ドロドロでヤンデレなおすすめアニメランキング 3

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76.2 1 ドロドロでヤンデレなアニメランキング1位
ハッピーシュガーライフ(TVアニメ動画)

2018年夏アニメ
★★★★☆ 3.6 (534)
1990人が棚に入れました
松坂さとうには、好きな人がいます。その人と触れ合うと、とても甘い気持ちになるのです。きっとこれが「愛」なのね。彼女はそう思いました。この想いを守るためなら、どんなことも許される。騙しても犯しても奪っても殺してもいいと思うの。戦慄の純愛サイコホラー。

声優・キャラクター
花澤香菜、久野美咲、花守ゆみり、花江夏樹、洲崎綾、石川界人、井上喜久子
ネタバレ

素塔 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

愛と超越

「サイコホラー? 観ない方がいいかな・・・。」これが最初の反応。

散々逡巡した挙句、邪道とは思いつつもネタバレ上等でレビューを読み漁り、
ショッキング展開の予備知識を仕込んだうえで、危なくなったらいつでも切る態勢で
及び腰の視聴に臨んだのだった。

結果は、怒涛の如く二日で全話視聴完了、滅多に味わえないような感動に浸ったまではいいが、
ホラーでもサスペンスでもない、じゃあ一体何だろう、との疑問にはまってしまい、
手掛かりを求め原作にまで手を伸ばして、ついには以下の作品考察を書くに至った次第。

要するに、ホラーやスリラーに全く耐性のない自分のような者でも完走可能なレベルなので
視聴を迷っている方は是非挑戦してみてはいかがですか、と言いたいわけである。
観ないで後悔するよりも観て後悔した方が良い、などと無責任な勧奨をしたくなるほどの
これは世に稀な、貴重な作品である。


{netabare} 真実の愛は、それ自体がおそらく一つの狂気である。


月光が射し込むマンションの一室。差し向かいに床に座っている
まだ幼い少女と、年の離れた姉のような高校生くらいの少女。
小さい方が大きい方にヴェールを被せて、結婚の誓いの言葉を唱えはじめる。

病めるときも、健やかなるときも・・・死が二人を分かつまで・・・。

仲の良い姉妹が結婚式ごっこに興じているようにしか見えないだろう。
だが、この二人はこの上なく真剣なのだ。いや、真剣どころの騒ぎではない。
二人だけの世界を守るために、小さい方の少女は家族を捨て、
大きい方の少女は、人を殺し、奪い、傷つけ、ついにはたった一人の友人をも惨殺した。

彼女は言うのだ、それはすべて、漸く手に入れた本当の愛を守るためなのだと。
本当の愛のためならば、すべてが許されるのだと。


精神異常者の歪んだ愛が引きおこす、凄惨な犯罪の数々。
本作のキャッチコピー、「戦慄の純愛サイコホラー」はこの面を過度に強調したものだ。
勿論、自分はこうした予断に異議を差しはさむ意図をもって、これを書いている。

「異常」を前にしたとき我々は、精神病理学でも、犯罪心理学でも
それを合理的に説明する理論によって「理解」したい誘惑に駆られるものだ。
だが、この習慣を物語の解釈にまで持ち込もうとすると、往々真実から逸脱し、遠ざかってしまう。
だから、この誘惑に抗して、疾走する愛の軌跡を虚心に見届けてゆこう。
アニメレビューの本道からは外れるが、原作を踏まえた「越境的な」理解を敢て試みたい。


原作となったコミックは五年にわたって連載され、アニメ化の翌年に完結している。
連載開始の前年には、元型となった読み切り作品が発表されているが、
そのタイトルは、『ホワイトシュガーガーデン、ブラックソルトケージ。』というもの。
本作の二人のヒロイン、「さとう」と「しお」にこめられた暗示を解き明かす、第一の鍵。

さらに遡ると決定的な発見があった。原作者の初期作品、タイトルは『しろいろとくろいろ』。
白い女の子と黒い少年の、果てしない追いかけっこを描いた、メルヘン風の寓話だ。
白い子が黒い子に触れると死んでしまうので、慕って来る白い子から彼は逃げ続けなければならない。

無垢なものの、白。死と罪悪の、黒。この象徴的な二元性が
本作のさとうとしおの二人に受け継がれていることは明らかだろう。

「さとう」と「しお」。

この世の何物よりも甘い、満ち足りた愛の幸福と、
罪と恐怖が支配する現実世界の苦さとの、二つの極のあいだで
無残に引き裂かれた二人の悲劇的な宿命を、このネーミングが象徴しているのである。

同時にそれは、愛らしいものと酸鼻なもの、純粋なものとおぞましい不純なものとが
隣り合い、融合するグロテスクな本作の世界が、寓話的な象徴性をはらんだ独自の世界観に
基づいていることを示唆している。

「しおちゃんは天使。これは仮定じゃない、これは前提。
 だけど天使は弱くてはかない存在なの。
 だから、こんな穢れた世界から守ってあげなくちゃいけないよね。」

自然が真空を恐れるように、絶対的な純粋さはこの世界とは決して相容れない。
さとうの犯行動機は従って、一般的な犯罪者の心理に還元されて済むようなものではなく
この世界観からの必然的な帰結として捉えられなければならない。
穢れた世界から無垢なるものを守るために、自らが穢れを一身に引き受けようとして
避けがたく罪は重ねられる。純白だった砂糖はたちどころにどす黒く汚れてしまう。

あたかもこの世界には、反転と転落の力学が存在するかのようだ。
継起する異常な出来事は、異様に濃密なこの象徴性の磁場の作用だと考えるのが正しい。
登場人物が次々と狂気を露呈させていく展開もまた、このメカニズムによって説明されるだろう。


さらに、純愛と称されるさとうとしおの「ほんとうの愛」を問題にするとき、
そのきわめて特異な内実を、敢て「神学的」と形容したい想いに自分は駆られる。

「私はずっと一人ぼっちだった。何も感じない、常に何かが欠けていて、
 いつもどこか切なくて、このまま独り消えていくのかと思っていた。
 でも違った。しおちゃんが私を見つけてくれたから!」

最後の部分は、信徒によってしばしば語られる「神が私を見出した」という表現と一致する。
さとうにとってのしおの存在は、天使の域を遥かに超えた、救済そのものだったのだ。
そしてしおもさとうも、自分がいま生きていることの唯一の根拠を、互いの存在に見出している。

「私、お母さんに捨てられたあの日、一回死んじゃってたんだと思う。
 でも、さとちゃんのぬくもりでまた生まれたの。」

「私もだよ、しおちゃん、私も。
 なんにもなかった空っぽの私をしおちゃんが生かしてくれたの。」

互いの「新生」の経験が、まるで響き合うように言い交わされる。
これらの言葉は、新しい生命の源となった至高の愛の対象への、至純な信仰告白なのだ。
彼らの愛は、我々が通常経験するような、生存に付随した単なる心理現象ではなく
現世での死を経過して、新たに獲得された「いのち」そのものなのである。

「甘い」が迸る生命感の表現であるのに対し、「苦い」は現実世界における死の象徴である。
ひとたび死に、生まれ変わった彼らはすでにこの世界に属してはいない。
家族愛であれ友情であれ、世の慣習的な価値観はすべて忌避され、否定され、排除される。
微温的な愛、利己的な愛は、この絶対の愛によって裁かれ、容赦なく処罰される。

「ありがとう、しおちゃん。戦おう、命がけで。一緒に証明しよう、私たちの愛を。」

これが彼らの愛の神学である。それは命がけで証しされねばならない超地上的な真理だ。
従って、物語の結末はすでに予告されている。彼らの戦いの果てにあるもの、それは
この世界の外への、永遠へ向けての跳躍―ダイビングの他にあろうはずはないのだから…。



・・・そして、しおひとりが生き残る結末を迎える。

しおのために自分の命を捧げるという、究極の愛をさとうが実践してしまったことで
二人の愛がそのまま永遠へ移行する契機が失われてしまった。これは愛の挫折を意味するのか?
自分も当初は、作者が世間受けのために日和ったのかとも考えた。だが、そうではなかった。

この結末こそが愛の完成だったのだ。

「さとちゃんがどうして私のことを生かしたのかわからない
 考えても 考えても だから私は 考え続けるの
 どんな時も 何をしていても 何を感じても ずっと ずっと
 さとちゃんのぬくもりは私の中にある だから私は それと一緒に生きていく」

二人がこの世界で見つけるはずだった「お城」は、いま、しおの中にある。
{netabare}(原作では復活したさとうとしおが、また二人の生活を始める様子がはっきりと描かれている。){/netabare}
しおは世界と断絶し、彼女の内部でさとうとの、永遠の「ハッピーシュガーライフ」を生きる。
これが二人の愛の究極の証明であり、世界に対する彼らの戦いの完全な勝利に他ならない。


世界はこれを、無力な逃避、ないしは傲慢な自閉として断罪するだろう。
だが、一体それが何だというのか? 死ですら二人を分かつことはできなかったのだ。
ここにあるのは、現世をも死をも超越する、永遠のテスタメント(契約)。
恐ろしいことだが、これは冒涜的なまでに、新約聖書の福音と重なり合うのだ・・・。


自分は、果てしなく考え続けようとするしおの姿に、作者自身の投影を認める。

この作者にとって世界は自明ではなく、問い続けられるべきものであるような気がするのだ。
本作と初期作品とを結んだとき、そこに垣間見える原作者の心象風景、それは
何もない空無のなかで、ただひとすじに持続する「想い」だけが
何か驚くべき、唯一の確かなものとして存在するという、恐ろしくストイックなものだ。

自分は本作に、真に創造的な感性だけが表現することのできる、固有のリアリティーを感じる。
内面の衝迫に促された感性の疾走が、高翔する愛の神学を生み出す発条となったと考える。
そう、多分これは、孤独な思索が営々と紡ぎつづけた、この世界の真実をめぐる寓話なのである。
{/netabare}

(初投稿 : 2020/10/1)

投稿 : 2024/11/23
♥ : 19
ネタバレ

東アジア親日武装戦線 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

にがみのエッセンスが醸し出す「フロイト」的な世界観が気に入った!!

作品概要
▼原作:月刊ガンガンJOKER(スクウェア・エニックス)
▼原作者:鍵空とみやき
▼アニメーション制作:Ezo'la(ディオメディア)
▼話数:全12話{netabare}
▼総監督:草川啓造(ディオメディア)
・実績
(監督)
『魔法少女リリカルなのはA's以後のシリーズ』『迷い猫オーバーラン!』『ロウきゅーぶ!』『艦隊これくしょん』『風夏』『アホガール』他
▼監督:長山延好
・実績
(監督)
僕の彼女がマジメ過ぎるしょびっちな件
▼シリーズ構成:待田堂子
・実績
(シリーズ構成)
『らき☆すた 』『ティアーズ・トゥ・ティアラ』『おおかみかくし』『THE IDOLM@STER』『Wake Up, Girls!』
『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』『はるかなレシーブ』他多数
▼キャラクターデザイン:安田祥子
・実績
(キャラクターデザイン)
『銃皇無尽のファフニール』『sin 七つの大罪』『僕の彼女がマジメ過ぎるしょびっちな件』
▼音楽関係
音楽:亀山耕一郎
OP曲:「ワンルームシュガーライフ」(ナナヲアカリ)
ED曲:「SWEET HURT」(ReoNa)
挿入歌:「カナリア」(ReoNa)第9話
▼キャスト
【声優】項へ{/netabare}

原作未読
リアルタイム視聴済

☆エピローグ
普通のアニメは見飽きたぜ!糖質サイコホラーはドツボだ。
清々しいほどのバッドエンドや、スクイズやヨスガが大好物な私にとって、やっぱねーっ!これぐらいサイコパスで頭逝ってる作品がないとアニメはつまんねぇw
王道や名作、勧善懲悪ばかりじゃ肩が凝るもんね。
本作は世界線やら異世界やらと物理学分野のSFフアンタジー全盛なトレンドに対し、精神医学を世界観の基軸に据えた稀有な作品だ。
したがって、擬似リアリズムであっても、健常な精神感覚では一切のカタルシスを承認しない作品である。

異常心理に興味があったり、最近では『フリップフラッパーズ』を理解できる方々には面白いかも。
本作はストーリーが安定しているから分かり易い。
『ガリナン』もだが、アホアニメ制作会社の評価が定着して社会的には評価が厳しいディオメディアだが、たまに私のツボに入る作品を出すから、目を離せないw

主要キャラでマトモなのは「しょうこ」だけ。
他のキャラは悪い意味で個性が凄まじく、心の闇という健常と異常の行き交う「境界線」の想像どころではなく、真性の「精神病疾患者」であり、ペドフィリア、エフェボフィリア、パラノイア、火病、発達障害etc全員閉鎖病棟の患者でも不思議ではないような連中が繰り広げる異常人格者による基地外純愛群像劇(草)
共感できるキャラが見事に誰もいない稀有な作品ゆえに、様々な矛盾も精神異常が織りなす現象と見ているので許容の範囲であり、作中何が起こっても感情移入が生じることなく、エンタメとして割り切り楽しむことができた☆

タイトルの「フロイト」は精神医学の始祖。
世界的な心理学者「ユング」や「アドラー」の師匠でもある。
原作者はフロイト入門書の『精神分析入門』や『夢判断』を読んでいるな。
フロイトを読むと、読んだ側も精神をやれかねない危険物。
本作も視聴すると、そうなる方向性で演出されている。
異常心理の描写が精神医学的に考察されて「超自我」のメッセージがしっかりプロットされている。
さすがに1クールで精神医学界の巨匠フロイト的世界観を表現するのは厳しいのだが、そこに挑戦したことは評価されよう。
精神分析学的視点に立った考察はメンドクサイし、レビュー読まれる方々の気分を害するからしない。(いや、でも、気が向いたら追記をするかもw)
キャラ設定のベースがフロイト的価値観だから、基地外とは何かを問うているのと同様で、そりゃ陰鬱な世界観にもなるな。

とにかく可愛いOPや絵柄に騙されてはいけない。
マトモな神経では視聴できない作品だから、そこは覚悟した方がいいデス。はい。

それにしてもジエンコって『serial experiments lain』以来、この手の一風変わった作品のプロデュースが好きなんだな。
提供にバップもあったが、ジエンコ+バップ、あーあれか!w

ところで、最近ディオメディアはいろんな名義を使っているね。
「doA」に続いて今度は「絵空」か。
『BEATLESS』は綱渡りだったし、万策(略)に備えて、リスク分散でもしているのか?

【音楽】
OP曲はとてもインパクトがあり癖になる電波ソングだ。
不詳私、DLをいたしました。
OPの作画と楽曲『ワンルームシュガーライフ』で本作の世界観をしっかり視聴者に伝えた(伝わったかは別にして)好演出だ。
ED曲『SWEET HURT』は『GGO』の神崎エルザの曲を歌ったReoNa。
彼女のなんとも言えない切ない声質が、本作の無情で悲惨な末路を暗揄していてなかなか良い。これもDL。
EDの作画は折しも同じ精神異常系の『フリップフラッパーズ』と同様の演出。
「さとう」と「しお」が抱えている闇と二人の関係性を1分30秒でしっかりと表現している。
{netabare}「さとう」の幼少期から現在の描写、そこに「しお」が現れて、二人で城に向かって歩く。
ハッピーシュガーライフの描写と、スキップしながら城から旅立ち、二人で躓いたところで「さとう」が消える(さとうの死)でも「しお」の心には「さとう」が生きている、とこんな感じでEDはこの物語の顛末を分かり易い暗喩で演出している点は視聴者に優しい。{/netabare}
{netabare}しょうこが殺される{/netabare}9話の挿入歌『カナリア』も歌詞に込められたメッセージがそのシーンの演出にしっかりと映えていて良い曲だ。

{netabare}本作、9話は「しょうこ」の恋もあり内容が濃く相当の字数が必要だが、割愛して、挿入歌まで用意された「しょうこ(小鳥)」は本作にとって、さとちゃんの狂気を強調する意味でも重要なキャラだったし、彼女の存在が無ければ、ただの基地外ドラマで終わったな。
(7話の展開が殺される伏線だが)さとちゃんと向き合うタイミングを逸したとはいえ、幼女を「彼氏」として拉致しているさとちゃんの素顔を知った「しょうこ」がとった選択は極めて常識的だが、基地外相手には通じず、理不尽な結果となったが{/netabare}共感シーンが皆無な本作にとって唯一の救いだった。

【物語とキャラ】
キャラは本作一番の問題提議点だろう。
{netabare}よくもまー、あるゆるタイプの基地外を設定したものだと感心した。
しかし、「さとう」の叔母と「しお」を除き他のキャラのサイコパスの根源は抑圧され無意識下に封印された記憶、いわゆる「トラウマ」だ。
「さとう」、「太陽」、「あさひ」は過去エピソードの描写があるから分かり易いだろう。
今では「トラウマ」という言葉は普通に用いられるが、その概念を提唱したのがフロイトだ。{/netabare}
現在フロイトの【精神分析学】はポパーの科学定義にぶった斬られて【非科学】とされているが、なお、その研究は医学のほか哲学としても各方面に多大な影響を与えている。
因みに「トラウマ」と似た概念で「PTSD」があるが、こちら医学的な診断名、つまり科学。
医学的なフレームで論じるのが「PTSD」であると理解したらいいだろう。
そして、この三者の異常行動は明確に「PTSD」である。
「さとう」叔母は「トラウマ」の過去描写がないので、その異常性の因果関係は判別しないが、他人への関与が異常な博愛が動機である点から、所謂「離人性人格障害」であることは確かだろう。
{netabare}「しお」は年齢的に幼くまで認知能力が完成されてはいなから、母親との関係や「さとう」の死をきっかけとし「PTSD」を発症するのは想定内だろうし、「さとう」の狂気の正統後継者となるだろう。{/netabare}
基地外の成長物語を望むか望まないかは視聴者しだい。私は(怖いもの見たさで)今後も観察してみたいものだが。

以上、キャラの性格設定を多少考察したが、個人的に気になっているのはネーミング。
ここ突っ込んだレビューが少ないだよね。
物語と主人公とヒロイン?他女の子キャラのファーストネームの関係だが、「さとう」と「しお」。
これは、第三者視点で物語を俯瞰したときに醸される、二人のイメージなんだろう。
{netabare}さとちゃんの心が至福に満たせるときは「あまーい」、ストレスを感じたら「にがーい」と味覚で心理描写をしているのも本作の特徴だ。
これは丁度可知差異(物理学用語)が「フェヒナーの法則」による感覚量でも定式化されており、物理でメシを食っている私の心を擽った直喩だ。
「しお」の存在を「さとちゃん」から見た場合は「あまーい砂糖」だが、第三者視点ではさとちゃんに試練を与える文字通りの【塩】な存在。
自らの「あまーい生活」を守るためにさとちゃんは、せっせとバイトで生活費を稼ぎ、脅迫、傷害、詐欺、挙句の果てには殺人までやってのけた。
ある意味、これほどの純愛ドラマはスクイズ以来かもね。
これが、「しお」が【塩】である所以である。

そして「さとちゃん」の光に立候補し、人の道に戻そうとした「しょうこ」は「胡椒」の捩りで、そのお節介は、さとちゃんにとっては「辛い」味覚、はた迷惑で排除すべき存在として描かれているのではないのだろうか。{/netabare}

次に、苗字についてだが、「神戸」と「飛騨(飛騨しょうこ)」に共通するのは高級和牛ブランド。
さとちゃんの苗字「松坂」を「松阪」とすると、やはり高級和牛だが、これは作者の誤字なのかな?
他にサブキャラの宮崎すみれ、但馬みとりも高級和牛ブランド。
本作と高級和牛の相関関係は謎だが、キャラネーミングには法則があるようだね。

で、本作のキャラ設定だが、精神疾患と異常心理の掘り下げに作者の知識の限界からか詰めの甘さが残るが、これだけの基地外キャラをクリエイトし、物語をプロットした点は評価されよう。

{netabare}最終回はオリジナル展開だが、さとちゃんを「あさひ」に殺させ、それでも「しお」に切られ、自殺を図る展開も悪くないと思ったが、さとちゃんを死なせて、「しお」を生き残らせ、「あさひ」を切った展開は前述のとおり、{/netabare}これからの「しお」の異常人格発揮を十分妄想できる余韻を残した意味でも評価できる。

あと「しお」の失踪だが、{netabare}物語の通り捨て子であっても「しお」は小学生だ。
失踪すれば、社会的に何らかにリアクションがあるはずだが「あさひ」が述べたように警察で相手にされないのは不自然すぎる。{/netabare}
欠席が続けば「しお」の担任教師が家庭訪問をするし、親に不審な点があれば、児相とも連絡を取り合い世間にバレるはず。
その過程で事件性があれば警察が動くが、事件性はないとする裏設定でもあるのかな。
「しお」の境遇を考えると、無戸籍である可能性もあるが、視聴者が納得できる線で簡単にでも触れておくべきだったろう。

【作画】
全般的にディオメディアクオリティであり、動かす場面も少ないから、ボロも出ず可もなく不可もなくといったところだが、シャドーの用い方、基地外の表情など、サイコホラーとしての演出は頑張っていたと思う。
ただし、9話は{netabare}本作の神回であるにもかかわらず、作画が演出についていけていない。
挿入歌とナレーションを背景にCVを入れずに「さとう」と「しょうこ」の葛藤シーンが描かれた。
前述したとおり、演出は素晴らしかった反面「しょうこ」の表情が「棒」であり、迫力が全く伝わってこなかった。
基地外表現の作画に手一杯で、健常者の必死の訴えの表情演技まで手が及ばなかったようだ。
CVなしで映像表現のみを用いて視聴者へ訴えるのは、自信と相当の作画センスが要求される。
試しに、スクイズとの見比べで「誠」殺害後の「言葉」と「世界」の葛藤シーンを音声なしで視ると分かるが、迫力が全然違う。
ディオメディアの作画センスの限界が、この素晴らしい演出を削いでしまったと思うと残念でならない。

ただ、小鳥の演出を含めてだが「さとう」が文化包丁を「しょうこ」の首に突き刺し殺す描写は、頸動脈からの血飛沫には違和感を感じつつも、「さとう」を引っ掻き断末魔に喘ぐ描写や小鳥の死を比喩した痙攣描写など殺人過程はしっかり描ききっている。
ただし、グロ描写を強調し過ぎたことで視聴を打ち切った方々を出したという負の作用もあったが、{/netabare}これを斟酌して私的には高い評価をしたいと思う。

【声優】
原作を読んでいる方々には花澤さんはミスキャストだとの意見も多いが、原作を読んでいない私にとって可もなく不可もなしだ。
寧ろ、客寄せパンダ役も兼ねて、演技力が要求される「さとちゃん」役には適任だったのではないだろうか。
個人的には「しお」役の久野美咲さんの演技が輝いていた。
『WIXOSS』や『LOST SONG』でも思ったが、主役よりも準主役や重要キャラをやらせると巧いタイプかもしれない。
さとうの叔母役の井上喜久子さん。
『らんま1/2』から活躍しているだけあって、ベテランらしく味のある演技でサイコパスを演じていたのが印象的だ。
難しいキャラの「三星太陽」を演じた花江夏樹氏も好演だった。

ゆえに総じて高評価とする。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 62

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

ヤバい、面白い…。

語彙力ぅ!

そういえば天狼のレビューを書いたときにこいつの存在を忘れていました。

2018年7月期で原作付きの大物。観ますっていうか、観てますってだけで情報量ゼロです、すみません……。

2018.9.29追記:
とりあえず、虐待に傷ついた二人の少女が真実の愛を求めてあがいたあげくに、犯罪レベルの奇行に走るお話。

第12話(最終回)まで観終わったので、少し真面目に書いてみます。

まず、一見して松坂さとうが主人公のようで物語の中心は神戸しおですよね。それと「作中の登場人物が(飛騨しょうこを除いて)異常な人物ばかり」に見えはするんですけど、「罪無き者のみ石を投げよ」っていう感じで、みんなちょっとした行き違いや不幸(ちょっとしてないのもある)がきっかけでたまたま異常に見える行動が発現してしまったというだけの話で、メインキャラには理解不能レベルなことをやっている人物はいなかったです。

自分がはっきり嫌いと言えるのはしおちゃんの父親と、次点でさとちゃんの叔母さんくらいかなあ。

まあとにかく、他の人物に関しては共感まではいかないにしても理解は及ぶ感じでとても良く書けたお話だったと思いました。漫画原作ですけど小説っぽいストーリーでしたね。最終話、しおちゃんの言動によって受けたあさひのショックはいかばかりか想像を絶する…。

……って、これかなり面白かったけどウケないだろうなあ。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 52

57.6 2 ドロドロでヤンデレなアニメランキング2位
M3 -ソノ黑キ鋼-(TVアニメ動画)

2014年春アニメ
★★★★☆ 3.2 (347)
1781人が棚に入れました
歪で、どこまでも濃い黒。黒が全てを飲み込み、全てを奪い去ったその場所は、無明領域(むみょうりょういき)と呼ばれるようになる。人間の絶望と混沌をそっくり引き写したかのような異形のものたち。彼らはこう呼ばれた。イマシメと。
ネタバレ

芝生まじりの丘 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

痛々しい鬱屈感

プリンセスチュチュとかカレイドスターの監督のロボット鬱アニメってどんなやねんということで視聴。
まあ、結構面白かった。
既存アニメで例えるなら、電脳コイルの世界観的要素や、無限のリヴァイアスのキャラ造形を思い出させる。
私は痛々しいモノが好物なので、前半が特に好みだった。後半も良い部分は度々あったけど、ちょっと話の大筋に重点が行ってしまっていて、私はそこに興味がなかった。無限のリヴァイアスに似ているというのは確かに当たっていると思う。ただ、思い出補正もあろうけど、あっちの方が好きだな。こっちは主人公が出来すぎというか。モテすぎというか。その上主人公に重点を置かれすぎなところがある。そこが群像劇もどきという感じで、個人的にはせっかくそこそこピーキーにキャラ造形しているんだから、もう少し主人公以外にスポットを当てて欲しかった。

好きなキャラクタは結構多かった。ナツイリとか、ヘイト、マームとか、エミルとか。(どんだけコジレてるかって感じの選び方だなこりゃ。)
例えば {netabare}ナツイリのパスワードがナポリタンという絶妙さ {/netabare}とか好きですね。
個人的に大きな難点は{netabare}エミルとヘイトの捨てられ感。エミルはせめて回想とかで出番作ってもいいじゃんけと思った。マーム以外みんな忘れてそうだ。このハナシで一推しはエミルだった俺としては大分ツライ。
そして、エミルはまだ死前の盛り上がりがあったけど、まじでヘイトは何のためのキャラかわからん。申し訳程度に最終盤にチラリと見せ場?を用意しているのが哀愁を誘う。あんなピーキーな設定にしといて何が目的だったんだ、という。終盤はサイコが残らず消えて個人的にこの作品の面白みがほぼ消失した。あとミナシの形成についてはもうひと押し丁寧に描写が必要だったかなと思う。{/netabare}全般的にキャラクタの材料は結構いいけどもう少し料理してほしい感じが割とあった。

まあともかく、タイプ的には結構好きな作品だな。個人的にはあにこれの評価よりかなり高い評価を下したい。少なくともクオリティの低いアニメではないし。暗いと言われたらそうかもしれないけど、これくらい暗いアニメはまあ昔はたくさんあったと思う。別に展開が停滞して退屈するみたいなアニメでもないし。でも世評は違うみたいですね。ともかくアタリなひとにはアタリだと思うので、試しに見てみても良いかなと思います。

個人的には特色はむしろ前半だと思っているので、普通に1,2話見て合わなければ切ればいいと思います。終盤の盛り上がりは平易なモノなので頑張ってまで見つづける必要はないと思います。

蛇足
噂では、制作が前倒しになって、進行させながら、設定練ったりハナシ作っていたということ。それで全体の文脈が(キャラの回し方とか)ちょっと弱いのかな。御愁傷様です。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 1

mkanime さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

人はすれ違いを繰り返す

 評価の低さに驚きですが、低評価される理由はなんとなくわかる。しかし、そこまで暗い、テンポの悪いアニメではない。ただし、終盤は微妙。全体としてはおもしろかったし、観てよかったと思える作品ではある。

 評価の分かれ目はキャラへの理解度。1話から5話くらいまでをどれだけ注意深く観たか、ということになろう。言葉の端々まで気を配っていれば、キャラの本心を読み解くことができる。ちなみに、もとから異常な人間は登場していない。全員、根は普通の人々である。ヘイトに至っては分かりやすいったらありゃしない。「俺の恐怖ぅ...」が何を表しているのか、考えてみれば核心にたどり着ける。分かりにくいのはミナシか。現実ではこういうタイプが一番厄介な人間。あ、狂気の夏入さんはあそこまでひっぱらんでも序盤で人間性が出ちゃってますよね。なのでわざわざ後半でみっちり描写しなくても、とは思いましたが。
ともかく、細部まで見落とさずに1話から5話あたりまで観ればキャラのまともさが(ミナシを除いては)分かるはずです。なので毛嫌いしないで!

 個人的に好きなのは、キャラ同士で対比や鏡のようなかたちでキャラの心理が掘り下げられていくところ。リムという仕掛けも良かったです。

 少し残念だったのは、伏線が簡単に拾い上げることができ、展開が読めてしまうこと。テンポが悪い、というわけではないのですが(必要なシーンなので。)、なんというか、「うん、知ってたよw」という事態が頻発しますwww

22話以降の展開。製作者の意図はわかるんだが、結論がそれ以前で出てしまっている以上、なんだかなぁという感じがします。まぁ面白いのは面白いのですが。ちょっと乱暴?という印象は受けます。そこだけがこの作品の欠点かな。

 この作品を観終わって感じたのは、「複雑な仮面をかぶる事にも意義はあり、それ故その人の核を信じることが、本当の"つながる"ということなのだろう」ということです。

 ロボアニメというよりは人間を露骨に描いたアニメです。それゆえ好みは分かれるかもしれませんが、良い作品と胸を張ってお勧めできます。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 3

karinchaco さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

私は好き。ただこうも作風が暗くては…。

14年春から2クールにわたって放送されたオリジナル作品。一応原案とされている漫画もあるみたいですが・・・。

作品としてすべてが暗いです。ストーリーも作画も演出もキャラ設定も何もかもが暗いです。唯一明るいのは坂本真綾さんの後半OP位でしょうか。w
展開としては前半は伏線を張っておいて中盤以降から少しずつ真実を明らかにしていきます。この真実のばらし方は実に絶妙で、2話に一度ぐらいの割合で大きな伏線を回収していきます。ここら辺は脚本と演出が実によく練られているなあと感心してしまいます。

キャスティングは結構豪華ですね。主人公は今を時めく若手実力派松岡禎丞さんを起用しています。

2クール目からは話が大きく動いていくので1クール目よりは面白く見れると思いますが、それでも救われない展開が続いていくため、この重たい鬱展開に耐えられる人のみお勧めしたいです。

そう考えると急に2クール目から放送し始めたBSフジは優秀かもしれません。どれだけ見ていた人がいたかはわかりませんが・・・。
しかし、なんで2クールも尺とっていたんだろうね。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 7

64.7 3 ドロドロでヤンデレなアニメランキング3位
文学少女 劇場版(アニメ映画)

2010年5月1日
★★★★☆ 3.7 (274)
1391人が棚に入れました
文字どおり食べてしまうほど文学が好きなヒロイン・天野遠子と、彼女によって無理やり文芸部に入部させられた男子高校生・井上心葉が様々な事件の解決に乗り出す学園生活の模様を綴った野村美月の人気ライトノベル・シリーズを映画化した劇場版アニメ。『銀河鉄道の夜』がモチーフとなっている原作の第5巻『“文学少女”と慟哭の巡礼者【パルミエーレ】』をベースに、心葉と彼のトラウマとなっている少女・朝倉美羽との運命の再会がもたらす切なくも愛憎入り交じる人間模様を描く。

声優・キャラクター
花澤香菜、入野自由、水樹奈々、宮野真守、小野大輔、豊崎愛生、下田麻美、平野綾

sakurama61 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

本っておいしいんですかね?

“文学少女” というタイトル通り
文学作品である宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』がキーワードとなっています

読んだほうがおもしろくなると思うんですけど読まなくても、じゅうぶんに理解できると思うのでだいじょうぶです(^^)



高校生の心葉くんはある事件が原因でトラウマを抱えることになってしまいます(*ノД`*)
そんな中で文芸部に入部させて毎日物語を書くことをすすめる部長の遠子せんぱいにふりまわされながらだけど
たのしい日々がつづいていって(´∀`*)


でもそんなある日、心葉くんはトラウマの原因となった美羽ちゃんと再会してしまい……


一応のあらすじです


わたし最初はもっとおちついた話なのかと思ってたんですけど
まさかこんなに
みんなたくさん悩んでてシリアスな話なんだぁってちょっとびっくりでしたヽ(´Д`;)ノ


しかも遠子せんぱい「紙にかかれた物語(本)」をたべて生きてるだなんてwでもすっごくおいしそうに食べてるんですよねw

心葉くんがちょっとうらやましかったです(´ε`*)w



『銀河鉄道の夜』のジョバンニとカムパネルラをうまく心葉くんと美羽ちゃんにたとえていました^^



おわりのほうで遠子せんぱいがみんなに文学を引用して語りかけていくところはやっぱり“文学少女”だなって…


ただ1つ気になったところは
キャラの心情がわかりにくかったところです(;´Д`)
原作読めばわかるのかなぁーって…

けど、作品の全体を理解することのできる内容だったのでよかったと思います^^



とてもまとまりがあっておもしろかったので
気になった方は観てみてください(*´v`*)






ちなみに“文学少女”の『“”』がなぜついてるかというと
そのほうが画数がいいからなんだそうです!w
登場するキャラの名前の画数もついつい、いい画数にしてあげたくなっちゃうみたいでw

作者の野村美月さんすごいですね(*´ω`*)w

投稿 : 2024/11/23
♥ : 41
ネタバレ

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

ヒロインが花澤嬢だったなんて・・・、物語に没頭して最後まで気づきませんでした。<追記;OVA>

モクレンの木の下で物語をおいしそうに食べる遠子さん。
それが心葉の出会った文学少女。
これは一人の少女と一人の少年の出会いと成長のお話しである。

ある時は無邪気にはしゃぐ妹。
ある時は無償で励ましてくれる姉。
そして時にはすべてを理解し包んでくれる母。
そんな遠子さんにより、心葉は再び歩み出す。

宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」。
この文学小説を中心に物語が進行。
そして、プラネタリウムの夜のカタルシス。
感動せずにはいられません。

全体に流れるのは、心の闇。
しかし、それを明るく照らし出す文学少女。
一筋の清流を見ているかのよう。
そんな作品である。

<追記;OVA>

劇場版にOVAとは珍しい。
ヒロイン3人によるサイドストーリーです。

遠子さん編
{netabare}心葉と出会う前の遠子さん。
遠子さんの清楚で可憐な文学暴走が楽しいです。
意外や意外、遠子さんにあんな悲しい過去が・・・
でも、太陽のような遠子さんは前を見つめます。
そこにあの井上ミウ(井上 心葉)が。
運命の出会いです。

ところで、劇場版の出会いのシーンは演技だったんですね。
役者だね、遠子さん。{/netabare}

美羽編
{netabare}心の闇を抱える美羽。
劣悪な家庭環境のため、心が歪みます。
ホントは、誰のせいでもないんだけどね。

心葉との出会いは必然。
しかし、不幸な結果に・・・
遠子さんとの出会いは少し先の話です。{/netabare}

ななせ編
{netabare}己の気持ちを巧く表現できないななせ。
シャイで不器用なツンデレがひたすら可愛いです。
心と裏腹な態度をとるのも純なせい。
ななせ頑張れ!
ななせの片想いドタバタ騒動記をお楽しみ下さい。

それにしても森ちゃん、面倒見のいい優しい子だね。{/netabare}

投稿 : 2024/11/23
♥ : 33

あーるぐれい さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

クオリティが高いだけに。。。

ラノベ原作らしいのですが未読。
でも、雰囲気からして、きっと素敵な物語な予感がします。

文学少女なヒロイン『天野遠子』と、主人公『井上心葉』を中心に描かれる、
透明感のある切ないラブストーリー&メンヘラ愛憎劇。
宮沢賢治をモチーフにした描写、引用がセンス良く散りばめられているあたりが
『文学少女』たる由縁ですが、物語に花を添えるキーワード程度&一般常識で
十分に理解出来るレベルなので心配要りません。


活字の映像化は、どうしても尺に合わせる部分の制約が大きいため、細かい描写や伏線のカットによって「薄っぺらく」なりがちなのですが、本作も多分その弊害が大きいかと。

ヒロイン遠子先輩はとてもキュートだったものの、それ以外のキャラクターは(愛憎劇に絡むキャラでさえ)もっと掘り下げる余地があったように思えます。
というか、もっと深くなければ愛憎劇が成立しないかも。

全体的に技術的なクオリティは高いため、やはり映像化の限界を感じる物語構成がとても残念でした。
基本的には、地に足が着いていて好きなんですけどね。

ラストシーンの透明感を感じる純粋な切なさ、
大好物ですw

投稿 : 2024/11/23
♥ : 22
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