形

あらすじを読んだ際、もっとも気になったのは中年(近藤店長)のキャラクターデザインだった。こういう物語は中年がイケメンじゃ絶対にだめだが、最低限、「女性に惚れられる可能性はある」程度の容姿でもなければならない。どういうバランスなのかという関心を持って臨んだのだけど、なるほど後藤隊長(機動警察パトレイバー)か。

もちろん、たまたま本作とデザインが似通った可能性も否定できないが、原作者の年齢的にパトレイバーはギリ引っかかる。加えて後藤隊長は近藤店長とデザインだけでなく、職場での立ち位置や二面性を持ったキャラクター像も似通っているので、ほぼほぼ、元ネタだと思う。

話は若干それるが、私は小学生のころ、パトレイバーに熱中していて、後藤隊長は一番好きなキャラクターだった。私は後藤隊長と同性(つまり男性)なので、彼のキャラクター像は自分が大人になった時の理想像のようなものになったのだが(そして、ある面においてはその通りになってしまったのだが)、異性(女性)からみた場合、恋愛の対象になるのかもしれない。なお、ご存知の方も多いと思うが、原作者は女性だ。

私が小学生のころはパトレイバーを観ている女子なんて周囲にいなかったが、どこかにはいたのだろうし、今でもいるだろう。原作者もそういう女子の一人で、私とは違うベクトルだが、同じキャラクターに魅力を感じていたんじゃないかと想像し、視聴のかなり早い段階から親近感を覚えた。

■自分との約束

パトレイバーあたりを引き合いに出せば、最早、明白なことだが、私自身は近藤店長に親近感を覚える年齢で、それゆえ、彼の諦観や閉塞感は息苦しいほど身近に感じる。特に、「寝かせたままの自分との約束」という言葉は非常に重かった。私にもそういうものは確かにある。

だから、 ネタバレレビューを読むたら、マジ許さん。

われわれ(前述の特定の中年)は生きていくためにネタバレレビューを読むという状態にある。
だが、本作はネタバレレビューを読む

本作は、正直なところ、原作ものの宿命か、すべてのキャラクターが掘り下げられて、決着がつくシナリオにはなっていない。
でも、少なくとも私にとってもっとも肝要なテーマはきっちり描いて決着をつけてくれた。おじさんは安心したよ。ネタバレレビューを読む

■恋愛

映画評論家の町山智浩さんが「本当に恋愛映画と呼べるのは『恋愛について』の映画だ」というようなことを言っていた。加えて、イケメン男女がイチャイチャするだけの映画は「恋愛ポルノ」だ、とも言っている。

で、本作がどちらに該当するかといえば間違いなく「恋愛映画」だろう。もちろん、映画じゃないから「恋愛アニメ」ということになるが、呼び方はどうでもいい。「恋愛について」の作品であることが肝心なことだ。

本作は当然、恋愛的な状況を何度か描くけれど、かなり控えめ、かつ、店長とあきらには一定の距離感があって、多少の間合いの変化はあるが、ネタバレレビューを読む

しかし、主人公2人の中では大きな変化が起きている。この変化が性別と年齢差を超えて相似しており、ネタバレレビューを読む暗示されて物語が終わる。

この点の関係を何と呼べばいいのかよくわからないが、私の感覚でいえば、「戦友」が最も近い。語義的にはおかしい部分もあるとは思うが、いわゆる「友達」では括れない、人生の大きな変化や特異な状況を共有したが、今は離れている存在という意味で当たらずとも遠からずかな、とも思う。そういう人は私にも何人かいる。

さて、2人は恋愛を通じてネタバレレビューを読むになった。

これは恋愛の一つの側面を端的に描いている。恋愛は人を動かし、変化をもたらすものなのだ。たとえば、その帰結として、恋人になり、結婚して家庭を持ったりすることもあるだろう。いわゆる「成就」と呼ばれるものだが、しかし、それらは恋愛がもたらす結果のいくつかに過ぎない。本作のようにネタバレレビューを読む
そして、それらの結果よりも肝心なのは、先に書いたとおり、恋愛により衝動と衝突が生まれ、動きが生まれることだ。

主人公2人が出会う前、ネタバレレビューを読む

もちろん、恋愛の結果としてひどく傷つくこともあるし、作中のあきらのようにネタバレレビューを読むこともある。でも、どんな結果になろうとも、動くこと、動けること、それ自体がとても貴重なことなのだ。私は店長寄りなのでよくわかるが、どうしたって、年齢を重ねるごとに動機や衝動を失っていく。
ネタバレレビューを読む
私自身は正直なところ、恋愛とかもう面倒だなあ、と思ってはいるのだが、それでも、店長の状況はちょっとうらやましいとも思った。
これまた、相手が女子高生だからでも美人だからでもない。自分を突き動かしてくれる、変化をもたらしてくれる存在がいることがうらやましい、ということだ。
もっとも、そういう相手は恋愛じゃなくても存在しうるとは思うけど、恋愛のマジックは強力だから。

もしかしたら、人がいくつになっても、程度の差こそあれ、恋愛を(あるいは恋愛をしていた時代を)忘れないのは、それが何かが動き出す始点だってことを知っているからかもしれない。

本作はこういったことを考えさせてくれる作品で、「ポルノ」じゃない。「恋愛について」の作品だ。


■年齢差

あらすじを読んだときに、ちょっとコメディタッチなのかな、と思った。
年齢に限らないけれど、立場や性別など様々な「差」を使ったコメディは多い。

実際は、たしかに多少、コメディっぽい部分もあるけれど、そこは添え物みたいなもので、年齢差は上記の「恋愛について」の諸々をより明示的に描くために活かされていたと思う。

本作を端的にいえば、ネタバレレビューを読む物語ということになるのだけれど、実はこの話は「おじさんとおばさん」でも、高校生同士でも全然成立する。
ていうか、恋愛物は一言で言ってしまえば「誰かと誰かが出会って恋をして変化する」フォーマットになるので、それだけに登場人物の設定と関係性にいかに特色を出すかが肝になる。

本作は年齢差を設けることで、ネタバレレビューを読むという着地だ。
ちなみに、これは「だから、どんな相手でも恋愛しようぜ」みたいなことではない(もちろん、そう思う人がいてもいいけれど)。
実際、物語の終盤になるとネタバレレビューを読むことの始まりに過ぎなくなっている。
つまり、先の言葉をより正確に言うなら、「恋愛がことの始まり」であることに年齢差はないということになる。

年齢差によって様々なシチュエーションを生み出しつつ、最終的にはネタバレレビューを読むとても清々しい印象を持った。
これもひとつの成就のかたちだと思う。

※蛇足

本レビューを書いているうちに思い出した恋愛ものの作品を挙げてみました。
関心があれば、ぜひ、ご覧くださいませ。

・年齢差恋愛

「ハロルドとモード」
アメリカ映画。親子どころではなく、祖母と孫ほどの年齢差の恋愛もの。
本作との共通点はあまりない。というか、部分的には正反対のベクトル。

・「おじさんとおばさん」の恋愛

「恋愛ものはおじさんとおばさんでも成立する」みたいなことを書いているときに思い出した作品。若い人には想像が難しいかもしれないが、自分がおじさんになると、きっちり、おばさんが恋愛対象になってくるから不思議。

「コキーユ」
日本映画。おじさんとおばさんの恋愛もの、かつ、不倫ものでもある。
と書くと嫌悪感を抱く人もいるのかな。
私はそれなりに若い時に当時の彼女と観た。彼女は「浮気、ダメ絶対」な人だったが(まあ、普通はそうだと思うが)、号泣していた。
少なくともそういう作品ではある。とても切ない純愛もの。

「レスラー」
アメリカ映画。落ちぶれたプロレスラーが再起をかける話で、恋愛が中心ではないが、恋愛要素はある。もちろん、おじさんとおばさんの恋愛。
おじさんとはもちろん、再起をかけたプロレスラーなのだが、メンタル的には近藤店長(と後藤隊長と、認めたくはないが私)と共通したものを持っている。
「恋雨」とも「コキーユ」とも違うのはおばさんもまた、似たようなメンタルを持っていることで、そんな2人が出会うとどうなるかが見所といえば見所。想像できると思うが亀よりも遅い発展速度。残念ながら個人的には本レビューに挙げた作品の中でもっともリアリティがあった。
最後にこんなことを言うのもなんだが、あきらのようにグイグイ来てくれるのは、男としては楽だよな、とちょっと思う。こういう場合に「嬉しい」よりも「楽」が先に立つのが(一部の、だが、それなりの数の)おじさんのメンタルである。女子のみなさまは覚えておくといつか役に立つかもしれない。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 5
ネタバレ

るるかん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

夢への扉を開く鍵

 女子高生とおっさんがどういう恋愛を展開していくのだろう・・・?という興味からこの作品を見始めたわけですが、最終話に近くなるにつれて、これってそういう話じゃないのか・・・?ネタバレレビューを読む
 もちろん、続きがあるのでしょう。原作ファンの方はこの終わり方をどのように捉えているのか、みなさんのレビューを拝見したいと思います。
 
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11話~12話ネタバレレビューを読む
10話ネタバレレビューを読む
9話ネタバレレビューを読む
8話ネタバレレビューを読む
7話ネタバレレビューを読む
6話ネタバレレビューを読む
5話 ネタバレレビューを読む
4話ネタバレレビューを読む
3話ネタバレレビューを読む
2話ネタバレレビューを読む
1話ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/02/01
♥ : 34
ネタバレ

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

演出&構成の妙、ただひたすらに美しい 

☆物語&感想☆

女子高生が45歳の冴えない中年男性に恋をする、ジャンルとしては恋愛になるんでしょうが、
この作品は純粋な恋愛モノかと言われれば、そうとも言えるし少し違うとも言えるかもしれません。
よくある恋愛作品では、その多くが告白をクライマックスに持ってくるものが多いものの、
本作ではそこまでの過程はあまり描かれず、むしろ告白してからの物語。
恋が成就する、しない、と言った結果に重きを置いて本作を観るなら肩透かしを食らうかもしれません。

設定として店長と従業員、女子高生と45歳でバツイチ、子供有りという立場上、
その想いにどう向き合っていくのか、グイグイと来る橘さんに対する店長の行動は、
常に思慮深く理性的でしたが、揺れ動く心情はとても繊細に描かれていて、
本作の象徴的なシーンとして、7話台風の日の場面は最大の魅せ場だったと思います。
まぁ自分だったら絶対抱いてしまうでしょう、犯罪やけど笑

店長に想いを寄せる橘さんの恋、という序盤からの流れでは、
ネタバレレビューを読む
で、お互いの関わり合いの中で自分の中に仕舞っていた、忘れていた思いを呼び覚まし、
一歩歩き出す。。ラストは少々唐突かなとも感じましたが、
将来的な可能性に含みを持たせた想像の余地を残す終わり方で、タイトルも回収、綺麗でした。
この物語は毎話と言っていいほど雨の描写が有りましたが、
店長と橘さんの関係、二人の胸に押し留めていた想いは、
言ってみれば降り続く雨の中の雨宿りだったんでしょう。

後半の店長と旧友の友情、描かれ方もノスタルジックで味わい深く、
また橘さんとハルカの関係も瑞々しく青臭い青春を感じさせる、こちらも同様に上手く描かれていたので、
純粋な恋愛だけじゃない、もう一つのアナザーストーリーとしても楽しめ、
結果的に上手くまとまっており良かったと思います。

☆声優☆

この作品が成功するかどうかは、ぶっちゃけ店長のキャスティングと演技に掛かっている、
と言えるぐらい重要だったと思いますが、平田広明氏は見事期待に応えてくれましたね。
冴えない間抜けな中年男性の一面と、逆に含みを持たせじっくりと聞かせる演技は圧巻。
最近観た「B:THE BEGINING」では圧倒的な凄みと渋さでしたが、
今回は演じ分けが凄い、またしても名優の演技を堪能させてもらいました。

橘さん役の方もイメージ通りで良かったですが、
それ以上に意外な発見として驚いたのは、西田さん役の福原遥さん。
初めて久野美咲さんの声を聴いた時くらいの、特徴的な萌えボイスが衝撃的でした笑
ノイタミナによくある芸能人のゴリ押しキャスティングながら、
普段女優メインでも子役からやっていて声優経験もあるだけあって演技も全く違和感なく良かったです。
あの声は今の声優界でもなかなかの逸材だと思うので、今後声優としても是非活動してもらいたいですね。

☆キャラ☆

店長の台詞がとにかく平田広明氏の演技によって抜群の説得力を持って響いてきました。
作者は女性ながらヒロインの橘さん以上に、中年男性の店長の描写が優れていたのは驚きました。
橘さんとハルカは店長とは対照的に自身の独白は殆どありませんでしたが、
キャラの思いを汲ませるには充分。
橘さんの店長への想いが一点の曇り無く真っ直ぐで純粋で美しい...ほんま店長裏山過ぎる。。
脇役ながら西田さんが癒しの存在で好印象、彼女の涙には思わずもらい泣き。

☆作画☆

まずキャラデザインが今風のアニメにありがちな感じじゃなく、
どことなく昭和っぽいところに惹かれましたね~橘さん何頭身?...スタイル良すぎ。
WIT STUDIOの安定感は最後まで保たれ、1カット1カットの見せ方が印象的なシーンが随所に見られました。
橘さん、ハルカ、西田さんの表情、横顔が何とも美しかった。

☆音楽☆

OPはそんなに好みでもなかったですが、
底抜けに明るくファンシーかつポップなアニメーションとの相性は良かったと思います。
対照的にしっとりと聴かせるAimerのEDが抜群で毎話素晴らしい余韻を与えてくれました。
そして何と言っても作中BGMが良い仕事してましたね、曲数はそこまで多くはなかったようにも思いますが、
とても印象的で胸に響く良い曲だったと思います。


最後に...物語の展開や出来事だけを見ていくと、
恋愛作品としては単純に劇的さや面白さはそこまで無いかもしれませんが、
この作品は各キャラクターの心の機微の描き方や演出面が見事で美しかった。
雨の背景、表情の見せ方、間の取り方、聴かせるBGM、
そこに重なる平田広明氏の圧倒的な演技と含蓄のある台詞の数々...
情感の豊かさ、趣きは芸術性すら感じさせる、大人の感性に訴えかけるノイタミナらしい秀作だったと思います。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 21

79.7 2 ファミレスで友情なアニメランキング2位
映画 中二病でも恋がしたい! -Take On Me-(アニメ映画)

2018年1月6日
★★★★☆ 4.0 (369)
2281人が棚に入れました
高校3年生への進学を間近にした春休みを舞台として、勇太たちの新たな物語が描かれる。ある日、立花の姉・十花は、成績のかんばしくない立花を連れてイタリアに移住することを宣言。これを知った丹生谷森夏(にぶたにしんか)から、立花との駆け落ちを提案された勇太は、立花とともに日本全国を駆け巡る逃走劇を繰り広げる。

声優・キャラクター
福山潤、内田真礼、赤﨑千夏、浅倉杏美、上坂すみれ、長妻樹里、保志総一朗、仙台エリ、福原香織、井上喜久子、岩男潤子

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

さぁ! 一緒に旅に出よう

「十八歳。高校最後の年。なのに六花は…まだ中二病だった」
この劇場版は、この様なくだりから物語が始まるのですが、この作品の視聴意欲を一気に高めてくれるのが公式HPに記載されたイントロダクションの内容です。

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かつて、邪王真眼とダークフレイムマスターが邂逅し、暗黒神話が紡がれた。
そしてすべては神々の祝福を以て終焉を迎えた…はずだった。
だがしかし、暗黒神話には続きが存在した。

 それは二人を引き裂く危機(クライシス)
 それは若さゆえの逃亡劇(エクソダス)
 追い求めるのは安息の地・幻想郷(ザナドゥ)

刮目せよ。
語られるは、隠匿されし暗黒神話の最終章(カタストロフィ)…。
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↑(公式HPより)

凄く表現が難しいですが、富樫 勇太と小鳥遊 六花の物語は、第2期「中二病でも恋がしたい!戀」で完結した筈だったのですが、一向に中二病から卒業できない六花に業を煮やした十花さんから、二人を引き離す大英断が下される…

その大英断をアニメ化したのがこの作品です。
やっぱり勇太と六花の仲が進展するのは想像し辛いですから…
それは早々に確認できました。
大学受験も見えてきた高校3年生間近の春休み…
相も変わらず勇太と六花は同じ屋根の下に住んでいるというのに、上位契約も結べていないとの事でしたから…
もちろん、相応の責任も必要なので上位契約は結べば良いというモノではありません。

でも、もし上位契約を結べない理由があるなら…?
確かに、上位契約に至るまでのプロセスはとても大切ですし、間違いなく一歩前進しなければ到達できる場所ではありません。
一歩前進するのに気持ちの上でも整理が必要ですから…
それに一歩進んだら、もう後戻りはできませんから…
この作品では、この部分を深掘りしているのが特徴であり最大の見せ場だと思います。

この物語で何が描かれるか…?
それは公式HPのイントロダクションを見れば、枝葉までは分からなくても幹の部分は凡そ予想が付くと思います。
そう、この作品ではイントロダクションに隠された部分が抜群に素晴らしいんです。

もちろん、二人とも恥ずかしがり屋なので物事が遅々として進まないのは仕方なしだと思いますが、お互い好き同士であるにも関わらず進まないのは、何故なんでしょうね…?

勇太はダークフレイムマスターで、六花が邪王真眼…これが始まりで、二人にとってこれが全部なんですよね。
前に進むという事は成長すること…
成長するということは、自分自身の殻を破る…或いは様々な変化を受け入れるということ…
変化を受け入れる過程では、手放さなければならないモノだって、きっと一つや二つではないでしょう…

どれもこれも自分…で間違いないと思います。
でももし、自分が変わっていったその果てで見る姿…それが自分が自分じゃなくなっていたら…?
ややもすると、これまでの自分を全否定することになるかもしれない…
自分を否定すること…これはきっと受け入れられると思います。
だって、自分の気持ちに折り合いを付ければ良いのだから…
でも変化って、自分自身の折り合いだけじゃ済まない場合って…沢山ありますよね。

もしそれに気付いてしまったら…変化を怖いと思う気持ちは抑えきれないと思います。
どんなに優しい言葉で包んで貰っても、その果てに自分がしっかりと投影できなければ、一歩踏み出すのは難しいのでしょう…。
だって踏み出そうとするたびに、例え様の無い不安に襲われるのですから…
そして二人はそういう日々を積み重ねてきたのだから…

大人になるために変わらなくちゃいけない…
そんな変化の狭間の間際で、彼らは何を思い何を考えるのか…?
そして彼らにとっての一番の大切な何なのか…?
この作品一番の見どころは、眩しいくらいに輝いていたと思います。

オープニング曲は「JOURNEY」
挿入歌は「Please,Take on me♡」
エンディング曲は「こころのなまえ」
全てZAQさん提供の楽曲です。
やっぱりこの作品にはZAQさんの楽曲がピッタリですね♪

上映時間は約100分…
ですがとても濃厚な100分を堪能できると思います。
しっかり堪能させて頂いた作品になりました。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 18
ネタバレ

おぬごん さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ああ、『中二病でも恋がしたい!』の映画だ(しみじみ)

テレビアニメ2期と総集編映画まで制作された、「KAエスマ文庫」原作の京アニ作品、現在まで続くその後の京アニの路線を決定付けたと言っても過言ではない『中二病でも恋がしたい!』の完全新作劇場版
見に行くかどうか迷ってたんですが、ちょうど休みとサービスデーの月初め1日が重なったので鑑賞


ストーリーは事前情報のとおり、勇太と六花の陸海空を股にかけた逃避行でしたが、
感想としては記事タイトルのとおり「ああ、『中二病でも恋がしたい!』の映画だ」としみじみ感じましたねw
『中二病』最大の魅力の2人のいちゃいちゃが特盛りでニヤニヤが止まらず、森サマーと凸守のコンビに笑ってニヤニヤできて、登場キャラがみんないい子で作り込みも丁寧でストレスフリー
描かれるテーマもやっぱり以前と同じ ネタバレレビューを読むでしたが、久々に見る『中二病』ということで、そんないつも通りの展開が心地よくも懐かしいというポジティブな印象を受けました
周囲のお客さんも口々に「めっちゃ懐かしかった!」って言ってましたし
1期は5年ちょっと前、2期も4年前なんですよね~…そりゃ懐かしいわけだ
そういう感じですので、私と同じかつてTVアニメが好きだった人は楽しめる一方で、最近(それこそ今やってるTBSの再放送とかで)作品を知った方とか、この作品を何度も見返しているようなファンにはやや新鮮さの無い内容かもしれません


先述のとおり私自身『中二病』に触れるのは4年ぶりでしたが、それでもすんなり作品に入れたあたり、作品とキャラのシンプルな個性の強さを感じました
導入としての撮影タイム&注意事項確認もお見事でしたし、キャストの演技にも全く違和感がありませんでした
主題歌・劇中歌が全てZAQだったのも好印象ですn
思えば六花のまれーたそ、森サマーの赤崎千夏、凸守のすみぺは3人とも1期当時はまだ売り出し中の新人でしたし、ZAQはこの作品が商業デビューでしたからね、きっと思い入れも人一倍あるんでしょう
またちゃんと作品内での時間軸(1期放送時・2012年の2年後≒2014年)で描かれているのが新聞記事の「ソチ五輪」やバスタ新宿が無いことから分かったり、他の京アニ作品の要素がサービス的に出てきたり、背景の美しさだったり、作り込みの細かさは流石の京アニでした


唯一にして最大最凶の難点なんですが、映画館での視聴に向いていないことですねw
この作品の最大の魅力は何と言っても勇太と六花のイチャイチャですが、公共の場故にその時に芽生える悶えや感情をぶつけることができないんですよ!!
ネット的な言い回しで言えば「殴る壁が無い」ってところでしょうか…私はTVアニメの時は「オッケーイ!」とか「っしゃーおらあ!!」みたいな声にならない声を上げて壁ではなく膝を叩きながら見ていたんですが、それもできず(笑)
見終わる頃にはポップコーンの箱がぐちゃぐちゃになっていましたw


特に目新しいことはありませんでしたが、今までと変わらない『中二病』が描かれていました
TVアニメが好きだった方は見て損は無いと思います


~余談~
平日昼の池袋ということもあり客層は大学生っぽい若者が中心でしたが、意外と女性が多かったんですよね
私見で5:5か、6:4でちょっと男性が多いくらい
女子ばっかりのこの作品はてっきり男性ファンが多いものだと思っていたんですが、勇太も六花も可愛いから女性も入りやすかったんですかね?
もちろん京アニブランドの力と、池袋という土地柄もあると思いますが

投稿 : 2025/02/01
♥ : 17

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

映画の基本形態として“ロードムービー”と“ラブコメ”がありますが両面から観ても傑作!つまり“NL”も“GL”も楽しめる!(爆)

KAエスマ文庫のライトノベル第1作でありつつ、同レーベルから京都アニメーションがアニメ化した第1作でもあります『中二病でも恋がしたい!』シリーズ
2012年秋に深夜アニメ化され、2013年秋にその総集編映画が公開(←これが本当にクソ映画だったw)、2014年春に第2期が放送
そしておおよそ4年ぶりの完全新作となるのが今作


思春期にありがちなファンタジーやオカルトな妄想に没入するいわゆる“中二病”をテーマとし、元・中二病患者と現在進行形で中二病なキャラクター達のコミカルなやりとりを中心に彼らの青春を描くラブコメシリーズ


中二病=“脳内がファンタジー”という狭義的な使い方を世間一般に刷り込んでしまった問題作だとオイラは思っています…


今作では極度の中二病患者なヒロイン小鳥遊立花と、彼女に愛の告白を果たしたものの微妙な距離感を保ったままの元・中二病患者の主人公富樫勇太がとある事情からいわゆる“かけおち”行為に出ます


当然ながら立花の姉で、立花を中二病から無理矢理にでも卒業させたい十花がこの蛮行を許すはずも無く、二人の逃避行を追跡するよう丹生谷森夏と凸守早苗を恐喝しこれをけしかけます


かくして作中の舞台である滋賀県を飛び出したキャラ達は日本列島を縦断する大逃走劇を繰り広げるのが今作ポイントです


面白いのが追う者と追われる者、両方を並行して描くのが逃走劇の基本ではありますが、
勇太と立花のサイドでは煮えきれない二人の微妙な距離感でのイチャイチャラブコメが展開するのに対して、
丹生谷と凸守のサイドではいつも喧嘩が絶えない二人に少しずつ友情(以上?w)が芽生えていくのを両面から楽しめるということでしょう
どの派閥の客層にも応えたシナリオを書いた花田先生には拍手しかありませんw


そして最終的なテーマというか、スタッフも恐らく今作を『中二恋』シリーズの完結篇と捉えている事がよくわかるのが、旅の中で徐々に立花が“中二病”からの卒業を考え始めている、のが直接的でなくメタファーとして感じ取れる部分でしょう
しかしこれまでのシリーズでは散々“中二病”を肯定的に捉えたにも関わらず、ここで簡単に卒業なんてさせないのが今作の面白いところで、立花にとって中二病を卒業することが、イコールで自身のアイデンティティを喪失することになる、という苦悩で葛藤する様が実に哲学的かつ青春ドラマしてます


そんなところが演出面、作画面、声の芝居の面など多方面から丁寧に描かれていました
シナリオだけが魅力ではないということです
勇太からプレゼントされた“「痛いw」デザインの指輪”を見つめる立花のシークエンスで、彼女の表情には複雑な想いが詰まっていることが感じ取れますね
また、自問自答する立花がメタモルフォーゼして最後は消えていく演出はエヴァンゲリオンの最終回のオマージュの様にも感じ取れました


ロードムービーということでロケハンも丁寧、聖地巡礼のし甲斐がありそうですねw
至極個人的ですが某フェリーターミナルが描写されたので一人旅をした時のことを思い出し懐かしくなりました…


中二病、ラブコメ…字面だけ読むと大変痛々しい作品ではありますがwそれらをひっくるめて愛してしまったのが今作なんだと思います
「痛い痛いw」と言い続けていたら1周回ってまた中二病に戻ってくるのが人間なのかもしれません
もちろんオイラもその1人、ですが

投稿 : 2025/02/01
♥ : 21
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