◇fumi◆ さんの感想・評価
4.0
しんのすけが迷い込んだシネマの迷宮、カスカベボーイズのホースオペラ大活劇
2004年公開の劇場版クレヨンしんちゃん第12作目 96分
原作 臼井義人 監督脚本 水島努 制作 シンエイ動画
原恵一監督の劇場版は連続6作で、
9作目「モーレツ大人帝国の逆襲」と10作目「アッパレ戦国大合戦」は名作と名高いです。
11作目「栄光のヤキニクロード」からデジタル作画に移行、
監督は水島努に変わりました。
シリアス作品が続いたため、ヤキニクロードはクレしんの原点に戻ったギャグ作品でしたが、
今回は「アッパレ戦国大合戦」を思い出させるタイプのストーリー物です。
水島監督としては「ジャングルはいつもハレのちグゥ」「ヤキニクロード」に続く監督3作目。
本当は「クレしんパラダイス!メイドイン埼玉」12分というおまけアニメが初監督らしいです。
この作品を最後にシンエイ動画を退社しフリーランスとして数々の名作を手掛けます。
動画仕上げの中心となってるのは京都アニメーションですが、現在も続けているそうです。
この作品の基本は旧来の映画館方式のシネマ愛でしょうか。
西部劇に特化していますが、「戦国アッパレ」に比べると資料の整理が出来ていないような気がします。
西部劇と言っても西部開拓時代の歴史劇ではなく、マカロニウェスタンのはずですが、
幾多ある名作映画のオマージュが足りず歯がゆい思いです。
背景はマカロニウェスタンの街のセットと荒野のみです。
登場人物は全員日本人です。
鎌田行進曲のようなシネマへの想いを期待したんですが、
子供向けと大人向けの間で揺れる中途半端な感じでした。
興行収入もこの作品が落ちているようです。
まあしかし、半分は大人向けと言うことで前作よりは楽しめましたし、
元請として独立した京アニの作画がアニメのレベルを上げているように感じました。
物語はほぼ「戦国アッパレ」と同様で、舞台がマカロニウェスタンになっただけですが、
カスカベボーイズと言うだけあって、
カスカベ防衛隊「しんのすけ」「風間トオル」「桜田ネネ」「佐藤マサオ」「ボーちゃん」
が、アクションで大活躍します。
「戦国」のようなヒロインも登場しますが、比べてしまうと影が薄いです。
04年としては相当高度なアニメーションで現代でも子供なら納得でしょう。
個人的には水島監督の初期挑戦作及びシンエイ&京アニの作画を楽しみました。
大人の鑑賞に堪えられるのかどうか分かりませんが、
レベルの高いアニメーションとしてクレしん好きなら見逃せない秀作だと思いました。