ゼロジーで小説家なTVアニメ動画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画のゼロジーで小説家な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月06日の時点で一番のゼロジーで小説家なTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

73.7 1 ゼロジーで小説家なアニメランキング1位
同居人はひざ、時々、頭のうえ。(TVアニメ動画)

2019年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (297)
1063人が棚に入れました
他人が苦手で、人見知りの小説家・朏 素晴と人に捨てられ、過酷なノラ生活を生き抜いてきた猫。ふとしたきっかけで一人と一匹はいっしょに暮らし始めるが・・・?

声優・キャラクター
小野賢章、山崎はるか、下野紘、堀江瞬、安済知佳、中島ヨシキ、村瀬歩、津田健次郎、杉田智和、東城日沙子、豊口めぐみ、小野大輔、南條愛乃
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

吾輩は猫である。名前はまだ(ネタバレになるから言え)無い。(笑)

[文量→大盛り・内容→雑談系]

【総括】
最初は、退屈なストーリーやツッコミどころ満載の設定に視聴を断念しそうになった。

が、徐々にこの切なくも優しい世界にハマっていった。

基本的に、前半パートは人間目線で、後半パートは猫の目線で同じ物語をなぞるのですが、後半で、人間の目線では気付け(気づきようの)なかった、猫なりの思いや理由が語られるという、優しい伏線回収が見処の物語。良作です♪

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
「それが猫であれ人であれ、思いの全てを語るわけではないし、相手の全てを理解できるわけでもない。そして、自分と異なる価値観をもつ人と関わることは、いくらかのストレスを感じる。しかし、他者と関わることで、自分の世界が広がり、人生は豊かになっていく」

そんなメッセージを、優しく、丁寧に伝えてくれる良作でした。

私も基本的に、他者と関わることを煩わしいと感じる方だし、友達も多くないし、恋愛経験も特別豊富というわけではありません。仕事上では積極的に他者と関わりますが、プライベートはわりと一人でいる方が好きです。

それでも、あえて他者と関わろうとする時に思うのは「違うこと、影響されることを楽しめないなら、ずっと独りでいればいいのに」ということです。

恋愛でも友情でも、「価値観の違い」は大きな壁となります。確かに、絶対的に許容できない違いはあると思います。しかし、枝葉の部分であるならば、互いにその違いを楽しまないといけないとも思います。

例えばデートやら遊びやらに行くとき、自分が楽しいと思える場所にしかいきたくない、自分がやりたいことしかしたくないなら、そもそも自分一人で遊んでれば良いんです。誰かと一緒に行く意味ない。

(それに自分がハマるかは別として)相手が楽しいと思うことは共有し、どんなものかを感じてみたいとは思います。また、自分一人なら絶対にしない体験をし、自分にはなかった価値観を知ることは、自分の人としての幅を広げてくれるはずです。

例えば、私があにこれにいるのも、そんなところだと思います。

アニメは一人でも観られるし、楽しめる娯楽です。でも、他者に自分の意見を知ってもらったり、他者の意見を知ることは、自分一人では絶対にできない楽しみです。それが、自分と同じ価値観のモノであれば、「共感」という楽しみがあるし、違う価値観のモノであれば「発見」という楽しみがあります。そこに優劣はないはずです。だから、読ませて頂いた以上は、100%感謝すべきだと、私は思っています(賛同するか、評価するかは別として)。

自分の趣味趣向と違う、自分の思い通りにならないからといって、相手のことを全否定するならば、家でオ○ニーでもし、、、SNSなんかやらないで、一人でアニメみて、Wordにでも感想書いてデスクトップに貼りつけてりゃ良いのにと、思わんでもないです(それも正当な1つの楽しみ方だし)。

閑話休題。

「自分とは異なる価値観の他者と関わることで、世界が広がる」ことでしたね。

本作は、「気づき」ということを大切にしています。決して(私のように)上から目線では意見を押し付けるのではなく、スバルが気づくことを通し、視聴者が自分で自分にとって大切なことに気づけるような構造になっています。

また、私は基本的に「死」を扱う作品には辛口になりますが、本作は良かったです。

スバルの家族に対するそっけない態度は、決して誇張されたものではなく、男なんてみんなあんなもんか、もっと酷いと思います。しかし、不慮の事故で両親を亡くし、そこからスバルは家族愛を再発見していきます。途中途中、過去の自分を反省したり後悔したり悲しんだりする描写をはさむのは丁寧でした。幸いなことに、ウチの両親は健在ですが、同じ状況におかれたら、同じように後悔するのでしょう。たまには実家に帰ろうと思いました(笑)

さらに、恋愛面も悪くありません。オオカミさんは、ペットショップのお姉さんという、あまりアニメには出てこないタイプのヒロインだが、年相応の可愛さというか、天然っぷりも良かった。なにやら幼馴染JKにも惚れられていて、リア充爆発しろの雰囲気はあるが、まあ、最後は「こころ」のような展開にはならないことを切に祈るw ちなみに、オオカミさんは、今期(2019冬)で一番お気に入りのヒロインかもしれません(笑)

色んな意味でバランスのよい秀作。だから、ネコのデザインが可愛くないとかは、言うまい(笑)
{/netabare}

【視聴終了(要約バージョン小盛りレビュー)】
{netabare}
「それが猫であれ人であれ、思いの全てを語るわけではないし、相手の全てを理解できるわけでもない。そして、自分と異なる価値観をもつ人と関わることは、いくらかのストレスを感じる。しかし、他者と関わることで、自分の世界が広がり、人生は豊かになっていく」

そんなメッセージを、優しく、丁寧に伝えてくれた。

家族の死という重いテーマも丁寧に扱い、好印象。何気に恋愛要素もよい、バランスの良いアニメだった。
{/netabare}

【余談~ 夏目漱石トリビア ~】
{netabare}
本作は完全に、「吾輩は猫である」を下敷きにしていますが、その作者、「夏目漱石」のトリビアをいくつか。作品と、無理矢理ちょっと関連づけてw

☆ペンネーム「漱石」の由来
「石に漱(くちすす)ぎ、流れに枕す」という、中国の故事に由来する。

(故事の説明){netabare}中国西晋の時代、孫楚は、隠遁しようと決心して、友人の王済に「山奥で石を枕にし川の流れで口をすすごう」と言うべきところを「石で口をすすぎ、流れを枕にしよう」と言い間違ってしまった。それを指摘されると「流れを枕にするのは、汚れた話を聞いた耳を洗うためで、石で口をすすぐのは歯を磨くためだ」と言い張った。{/netabare}

ここから、「負けず嫌い、偏屈者」を表す「漱石枕流(そうせきちんりゅう)」という四字熟語が生まれ、自分のことを「負けず嫌いで偏屈な変わり者」と思っていた夏目金之助が、自らに「漱石」と名付けました。

本作の主人公、「朏素晴(みかづきすばる)」も、「偏屈で変わり者」という性質はちょぴりあると思うので、やや漱石を意識しているキャラ作りなんでしょうね。


☆漱石の飼い猫
「吾輩は猫である」のモデルとなった飼い猫は、もとは野良猫で、勝手に家の中に入り込んできた猫である。妻の鏡子が猫嫌いだったたも、家に入り込んでくる猫をそのたびに追い出したが、何度つまみ出しても、猫は家の中に入り込んでくる。そのうちに漱石が「おいてやったらいいじゃないか」と言い、飼うことに。

ちなみに、その猫は黒猫とのこと。本作の「ハル」も黒猫であることから、(経緯や見た目に)類似が見られる。ただ、漱石は飼い猫に名前を付けることなく、「ねこ」と呼んでいた。だからといって可愛がっていなかったわけでなく、ちゃんと猫を愛していた様子が伝わっている。


☆漱石の偏食
漱石は偏食で有名で、特に甘い物に目がありませんでした。なんたって、当時の日本で、自宅に業務用のアイスクリーム製造機をおくぐらいですからね(笑) スバルも偏食、、、というか、変食(笑) 食に興味ないですからね、共通というか、正反対というか。

ちなみに、漱石が好きで「吾輩は猫である」にも(芋坂の団子屋として)登場した、日暮里の羽二重団子本店(創業200年)。私も東京出張のついでに行きました。団子そのもののクオリティとしては、正直、中の上というか、イマドキの名店に比べるとやや落ちるかもしれません(値段のわりに)。が、そんなんどうでも良いんです。雰囲気と歴史的な価値込みで、素晴らしいお店でした。

オススメは、中庭を見ながら食べること。素敵です。私はあまり甘いものは得意ではないので、「抹茶セット(ミニ団子付き)」を頼みましたが、団子と冷酒のついた、「岡倉天心セット」も気にはなりました(笑) 興味があれば、是非♪ JR日暮里駅から徒歩三分(現在改装中ですが、今年中には開くみたいですよ)。
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆2
う~ん、つまらない。人目線、猫目線と、語り手を変えて物語を紡ぎたいのは分かるが、同じ物語を2度見せられてもな~。1つの出来事を、全く違う物語に仕立てられれば良いのだけど、わりと予想がつく内容でしたし。

2話目 ☆3
勘違いネタとしては、わりとよくあるネタかな(笑) どんな尻尾の力だよ(苦笑) 野良猫の時に世話になった人の名前が、ハル、ね。そういう提示の仕方は、この作品の個性を生かすと思う。

3話目 ☆3
父母の魂と戦っていた、、、見えるというか、「いる」設定なんだね。もしこれで、父母の霊が成仏したとしたら、どっちらけ。「良いのか? その程度(猫が理解者になった・スバルが人の心を考えるようになった)」程度で、成仏しても。

4話目 ☆3
ラブコメの波動? ちゃんと猫を飼う大変さというか、責任を描いていていいね。いや、普通はそこで立ち話だろ? 犬とも普通に会話できるんだね。

5話目 ☆4
途中途中、家族の良さを再発見し、悲しんだり、反省したりするのは、良いね。大上さんの、天然、カワイイ(笑) スバルの側だけでなく、ハルの側にも成長が描かれましたね。

6話目 ☆4
ここで展開を変え、ハルのストーリーに終始。泣けるな~。

7話目 ☆4
あれ、三角関係? 最後はスバルの自死かな、漱石だけに(笑) スバルのオススメ本、「心星(作者 五島)」って、実在しない? やはり、「こころ」かな(笑) ハルちゃんとの素敵な再会。

8話目 ☆3
まあなんか、1話や2話みたいな感じだな

9話目 ☆4
まあ、この展開は必ずあるだろうと思っていたけど、予想以上に、オオカミさんのリアクションが可愛かった♪

10話目 ☆3
JSは最強だぜ展開? 孤食の問題ですな。社会復帰だな。物差しではかるなや(笑)

11話目 ☆5
二日酔いの寝惚けた頭で観てたら、泣きそうになったわ。四国、良いよな。久しぶりに行きたいな。

12話目 ☆
普通に、もう一泊くらいしても、とは思うが、唐突に大切な人を失った経験があるからな。オオカミさんが、シャッターを足で閉めるとことか、好きだな。ちゃんと、猫知識を入れてくる。ミィヨーンって(笑) そりゃ、あの高さ(ぱっと見160㎝弱)を上からは無理だろ(笑) 最後、ハルなら「頭の下」て言うんじゃない? あくまで「対等な」同居人なんだから。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 33

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

一人と一匹、僕らは「家族」になっていく

この作品の原作漫画は未読です。
この作品のジャケットを一目見て視聴を決めました。
理由はネコちゃんが登場するから…しかも、かなり可愛いっぽいんですけど!
思い返すと、にゃんこデイズ以降、ネコが気になって仕方ありません。

買い物ついでにペット売り場を覗いてネコが居ないかを見てみたり…
にゃんこデイズの影響で、欲しいネコはマンチカンなんですけどね^^
でもマンチカンにも色んな種類があるみたいです。
短足なのがマンチカンの可愛らしさの最大の特徴だと思うのですが、短足じゃないマンチカンが居たり、大きさも一回り以上大きかったり…

ネコを買うなら室内で飼う事になりますが、ネコは所構わず飛び回るじゃありませんか。
私の部屋には大きさ的にフィギュアの棚に収まらない「アルティメットまどか」がTVなどを置いている机の中央に鎮座しているのですが、腕とか髪の毛とかポキッとか折れたら間違いなく泣くと思うんです。
でも、それがネコの習性なんですもん…絶対怒れないじゃありませんか。

加えてピアノを始めとする家具を爪でガリガリされたら、きっと私以外が黙っていないと思います。
そんなこんなで躊躇していると時間ばかりが過ぎていくんですけどね。
もしネコを飼うなら部屋の中のアニメグッズを完全防護してからかな…なんて考えています。

物語から思い切り脱線してしまいました。


他人が苦手で、人見知りの小説家 朏 素晴(みかづき すばる)と人に捨てられ、過酷なノラ生活を生き抜いてきた猫。ふとしたきっかけで一人と一匹はいっしょに暮らし始めるが・・・?
日々の暮らしをひと目線とねこ目線で描き、それぞれの想いが交互に織りなされるストーリーが"心があたたまる"と話題に。
些細な時間を積み重ねて、僕らは「家族」になっていく…
ふたりでみつける幸せ一緒ぐらし。


公式HPのIntroductionを引用させて頂きました。
ひとの目線とネコの目線を交互に描く手法を「ザッピング形式」と言うんだそうです。
この表現方法がこの作品に深みを与えたんだと思います。

ハルは素晴が両親の墓前の前で出会った野良猫で、グレーと白のハチワレの顔が特徴のメスネコちゃんです。
元々は、多くの弟たちのお姉さんとして生活していましたが、生きていく上での度重なる試練によって最終的には一匹になってしまっていました。
素晴が両親の墓前にお供えしようとした刺身に釣られてしまったのをきっかけに、ふたりの生活が始まっていくのでした。

この作品…ハル目線で描かれた物語が抜群なんです。
元々小さい弟たちの面倒を見てきたので、お姉さん気質なのですが、それは素晴に対しても一緒…
素晴は小説の締め切りが迫ると、寝食を忘れて執筆に没頭するのですが、ご飯を満足に食べない素晴をハルが気にしない訳がありません。

いいえ、普通のネコならそんな事気にしないと思います。
だからハルならでは…なんだと思いますが、その気遣いや優しさが心底温かいんです。

加えて抜群の破壊力を誇るのがオープニングアニメです。
音楽に合わせてハルの尻尾が猫じゃらしと一緒にリズミカルに動くのですが、その動きが茶目っ気たっぷりで可愛い過ぎ…
くりぬいたカボチャの中から飛び出す姿も…もう死にそうなくらい可愛らしいんですけど。
今期の作品の中でヒロインBEST10を作ったら、きっとハルはBEST10入りすると思います。
その位、私にとって色々と持っていかれたキャラでした。

そして、ネコとの接点を通じて、素晴の周りが変化していく様も見ていて気持ちが良かったところです。
素晴の周りが変わると…素晴も変化するんですよね。
そして人との繋がりがこんなにも温かいモノだという事に気付いていく…
素晴にその気付きをくれたのがハル…
同時に一人で出来る事に限界を知ることにもなるのですが、きっとこれまで以上に一人で出来る事も増えていると思います。

人と人との繋がりって、きっとそういうモノだと思うから…

たくさんの笑顔を見ました。
これまで人との関係を疎遠にしていた素晴の表情にも微笑みが浮かぶようになりました。
たくさんの愛情を感じました。
大切なモノは手放しちゃいけないし、大切にしなきゃいけない。
これまで後悔すらできなかった自分に後悔しました。
たくさんの人の温かさを感じました。
自分のためにこんなにも必死になってくれる…自分を支えてくれる人の姿が目に焼き付きました。
そして身近なハルがこんなにも愛しい存在になりました。
ほら…ふたりはもう立派な家族じゃありませんか。

野良猫をたった一匹拾ってきただけ…
ただそれだけの事なのに、こんなにも目の前に広がる景色が変わるなんて…
そんな気付きとこの作品ならではの温かさが気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、Schrödinger's Cat adding コトリンゴさんの「アンノウンワールド」
エンディングテーマは、南條愛乃さんの「君のとなり わたしの場所」
どちらの楽曲も秀逸ですし物語に合っていたと思います。
でも個人的に推していたのは、オープニングです。
超絶難しいハモリのせいで、カラオケでは絶対に歌えない曲ですが、オープニングアニメと相まって大好きになりました。
あのハルの尻尾を見ていると…何故だか目頭が熱くなってきます。

1クール全12話の物語でした。
シリーズ構成は赤尾でこさん…
このクレジットを見て視聴にも気合いが入りましたが、私の期待を遥かに凌駕する出来映えの作品でした。
こういう温かい作品は良いですね…温かさがそのまま視聴者に伝染してくれるような気がしますから。
物語はしっかり纏まっていました。
非の打ちどころの無い作品…は決して言い過ぎじゃないと思います。
しっかり堪能させて頂きました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 34
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

同居人は昭和のオカン

原作未読


手っ取り早く視聴率を稼いでくれる3つの素材は「グルメ」「子供」そして「動物」なんだそうです。
翻って当方、この中で反応するのは「グルメ」のみ。幼少期から現在に至るまで犬や猫、熱帯魚含めて愛玩動物を飼いたいと思ったこともなければ、動物を見て可愛いと思ったことも記憶にございません。

あらすじ:とある事情で古家に一人住まいする青年“朏素晴(みかづきすばる)”とその素晴に拾われた野良猫“陽(はる)”のハートウォーミングな交流のお話です。
視聴動機が猫という方は多いでしょう。そこで冒頭で述べてるような殺風景な人間が楽しめるかどうかに興味があり、本作の視聴の動機ということになります。

結果、

 そこそこ良い

でした。動物案件に食指が動かない方でも楽しめると思います。


作品紹介で“すばる”は人間側の主人公、“はる”は動物側の主人公とありました。猫は猫で視聴者にだけわかるように感情を言葉に表わすので猫ちゃんの心情がわかる仕掛けです。また1話の中ですばる(人間)視点での前半パートと同シチュエーションを今度ははる(動物)視点で描く後半パートと対になっていて、互いの思いがすれ違ったり交錯したりを楽しむ構成になってます。

会話での意思疎通ができないこの両名がどう関係を築いていくのか?
お互いの共通項みたいなのがあって少しずつ共感していくことで距離を縮めていきます。共通項とは“痛み”。
{netabare}お互い大切な人(猫?)を亡くした経験があり、蓋をしててもふとした瞬間に後悔の感情が顔を出し暗い影を落とすのです。{/netabare}

すばるにしてもはるにしても同情すべき事情があり、そこに囚われて序盤はお互い前を向けません。
言葉を交わせないからこそ、ゆっくりとそれこそ全12話かけて、時には停滞しているような場面さえ大事な時間に変えながら関係を築いていくのでした。とても優しい作品です。


周囲も善意のキャラばかり。
OPEDにも優しさが溢れてます。奥華子さん作曲、南條愛乃さん作詞・歌のEDはウチの娘のお気に入り。
そうです。子どもと一緒に安心して観れるのも良いところですね。


猫ちゃんかわいい!が自分は薄めですが、傷ついた者同士の「取り戻す」物語はなかなか見どころがありました。


ただし、主人公への共感は意見が別れそうです。私の場合こんな感じ↓

■昭和のオカン“はる”
昭和初期?いや大正?のご婦人かしら。。。
食糧難を経験している世代はとにかく
「食べてるか?」
「しっかり食べるんだぞ?」
と口酸っぱく言ったものらしい。私自身も大正生まれの祖母から同じような印象を受けた一人です。
本編視聴済の方はいかにこの猫が昔ながらのオカンみたいだったかはご理解いただけることでしょう。


■“良い”ではなく“そこそこ良い”となった理由
主人公のすばるがイマイチ。
極度のアガリ症。対人関係が苦手ということですが、挨拶くらいしようや。
{netabare}三日月先生サイン会にて、目を合わせない、返事をしない、極度の対人恐怖症ぶりを発揮。作家に奇人は多かれどファンをないがしろにする作家さんは斬新でした。他人が目に入らなさすぎ(笑){/netabare}

このキャラ造形じゃないとダメだったんだろうか?このすばる。周囲の優しさに触れても反応薄いし、むしろ迷惑だぐらいで思ってるし、
普通に考えたら「お前なんか知らん」というくらいのレベルじゃなかろうかと。

本作は、幼少期からの内向的すぎる性格が土台にあり、両親との素っ気ない関係を経ての不慮の事故による追い打ちだったわけで、物語成立の条件みたいなところもあるので一概に否定できないのがつらいところです。



猫が喋るファンタジーっぷりより、周囲の人が例外なくすばるに優しいことがファンタジーと感じたため、とても惜しい作品という位置付けです。
すばるは無理せんでゆっくりでいいから傷を癒していってくれとは思います。
{netabare}第一話と最終話を見比べると彼の表情明るいですからね。{/netabare}


遅まきながら、ペットが人間にとって大事な存在たり得ることが少しばかり理解できた気がします。それが一番の収穫かも知れません。



-----
2019.08.30追記


視聴時期:2019年1月~2019年3月リアタイ視聴




2019.04.21 初稿
2019.08.30 修正

投稿 : 2024/11/02
♥ : 54

63.0 2 ゼロジーで小説家なアニメランキング2位
ニル・アドミラリの天秤(TVアニメ動画)

2018年春アニメ
★★★★☆ 3.2 (92)
406人が棚に入れました
書いた者の魂や、感情が宿り、その内容により読んだ者に大きな影響を及ぼすことがある“稀モノ”と呼ばれる本。これを収集・保護する機関“帝国図書情報資産管理局”、通称“フクロウ”に関わる登場人物たち。ツグミが彼らとの出会いをきっかけに、揺らぎ始める運命の物語。

声優・キャラクター
木村珠莉、梶裕貴、岡本信彦、逢坂良太、木村良平、鈴村健一、櫻井孝宏、村瀬歩、夏樹リオ、小林範雄、緑川光、興津和幸、榎木淳弥、遠藤大智、眞田朱音、高橋未奈美、利根健太朗、石井真、西田雅一、荻野晴朗、桜木章人
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

何気にジジイには見やすいかも

4話までの感想{netabare}
かくりよの宿飯に続いてこっちにもスレイベガ(普通の人には見えないものが見える能力)、まぁそれはいい。
それより気になるのは、フクロウはどこまで権限を有してるんだろう?

まず1話で大金持ちのお嬢様が入隊?するってことで、フクロウは予算潤沢なおハイソな組織なのか、予算切り詰められまくりの貧乏部署なのか、そこのギャップを見せてく作品なのかな?と思ったらそうでもないっぽい。
でもって2話は例えると「消防署が火事が無くてガッカリする」ってネタで、それは違うよと優しく諭される内容で、それはいい。
が、3話、とうとうフクロウがどの程度の組織なのかが重要な問題となってくる事態に。
もし銃の携帯認められてたらマレモノでイカれたおっさんは足を撃つなどして自殺を未然に防げたハズ。
ん?携帯してないよね?時代(制服)的にサーベル持っててもおかしくない感じだけどそれも無いよね。
捜査機関が丸腰ってどうなんだろう…本気でマレモノ探ししてるとは思えないっていうか、国はそこまで危機感持ってないってことなのかな。
と、そんな中、警察から護衛?監視?が配備。
ああ、これでフクロウの装備が警察に比べて弱すぎるってのを実感する展開になるのかな?
と思った矢先にカグツチが居ると目されるビルへ突入…おい、丸腰でかよ、そういうのは警察に任せた方が良いんじゃ…。
とはいえこの一件でカラスとカグツチは危険な組織ってことが分かり、フクロウに装備が支給される展開になるのかなー?
もしくは何者かの意図が働いてるってことなのかなぁ…?

そんなことを考えつつ4話、キター。 
時代設定は大正だったっけ?ああいう時代であるなら財閥や軍閥が政治に大きな発言力を持っててもおかしくない。
というよりそういうネタ使わないのならその時代を舞台にする必要もない。
で、財閥といっても主人公ツグミの久世家はそんなに大きくはないらしく(結婚しなきゃ家が潰れそうって段階でお察しってことだろう)そこには含まれてないっぽい。
一方で新たに登場した鵜飼昌吾、総理大臣のご子息とのこと。
ツグミの弟と同じくマレモノによって自殺未遂をし、フクロウのご厄介になることになった、と。
「もっと警備の厳重なところに行った方が…」と思わなくも無いけど(※)、所長がコネ持ってたみたい。
ん?でも総理の子息がマレモノによって大変な目に遭ったとなると、国を挙げて徹底的にマレモノ狩りを始めてもおかしくないような?と思ったら、
カラスの支持母体はシギヌマ財閥かも?という疑惑が。
でもって総理の息子って立場を利用してそこ主催のパーティーへ潜入するのだけど、そこで軍人のオアサが総理の悪口を言う。
ああ、そういうこと?
ちょっと整理、

・フクロウは総理と繋がりのある組織?
・軍は総理を快く思ってない(→フクロウは軍属でないので装備が認められないってことかも?)
・カラスはシギヌマ財閥と繋がりがある?(→よっておいそれとマレモノ捜査ができない)

単にパーティーへ出席しただけかも知れないので軍と財閥、軍とカラスの繋がりは保留。
また、軍って書いたけどあくまで予測、総理への不満はオアサ個人の感想なだけかも知れない。
元々4話の序盤、マレモノ絡みの事件が起きたのにフクロウへは報告が来なかった(フクロウが知ったのは新聞社を通して)のは、孤立してるってことの表現か。
警察は…本来は軍とは違うらしいのだけど、似たようなモンと大雑把に見ていいのかな?
3話で監視と言ってたが素直にフクロウは目の上のタンコブって表現だったか、ここら辺は余計な事考え過ぎちゃってました。
でもってそれは総理も同じのような予感、軍閥と財閥から突き上げ喰らって針の筵(むしろ)的な。
※の息子の避難場所も、他の部署は政敵の息がかかっててダメだったってことかも。

総理、軍、財閥、フクロウ、カグツチ、カラス、でもって新聞社、なんか色々な“立場”が出てきて…整理付くのか?(あ、あと「作家」も入るのか?)
また、久世家のツグミが一般人(庶民)とも大金持ち(財閥)とも言い難い中間的な立場。
パーティへの出席が決まった時「フォーマルな場だったらまかせろオラアァ」ってなると思ったらドレス着慣れてないわ会場の規模にビビるわ誰とも面識ないわ…ワルツは踊れたけど。
うう、久世家ってホント潰れる手前だったのね。
今後それぞれの立場同士の闘争劇になれば面白そうだけど、「この美男子はこういう立場です」って紹介だけに終わってしまう可能性も高そうで気が抜けない。
果たしてどうなるんだろうなぁ…。{/netabare}

各話ごとの感想はちと後回しで、といいつつ書かないかもしれないけど。

総評{netabare}
何気に面白かった。
作品世界の時代的にそう思わせるだけでズレてるかも知れないが、江戸川乱歩…ってか横溝正史や松本清張の…ガッツリ作った劇場版ではなく2時間ドラマ、ついでにフィルム撮り時代のエッセンスを感じる。
カラーリングとかそれ狙ってるよね?
火曜じゃなくて土曜の方…天地茂が活躍してた辺り、って書いて通じるかな?(といいつつ自分もよく覚えてない)
登場キャラたちがこぞって「実は〇〇の親だった」「実は〇〇の子供だった」「実は〇〇とは腹違いの兄弟だった」「実は〇〇家の御曹司だった」等、やたら血縁関係のいわくのある生い立ちなのもそれっぽい。
女性の社会進出や色恋沙汰でどうこうってのはちょっと火曜側っぽい部分もあるけど、アウラっていうオカルト要素があるので本質は土曜寄りかな?
何話だったか映画館で客とぶつかりそうになるシーンがあるがその客がどうみても水野治郎で、この作品にはそういうのは無いだろうと思ってたので虚を突かれて爆笑した。
ついでに言わないようにしてたけどOPはドレミファドンを髣髴としてのう…自分は。
土曜ワイド劇場(昭和まで)をベースに火曜サスペンス劇場をトッピングしたような雰囲気、意図的なんじゃないかなー?
細かい点でツッコミどころは多いが、これも昭和時代のドラマって思うと違和感感じない自分に困る。
そういう系が好きな方は楽しめるんじゃないかな?{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

運命が今、揺らぎ始める…

この作品の原作はゲームだったみたいですね。
原作ベームは未プレイですが、キャラデザを見た瞬間女性向けの作品だとピンときました。
可憐で儚い様に見えて、実は芯の強さと特異能力を持つ主人公の女の子…
その女の子の周囲には、凡そ大正時代の人とは思えないほど煌びやかな衣服に身を包んだイケメンがゴッソリ…

女性層も今じゃ立派な戦略ターゲットですから、この手の作品が今後どんどん出てくるんだと思います。
2018年春アニメでも女性向け作品はこの1作だけではありませんでしたから…
ですが、男性層にハーレムが必ず受けるか…というとこれには疑問符がつきます。
アニコレユーザーの中の男性でも、「ハーレムは少し苦手…」という方は結構いらっしゃいます。
同じように、女性向けだから逆ハーレムが受けるか…と問われると、必ずしもそんな事は無いと思うのですけどね。
現に私の知り合いの女性の方でも腐女子系の作品が苦手な方はいらっしゃいますから…

この作品を完走して思う事…
典型的な逆ハーレム設定ではあるものの、行き過ぎ感は無く、男性の私でも総じて見易い作品だと思いました。
きっと、主人公の久世 ツグミ役が木村珠莉さんだったからかもしれません。
木村さんといえば、ミカグラや12歳もありますが、やっぱりSHIROBAKOのおいたん…ですよね。
それに男性陣の声優さんにも旬な声優さんが使われているんです。
普通に視聴していて面白いと思えた作品だったと思います。

この物語の主人公である久世 ツグミは華族の令嬢…
傾いた家を救うため、この時代の女子に求められるのは政略結婚としての道具であること…
ツグミもその既定路線に沿って生きてきました。
だから、それはこれからもずっと…きっと死ぬまで決められた路線から外れることはないんだろう…と本人も思っていたことでしょう。

ですが、1冊の本がツグミの運命を大きく変えることになるのです。
事のきっかけは弟の焼身自殺未遂…
でも、弟は自殺未遂を図った訳では無く、そこには稀モノと呼ばれる本が影響していたんです。
そしてツグミに目覚めた特殊能力とは、稀モノに宿る「アウラ」という特殊な光が見えるようになったこと…
弟の様な悲劇は2度と繰り返してはいけない…
そう決意したツグミは、稀モノや関連する事件を扱う帝国図書情報資産管理局・通称「フクロウ」で働くこととなり、物語が動いていきます。

完走して振り返ってみると、主人公のツグミは男性陣からモテモテでしたが、魅かれる理由が良く分かります。
「男の人って、こういう感じの女性が好みだよね。」の王道を邁進するキャラでしたから…
こういう逆ハーレム作品を、普通のハーレム作品の様に主人公目線で物語を見ると、色々気になるところも出てきますが、自分が大勢の取り巻きの一人という視点で見る事の出来るのが、この手の作品を難なく視聴する方法なのかもしれません。

大勢の取り巻きの一人に自分を置き換えた際、どの男性をチョイスするかは人によって様々だと思うので、そんなネタを酒の肴にしても面白いのかもしれません。

ツグミに目覚めた特殊な能力…
本来ヒトには見えないものを見る能力なのですが、それを知った輩がツグミの奪取に動こうとするから、事態は更に悪化していきます。
稀モノによる被害は後を絶たないばかりか、ツグミまでターゲットにされるなんて…
ツグミの能力は、欲しい人にとっては喉から手が出るほどの能力だったようです。

人には見えないモノが見える…
もちろん、悪い事ばかりではないと思いますが、良い事ばかりとも思えません。
ツグミを翻弄する運命の糸は、彼女をがんじがらめに縛り付けるのか…
或いは、彼女の目指すべき道を指し示す道しるべとなるのか…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
彼女に出会って、彼女に触れて変わっていく人々を見るのも一興かと…

オープニングテーマは、kradnessさんの「耽溺ミラアジュイズム」
エンディングテーマは、下野紘さんの「Black Thunder」

1クール全12話の物語でした。
本作品は、原作ゲームである「帝都幻惑綺譚篇」をアニメ化したものです。
ですが、原作には「クロユリ炎陽譚篇」という続編があるそうです。
本作品をラストまで見て気になったのは、最後に新たな展開を予期する兆しでした。
完走後にwikiをチラ見した時に原作ゲームである事を知った際、原作がゲームであるが故にラストをボカシているのかな…と思っていましたが、続編の布石という考え方もできるかもしれません。
もし続編が出るなら…きっと視聴すると思いますが、頭がついていかなくなるので出来れば今回の主要登場人物による続編であると嬉しいです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10
ネタバレ

kororin さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

オトメイトに当たり無し! ただ「一部受けの需要」あるのみ!(?)

大正25年(と、言ってる時点で別次元)。
情念や記憶が宿る和綴じ本である「稀モノ(まれもの)」を読むこととにより自殺などの被害が頻繁に起こってる帝都。

没落華族の久世ツグミに(久世家再興の含みがある)八代家との縁談話が。
それを知ったシスコンの弟・ヒタキは猛反発。さらに稀モノを読んでしまった為に(無意識に?)焼身自殺を図るヒタキ。辛うじて命を取り留めたものの極度の重症。コトの一部始終を目の当たりしたツグミはショックにより「アウラ(普通の人には見ない稀モノが発する焔のようなオーラ)」が見えてしまう体質に。
そんなツグミに稀モノ回収の組織機関「帝国図書情報資産管理局:通称・フクロウ」からスカウトが。自身の周りに起こった状況に変わらなければならないと奮起したツグミはフクロウに入ることを決意。

さらに帝都には稀モノを焚書の如く燃やし尽そうとする集団「カグヅチ」、稀モノを闇オークションで捌く組織(?)「カラス」も交え、フクロウの美形男子達に囲まれたツグミの運命や如何に?


オトメイト系のアニメってホントいつも残念に思います。それなりに面白い設定でありながら、どうしても「あざとさ」を出さなければならないのでしょうから。さて今回の「拒否反応」は、{netabare}
・割とハード目な内容ながら、OPはガチ『歌謡ショー』な雰囲気でスゴくアンバランス。何か芸能系アニメと勘違いしそうです。(だと、思うけどなぁ)

・定番の(?)組織の制服をそれぞれ個性に合わせた着崩し&アレンジで統一感の無い服装。(まあ、ソレがカッコいいんでしょう!)

・キャラ作画はやや安定気味。しかしシッカリ描かれてるような背景も、時たま「どこか」おかしく見えてしまう違和感。(変に「直線」っぽいところがしばしば・・・)

・EDは美形男子キャラ達による「半裸のセクシーポーズ静止画」というオカズサービス。(?)

・恋愛小説家、汀 紫鶴(ミギワシヅル)初登場の奇行すぎる奇行。(何故、夕方に天秤竿で金魚売ってる?小説家なのに?その風体に個人的に嫌なインパクトで引きました。しかも様子見に出たツグミをイキナリ口説くって・・・)

etc、etc…{/netabare}
やっぱり、オトメイト系ってアニメより2.5次元のような舞台の方がよく似合うと思います(個人の感想です)。あざといセリフやロマンス劇とか・・・(あくまで、個人の感想です)。逆ハーレム系とか(本当にあくまで、個人の感想です!!)。

ということで、一般的に「ソノ手の嗜好」が好きな方々の為のような気がするので慣例の3話切りといたします。(HDに余裕もないので)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11
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