Witch さんの感想・評価
3.6
(最終)序盤の丁寧なキャラ描写 →途中の2人だけの糖分過多な世界 →終わりよければすべてよし!
【レビューNo.45】((最終レビュー)初回登録:2023/3/26)
ラノベ原作の2023年作品。全12話
視聴理由はこの頭の悪そうなタイトルが琴線に触れたので、興味半分でさほど期待していなかった
のだが・・・
(ストーリー)
高校生「藤宮周」は、公園で雨に濡れたまま動かない「天使様」こと「椎名真昼」を発見する。ずぶ
濡れの彼女に傘を渡した周だが、自身は風邪をひいてしまう。傘を返しに来た真昼はその事に罪悪感
を抱き看病を申し出る。周は家事が全くできず、部屋は散らかり放題、不摂生な食生活と乱れた生活
を送っていた。ちょうど隣に住んでいた真昼が何かと世話を焼くようになり・・・
学校では「天使様」と呼ばれる超人気者の真昼だが、実はその姿は作り物でそんな彼女の素顔を知っ
った周と、「作り物の『天使様』」に興味なくそんな彼に素の態度を示す真昼。
同じ時間を共有する内に2人は徐々に打ち解け、少しずつ惹かれ合っていく。
(評 価)
・丁寧な人物描写に期待が膨らんだ1,2話
{netabare}・一番感心したのがキャラ描写が丁寧でしっかり描かれている点。2話かけてじっくり2人の会話劇
見せて、2人の性格や今まで自分の置かれていた環境(家庭や人間関係等からそういうキャラに
なったのかなっていうのを「匂わせてくる」)等が少しずつ明らかになっていきます。そして仕草
や声優さんの演技等も併せて、少しずつ2人に距離が縮まっていく過程が丁寧に描写されており
大変好感が持てます。
・まあ2人が時間を共有を過程は多分に「ご都合主義」的なところはあるのですが、いきなり
「親が決めた許嫁だ!」「夫婦実習だ!」→「同棲するしかないよね!!」
の展開に比べれば、回りくどいながらも2人の会話劇でその辺りの情報提供や丁寧な説明をして
くれてる本作は、かなり頑張ってると思います。
・特別なことをしている訳ではないですが、丁寧に作れば王道展開でも十分見ごたえのあるシーン
を作れるということを証明してくれた本作に期待大だったのですが・・・{/netabare}
・「ラブ要素」が入ってきて雲行きが怪しくなってきた3,4話
{netabare}・この辺りから「ラブ要素」が入ってくるのですが、少し雲行きが怪しくなってきます。
「真昼の距離感が明らかにおかしくなってないか?」
2話までの「適切な距離感」から一気にデレだして距離感がなくなってますやん。
それに2話の台所攻略まではそれなりにプロセスを踏んできた印象があったのですが、以降はなし
崩し的に周から家事の主導権を奪っていくみたいな・・・
まさかの人付き合いに不慣れな「阿波連さんキャラ」で「距離感がはかれない」設定なのか?
・恋愛的な描写も正直「ぎこちなさ」より「幼稚さ」の方が目に付き、コレジャナイ感が・・・{/netabare}
・無難なイベント消化も天使様のあざとさが目に付きだした5-9話
{netabare}・一応ここからは親友バカップル等サブキャラを巻き込んだり、クリスマスやバレンタイン等のイベ
ント回等で高校生らしい普通のラブコメ展開になっていきます。って本当に「普通」のラブコメに
なっちゃって今後どうするのって心配ですが・・・
・また真昼のキャラデザはかなり秀逸でかわいいのですが、そんな彼女が「怒ってるんだぞ♡」とか
の描写が妙にあざとく、「妄想ラノベ」垂れ流し的な流れになってきたのも不安でしかない。{/netabare}
・完全にメッキが剥がれた10,11話
{netabare}・ここで周の過去のトラウマが明かされますが、意外とショボかったなと。
・さあ、ここから真昼の「甘やかし攻撃」が止まらない!!あとは所詮「妄想ラノベ」だったことを
隠すそぶりにもなく転げ落ちていくだけなのかと思いきや・・・{/netabare}
・終わりよければすべてよし12話
{netabare}・いやー最終話でやられました!真昼の爽快な切り返し!!あれはほぼ公開告白だったとともに
「『虚像の天使様』をやめて、『素の1人のクラスメート:椎名真昼』としてやっていく」
という決意表明だともとれる発言でしたね。
・そして周も「(人間関係に)臆病だった自分」に決別し、この作品にふさわしいラストで締めると
いう!!2人の成長がはっきり見えるいい終わり方でしたね。{/netabare}
総評すると
・結局タイトル「駄目人間」とは何だったのか?
{netabare}天子様に骨抜きにされるというよりも、「最初から家事ができない駄目人間だった」というオチしか
見えてこないんだが?
正直「タイトル詐欺」ってやつで、インパクトとして「駄目人間」というフックを利用したかったん
だろうなっと。{/netabare}
・ザ・スモールワールド
{netabare}2人だけの時間が多すぎてなんか間が持たないって感じでしたね。こういうときにサブキャラで打開し
たいがそもそもキャラが少なすぎる。親友バカップル以外は両親とイケメン「門脇君」位という。
この「門脇君」が真昼との恋模様に割ってくるのかと期待してたら、なんか周の親友ポジになって
完全にバカップル「樹」と被ってキャラが死んでたしw
だから妄想垂れ流しの「2人だけの糖分過多で脳みそが溶けそうな世界」を見せつける作品にならざる
を得なかった感じでしたが、その分最終話の爽快感が際立つ終わり方になったのは計算通りなのか?{/netabare}
序盤の期待感から始まり、途中で「もうダメかも」とあきらめかけてのですが、最後に見事に巻き返し
てくれてよかったなっと。
{netabare}(あと個人的にはラストは「真昼の親子対決か?」という予想もしてたのですが、そっち方面に話が
転がらなくてよかったな。){/netabare}
OPはあの「オーイシマサヨシ/ギフト」。「野崎君」を彷彿させるメロディラインやセンス触れる
歌詞等やっぱ大御所は一味違うという名曲でしたね。
EDは「真昼(石見舞菜香)/小さな恋のうた」。名曲カバーのキャラソンで、オーイシとの組み合
わせも相まって「多田くん」を思い出したかな。ただ最終話の「君に届け」は、
「ラブストーリー映画のラストをそのままいただきました」
って感じで、ちょっと受け入れられなかったかな。別の曲できちんと作品の色を出して欲しかったな。
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(2023/1/29分)
【4話分追加】天子様ははかれない?!→まさかの阿波連キャラ?
{netabare}
前回レビューでは、2人の距離が縮まっていく過程を丁寧に描いていたので大絶賛。実際直接的な
セリフとかでなく、間とか声優さんの演技で「距離感」を上手く表現していたしね・・・
でも肝心の「ラブ」要素が入ってきたら、少し雲行きが怪しくなってきたかな。
{netabare}・バカップル親友
天子様のうっかりでバカップル親友にあっさり2人の秘密が露見してしまうが、結論からいうと
あれはベストだと思います。このタイミングでサブキャラを巻き込んで置かないとこれ以上2人
で話を面白くしていくのは限界。ではどうやって巻き込むか?ってあの方法しかないでしょう。
他の作品でもレビューしましたが、使えるサブキャラを育てることは必須作業。特に千歳は使い
勝手のいいキャラなので何かと重宝するでしょう。ただ原作未読なので先のことは不明ですが、
ラスボスが天子様の親として逆算しても、もう少し使えるキャラが増えないと展開的に厳しい気
がします。(2人に間に入ってくる恋敵キャラとか)
・「ラブ」はぎこちないというより・・・
「ラブ」展開については幾つか気になる点が。ぎこちなさを表現したいんでしょうが、正直「幼稚さ」
の方が目に付きコレジャナイ感が気がかりですね。
・天子様の距離感が・・・
一番気になっているのが、3話以降「天子様の距離感がおかしくなってないか?」っところですね。
一気にデレだして距離感がなくなってますやん。たまにセリフで「適切な距離感アピール」してます
けど、全体の流れをみると説得力がなくなったように感じますね。それに台所攻略までは幾分ご都合
主義もありましたが、それなりにちゃんとプロセスを踏んできた印象があったのですが、なんか最近
はなし崩し的に藤宮君から家事の主導権を奪っていくみたいな・・・
あまり人付き合いに慣れていないから、「阿波連さんキャラ」で「距離感がはかれない」設定なのか?
こんな感じで藤宮君を「駄目人間」に貶めていくのでしょうか。もうひとひねりを期待。
・藤宮君の抵抗も・・・
藤宮君が日和りながらも一応一線を引いているので、どうにか作品としては持ちこたえていますが・・・
彼の言動は正しいんですよ。でもその展開が無自覚な天子様攻撃に必死に耐えてる「コメディ」として
見せたいのか、「これ以上好きになってはいけない」という切ない「ラブ」路線で見せたいのかがちょ
っとわからないんですよね。私の理解力の問題でしょうか。{/netabare}
5,6話で盛り返せば些末なことだったで終わりそうですが、肝心の「ラブ」要素が入ってきてから少し
雲行きが怪しくなってきたのが気がかりですね。
それにこの作品はそもそも「藤宮君の駄目人間化」よりも{netabare}「天使様 VS 親~呪縛からの解放」といった
「ひげひろ」的なテーマだったっていうオチでは{/netabare}、という気もしてきたんだよなー。
とりあえず継続視聴。{/netabare}
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(2023/1/15分)
【2話視聴】どうやってタイトル回収していくのか→これはダークホース!予想外の滑り出し
{netabare}
・キャラ描写が丁寧でしっかり描かれている
・一番感心したのがこの部分。テンプレキャラを安易な設定で見せるのではなく、2人の会話劇
から丁寧に描かれている。主人公はちゃんと自分というものを持ってるって感じがするし、
ヒロインも今までの自分の置かれていた環境(家庭や人間関係等)からそういうキャラになっ
たのかなっていうのを「匂わせてくる」って感じで演出が上手いという印象。セリフではっき
り説明するのではなく、2話かけてじっくり描いている点が好感を持てる。
・2話で新キャラ追加
・親友の彼女:(多少テンプレ気味であるが)サバサバした感じで主人公ともフランク。
好感度が高く今後の出番が楽しみ。上手く使ってほしいところ。
・イケメン君:出番は一瞬だがなんかこれから絡んでくる?伏線かただの深読みか?
・タイトル回収という爆弾
・純粋にラブコメとしても普通に面白い。多少都合主義的なところはあるが、上述の通り2話かけて
丁寧に描かれているので、さほど流れは不自然に感じなかったかな。2話でヒロインが主人公の台所
まで攻略(?)するのだが、「夫婦以上、恋人未満」の「夫婦実習」という設定ありきでいきなり
話を進める展開に比べれば全然好感が持てる。会話劇の中でお互いの性格、状況、利害関係の一致
等しっかりこちらに情報を開示してくれてるので受け入れやすいという感じですかね。
そんな感じで徐々に2人の距離が縮まっていく描写も丁寧なところがポイント高い。
・ここまで主人公を見てると、自分をちゃんと持っており妙に達観した部分もあるというか・・・
ヒロインへの好感度が増していきつつも距離感をわきまえており、かなり「真人間」に見えるので
すが、ここで「駄目人間」というパワーワードですよ!!
どうやってここから堕落していくのか、今度の展開が非常に楽しみです。
ここまでの滑り出しは順調。主人公の好感度を上手く上げてきているので、今後の展開がよければその
ギャップがかなり効いてくるでしょう。でも雑に扱うと結局「所詮は妄想ラノベだった」ってオチに
終わりそうで、この辺りに注目しながら視聴していきたいところ。{/netabare}