ようす さんの感想・評価
4.2
大人でダンディな魅力とは、こういうことさ。
1992年公開のジブリ作品。
長編映画としては6作目に挙げられています。
原作・脚本・監督は宮崎駿。
100分ほどの作品です。
● ストーリー
豚の姿で飛空艇を操り、
空賊相手の賞金稼ぎをしているポルコ・ロッソ。
商売の邪魔をされることで彼を目の敵にしている空賊や、
イタリアの政権に非協力的なことから彼を捉えようと狙う空軍など、
彼を取り囲む様々な人たちとの日々を
イタリアのアドリア海を舞台にして描いた物語。
“空の戦い”も多く描かれている中で、
争いの無常さや悲しみが強調されていません。
むしろ、
空賊との争いのシーンで子どもたちが無邪気に笑っていたり、
のんきなBGMが流れていたりと、道楽的な要素の方が強いです。
これは、作中でポルコも言っていたように“戦争”ではないから、
というのが大きいと思います。
さらに、「とにかくポルコがかっこいい」というのが、
この作品では大きく印象に残る部分です。
見た目は豚です。体系もぽっちゃりです。
だけど、言動がいちいちかっこいいんだよなあ。
男のかっこよさというものは、
見た目だけで決まるものではないということが、
ポルコによって証明されました。笑
≪ ポルコの見た目は、なぜ豚? ≫
人間でもいいのでは…と、
序盤では思っていました。
しかし、物語が進むにつれ、
ポルコの姿が豚であるからこそ、
この作品に独特の味が生まれていることに気づきました。
もしもポルコの姿が人間だったら…。
この作品は、ただのヒューマンドラマ。
しかし“豚の姿”を取り入れることで、
どこかファンタジーな、ジブリ独自の世界観と見事に融合。
結果として、
彼をジブリの代表的なキャラとして位置付けることに成功したように思います。
他のキャラとの“差別化”。
彼は特別なキャラであることを、まずは視覚で印象づける。
豚の姿であってもかっこよくてモテる。
人間とは違うし、人間らしくもある。
いやもう、この作品を見て、
ポルコに惚れない人が果たしているのだろうかw
ちなみになぜ豚なのか、というと、
監督が公式で述べている理由の一つは、
『豚は尊敬されないけど、少なくともあんまり憎まれない。
犬だと忠義を描かなければならないし、ネコは自分のことしか考えない。』
と感じたからだそうです。へえ~。
● キャラクター
この作品のキャッチコピーの一つでもある
「カッコイイとは、こういうことさ。」が指すのは、
きっと主人公・ポルコのことでしょう。
ポルコの他にもう一人、
大好きなキャラがいます。
それが、飛行艇製造会社「ピッコロ社」の経営者の孫娘・フィオです。
メインヒロインの一人であると思われるジーナよりも、
私はフィオの方が強く印象に残りました。
強気でばっさりはっきりな性格が大好きですw
ジブリ作品って女が強く描かれていますよね。
冒頭の子どもたちもみんな女の子だったけど、
空賊に手を焼かせるほどの自由奔放さがあったし、
飛行艇製造の女性たちもたくましかった。
弱くて守られて…じゃなくて、
男たちが手に負えなくて頭を抱えてしまうような女の強さと自由さ、
大好きです♪
ちなみに私がこの作品が大好きだと思った決定打は、
ラストの{netabare} フィオのキス {/netabare}です。
一瞬の出来事だったけど、
一瞬だから素敵!最高の演出!と、この作品が大好きになりました^^
● 音楽
大人向けジブリということで、
主題歌も挿入歌も大人ですよねー。
【 挿入歌「さくらんぼの実る頃」/ 加藤登紀子 】
【 主題歌「時には昔の話を」/ 加藤登紀子 】
加藤登紀子さんは、
作中でジーナを演じています。
ジブリの主題歌をヒロイン役を演じた役者が歌うのは、
これが初めての事だそうです。
これらの曲はこれまでにも聴いたことがありましたが、
この作品を見たことで、より好きになりました^^
やっぱりアニメの主題歌は、
その作品を見て初めて本当の良さがわかりますね~。
● まとめ
この作品、私はとっても好きです。
確かに子どもよりも、
大人向けのジブリ作品です。
ストーリーもよかったけれど、
キャラが自身の意志を自然と貫く姿が何よりも心地いい。
見てよかったです♪