ドワーフで料理なおすすめアニメランキング 4

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのドワーフで料理な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月23日の時点で一番のドワーフで料理なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

81.5 1 ドワーフで料理なアニメランキング1位
異世界食堂(TVアニメ動画)

2017年夏アニメ
★★★★☆ 3.7 (830)
3873人が棚に入れました
オフィス街に程近い商店街の一角、雑居ビルの地下一階にその店はある。
猫の絵が描かれた看板が目印の、創業70年の老舗食堂「洋食のねこや」。

どこにでもありそうなこの洋食屋の扉は、週に一度”特別営業”の土曜日にだけ「ある世界」とつながる。
異世界の様々な場所に現れる扉を通じてやってくる、生まれも文化も、種族すらもバラバラな「向こうの世界」の客たち。
そんな彼らが分け隔てなく料理に舌鼓を打てる、不思議な”魅力”がここ「異世界食堂」にはある。

この店で生まれる異世界と現代、食堂に集う人々と店主、そして料理との一期一会を描く、温かい出会いの物語。

声優・キャラクター
諏訪部順一、上坂すみれ、大西沙織、安野希世乃、伊藤静、清川元夢、大塚芳忠、立木文彦、杉田智和

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ご飯の作画にどこまで本気出せるか…? (種族交流のサロンとしての魅力も!)追記:「ねこやの扉」による類似作品との差別化

ヒーロー文庫刊行の同タイトルのラノベが原作で、既刊3巻とweb版(「小説家になろう」掲載)も既読です。

3巻目相当分くらいからweb版と大きなストーリー分岐が発生してて、web版の更新はいま多分止まっていると思います。

原作の特徴は食べ物の材料や調理方法の記述が具体的である一方、材料の呼び名は「異世界風」になっていることです。料理に一定以上の知識があればこちらの世界のどのような材料かは想定可能なのでそれを思い浮かべながら読むのが楽しみの一つだと思うのですが、それはアニメという媒体では再現不能だと思うのでどのように演出するのかが楽しみです。

そこを失敗すると駄作への道をまっしぐら…?

ただ、異世界から見ると「異世界」にある本作の舞台「洋食のねこや」が異世界の各種族から見ると中立の「社交サロン」化していて、そちらの人(?)的交流面からのドラマも楽しめるとは思います。

ご飯一辺倒の作品ではないので、そちらにも期待しましょう。

2017.6.19追記:
公式からPV来ましたね。やはり深夜アニメとしての「華」(ヒロイン)は必要ということで、想定通りアレッタ投入は原作と異なり放送開始早々となりそうですね。あと、店主が原作でイメージしてたよりはイケメン風(笑)。

2017.6.22追記:
PVにもキャラクター紹介にもいたから、クロも早期投入ですね。原作だと3巻からですけど…。
==↑以上は、放送開始前のレビュー ============================

2017.7.4追記:
初回を視聴。とりあえずAパート「ビーフシチュー」で赤の女王、Bパート「モーニング」でアレッタ登場。「ねこやの扉」に関する説明は、次回以降ですかね。

料理名が各話タイトルになるのは原作通りのようです。原作自体が短編連作形式なので、少々のストーリー順変更は問題ありません。食べ物の作画は良かったです。まあ、ダメだったらこのアニメ自体が台無しですが。

2017.8.22追記:
第8話視聴完了。トレジャーハンターであるサラの、妹であるシアが登場しました。それと洋菓子屋「フライングパピー」の存在がアニメ作中で明らかに。原作ではこのエピソード以降、サラの自宅も何度か出てくるようになりますけどアニメではどうでしょうね…?

2017.8.29追記:
アニメのラナーは「褐色巨乳ボクっ娘異母妹」で属性盛りすぎ、満貫です(笑)。なお、原作で男っぽい口調で話す描写はあるものの明確な「ボクっ娘」設定については書かれていません。

2017.9.19追記:
最終回視聴終了。肝心の食べ物の作画ではなんとか持ちこたえたものの一部作画に微妙な点はあったかと思いますが、まあ合格点ですかね。

ストーリー的には原作のエピソード順を変更したり複数のエピソードをまとめたりしつつ、シリーズ構成的には破綻なくうまくまとめたということでこちらも合格点だと思います。

最終回で「ねこや」がつながった異世界と店主の関係についてもある程度は明かされ、作品的にも原作の販促という点でも期待通りかそれ以上の成果は出せたのではないでしょうか。

反響によっては2期目の制作もあり得ると思います。原作のストック量的には問題はないと思いますので、期待したいところです。

2期目があれば、原作には出てきていてまだ未登場のキャラクターもいますので追加キャストにも期待したいところです。

2018.4.18追記:
現代の日本人が異世界に転移なり転生あるいは店舗が異世界につながるなどして、そこで現代日本で知られる調理技術や食材、調味料などにより異世界では知られていない料理によって無双する話は数多あります。

そんな中で本作品を他作品から差別化している要素は、使用期間が限定される転移ゲートである「ねこやの扉」です。

しかも異世界側の入り口が一つではないことによる来客の多様性とか、異世界側では一ヶ所の扉は1グループしか使えないことによる利権の発生とかが物語に深みを与えています。

それに扉がつながるのは土曜日だけということで店舗経営上の疑問も低減されますし、「扉」以外は現代日本なので食材や調味料の入手も自由度が高い(どちらの世界の食材も使用可能)です。

メニューは現地語により説明込みで記載されているのもポイントです。人間は案外食には保守的で、選ぶ自由度がある状況下で本当に得体がしれない物を食べる人はなかなかいないと思います。

類似作品と比べて、本作品は設定が練られていると言えるのではないでしょうか。

……などと別のアニメ作品を観て思いました、まる。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 78
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

なんだか幸せな気分になれる作品

原作未読。最終話まで視聴。

美味しい料理を食べた時の笑顔が、とても素敵な作品。
そして、そんな笑顔を見ているだけで、なんだか幸せな気分になれる作品。

この作品に出てくる料理は、どれも、我々にとって馴染みの深い物ばかり。
高級食材を使うような特別な料理など出てこない。
そういうところが良い。

しかし、どの料理も美味しいのに、{netabare}同じものばかり注文する{/netabare}不思議なお客さんたち。
きっと『週1回』というのがポイントなんだろうな。
毎日だったら、飽きちゃうよね?さすがに・・・。(笑)

あと、深夜アニメにはちょっと酷だよね?
見てるだけでお腹空いちゃう・・・。(笑)

投稿 : 2024/12/21
♥ : 70

◇fumi◆ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

まったりとしたそれでいて口の中でとろけるそこら辺にある洋食屋の料理

2017年放送のテレビアニメ 全12話

原作 犬塚淳平 監督構成 神保昌登 制作 SILVER LINK

原作は「小説家になろう」に発表されたもので主婦の友社のヒーロー文庫で書籍化された。
作者は3年間にわたって週一話ずつなろうに投稿していたもので、
その一部が書き直され、現在既刊4巻。
アニメはdアニメストアの人気投票で夏アニメ第一位を獲得したそうです。

とある日本の洋食屋「ねこや」は毎週土曜日になると、扉が異世界とつながる。
店主CV諏訪部順一 作者曰く「主人公ではない」 日本では普通レベルの料理人
アレッタCV上坂すみれ 魔族の少女 原作では脇役のようだがアニメでは主役に近い
黑(クロ)cv大西沙織 数万年生きた6柱の竜 ウェイトレス 後半のみ
 
一回2話放送で登場した料理は料理は

①ビーフシチュー②モーニング③メンチカツ④エビフライ⑤ミートソース⑥チョコレートパフェ
⑦オムライス⑧トーフステーキ⑨カツ丼⑩プリンアラモード⑪サンドイッチ⑫じゃがバター
⑬カレーライス⑭チキンカレー⑮ハンバーグ⑯クッキーアソート⑰シーフードフライ⑱クリームソーダ
⑲クレープ⑳納豆スパ㉑カルパッチョ㉒カレーパン㉓とん汁㉔コロッケ

まあ、とにかく美しいヒロイン(異世界では扱いが悪い)のアレッタ登場の、
②がまずは見どころでしょう。
クロも美しいんですが、ギャップ萌えというかギャグ要員に見えます。

で、①から㉔まで全部、異世界の住人がねこやの料理に驚嘆して、
美味しんぼ的セリフをつい口から出してしまうという作品です。
1クールであれば飽きずに楽しめ、幸せな空間を味わえるというもの。
以前の客が後ろにいるという点での物語性があります。
主人公はアレッタと毎回の客ですね。

作画は微妙ですが修正織り込み済みと思われます。
主に料理の作画に手を入れれば、まあ大丈夫でしょう。

こんな作品もあっていいという感じの外し設定ですが、
脚本も楽しい会話が多く、素直な気持ちになれる良作です。

本音を言うとソフト化後にゆっくり観たほうがいいような気がします。
毎回の美味しんぼのパロは大成功です。
ファンタジー要素はアニメでこそ、だと思います。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 51

76.0 2 ドワーフで料理なアニメランキング2位
ダンジョン飯(TVアニメ動画)

2024年冬アニメ
★★★★☆ 3.8 (298)
1010人が棚に入れました
ダンジョン飯。 それは、"食う"か"食われる"か――― ダンジョン深奥で、レッドドラゴンに妹が喰われた! 命からがら地上へ生還した冒険者のライオス。 再びダンジョンへ挑もうとするも、お金や食糧は迷宮の奥底……。 妹が消化されてしまうかもしれない危機的な状況の中、ライオスは決意する。 「食糧は、迷宮内で自給自足する!」 スライム、バジリスク、ミミック、そしてドラゴン! 襲い来る魔物たちを食べながらダンジョン踏破を目指せ、冒険者よ!

声優・キャラクター
ライオス:熊谷健太郎
マルシル:千本木彩花
チルチャック:泊明日菜
センシ:中博史
ファリン:早見沙織
ナマリ:三木晶
シュロー:川田紳司
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

重層的なストーリーと優れたアニメ技術。最高の作品です。

 この作品は、ファンタジー世界で架空のグルメをやっているというのが第1階層の見方だと思います。そして、極端な各キャラがギャグとして機能していることでしょう。これが表層です。
 マンドレイクのところでマルシルが伝統的な食物の採集方法を提示したのをみんなで馬鹿にしていました。ですが、結果として伝統的な方がおいしいということで、効率によって失われるものがある、などの問題を提起していました。

 第2階層ではそれぞれのキャラの性格造形がどういう過去があるからなのか。そのヒューマンドラマを楽しむということだと思います。なぜ、そのキャラの言動はそうなのか。センシ、マルシルを中心に描かれました。もちろんそのほかのメンバーもです。
 加えて、ライオス、ファリンの兄妹の性格造形も明らかになりましたが、天才型の孤独ですよね。
 シェイプシフターではペルソナ問題、人からの見た目が表現されれていました。

 第3階層では世界観です。ダンジョン、種族、歴史。そういったものの作りこみです。どこまでも緻密に考えられているだろう生態系を含め、ああ、そういうことか…ということです。もちろん、ゴーレムの畑などはわかりやすかったです。
 そこに狂乱の魔術師や1000年前の王国などが重なることで謎としても機能しています。ダンジョンは欲望をかなえる。金がとれる。狂乱の魔術師を倒せば主になれる。つまり、オークたちとの闘いの場面も含め、人間社会の縮図でもあります。

 第4階層として、生きること、食物連鎖の部分です。これは冒頭でマルシルが墓場の植物を食べるのを嫌がったことと、食人植物のところで人を吸収したものは、人を食べることと同義か?という問題がありました。そして、センシの過去の物語。加えてファリンをもとに戻す、イヅツミとファリンの魂と体の結びつき。これが生命のサイクルという哲学として、ダンジョンの生態系と結びついてきます。

 これはまだ原作者の意図がつかみきれないのですが、チルチャックが24話で「なんの肉だ?」と言っているのは、おそらく人肉でしょう。イヅツミの毛が伏線なんだと思います。
 原作者はカニバリズムにも何かあるのでしょうか。緊急避難です。日本では「ひかりごけ」や海外でも「アンデス墜落事故」などが有名ですが、〇〇〇〇の〇ープ問題にも通じますが、どうもこの点、原作者はこだわりがあるようです。ファリンを食べるという点でも、どこまでが人でどこまでが魔物なんだというあいまいな境界線の問題を提示しています。

 カニバリズムというより、食物を吸収することで違う性質をもつ、つまり生命の連鎖とも取れます。大きな命題は受け取れていると思うのですが、そこにどんな意図があるのかがつかみ切れていないもどかしさがあります。

 生きるための食事。採取し調理して食べる。人間はそのシンプルなことだけで生きられます。ですが、欲望にとらわれると…黄金の都と永遠の命とは…それは人への執着も含めてなのかもしれません。ファリンを追いかけるライオス一行と、王を生かそうとする狂乱の魔術師に違いがあるのか?


 ざっと振り返るだけで、読み取れることがいくらでも出てきます。重層的なストーリーと優れたアニメ技術。最高の作品です。テーマやキャラ、一貫性そして作画、音楽、演出、構成などを含め、完成度で言えば、ちょっと他に類例がないくらい素晴らしい作品だと思います。

 ということでテレビアニメNO1作品の一つとして推したい作品でした。2期決定もいつになることやらという感じですので、心待ちにしつつ原作を読み込みます。





1話 グルメ×異世界を楽しむ?それとも教養が試されている?

{netabare} 本作原作は未読ですが、原作者の九井諒子氏の短編集2作が好きで読んでいました。神話・聖書・民話などの物語、SF、そして社会問題を上手く絡めていて、かなりハイコンテクストで教養が試されるような作品集でした。

 その九井氏の作品ですから、一筋縄ではいかない…と思って見始めたら、うーん…うーん…なるほどわからん。グルメマンガ×異世界もの…しかもそれを架空の魔物でやろうというのは分かりますが…
 調理法を見る限り、現実の食べものを参考にして設定を面白がって作ったのかなあ…という気がします。何か自分で独自の「系」を作るのが好きな人なのかもしれません。

 単純にそれを面白がればいいのか、食文化等に対する何等かのメッセージが暗喩されているのか…まあ、まだ1話ですからいいんですけど、氏の過去作を知らなければ1話切りかも…という気もします。

 ちょっとエルフのお姉さんのキャラに現代女性の何かが乗っかっている気もしますが、キャラとしてはそれほど目新しい人物造形ではないのでわかりません。それにしても、このエルフのお姉さんの声優さん…低い声がいいですねえ…千本木彩花という方ですねえ…アニスフィア・無名・キルコの人ですか…結構グッときます。

 アニメのレベルは高いですけどね。グリッドマンユニバースの最後の場面で本作が映ってましたので、力が入っているのでしょう。



追記 原作者は物事を見る時に視点を変えて「行為」の本質を抽象し、その行為の意味をズラすとか違うものと組み合わせる…という人な気がします。

 食べるという行為は生命を維持すること。つまり魔物も生命である以上食べているはず。だから、魔物は食べられる。
 料理という行為「食べられないものを食べられるようにする」「おいしく加工する」である。だったらダンジョンにもグルメは有るはずだ、ということでしょう。
 さらに「グルメマンガ」「料理動画・番組」と「異世界もの」はどちらも人気ですから、組み合わせたんでしょう。

 だったら、出落ちのはずなんですけど、短編ばかりの原作者が長編を描けているということは出落ちではないと思います。そう考えると2話以降が楽しみかも。 {/netabare}


2話 コメディをやろうとしているのか、文化・文明を俯瞰しているのか。

{netabare} 料理という点でいえば、正直異世界グルメ、異世界調理というのは何の役にも立ちません。食材の知識はもちろんです。そこに何を見るか?ですね。もちろんエルルをコメディリリーフにしたギャグは面白いですが…ちょっと考えてみます。

 前半。栄養素が云々とかはそれっぽくウンチクを入れているだけですね。本当に読み取るべきは「古来から伝えられた技法は手間のようでもそれなりの理由がある」と言う事でしょう。効率化によって失われた価値があるということが主要なテーマだったかな?と思います。

 後半…はどうでしょう?専門性のある人間の繊細な努力が無駄ということが言いたいわけでなく、むしろ逆かも。適当な仕事の進め方で大雑把に何とかなっているように見えても、最終的には専門知識が必要になる。あるいは協力によって出来上がる、料理とは高度な人間の共同作業だとも取れます。

 あるいは罠というものを調理の道具に変える視点の問題なのかもしれません。バジリスクの尾と頭の関係も視点と先入観の話になっています。

 ということで、考察しようと思うといくらでも考察ポイントは出てきます。どうなんでしょうね?それはコメディをやろうとして原作者の教養がにじみ出ているだけなのか、それとも料理という文化・文明の視点を変えて俯瞰しているのか。

 さらに上の視点で言えば、食という人間に必須の営みに見える滑稽さと同時に努力と情熱を描いているのかもしれません。{/netabare}


3話 気楽に見ればいいかな…という感じです。

{netabare} 今回を見る限りあまり深い含意を込めようとしているわけではなく、エピソード作りの土台として教訓的なものを使っている、というスタンスが本作のような気がしました。

 世間に流布された風説や先入観を観察と実体験で打破すると言えば聞こえはいいですが、よくある話ではあります。成長という時間の流れも感じますけど。ただ、この3話は新キャラ?登場回の位置付けだった可能性はあります。

 いまのところ1回見る分には面白いですが、じゃあ、何度も見返して考察してテーマを深掘りしてという作品ではなさそうです。キャラに惚れるとかギャグが極めて面白いというわけでもないので、次回から気楽に見ることにします。で、気付きがあればレビューして考えてみます。

 ただ今回の甲冑についての生態はこじつけがひどかったかなあ。生物は事実は小説よりも奇なりがありますけどね。頭を探すとか、一列に並ぶとかどういう生態だよ…と。説明はありましたけどあまり納得感は無かったかな。やっぱり気になるのは次週以降アレはどうなるんでしょうね?{/netabare}


4話 ダンジョンが世界の縮図であるという少々重い感じがする話です。

{netabare}  気楽に見ればいいかなと3話で思いましたが、また随分と真面目な話をもってきました。

 前半は汚物の処理をして循環させないと暮らせないし、それが食物の連鎖になるという点ですね。人工の環境内だからこそ工夫と人手がいるという話でした。里山問題なども想起します。ゴーレムが減るというのは農地や自然破壊のアナロジーにもなります。つまりいずれは環境が悪化するということです。

 後半は民族紛争のお互いの理屈です。ただ、食べ物と子供の無邪気な疑問。なぜ奪うのか、なぜ仲良くできないのか。当然の疑問に対して本作では丸く収めましたがそれでも戦うのが人間です。

 中盤のところはその理から外れた人間たちの生きる価値、儚い運命ともとれますが、あの部分の描き方は少々分かりずらかったです。

 ということで、ダンジョンが世界の縮図であることが提示されていたと思います。軽いかと思えば重くなる不思議な作品ですね。原作者の本領はこっちの少し重い方な気がします。

 そう言えば2話で「毎回同じところで全滅」3話で「初めての死亡」というセリフがあったので当然普通にダンジョン内なら生きかえるという前提でいいんですよね?酒場のシーンはそういう理解で見てましたが…{/netabare}


5話 重層的にいろんな含意がある作品。見る側のセンスと教養が必要かも。

{netabare}  思っていたよりもというか、九井諒子氏らしいというか、かなり含意がある作品ですね。テーマというより世界の作り方に「視点」を感じます。となるとご都合主義に見えた3話の食べられる鎧の話も、生物の不思議な生態への感動のようなものを含んでいたのでしょう。宝の擬態にもそういう面を感じました。

 さらに少し考えを深めると金と欲についても考えさせられます。「あるわけがない」宝に気持ちをたやすく奪われる人間の弱さですね。

 そして、今回は「取りつかれる」でしたね。「イワシの頭も信心から」でもいいですが、むしろ今いない人に無意識に頼ってしまう心理が人間を弱くしてしまう点を描いていました。しかも、その流れでファリンというキャラを上手く描いていました。加えてグルメと絡めているのも工夫でした。重層的にいろんなものが含んでいる気がします。

 アイスクリームは霊が現れると気温が下がるという風説からの連想だと思います。

 4話、5話とどんどん面白くなってきました。キャラ萌えとお話だけでもちゃんと作品になっているのがすごいですね。ただ、うーん…どこかのタイミングでちょっと立ち戻って考察したいなあ…コミック原作はもったいないので、現状では保留ですね。見る側のセンスと教養が必要かもしれません。ついていけるかなあ… {/netabare}


6話 アニメのクオリティが高い回だったと思います。面白かった。

{netabare}  今回は演出と作画、非常に良かったです。あっという間に時間が過ぎました。マルシルがとても可愛かった…というよりかなり女性らしい(死語?)感じがしましたね。今回特にマルシルの横顔がかなり西洋人っぽい造形だった気がします。後半の作画はかなりデフォルメしてましたね。

 で、絵の内部は何かの伏線になっているのでしょうか?ダンジョン自体の正体がまだわからない状態ですし、内部の人は妙な存在感がありました。ダンジョンの来歴と関係があるのか。あるいは絵画=バーチャルリアリティの様なイメージとも取れますけど。ここは無理に深掘りしないで後で何かないか楽しみにしておきます。

 後半はチルチャックの性格が災いした感じでした。彼はこだわりもそうですけど、人に頼ることを知らないで危機になる感じですね。今までで一番おいしそうな回でした。{/netabare}


7話 1つのエピソードとしてアニメ全作品の中でも出色な出来でした。

{netabare}  今回は最高に面白かったですねえ。グリッドマンユニバースのEDで出てきたシーンですね。完パケかどうか知りませんが、ということはこの作品は制作が随分先行していたのでしょう。総作画監督が1人ですしね。なるほどクオリティが高いわけです。

 それと前回でてきた絵の中のダークエルフって、OPでチラッとでてますね。やっぱり主要人物なんでしょうか。

 ということで食材に対する感情の問題が前半でした。今回は馬と亜人です。現実世界でも韓国では犬食が法律で禁止するとかしないとか、日本でも馬はアメリカ人からすると許せないとか、鯨の商業捕鯨の再開などで、結構ホットな話題です。それとイカタコ食ですね。特にタコなどイタリア人と日本人、中国の一部くらいでしょうか。

 人間から見ると慣れて心が通いあっているように見えた動物が、単なる捕食のための行動だ、というのも面白いですね。哺乳類と食虫植物との対比のセリフがありました。それに対して分からないのはライオスだけとチルチャックは言っていましたが、結果的にあの馬と食虫植物の行動は一緒でした。

 漁の節度もあったし、食物連鎖の話がありました。これは明示的でしたが、この食物連鎖の説明が6話までで描かれてきたことの総括のような感じでした。寄生虫は…うーん。

 そして、石鹸と魔法のところです。魔法はセンシからすると自然の理に反するようですね。そしてヒゲを洗っていない。だから、魔法を受け付けない=自然と共生しているという意味でしょう。それが文明の力として石鹸を受け入れると魔法が上手くかかる。これを堕落とみるか進歩と見るか、ですね。やっぱりこういうところに本作の含意のレベルの高さが現れています。

 一番初めに死んだ人がどうなるのか、という説明不足も回収されていました。彼らがまた死んでたのが笑えますが、彼らの経験・知識不足あるいは多様性不足も見て取れますね。

 それにしてもマルシルの戦闘シーンよかったですね。面目躍如でした。今回は話も演出も含意も全部良かったです。今回は1エピソードとしてあらゆるアニメ作品の中でも出色な出来でした。最高だったと思います。

 どんどん面白くなりますが、含意が多く教養とリテラシーが必要なので振り落とされる人もでてきそうですね。 {/netabare}


8話 ダンジョン=バランスドアクアリウムということかな?

{netabare} 8話を見る限り、ダンジョンは大魔法使いの実験場的な物なんでしょうか。要するにボトルアクアリウムというかバランスアクアリウムということですよね。養殖というか栽培というかそういう発想ではなく、世界の環境を知るためのミニチュアの環境がダンジョンと言う事なのかもしれません。だから、食物連鎖の話をこんなにしつこくやったんですね。

 それと人間の欲望とか民族闘争みたいなもの、絵画の世界の歴史の様なものが絡まっていますので、ダンジョンの正体が面白そうです。

 内容が深い…というよりもゲーム世界的な異世界設定とこの設定を絡めてストーリー世界を構築いしているところが本当にすごいと思います。

 キャラ達の過去と絡めて非常に面白い回でした。ライオスが主役かと思ってたし定義上はそうなんでしょうけど、マルシルとファリンが真の主役っぽいですね。OPの演出もそんな感じがします。{/netabare}


9話 キャラの言動・感情・心の動きが不自然に感じる回でした。

{netabare} SFやファンタジーにおいて設定が荒唐無稽とか、話が多少ご都合主義とかは物語性がしっかりあれば全然OKだと思います。ただし、人の言動というか感情の動きが不自然なのはいただけません。

 その点で今回のナマリとタンス夫妻はちょっと不自然だった気がします。だったら再開のシーンをもっとマイルドにしても良かったのかなと思いました。
 もちろん友情というかかつての仲間に対する感情とか、表面と内面のズレの様なものはちゃんと感じられましたけど、どことなく不自然な感じがしました。

 鍋の設定は面白いですが、やはりどこかナマリの心の動きが不自然だった気がします。ファリンの人柄というのも強調されていましたので、後で今回感じた不自然さは回収されていくのでしょうか?

 死と魔法が明確に説明される重要な回でしたが、話の出来は全9話の中で一番「ん?あれ?」と感じた回でした。今後、理屈優先でキャラの感情・言動が不自然にならなければいいのですが。 {/netabare}


10話 ドラゴン戦が終わったらコミックス買っちゃおうかな?

{netabare}  カエルでちょっと「このすば」を思い出してしまいました。マルシルが相変わらず可愛くて何よりでした。

 世界観も徐々に見えてきました。まだまだ謎は多いですが、全体の形は見えてきました。あとはどういうストーリー、設定が待っているかです。2クール放送の発表なのでじっくり楽しめています。

 いよいよですね。レッドドラゴン戦を見たらコミックス買っちゃおうかな、というくらいには楽しめています。ナマリはちょっと前回の唐突感がありましたが、キャラとしては根は良い人っぽいですね。あるいはファリンの人柄なのでしょう。
 キャラ達が良い人過ぎるがちょっと世界観と合わない気がしますが、そこがファリンなんでしょうか?{/netabare}


12話 緻密な設定と世界観が素晴らしかったですが、蘇生をどうとるかですね。

{netabare} ちょうど折り返しということで、話の区切りも丁度よかったです。構成に不自然なところもないので、これはかなりの脚本・構成力だったと思います。

 お風呂…サービス回…なんでしょうけど、まあ、色っぽくはないですよね。この2人。マルシルは髪型とか、悲壮な表情に色気がある感じでした。

 今後については、壮大な世界観とこの後のエルフとはどういう存在なのか?がテーマになってくるのでしょうか。最後に出てきたタークエルフは絵の中の人?長命で長い間生きているということなんでしょうか。

 で、その世界観と設定の緻密さ、伏線などに魅了されてきましたが、ここに来て出てきた「古代魔法」ですね。これをどう考えるか。設定を後出しの設定で解決したように見えなくはないです。
 ただ、マルシルのマンゴラドラのやり方とかその辺りに古いタイプの魔術を使う仕込みがあった気もします。そこは評価をする前に古代魔法がフェアな設定で納得いく伏線があるのか、後出しジャンケンなのかは検討したいと思います。

 評価は暫定です。{/netabare}


14話 2クールで終わらないなら、もう原作読んじゃおうかな。

{netabare} マルシル成分が足りない不満足な1話でしたが、いろいろキャラの相関が見えてきましたね。

 1クールを終え、2クール目の始まりを見ると、王道のファンタジーノベル…という感じの展開ですね。しかも、区切りが無い感じで。作品の楽しみ方としては、いろんな伏線が収束する感じと島主とかエルフとかダンジョンとか結果的にどうつながるのかというカタルシスを得られるか、ですね。

 登場人物が多いし設定が入り組んでいる割に、話が整理されて面白いと思いますが、この手の作品は結末を見ないことには出来の評価が難しいです。
 で、2クールじゃあ1区切りは無理かな?14巻だそうですし。それともアニメで何かの結末はつくんでしょうか。これは連続で結末まで見ないと、熱が冷めるのがもったいない気がします。場合によっては原作を読んでしまおうかな…今週考えます。{/netabare}


15話 ギャグ回面白かった。マルシルを堪能できました。

{netabare}  先週マルシル成分が少なすぎ多分、今週は最高でした。こういうギャグ回があるのも悪くないです。一応、蛇のピット器官のような秀逸な設定もありましたが、それよりもカボチャ的な物の絵面ですね。本当に面白い回でした。 {/netabare}


16話 ここにきて面白さが加速中。最高です。

{netabare} 面白さがここにきて加速中です。非常に面白い。面白過ぎます。話そのものも面白いですが、禁忌の魔法という設定とファリンの現状で否が応でも盛り上がります。

 黒魔術をもっと早くから仕込んでいれば最高だったんですけど…それともどこかに1か所でもマルシルが黒魔法を使うことを躊躇する場面とかそれらしいセリフとかありましたっけ?絵のところとか…まあ、後で通しで見てみます。

 本気で面白いです。この数年で見たなかでトップクラスに面白いです。{/netabare}


17話 名作ではないがエンタメ作品としての完成度は最高峰でしょう。

{netabare} 冒険譚はこうじゃなくちゃっていう感じです。はじめは世界観とか設定に興味がありましたが、どんどんキャラに入り込んで、今はストーリーが最高に面白いです。原作がすごいのかもしれませんが、アニメーションの出来も素晴らしい。

 センシがずっとおにぎり持っているのに笑ってしまいましたが、そこにほのかな含意と哲学があります。そう…いろんな視点で考えるヒントは散らばっているんですけど、そんなことを考えなくても面白い。2クールで1回もダレないのは素晴らしいです。

 アニメの作品として感動とかメッセージ性は名作認定はしないと思いますが、全体の作り込みと作品のクオリティーはすごいと思いました。このまま一機にラストスパートですね。


17話 再レビュー やはり名作かもと思います。圧倒的な作り込みの世界観が生み出す想像の広がりは他に類を見ません。

 名作とは何かというのは難しいですが、テーマ、メッセージ、文学性、いろいろあると思います。本作はこれらの要素については名作という水準ではないかもしれません。

 ですが、本作の圧倒的な世界観の作り込みが醸し出す想像の広がりを考えると、それはテーマにもメッセージにも文学性にもなりえるかもと思います。この17話は本当に素晴らしかった。単話でみれば最高水準だと思いますし、それを最高水準に押し上げる要素が1話から丁寧に積み上げれらた世界観であると思います。

 うん。やっぱり早々に原作を読みたいですね。アニメ終わるまで我慢できなくなりました。{/netabare}


18話 22時30分丁度に視聴するくらい楽しみ。原作本手に入れましたが…

{netabare} やばいですね。面白さなら過去トップ10に入る作品になりそうです。珍しく登録されるのを待ちわびています。原作を手に入れたのですがアニメの楽しみが減じてしまわないか心配で今部屋に積んである状態です。
 14冊赤茶色の表紙に手が伸びそうです。表紙絵を見る限りアニメの方が魅力的かもしれませんね。

 今週も人間観察のいい加減さと適格さの両面から頷ける、いい視点の話でした。緊迫感が続いたので息抜きでしたが、中身は濃かったと思います。昔の方がアニメは面白かったというのは一面の真実でもありますが、こういう作品が現れると進化も感じます。過去類例が無い作品だと思います。

 絵の件もちゃんと伏線だったし、この作品の世界観は感心するしかないです。{/netabare}


19話 マルシルがいつの間にか主役に?

{netabare}  なんかすっかりマルシルのファリンへの想いがストーリーの中心になってしまいました。マルシルが主役といってもいいくらいです。それが面白さにつながっているから大したものです。

 年齢問題と黒魔術のコンプレックス、ファリンの件の心の傷などをうまく表現していました。なかなか繊細なキャラ造形だと思い、改めて感心しました。
それとマルシルがエロくてよかったです。

 蜃気楼は巨大なハマグリの吐く幻というのと、悪夢を見せるもの…夢魔あるいはバクのような設定を組み合わせた感じでした。普通おなかをに重いものを乗せるとそれが悪夢の原因になりますので、そのあたりも考慮しているのでしょうか。
 その蜃気楼の原因である蛤を食うといのがまた…すごいですね。{/netabare}


20話 なぜマルシルはそこまで優しいのか?

{netabare} 1話2話を見返したのですが、いまさらですが初期設定で1000年前の王様とうのがあったんですね。そして、ダンジョンがかなり特殊な成り立ちになっているということも。はじめの方は集中してなかったのでいまさらですけどね。
 各話に考察する視点はあるのですが、やっぱり大きな要素はこのダンジョンは何なんのか、なんでしょう。

 そして、20話なんですけどイヅツミは不快なキャラですけど、むろしマルシルがなぜあそこまで優しいかという部分が気になりました。19話が何か関係してくるのでしょうか。命の長さ問題もありますし、両親に何かあったのか、ファリンをなぜそこまで慕うのか。やっぱりマルシルを中心に考えたいところです。{/netabare}


20話追記 19話20話が面白過ぎて原作を読んでしまいました。

{netabare} 正直この作品の特に第2クールを見ていると、他の異世界転生ものが色あせてしまい見る気がなくなるくらい面白いです。19話20話の奥行きが素晴らしかったと思います。で、マルシルの内面、ファリンの扱いの意外性などに興味がでて、ついに原作を読んでしまいました。

 まず、コミック1巻をはじめ初期の絵がまだまだ内容に追いついていないので、その点で今回のアニメ化の意味はすごくあったと思います。話題作とはいえ、1巻の内容と絵でははじかれる人も多いでしょう。九井氏の短編マンガはハイコンテクストな分、キャラ造形・キャラデザが記号的で含意中心の作品です。本作原作の初期には絵も含めてそのまま出てしまっています。

 ただし、4巻くらいからかなり絵もコマ割りも背景も物語もうまくなっています。アニメがどんどん面白くなるのは原作がどんどん良くなってゆくのと符合している気がします。それにしても今回のアニメ化のレベルは大したものです。原作の面白さも含意もキャラ造形も雰囲気も本当にうまくすくいあげて、さらにエンタメとしては洗練されています。

 それと構成がバッチリですね。14巻中7巻で大きな話の転換があって、そこまでで1期2クールで過不足なし、です。これは本当に原作もアニメもすごいと思います。

 で、最後まで読んで最後まで面白かったです。現状では今のアニメ化の範囲7巻までの方が面白いと感じています。
 ダンジョンの設定上の意味というより世界観の意味がカタルシスになりますが、ちょっと理屈っぽいかなという気がするためです。1期で考察しながら見ていたものが解き明かされる解答編ですが、話がうますぎて意外性にちょっとかけるせいかな?いや、気が付かないところがあるかもしれませんので侮れないですけど。

 原作もアニメも異世界ファンタジーとしては過去最高に面白いです。ぜひ、2期を早々にお願いします。{/netabare}


21話 急展開。マルシル可愛い。特に耳が今回は良かったです。

{netabare} さて、話がいよいよ核心へと向かってゆく折り返し地点が近づいています。起承転結の転の始まり、という感じでした。ダンジョンで飯を食う意味が深まってゆきます。

 この作品のコミックスの紹介で「今、人気のグルメ+異世界ものの取り合わせ」みたいな紹介をしていた、多分テレビの朝番組がありましたが見る目がないと言わざるを得ません。

 そしてマルシルは可愛い。今週は耳の形にやけにこだわったシーンがあったような…

 カナリア隊ですよね。意味は…思いつくのは炭鉱におけるガス探知機ですから、ダンジョンにおける危険の調査…という意味がかかっているのでしょうか?

 到達した場所の世界観が素晴らしいのでぜひ人間とは?食とは、生活とは?という考察をしたいところ。 {/netabare}


22話 マルシル最高。だが、あと2話しかないという事実。

{netabare} マルシルの何もかもが素晴らしい。髪を躊躇なく切ったところがカッコよかったし、キレた表情と間抜けな表情のギャップもよかった。羽ばたいたり跪く動きも表情も最高でした。

 話は原作読んだのでもう考察云々ではないですが、しかし、重層的な世界観はアニメの方が味わえるし、何よりアニメのクオリティが高すぎて面白さは原作の数段上です。もちろん原作ならではの良さはありますけどね。

 というわけであと2話しかない、という事実。つらい…せめて2期発表してほしい。 {/netabare}



23話 〇〇〇〇の〇ー〇の逆。これは1話から仕込んでいたということでしょうか。すごいですね。

 今週はなぜか24分ではなく28分ありましたね。きわめて珍しい事例だと思うのですが、イレギュラーなことをしても品質を維持したい、ということでしょう。

 で、ネタバレになりますので伏字にしますが〇〇〇〇の〇ー〇の逆というかひねった話でした。これがキャラの性格造形や言動に深く結びついています。ということは1話の段階からもうこの構想はあったと思われます。この緻密さがやはり本作のすごいところでしょう。

 で、そのシリアスな場面からのセンシの〇〇〇が笑います。常にバラをまとう作画はなんというか…そして、小籠包のイヅツミが作った分の毛とかやっぱり超ハイクオリティな作品だなあと思います。

 そして、多分次が最終回?ロスになりそうですが、原作がありますのでそちらをもうじっくり読みたいです。でも、やっぱり2期の発表がありますように…

 最終回を前にして考えたこと、思うことです。

 考えてみれば1話でマルシルが墓場に生えている植物を食べることを拒否した場面がありました。人を栄養として吸収した植物は食べられないということです。食人植物も描かれていました。つまり、23話のセンシの物語に対する伏線になっています。この構成もすごいですが、ここに一つの哲学を見ます。食ってなんだろう?と。

 エルフの長命問題もありました。物語の冒頭で1000年前の王が出てきました。それに対してこのダンジョンは死なないダンジョンです。センシが日ごろからいっていますが、魔法を含めて人の理から外れている存在です。

 1000年生きている村人たちは食事を忘れていました。このダンジョンは欲望をかなえます。死なずに済むことができます。そうすると食欲を忘れます。もし生きること=食べることと考えれば、彼らは生きているといえるのだろうか。退屈を紛らわすために無意味な行為をしている彼らは、ひょっとしたら食物連鎖の中にいることをわすれ、自分で食料調達をしない我々ではないでしょうか。
 マルシルのパリコレは笑ってしまいますが、我々の生活はマルシルのファッションを笑えないような実用性のない装飾ではないでしょうか。

 ダンジョンは一つの系を形成しているということです。ライオスたちはダンジョンの魔物と戦い、それを食べています。そこが他の冒険者との違いです。だからこそダンジョンを攻略できているとも言えます。

 もちろん道中にはほかにいっぱい何かを読み取れそうな、感じる部分はありました。本作はやはり一筋縄ではいかないテーマがあるなあと思います。特にファリンというキャラを置いた意味と、センシが言っていたダンジョンは欲望を実現するという意味です。まあ、そこは1期のアニメ化の範囲を超えますのでいずれ。

 23話の意味から逆算して考えれば考えるほど、考えさせられましたので最終回を前に少し頭を整理しました。
 なお、私はアニメ派ですね。原作よりも理解しやすかったし頭が回る気がします。





 

投稿 : 2024/12/21
♥ : 34
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

魂を囚える迷宮

原作コミックは未読

【物語 4.0点】
魔物食がメインのようで、決して安直な“飯テロ”企画ではない。

迷宮(ダンジョン)の生態系の末端としての食事。
(動く鎧の真実など魔物たちの生存戦略には驚かされました)
迷宮が象徴する、同ファンタジー世界の歴史、情勢、
さらには思い出の料理を通じて、登場人物の心情を掘り下げるなど、
食事をシナリオ、世界観を深める道具として有効活用できている。

私は迷宮(あな)があったら潜りたくなる程度にはダンジョンRPG好きではありますが、
正直、ファンタジー✕飯テロには雰囲気先行では?との苦手意識もあり。
本作もダンジョンそっちのけで食ってばかりいるのではないか。
との懸念もあって放送スタート時は食わず嫌いしていた、この1期2クール作品。

1クール放送折り返したくらいで、こちらの感想も覗いて、
本作はちゃんと迷宮を堪能できる作品だと思い直し、ぼちぼち追い付いた次第。


料理名等をサブタイトルに1話数本立ての構成が目立った前半1クール目は、
まだ食事がメインである印象も受けましたが、
その中で散りばめられた迷宮に関するネタの骨格を前提に、
後半2クール目では、モンスター名等を冠したサブタイトルを中心に、
歯ごたえのある迷宮ファンタジーが肉付けられる。
終わって見れば骨太のダンジョン物だったとの満足感が残りました。


食事は迷宮探索を持続可能にする物資の多寡を伝えるシグナルとしても有効。
仲間を助けるために、敢えて一度、街に戻って立て直すか否か。
こうしたダンジョンの醍醐味を再現したネタも嬉しかったです。


個人的に一番グッと来たのが、迷宮と蘇生について。
死者復活の成否に関する悲喜交交(こもごも)もまたダンジョンRPGアルアルですが。
本作で興味深かったのが、
この迷宮では冒険者は死んでも魂が肉体に束縛されてしまい成仏できない。
故に迷宮では魂を肉体に戻す蘇生術が可能になるのだという視点。
まるで蘇生を迷宮の呪いの如く扱う描写に、なるほどそう来たか!と、私は本作に魂を囚えられました。

そして、魂を囚える迷宮の術こそが、
迷宮を創造した魔術師の狂乱した企てに直結していることを示唆して1期は幕を閉じます。

迷宮に誘き寄せた冒険者を己の野心のために悪用せんとする陰謀もまた、
ダンジョンRPGの真髄。

制作決定した2期で“メインディッシュ”を味わえることを期待しています。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・TRIGGER

戦闘シーン等では時に背景にも作画を入れて臨場感溢れるアニメーションを構築。
例えば{netabare} ウンディーネ戦で円筒形に伸びる通路を水の“ビーム”で破壊されながら逃げ延びる{/netabare} カットなどは、
作画、背景一体となった良いコンビネーションだったと思います。


同スタジオの金子 雄人氏によるモンスターデザインも上々。

ダンジョンRPGはプレイヤー一人称視点。
必然、にらめっこすることが多くなるモンスターの造形が最重要グラフィック。
こんな生い立ちの私は、異世界、ファンタジーにて、
ただ生物を巨大にしただけのような、やる気のないモンスター絵を出されると、
一気に作画評価が厳しくなってしまいますが、
本作は宿敵レッドドラゴンを軸に魅せてくれました。

生き物としての魔物が描き込まれているからこそ、
解体、調理した一品が旨そうに光り輝くのです。
まぁ、私もマルシル同様、これ食うのかよwとはなりますが(苦笑)


【キャラ 4.5点】
おばあさんが、通りのはげしい道を渡ろうとしているのを見たら、それぞれの性格ならこんな風にふるまうでしょう。

善:本当の善人ですから、わざわざ行って助けるという、近頃珍しいタイプです。

中立:自分が同じ道を渡っているなら助けてあげます。普通の人ですね。

悪:自分の利益になるなら助けてあげるという、自分に正直な人です。

~ダンジョンRPG『ウィザードリィ外伝Ⅱ』取扱説明書より抜粋~


“悪”だからって生存が許されないわけじゃない。
絶対的な勧善懲悪とは異なる、この相対的な性格設定。
ダンジョンを舞台にした作品では、これを物差しにできるか否かが、
私のキャラ評価を左右する要素で、その点でも『ダンジョン飯』は上質でした。

ライオス、マルシルは己を顧みずファリンのために死地に飛び込む善キャラであることが伝わって来ました。
レッドドラゴン戦敗北とファリン離脱をキッカケにパーティを抜けたナマリらは、この物差しに照らせば悪ということになるのでしょうが、
彼女の冒険者としての生き方も決して否定されるものでないことは描写できていて、この点も私は高く評価したいです。


トールマン(≒人間)、エルフ、ドワーフ、ハーフフット※
(※ホビット®は登録商標です。各種ファンタジー作品、今や『ウィザードリィ』ですら無許可使用できません。まったく迷惑な話だ。)

ファンタジー世界を構成するお馴染みの各種族が、ただファッションとしてまとわれるのではなく、
迷宮を巡るエルフとドワーフ対立の歴史、
{netabare} カエルスーツから髭がはみ出す勢いでw{/netabare} ちゃんと毛むくじゃらなドワーフ・センシなど、
伝統をキチンと理解、消化した上で作品世界に落とし込まれているのも得点が高いです。

その上でハーフフット・チルチャックの罠察知&解除スキルが詳述されている点も美味でした。
さらに彼の種族特性である鋭敏な足の裏も描写されるのですからマニアにはたまりません。
裸足の包帯取ったら、足の裏に毛が生えているのか確かめたくなりますw


【声優 4.5点】
センシ役の中 博史さんが柔和なドワーフボイスで魔物を調理し、
マルシル役の千本木 彩花さんがゲテモノに狼狽えるリアクション芸で未知の食感へのチャレンジを体現し、
ナレーションの三上 哲さんが「ダンジョン飯 ああ ダンジョン飯」と締めくくれば、大体パターンが決まってしまう堅牢な布陣。

パーティメンバー役を務めたメインキャスト陣は、“食レポ”対応だけでなく、
{netabare} 入れ替わりや、メンバーに擬態して紛れ込む魔物への対処など、
シャッフル芸含めた{/netabare} 複雑なコメディ対応も求められましたが柔軟に対応。

そんな中、私が好きだったのが、ここもチルチャック役の泊 明日菜さん。
中性的な小人ボイスで年齢を悟らせない。子供扱いはご法度。
この種族らしい絡みが好表現できていたと思います。


【音楽 4.0点】
劇伴担当は光田 康典氏ら。
オーケストラを軸に、中世古楽の楽器もアレンジしてファンタジー世界を演出。
厚みのある音楽が、戦闘シーンだけでなく食材調理のシーンでも流れている点がそそります。
一番印象に残ったのが料理完成時の出陣のホラ貝?みたいなBGM。
私も食卓が完成した際に、時々、脳内再生していますw


OP主題歌
前期・BUMP OF CHICKEN「Sleep Walking Orchestra」
後期・sumika「運命」
ED主題歌
前期・緑黄色社会「Party!!」
後期・リーガルリリー「キラキラの灰」

いずれの楽曲も、これから死地の迷宮に挑むとは思えない明るく前向きな曲調。
「キラキラの灰」の“灰”なんかはダンジョンRPGファンにはピンと来る(蘇生失敗のトラウマを刺激するw)ワードですが、絶望感とかは特になく。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 30
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

おいしい生活

TRIGGER制作。

迷宮でレッドドラゴンに妹が喰われた!
命からがら地上へ生還した冒険者のライオス。
彼は妹の救出の為、食料を現地調達しながら、
再びダンジョン踏破を目指す、グルメ冒険活劇。

迷宮探索と自給自足の冒険グルメ生活、
獲物を捕まえ調理し、工夫しては美味に仕上げる、
評判通りの味覚を刺激する作品である。

ただ回復魔法で後にどうにかなるのか、
妹救出への緊迫した危機感は感じられない。

前期の主題歌は世界観をよく伝えてくれて良い。

{netabare}かつて栄華を誇った黄金の国の国王は、
迷宮の主・狂乱の魔術師を倒したものに、
我が国の全てを与えるという。{/netabare}

最終話視聴追記。
前半は食物連鎖に関する生態系の寓話など、
迷宮を取り巻く環境の説明も演出しながら、
後半に入りより冒険活劇らしさが見え楽しくなる。
{netabare}ファリン救出は、当初と形を変えつつも、
打倒狂乱の魔術師で、冒険はさらに続いていく。{/netabare}

時折、演出されるシリアスな展開にも、
それぞれに意味があり見応えがあります。

ダンジョンの最深部へと挑む、
やるべきことは決まったようです。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 36

79.7 3 ドワーフで料理なアニメランキング3位
転生したらスライムだった件(第2期)(TVアニメ動画)

2021年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (561)
2753人が棚に入れました
「転生したらスライムだった件」は、伏瀬さんによって小説投稿サイト「小説家になろう」に掲載されたWeb小説を原作としたTVアニメ。異世界で一匹のスライムに転生した主人公が身につけたスキルを駆使し、知恵と度胸で仲間を増やしていく異世界転生エンターテインメントだ。2018年10月から第1期が2クールで放送され、第2期は2021年1月から放送となることが決定している。

声優・キャラクター
岡咲美保、豊口めぐみ、前野智昭、古川慎、千本木彩花、M・A・O、江口拓也、大塚芳忠、山本兼平、泊明日菜、小林親弘、山口太郎、福島潤、田中理恵、日高里菜、春野杏、櫻井孝宏
ネタバレ

Kuzuryujin さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

進化の果てに深化する物語

(2021.4.3最終投稿 2021.8.7改定と推敲)

 第2期 第1部:閑話+全12話 (第24.9話, 第25話~第36話)

 なろう版読了。書籍版、コミカライズは継続愛読中。

 原作ファンである自分にとって、2期はちょうどお気に入りの部分のアニメ化ということで評価ポイントはかなり甘め。コミックと比べてしまうとやや物足りない部分はあるものの、アニメで動き話すキャラたちは第1期と変わらず非常に魅力的。また第1部の全話に関して、重要なポイントは外していないし無駄も少なかったと思う。

 原作を十分咀嚼した、よく練られた構成と脚本だと思える。二回放送延期になったことが、脚本の精査をもたらしたのかもしれない。

 とは言うものの、終盤残り2話のあたりから急に詰め込み感が増して若干不安が湧いた。が、最終的には許容範囲内で収まった。

❮放送前投稿❯
{netabare}
<2020.4.4初投稿分>
{netabare}
 2020年3月22日に公式HPにて発表されたスケジュールは、2020年4月からの転スラ一期再放送の後に

2020年10月 二期 第一部
2021年1月 転スラ日記
2021年4月 二期 第二部

とのこと。なんと、9か月に及ぶ転スラ祭り!

 同期ではログホライズン三期と共に転スラシリーズも今から非常に楽しみにしています。ヒナタがいよいよガッツリ物語に絡む二期。転スラの面白さが加速するだろう。

 ディアブロ、テスタロッサ、カレラ、ウルティマ。スーパーカー由来名の原作の中でも個人的に好きなキャラたち。

 ディアブロは、公開されているキービジュアルでもわかるように二期登場確定。でもその他3名は、1クールでは登場は無理。しかし、上記のように本編は分割2クールの尺なので物語の構成次第では彼女らも登場する可能性があるのも密かな楽しみ。

以下2021.2.17追記

 二期始まって1クール目の丁度半ばの30話まで観て、今期のシリーズ構成は多少の前後の入れ替えはあっても原作を丁寧になぞる方針と受け止めた。この調子だと2クールで最低書籍6巻の最後迄、もしくは途中からペース早めて切りの良い7巻の最後迄が限度かも。

 原作での彼女達の登場は第11巻なので、どう考えても彼女達の今期の登場は無理。こうなるとこのシリーズが3期4期と長く続くことを祈りたい。
{/netabare}
<2020.11.28投稿分>
{netabare}
 2020年5月末、放送・配信開始時期が2020年10月から1クールずれる形での延期発表あり。

第2期第1部が2021年1月から、転スラ日記が2021年4月から、
第2期第2部が2021年7月から放送・配信開始とのこと。

 延期は残念だが、2020年3月発売のコミック14巻限定版付属OADから始まったコミック付属OADは、リムル愛豊かなキャラたちの平和な魔国連邦の日常を描いた、

OAD1「外伝:Mの悲劇?」、OAD2「外伝:HEY!尻!」。

 そしてOAD3以降は、リムルとシズの5人の教え子たちの新エピソードでリムルの教師就任時の強力な原作補完となっている。

 原作:伏瀬書き下ろし完全新作エピソード「外伝:リムルの華麗な教師生活」三部作。(2020.11.27発売のコミック16巻付属のOAD5で完結)

 コメディ要素多めで、なおかつ原作の隙間を埋める独創性が好ましい。リムルのみでなく、アニメオリジナルの魅力ある教師キャラたちとの絡みの中、5人の教え子たちの成長と活躍を堪能できる。

 転スラアニメ1期は、シズ関連描写のアニオリ要素が原作補完で感動アップしたが、さらにこのOADでシズの重要性も深まった。リムルにもちゃんと活躍の場があったし、2期の新キャラも巧く登場させてグッド。そして2期の冒頭に繋がり得るタイミングで終了。

 このOAD三部作のおかげで2期に期待が非常に高まった。来年の放送が楽しみだ。
{/netabare}
{/netabare}
❮各話レビュー❯
{netabare}
◎ 2021年1月初回放送分
★#00-03『24.9 閑話:ヒナタ・サカグチ/25 リムルの忙しい日々/26 獣王国との交易/27 楽園、再び』
{netabare}
<あらすじ>

 三上悟はスライムとして転生してあっという間に二年が経った。

 様々な困難を一つ一つ乗り越え、その転生名リムルの名声は増々拡がり、続々と新たな出会いも生まれる。

 成り行きで興した魔物と人類の共生を目指す国も、順風満帆に発展する。

 異世界でリムルと縁があった故人、シズの遺言にあった地球より召喚された5人の教え子たちの命を救うこともできた。

 そして一時の平和が訪れた。

 周辺諸国との新たな国交樹立とそれらとの交易のチャンス。富国の予感でハッピーな日々。

 しかし、この束の間の安らぎはいつまで続くのだろう?

<波乱の序章>

 アニメと原作では教え子の救済と国交樹立のエピソードは時系列としては逆になる。その結果、国交エピソードは1期ではカットされたが2期で復活した。

 伏線の配置は抜かりないが、敵となる存在はまだ表にはあまり出てきていない。この間に登場したキャラたちは、新旧共に今後重要な役者たちとなろう。

 序破急の構成の妙を感じる。その”序”として活きた4回だったと思う。

 かけがえの無い家族、仲間、場所があるのは幸せなことだ。バカで他愛もない平和な日常も貴重で、いつまでも当たり前にあるとは限らない。やがて訪れる”破"そして"急”の展開で起こる悲劇の悲しみを、より引き立てるために時系列を変えてまでもエピソードを復活させることは必然だったのだろう。

 日常が一旦壊されてしまうと、再び平和に戻るにはエネルギーも時間もかかる。笑顔が消え失せ殺伐とする。ならば先をいそがず、平和の有り難みを噛み締めこの笑顔の一時を楽しみたい。しかし、原作やキャラクターに思い入れがないと話のテンポが悪いと思うかもしれない。

 ところで、ここまで毎回のように登場する大浴場シーンだが、サービスと言うよりキャラたちの親睦を深める人間関係発展の場として有意義に活かしてる。和テイスト満載の露天風呂は、リムルの国の心と富の豊かさの象徴。このシーンはほのぼのとして心地よい。そんな原作とは一味違うアニメの独自性が好ましい。
{/netabare}
◎ 2021年2月初回放送分
★#04『28 謀略のファルムス王国』
{netabare}
<あらすじ>

 リムルは盟主としての大切な外交後、一旦イングラシア王国に戻った。そして教え子たちの無事な進級を見届け、安心して学園を去る準備を始めた。

 リムルが懇意にする大商人ミョルマイルとの商取引も順調で、テンペストは表面上は相変わらず平和な日常は続く。

 一方、魔王クレイマンの陰謀の影、魔国連邦(テンペスト)の軍事力や技術力を脅威と感じる外国勢の存在。それらが具体的に浮き彫りになり、きな臭さが増してきた。

<風雲急を告げる>

 1期の第24話から今回迄で、2期第1部の物語の必要な役者が全員揃った。次回いよいよ物語が大きく動きだしそう。

 アニメでは、リムルが安心して生徒を任せられる先生キャラクターを独自に追加した。今回僅かに登場のティス先生のこと。

 ティス先生はOAD3-5のエピソードで、リムルと生徒たちの信頼を獲得している。彼女と5名の生徒たちがひとつの危機を共に乗り越えることで、お互いに深い絆が生まれた。

 おかげでリムルは、彼女に生徒たちを安心して任せ、国事のため一定期間テンペストに戻ることも出来た。さらに、今回の引き継ぎ描写が自然になる効果もあったと思う。
{/netabare}
★#05『29 災厄の前奏曲』
{netabare}
<あらすじ>

 リムルは未だイングラシア王国に赴いたまま。そんなリムル不在の首都リムルで事件は起こった。

 リムルと連絡も取れず訳も分からないまま、魔国連邦(テンペスト)は未曽有の災禍に見舞われた。

 魔王ミリムによる獣王国ユーザラニアへの宣戦布告の速報と難民受け入れの要請が、獣王国幹部アルビスから届くものの、詳細は不明のまま通信は途中で断絶。

 一方、100名ほどのファルムス王国の武装した騎士団の首都への接近の報告がソウエイから届く。

 街中では、冤罪事案を切っ掛けに引き起こされた工作員との戦闘発生で大混乱となった。

 さらに都市内部から、大魔法・魔法不能領域(アンチマジックエリア)と都市外部から、四方印封魔結界(プリズンフィールド)が、ほぼ同時に首都全体に発動される。

 その二重結界は、人間には無害だが魔物には有害なもの。魔法の無効化により外界と完全遮断。魔素が浄化されることにより魔物は弱体化。テンペストにとって非常に不利な状況となった。

 その他様々な要因が絡み合い状況は混沌へと誘われ、その日、平和な日常は一瞬で壊され笑顔が掻き消された…

《躍進のための組曲 その1”混沌”》

<出る杭は打たれる>

 今回のアニメのサブタイトルは、書籍第5巻の第二章のタイトルからそのまま採用され、その章の後半部分を元に構成された脚本だった。(二章前半部の内容は前回で登場) 今回、主人公リムルの出番が全くないのはその影響が大きいと思われる。

 今回、ヨウムとミュウラン、グルーシスのエピソードは今後の物語上必要で、アニメで丁寧に描かれて安心した。

 リムル単独では乗り越えられない大きな試練が待っている。今期、今までは大賢者の出番があまりなかったが、間もなく大賢者とリムルの最強タッグ再び、となろう。

 テンペストの本当の躍進は、打(伐)たれてからが始まり。ずっと平和なままだと国の進歩も緩慢で、場合によっては停滞してしまうかもしれない。物語としても面白くない。逆境をバネに、試練の苦しみあればこそ、その後の達成の喜びは大きい。

 いよいよお待ちかねのキャラクター参加の次回、アニメでどんな作画で動くのかとても楽しみだ。
{/netabare}
★#06『30 動き出す麗人』
{netabare}
<あらすじ>

 テンペストではファルムス王国の手勢により住民被害が拡大。取り返しのつかない事態が起こっていた。

 一方リムルは、生徒たちと名残惜しい別れをしていた。テンペストで起きていることを全く知らぬリムル。

 そしてリムルとランガは、イングラシア王国から少し離れ、空間転移でテンペストに戻ろうとしたが転移出来ない。

 さらに、ソウエイの分身体からの警告があった。そこで初めて危機を覚るが、さらに周りに違和感が拡大すると…いい迷惑な、全くありがたくない出逢い。

 「初めまして、かな? もうすぐサヨウナラだけど」

 問答無用に魔物にとっての天敵との激闘が始まった。

《躍進のための組曲 その2”激突”》

 今回の様々なバトルシーンはキレがあって好い。前回は作画に若干の手抜きを感じたのだが、今回に注力するためだったのかと勝手に納得。第1クール半ば最大の見せ場として申し分ない。

 全く不満がない訳ではないので大甘だが、今回で作画評価を4.5→5.0に上げた。アニメスタッフの健闘を讃えたい。

<聖騎士団筆頭ヒナタ・サカグチ(坂口日向)>

 思えば彼女は1期の第1オープニングから登場しており、ヒナタを本編で描きたかったスタッフの思い入れが今回の作画に反映されてると思う。

 アニメが3期以上続くことが前提ではあるが、この制作スタッフなら彼女は1期のシズ同様、アニメで原作以上に輝く可能性を感じた。

 2期でリムルとの最終決着まで描けるか、尺的に微妙な気がするがどうだろうか。無理やり詰め込まずこのまま丁寧に3期へ繋げて欲しい。

 リムルとヒナタの会話の応酬は、ヒント垂れ流しで視聴者にヒナタをリムルにけしかけた黒幕が誰か、あからさまに暴露していたようなもの。ミスリードできるキャラも存在してないのでバレバレだ。ユウキ・カグラザカ(神楽坂優樹)しかいない。

 ここであえて黒幕をボカす必要はないと思うのでこれでいい。黒幕が誰であるかよりも、黒幕の陰謀を暴き阻止することの方が大切だから。

 今回、冒頭の生徒たちとのお別れシーンで、ようやく第1期本編最終、第23話の最後と連結した。そのためそのシーンは23話の使い回しが多い。

 見比べると見送りにティス先生が遠景でワンカットだけ参加してたり、ユウキの台詞のある部分をカットしたりと23話とは若干の違いがあって面白い。

 次のリムルがランガに跨り駆け去るシーンは完全別もの。23話制作当時、2期制作が決定していなかった可能性が高いと思われる。

 23話ではヒナタは木陰でリムルたちの会話の観察のみ。当時はキャスト未決定ゆえ、台詞は当然無い。リムルたちが走り去った後もその場に留まったままで、襲撃の機会を見逃したかともとれる。

 今回とはまるで平行世界のようになってしまったが、今となってはこれはご愛嬌と言うものだろう。
{/netabare}
★#07『31 絶望』
{netabare}
<あらすじ>

 リムルはヒナタに完敗した。ヒナタはリムルの消滅を目視して討伐完了と判断、その場から立ち去った。

リムルは戦闘途中、自身の分身体と入れ替わることでヒナタを欺くことに成功、実は九死に一生を得ていた。その後ようやく首都に帰還したが、そこは誰もが悲しみに暮れる街と化していて愕然とする。

 しかし大賢者のサポートで冷静な分析と判断はできるのは不幸中の幸い。幹部たちの言動に何かを隠すかのような含みあれど、それはさておき、リムルは慌てず事実確認と情報収集をすることに...。

《躍進のための組曲 その3”悲壮”》

 今回もポイントを絞った手堅い脚本で安心して楽しめた。ここで浮き彫りになるのは、人間の狡猾で強欲な側面と魔物の単純明快な忠誠心の側面の対比。

 王に実力とカリスマさえあれば、配下は忠誠心揺るがず、裏切りの可能性が低い、優秀な人材豊富なら比較的箱庭ゲーム感覚で維持出来るのが魔物国家。対して優秀な人材豊富でも、その強欲性が厄介で、建国と維持の面倒臭さが倍増の人間国家。

 裏切りの心配と苦労ばかりの人間国家だったら、リムルは王の責任を途中で放棄しているかもしれない。

 リムルの為政者としての責任感とやる気の源は、配下のブレない忠誠心。彼はスライムの特性上、子孫は持てない身だがその代わりテンペストの住民全てを家族のように慈しむ。そんな彼が国家安全保障のために何を決断、実行するのかが今後の見所か。

 ところで、魔王クレイマンは毎度必ず回すワイングラスと共に登場。ここまで徹底したテンプレな悪役画は、狙ったギャグか、と思う反面、深読みすると手のひらで踊らされているのは実はクレイマンだ、と暗喩しているともとれる。
{/netabare}
◎ 2021年3月初回放送分
★#08『32 希望』
{netabare}
<あらすじ>

 リムルはかけがえのない仲間が喪われ絶望しそうになる。しかし、冒険者エレンから一縷の希望が...それは死者の蘇生のお伽噺の類い。

 大賢者はそれを聞き、あとひとつ条件を達成してリムルが進化すれば蘇生も決して不可能ではないと言う。さらに現状の多重結界は、魂拡散防止になり蘇生には都合がいいとのこと。

 リムルに迷いは一切無くなった。かつて出逢ったばかりの魔王ミリムから奨められた存在への進化、しかも蘇生伝承自体もミリム由来のよう。元来、野心の希薄なリムルにとってそんな進化は全く興味ない、と一蹴したことだった。しかし今は最優先で、どんな手段を使っても成し遂げようと決意した。

 失いたくないという一点の想いでリムルは動きだす。布石を打ちながら粛々と、着実に。

 その後、2万の軍隊が首都接近中との報せが届く。それはファルムス王国軍17,000と西方聖教会所属の神殿騎士団3,000の連合軍だった。

 それを知ったリムルは、慌てるどころか穏やかに笑みを浮かべていた。

《躍進のための組曲 その4”黎明”》

 今回も意外性はなくとも安定感がある。25-28話の一見他愛なかった日常描写がここで活き、おかげでリムルに深く感情移入できた。

 さて、祭りのお膳立てが整った。災い転じて福と成すリムルの強運は筋金入りだがそこがいい。
{/netabare}
★#09『33 全てを賭けて』
{netabare}
<あらすじ>

 リムルは自身の前世を皆に打ち明け、人間と共存する理由を述べた。そして人間との今後の具体的なつきあい方を明確に。

 二度と人間に舐められない国家になると、そしてそのために魔王に進化する、と宣言する。

 その第一歩は、犠牲となったテンペスト住民たちの蘇生。そのためには単なる魔王ではなく、真なる魔王(覚醒魔王)への進化が必須であり、それには一万人以上の生け贄(ヨウブン)獲得が不可欠と判明した。

 そこでリムルは作戦を立案。

 都市の結界維持と見張りのため、都市周辺の東西南北四ヵ所に陣取る先遣隊への反撃は、幹部たちに適材適所で任命、三日後に到着する位置で休憩中の二万の軍勢本体には、けじめの意味を込めてリムル単独であたることにした。

《躍進のための組曲 その5”覚悟”》

 出過ぎた杭になって打たれなくなるため、為すべきことは明解。国民の安全保障のため清濁合わせ飲める、薄情でないゆえに非情に徹底できる主人公リムル。しかもその罪と業を自分だけで被ろうとする。

 彼の一切の迷いも力みも無い、明鏡止水の境地は清々しい。原作で転スラがますます好きになった、リムルが真の王となった瞬間のこのエピソード。アニメはこれが含まれたゆえに、個人的に2期の方が1期よりも高評価になった。

 今回は大賢者の出番なし。おかげでリムルは全てを主体的に決断し、その責任は彼一人が被る潔さがある、と伝わる。謙虚だが他への依存がない彼はとても頼もしい。

 嘗てないリムル無双へ...。次回、テンペストの新たな伝説がひとつ生まれる。
{/netabare}
★#10『34 神之怒』
{netabare}
<あらすじ>

 テンペスト幹部たちの怒りは消せない。仲間を大勢殺し、主リムルをコケにした敵。一切の縛りから解き放たれ持てるスキル全開で、因縁の異世界人との雪辱戦を含む大反撃が始まった。

 一方リムルは、ミュウランと同じアンチマジックエリアを発動させ敵側の魔法を無力化した上で、太陽光とレンズを使った、シンプルだが殺傷効果絶大の大魔法·神之怒(メギド)を仕掛けるのだった...

《躍進のための組曲 その6”降臨”》

 今回の一番のお気に入りは、大賢者によるヨウブンのリアルタイムカウント。原作には無いので新鮮だった。アニメならではの臨場感アップと大賢者活躍中アピールに貢献していた。

 次回のサブタイトルは、書籍第5巻の第4章タイトルと同じ。第4章相当エピソードはアニメでは33話から始まっていたが、次回の35話での3話分で第4章を描き切るということだろう。配分として5章にも入りそう。

 つまり次回、アニメ2期のキービジュアル、外伝のTVアニメ第24話とOAD5でお馴染みの悪魔が本編合流確定。リムルとの初対面が楽しみだ。

<転スラは時々奥が深い>

 主人公による敵側の無差別大量殺戮。これは人によっては釈然としないかもしれない。しかし転スラの場合、今後は今回と同じような敵兵の殲滅があっても、リムルによって死者の蘇生が出来るので選択肢は広がり殺人の後味の悪さは多少は軽減されるのが救いだ。

 他者への思いやりを美徳にする平和な日本に住んでると、支配者の駒に使われてる兵士には罪は無い者もいるから慈悲を、などとつい甘く考えてしまう。

 私心無く民の笑顔のため手段を選ばす自らの覇道を守る。リムルは、怒りで我を忘れることもなく、冷静に粛々と為すべきことをしただけ。無益な殺生をしたとは言えない。

 今回のリムルの行動は、老子の言葉「天地に仁なし、万物をもって芻狗(すうく)となす。聖人に仁なし、百姓(ひゃくせい)を以て芻狗となす」を思い出す。

(天地が優勝劣敗弱肉強食にて万物を自然のなりゆきにまかせることは不仁に見えるが、これこそ本当の仁。それと同様、聖人や君子が人々を自然の成り行きにまかせ、ときには、ワラで作った犬を焼き捨てるようなことをするのは一見不仁だが、これこそ本当の仁である、という意味)

 もしアニメ構成上、テンポ重視で前半駆け足で進んでいたら、原作未読の視聴者の多くは敵側へのヘイト不足で、今回の報復内容に納得しきれなかったかもしれない。

 人によっては退屈だったかもしれない構成。テンペスト側の大義名分の確立のために間違いではなかった、と今回新ためて思った。

<今回、皆殺しが外せない既定事項となった理由>

 今後の国家安泰のために、リムルは人類にとって魔王として畏怖されることは好都合だが、その反面、益ある存在としても認識してもらう必要あった。

 しかし今回のように、たった一人で万単位の軍勢をあっという間に殲滅という真実が世に広まると、リムルは全人類共通の極悪非道の悪者として間違いなく確定される。

 故にそうならないよう、真実をねじ曲げ都合良く改竄する必要があった。そのため真実を伝える生き残り、すなわち目撃者を一人たりとも残すわけに行かない。

 結果、進化に必要な定数以外の残り含めた皆殺しが実行され、生き残りは戦後の交渉に必要な戦犯数名のみとなった。

<三者三様の末路>

 今回は、己が力に溺れ増長してしまった末の因果応報とはいえ、異世界人の三名が最大の憐れだったが、彼らの物語からの退場に関して、原作者は非常に巧いと思う。そこには捻りと工夫があった。

 まずキョウヤ・タチバナ(橘 恭弥)。彼は因縁のハクロウの剣技の報復で単純明快に決着。

 次にキララ・ミズタニ(水谷希星)。彼女のスキルは精神干渉に特化しており、体力は普通で戦闘能力は皆無ゆえにテントで待機していた所、ゲルドによって追い込まれたショウゴ・タグチ(田口 省吾)により絞殺。

 最後はショウゴ。彼は人格的にもスキル的にも、三名内で最も危険な存在。彼はキララのスキルを自身に取り込むためだけに彼女を殺害。その時点でクズキャラレベル最大値。そして、ゲルドによる容赦ないフルボッコで瀕死まで追い込まれ、ここで視聴者はある程度溜飲を下げることができた。

 ところが原作者はさらに一捻り。最終的に彼らの上司ラーゼンが、ショウゴの若い肉体を自身が乗っ取り、スキルも吸収するために彼の心を壊して抹消。ショウゴは、キララ殺害の報いが早くも訪れ、最も救いようのない最期を迎える。

 以上の流れから思うこと。

 キララのスキルの殺傷能力は、他者の精神を支配して自害、もしくは他者を煽動して害するもので、自身は一切手を汚さぬもの。しかしシュラによってそれを封印されたので、テンペストでは結果的に住民殺害は未遂だった。ならば、テンペスト側のキャラに害されるより、同胞に裏切られて害される方が納得しやすい。

 彼女だけは、本人の了承なく勝手に召喚され、日本の家族から引き離された被害者としての側面が一瞬滲み出ていた。しかも、彼女の名前の意味とは真逆の絶望の末路。なんと皮肉な運命。しかも仲間に殺されるなんて…。

 故に、悲劇の拉致被害者として同情してもらえる余地が生まれ、救いが少しはあったと思う。過去の彼女のスキル完遂時の具体的な罪は、アニメでは明示されていないのだから。

 彼女の最期には同情を禁じ得ない。18歳の現代風ギャル、カラメル多めのプリン頭という個性で、充分なキャラ立ちの彼女。ここであっさり退場させたのは、もったいなくも残念だったとさえ思えた。

 それに対してキョウヤとショウゴは、質が悪いことにテンペストの民を弄んで害した。故にハクロウやゲルドに容赦なく報復される資格が十分あった。その末路はまさに自業自得と言えよう。

 ショウゴの最期の流れは、28話の王国での御前会議ではまだモブのようなラーゼンが、実は王国で最悪な曲者だった、と知らしめる効果もあった。結果的に彼の最期は新キャラの紹介も兼ねた、一石二鳥の流れだったと言えよう。

 また仮に、ショウゴより圧倒的に強いゲルドによっての止めでは、ゲルドの弱い者いじめ感が発生して、多少の後味悪さがあったかもしれない。
{/netabare}
★#11『35 魔王誕生』
{netabare}
<あらすじ>

 ごく僅かな時間で敵軍二万は全滅。生き残りは僅か三名だった。

 必要なヨウブンは十分に収穫された。そしてリムルは進化のため急激な眠気に襲われる。そこでランガに、動けないリムルを捕虜二名と共に首都に連れ帰るよう指示。残り一名の捕虜の確保は召喚した悪魔に託すのだった。

 リムルは進化の眠りに入り意識不明。そのため首都帰還後、大賢者が進化したユニークスキルがリムルの代行者となって死者蘇生を実行した。それは"反魂(はんごん)の秘術"と呼ばれる。

 首都ではリムルと魂の繋がりある者すべてに進化の恵みが等しく与えられ、住民一同もまた進化の深き眠りに落ちた。ゆえに、その奇跡の秘術成功の瞬間に立ち会えた者は非常に少ない。

《躍進のための組曲 その7”収穫”》

 今回は、原作コミックのファンにとってダイジェスト感が強い。

 個人的には以下の点でポイントが高く十分に面白かった。

▪原作同様に、アニメでも魅力溢れる悪魔キャラ
▪大賢者の進化過程のCG作画
▪大賢者と智慧之王(ラファエル)の、繊細な声の演じ分け
▪ハーベストフェスティバルの見せ方やまとめ方
▪荘厳な儀式感を壊さぬ”反魂の秘術”の演出、作画
▪ラファエルによるリムル代行の演出、作画、声優の演技
▪ファルムス国王のエドマリスと西方聖教会大司教レイヒムの情けない暗愚演出
▪シオン蘇生の瞬間シーンの、コミックを基本にしたと思われる作画

 以上で100点満点なら78点の満足度。

 次回のサブタイトルはラノベ書籍5巻5章、コミック16巻の第71話と同じ。コミックの69話からの3話分の内容をアニメ1回分に収める、と思われるがどうだろう?

 今期の区切りをどうまとめるかに注目したい。

 ついにリムルは新たなステージの第一歩を踏んだ。まもなく、この異世界での知名度も爆発的に上がり、交遊関係、活躍の場も、大きく様変わりするだろう。
{/netabare}
★#12 (第1部終)『36 解き放たれし者』
{netabare}
<あらすじ>

 リムルはシオンの膝の上で目覚めた。目の前には戦争以前と変わらないテンペストの顔ぶれが勢揃い。以前と変わらない穏やかな光景が広がっていた。

 魔王に進化したリムルだが、スライムの外見も内面も全く変わらず。変わったことと言えば、リムルの人型時に身長が伸びたことと、テンペストに頼もしくも愉快な仲間が二名ほど増えたことだった。

《躍進のための組曲 その8 終曲”新星”》

 今回は、分割クールならここしか区切りようがない、と思ったところで締めくくられていて概ね満足だった。

 コミックの第69話から第71話の内容を基に構成されたと思われるエピソード。

 23分ほどのアニメの尺に収めるため、かなりのカットや改変があったがポイントは外してなかったと思う。むしろアニメのテンポ感尊重の観点からみると、これくらいはやむを得ないだろう。逆にコミックとの違いを楽しめるほどだった。

 ヴェルドラ復活シーンもかなり簡略化された。原作では、まず元の竜体で復活して、ひとしきり言葉を交わした後の人型への変身だった。アニメでは再会の余韻が楽しめなくて残念。しかし急展開のインパクトがあり、テンポとしては悪くなかった。

 願わくば、2部の初回でうまく事象の前後を入れ換えてカットされた台詞を復活させ、リムルとヴェルドラの再会の、原作の持つしみじみとした味わいを少しでも復活させて欲しい。

<脱皮、そして飛躍>

 今回遂に、後に”新星(ニュービー)”の二つ名を与えられる魔王誕生。リムルと物語に新登場のディアブロと人型ヴェルドラ、そしてリムルと共に進化した幹部たち。

 最高位の悪魔の一柱ディアブロが配下に、守護神ヴェルドラが仲間になった。それすなわち、テンペストは戦略核兵器を手に入れたようなものだろう。

 2部でレベルアップしたリムルたちの躍進に注目したい。
{/netabare}
{/netabare}
❮全話鑑賞を終えて❯
{netabare}
<今期の脚本について>

 転スラ1期と2期のシリーズ構成と全話脚本は、筆安一幸氏

 近年、氏の名前は異世界ファンタジーもののアニメのエンドクレジットでよく見掛ける。氏が構成と全話の脚本を担当した、私が観たことある作品は、「異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術」、「魔女の旅々」、「神達に拾われた男」。

 以上鑑賞して、原作の持ち味を壊さないのが氏の長所だと思う。良くも悪くも原作通りで、原作を超えるような魅力をアニメに与えるほどではないが、不快なほどの改変は少なく、一定のクオリティーは約束してくれる安心感のある脚本家、というのが氏に対する個人的イメージ。

 転スラに関して、氏の脚本の割り切り方は自分と相性良かった。取捨選択の上手さはさすがプロの仕事と思えた。

<原作とアニメの構成について>

 転スラ1期は、連続2クール全23話で書籍4巻まで進んだが、4巻は途中のカットが非常に多かった。4巻は序章+全8章だが、シズの5人の教え子に関わる以外の部分はほぼカット。丁寧に描かれたのは5章から7章のみで、そこまでが1期の区切り。

 2期の第1部は、書籍第5巻のタイトル「魔王覚醒編」をメインテーマとして構成された。そのため2期では、話の整合性のため、4巻のエピソードの一部が序盤で蘇った。

 まず4巻の序章を初回の閑話に織り込んだ。

 次に本編1話目の25話から27話迄の3話分で、1期で丸々カットの第1章の獣王国の使節団来訪、2章の武装国家ドワルゴンの外遊エピソードを織り込んだ。4巻8章相当の終章は、今期の30話で描かれた。

 獣王国との交流は、今期ミリムの天災から救援を施すだけの国家間の親密度がある、とアピールするために必要。

 外遊エピソードは、特にリムルのスピーチが重要な伏線。ファルムス王国の為政者達が、リムルは世間知らずで無能な君主と誤解させるイベントだから。つまりテンペスト侵攻は、王とその取り巻きの判断ミスがすべての始まりだったで因果関係上、外せないエピソード。

 上記の3話は他にも、ガゼル王が有力なテンペストの後ろ盾であることを強調した。それは2部の伏線となるだろう。

 また、テンペストは他国が羨むほどの国力があることを示したが、それがファルムス王国に目を付けられるきっかけとなった。

 以上、振り返れば3話分の地味な展開も重要な内容だったと思う。

<第2部の予想をするのが楽しい>

 夏クール予定の第2部。原作をどう料理してどこに着地するか今から興味深々。出来れば3期に繋げるつもりで、ゆっくりと丁寧に描いて欲しいものだ。

 1部の構成から予想すると、書籍6巻最後迄進むのは確実だろう。しかし1クールで1巻分のみというのは考え辛い。7巻にも突入する可能性大だろう。しかも、リムルとヒナタが背中合わせの2期のキービジュアルの存在で、2部は7巻のほぼ最後まで描いて区切りを迎える可能性もあり得る。

 その場合、1クール12話程度でほぼ2巻分のエピソードを収めることに。2部は1部以上の原作の簡略化もあるかもしれない。

<余談:レビュータイトルに込めた祈り>

 レビュータイトルにある”深化”のここでの意味とは何か。

 魔王への進化は物語のターニングポイントでこれ以降、リムルの交遊関係のレベルと他国への影響力は格段に上がっていく。その流れの中で、テンペストはある部分で実際に”深化”することで国庫が非常に豊かになり、魔物だけでなく人も爆発的に流入、国として短期間で大発展する。

 そのあたりはシムシティなどの都市育成ゲーム感覚で楽しめたが、ファンタジーならではの発展の要因が非常に面白かった。”深化”による一石三鳥もの結果にリムルと一緒にワクワクした。また、周りから馬鹿にされていた存在に光を与える流れに感動し、その辺は原作で最も好きなところになった。

 但しそれは書籍第8巻半ば以降からのエピソード。つまりアニメは3期がないと味わえない。そのため3期制作の願いをレビュータイトルに込めた。
{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 13
ネタバレ

Takaさん さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

第2期 前半戦

前評判は高かったけど、第1期見て「ん?」と思って、
マンガ版を見たら、絵師大当たりで面白かった!

1期の早送り感は無く、遅い感を感じたけど、
最後の最後で早送りになった。

35話~36話
{netabare}
終盤に来て飛ばす飛ばす。

アニオリ入れるなら、マンガの良いシーンを入れて欲しい…

カリオン vs ミリムをやって、
ヴェルドラが人型復活して終わり。

切り方が悪い…
{/netabare}

34話
{netabare}
ゴブタが一瞬格好良かった回かな。

異世界人3人は、モブ過ぎて…
あっけなく殺され1人
仲間に殺され1人
ラーゼンに身体を乗っ取られ1人

そして、リムルの魔王覚醒への攻撃が始まる。
{/netabare}

31話~33話
{netabare}
ミュウランがクレイマンの配下と自白。

リムル、クレイマンの目を欺きミュウランの心臓を
自作のモノと入れ替える。

そして、進軍してくる欲深き王の兵隊を生贄に
真の魔王に覚醒し、シオンたちを生き返らせる確率3.14%にかけることに…

そして、作戦会議へ…
クレイマンは、リムルにチョロイマン認定される。
{/netabare}

30話
{netabare}
結界張って弱っている魔物に無双している刺客2バカ。
シオンは残念な結果になりそうな感じでAパート終わり。

ヒナタ vs リムルは、ヒナタが密告があったと言っていたけど、
リムルが元日本人と知ってるのって、ユウキ・カグラザカしかいないね。

ユウキ・カグラザカも、敵確定ね。

ヒナタは、麗人というより、イケメンだね。
1期のOPバトルシーンだと男にしか見えなかったけど…
声は麗人ぽいが、何とかならなかったのかなーと。
{/netabare}

29話
{netabare}
欲深き王の刺客3バカがテンペストで暴れ、
ミュウランが結界を張り、欲深き王の配下も結界を張り2重結界状態に!

リムルと連絡が取れなくなり、弱体化させられた
シオンに刺客が襲い掛かる。

次回のタイトルからして、ヒナタが登場しそうだね。
{/netabare}

28話
{netabare}
リムルの帰国を待つテンペスト国民。
そこに、ヨウムがミュウランを連れてくる。

さらに、欲深き王がテンペストを狙う。
ここをさらっとやったら、2期の意味が無いかもね。
{/netabare}

25話~27話
{netabare}
獣王国ユーラザニアへの使節団出立と受け入れ。
使節団との交流後に武装国家ドワルゴンへ移動。

ガゼル・ドワルゴ王に、カリュブディスを倒したのは
魔王ミリムだと説明し、ユーラザニアとの国交もバレてしまう。

王としては、まだまだガゼル王の方が経験値上だね。

そして、夜の街へ…オチは、シュナにバレて、
罰ゲームとしてシオン飯。
{/netabare}

閑話
{netabare}
第1期の回想と、ヒナタ・サカグチが、テンペストに攻め込みますよー
の予告回。
{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 5
ネタバレ

ninin さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

リムルの静かな怒り

原作未読 全12話

転生したらスライムだった件の2期第1部です。1期から観ることをオススメします。

スライムに転生したリムルたちが作ったテンペスト王国、今回はその王国に最大の危機が訪れます。

最初はほのぼのとしたところから始まりましたが、徐々にテンペストへの敵対者たちが暗躍して、大変なことになってしまいます。

とても悲しい出来事がたくさんありましたが、そこはこの作品、最後はスッキリとして終わります。
{netabare}
異世界転生者3人は酷い性格でしたねw

ヒナタはもう少し聞く耳を持ちなさい!と観ていて思いました。

シオンの死はとても悲しかったです。リムルがシオンの亡骸と会うときの「ああそうか、俺はもう心から魔物なったんだ」が心に刺さりましたね。

その後のリムルたちは容赦なかったですね。
{/netabare}

ただ、まだ解決には至っていないことが多くあり、実際最終話は続きを思わせる終わり方でした。

凄い新キャラ{netabare}(ディアブロ){/netabare}も出てきたこともあり、夏にある第2部が楽しみですね。

OPは1期と同じくTRUEさん、EDはSTEREO DIVE FOUNDATIONさんが歌っています。

最後に、春期の転スラ日記を観て、夏の本編を楽しみに待っていますw

投稿 : 2024/12/21
♥ : 26

68.6 4 ドワーフで料理なアニメランキング4位
異世界のんびり農家(TVアニメ動画)

2023年冬アニメ
★★★★☆ 3.3 (238)
776人が棚に入れました
ブラック企業で体を酷使し闘病の末に命を落とした青年・火楽(ヒラク)が神様に授けられた「万能農具」を手に、異世界で吸血鬼や天使、エルフなどと出会いながら、第二の人生を送る農業ファンタジー。

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

頭空っぽにして見るアニメ

異世界で農業しながら楽しく生活するアニメ
村って言うなら美少女ばっかりよりも、いろんな人がいたほうが温かみがあって好き
お話も設定も農業もテキトーで、すっごくお気楽だから見ているとたまに現実に帰ってきて「いったい何を見てるんだろう・・・」ってむなしくなったりするけど、村の人達がみんなのんびりまったりしていて、とにかく楽しそうで雰囲気がいいから、細かいことはまーいっかってなるアニメ

頭空っぽにして気軽にまったり見るのがいいかな

投稿 : 2024/12/21
♥ : 19
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

将来を読み取らせる結末が良かった。農業=女性=産みの喜びも感じました。

2話 究極のなろう系農業スローライフは、村づくりシミュレーションゲーム妻付という気付き。

{netabare} どう見ても村づくりシミュレーションゲームですね。マイクラというよりシムシティ系でしょうか。どうぶつの森も近いかも。
 いろんな設定や魔物が出てきましたが、要するに万能農具と合わせてコマンドでしかありません。苦労はしないけど時間はいるよ、という感じでしょうか。畑というか住居周辺を上からみた図と、魔物の数の表示はそのままゲーム画面です。淡々とした主人公のモノローグはゲーム実況を感じさせます。

 加えて超健康体でしかも降ってわいたようにロリから巨乳妻までこなせる美少女付きということでうらやましい限りです。

 この作品は、もちろん転生スローライフ農業系の脳みそ停止系作品なんでしょうけど、なんか要らない部分を全部バッサリ切り取って、村を開発して発展する喜びの部分と美女と一緒にイチャラブで暮らすというところだけ、抜き出した感じです。

 つまり、なろう系の究極の農業スローライフ作品とは、突き詰めると村づくりシミュレーションゲーム巨乳妻付というのは発見かもしれません。これ、同じ設定でゲーム化したら売れるかもしれませんね。

 見ていて特に面白い訳ではないですが、畑とか建物が広がるのがちょっとうれしいかなあという部分がやっぱりゲームですね。あとは最後の感じからハーレム化するんでしょうか。もうちょっと見てみたいと思います。{/netabare}


4話 私小説ではなく物語性を排除した自然主義文学。設定と経過だけしかありません。

{netabare}「食」と「生殖」、そして「自己防衛」という人間の生き方そのままを淡々と描いた感じです。物語性の排除というのはアート、絵画や彫刻で言われる話で小説だと純文学で見られなくはないですが、やはり物語がない小説というのは小説たりえない気がします。

 自然主義文学といえなくはないですが、ゾラのような実証性も私小説としての経験でもなく、ただ、人間の欲望を抽象した感じです。

 つまり「こうありたい」という欲望のみです。展開する作品というのは新しいです。それでいてキャラを描こうとしているのが不思議な気はします。「なろう」という新ジャンルを煮詰めて行くと本作に行き着いたのでしょう。
 本作に登場するキャラが置換可能な食と生殖のための「コマ」ではないキャラ付けをするのか、それとも抽象的な女で終わるのかは見ものかもしれません。{/netabare}


第11話 異世界スローライフの究極の純化。面白くはないけど不思議なことに見られます。

{netabare}  すごいですね。とにかく物語が無い。異世界の村の発展を淡々と描くだけです。時々事件はありますけどキャラ(主人公・オオカミ・ザブトン)が皆無敵すぎて全くドキドキしません。出てくる登場人物にキャラクター性が全くありません。

 オープンワールド型のゲームで自分の村を作り上げる感覚にスローライフとハーレムを組み合わせて時々俺TUEEEという感じで、なろう系異世界の内、村・町・国土開発とスローライフを究極まで純粋に煮詰めて行くとこうなるという話ですね。

 ただ、不思議なことに見ていてつまらないわけじゃないんですよね。完全に脳みそを停止というわけでもない適度な刺激もあります。なのに「型」以外に何もない不思議な話です。

 新しいと言えば新しい。ただ、この作品をやってしまうともう行き着くところまで行き着いた感じです。今後のなろう系スローライフはどうなるんでしょう?{/netabare}


最終話 将来に向かって希望が持てる終わり方が良い。終わってみれば面白かったかもしれません。

 出産と農業というテーマとあいまって「産み出す」という話になっていました。そして、もう1つ村を作るような続編へのつなぎと言うより、これで結末だけどまだまだこの村は続いて行くんだよ、と取れる終わり方は良かったですね。

 もちろん続編でもいいんですけど「終われないアニメ」が多い中、結末を見たことと、その結末に希望が持てるのが素晴らしかったと思います。

 ゲーム的ラノベ的楽ちん農業俺TUEEEハーレムということで、あまりといえばあまりのご都合主義でしたが、それを淡々と描くことでかえって行間に彼らの私生活を垣間見ることもできますし、それぞれのキャラに自分を乗せて感情移入することも出来るでしょう。中途半端な物語がないのがかえって面白い効果を生んでいたと思います。

(追記 感情移入は違うなあ。感情移入が出来ないのが良かったのかも。むしろキャラではなく「村」そのものに感情移入したと言えばいいのかもしれません)

 ということで、量産型異世界スローライフとして初めは評価低かったですが、なんとなくですが脳みそ停止型として癒されつつも、農業=女性=生み出す=発展と豊かさということで少子化が昨今話題になっている中、ちょっとプリミティブな部分で人間てなんだろうと考えさせられる要素があったと思います。過大評価はしませんが、過小評価をしてもまずい作品だなあと思います。

 作画音楽など評価はできないし、物語性もないので点数は低いですが、主観的にはもうちょっとレベルが高く感じました。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 14

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

スローライフもだけど内政物として観るととても楽しいなろう原作アニメ

ただし「のんびり農家」なのは3話くらいで、どちらかというと「農村」ないしはほぼ「国家」と言った方が正しいかもしれません。

『転生したらスライムだった件』のスピンオフ『転スラ日記』にも通じるところがあるかも。

「小説家になろう」での原作は読んでいて、コミカライズもかみさんが購入しているのでそちらを読ませてもらっていますが、商業出版されているライトノベルは未読です。

お話としては生前はオーバーワークが原因で結局病死してしまった街尾火楽(まちお ひらく)が異世界の創造神さまの力で転生し、そのときに転生ボーナスとして病気にならない健康な身体と「万能農具」を授かり、「死の森」と呼ばれる危険な秘境を開拓して「大樹の村」を作って仲間を増やしていくというものです。

なかなかヒラク以外の男性の住民が増えずにハーレムっぽくなっていく「なろう転生ファンタジー」的なところはあるのですが、このアニメ化ではヒロインの一人であるルールーシー・ルーを中心として演出などでハーレム感をマイルドに表現していて、忌避感を下げていると思います。

またルー中心に描くためのエピソード順の変更や登場キャラクターの整理(原作には出てくるがアニメでは登場しないキャラがいる)ということが生じているのですが、私見としては原作のエッセンスは大きく損なうことなくうまく処理できていたと思います。

あとはいくつか特筆すべき点を挙げるとすると:

[作画]
動きとかで作画枚数を多く割いたりはしてないけど、SDキャラの使い方が最高に上手い。

[声優]
作中で様々な状況により外見年齢や心情の変化が多いルーの、状況による演じ分けが素晴らしい。

[音楽]
第6話でのワイン造りのために収穫したブドウを踏むときに初出だった挿入歌が名曲で、後のエピソードでも様々なアレンジで使用されます。
(ただし、歌詞はまったく意味わからんですが。)

[キャラ]
ヒラク以外のキャラの多くが、大樹の村の内外を問わずけっこう経済的あるいは政治的な合理性に基づいて行動するのでストレスがたまりにくいです。ここまでみんな有能に描かれるなろう作品は少ないかも。

[ストーリー]
ヒラクが感じることと、むこうの世界の常識が微妙にすれ違っていてそこから生じるコント的なやりとりが面白いです。

投稿 : 2024/12/21
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