タイラーオースティン さんの感想・評価
4.8
それまでの作品は元となる童話があったのですが、本作では初めてオリジナルに挑戦したそうです。ディズニーファンの中でもこの作品が一番のお気に入りだと言う人は多く、実際に鑑賞してみてファンが多いのも頷けました。なんといっても、主役のレディが可愛いの一言。おめめぱっちりでまつげが長く、その愛くるしい動きといったらない。犬たちのお話ではありますが、内容的には人間のラブストーリーそのもので、お互いに住む世界が違う者同士が、その壁を乗り越えて結ばれるというストーリー構成。特典映像を見ると、犬の動きというものをよく観察して、アニメーターたちが忠実に再現しようとしているのが伺える。その犬らしい動きと、人間的な要素とのミックスがすごく巧いんですよね。表情と動作で、これでもかというぐらい感情を訴える。一番お気に入りのシーンは、やっぱりスパゲティを食べあって、一本の麺を食べあったら思いもよらずキスしちゃうところかな。あそこで愛が芽生えるんですよね。その後、亀裂が走っちゃうけど、そのシーンのレディのツンデレっぷりがいかにも箱入り娘という感じで実に微笑ましい。ディズニー古典の素晴らしい名作だと思います。
セレナーデ さんの感想・評価
4.1
久しぶりに時間を忘れることができました。お犬たちがリアリティとデフォルメの絶妙な配合バランスで描かれてて、ほんとうに可愛らしい。あくびしながら伸びるといった仕草や、仔犬の頃だけ手足が少しずんぐり太ってる体型などは、犬の骨格や動作を研究した痕が見て取れますし、その一方で、人間らしい眉がデンと添えられてることで、アニメーションならではの豊かな表情もしっかり発揮されています。
その可愛らしさの中で語るに外せないのは何と言ってもレディちゃん。オープニングの仔犬レディちゃんの愛くるしさにイチコロ、成長してそこらの人間の女よりも数倍べっぴんさんになったレディちゃんにまたイチコロ、「嫁っこ?」に懲りずにイチコロ、とどめにエンディングのレディちゃん二世3匹セット(ずるいぞ)にまとめてイチコロ。掛け値なしの可愛さ。スバラシイです。
一方、お犬たちが主役の本作ですが、忘れがたきは人間キャラのトニーさん。登場時間は短いですが、レストランオーナーだのに野良犬に気前よく接する粋な態度が、なんとも気持ちいい。仕事だけに生きない余裕が感じられます。一種の気品ですな。ガールフレンドを連れてきたトランプに対し骨を持ってきたジョーへ放った「ブッ飛ばすぞ」は爆笑必至の名言。犬の注文にも快く対応、本人曰く「俺には犬の言葉が分かる」。なんじゃそら。でもそのノリがいい。
そして、あの伝説の名シーン、スパゲッティちゅうを生むことになるのであります。
お話的には、身分違いのロマンスでもあり、男の企画したデートプランで女の子を喜ばせるという、男の妄想が炸裂したようなちと恥ずかしい内容でもあるんですが、そこもまたニヤニヤできていいんですな。
約15年ぶりの観賞。理屈抜きに癒されました。
めっちゃオススメ。
ヒカリ さんの感想・評価
3.0
ワンピース、フリルの付いたエプロン、白タイツに黒いパンプス、黄色い髪にリボン。それからお嬢様。
女の子の憧れ。
それに、ディズニー映画なので、アリスの可愛いグッズがあったりなど。
それなのに、アリスはシンデレラや白雪姫みたいに、なんでディズニープリンセスじゃないの?ってずっと思ってました。
そしてこの間、大きくなって初めてアリスを視聴しました。
そうしてみてみると、話すお花や、恐い女王様、どこまでも追いかけられる恐怖、体が大きくなったり、小さくなったりする
などメルヘンでしかも普通に恐い内容で
あ…そういうことかと悟りました(笑)
小さい頃、不思議の国のアリスを観て
自分がアリスになって恐いめに合うという夢をみたことがあります。無意識に恐かったんですねきっと。
多分アリスの可愛い容姿がなければ観れなかったかも。
それもそのはず、原作が原作なんです。
ルイス・キャロルの独特で時々ホラーを思わせる挿し絵と文章。
アニメは割りとディズニー色が強いので、ましになってこの恐さなんですね。
不思議の国のアリス。
それが{netabare}ウサギさんを追いかけて、穴に落ち、不思議な世界を漂う。そしてそれがすべて夢だった{/netabare}ということは有名な話で、きっと知らない人の方が少ないんじゃないかなと思います。
だけど実際、不思議の国のアリスを観たことがある。こんなシーンやあんなシーンがある、と話せる人はきっと少ないんじゃないかなとも思います。
観てみると、子供のころを思い出したり(笑)
そして微妙に恐い世界観が素敵です。
2時間もないのでぜひ、観てくださいね。
シェリー さんの感想・評価
3.3
「ワタリガラスと書きもの机、どこが似てる?」
とてもインパクトのある台詞です。一生忘れられません。
本作はイギリスの数学者ルイス・キャロルが1865年に書いた児童小説をディズニーが1951年にアニメーションとして映像化した作品です。
歌を歌うわ、踊り出すわと非常に動きの多い映像作品になっています。まさにディズニーです。
しかし原作を読んだときに感じる、もしくは文章から受け取るものと映像で観たときのこの作品の感じ方には大きな差異が生じます。
まあ作り手が変わっているんだから当たり前だと言われればそうかもしれませんが。
ストーリーは、退屈な午後にアリスが時計を持ったウサギを見つけて追いかけていたら穴に落ちて別の世界に迷い込んでしまいます。
そこで一癖も二癖もあるたくさんのキャラクターたちと出会いを繰り返して元の世界に戻ってくるお話です。
原作の方は言葉遊びが非常に豊富です。だから読んでいて楽しくもあるのですが、
なんと言っても彼らの台詞には訳のわからないものも多く、またそれらの多くは読み手である僕たちをひどく混乱させ
いつの間にかカオスの海をめいいっぱい泳がされることになります。まさに涙の海のシーンのように。
それはそれでいて面白いのですが、嫌いな人はすぐに読むのをやめてしまうかもしれないくらいカオスです。
では、映像の方はというと言葉遊びよりもキャラクターの登場とその動きに力をいれています。
目を引くキャラデザにちょっとオモシロおかしな動きをします。
さらに肝心の台詞の方は言うだけ言ってしまい、そのあとはさんざん歌って踊ってさようなら。
アリスも訊きたいことがあるのに訊けない。なんて身勝手な人たち!
そうなんです。さっきも上に書きました通りこの作品に出てくるのは難癖あるものばかり。言ってしまえばキチガイの集団です。
でもそこがシニカルでありユーモアでもあって、ゆえに面白いのです。
僕自身、この両方に共通して面白いと思えるところは誰1人としてちゃんと話のできるものがいないところです。
言うこともやることも極端だしめちゃくちゃ!こっちの言うことなんてまったく聞いちゃいない。
みんな自分勝手で好きなことし放題。真面目に取りあってるこっちが疲れちゃうわ、とホントなら気疲れしてくたくたになってしまいます。
しかしこの整合性のないカオスな世界観は僕の好むところでした。(整合性が本当に無いかはわかりません。僕がそう感じただけです。)
考察なんてものではなく、ただの感想になってしまいました(笑)
比喩についてすらまったく書いてません。ドゥドゥがルイスキャロル自身であるとか。
おそらくこの作品はたくさんの比喩に富んだ作品なのでしょうが
そんなもの全部知ろうとするもんなら疲れて二度と本なんて読まなくなってしまうからやりませんw
すごーく気になったら調べればいいんです。
それに比喩は元々、特別な響きを持って生まれてくるからその中で気になるものや頭の中で引っかかってるものはしかるべきときに知る時が来るものです。
そもそも僕はこの作品を読んだ後、観た後に思ったことは「なんだ、こりゃ、、、」でしたw
上に書いた面白さは嘘ではありませんが作品全体に関しては「これは一体なんなんだ」というのが正直な感想です。
でもそれも分かるときが来るまでゆっくり待とうと思います。まあ比喩を調べない、あまり追及しないのもこれが理由の2つの内の1つ。
もう1つは、これはこれでいいんだというカオス性の肯定の気持ちです。これが一番大きいです。
まあ肯定したところで、はたしてこの物語はアリスのこれからの人生、または僕たち人生の旅路における滋養となるのかは謎です。
まったく謎が多いです。やれやれ。
nyaro さんの感想・評価
3.0
原作は19世紀ですから、当然文化も考え方も違うんだろうとおもって見ると、そういうものを一切排した「意味のない物語」なので、ストーリーに古さは感じません。既に書評を読んだことがあるので、自分の感想かと言われると知識が邪魔をしている気もしますが、数学者のルイスキャロルが、寓話性や意味性を意図して排除して作ったからこそのワンダーランドみたいです。
古さがない=意味がない。だから、子供の時みてもポカーンだったし、最近ディズニー+に事情があって加入してまた見たらやっぱりポカーンでした。ワンダーランドの名が示すとおり不思議な物語にポカーンとするのが正しい見方な気がします。
英語版でみるとリリックがあるのかもしれませんが、私は翻訳版で見ましたので、更にポカーンです。
アニメーションについてです。アリスの顔が少女に見えないのがビックリしました。白雪姫などが代表ですが、昔からディズニーは声優を決めてその人の顔や動きをトレースして作品を作るらしいですね。
声優さんがちょっと年齢が高かったんでしょうか。顔の骨格が完全に大人です。そこが一番不気味でした。
そしてアニメ…というよりアニメーションですけど、動きが気持ち悪いですね。リミテッドアニメに慣れるとこのフルアニメーションの過剰な動きにものすごい違和感を感じます。リアルなら良いという欧米の感覚と記号化されたキャラに感情移入することで内面でキャラ造形を処理する日本との決定的な差な気がします。
で、アリスというロリ文化の象徴たるキャラについてです。アリスといえばロリ、ロリといえばアリスというくらいです。SAOに至ってもまだアリス様が出てくるくらい、また、メイドというものを勝手にエプロンドレスに改ざんするくらい、日本人はこのエプロンドレスのロリ美少女が大好きですが、いや、可愛くないですね。
顔が大人なのはもちろんですが、ドレスのデザインも単純だし脚がいやに太いし。日本の萌えに慣れ過ぎたんでしょうか。まったくときめきませんね。そもそも欧米人は少女に性は見ませんから、徹底的にエロスがデオドランドされているせいかもしれません。紫の上がいる国とは大違いですね。
(吾妻ひでおを研究すると多分このアリス=ロリの流れは見えそうですけど、吾妻ひでおはあまりアニメがないので省略)
ということで、昔のアニメで原作は聖書の次に読まれているというくらい有名ですが、まったく面白くもないし、萌えもなかったです。アニメの技術的にも専門の人が見るといろいろあるのかもしれませんが、私としてはまったく面白いところを見出せませんでした。
昔のアニメは同時代の人の評価は「当時としては」というカッコ書きが付くものが多いし、それはそれでアニメ史的には尊重すべきでしょうけど、何分価値観は変化してゆくので10年もすれば、あるいは同時代でも世代で見方はすっかり変わります。70年前のアニメですからね。さっきもいいましたが意味がないので視聴はできます。できますが、ポカーンです。
当時としてはこのゴチャゴチャといろんなキャラが動きまわるフルカラーのアニメというだけで驚異的で、そこに価値があったのかもしれません。つまりアニメーションという媒体の驚異を楽しむアニメだったのかもしれません。
評価は出来ません。ニュートラルの3でおいておきます。