ユニバーサルスタイル さんの感想・評価
4.6
拳で語るということ。
最近熱い作品を観ていないなと思い、観ました。
はじめの一歩は原作をちょろっと読んだ程度です。
あまり知りません。
なので、内容とかけ離れた感想になっている可能性もあります。ご了承ください。。
この作品はボクシングがテーマです。
彼らは皆、自身の夢のため・希望のため拳を振るって闘います。
心と心のぶつかり合い。ひるんだ方の負けです。
彼らの強さはパンチ力でも体力でもなく、折れない心でしょう。
言葉では多くを語らず、相手と拳で語り合うことでお互いの意志を感じ取り、競い合う。
最後まで自分の心を信じ続けて、上へ上へと登っていく。
その生きざまは美しいものです。
ただ、観ていて思ったこと。
拳に想いを込める、ぶつけることでしか自身の心を表すことができない彼らはとても不器用だということです。
もっとたくさん、私達には想いを伝える方法や願いを叶える術はあるのに、彼らは拳でしかそのやり方を知らない。
そうやって生きてきたのが彼らなのだと感じました。
その生き方はある意味で、孤独な道。
闘いの興奮と勝利の余韻を感じる中で、寂しいような気持ちも残りました。
漢(おとこ)達のドラマは胸をうちます。
激しいバトルは胸が踊ります。
でも何故か、男の性(さが)というものにやるせなさも感じてしまうのです。
僕は彼らのような生き方は出来ないし、真似しようとも思いません。
ただ同じように、燃え尽きるほど心熱く生きようと思いました。
最終決戦がとても熱くて燃えたので、個別に感想載せます。
{netabare}
DVDのアオリに『原作ファン待望のエピソード!』などと書いてあったので期待して観ました。
僕は原作ファンではありませんが、確かにこれは凄いです。
大ベテランの鴨川と猫田の若き日、戦後まもなくの日本での拳闘の物語。
この二人は正に古き大和魂を持った日本男児でしたね。
普段は飄々とした態度の猫田が、リングの上では闘志をまとった戦士になる瞬間に痺れました。
彼が命を賭してアンダーソンに臨んだ文字通りの死闘。
正直鴨川の闘いより素晴らしく感じました。
ハンディキャップを負ってなお、闘いを挑もうとする。愛しの女性のため想いを届けようとする。
その拳に感動しました。
その猫田の想いを継いで、いやむしろ想いを越えてアンダーソンに闘いを挑んだ鴨川。
彼はとても不器用ですね。突っ込んで真正面から殴ることしか知らない。
しかし最後の最後、一騎討ちで肉を斬らせて骨を断つがごとくの強烈なパンチは凄かった。
あんな巨人をたった二発で倒してしまうなんて。
作画から、音から伝わる迫力と気迫は最高潮でした。
それから、アンダーソンが単なる悪役でなくやはり一人の拳を愛する男であったことが救いでした。
勧善懲悪の物語ではなく、ただひたすらに拳闘の物語として終わることができて良かった。
{/netabare}
原作未読なので多分感動半減なのかもしれませんが、観て良かったです。
熱さに飢えている方は一度観てみるといいと思います。