2006年度のスタジオ六花おすすめアニメランキング 1

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2006年度のスタジオ六花成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月23日の時点で一番の2006年度のスタジオ六花おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

61.0 1 2006年度のスタジオ六花アニメランキング1位
ペイル・コクーン(OVA)

2006年1月18日
★★★★☆ 3.5 (187)
838人が棚に入れました
アニメーション監督吉浦康裕の個人制作作品。舞台は遙か未来の地球で、世界は姿を大きく変えていた。どこまでも続く廃墟の世界。海や大地はすでになく、風景は廃墟から発掘される記録の中で見られるだけだった。それら記録を発掘・復元し、過去の世界を分析する""記録発掘局""。そこで働く主人公のウラはあるとき奇妙な映像記録を復元するのだった……。個人制作のレベルを超えたクオリティ、SF的な世界観などよく作り込まれている。膨大な記録をブラウジングするインターフェイスなど、見るべきところはストーリー以外にも豊富。また、背景を手書きと3DCGの混合で行うおもしろい手法から生まれた独特のタッチにも吉浦康裕の味が出ている。

にゃんた さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

~復元~

吉浦康裕監督が「イヴの時間」の3年前(2005年)に発表した23分の個人制作作品。


人が住めない環境になってしまった地球。その過去に想いをはせる、未来に生きる主人公のお話。
環境破壊された地球と未来に生きる人類をテーマとしたストーリーは、決して新しいものではないかもしれない。
しかし、その表現方法は素晴らしかった。


視聴を始めてから数分間で、世界設定や登場人物達の状況を感じ取れた。
短いセリフと看板やエレベーターのカット、現在と過去の色使いの対比から、それらを容易に想像することができたからだ。


「ペイル・コクーン」=「青白い繭(まゆ)」。
この題名の意味と、作中で何度か繰り返される「復元中」と「復元完」。
映像記録内の螺旋階段。主人公がのぼる階段と落とす所持品。
そしてラストシーンでは・・・。


23分の短編作品だが、映画1本分を視聴した後のような余韻が残った。
もちろん、しっかりしたメッセージが込められている。
2回視聴したが、まだまだ全部拾いきれていない気がする・・・。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 10

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

「イヴの時間」の吉浦監督が手がけた切ないミライ

「イヴの時間」でおなじみの吉浦康裕監督、脚本、制作。
2005年に公開された約23分のアニメーション作品。

歴史という名の記憶が、どこかで途絶えた・・
そんな言葉から始まるこの作品。
舞台は今現在よりずっとずっと遥か未来で。

色合いは限りなくモノクロに近い、極力彩度を抑えたセピア調。
エコノミー症候群になりそうな窮屈さを感じさせる仕事場で、
主人公がみつめているのは、2000年の頃の地球上の風景。
周囲の色彩が沈んでいるせいもあり、その風景の色は眩しく、哀しいほどに鮮やか。

記録発掘局 復元課。
これらの画像から復元するのが彼の仕事。
記録の残骸、過去をさかのぼる唯一の手がかり。
そこにあるのは、太陽光がまださえぎられていない頃の記録。

記憶や記録を探りつつ下層へと行く彼の姿や
最下層には海と呼ばれ多くの人間達がしがみついているエリアが
あるということに、海と人間との因果を感じずにはいられない。

変わらないで欲しいと思うから記録を残すのだとしたら、
変わってしまった今、それはあまりにむなしくて。
たとえそれが遥か太古の風景だったとしても、
写し撮った時の、人の想いは真実そのもの。

緑色の世界があったこと。 青い地球があったこと。
それを壊してしまった人間の愚かさを、これ以上見たくない。

そんなむなしさに、復元課の人間がどんどん減ったという事実。
その事実は、今現在の人間である自分からすると嬉しくもあり、
そんな未来がこの先あるとしたら・・なんて考えると
やはり彼らと同じように虚しくて。

後半で流れる歌 『蒼い繭』(あおいたまご)
とても穏やかで素敵なメロディなのだけれど、
蒼い地球を詠ったその歌詞は、とてもせつなかった。
もし、地球が繭になるようなことがあったら、
ぜひいつかまた、再生して欲しいものだ。

余韻の残るラストも、とても考えさせられ、
きっと何度か繰り返し観ると、さらにいろんなことに気づけそうな作品です

投稿 : 2024/11/23
♥ : 48
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

皆さんはなぜレビューを書いていますか?

23分ほどのショートアニメです。

…歴史が途絶えるほどの未来。
人間は機械に囲まれた無機質で寂しげな世界に住んでいた。

漫画家の弐瓶勉を彷彿とさせる世界観ですね。
こういう超未来的な雰囲気は大好きです。

CGで作られた美麗なグラフィックや、人の目線を通したようなカメラワークが光ります。


ストーリー展開も素晴らしい。

記録発掘局に所属する主人公の「ウラ」
過去の記録を解析するのが仕事。
しかし、わかるのは、歴史の断片のみ。

昔は、多くの人が過去の記録を解析しようとしていたが、今ではほとんどいなくなっていた。
それでも記録の分析にこだわり続けるウラ。

人はなぜ記録を取るのか、人はなぜ記録を見ようとするのか…。
{netabare}「"人は、変わらないで欲しいって思うことがあるから、それを記録に残す"んだって」{/netabare}

果たしてそうなのか?
今こうして、「レビューという記録」を書いている自分に対しても問いかけたくなりました。

そして、ウラがたどり着いた真実とは…。
タイトルにこめられた意味が明かされたときには、鳥肌が立ちました。
{netabare}
同僚が言った「場所なんてどうでもいいんじゃないか?」というセリフから、とっくにストーリーは動き出していたんですね。
{/netabare}
視聴者を一気に引き込む世界観。
美しいグラフィックや、意味のある演出。
考え出すと止まらなくなる、哲学的なテーマ性。
伏線やミスリードもしっかり盛り込んだ、無駄のないストーリー。

私の好みにジャストミートです。
本当に充実した23分間でした。

さて、「皆さんはなぜレビューを書いていますか?」

投稿 : 2024/11/23
♥ : 31
ページの先頭へ