芝生まじりの丘 さんの感想・評価
4.1
ほどよき芸術性
世の中の物語にはその作品のテーマ、寓意が私の理解の範疇を超えてしまうことが度々ある。lainとかテクノクライズ、あるいはカフカの短編だとか。
そういった作品については、色々と個々人の考察も出ているけれど、皆違うことを言っていて、まあ皆正解ではないのだろうな、と思う。
しかし、これはクイズではないので正解することが目的ではない、全てを理解する必要はないし、正しく理解する必要もない。
また、果たして、こういった作品において作者がその意図を明確に伝える気があるのか甚だ疑問である。多分作者も明確な何かを伝える気はないのだ。
さて、この話は、難解ではないけれど、物語の寓意、作者の意図は曖昧である。言葉にしてしまうと逃げてしまうような感じがある。
しかし、このわかりやすいのに不可解という矛盾、山村浩二の映像の世界、単純で奇妙なストーリー、そういったものが見ていて確かに心地よい。
なかなか素敵な作品ではないか。