セレナーデ さんの感想・評価
3.3
大暴落
あちゃー。やっちゃいましたね。
話作りに随分気合入れた気配はびんびん伝わってくるし、私もそれを超楽しみにしてたんですが、しかしどう考えてもつめこみ過ぎですよこれ。
導入部分、ヒックさんが長の座を継ぐことに自信を持てずにクヨクヨ。リーダーとしての責任に目覚めるヒックの成長がテーマなのかい、と思った途端「ぼくってなんなんだろう」とアイデンティティ探し的なイッチョマエの悩みもしょってることが判明。この2つの課題をどう捌くんだろう、と不安になってたら、死んだことになっていた母ちゃん登場。父ちゃんも巻き込んで家族愛が描かれだす。おいおいなんか雑味が出てきたぞ、と徐々に嫌気が差してきてもお構いなし、{netabare}トゥースちゃんを暗黒面に落としてヒックとの友情の再確認が展開。ドラゴンとの友情とかもうそれ1作目で十分やったでしょうが、と食傷してるとそのドサクサに父ちゃんの死を使ってヒックさんに長として人の上に立つことに腹を決めさせる。強引に軌道修正キメましたなあと半ばヤケクソで納得してたら、トゥースちゃんまさかの覚醒。危なげなくラスボスを蹴散らしそのままの勢いでドラゴンの王に{/netabare}。うーん全然ピンと来ねえ。
要するに責任だの自分探しだの家族愛だのとあれこれ言い出すすごくうるさい内容でして、途中から飽きてくる典型パターンにまんまと陥ってるんですわ。
結局最終的には「{netabare}人間の王とドラゴンの王が同時に誕生しましたよ{/netabare}」という感動を迫ってくるものの、なんかすっげー寄り道した気がするなあという疲労感の方が強くて、カタルシスを覚えるには到底至れずといった感じでした。
描くものをシンプルに落とし込んだ1作目は何度も観れて、しかもその度面白いんですが、正直こっちは今のところもう一回観たい気力は微塵も沸いてきません。強いて言えばトゥースちゃんの可愛い場面だけ時々眺めようかなくらい。
なにやら4作目の話まで浮上してるようで、ドリームワークスは完全にヒクドラを稼ぎ頭の看板シリーズに仕立てたい模様。たしかにマイラブリーエンジェルトゥースたんは順調に可愛いんですが、今作の出来を見る限り凡作請負キャラになってしまいそうで、果たして今回の大暴落を繰り返すことになるのかとオラ心配でしかたないねーです。
驚異的な完成度だった1のそれに並ばなきゃ許せんとはまでは言わないけど、次はお話つくりにもっとシンプルさを心がけてもらいたいです。