スタジオジブリで高校生なアニメ映画ランキング 1

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66.2 1 スタジオジブリで高校生なアニメランキング1位
コクリコ坂から(アニメ映画)

2011年7月16日
★★★★☆ 3.6 (563)
2850人が棚に入れました
船が遭難し、行方不明となった船乗りの父と、仕事のためにアメリカに渡ったカメラマンの母を持つ小松崎海は、母の留守中、小松崎家を懸命に切り盛りしていた。そのころ、海たちが通う港南学園では、新聞部部長の風間俊と生徒会長の水沼が起こす騒動によって、生徒と教師が翻弄されていた。突如として新聞部によって発表される「ミスター・ミス港南」、物理法則をめぐる風間と水沼の賭け、制服廃止運動をめぐる風間と水沼の対立…。こうした一連の騒動を海は冷ややかに見つめていたが、制服廃止運動の敗北の責任を風間が一身に負わされるのを見て、いつしか海は風間を擁護する声を上げるようになる。

声優・キャラクター
長澤まさみ、岡田准一、竹下景子、石田ゆり子、風吹ジュン、内藤剛志、風間俊介、大森南朋、香川照之

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

ジブリファンタジーの硬い殻を破ってきたのは、いつも若手スタッフの手によるドラマだった ジブリはここ蘇った!

オイラの超主観的な考察ですが、
ジブリファンタジーの一つのピークは「千と千尋の神隠し」だったと捉えています
当然それ以後の現代に至るまでも「猫の恩返し」や「ハウルの動く城」といった秀作もありましたね
それはよい


しかしながら近年「ゲド戦記」や「借りぐらしのアリエッティ」といった作品を若手に託した宮崎駿でしたが、
ファンタジーという枠組みの中では過去のジブリファンタジーのスケールを越えられない、ぶっちゃけ被る、古臭い
という点を徐々に露呈していったとも思います


あくまで超主観的ですが;
ちなみにオイラはゲド戦記もアリエッティもマジ大好き(え



監督の宮崎吾郎は試写会で
「ジブリはもうファンタジーはやらないんですか?」
という質問に対してこんなことを言ったそうです
「東日本大震災というあれだけの現実を真に受けた今となっては、生半可なファンタジーはもう描けない」


これからのスタジオジブリが『ファンタジー』よりも『現実的な舞台でのドラマ』
を中心に据えていくという指針を表す一言だと思います



吾郎監督がドラマ的な方向性で行く、
と言うのならばオイラはこれを支持したいと思います


思えば宮崎駿監督作品を中心とする往年のジブリファンタジー達に対して、
そのイメージを打ち破ってきたのはいつも「海がきこえる」や「耳をすませば」といった若手スタッフの手によって描かれた新鮮なドラマものでしたよね


ジブリは良い意味で『ドラマによってリセットされてきた』と思います



宮崎駿自身も今作では脚本を執筆するなど、
若手スタッフ(吾郎監督)達にかなり前向きな姿勢で協力をしているようです
(しかも作中では親子がキーワード)



『ジブリの描くドラマ』
この名に恥じぬ出来栄えでした
ドラマ好きの方には是非オススメしたいですね



また同時に現代の若者である我々からすれば、
この作品の舞台である『高度経済成長期の日本』という親しみの薄い時代背景にはある種の『浪漫』を感じられると思います
あの時代を知っている年配の方には『ノスタルジー』なのでしょうが、僕らからすれば『浪漫』です
この『浪漫』がファンタジーにも似た隠し味となっていてとても新鮮さのある作品でもあると思います



吾郎監督だからといって期待は裏切らないです(笑)
素晴らしい内容に仕上がっています!



「まるで安っぽいメロドラマだ」→メロドラマ大好物だから問題なし(^_^)v



いや、しかし・・・
これはもしかすると、個人的に一番好きなジブリ作品になるやもしれない・・・

投稿 : 2024/12/28
♥ : 28

せもぽぬめ(^^* さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

エスケイプも時には必要ね♪(* ̄  ̄)b

■コクリコ坂からを観る前に…d(゚ー゚*)ネッ!
この作品は、原作:佐藤哲朗、作画:高橋千鶴さんの漫画が元となったのジブリ作品☆彡
舞台は横浜、年代的には1963年で戦後から10数年たった頃のお話ですね♪

港が一望できる見晴らしの良い丘にある下宿屋「コクリコ荘」、それが主人公「松崎 海」(愛称:メル)のマイホームなんです♪
海外で仕事中の母の代わりに、妹の「空」、弟の「陸」の面倒をみながら、下宿人と共に賑やかに暮らす毎日。
そんなメルには欠かせない日課が…(*゚・゚)ンッ?
コクリコ荘から掲げれれている旗…「安全な航海を祈る」というメッセージの信号旗…
朝鮮戦争時に行方不明となった父に向けてその旗を掲げること…それがメルの日課なのです。

そんな忙しい毎日を過ごすメルが通う高校では、時代の風潮から学園紛争が起きてましたΣ(゚□゚(゚□゚*)ナニーッ!!
文化部の部室代わりになっている、伝統と歴史と想いのこもった「カルチェラタン」という建物の取り壊しに学生たちが猛反対!!
その反対運動の中心人物「風間 俊」がメルと出逢い、物語は急展開を迎えていくのでした…


■総評
「コクリコ坂から」は1960年代を知らない私達にも、当時の時代背景がわかるようにコンパクトにまとめた作品だったと思います。
むき出しの蛇口や、手動の印刷方法など、物語の端々からノスタルジーでインパクトある描写が目に飛び込んできます♪
また、すこしでも関わりを持った仲間に対しては、家族や学校という垣根を取り払って、誰とでも別け隔てなく接する事が出来る温かい人間関係もこの時代の魅力なのでしょうね!
いまの時代だとお節介に思われてしまうような行動や発言が、素直に受け入れられている描写が数多くあるのも見所なのかな?って思います。
とにかくこの作品からは、戦後10年ちょっとで戦前以上の復興を遂げた、バイタリティー溢れる日本人の気質みたいなものが映像を通して感じられました♪

でも、ちょっとわかり辛いというか、説明不足なシーンが目立った作品でもあったと思うのです。
まず、いきなり主人公の名前で混乱しましたw海?メル?(*゚・゚)誰?wって感じでしたね♪
フランス語で「海」が「ル・メール」って読む事からそんな愛称がついたみたいですけど、わからないよぉ…(^=^;
また「カルチェラタン」についても、学生達にとってどんな建物なの?どれだけ大切な場所なの?って事がぼやけていて、映像とストーリーから読み取って貰える事が前提みたいなシナリオになっていたように思えました…c(゚^ ゚ ;)ウーン
ある程度の年配の方なら学園紛争や学生運動を知ってるでしょうし、連想することも容易だとは思うのですけど、それを知らない世代にとっては「何こんなに熱くなってるの?」って思われてもしょうがないような気がします(^o^;
そもそも「コクリコ」っていう言葉もフランス語で「ひなげしの花」っていう意味みたいですけど、どのような意味でタイトル名にしたのでしょうかね?
この時代のフランスとの関係も気になりますね(^ー^* )フフ♪

それと個人的には声優さんのキャスティングには疑問をもちました…c(゚^ ゚ ;)ウーン
俳優さんや女優さんは演技力に長けているかと思いますけど、やっぱり第一線で頑張ってる本職の声優さんと較べてしまうと見劣りがしてしまう気がします(^=^;
宣伝としてのキャスティングととられてもしょうがないかなって思いますし、純粋にアニメを追求するのであれば、キャラを活かせるキャスティングをもっと考えて欲しかったとも思います。

いろいろ不満はありますけど、作品全体を通しては上手にまとめた印象です♪
観る人を選ぶ作品かもしれませんけど、生きるエネルギーを貰える作品なのでヤル気が出ないなって時にまた見てみたいと思います(*^▽^*)


■MUSIC♫
主題歌『さよならの夏 〜コクリコ坂から〜』
 【歌】手嶌葵
 ゲド戦記でも歌ってくれていた抜群の歌唱力を持った手嶌葵さんですね(*^^*)
 憂いを感じさせる中にも、力強さや包容力を感じられる物静かで素朴なナンバーです♪

挿入歌『上を向いて歩こう』
 【歌】坂本九
 改めて歌詞を見るとものすごく力強さを感じました!

挿入歌『朝ごはんの歌』
 【歌】手嶌葵
 楽しく朝ごはんを作る姿が浮かんでくるような明るい曲です♪

挿入歌『初恋の頃』
 【歌】手嶌葵
カントリーミュージック風の曲に甘酸っぱい初恋の歌詞を乗せたナンバーです♪

挿入歌『紺色のうねりが』
 【歌】手嶌葵
 学校やコンクールの合唱曲にもなりそうな穏やかなナンバーです♪


2012.09.23・第一の手記

投稿 : 2024/12/28
♥ : 48

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

空を見上げてみよう 雲の向こうはいつだって輝いている

コクリコというのはフランス語で「ひなげし」
ひなげしの花言葉は、恋の予感、いたわり、思いやり、感謝、乙女らしさ

この作品はまさに、そんな花言葉が似合う雰囲気だった。
舞台は1963年の横浜の港町。
毎朝、庭から船に向けて旗を揚げている少女・松崎海がヒロイン。
彼女を中心に、同じ高校に通う新聞部の少年・風間俊、
生徒会長の水沼の3人で、取り壊しが予定されている文化部部室棟
「カルチェラタン」を守るために奔走したり、恋してみたり、
出生の事情がわかったりの青春物語。

現在ではなく、1963年という戦後の高度成長期を背景にしているので
観る世代によっては、懐かしいという感覚の実感に差があると思う。
主人公達の年齢は、僕からするとちょうど叔父や叔母の世代なので
当時の写真で見聞きしている風景がそのまま登場した銀座や新橋、
桜木町の駅前の風景なんかに郷愁を覚えたし、
壁に貼られた「アサヒ芸能」の表紙ポスターが高峰秀子似だったり
家の中のインテリアや家電製品がレトロ感いっぱいで、
今では滅多に見られなくなった当時の車が行き交う街並みを
見ているだけでも楽しめた。
それでも、今現在も横浜にずっと停泊している氷川丸はそのままで
そんな部分は嬉しかったり。

だけど、あまりに説明不足な点が多く、
誰にでもわかりやすかった、とは言えない。

海という名前なのに「メル」と呼ばれているのだって
フランス語の海=ラ・メールから略して「メル」になったとか
一言も説明されないし、ラスト近くで生徒会長が理事長に言う
セリフも、ん?いつ君は風間君たちの事情を知ってたの?と
疑問に思った人も多かったのじゃないだろうか。
海と俊の関係の変化も、もう少しきめ細かな描写が欲しかった。

原作を変更して脚色するのはよくあることで全然かまわないが
ちょっとした一言やシーンで説明しても良かったのでは、と思う。
しかし個人的には、そういう説明抜きでも充分感動できたので、
それほどの不満でもないけれどね。

結局、この作品をどう観るか、受け取るかなんだろう。
恋物語とするなら盛り上がりが足りない感じはするし、
学校モノというのとも少し違う。家族愛?それも違う。
じゃぁ何をテーマにしているのかと言えば、それはメルの性格そのもの。

彼女は1人ぼっちでクヨクヨ悩んで自己完結したりしない。
言いたいことは言うし、疑問に感じたことは本人に聞く。
自分の思ったこと、感じたことを言葉にし、相手に伝えることのできる女の子。

最近なら全く珍しくもない、と思われるかもしれないが
男女雇用均等法なんてまだ夢だった頃の時代だし
そういう社会背景を踏まえた上で観ると、理事長に直談判する勇敢さと、
自分のほうから男子に好きと言えるまっすぐさと、
家事をそつなくこなす大和撫子的な長女らしさを併せ持つのはなかなか魅力的。
彼女を筆頭に女子達を集め、部室棟カルチェラタンをきれいに掃除し
ひとつの目標に向けて団結して成し遂げる様子も、
さすが団塊の世代だと感心してしまった。

諦めない、クヨクヨしない彼女は、旗を揚げているときと同じように
前や上を向いているのだ。
そんな積極性と、自分から動く活力を感じ取れたら良いのだと思う。

主題歌である『さようならの夏』は子供の頃に森山良子さんが
歌っているのを聴いて以来、大好きな歌だったが
手嶋葵さんの歌い方も、やさしくてとても良かった。
本じゃないから読後感とは言わないけれど、観終えた後の気持ちが
とても晴々していて、なぜだかいつまでも涙が流れて仕方なかった。
賛否あるようだが、僕は感動したし、観て良かったと思える作品だった。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 39
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