ドラマチックで熱血なTVアニメ動画ランキング 2

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63.9 1 ドラマチックで熱血なアニメランキング1位
Pumpkin Scissors パンプキン・シザーズ(TVアニメ動画)

2006年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (215)
1340人が棚に入れました
停戦から三年を経た今も戦災という名の混乱が続く帝国。この戦災から帝国を復興させるため、専門課を軍隊内に設置した。それが陸軍情報部第3課(通称:陸情3課)及び実動小隊パンプキン・シザーズ。物語は、とある村にパンプキン・シザーズとして赴いたアリス・L・マルヴィン少尉と退役伍長ランデル・オーランドとの出会いから始まった。 

青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

アリスに引っ張り回されることに心地よさを感じはじめたなら、あなたももう立派なパンプキン・シザーズのメンバー

岩永亮太郎による原作漫画は、『月刊少年マガジン』(講談社)で連載中(既刊23巻、原作未読※4年の休載を経て2024年5月から連載再開!)。
アニメは、全24話(2006年)。監督は、『神秘の世界エルハザード』、『イナズマイレブン』シリーズなどの秋山勝仁。制作は、『宇宙戦艦ティラミスⅠ・Ⅱ』、『火ノ丸相撲』などのGONZOと、『天地無用!』シリーズ、『瀬戸の花嫁』などのAICの共同製作。
(2024.6.25投稿)

全く知らず、なんだこれと思って観始めたものの、古い作品だけど埋もれさせるのはもったいないと感じて、いまレビューを書いているくらいには気に入った作品(笑)

雰囲気は、『鋼の錬金術師』が近いけれど、ハガレンよりファンタジー色は弱め。また、「人の持つ狂気」を描いているところも共通点。


【あらすじ+設定解説】
第一次世界大戦前後の軍事技術を持つ架空の世界が舞台(ただ、回転式の砲塔を備えた戦車が最強で、航空機は出てこないので発展がいびつ)。
もっとも、軍事技術は二十世紀なのに、主人公のアリス少尉(CV.伊藤静)が所属する帝国は、十八世紀のフランス革命期(「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」の頃)のような「平民と貴族」との間に「家畜と人間」くらいの身分格差が残る社会というギャップがある。

その帝国は、共和国と国土が大きく荒廃するような大規模戦争をした後に停戦に至る。しかし、敗戦ではなく停戦であったため、旧態依然の貴族社会がそのまま残ってしまう。これが主な原因となって停戦から3年が経過してもなお戦争による社会的混乱は収束せず、貴族・軍部の汚職、難民、兵隊の野盗化などの「人為戦災」が続いていた。
そこで、帝国は、これらの問題に対処する専門部隊として陸軍情報部第3課(後にアリスが「パンプキン・シザーズ」と命名)の設置を決める。

もっとも、第3課の「戦災復興」は名目にすぎず、実際は戦争後に必要のなくなったはずの軍部が予算を維持・獲得するための口実として作られた捜査・逮捕権のないお飾りの部隊で、実情を知る軍部では「お祭り部隊」と小馬鹿に(3課のメンバーは、様々な理由から軍で行き場を失って閑職に追いやられた人たち)。

しかし、第3課課長のハンクス大尉(CV.チョー)以下、アリス少尉、オレルド准尉(CV.鳥海浩輔)、マーチス准尉(CV.鈴木千尋)、リリ・ステッキン曹長(CV.植田佳奈)、ランデル・オーランド伍長(CV.三宅健太)、軍用犬のマーキュリー号(CV.小川一樹)の6名と1匹は、人為戦災の根本原因であるカボチャのような硬い外皮に守られた権力者たち(パンプキン)を、切り裂くはさみ(シザーズ)として、建前ではなく真剣に人為戦災と向き合っていくことになるのだった。

物語は、退役軍人が野盗化して人為戦災として暴れている村に「パンプキン・シザーズ」として出動したアリス少尉たちと、戦後各地を放浪していたオーランド伍長との出会いから始まる。


【アリス・L・マルヴィン少尉】
本作は、主人公アリスをどう見るかで評価がガラリと変わる作品だと思う。

アリスは、帝国貴族の中でも特に偉いとされる「武家の名門貴族の次期当主」。そのため、見た目は「金髪碧眼のお姫様」でありながら、武芸を嗜み、その物言いや態度は高圧的な武人というギャップのあるキャラ。

「“不公平”が許せないからだ
貴族だから裁かれない、平民だから許される…笑止!
罪あらば裁く!悪あらば斬る!
それが貴族でも平民でも…皇帝陛下であろうとも!」

とのたまう性格はクソほど真面目。自分が正しいと思ったら猪突猛進、直情径行。
高い社会的地位には義務が伴うことを意味する「ノーブレス・オブリージュ」を臆面なく実行しようとする。

だから、私の登場当初のアリスの印象は、「うざいやつ」だった(笑)

お前は、今まで安全な貴族社会に守られ、社会の実情を何も知らない甘ちゃんが、ただノー天気に正義を振りかざしているだけなんじゃないか、偽善なんじゃないかと。

が、アリスは、どんな困難にぶちあたっても、へこたれないしブレない。とにかくその覚悟が尋常ではないのだ(彼女をそこまで突き動かす理由には何か秘密がありそう)。

そして、その強い信念が次第に周囲の人々の心を動かし、さらに視聴者の心をも動かしていく。


【ランデル・オーランド伍長】
もうひとりの主人公であるオーランドは、本作の世界における最強兵器である戦車に対し、生身で接近し、13ミリ対戦車拳銃「ドア・ノッカー」で装甲越しにパイロットをゼロ距離射撃するという、トンデモ人間兵器(901ATT(Anti Tank Trooper)通称「命を無視された兵隊(ゲシュペンスト・イェーガー)」)。

人間離れした大柄な体格や顔に傷跡があることから、フランケンシュタインを彷彿とさせる。性格もフランケンシュタインと同様に極めて温厚。

しかし、腰に提げたランタンへの点灯を合図として、一切の苦痛や恐怖を感じない殺戮兵器へと豹変する(その存在については、戦時中、噂されていたものの、軍部で秘密とされていた。)。

トンデモ人間兵器だけに、その精神的ストレスは想像に難くなく、現に悪夢にうなされるなどPTSD(心的外傷後ストレス障害)と思われる描写がある。

そう、彼の中でも戦争はまだ終わっていないのだ。

アリスとパンプキン・シザーズの面々は、オーランドが抱える秘密を暴き、彼の「人為戦災」を終わらせることができるのかも見処の一つ(ただ、本作では途中まで…続編希望…)。


【パンプキン・シザーズのその他のメンバー】
また、上にあげた二人を中心として魅力的なメンバーがその脇を固める。

見た目は冴えない中間管理職の中年男性で昼行灯の第3課課長のハンクス大尉。チョーさんがはまり役。

そして、女好きのオレルド准尉、オレルドの幼馴染で本作の普通の人枠マーチス准尉、天然ドジっ子リリ・ステッキン曹長、噛み癖がひどい軍用犬マーキュリー号。

各メンバーの背景描写もきちんとあり、第3課の雰囲気がよく伝わってくる。


【音楽】
OPが「残酷な天使のテーゼ」で有名な高橋洋子さんが歌う「蒼き炎」


【最後に】
本作では、パンプキン・シザーズのメンバーも視聴者も、とにかくアリスに引っ張り回されることに。
そんなアリスに引っ張り回されることに心地よさを感じはじめたなら、あなたももう立派なパンプキン・シザーズのメンバーだろう。

投稿 : 2024/08/03
♥ : 3
ネタバレ

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

「戦災復興」というテーマ

<2019/8/27初投稿>
原作未読。

以前より良い評判は聞くもなかなか機会がないなーと思ってたら、先日BS236で放送してくれました。

ワクワクしながら視聴。
期待のハードル上げすぎるとがっかりすることも多いのですが、本作は期待通りに楽しむことができました。


舞台は第一次大戦と第二次大戦の狭間のような架空の世界。

「帝国」と「フロスト共和国」による長期に渡る大戦の終結から三年後の帝国側でのお話です。

「戦災復興」を縦軸に
「国や軍部の歪み」を横軸とした
なかなか歯ごたえのある内容。

架空の国の戦後ですし、サイエンスファンタジー的な要素も少しあるのですが、復興の様子や人々の生活・仕事、軍隊や兵器、社会の仕組みなどの描写が細かく、現実に近いので没入しやすいと思います。


舞台となる帝国は皇帝を頂点とする厳然とした階級社会。
豪奢で堕落した生活を疑問にも思わない貴族たち。

その一方で被災した民衆はその日食べるものにも困る暮らしぶり。
常に貴族や軍部へ強い不満を持ちつつも、その階級差の高い壁にあきらめにも似た感情を抱き、鬱屈した日々を送っています。

二人の主人公アリス・L・マルヴィンとランデル・オーランドの所属する帝国陸軍情報部第3課、通称「陸情3課」の任務は「戦災復興」

陸情3課を創設した軍上層部の本音は「進まない復興に不満を抱く民衆へのエクスキューズ」、
つまりお飾りの「戦災復興」部隊として創設されたはずだったのですが・・・

陸情3課の面々はそうした軍上層部の思惑に囚われず、
軍や国や身分制度の壁といったさまざまな歪みに阻まれ、
戦災で被災した人々の生々しい心情とジレンマに葛藤しながらも、
戦災復興に真正面から向き合う。

本作の魅力は彼らのその「心意気」だと思います。

そんな魅力的な陸情3課の面々を紹介します。

◆アリス・L・マルヴィン少尉(隊長)
本作ヒロイン。
有力貴族マルヴィン家の次期当主。
戦災復興を使命として、貴族の義務=ノブレスオブリージュを心の底から信じて疑わず。
その直情的な言動はしばしば周囲を振り回すことも。
しかし、常に真正面から困難を受け止め、正々堂々と向き合うその姿には心の強さと爽やかさがあります。
金髪碧眼でスタイル良い美人。
でも色気はなし。
規律にはめちゃくちゃうるさい

◆ランデル・オーランド伍長
もう一人の主人公。
アリスの部下。
陸情3課では一番下っ端の新入り。
いたって穏やかで優しく平和主義、虫一匹殺せない。
その優しさと2mを超える巨躯は「独活の大木」「象さん」「朴念仁」といった感じ
でも実は元「901ATT隊(※)」隊員という出自から
腰に下げた青いランタンに火を灯すと非人間的なまでに攻撃的且つ強くなり、
そして大概重傷を負い、
最後は入院先のナースと尿瓶バトルまでがお約束。
アリスに依存気味。
猫好きで巨◯ン。

(※)「901Anti Tank Trooper隊」
{netabare} 戦中に設立された、非人道的な人体実験により改造強化された兵による部隊。
そのコンセプトは作中最強の兵器である戦車を歩兵で破壊すること。
クレイジーです。
901隊員は青いランタンを腰に下げ、火を灯すと(おそらく)暗示が発動して、痛みや恐怖を感じなくなり、敵に向かってただひたすら前進、攻撃する存在となります。{/netabare}
悲哀を含め浦沢直樹「MONSTER」に登場したグリマーさんを思い出しました。

◆オレルド准尉
金髪長身イケメンの女好きチャラ男キャラ。
軍内部から極秘情報を入手する際は、女口説いていろいろやってピロートークで。
と言いつつ、
実はメンタルもイケメン。
実は軍人としてもそこそこ腕が立つ。
実は喧嘩屋としてはかなり腕が立つ。
アリスがいない時は隊長の代わりに指揮を任されることも。

◆マーチス准尉
黒髪メガネキャラ枠。
頭脳派兼運転手。
見た目通り真面目だし規律にもうるさい方だけど、それよりも正義感が勝ることも多い。
オレルドと真逆の性格容姿だけど何だかんだ仲良し。
むっつりスケベ兼童貞疑惑あり。

◆リリ・ステッキン曹長
天然のドジっ子キャラ枠。
仕事はお茶汲みと軍用の伝令犬マーキュリー号のお世話と事務全般。
それでも階級はオーランドより上。
「一桁の足し算は間違えるくせに、帳簿の不正は一眼で見抜く」という謎スキルを持っている。

◆ハンクス大尉
3課の課長。
つまり一番偉い。
攻殻機動隊・公安9課の荒巻課長を昼行灯にしたような風貌。
曲者で切れ者の昼行灯。
チョーさんの声が合ってるんですよ、これが。

◆マーキュリー号上等兵
犬。
仕事は伝令(この世界は無線が無いようです)
ちょいちょい人を噛む。
頭からガブリ。
それで伍長待遇から降格させられたこともあるけど本人は気にしていない様子。
ゴールデンレトリバーかな。

テンプレキャラのオンパレードですが、それが心地良い。
キャラデザイン含め皆好きです。

また烈しいバトルシーンや兵器の描写などもかなり好み。

OP曲「蒼き炎」もかなり◎。
残酷な天使のテーゼ」でお馴染み高橋洋子さんが聴かせてくれています。


アニメはこれからが本番か?という盛り上がり手前の中途半端なところで終わってしまったのが残念です。

原作はまだ続いているそうなので、是非2期やって欲しいのだけど、アニメ放送からもう13年。
もう難しいんでしょうか。

投稿 : 2024/08/03
♥ : 21

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

戦争・貴族・平民、秘密部隊と実験…面白いですが奥行きが残念。

 評価が難しいアニメです。エンタメとしての出来はいいですが、奥行きがテンプレで表面をなぞっただけに見えます。

 ただ、その表面上の浅い舞台設定を使って描かれたアリス少尉というキャラは秀逸でアニメ内で大部分描き切れていたし魅力的でした。ヒロインのアリス少尉の貴族・軍人としての振舞いはキャラ萌えするには十分にカッコイイです。そしてもと901部隊のランデル伍長。ドアノッカーの絶対ゼロ距離射撃の不気味さと恐ろしさ。その象徴の青いランタンの光。

 舞台は戦時中の第1次世界大戦時よりしばらくたったくらいのヨーロッパのです。貧困と貴族政治。食糧不足が生じた世界設定です。その中で「貴族・平民・軍人」(24話のサブタイトル)のそれぞれの立場を描写します。
 さらにアンダーグラウンドの組織や、旧帝国陸軍の731部隊(森村誠一著「悪魔の飽食」で有名です)に似た人体実験組織など、かなりダークな世界を見せてきます。

 ということでキャラ造形、世界観、設定、ストーリーは決して低レベルのものではありません。戦争・分断・軍人として生きる事などなどが描かれていますし迫力もあるし、アリス少尉にひっぱられて、ランデル伍長を初め陸軍情報部第3課の面々がヒューマニズムに目覚めて行く展開はなかなか面白いです。

 ただ、なんとなくありきたりというかテンプレというか…こうグッとくる引きがないんですよね。キャラとしてアリス少尉と似たような立場で同じような行動をとる貴族キャラってマンガ・ラノベだけども沢山いると思います。
 86のレーナちゃんとか亡国のアキトのレイラちゃんとか。これらのキャラって、現代日本の道徳をそのまま持ち込んだ感じで、感情移入はしやすいんですけど浅い感じがします。

 主人公も、破滅的で自分が傷を負いながら、肉弾戦で相手と戦う男の主人公も沢山いると思います。物語のキャラ作りのための正義感とか道徳心とか設定のための設定が透けて見えるような感じがぬぐえません。

 少年マンガとしてのキャラ萌え、バトルマンガとしてはかなり優秀な部類の作品かとは思います。構成もちゃんとしているしアリス少尉のキャラをちゃんと描き切ったし。面白いのは面白いです。ただ、奥行きは残念ながらという感じです。

 あと、非常に「鋼の錬金術師」と類似してますよね。雰囲気というかキャラが。似たような年の作品だし、キャラの作風って似せようと思ってすぐに似せられるものじゃないと思うので、どっちが真似したとかではないと思いますが、不思議なくらい似ていました。

 作画等作品作りは2006年ということで丁寧ですし、エフェクトもいいです。青い光は結構カッコイイです。24話ですけど、展開が起伏に富んでいるし、キャラも沢山登場するので飽きる事はないと思います。

 視聴後感はあー面白かったといえる水準でエンタメとしては評価しますが、奥行きは見た目ほど奥行は感じないアニメでした。

 EDの曲がなかなかいいので音楽はその分上乗せです。

投稿 : 2024/08/03
♥ : 4

66.6 2 ドラマチックで熱血なアニメランキング2位
サクラ大戦 TV(TVアニメ動画)

2000年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (216)
1446人が棚に入れました
人気TVゲーム作品サクラ大戦シリーズのTVアニメ。太正12年春、真宮寺さくらは、仙台から上京した少女・真宮寺さくら。文明の利器に驚きながらも、手紙を頼りに米田一基を訪ねる。帝都の平和を守るため秘密部隊「帝国華撃団」に入団したさくらは、個性的な団員たちと共に黒之巣会と降魔に立ち向かう。


声優・キャラクター
横山智佐、富沢美智恵、高乃麗、西原久美子、渕崎ゆり子、田中真弓、陶山章央、折笠愛、池田勝、家中宏、岡村明美、氷上恭子、岡本麻弥、伊倉一恵

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

これは太正12年~13年(1923~24年)にかけて起こった、黒之巣会と降魔による一連の帝都防衛戦の記録である。

この作品の原作ゲームは未プレイです。
今から20年前の作品になるので、作画はそれなりの歴史を感じる作りではありますが、暫くすれば慣れて気にならなくなる程度のレベルです。

因みに第1期OVAである「サクラ大戦 桜華絢爛」と第2期OVAである「サクラ大戦 轟華絢爛」は視聴済です。
OVAではサクラが上京するまでの物語が描かれていましたが、このテレビシリーズではさくらが仙台から帝都・東京にやってくるところから始まります。

初めにサクラの所属する「帝国歌劇団」について説明します。

霊力による帝都防衛を任務とし、帝国陸軍にも海軍にも所属しない秘密部隊である。
総司令長官は米田一基陸軍中将。
副司令は藤枝あやめ陸軍中尉。
その銀座本部は大帝国劇場(通称・帝劇)にあり、主力部隊は対降魔迎撃部隊・花組で、隊長・大神一郎以下、 真宮寺さくら、神崎すみれ、マリア・タチバナ、アイリス、李紅蘭、桐島カンナ、 というメンバー。
普段は表向き帝国歌劇団としてメンバーは活躍しています。

何故帝国歌劇団が設立されたのかは、本編で確認頂きたいと思いますが、真宮寺サクラが帝国歌劇団に入団したのは宿命であったということです。

それは、サクラの父である真宮寺一馬は帝国華撃団の前身である帝国陸軍対降魔部隊に所属していたためです。
そして巨大な降魔を封じるべく、代々真宮寺家に流れる血によって退け、その代償として真宮寺一馬は殉職したんです。
父の形見である霊剣・荒鷹を帯同し、父の意志を継ぎたいと思うのは決して不思議な事ではありません。

彼女たちは時に生身で戦うこともありますが、多くの戦闘が霊子甲冑「光武」で行われます。
光武とは、太正11年(1921年)、神崎重工と帝国華撃団工房が共同開発した人間の霊力を引き出し、増幅する人型蒸気なのですが、男性と霊子甲冑との相性は良く無く、必然的に帝国華撃団は女性中心のメンバーで構成されることとなりました。

最初に光武を見た時には、随分ずんぐりむっくりしたロボットだなぁ…
と思いましたが、視聴を続けているうちに段々と愛着が湧いてくるから不思議です。
光武は搭乗者の能力値や特性に合わせて個別に調整されている点などは魅力の一つかと思います。

何より花組を構成する隊員たちが素晴らしい…
主人公である真宮寺さくらはもちろんですが、神崎すみれやアイリスなど魅力溢れる個性的な面子で構成されているんです。
花組のトップスターである神崎すみれの堂々とした立ち振る舞い…
齢9歳のアイリスが親元を離れ、何故こんな異国の地で暮らしているのか…
流石2クール作品だけあって、キャラの深掘りにも余念がありません。

花組が歌劇団としてどの様に成長を遂げていくのか…
そしてその変化に団員はどの様に向き合っていくのか…
見どころ満載の作品だと思います。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、横山智佐さん&帝国歌劇団による「ゲキテイ(檄! 帝国華撃団)」
エンディングテーマは、横山智佐さん&帝国歌劇団による「夢見ていよう」と、田中真弓さんの「ゲキテイ音頭」

2クール全25話の物語でした。
新サクラ大戦を視聴する前に完走したいと思っていましたが、視聴に随分時間が掛かってしまいました。
新サクラ大戦はこれより10年後の世界が舞台になっているそうなので、直接的な繋がりはないのかもしれませんが、可能な限り新サクラ大戦視聴前に過去作を見ておきたいと思います。

投稿 : 2024/08/03
♥ : 15

ichinana さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

太正桜に浪曼の嵐!!!!! 言ってみたい・・・・

第一作のゲームが発売されてから今年で20周年ですか。
いやはや時が過ぎ去るのは早いですね。

90年代後半から00年代前半のセガの人気を支えた同シリーズ。ゲームのみならず、アニメ、劇場版、舞台、さらには専門喫茶店(今で言うガンダムカフェみたいなもの)など幅広く展開し、絶大な人気を獲得しました。これも広井王子×田中公平コンビの手腕によるところでしょう。

原作ゲームはいわば恋愛戦略シュミレーションです。プレイヤーは主人公、大神一郎となって魔物から帝都を守るとともに、帝国華(歌)劇団の面々との恋愛を育む王道なストーリー構成です。
一方で本アニメは、ヒロインの一人(原作では実質メインですが・・・)である真宮寺さくらが主人公。第一作のゲームでは大神さんが帝劇に赴任するところから始まりますが、アニメはさくらが帝劇メンバーに加入するところから始まります。

本作品、生粋の原作ゲーム・・・というかさくらファンにはかなり辛い展開が続きます。ゲームとのギャップが凄まじく、もうこれ以上ちーちゃん苛めないでよ~広井さん!!と何度思ったことか。
しかし変に大神さんとの恋愛を描くことなく、破邪の血を受け継ぐ者の末裔として成長していく姿を丹念に描写したことは、ゲーム性ではなくストーリ性を重視するアニメーションという媒体では至極当然であったと思います。また歌劇団の新人に厳しく接するという描写も非常にリアリティがありました。一話一話でみると、どうしても鬱展開に見えてしまいがちですが、全25話を通してみると充分良作の部類に入ると思います。

原作ゲームも古めで、演じられている声優さんも中堅~ベテランクラスのお方ばかり。田中真弓といえば・・・○フィ!!ではなく・・・○ズー!!、クリ○ン!!な世代の作品ですし。特に出演声優陣が一同に会して行われる豪華「歌謡ショウ」は必見です。「中の人が演じる」というだけで、作中のキャラとのギャップから嫌悪感を抱かれかねない中で、非常に勇気のある挑戦だったと思います。しかし、歌謡ショウは10年間という長期間に渡って人気を博し、声優によるミュージカルの礎となりました。特に歌謡ショウ5周年記念の「海神別荘」は出色のでき。本当にちーと麗さんのデュエットはよく合います。「愛・ゆえに」も名曲ですね。また各キャラ登場シーンの口上がいちいち格好いいんですよね~。厨二魂がキュンキュンします。

本当にこの20年間で多くのものを積み続けてきた本シリーズ。代名詞が「ゲキテイ」であることに異論はありませんが、原作ファンとしてサクラ大戦「シリーズ」の魅力を是非とも皆さんに感じ取って欲しく思います。

P.S.
シリーズ三作目以降の大神さんの最終必殺技はマジチートだわ~
しかも演出がなんかイラッとくる。このすけこましのジゴロめーーーーー!!!!!私にも一人分けてくれーーーーー(←プライド全くなし・・・・)

投稿 : 2024/08/03
♥ : 5

ゆうき。 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

15年も流行に乗り遅れたことが何よりもつらい

カレイドスターとアイドルマスターゼノグラシアを足して2で割ったようなアニメでした。
時代は大正、大戦や蒸気機関、帝都・帝国というワードに浪漫を感じずにはいられない。
本編よりも日常回がおもしろくてよかったです(小並感)
田中真弓さんが女性キャラを演じている作品で珍しかった。
ジャンポールかわいい。


この作品でなにより評価できるのはOP「檄!帝国華撃団(ゲキテイ)」です。
https://www.youtube.com/watch?v=HH-LBqRwZng
普段は神という言葉を使うのは控えていますが、これは神と言わざるを得ない。
原作未プレイの私がこのアニメを今更見ようと思ったのは、14年前に聞いたOPが忘れられなかったというのもあります。(なぜか実家にサクラ大戦シリーズのOVA化第2弾のビデオテープだけあった。しかも1話しか入ってなかったです)

サクラ大戦シリーズの花組は舞台をアニメ放送以前から10年間に渡って行っていて、ゲキテイのアレンジVerも非常に多いです。舞台では声優陣がそのキャラの衣装で歌って踊って、劇をやったり大喜利をやったりと今では企画が難しいのではないでしょうか。


ゲキテイももちろん歌いますが、声優陣の歌唱力がすっごい!ゲキテイはこのアニメの声優以外の声優も歌っていますが、聴き比べるとその違いがはっきりとわかります。
歌だけでなくその振り付けもクオリティが高くいつも鳥肌が立ちます。端役までもが歌と振り付けを覚えていることに感動しました。また、ゲキテイではサビだけは観客の手拍子がパタリと無くなるのが恒例です。サビだけは観客も一緒に躍ることができるのはすごいことです。
合いの手は決まった言葉が入るわけではないのに、会場の統一感は半端ではなく、なぜあと数年早く生まれなかったのかと後悔するほどです。

ゲキテイの振り付けは和服がとても映えます。サクラも和服で踊っていて袖がヒラヒラとなびいてとても綺麗です。これを集団でやられたらもう堪らないと思います。


舞台動画ではアニメでは出てこないキャラがたくさん出演していて、少なからず疎外感があって寂しい。もうゲームやるしかないね!
ゲキテイの歌詞の中のセリフがアニメでは扱われなかったというのも気になるところです。

舞台の動画を見るならアニメだけでなく、ゲームもやらないと楽しむことができません。もっと言えば内容がアニメだけを見た人用のものではありません。


アニメの内容だけではゲキテイの魅力を持て余している感があるのでゲームのプレイをオススメしておきます。
サクラ大戦シリーズの他のアニメはゲームのエンディング後を描いているものばかりなので、ゲームやらないと見てもわからないのがつらいところです。

投稿 : 2024/08/03
♥ : 4
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