ドラゴンで友情なアニメ映画ランキング 3

あにこれの全ユーザーがアニメ映画のドラゴンで友情な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月04日の時点で一番のドラゴンで友情なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

71.6 1 ドラゴンで友情なアニメランキング1位
BURN THE WITCH(アニメ映画)

2020年10月1日
★★★★☆ 3.7 (128)
636人が棚に入れました
正解には表<フロント>があれば裏<リバース>がある。遥か昔からロンドンに於ける全死因の72%は、人々が見ることのできないドラゴンと呼ばれる“異形の存在"が関わっていた。だが、人知れずそのドラゴンと相対する人々がいた。ドラゴンの存在を見ることができるのは、フロント・ロンドンの“裏側"に拡がるリバース・ロンドンの住人だけ。その中でも、選ばれし人々がウィッチ<魔女>/ウィザード<魔法使い>となり、ドラゴンと直接接触する資格を持つ。主人公は、自然ドラゴン保護管理機関「ウイング・バインド」(通称WB)の保護官である新橋のえるとニニー・スパンコールの魔女コンビ。彼女たちの使命は、ドラゴンに接触できない人々に代わり、ロンドンに生息するドラゴンたちを保護・管理することだった。

声優・キャラクター
田野アサミ、山田唯菜、土屋神葉、平田広明、引坂理絵、麦人、小林親弘、田中美央、清水はる香

ひろたん さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

対照的な二人の女子高生の魔女がクールに、オシャレに、ポップにドラゴンとバトルするお話

この物語は、二人の女子高生が主人公で、しかも、魔女です。
この二人の性格は、とても対照的です。
「ニニー」は、喜怒哀楽がわかりやすく思ったことは態度に出す明朗快活な性格です。
「のえる」は、喜怒哀楽を見せないクールビューティで、ジト目が特徴的です。
観ると分かりますが、こう言うコンビって結構見るよねって感じがします。
それだけ王道のキャラ付けなのですが、そこには変わらない面白さがあります。


■オシャレ

この物語は、二人があーだこーだと言いながら、ドラゴンと戦います。
その時の姿は、学校の制服に赤のシェパードチェック柄のマントをまとっています。
また、小型の乗用ドラゴンにも乗っています。
そして、戦う武器は、なんと「笛」。
でも、その笛裁きとそこから繰り出される魔法がさっそうとしていてあざやかです。
キメるところは、とてもカッコイイです。
それでいて、ギャグも適度にポンポンはいってきます。
これらのバランスの良さが全体的にこの物語をオシャレに見せています。


■劇伴がとてもいい

魔法ファンタジー活劇映画のような感じです。
不安感を伴いながらもテンポ良く進み、時折重厚感がある感じです。
場面によっては、シンセを使ったリズミカルな曲も混ざります。
この物語は、現代のロンドンを舞台にしています。
でも、この劇伴のおかげで現代のゴチャゴチャを遠ざけた舞台を作り上げています。
それが、この作品がもともと持っているクールさにオシャレ感を足しています。


■物語がちゃんとしている

この物語、結構、伏線がありますし、最初から最後まで一本の筋が通っています。

この物語は、主人公の「 おとぎ話なんてクソでしょ」と言うセリフで始まります。
そして、「魔法は途中で解ける」と続けます。

途中のドタバタ劇で、最初のこのセリフを忘れかけてしまいます・・・。
しかし、終わってみると気付くのです。
それは、このセリフを回収するためだけにこの物語があったのだと言うことにです。

途中のステンドグラスの絵や、最後に出てきたドラゴンの名前。
それらは、あるおとぎ話がモチーフとなっています。
それを女性が他人に頼らず、自らの力で未来を切り開いていくと言う主題に昇華させ、
現代的なファンタジーで描いて見せたところは流石だなと思います。

しかも、この物語では、それをこうあるべきだと説教臭く語ることはありません。
さらっと描いて、気付いてくれたらそれでいい、そして、どう考えるかは自由、
そんなノリなんです。
こう言うのをクールって言うんだなと、あらためて気づかされました。


■まとめ

普通に面白かったです。
この「普通に面白い」とは、どう言うことを言うのでしょうか?
私は、あれこれ考えたりせず単純に観ているだけで面白いことを言うのだと思います。
しかし、その面白さの裏にある主題に気が付くと、
その描き方やセリフに対し、なんてクールなんだろうとシビれてきます。
つまり、二度おいしい作品になっています。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 19

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

魔女、ドラゴン、リバースロンドン 2人の魔女が躍動する…。

この作品の原作は未読です。
Amazon prime videoで視聴しました。
最近は、視聴環境…特に配信面のバリエーションが増えてきたのは個人的には良いことだと思っています。
地域によって視聴できないTV放送が補完できますし、配信のみの作品も出てきたので…


世界には表(フロント)があれば裏(リバース)がある。

遥か昔からロンドンに於ける全死因の72%は、
人々が見ることのできないドラゴンと呼ばれる“異形の存在”が関わっていた。

だが、人知れずそのドラゴンと相対する人々がいた。

ドラゴンの存在を見ることができるのは、フロント・ロンドンの“裏側”に拡がる
リバース・ロンドンの住人だけ。
その中でも、選ばれし人々がウィッチ魔女/ウィザード魔法使いとなり、
ドラゴンと直接接触する資格を持つ。

主人公は、自然ドラゴン保護管理機関「ウイング・バインド」(通称WB)の保護官である
新橋のえるとニニー・スパンコールの魔女コンビ。
彼女たちの使命は、ドラゴンに接触できない人々に代わり、
ロンドンに生息するドラゴンたちを保護・管理することだった。


公式HPのSTORYを引用させて頂きました。

2020年、『BLEACH』の久保帯人が新たな物語を世界に放つ――。
という見出し文句で公式HPのINTRODUCTIONが記載されていましたが、そもそも私は『BLEACH』を視聴していないので、その見出し文句が琴線に触れることはありませんでしたが、躍動感があって見応え抜群の作品だったと思います。

物語の設定は結構複雑なのですが、限られた尺の中で丁寧に説明されているので、置いてけぼり感を感じることはありませんでした。
寧ろ、物語が分かりやすい分、のめり込んで視聴できたと思います。

主人公の魔女は、以下のお二人です。
・ニニー・スパンコール(CV:田野アサミさん)
・新橋 のえる(CV:山田唯菜さん)
田野さんは、フランチェスカ(2014年)とゾンビランドサガ(2018年)などに出演されています。
山田さんは、アニマエール(2018年)などに出演されています。
どちらの声優さんともこれまで接点はあったものの、1~2作程度の接点しか無かったのでお二人の演技がとても新鮮に感じられました。
暫くすると、安定感抜群のはやみんも出てこられるので、ファンの方は要チェックかと…

物語は全3話の中で綺麗に纏まっていますが、きっと未だ序盤戦なんだと思います。
この物語の先で出会うであろうドラゴン…どんな特徴を持っているのか何気に楽しみなのですが、2020年10月時点で原作が既刊1巻までしか刊行されていないので、続きがあるとしても未だだいぶ先なんでしょうね。
しっかり堪能させて頂きました!

投稿 : 2024/11/02
♥ : 13

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

続くかわからないので、設定やテーマ性がエンタメの阻害要因です。

 普通に面白いです。設定と人間関係がこれだけ過剰ということは、続きを想定している感じです。が、2年前で1時間のアニメで終わっているということは、これで終わりということもありそうです。
 そうなると人間関係も設定も余白がありすぎですが、オープンエンディングだと思えば、そういう感じもします。

 テーマ性です。「魔法が中途半端」というのがテーマだとすると、テーマの回収ができ切れていないので、そこの結論が「他力=シンデレラとメイシーの関係」だけだとすると無理があります。

 原作の久保帯人さんというのがブリーチの人だとすると、原作はもっとあるのでしょうか?ちょっと調べてないのでわかりません。

 ただ、これだけで終わるならテーマを一切織り込まないで登場人物を減らして、最後の解決を2人の魔女にやらせて、もっと痛快なドンパチでもいいと思います。その点では中途半端です。

 魔法少女=ダークの流れの中、これだけ明るく作ったのは良いと思いますので、アニメは続けるつもりがないのなら、久保氏は原案にして、アニメのオリジナルで設定も登場人物も整理して、結末をつけて欲しいかなあ。

 キャラデザはちょっとダリフラっぽい感じでした。作画は独特の輪郭線でしたね。なかなかいい味のアニメだったと思います。

 あと、この原作者なのか作画なのか監督なのか知りませんが、お尻と太もものラインのフェチとしか思えませんでしたね。尻や太ももの凹凸の凸のラインではなく、つなぎの凹になったラインのフェチですよね?
 パンツの伏線としてあのアングルを狙ってたんでしょうけど、それを伏線に見せかけて自分の好きな尻から太もものラインを描かざるを得ない衝動を感じました。箒にのった魔女の構図を逆手にとったフェチなんだと思います。

 ということで面白いし、見て損はないですが、これだけか、という感じのアニメです。設定や人間関係、テーマ性で深みを出すポテンシャルはありますが、今のところそれらの要素が逆に作用してエンタメ性を少し暗くする阻害要因になっていた気がします。

 制作者サイドはアニメを細切れにしいで、続くなら続くって明言しないと価値を下げるだけです。続きがあるなら評価はもうちょっと高いですが、これで終わる前提だと、あまり高くないです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8

67.1 2 ドラゴンで友情なアニメランキング2位
ヒックとドラゴン(アニメ映画)

2010年8月7日
★★★★☆ 3.9 (53)
257人が棚に入れました
遠い遠い昔、はるか彼方の海の向こうのバーク島では、バイキングとドラゴンが長年にわたる戦いを繰り広げていた。
ある時、何をするにも冴えないバイキングの少年ヒックは、ドラゴンのトゥースと偶然出会った。
傷ついて飛べなくなってしまったトゥースに近づくヒック。
お互いに警戒しあっていたが、その距離は少しずつ縮まっていく。
バイキングとドラゴンは敵同士であって、本当なら友情なんてありえないこと。
しかし二人はその“秘密の友情”を築いていく。
ネタバレ

シェリー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

大興奮のアニメーション映画!

原題は「How To Train Your Dragon」。

オードリーが宣伝していてまったく観る気が起こらなかったけれど、だいぶ時間も経ってあにこれの誰かのレビュー(誰のかは思い出せない)で面白いと読んだので、観てみることに。

結果から言うと、めちゃくちゃ面白かった!!!
2回観まして、2回目は好きなシーンや音楽をずーっと聴いていて、90分の映画なのになんだかんだ3時間くらい観てましたw


この作品はタイトルにもある通り、ドラゴンが出てきます。
ヴァイキングの住むある村では家畜などの食料を狙ってやってくるのがドラゴンでした。
奇妙なほどにデフォルメされた彼らの姿は不気味であると同時にユーモアにも富んでいます。
一人前のヴァイキングになればドラゴンと戦うことができます!それを夢見るヒック。
ある夜に彼が放ったカタパルトが偶然にもドラゴンを捕えました。そのドラゴンの名は「ナイトフューリー」。
ナイトフューリーはとんでもない速さゆえに、誰も見たことがなく、情報はすべて「unknown」。誰も知りません。
けど彼は捕えた!翌朝、身動きの取れないドラゴンに対し、ナイフを持ったヒックは、とうとう殺すことを恐れ何もできませんでした。
ケガをしていたナイトフューリーに対しヒックの取る行動で彼自身も、そして迎える結末も大きく変わった。
弱虫なヒックの成長と自立の物語です。


もう少しオリジナリティを出してもいいんじゃないかと思うけど、非常に良い出来で仕上がっています。
何が面白いかというとストーリーも良いんですが、なにより素晴らしいのは映像です。
これがほんとにすごい!ドラゴンの動きや種類ごとに違う吐く炎の数々。
その存在感や手触りまでも伝わってくるようなリアルな映像には黙っては観ていられません!
一番感動したのは、ヒックがドラゴンに乗って空を飛ぶシーン。
空を切り、海面ギリギリをとんでもない速さで飛行する。ぐんぐんと上昇し、次の瞬間には落ちていく。
そこからぶつからないように岩柱を超高速でびゅんびゅんとくぐり抜けていくシーンは何度観ても興奮します!
カメラ―ワークも新鮮です。ただならぬ臨場感を演出しています。すべてが新しい映像です。
「見たことのない世界が広がっている」なんて宣伝文句があるけど、まさにそれはこの映画のためにありました。

もちろんラストも素晴らしい。いやとんでもなく素晴らしい!奴と戦うヒックも分析的で頼りがいがあってかっこいい。
もう少し他の仲間たちのキャラが立っているともっと感動的だったのかもしれません。ただ90分の映画でそれは難しいですね。

特典映像でも語っていたけれど、技術は不可欠だ!と言い切るだけあってこの作品堂々たる出来です。
実写映画の監督(名前忘れた)に協力してもらってカメラワークなんかにもかなりこだわったようです。
観るとわかるのですが、ほんとにすごい。本当に細かいところまで力が入っています。
確かに「見たことがないもの」を作りました。僕はまったく既視感が浮かばず、常に感動していました。
それが小手先の器用さではなく、高い技術力とどうしたら観客を引き込めるかということを考えた末の映像だということをひしひしと感じます。それは僕のこの感動が証明していますよ!笑
アニメではあまりしないようですが、夜の暗さなどもちょっと見えにくくなってもリアルを優先して作ったと言います。
確かにちょっと暗いなあとは思った。実際に画面の照度まで上げもしたw
他のアニメでは、旧「ハンター×ハンター」ぐらいでしかやってなかったと記憶しています。
ちなみにどちらも良作で大好きな作品。

それとこの映画の音楽。
映画音楽というのは大体においてそれ単体で聴くにはちょっとこたえますよね。
パイレーツやハリーポッター、007、ミッションインポッシブル、ロッキーなどなど。
やはり映像あっての音楽なわけで長い時間聴くには飽きも早いです。
けどこの映画の音楽はそういう押し付けがましいうっとうしさはなく、あくまでも映像の補佐といった控えめな立ち位置にいて、前に出過ぎない優しいメロディが感動をふつふつと湧き起こすような音楽でした。
だから観終わっても何度も何度も聴いていたw


すごいすごいの連発でバカみたいなレビューで申し訳ないのですが、ほんとにこの映画は面白かったです。
ぜひ一度は観てみてほしい。とくにエンタメ好きには至高の作品ではないかな。
観るときは字幕でどうぞ!吹き替えを興味本位でほんの一瞬観てみたけど全然だめでした。
演技も中途半端だし、声も世界観や雰囲気と合っていません。なので字幕で 笑



{netabare}

衝撃のラスト。
主人公が足を失くすというのはショッキングでした。
あれ、最初観たときは失くす足は逆じゃないかと思いました。
ナイトフューリーの尾翼と逆にしないと助け合う的なことにならないな、と。
でもそうじゃなくて、ヒックのナイトフューリーを殺せなかった理由を思い出すとすんなり飲み込めました。
2人は似ていると。そっちに持っていきたかったんですね。それにしても大胆なラストです。ポケモンじゃ絶対やらないw

ナイトフューリーの光を追う姿が僕は一番好きでした。猫みたいですごく可愛かった。

ラスボスのあのデカいドラゴンに対してナイトフューリーの放った二発目の炎の迫力はすごかった!
あのシーンは何度観ても鳥肌ものです。めちゃくちゃ好き。

この映画すごくいいですね。DVD欲しいw

{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9

ソーカー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

ドラゴンのしつけ方

まず大前提としてあらゆるところで絶賛されている作品です。
テンポが良いし起承転結もきっちり、よく出来た親子向けエンターテイメントです。
まぁ確かによく出来ていたのですが、私にはやや受け容れがたい面もありました。

単に人とドラゴンの友情と成長物語として素直に見れたら素晴らしい作品かもしれません。
しかしどうも納得いかないです。特にラストは日本人だったらそうはしないだろうと思われるようなハッピーエンドでした。
人とドラゴンの共生を描いているわけですが、人間側のエゴを強く感じさせる展開だったので、あれ?それでいいの?と言いたくなる代物です。
人の感じ方はそれぞれなので何とも言い難い部分ではあるのですが、個人的には人とドラゴンのお話より、「親子のお話」としてみた方がより良い作品に思えるのではないかと。

西洋のドラゴンをよく理解しているわけではありませんけど、人間にとって脅威となる存在であったとしても畏怖の対象ではない、それがよく分かる作品です。
迫力のある3DCG映像はエンタメとしては十分すぎるものではあるので、ハリウッドエンターテイメントが嫌いでなければオススメ出来ると思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 12

タイラーオースティン さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

完成度の高い王道作品

過去に見て面白かったと記憶している作品。しかし時間が経ち記憶から消えているので
続編を見てみようと思う事もあって改めて見直しましたが改めて見ても凄い完成度ですね。
バイキング1年生だった奴らがピンチでいきなり、いとも簡単にドラゴンに乗る所はまぁ致し方ないかな。
最後のペットと言うのに違和感を覚えると言う意見も多く自分も聞いた時に少しオイオイとは思いましたが、ドラゴンからすれば人間がペット。でいいんじゃないかな。
憎まれ口や立場や考えもまた人それぞれありながらの共生だろうと思うので。
人間社会も色々な奴がいて色々な考えがあって、それでも理解しあう気持ちがないと平和はないから言葉尻を捕まえてそれら全てを否定する気にはなれない。それだけの完成度だと思う。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2

65.5 3 ドラゴンで友情なアニメランキング3位
ブレイブストーリー[BRAVE STORY](アニメ映画)

2006年7月8日
★★★★☆ 3.6 (443)
2627人が棚に入れました
三谷亘(ミタニワタル)は小学5年生。どこにでもいるような、普通の少年だった。ある日、幽霊が出ると噂される"幽霊ビル"で、要御扉(かなめのみとびら)に出会う。そこを潜り抜けると、亘たちが住んでいる現世(うつしよ)とは違う不思議な世界・幻界(ヴィジョン)が広がっていた。数日後、夜中に目が覚めた亘は、気分転換に散歩に出かけたが、たまたま幽霊ビルで隣のクラスの優秀な転校生・芦川美鶴(アシカワミツル)が上級生に痛めつけられている現場に居合わせてしまう。助けようとした亘もまた暴力を振るわれるが、亘によって解放された美鶴は魔術を使って漆黒のバルバローネを呼び出した。そして、上級生に反撃する。最後には、バルバローネは上級生たちを飲み込み、消してしまった。夢としか思えないその光景が亘の心を掴む。そして美鶴は姿を消した。

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ザ・子供向け!

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 初見でした。2時間の作品。原作未読。
 ボーイミーツボーイから始まる冒険ファンタジーです。キャラが立っていて、喜怒哀楽があって、ハッピーエンドであるなど、子供向けの要素がふんだんに織り込まれています。
 ややペースが早いかなという印象を受けましたが、小学生くらいの子供が2時間飽きずに見続けるためには、このくらいのペースでまくし立てる必要があるのかもしれません。現実世界における起承転結と、ファンタジー世界における起承転結が明瞭なので、分かりにくいという印象は受けませんでした。

 主人公のワタルも友人のミツルも、家族にトラブルを抱えていることが物語の基礎にあります。そしてワタルは、家族関係を取り戻し、ミツルを助けるために冒険を進めていきます。
 子供にとっての根源的な恐怖は、親の死にあると思います。次点として、家族との不和、友人の死や友人との不和といったところでしょう。もちろん大人にとっても同様の問題はあるのですが、子供の世界は大人の世界よりも圧倒的に小さいため、身近にいる家族や友人に関する問題の比重はかなり大きいものだと思います。そのために、作中では、ワタルと冒険仲間との人間関係をあまり描かずに、ワタルとミツルの行動原理である家族関係と友人関係を中心に据えたのだと思います。
 エンディングもハッピーエンドと言えるものですし、子供向け作品としては良作だと思いました。


 ただ、大人の視聴に耐えられるかというと、かなり厳しいものがあると思います。
 大人は、意識しているかどうかは別にして、状況に対する説明を必要としてしまいます。例えば、家族の不和という問題があったときに、子供なら「それはイヤだ」という感情だけで行動することが出来るのですが、大人は感情だけで行動することは困難です。「なぜそうなったのか」「解決策は何があるのか」など、行動するためにより多くの情報を収集しようとしてしまいますし、そのような思考から抜け出すことは出来ません。
 この作品では、家族関係のトラブルは冒険のきっかけに過ぎないものですし、ワタルとミツルの関係の描き方も十分であるとは思えません。主人公の成長の過程やそれ以外のストーリー全般についても説明に不足しています。掘り下げようと思えば掘り下げられるだけの題材は揃っていますが、そこに対する言及は非常に薄いという印象を持ちました。でも、それが悪いというのではなく、大人の行動原因としては不足しているが、子供が行動するには足りるものであるということなのだと思います。つまり、子供が分かる範囲で描いてあれば十分なのだというスタンスに立っているのでしょう。

 物語の最後で描かれるハッピーエンドも、大人にとってはあまり納得のできるものではありません。古典的な手法ですが、病院のシーンとかで「死んだ人に涙が落ちたら生き返った」みたいなものってありますよね。「思いが生んだ奇跡だ!」みたいなやつです。問題解決の方法として、原因と結果にミスマッチが起こってしまっているパターンです。この作品に使われているエンディングは、このような手法の亜種というべきもので、感情以外の情報を求めてしまう大人から共感を得るのは厳しいでしょう。
 ただ、個人的には、子供向けの作品としてはこれでいいのだと思います。ドラえもんでもポケモンでも、いわゆる子供向けを謳っている作品は、ご都合主義だろうが原因と結果のミスマッチだろうが何でも使って、全力でハッピーエンドを目指してもらいたいと思っています。また、こういう手法で満足できることが、子供の特権なのだと思います。大人は楽しめないかもしれないけど、子供なら確実に楽しめる。そういう意味では、この作品は子供向けとして成功したといえるのではないでしょうか。

対象年齢等:
 小学生くらいの、特に男の子に好まれる作品だと思います。
 これ以外の世代の方は、子供向けであることを十分に理解した上で視聴した方が良いでしょう。大人の視点で子供向け作品を見ても辛いだけなので、大人が大人として楽しむために見るのは推奨しません。子供の視点に立てば、楽しめる作品だと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3
ネタバレ

もふ(´-ω⊂゛) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

王道ファンタジー

ブレイブ・ストーリー
物語3.0 キャラ2.5 音楽3.5 作画3.5 声優3.0
原作未読の私でさえも「これはめちゃくちゃ省いただろ!」と思うような構成でした(毎回こんなこといってる気がします)。
1つ1つのエピソードが薄いし、動機もキャラ立ちも弱い。箇条書きのようなアニメ。原作の要点だけを集めてつなぎ合わせましたよみたいな感じです。
しかし、子供向けアニメとしてはテンポよくとんとん話が進んでいったほうが良いのかもしれません。大人が見ると少し薄っぺらく感じてしまい説明不足なところが多かったりしますが。原作の量からしてどう考えても2時間では足りないだろうと。テレビアニメでじっくりやるか、2部構成にでもしてやったほうがよかったのではないかと思えます。

{netabare}
物語3.0:
「運命を変えるため、異世界へ飛び込む!」といった王道ファンタジー。大学で習ったプロップの物語論にこれでもかというくらい忠実なお話でした。
1つ1つのエピソードをとして主人公が成長していく―。というのを想像していました。
しかし、あまりそんな感じは見受けられなかったです。制作側のテーマはそうなのだとは思ういますが、見終わったときに率直に「こいつ、何が成長したの?」と思ってしまいました。終盤のワタルの台詞から『当初は自分の希望を叶えることだけを考えていたワタル』が『自分の希望のためにすべてを犠牲にしようとしたミツルが滅ぶ姿』を通して『人生は(自分に都合のよいことばかりではないから)辛いことも受け入れていかなくちゃ!』という結論に至ったということになりますが。特に自分のことだけを考えていたワタルも描かれていませんし、つらいことも受け入れなければならないことを学んだ場面もない(急に言い出した)。主人公が苦悩する場面がほぼなく、謎の声?に受動的に動かされる存在となっていました。しかし、これは謎の声を援助者・委任者、はたまたトリックスター的存在だと置き換えれば、ワタルが受動的に踊らされていたのも仕方のないことだと考えられます。そうでなければ存在できなくなる物語も多くありますから(特にライトノベルの主人公なんかは周囲に振り回されることが多いと思いますし)。
とにかく、私としては大学でならった内容がそのまま体現されている(しかもわかりやすい)ようで分析対象としては面白いものがあるなと感じました。
ただ、いちアニメファンとしては少し物足りなかったかなと思う内容でした。

キャラ2.5:
個人的に2.5はまあ、普通なので。特になんとも思わないといったところでしょうか。
ただ、先ほども申しましたようにキャラ立ちは薄く魅力もあまり引き出せていないとは思いますが、プロップの物語論通り主人公、委任者、援助者、偽の主人公などなどがキレイに表れているなと。主人公=ワタル、委任者=お母さんを思うワタルの心又は謎の声、援助者=謎の声、偽の主人公=ミツルでしょうか。

音楽3.5
アクアタイムズの「決意の朝に」。めちゃくちゃ懐かしいです^^
すごくヒットしましたよね。私も小4?小5?当時は朝の会の歌がこれでしたよ。
余談ですが、「朝の会」は全国共通なんですかね。私は大分の出身なのですが。「朝の会」というのは、各クラスで行われる朝礼(ホームルーム)みたいなものです。以前にも大分では普通に使っていた「日課表」という言葉を使ったら通じなくて^^;標準語だと思っていたので驚きでした!訳すと「時間割」にあたるのでしょうか。日課表のプリントには「時間割」と書いてあるのに、口語的には「日課表」で会話してましたから不思議です。

作画3.5
ちょっと観たのと感想を書いている今が時間的に空いてしまいまして。メモ書きには作画3.5という風に書いてあるんですが、なぜ3.5なのかは書かれておらず。
たぶん良かったんだと思います。

声優3.0
ワタル役の方はお上手でしたね!感情の高まるシーンになるとやっぱりどうしてもプロの声優さんとは開きがでてしまうのですが、それでも上手でした!
そして大泉洋さんは何者なの!?めちゃくちゃうまいですよね、普通の深夜アニメとかに出ててもわからないかも!
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2
ネタバレ

らしたー さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

そりゃねーよ…。あんまりですよ…。

なるほど。
評判が悪い理由がなんとなくわかった気がしました。


基本的には「世界への関わり方」を描いたお話だと、解釈しています。

小さい頃って、「自分が世界の主人公である」という考えに陥りやすくて、自分が願いを遂げるために世界があるんだ、という子供特有の独善感と、どうやって折り合いをつけていくかを、ビジョンにおけるワタルとミツルの行動を通して描きたいんだろーな、と。

目的のためには手段を選ばない(と自分にいいきかせて行動する)ミツルと、まるで流されるかのように世界(ビジョン)の要求に対応していくワタルとの対比をもって、あたかも視聴者に「どちらが正しいのか」の判断を迫ってくる構成をとっており、コレどうやって最後オチをつけるんだろうかと不安になっていたら、


{netabare}
「ピンポンピンポーン! 正解はワタル君でした!」
{/netabare}


というお話でした。

そりゃねーよ…。あんまりですよ…。

※以下、ネタバレで。

{netabare}
まあ、ワタルが勇者でミツルが黒魔術師な時点でイヤな予感はしてたんですが、ほとんど最悪といっていいくらいのダメな着地をしてしまったんじゃないかと。

最後の方で、心の葛藤を表現した「自分の影」との闘いがあるけれど、あの場面、どうしてワタルにだけフィーチャーするのかわからない。おそらくミツルは、ワタルとは逆に、「自分さえよければそれでいいの?」という心と対峙していたんでしょう?

ここを同列の重みで描かない時点で、ああ、すでに決まった答えを子供に教えてやるアニメなのね、とすごく悲しい気持ちになってしまった。

あの「影との戦い」こそが、テーマでしょうよ。

悩んで、疑って、自分を見失って、それでも最後に自分の意思で物事を選択しようと決意する、そのプロセスが大事なんでしょうが。「正解はワタル君でした!」って、もっとも安易で唾棄すべき着地点ですよ。正直、大人としてのバランス感覚を疑うレベルであります。

それだけならまだしも、輪をかけてずっこけたのは、最後の方で「つらくても運命を受け入れて自分で未来を作っていきたい」とか、唐突にまったく別のテーマが顔を覗かせるわけだけど…。


いやいや、そーいうお話じゃなかったじゃん?


「運命を受け入れる」なんてテーマは、最後の方の正味3分くらいしか描かれてませんがな。

もし、もしですよ、仮にそーいうのも副次的に描きたかったのであれば、あの噴飯モノのラストは絶対にやっちゃいけないことでしょうが…。全部ぶち壊しですよ。

とにかくも、伝えたいことがブレている、という、私がもっとも嫌うタイプの脚本です、これは。視聴された方が「イミフ~子供だまし~」って憤慨するのも、もっとも話ですよ。

ワタルの動機にしても、「家族を取り戻したい」なのか「母親を助けたい」なのか、どちらに動機のコアがあるのかも曖昧なまま進行しちゃうしなあ。
{/netabare}

まあ、「未知なる世界で大冒険!」ていうファンタジーものとしてのみの評価であれば、悪くはないんじゃないでしょうか。

それ以外の見方をすると、これはちょっと厳しい…。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5
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