ジャズおすすめアニメランキング 14

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのジャズ成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年01月05日の時点で一番のジャズおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

86.4 1 ジャズアニメランキング1位
坂道のアポロン(TVアニメ動画)

2012年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (2179)
10082人が棚に入れました
1966年初夏、船乗りの父親の仕事の都合で、横須賀から長崎県の田舎町へ転校してきた一人のナイーブな少年・薫。
転校初日、バンカラな男・千太郎との出会いのおかげで、薫の高校生活は思わぬ方向へ変化していく。
更に、薫は千太郎の幼なじみ・律子に、律子は千太郎に、千太郎は上級生の百合香にと、それぞれの恋の行方も複雑になっていく。

声優・キャラクター
木村良平、細谷佳正、南里侑香、遠藤綾、諏訪部順一、北島善紀、岡本信彦、村瀬歩、佐藤亜美菜、鈴村健一、櫻井孝宏
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

原作を読まずに待ってた

とうとう終わってしまった。
10話から最終回まで、かなり駆け足ではあったけれども
うまくまとまっていたし、時の流れを早くに見せてくれたほうが
ぼんや千太郎の高校時代の純粋さを残した記憶のまま、
大人になった彼らの姿を観ることになるので、
なおさら感動できたのかもと思う。

心が震えた細かいシーンを挙げればたくさんあるけれど、
最終回を観終えた今思い返すと、くるまった白いシーツを
ぼんがふわっと取り上げるシーンが合計3回出てきたことが印象的。
1回目は学校の屋上で千太郎と初めて会った瞬間。
2回目は病院の屋上で、3回目は教会で。

千太郎=ドラムっていう象徴が、ぼん=ピアノというほどに
2人は言葉で会話する以上の内容と、絆と幸福感を、
演奏を通して分かち合っているのが素晴らしい。

どんなに年月が経っていようが、心のどこかで信じて待っている。
8年経っても使い込まれている千太郎のドラムを見てそう思った。
一方、ぼんのほうは場所が教会だったため、ピアノではなかったものの、
当時流行り始めていたエレクトーンが、時代を象徴していてとても良かった。

そうそう、2人に再会をさせることになるきっかけが
{netabare}
百合香さんだったことも、彼女が淳兄としあわせに暮らしていることも、
なんだか嬉しかった。とにかく、感無量・・・
{/netabare}

原作を既読の方にとっては、想う部分がまた違うかもだけれど
未読の僕としては、爽やかな終わり方で、大満足です。

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<9話の感想>

タイトルとなった曲は・・確か使われてなかったと思うのだけど、
「私を愛すか置いていくか」って意味そのまんまの展開だった。

今回はそれぞれの想いが、ギュギュっと詰め込まれて、
でもそれが全然違和感なく、綺麗にまとまっていたと思う。

思いがけず、自分の中に新たな恋が芽生えていることに気づいて
揺れ動きながらも打ち明けられない想い。
{netabare}
思いがけず、自分が好かれていたことに気づいて戸惑い、
本命の女性を奪っていった淳兄への果たし状として
最後のセッションをする千太郎。

何度も積極的なアプローチをしたのにも関わらず失恋した薫は
律ちゃんの心の変化に気づくはずもなく・・・

そして、百合香を大切に想いながらも、東京へと戻らねばならない淳兄。
ホームでの二人の会話があまりに切なくて、胸がズキズキ。
でも、列車が動き始める瞬間に聞こえたある言葉で、
咄嗟にとった彼の行動には正直、拍手喝采!うるうるきた~

「どうしよう・・・乗せちまった」

「これからどうするの?」と頬を赤らめ
嬉しそうに微笑んだ彼女の顔がとても魅力的だった。

百合香に大胆な行動をさせるきっかけとなったのは、
「何も言わんで終わりを待つのは もうやめようと思って」
という律ちゃんの一言だった。
{/netabare}

しかし、いつ聞いても律ちゃんの長崎弁は癒される。
かわいくて仕方ない!そして次回はついに彼女も?

あ~~~来週が待ちきれないよっ☆

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<8話の感想>

文化祭以来モテモテの薫、人気急上昇。
あみもののテキスト本にある写真を見て、薫をふと想う律っちゃん。
淳兄がアパートの階段に落としたショートピースの箱を拾って
火をつけないままくわえ煙草をしてみる百合香。
百合香の言葉から、大学時代の同志を想う淳兄。

つまらないことで胸をドキドキさせながら誰かを想う
せつない気持ちを歌った「シーズ・フーリッシュ・シングス」が
今回のタイトルだった。

それにしても、淳兄の部屋で
{netabare}押し倒されたときの百合香。
抵抗した手のひらに、彼の胸の激しい鼓動と本心を察知して
即座に冷静な態度をとれちゃうあたり、{/netabare}
只者ではないぞとw
到底、千太郎には手の届かないふたりだね、やっぱり。

でもそんな千太郎が、薫の投げかけた一言から、
{netabare}幼い頃からの律ちゃんの自分への想いに{/netabare}
気づくくだりには、こみ上げるものがあったなぁ・・
そして商店街から見える夕空があまりにも美しかった。

律ちゃんは自分の恋心が揺らぎ始めているようだし
今後もひと波乱ありそうで。
恋愛を諦めて友情を選んだ薫は、果たして・・

まったく、唸るほどに脚本がうまいなぁって思う。

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<7話の感想>

なんだかんだ、この作品に関してだけは毎回感想を書かずにいられなくなる。
そのくらい内容が濃く、毎回胸をアツくさせてくれる物語だ。

今回は文化祭を中心にしたお話。
前回の海辺での気まずさを引きずっている千太郎と薫の
意地の張り方がなんとも、傍から見てると微笑ましいけど
当の本人たちにとっては心がズシンっと重くなるほどなんだろうな。。

そして長崎らしく、また時期的にも7月あたりなので
雨のシーンが多いのも、なかなかリアルだし、薫の心情を表す演出に
すごく役立ってる天気だと思う。

さて文化祭当日。 ちょっとしたアクシデントが。
でもそのおかげで、「雨降って地固まる」ことに。

千太郎のセリフ「大事な相棒 待たせとるけんな」にジーン。。
そして千太郎と薫の息の合った演奏に、またまたジーン・・・
ジャズメドレーでの2人の演奏中、体育館へとまっしぐらな校内での生徒達の足元や
回想シーンにもう我慢できなくなってウルウル。。。(><。

さらには、演奏直後のラストシーンにもジワ~~~っと胸が熱くなり・・
ほんと、たまらないよなぁ・・毎回こう泣かされちゃ(笑)

アニメ版のサントラに入っていた文化祭での曲がノーカットで
流れていたのも感動だった!

百合香さんにとっては、なかなかへヴィーな回であったわけだけど
彼女の恋はどうなっていくのか・・今後はそちらも気になるところ。

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<6話の感想>

薫の不安、嫉妬、傷心・・・痛いほどビンビン伝わってきて
後半は思わず目頭が熱くなった。
わかるよ~めちゃめちゃわかる、感情的になってしまった彼の想い(><。

今回新登場のビートルズファン 松岡くんを、
薫くんが認める時は来るのかな?
恋には鈍感だけど、友情には深いものを示す千太郎の今後次第で
物語はさまざまにカタチを変えていきそう。

印象的だったのは、絵画とジャズは近いところにあるという言葉。
絵画はキャンバス、ジャズは演奏に、その場その時に生きている自分を
刻み込む感じがする・・という淳兄の言葉。
それを想うと、今の薫くんは日々そのものがジャズだよね。

ちなみに今回の表題、「You don't know what love is」
ジャズナンバーの1曲なのだけど、僕はニーナ・シモンの歌で聴くか
ソニー・ロリンズの演奏で聴くのが好きです。
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<5話の感想>

先月28日にリリースされたばかりの24曲入りサントラの中の
大好きな1曲「バードランドの子守唄」
これはいつかかるんだろう?と思っていたら今回だった。
しかもしかも、反則なほど感動してしまうシーンで流れやがった!

ちなみに音楽については、ジャズについてかなり詳しく書かれた
hiroshiさんのレヴューをオススメする。

そして今回は70%涙が溢れて15%クスクスニヤニヤ、
残りの15%はセツナイ思いで胸が痛んだ。

{netabare}まずは薫と律ちゃんの糸電話のシーンが秀逸!
東京にいる母と薫が再会し、食事しながら失恋を笑い飛ばすシーンに号泣。
淳兄のアパートを千太郎と訪ねた時、百合香からの手紙の束がポストに
挟まったままなのをみつけ、慌てて部屋に押し込む薫の思いやり。
薫の東京行きに強引に同行する千太郎の友情・・{/netabare}

もう何もかもが心に響いた今回の5話。
ますます今後が見逃せない。

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<4話まで視聴>

{netabare}律ちゃんに恋をした薫。
律ちゃんは千太郎、千太郎は百合香、百合香は淳兄・・{/netabare}

やはり予測したとおり、恋の輪舞曲という感じ。
でも、みんなすごく純朴なところがあるので、ペースはスロー。
傍から観てるこっちが照れくさくなるほど、初々しすぎて眩しい・・

それだけに、手痛い失恋なんかして欲しくないのだけど。
みんなそうやって成長していくのだよね。
その成長がまた、ジャズの上達ともクロスオーバーしていて
とても好感が持てる。

律ちゃんの前で、度々眼鏡を外して何気にアピールする薫や
好きな子の前では純情剥き出しになってしまう千太郎、
そして律ちゃんの胸のうちのチクンっとした痛み・・
みんながとても純粋で、素敵だ。


<以下は初回を観てすぐの感想>
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まず一言。

「待ち遠しかったーーーっ!!」

ずっとアニメ版の放送を楽しみにしてきたので、ほんと嬉しい。
1話を視聴したが、作画も脚本も演出もキャラデザも音楽も、
どれもこれも予想以上に良かった。

テレビアニメ『COWBOY BEBOP』を手がけた監督 渡辺信一郎氏と
音楽を担当している菅野よう子さんの久々のタッグ。

舞台は1966年の初夏の長崎。
父親の仕事の都合で横須賀から転校してきた高校一年生の西見薫と、
「札付きの悪」と周囲から恐れられている川渕千太郎、
千太郎の幼馴染である迎律子、このクラスメイト3人が主な主人公。
優等生で心を閉ざしがちだった薫が、
千太郎や律子との出会いをきっかけに知ったジャズの魅力をベースに
彼らの友情や恋模様を描いていく物語。

ピアノ、ジャズ、1960年代、港町長崎・・・
どこをとっても個人的にドストライクな作品なので、
これからの毎週が楽しみ。

すでに発売されているコミック版のサントラの収録曲リストは
全12曲で以下の通り。
これらの曲がアニメで演奏されていくのかと思うと
すごくワクワクする。

1.モーニン (アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ)
2.ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ (ホレス・シルヴァー)
3.いつか王子様が (quasimode)
4.チュニジアの夜 (アート・ブレイキー)
5.バット・ノット・フォー・ミー (チェット・ベイカー)
6.アス・スリー (ホレス・パーラン)
7.ラヴ・フォー・セール (キャノンボール・アダレイ)
8.イージー・トゥ・ラヴ (サラ・ヴォーン)
9.マイ・フェイヴァリット・シングス (quasimode)
10.バグス・グルーヴ (ミルト・ジャクソン)
11.ブルー・トレイン (ジョン・コルトレーン)
12.マイ・ファニー・ヴァレンタイン (ビル・エヴァンス&ジム・ホール)

あぁ~~普段はクラシック畑が専門なのに、
これでまたしばらくジャズにふけってしまうのだろうなぁ~
ジャズ好きの父のおかげで、けっこう知っている曲は多いものの、
薫と自分が猛スピードでシンクロしていくのが可笑しかった。
アニメが生活の一部になってしまっている今、
つくづく影響受けやすい自分ですw

投稿 : 2025/01/04
♥ : 127
ネタバレ

スカルダ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

Jazz Standerd

 20世紀に生まれたジャズの初期は「聖者の行進」「A列車で行こう」「SING SING SING」のような決まりきった曲を演奏する音楽だった。40年代に入ると即興を中心とするモダン・ジャズの時代へ突入していく。60年代にはエレキギターが流行し、ジャズも変化の時代を迎える。そんな時代の物語。

 舞台は1966年初夏の佐世保市。クラシック畑のピアニスト カオル(ボン)が、バンカラなドラマー千太郎(セン)に出会いジャズにのめり込んで行く物語。友情あり恋ありですが、その道程はアメリカの南部ニューオーリンズの黒人音楽から生まれたジャズのように厳しい。

 「Jazzって何となく難しそう」なんて入り口で止まってる人には是非見てもらいたい。演奏シーンの作画は圧巻。まるでライブハウスにいるようなセッションの雰囲気を楽しめる作品となっています。

 音楽はカウボーイビバップ等を手掛けた菅野菅野よう子さん。菅野さんの本気が見られる本作となっており、全ての音楽に気合い入ってます。

 私も某ジャズフェスの実行委員会をやってしまう程のジャズ好き。あまりにもジャズが好きすぎて、各話のレビューを書き過ぎてしまいました。

1話目 Moanin'
{netabare}千太郎の枝でのドラムや、ドラムソロはビックバンド系のドラムを思わせる。音楽の部分の描写は流石だが、音楽が古典的でちょっと不安になった(後で聞き返したら、ビバップのドラムもそんな感じでした)。そういや1話目のタイトルはMoanin'アートバークレーだ。各話タイトルはジャズのスタンダード・ナンバーばかり。音楽は30年〜60年代前半が中心っぽい。安心した。

それは置いといて、BL路線ですか〜?{/netabare}

2話目 Summertime
{netabare}タイトルはSummertimeだけど、劇中では出てこない。ボーカル付きだとノラ・ジョーンズが好き。ジャズシンガーの中でもノラ・ジョーンズはポピュラー寄りで取っ付きやすいと思う。

劇中のセッションは、マイルス・デイビスのBag's Groove。これぞジャズ!!というセッション。ゾクゾクしました。原曲とは全く違うアレンジ。何にでも化けるのがJazzですね。流石の菅野よう子さんです。

恋愛要素は2話目にして複雑になってきましたね。{/netabare}

3話目 Some Day My Prince Will Come
{netabare}三角関係も複雑になってまいりまして、ハンカチでひと悶着。

セッション曲は、But not for meでいいのかな。祭りのお囃子ドラムとキレッキレのピアノのセッション。ドンドンタヵッタwwwって笑ってしまいました。音楽で通じ合えるっていいですね。

最後の曲は、Some Day My Prince Will Comeのピアノソロ。ディズニーの白雪姫の挿入歌。ジャズだと、ビル・エバンス、マイルス・デイビス、オスカー・ピーターソン他数多くのアーティストにカバーされてます。個人的にはマイルス・デイビス版が好き。ディズニー曲だとA Dream is a Wish Your Heart Makes(シンデレラ挿入歌)が好きだなぁ。あと、When You Wish Upon a Starは、どうアレンジしても良い曲にしかならない。それと・・・(永遠に続く

「降りてこいマイルス・デイビス!」と言いながら、マイルス・デイビスよりも情緒たっぷりで弾いて告っちゃいましたね。好きな人がいることを知りながら告白するときの気持ちってどうなんでしょう?超気まずい。{/netabare}

4話目 But not for me
{netabare}季節はもう冬!!
1曲目はHorace SilverのBlowin' The Blues Away。いい選曲です。コードをちょちょいと押すだけでいい音楽というのは出来上がるもんです。

気持ちを知りながら初チューを奪うって何事よ!!許せん!!少女漫画の流れがよく理解できない……

初ライブ、Blowin' The Blues Away〜But not for me。
音楽で語り合うっていいですよね。小さなライブハウスだと目線がよくわかるので、目線で語り合ってるのを感じ取れます。しかも、客とも目線が合うんですよね。会場全体でセッションしてる気分になります。今回は……失敗ですね。

恋愛はかなりもつれてきましたね……どうなるんだコレ!!{/netabare}

5話目 Lullaby of Birdland
{netabare}失恋と傷心旅行で母親に会う話。

タイトル曲はLullaby of Birdland母親に渡したレコードの事。ボーカル・ジャズは範囲外なのでよくわからない。バードランドはマンハッタンのジャズクラブ。意味深過ぎる。

そういやテーマはジャズなので、オトナの事情も絡みまくりですね。{/netabare}

6話目 You don't know what love is
{netabare}タイトルが意味深ですね。Loveと恋は違うのか。これは孤悲なんだと(受け売りですんません!!)。全体的なテーマかと思う。

で、坂道のアポロンのタイトルの由来、アポロンとダフネーの話が出てきて腑に落ちる。悲しい話になりそうな予感たっぷりになってきたぞ。

JRのそうだ京都、行こう!のCMで使われてるMy Favorite Thingsは、サウンド・オブ・ミュージックの挿入歌でしたね。玉手箱のような曲でCMとぴったり来ます(気付くの遅!!)しかし、律子は「気がついたら終わっとった」「いつまでも見られると思っとったやろか」と……意味深すぎるよ!!

ビートルズのレコードの話。時代はベンチャーズブーム後、エレキの時代へと突入ですよ〜。ボンは新しい千太郎の友人に嫉妬。BL路線もまだまだ引きずってるよね。女々しすぎる……男はホモ以外そんな事考えないよ〜{/netabare}

7話目 Now's The Time
{netabare}タイトルは、チャーリー・パーカーのNow's The Time。大好きな曲ですが、モヤモヤしてるのに何故明るい曲のタイトルなんだろうとの疑問が湧く。文化祭で電気系統のトラブルからのセッションか〜なるほど〜

曲はメドレーでMy Favorite Things〜Some Day My Prince Will Come〜Moanin'。思い出の曲ばかりで涙腺が崩壊するかと思いきや、アレンジは60年代を通り越して、まるでバックトゥザフューチャーのJohnny B. Goodeの演奏シーンようで呆気に取られた。「君たちにはちょっと早かったかな」というセリフが欲しかった(笑{/netabare}

8話目 These foolish things
{netabare}タイトル曲は恋人との思い出をつらつらと並べた歌。劇中は出て来ない。These foolish things remind me of you。こんなつまらないものが君を思い出させるんだ。ということらしい。オリジナルは古すぎるのでElla Fitzgeraldとか、Frank Sinatraとかいい。

この時代を選んだ理由がわかった気がする。エレキが登場し、学生運動が盛んになった激動の時代。特に抗うこと無く生きてきたのでこういう時代に憧れが強い。

ミステリアスな淳兄はいい感じに擦れてしまいましたね……それに伴いミステリアスな百合香も同じ道へ……嗚呼

セッションは心を表しているかのように乱れてるなぁ。音楽と心がリンクしてるのが本作の特徴ですね。それにしても全然先が読めない。{/netabare}

9話目 Love Me or Leave Me
{netabare}タイトル曲は……愛されないなら孤独を選ぶわ……という内容の歌。そんな展開になりそうな予感が……

クリスマス会の曲は、ザ・スパイダーズのバンバンバン。スパイダーズは初心者の練習曲に良さげ。アレンジ次第では相当化ける。

淳兄とセンのバトル。曲はマイルス・デイビスのFour。ライブアルバムFour & Moreのセッションの再現ですね!!So Whatもやってくれ〜(そういうシーンじゃない)
センが別れのセリフに「おい、一生忘れんけんね。」と言ったが、ロシア人の血が入った博多の友人に言われた事のを思い出してゾクッと来た。そういや長崎弁に違和感が殆ど無いんだよな。

さて、恋愛は佳境ですね。どう締めるんだろう……{/netabare}

10話目 In a sentimental mood
{netabare}タイトル曲は……デューク・エリントン。変化球飛んできましたね。古典です。ってはじめのシーンからおセンチですよ……

ボンは女の心変わりに気づかない鈍い男ですが、男の8割こんなもん。ってか最初の積極性は何処行ったよ?

劇中の雪合戦シーンで流れるのは同じくデューク・エリントンのSatin Doll。ゴキゲンなナンバーですね。デュークは好きじゃないけど、ミシェル・ペトルチアーニのピアノの弾くデュークに惚れた。並んで評されるキース・ジャレットは別格の天才です。

後半は文化祭で盛り上がるかと思いきや、センが出て行ってしまう。最初から最後まで凄い展開だ。{/netabare}

11話目 Left alone
{netabare}タイトル曲は、マル・ウォルドロンのLeft alone。角川映画「キャバレー」の主題歌でもある。「あいつは一人で行(逝)っちまった」とハードボイルド。オシャレでポップなアレンジも多い。曲は杞憂で終わった。良かった・・・

親父さんとのセッションは、マイルス・デイビスのMilestones。ビル・エバンス・トリオのピアノが良い。

それから、飛び込みで、リツコのFavorite Things。段々ノって来る感じがたまらん!!

で、事故!!なにこの展開!!Left aloneは杞憂ではなかった……俺の涙を返せ〜{/netabare}

12話目 All Blues
{netabare}タイトルがぁ〜タイトルがぁ〜マイルス・デイビスですね。曲は超暗いっす。Kind of Blueはモード・ジャズの名盤ですが、アルバムの中ではSo Whatの方が好きだよ!!嫌な予感しかしない。

それぞれの生活が始まり、音楽を忘れる日々。写真をきっかけにボンは九州へと戻り、坂道をかけ登る。その先にはアポロンがいると思うと、ゾワゾワしてしまいました。久しぶりのセッションMoanin'。相変わらずカッコいいっす。

3人は再会を果たすけれど、みんなででまた……という展開は無いだろうなぁ。甘酸っぱい青春ストーリーでしたね。あ〜終わっちゃったなぁ……という感想かな。

おいは、しばらく九州弁が出そうな予感がするとです。{/netabare}

古いジャズって教養として聞くだけで、あんまり好きじゃなかったんですが、坂道のアポロンをきっかけにクラシックなジャズにもどハマりしてしまいました。ジャズってどの時代もいいですね。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 13
ネタバレ

シェリー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

ジャズの旋律に導かれて

転校続きで人と関わり合うのが苦手な本作の主人公「薫」。
それは今回だって相変わらずだった。
物珍しそうにこちらを見る目、何かを期待してくる目、人の気も知らず勝手な妄想で僕がぼくから離れいく。
そしてもう一つが洗礼。小さな丘の上のライオンは惨めなもので、その卑小さに比例して大きく吠える。
彼の身体は奇しくもそういうことを習慣的なものごとのように捉えていてストレスの捌け口として対処法に嘔吐を選択している。
だから彼は頻繁に吐き気を感じていた。いつものことのように彼はその予感を感じ、ある場所を求め教室を飛び出した。
そこはいつどこの建物にだって物理的にも普遍的にも一つの場所にしかなく、独りであることに落ちつき享受できる場所だ。
薫は目指す。腕を振り、足を持ち上げ階段を飛ぶように駆け上がる。どんなときだってこんなに速くは走らない。
階段をすべて上がりきるとその場所がドアのガラス越しに見える。そう、ある場所とは屋上のことだ。
のっぺりとし、なにも語らないコンクリートの床が広がり、自分の役目を忘れたフェンスが周りを取り囲む。
しかし、上を見上げれば無限に広がる空がある。風は自由に通り、雲はそれに合わせてゆっくりと歩く。
薫は早く行きたかったがドアの前に教室で生徒たちが使う椅子が4つ並べられ白い布を全身に被さり誰かが寝ていた。
そのときの彼は不思議なことにゆっくりと、けれど躊躇なしにその布を一度に引っ張った。
薫には何かを引きはがしたかのような感触があった。布は大きく揺れ、バサバサと心地よい音を立てる。
それは晴天の下で干した大きなシーツが風にはためくときに聞く音よりもう少しだけ、神聖な音がした。
何かが起こる前兆だ。そこには大柄で顔に傷だらけの男が眠っていた。
薫はこの男との出会いをきっかけにジャズというものを知り、友達を知り、恋を知り、そしてそれらの尊さと儚さ、
またそれゆえの難しさと大切さをその身をもって知ることになる。


古き良き時代の友情と恋愛のお話。
ジョン・コルトレーンが死んだと言っていたので設定年代は1967年。まあ本編の中のカレンダーにもあったけどw
いささか薫くんの情緒不安定さによる小さな急展開にはびっくりしてしまうけど、その内容については共感できるもので、
作品自体も絵や雰囲気や何を描くかということがはっきりしていてとても見ごたえのある作品に仕上がっています。
これが「坂道のアポロン」なんだ、と謙虚で礼儀正しい誠実さとオリジナリティをそこに見ることができます。
登場人物たちは律ちゃん以外はあまり社会に馴染めない人たちのようでやることがいちいち極端なのですが、
それがただの「若さゆえの過ち」より一つ上のものに感じます。衝動でもあるけれど、むしろそれは「選択」かなと。
悩みに悩み、正しさの見つからぬまま、揺れ動く少年少女を上手く描いていると思います。
何より魅力なのは、彼らの人生のひとコマと関わり合うジャズ。
切っても切り離せないそれは青春そのものとなり、それを突き抜けて人生そのもの、とまでは描かれませんが、
おそらくそうなるでしょう。ジャズの演奏だけは薫と千にとっては特別の中の特別なものです。
ジャズを奏でる2人は絶対不可侵了域を作りながらも聴くもの惹きつけ、感動させます。
演奏者自身は演奏以外では得られぬこころの震えに浸り、一方ではスィングした演奏を貪り喰らう。
相反したそれらから生まれるものはどこに行っても買えないもの。まさに「時を刻んで」いきました。

坂道を転げ回るこどもたちは一体どこに向かっているのでしょうか。
何度転んでも、過ちを犯しても、必ず誰かが手を差し伸べてくれた。
ほろ苦く、甘酸っぱい青春がそこにありました。何を感じるにも、傍には君がいて。楽しかった。
これからも。すべては、ジャズの旋律と共に。






余談
{netabare}
僕もジャズが好きです。演奏はまったくしない、できないのですがw 聴く専門です。
本編では超超有名どころが出てきています。アート・ブレイキーとビル・エヴァンスは特にですね。
律子の家のレコード店でアルバムのジャケットが出てくる度興奮してましたww

観ていて思ったのは、「スウィング」ってなに?ってことですよね。
千が薫の弾くピアノを聴いて言いました。「スウィングしとらんばい!」
でもまずそもそも「ジャズ」ってなに?と思いますよね。それは聴いて感じて下さいとしか僕には言えません。

じゃあ「スウィング」は何なのか。それも聴いて感じ…とは言いませんが、僕は「ジャズ的なノリ」と捉えています。
なんだかすごくバカみたいな言い方でほんとにジャズ聴いてるの?と思われるかもしれませんが、まあいいでしょうw
いろいろネットで検索してみると♪がどうたらと言っていますが僕にはわかりませんw
でも聴けば、うんうんこれがジャズだよね。と納得できます。
あとは1920から1930年代頃まで流行ったジャズは「スウィングジャズ」と呼ばれています。
「Sing Sing Sing」で有名なベニー・グッドマン、カウント・ベイシー、グレン・ミラーなどなど。
でもそれはすぐに極められてしまいます。やることがなくなってしまったのです。フロンティアの消滅です。
そのあとにきたのが「ビバップ」。仕事の終わったジャズミュージシャンたちは集まって好き放題に楽器を鳴らしていたと言います。
クラシックでは嫌われるような和声も使い、使えるものは何でも使ってみたそうです。
そうして出来上がったのが「ビバップ」。即興演奏、つまり言ってみればアドリブのあるジャズ。
そこでは演奏者の腕の見せ所でもあり、それまでダンスミュージックとして流行ったスウィングジャズとは異なり、
聴衆ではなく、演奏者自身が楽しむための音楽へと変容していきます。とは言っても聴くのがつまらないわけがない!
白熱したセッションは聴く者をどんどんと惹きつけていきました。本編でバーにてお客を前に演奏したときのあの演奏です。
あれは「Blowin' The Blues Away」という曲でホレス・シルバーの曲で、めちゃめちゃ良いですよ!!
この時代、衆目を最も引きつけたのは、チャリ―・パーカーというサックス吹きでした。
他にもマイルズ・デイヴィスやセロニアス・モンク、バド・パウエル、マックス・ローチなどなど。

と、話がだいぶ反れましたがw

まあジャズとスウィングについてほんのちょっと語ったところで、
本編で出来た、アート・ブレイキーとビル・エヴァンスについておすすめしたいです。
アート・ブレイキーはドラマーで、その激しく力強いドラムは「ナイアガラ瀑布」なんて呼ばれもします。
本編で流れた「Moanin’」では激しく叩くところも、ソロもないので、このアニメを観ただけでは伝わっていませんね。
聴けばびっくりすること間違いなしです。「A Night In Tunisia」「Split Kick」「Sincerely Diana」のソロはおすすめです。
他にもドラマーなら、マックス・ローチとバディ・リッチです。叩きまくりのすごい2人。
本編でも薫が千にスティックをプレゼントするはずが突然キレて公園で落ち込んでいると
千がやって来て街灯を叩きながら「よっ、マックス・ローチ。」と言うシーンがありました。
千のドラムを最初聴いたとき、ちょっとマックス・ローチっぽいなあなんて思ったけど、やっぱり意識してたみたい。
そんなマックス・ローチなら「”the Quintet” Jazz At Massey Hall」というアルバムでの演奏はすご過ぎます。
特にとくに4曲目の「Wee」でのソロはとんでもないです!!!
さらにこのアルバム、チャリ―・パーカー、ディジー・ガレスピー、バド・パウエルという超豪華な組み合わせ。
みんな落ち目であってもその演奏にはとてもワクワクさせられます。僕はこのアルバムがちょっと好き過ぎるw


ビル・エヴァンスは僕をジャズの世界に引きずり込んだピアニストです。
初めて聴いたとき(何の曲なのかはまったく思い出せないんだけど)、なんて綺麗なピアノなんだろう!って思いました。
それまでピアノなんてわけのわからないものだったのですが、イメージを直接ひっくり返されました。
その中でもおすすめなのは「Waltz For Debby」というアルバム。表題の曲が本当に素敵。
もう甘美なまでのそのピアノの旋律に溶けてしまいそうになるくらい、美しい曲です。
ベースのスコット・ラファロは天才ベーシストとしてとても有名でしたが、交通事故で早くに亡くなってしまいます。
ビル・エヴァンスと共に録音できたのはたった4枚のアルバムのみ。
ビル・エヴァンスの演奏も彼と組んだときが最高だったと言われています。そう言われるとその4枚しか聴かないw


と、おすすめしてみました。
お気づきの通り僕が聴くジャズは昔のジャズだけです。もう死んでいった人達の音楽。
音の悪い録音もあるけど、そこにはそれでしか得られない感動と慰めと救いがあります。
ジャズはとても良い音楽ですよ。僕が言える資格があるかは疑問ですが、そんなこと関係なく素晴らしい音楽です。
ぜひ、聴いてみて下さい。
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 21

92.2 2 ジャズアニメランキング2位
COWBOY BEBOP - カウボーイビバップ(TVアニメ動画)

1998年春アニメ
★★★★★ 4.2 (3215)
15479人が棚に入れました
時は2071年、いっこうに減らない犯罪者達を捕らえるために「バウンティー・ハンター制度」が生まれた。賞金稼ぎのスパイクとジェットの2人が乗るビバップ号は、太陽系全域にまで拡大した人類の生活圏の中で、火星周辺を中心に活動している自家用宇宙船である。だが捕らえ方が荒っぽいために、捕り物後に巻き込まれた一般人からの訴訟も多く賠償させられてばかり。飛び込んでくる賞金首の情報に選り好みするほどの余裕も無く、日々を行き当たりばったりに過ごしていた…。

声優・キャラクター
山寺宏一、石塚運昇、林原めぐみ、多田葵、高島雅羅、若本規夫

rFXEy91979 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

男の為のイケてるアニメ(時代重ねて重ねるほど、旨味増しまし間違いない)!

Session #1「アステロイド・ブルース Asteroid Blues」
余計な説明セリフはナシ、世界観もサラっと描写。貧乏賞金稼ぎ二人の金銭・食料問題等々、詰め込んだエピソードの何と無駄のない事か。加えて粋なスパイクや堅実派のジェットさん、如何わしい情報屋にボロなシップに寂れた美術。それらが醸す味わいがたまらないです。特に「古さ」が。
綺麗ばっかで泥臭さのないアニメだらけな昨今で、たまに「古さ」をオイシクできるアニメはやはり新鮮です。男も女もロマンチストで現実的でいつでも「死ねる」。ギリギリを生きるアウトローのカッコよさに魅せられます。
本気でアニメを愛したい人の「登竜門」の一本!是非!

Session #2「野良犬のストラット Stray Dog Strut」
インテリジェントなワンちゃん巡って、三者三様大暴れwまたも無駄が一切ない上、笑いたっぷり面白い!!あんなイカツイお尋ね者がワンちゃん一緒な時点で(笑)。しかもそこにトラック野郎(?)にスパイク絡んで、てんやわんや。オーソドックスシーンすら楽しくさせちゃうこのアニメは、やっぱり名作たる所以がちゃんと宿っておりました。
賞金獲得不明だけど、ビバップ号にワンちゃん乗車とこれってもしやレギュラーキャラ?だとしたらますますニヤニヤw
つまりメッチャ面白かった!!

Session #3「ホンキィ・トンク・ウィメン Honky Tonk Women」
香港チックな題名にギャンブルものの魅力付随。そんでもって遂に登場!不二子ちゃんキャラ、フェイ・バレンタイン!!やっぱ時代がどう変わろうと、魔性の女は魅力的だわw
今じゃギャンブルアニメって下火の印象しかないけど、そういう時にこの回見るとものすごい新鮮だよ。カジノ内部の裏取引に宇宙空間の騙し騙され。それを洒落たセンス使って、30分間堪能だから、ホントビバップスタッフってのはカッコいいを極めすぎてる。フェイの逃走もカッコいいし、アインもキュートで良い味してるし、このアニメであと何回悶絶されれば気が済むの!?
マジ今回もご馳走様です!!

Session #4「ゲイトウェイ・シャッフル Gateway Shuffle」
極悪ババアと最凶ウイルス。政府も絡んだ思惑に巻き込まれたメインキャラwマジ今回も大爆笑&大仰天でした。まさか助太刀したフェイが活躍できずに撤収とはねw
ホント毎回毎回と面白エピソード出まくりで、スタッフいつまでこの幸せな時間与えてくれるのよw正直昨今アニメでは味わえなかった満足感が!
ババアがウイルス壊れるか壊れないかでハラハラするのはベタだけど超サイコーで、笑いました。そりゃ笑うわ。
何といっても一笑いはワープ空間の大立ち回り。ミサイル防ぎに颯爽と駆け付けたスパイクの予想斜めなミサイル拡散。続けて美味しい頂戴と割り込んできたフェイちゃんがキメてくれると思いきや、またまたミサイル分裂・拡散。予想二度目の斜め自体に超焦ってビックらこいて、挙句ゲート封鎖通知で大慌ての大撤収。いやあ、ここは声でちゃうほど最高の場面だった。このシナリオ考えた人、ホント頭良すぎるよ!!
さてさて遂にフェイちゃんもビバップ号に乗船だし、今後はどんな大騒動が起こるのかな?ウッシッシですw

Session #5「堕天使たちのバラッド Ballad Of Fallen Angels」
ビターで甘みがどこにもないアダルトの為の回ですね。自称死人のスパイクに固執するビシャスの思い、今尚頭の片隅にまで残り続けるジュリアの気配…。ノワールものでのファム・ファタール(要は運命の女ですね。ちょっとカッコつけました)は男を滅ぼす魔性の女、ですけどジュリアは純な女と折半した女性ですね。男の抱く幻想だと自分は思ってしまいましたが(だってあれほどのいい女が男をずっと待ってるかな)、それでも脳裏に残り続ける気持ちはすっごく分かります。本気で惚れた女はやはり死ぬまで消えちゃあくれませんしね。
まああれほど強いビシャスがあっさり死ぬとは思わないけど、コイツはホントに質の悪いストレイドッグですね。だからこそ最終回が盛り上がったわけですが、彼も非常に哀しいですね。選んだ道とその末路が…。

Session #6「悪魔を憐れむ歌 Sympathy For The Devil」
永遠に死ねない身体は、どこかこう振り返ると吸血鬼を想起しますね。生き血を吸わなきゃ生きれない身とどこが似てると問われたら、劇中の彼のように誰かの命を狩り続ける。生を狩って自分の生を実感し死を刮目。アブノーマルが生きる糧と化してるところと答えますね。
王道を行ってるけど、哀愁を感じさせる王道ですごく好きです。終わりの鍵が始まりの中に隠されてたところもですし、それを黙って引き受けるスパイクもまた同じです。苦くてでも幸せなハッピーエンド。奥深いです。

Session #7「ヘヴィ・メタル・クイーン Heavy Metal Queen」
Session #8「ワルツ・フォー・ヴィーナス Waltz For Venus」
Session #9「ジャミング・ウィズ・エドワード Jamming With Edward」
Session #10「ガニメデ慕情 Ganymede Elegy」
Session #11「闇夜のヘヴィ・ロック Toys In The Attic」
Session #12「ジュピター・ジャズ(前編) Jupiter Jazz (PART 1)」
Session #13「ジュピター・ジャズ(後編) Jupiter Jazz (PART 2)」
Session #14「ボヘミアン・ラプソディ Bohemian Rhapsody」
Session #15「マイ・ファニー・ヴァレンタイン My Funny Valentine」
Session #16「ブラック・ドッグ・セレナーデ Black Dog Serenade」
Session #17「マッシュルーム・サンバ Mushroom Samba」
Session #18「スピーク・ライク・ア・チャイルド Speak Like a Child」
Session #19「ワイルド・ホーセス Wild Horses」
Session #20「道化師の鎮魂歌 Pierrot Le Fou」
Session #21「ブギ・ウギ・フンシェイ Boogie Woogie Feng Shui」
Session #22「カウボーイ・ファンク Cowboy Funk」
Session #23「ブレイン・スクラッチ Brain Scratch」
Session #24「ハード・ラック・ウーマン Hard Luck Woman」
Session #25「ザ・リアル・フォークブルース(前編) The Real Folk Blues (PART 1)」
Session #26「ザ・リアル・フォークブルース(後編) The Real Folk Blues (PART 2)」

投稿 : 2025/01/04
♥ : 9
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

俺TUEEEE!!ならぬ俺COOOOL!!な雰囲気アニメだけに、最後まで冷えたまま盛り上がらずに終わってしまった印象

宇宙を股にかける凄腕賞金稼ぎの青年スパイク。
彼の仕事ぶりや日々の生活ぶりには、どことなく心ここにあらずといった投げやりなけだるさが漂っていた。
彼の心の中にあるのはただひとつ、{netabare}昔所属していたチャイナ・マフィアで恋仲となった絶世の美女ジュリア{/netabare}のことだった。

・・・ということで、いつも醒めた目でタバコを燻(くゆ)らせるこの主人公が、とっても COOL!!(格好いい)・・・というのが本作の最大のセールスポイントだったのだろうと推測します。

但し、最近の本当に COOL としか言いようがない、何気ないシーンのひとつひとつが研ぎ澄まされた芸術作品のような造りの名作アニメ(例えば、PSYCHO-PASS)に比べると、いかんせん 1998年制作の本作は、脚本・作画・演出とも、どうしてもチープさが隠せないように私には見えてしまいました。


◆作品別評価

TV版       ☆ 並 3.5
劇場版(天国の扉) ★ 良 4.0
-------------------------------
総合       ☆ 並 3.6


※下記の各話評価のとおり、TV版は、★★(優秀回)以上が0、★(良回)6、☆(並回)16、×(疑問回)4、と全く盛り上がりに欠ける内容で、感動するシーンも心躍るシーンも無かったので、個人評価を、☆ 並 3.5 と低めに付けました。
※但し、その後に制作された劇場版『天国の扉』は、中盤以降そこそこ盛り上がったので、個人評価を、★ 良 4.0 としました。



◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回


====== COWBOY BEBOP - カウボーイビバップ - (1998年4月-6月) ======

{netabare}第1話 アステロイド・ブルース ☆ 非合法薬物窃盗犯(アシモフ)と身重妻
第2話 野良犬のストラット ☆ ペット窃盗犯(ハキム)とデータ犬(アイン)
第3話 ホンキィ・トンク・ウィメン ☆ フェイヴ・バレンタインと特殊チップ
第4話 ゲイトウェイ・シャッフル ★ ツィンクル・マリアと環境テロ集団 
第5話 堕天使たちのバラッド ★ ヴィシャスとの再会 ※第1話冒頭に繋がる 
第6話 悪魔を憐れむ歌 ☆ 不老少年(ウェン)
第7話 ヘヴィ・メタル・クイーン ☆ 伝説の賞金稼ぎの未亡人(VT) 
第8話 ワルツ・フォー・ヴィーナス ☆ ロコ&ステラ兄妹
第9話 ジャミング・ウィズ・エドワード ★ 地球の現状と凄腕ハッカー(ラディカル・エドワード)&AI
第10話 ガニメデ慕情 ☆ ジェットの元恋人(アリサ)と賞金首の情夫
第11話 闇夜のヘヴィ・ロック × 謎の宇宙生物の襲撃、オチがないのは×
第12話 ジュピター・ジャズ(前編) ☆ ヴィシャス再登場、グレン登場
第13話 ジュピター・ジャズ(後編) ☆ ジュリア-ヴィシャス-スパイクの因縁のチラ見せ回
第14話 ボヘミアン・ラプソディ × ヘックス老人(チェスマスター)の復讐計画 ※ただの茶番回
第15話 マイ・ファニー・ヴァレンタイン ☆ フェイの過去話、コールドスリープ
第16話 ブラック・ドッグ・セレナーデ ☆ ジェットの過去話、組織との因縁
第17話 マッシュルーム・サンバ ☆ 当て逃げ犯、不時着、違法キノコ
第18話 スピーク・ライク・ア・チャイルド ★ フェイの過去からのヴィデオ・メッセージ
第19話 ワイルド・ホーセス ☆ ソードフィッシュ号の危機、スペースシャトル
第20話 道化師の鎮魂歌 × マッド・ピエロとスパイクの死闘 ※脚本がお粗末
第21話 ブギ・ウギ・フンシェイ × 宇宙風水師パオの娘 ※この回も脚本がお粗末
第22話 カウボーイ・ファンク ☆ 連続爆破犯(テディー・ボマー)、賞金稼ぎ(アンディ) 
第23話 ブレイン・スクラッチ ☆ 新興宗教団体教祖Dr.ロンデスの正体
第24話 ハード・ラック・ウーマン ★ シンガポール、エドの父親、フェイに戻る記憶
第25話 ザ・リアル・フォークブルース(前編) ★ スパイクの無くしたもの、ジュリアの伝言、ヴィシャスの反逆
第26話 ザ・リアル・フォークブルース(後編) ☆ ジュリアの死、スパイクvs.ヴィシャス{/netabare}
----------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)6、☆(並回)16、×(疑問回)4 ※個人評価 ☆ 3.5


OP 「Tank!」
ED 「THE REAL FOLK BLUES」


==== COWBOY BEBOP - カウボーイビバップ - 天国の扉 (2001年9月) ====

{netabare}全1話 ★ 不死の男(ヴィンセント)、ナノ・マシン兵器テロ ※第22-23話の間の出来事{/netabare}


(補記)

本作を視聴しながら思ったのですが、私はアニメ作品の評価方針として、
(1) 「その当時の作品としては凄い水準だった」とか「当時は凄く感動した」といった「思い入れ補正」をなるべく入れず、
(2) 現時点でのフラットな評価をしたい
・・・と考える傾向が強いようで、
本作のような、多くのファンのいるかっての「名作」であっても、現時点で「本当に感動できるか」「本当に心がワクワクするほど楽しめるか」という観点から、このような低めの個人評価となってしまうこともたまにあるようです。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 35
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

20世紀の遺産を堪能する

OP『TANK!』。バラエティなどでよく使われててフレーズ耳に残ってるけど元ネタこれだったのね。


思えば20世紀のアニメーションなんですよね。
いまさらトライするのになにが動機づけになるのだろう。

よっぽどの有名タイトルか?
はたまた懐古趣味か?レトロ好きか?

クールで2桁をゆうに超える作品が投下されている今日この頃…
敢えていくには大義名分が欲しい私です。例によって地上波再放送。今回は関東ローカルTV埼玉さんの英断です。
めちゃくちゃかっこいい作品なのに合間のCMでは“餃子の満州”なんぞやってた2020年。

なお冒頭動機付けの“有名タイトルか?”“懐古趣味か?”“レトロ好きか?”
同時代を生きてはいましたが、なんせ当時はアニメを観てやしないのもあり懐古趣味のようなものはなく、こちらに限らずほぼほぼタイトルに魅かれてです。今回もそれ。


視聴前イメージだと“ややハードな雰囲気かっこいい系SF”ってのでしょうか。
観る前だと例えば“AKIRA(観た)”“攻殻機動隊(観てない)”“TIGER&BUNNY(観た)”あくまでジャケット判断。本作はこれらに近い雰囲気ありますね。あくまで見ためです(しつこい)。


 そして実際かっこいい


ややアップテンポでジャジーな劇伴に乗せて繰り広げられる賞金稼ぎの物語。一話完結型。全26話。完走して思った。

{netabare}意外と書くことが無い{/netabare}

伏線がどうとかキャラ掘り下げてどうとかがあるのかもしれないけどそんなんじゃない。見事な一話完結。引っ張っても前後編の2話セット止まり。リセットして次いってみよー!
恐らく最大の長所であり短所なんでしょう。

 {netabare}美学に極フリ{/netabare}

物語から受け取るメッセージは皆無。でもこれでいいんじゃなかろうか。スパイキーな仕上がりになってることを否定できる人はいないでしょう。
視聴感は『ルパン三世』に近いと思う。たまに人情話を挟んで普段はコミカル、ここ一番でやる時はやるみたいなやつ。
声優陣も豪華。

【賞金稼ぎな面々】
スパイク・スピーゲル(CV山寺宏一)
⇒主人公らしい主人公
ジェット・ブラック(CV石塚運昇)
 ⇒おっさんらしいおっさん
フェイ・ヴァレンタイン(CV林原めぐみ)
 ⇒ミステリアス成分抑えめな不二子ちゃん
エド(CV多田葵)
 ⇒ネジの弛んだスーパーハカー少女

今は大丈夫ですがもし当時に遡って視聴していたら、エヴァすら未見だった私にとってはらんま1/2のPちゃん(山寺さん)と女らんま(林原さん)のイメージが強かったためびっくらこいてたでしょう。運昇さん加えた三人のセリフ回しはとことん男前でした。


全てに高次元とは言いたくないですね。もちろん敬意を払ってのことです。
仕事柄チェーン展開してるコーヒー屋さんをよく利用します。一定のサービスレベルはどこも約束されていてお店ごとに差別化がある世の中には皆さんも慣れてるかと思います。
そこでふと個人経営店に迷い込んで思いの外良い時間、コーヒーもだし空間を満喫した感覚に似てるといえるかも。


思えば20世紀のアニメーションです。
ノウハウが蓄積されてきて予算さえあれば勝利の方程式を適用し得るのが21世紀になって早20年経過した今なんだと思います。
『エヴァンゲリオン』をアイコンに勃興してきた“大人も楽しめるアニメーション”時代の幕開けはこの頃でしょう。なんでもありな熱を感じますね。
だいたいおもちゃの売れないアニメを作るのなんておそらく出資者がいなかった頃合いじゃないですか。ゼロからイチを編み出したらもう遺産でしょう。


ここであらためて冒頭の“有名タイトルか?”“懐古趣味か?”“レトロ好きか?”
有名タイトルに吸い寄せられてみていくつか視聴し気づいたことは、この深夜アニメが本格化する黎明期作品の熱といいますか尖りっぷりといいますか。一昔二昔前ならではの魅力があることに確信持てましたよ。“レトロ好き”なる観点も“アリ”です。

 作りたいもの作ってたんだろうな~

がここにある。趣味が高じてる良作です。



※余談

■BE-BOPといえば?

{netabare}ハイスクールと反射的に答える私。{/netabare}

実際は1940年代チャーリー・パーカーあたりが提唱したジャズのいちスタイル。流行って廃れてそれでも現代で生き残ってるようです。
意味合いは“アウトロー”とか“自由な”とかのニュアンスが含まれてます。

お世辞にも優等生とはいえない主人公たち。そして月日が経っても「おもしれーじゃん」な作品にそのまま表れてますね。タイトルに偽りなし!

{netabare}どうでもいいこと思い出した。森田童子の曲中にチャーリー・パーカー登場してましたね。あのドラマもスパイキーだった。{/netabare}



{netabare}喫煙がかっこいいアニメなんて絶滅するんだろうな。吸い終わったのを踏んで火を消すシーンなんてごちゃごちゃ言われそう。時代は確実に流れてます。{/netabare}



視聴時期:2020年7月~12月 地上波再放送   

------


2020.11.29 初稿
2021.09.18 タイトル修正

投稿 : 2025/01/04
♥ : 49

89.3 3 ジャズアニメランキング3位
BACCANO! バッカーノ!(TVアニメ動画)

2007年夏アニメ
★★★★★ 4.1 (2768)
15343人が棚に入れました
三百年前、船の上で錬金術師達は不死の法を手に入れるため、『悪魔』を召還したのが全ての始まりであった。悪魔は錬金術師達に不死の酒を与え、唯一死ねる方法と召還主だけに不死の酒の製造方法を教えた。しかし、その次の日の夜、錬金術師達の内の一人が仲間を喰い始め、彼らはその魔手から逃れる為、世界中に散り散りとなった。そして禁酒法時代のアメリカ、不死の酒を巡り、バッカーノ(馬鹿騒ぎ)が始まる!

声優・キャラクター
小野坂昌也、あおきさやか、吉野裕行、宮本充、小林沙苗、藤原啓治、阪口大助、小林ゆう、園部好德、森田成一、広橋涼、千葉進歩、太田哲治、伝坂勉、有本欽隆、菅生隆之、中田和宏、伊藤美紀、後藤沙緒里、神田朱未、子安武人、三宅健太、山口勝平、安井絵里、大林隆介、佐々木誠二、若本規夫、井上麻里奈、羽多野渉、伊丸岡篤、永澤菜教、平野俊隆、古澤徹、楠大典、斎藤千和、亀井三郎、伊藤静、神奈延年、大畑伸太郎、高垣彩陽、斧アツシ、長克巳、塚田正昭、速水奨、西本理一、河本邦弘、浪川大輔、金光宣明、成田剣、坂口候一、相馬幸人、こぶしのぶゆき、西村知道、岡田三利、麻生智久、杉田智和
ネタバレ

キリン  さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

俺、謎が解けた!と思って調子に乗って友達に話してはいけない!友達も解かってる

お菓子を食べながら、視聴すると
終わったときにメチャクチャ周りが汚れてるアニメです。

それくらい目が離せません。

ほんの少しでも
(今何時だ?)
(あっ、クリーニング出すの忘れた!)
(・・・俺・・・鍵閉めたっけ?)
とか違うこと考えたら、
なんか物凄く大事なシーンを
流して観てしまった気がしてきて
その事を考えてる間に、また話が流れて行ってしまいます。

万全の態勢で視聴することをオススメ致します。

でも、それならまだ良いです。
余計なこと考えなければ良いのですから、

難しいのは、
このアニメの内容を考えざるを得ない状況です。

「えっ?えっ?」

ってなるように作ってるんだから、
頭が『?』になって当然です。
でもそこに留まって考えてたら、
これまた話が流れちゃうので、
ある程度は、謎を脳に海馬にストックしたまま観るのが
一番楽しめるのではないかと思います。


私は『デュラララ!!』を先に観て
この『バッカーノ!』を観ていますので、
(放送時期はバッカーノ!の方が先です)
ある程度の心の準備と言いますか、
まあ、複雑になってきても慌てない心構えが出来ていました。

でも、登場人物はちょっと似た感じのルックスのキャラだと
「あれ?この人って、あれ~?」
と勘違いを起こしかけました。

もしかしたら
その辺を踏まえて
『デュラララ!!』で
もっと描き分ける為
特徴を強くして、濃いキャラが多くなったのでしょうか?


内容、世界観は大好きな感じ
OP観て聴いただけで、
ある程度、世界観が解かると思います。
私は一気に引き込まれました。

私は特に
鉄道マニア、いわゆる鉄ちゃんほど
詳しくは無いのですが、
にわか鉄道好きで(歴史浅いです)
特に旅が好きなので
このアニメで
なんか、いい気分になれました。
(内容はいい気分とは、ほど遠いですが)


アイザックとミリア
この二人がお気に入りです。
こんなにホッとするキャラは久しぶりです。
緊迫した話が続く中、
いいタイミングで出てくるおバカキャラなので
余計ホッとします。

なだぎさんと友近さんがやる
『ディラン&キャサリン』みたいだと思っていたら
ホントにそういう指示が出てたみたいですね(笑)
放送時期もそのネタが流行ってた頃ですしね。

てか、この二人『デュラララ!!』に出てたんですね。
そりゃ『バッカーノ!』観てないと気付けないわ~
ってくらいちょい役ですけどw



しかし、この『バッカーノ!』
観る為に苦労しました。

以下私的苦労話


{netabare}
『デュラララ!!』のレビューをUPしてから
エミールさんにオススメされた『バッカーノ!』

さっそく観ようと近所のレンタルショップに向かったものの
1巻のみレンタル中

がっかりして、一週間後
またしても1巻のみレンタル中

(なんでやねん、早よ、次進めや)


二週間後、三週間後
1巻のみレンタル中


私は店員さんに聞いてみました。

「あの~、アニメのバッカーノの1巻って
返って来てます?」

「少々お待ち下さい・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

「あ~、前回借りられたお客様が紛失されておりますね~」

「テメー、それやったら、『只今抜け巻です』って
書いとけや!他の紛失されたと思わしきヤツは
書いとるやないか!なんで『バッカーノ!』だけ
書けへんねん!このぶつぶつ出っ歯がっ!!!」

と言えるわけもなく

「あ、そーですか。ありがとうございます」

と言って立ち去ろうとしました。すると

「もしよろしかったら、入荷した際
ご連絡致しましょうか?」

(あぁん?もうええわ!待つ気ないんじゃ!!この黒ぶち!!!)

「いえっ、けっこうです。どぉーもー」

と言ってレンタルショップを後にしました。

無いと分かれば、
他で借りるしかない。
私は、検索して『バッカーノ!』が置いてあるお店を
見つけました。

(で・・電車使わな無理や・・・・)

けっこう遠かったですけど、まあ1巻さえ借りれば
2巻以降は、近所のレンタルショップで問題無いので
思い切って遠~いレンタルショップに行き
無事1巻を借りることが出来ました。

(今考えたら、宅配あるんじゃなかったっけ?)

さらに1週間が過ぎ、2巻以降を借りようと
またまた近所のレンタルショップに行きました。

え~と2巻、2巻・・・・あった・・・・て
1巻あるじゃん!!

なんで今あるねん!!


まあ、仕方ない・・・・私は気を取り直して
レジに向かいました。

なんとなく黒ぶちぶつぶつ出っ歯に
2巻借りるの見られたくなかった私は
ぶつぶつ出っ歯がカウンター内でゴソゴソし始めた隙に
もう一人のお姉さんのレジに並びました。

私の前に一人お姉さんレジで会計していました。

(早く早く・・・)

(早くぅ!ぶつぶつ出っ歯が気付く!)

気が付くと私の後ろに二人並んでいました。

(早くぅ!急いでぇ!)

(やべっ気付いた!今こっち見たぞ!早く!!)


「次にお並びのお客様、こちらのレジどうぞ~♪」


私は聞こえないふりをしましたが、後ろの人が
とんとんと私の肩を叩き、『どうぞ』とジェスチャーしていました。

私は
ん?なんのこと?

みたいな顔をして、少しでも時間を稼いで、
お姉さんレジが空くのを待ちましたが、
さすがにこれ以上気付かないのはアホだという時間(5秒)が
経ってしまい、しぶしぶぶつぶつ出っ歯レジへ向かいました。

「え~、2巻と3巻と4巻でお間違いないでしょうか~?
あっ!『バッカーノ』ですね。1巻入りましたよ~」

(分かっとるわっ!!!俺今2巻からここに持って来てるやろ!!
取るとき気付けへんわけないやろがっ!!!
ホンマにお前はバッカーノ?)



あっスンマセン、ウケようと思って言ったんじゃないんです。

{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 40

hiroshi5 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

総じて難関。しかしそこが良い!

難しい!!
このアニメは面白いとか興味深いとか言う前に難しい!

見てもらえれば分かるんですが、このアニメは本編の一部でしかありません。ストーリーは1700年から始まり1930年と2000年代とそれぞれの展開があります。
いや、むしろ悪魔の正体であるロニ-スキアートが誕生した紀元前300年も含めるべきかもしれません。
このアニメでは1700年の大まかな説明と1930年代の物語を舞台にしています。それでも省略されているキャラは沢山おり、ストーリーの全貌を知るには原作を読まないと無理だと思います。

そして原作を読んでいない私は、2000年代の物語は一切分かりませんし、1700年のキャラ、特に不老不死の日本人などの情報も一切分かりません。

さらに理解を困難にさせてくれるのは(これは個人的理由ですがw)キャラの名前です。長いし、カタカナだし、発音しにくい。当然のごとく区別が付けにくい。名前って大切ですよね、特にこの様な多数キャラが登場してくる場合。後、ぶっちゃけキャラの顔も区別しにくかったですw特にロニ-スキアートとキースが。

最後にもう一つ。この作品深いところでデュラララと繋がっているですけど、そこんところの説明がもうちょっと欲しかった!
デュラララ見たら分かるようにアイザックとミリアはデュラララに一度参加しています。
他にもスキアートはセルティーと面識があるなど、ちまちま関連している点があります。
もっと繋がったら面白いのにな~~っていう個人的願望ですw

さて、本題の物語ですが、なにから話したものか・・・・
皆さん知っての通り、物語は時代が入れ替わりながら進展していく訳ですが、この方法は斬新でしたね。
パズルをはめ込む様に、だんだん物語りの全貌が見えてくる、そこが面白い点なんでしょう。
私が一番面白いと思った点はキャラに対する感情の入れ込みですかね。
分かりやすい例がラッド・ルッソでしょう。彼は初めの方はただの殺人快楽者に見えますが、後半に行けば行くほどまともな人間に見えてくる。(←まぁこれはあくまでも個人的意見ですが)
理由の一つに、真相が分かるにつれて、この作品に登場しているキャラクターにまともな人間なんていないってことが分かるからですw

次々に出てくる不老不死の人間たち。
世界は自分を中心に廻っていると自称する殺人のエキスパート。
他人に操られるホモンクルス。
不老不死になろうと列車ごと人質に取る殺人集団。
爆発することで快楽を覚える爆弾狂。
幼い頃虐待を受けて育った笑顔中毒者。
物を解体することを生きがいに生活している解体屋
辛い過去を持ちながらも常にポジティブに考える強盗

まともな人間の方が少ないんじゃないか?って思えてくるような設定ですよね・・・w
そんな真相が明らかになっていく中で、ラッドは己の道を突き進んでいることが分かる。実にすっきりしたキャラってことが分かるんだと思うんですよ。

この前半と後半の情報量の差が、視聴者にすっきり感を感じさせ、より好意的にキャラを理解させてると思う。ぶっちゃけ、話を一から説明してたらこのアニメは今ほど人気にならなかったかもしれない。なぜなら1930年代のマフィア問題の根本は不老不死の薬にあるものの、表向きはダラスが大きく関係している。
列車の事件とダラスの逃走の関係性は極めて薄い。途中途中で切り替えしないと、ここの話の繋げは難しいでしょうね。そういう意味では、この物語はこのスタイルででしか成功しないアニメだったのでしょう。

この作品を私が難しいと示す理由がもう一つあります。それは複数の物語が絡み合ってて個々の物語を理解しにくいところです。

イブ:ダラスの帰りを待ってますが、なんでですか?奇跡は起こるとかなんとか言ってましたが、ここんとこ誰か知ってたら説明よろしくお願いしますw
情報屋社長:結局誰?w
ジャグジー:屋敷に泊まらせて貰ってますが、結局彼らはどうしたんでしょうか?ニースとは婚約したみたいですが。
ラッド:フィーロに不死者の殺し方を聞いてからどうなったの?
ガンドール兄弟:不死者になってからは?
フィーロ:エニスと50年もかかって結婚してからの活躍は・・・。

これらの中で複数の疑問は原作読んだら理解できるんでしょう。しかし、私がここで何が言いたいかというと、不死身という能力を持っているから物語に終わりがこない。気になりますよね~。
最後に副社長が言っていた様に、物語に終わりが来ないからこそ面白い!ってのは分かります。しかし、視聴者としては何かしらケジメみたいな、明らかな終わりが欲しかった!
複数キャラが演出したことで個々の物語に切れが無かったように感じます。

しかし、総じた評価は高かったかと。声優陣は相変わらず豪華で、音楽も良く出来ていました。
作画も列車の上での戦闘を見たら分かるように、綺麗だったと思います。
キャラは個性的というか、先に述べたように、個性的過ぎた感がありますが良かったと思います。個人的にはアイザックとミリアがスキでしたw

そうですね。是非、2000年版を作って頂いて、その後の活躍を見たいですね~w

投稿 : 2025/01/04
♥ : 17

sekimayori さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

両成敗でいいじゃない(訳:良くできてると思うけど不満も大きい) 【40点】

疾走する大陸横断鉄道の軌道と禁酒法下のNYの雑踏を舞台に、悪党たちのバッカーノ(伊:ばか騒ぎ)を描いた、クールでバイオレントなクライム・コメディ。



本作の目標はシンプルに、「ワルい奴らの狂騒をオシャレに楽しく魅せる」こと。
本質はカッコつけた喜劇だと思います。
出自はきっと、洋画のタランティーノとかガイ・リッチーをラノベ(アニメ)でやりたい!との素朴な欲求でしょう(原作者がガイ・リッチーのファンらしい)。
マフィアやギャングみたいな悪党が、因果応報やら棚からぼた餅やらで殺し殺され、軽口叩きながら生きているくだらない日常は、視聴者にとっては刺激に溢れている。
それが一つの列車に詰め込まれ、しかも「死なない」なんていう普通じゃない人々の思惑まで絡み、ばか騒ぎのボルテージはどんどん高まっていって。
そんな狂乱のくだらなさと、時系列シャッフルやザッピングで忙しない舞台劇のようにまとめられた出来事の繋がりを理解した瞬間に感じるクールさが、BACCANOの魅力でしょう。

「結局ヤクザとチンピラが暴れてるだけじゃん」なんてことは制作陣も百も承知なわけで。
ノリの軽い抗争の興奮、音楽や映像やキャラの掛け合いといった単純な快感を、物語構成の技法でいかに飽きさせず見せるか、さらに技法自体から付加価値を生むことができるか、という試みに取り組んだ作品です。
その上で、人数が多く『パルプフィクション=くだらない話、三文小説』に留まるキャラ一人ひとりの物語も、それを上手に興奮の坩堝で撹拌することで、終着駅にたどり着くまでに(いっぱいの楽しさと)いっぱしの感慨を与えてくれるのは、本当に上手い。
群像劇×時系列シャッフルにより個別の物語を総体的に理解しやすくなるからなのか、魔術的な満足度生成過程です。



ただ、個人的にはどうしても好きになれない。
シャッフルの先が結局くだらない話だと予想がついて興味が続かないのか、そもそも相性悪いのか。
私、タランティーノもガイ・リッチーも「面白いけどそこまで……」だったので。
一つ確かなのは、キャラや物語の表層的な味付けとして、ラノベ・アニメならではの方法論で残虐さや大仰さが強調されていて。
エンタメとして単純に、ノリに引いてしまった……。
特にラッドとレイルトレーサーのイカレ具合。

悪党の行動に庶民が快哉を叫ぶ、というのは現実でもよくあること(ex.メキシコの麻薬王人気)。
なぜ「悪いこと」が「カッコよく」映るのかというと、そこには我々を拘束する(諸条件によっては「窮屈」な)社会のルールからの、逸脱の快感があるからです。
でも同時に、道徳であれ法律であれ、守るべきとされる決まりは、社会的により良い成果を挙げ、みなの幸福を守るために存在するのが基本。
だから、規範の逸脱を正当化する理由(典型例:義賊・ねずみ小僧)が無いと、小市民な私はモヤっとしてしまう。
殺人中毒だとか自分が世界の中心だとか、逸脱の理由が単に「社会規範を否定すること」に酔ってる(=逸脱が自己目的化してる)だけなキャラが主演クラスを張ってると、ちょっと正視に堪えないというか……。
究極の逸脱たる殺人の描写も結構グロいので、正直笑えないしクールでもない。
もちろん、元ネタ洋画群の魅力でもあった、逸脱に対するビジネスライクな割り切りや日常感(フィーロたち)、茶化し(バカップル)、小市民的葛藤(ジャグジー)も組み込まれてて、その緩さと緊張感は確実に面白さに貢献しているだけに、そこに徹してほしかった。
誤解を恐れずに言うと、良くも悪くも「中二乙」でして、私には悪い部分が目についた、というところ。

あと、せっかく禁酒法時代が舞台なので、豊富なキャラで狂ったルール自体をおちょくっても楽しかった、かも?
逸脱とかそれを笑うことには、既存のルールを相対化し正当性を問う機能もあるはず。
そんな意識高さ必要ないか。
何にせよ、ほぼ人殺し一辺倒で終えるには惜しいキャラ数でした。

お世辞でも予防線でもなく、高評価に見合うクオリティを持った作品だとは思いつつ。
相性良くない人は結構曇ってしまう可能性はひっそり主張したい。by雑魚の極みレビュアー


【個人的指標】 40点

投稿 : 2025/01/04
♥ : 19

67.9 4 ジャズアニメランキング4位
メトロポリス(アニメ映画)

2001年5月26日
★★★★☆ 3.8 (156)
1059人が棚に入れました
 手塚治虫の原作を大友克洋脚本、りんたろう監督で映画化したSFファンタジー・アニメーション。ロボットと人間が共生する巨大都市国家・メトロポリス。一見理想的な社会かに見えるこの国だが、発達したロボットによって大きな恩恵を受けた者がいる一方、そのロボットたちによって働き口を奪われた者、ロボットにも人権をと主張する団体など様々な確執が噴出し始めていた……。

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

アニメーション技術は驚異的。ただ、テーマがブレブレ?

 手塚治虫氏原作の1949年の作品というよりは、1927年のドイツ映画のメトロポリスに近い印象のストーリーでした。というのは、アンドロイドが女性で、革命を題材に置いているからです。
(追記 さっきまでメトロポリスってソ連映画かと思っていました。ドイツ映画が正解です。ご指摘くださったレビュアーさん、ありがとうございます)

 ドイツ版は当時の世相を反映してか、偶像による先導の悲劇を描いた反ファシズムあるいは暴力的革命より平和的革命をというようなニュアスだった気がします。
 手塚版は、大衆をカリカチュアしている点と科学に対する警鐘のような雰囲気の方が強かったと思います。当時はレッドパージ中でしたので共産主義思想は明確ではないと思いますが、ニュアンス的にはロボット=労働者という描き方はしているでしょう。ただ、政治についてよりも、アトムにもつながって行くアンドロイドの人権・人格・感情問題の方を丁寧に描いています。

 さて、本作のストーリ-についてです。本作は手塚・ドイツ版の両方を組み合わせたような感じです。が、テーマがはっきりしません。資本家・為政者と大衆・ロボットの分断社会が舞台です。労働をロボットに奪われた大衆を描いていました。
 ただ、大衆とロボット、そしてレッド党と大統領の配置がよくわかりません。
 大衆にとってロボットを狂わせたレッド党は味方でもあります。そのレッド党にしても漠然と世界征服を目論んでいるだけでが何をしたかったのかがよくわかりません。選民思想でもないし、反ロボットと言いながら、ティオを神のような扱いにしようとしています。

 ジグラッドやマルドゥクのようなバビロンモチーフで神の怒りのような感じですが、自分たちで作った神が狂った=科学の報復のようなイメージでしっくりはきません。
 また、ロボットの感情問題もどこか中途半端で、その想いで人々や主人公を救済したようなストーリーではありません。ロックという人物の思想も狂信的ファザコンですが、そこにテーマは見出せませんでした。

 明確なのは、分断と支配者、科学の使い方、ロボットの人権と愛情と悲哀という手塚的なモチーフがそこにある、という以上のものはなくストーリーと上手く絡んでいませんでした。
 大友克洋氏が脚本らしいのですが、レベル的にはかなり低いです。手塚オマージュ・リスペクトがメインで、思想や哲学が入っているように見えてデオドランドして、人間とアンドロイドの恋だけが残るような形にしたのかもしれません。

 ただ、エンタメとしては手塚本人のストーリーよりも面白いです。結末もなにかハッピーエンドにつながるような後味がいい終わり方でした。テーマも煙に巻かれた感じなので、見ているときはそこまでテーマ的な整合性を意識しないで、ストーリーを楽しむことができました。

 そして何より、画面です。これは本気で素晴らしい。キャラデザ、作画、美術、演出。最高でした。1927年のメトロポリス的なイメージからスチームパンク的な要素、アキラのような地下エレベータ、なによりも手塚の初期作にあった未来都市のデザインの再現度。最高でした。SFアニメの画面ということでは、最高峰でしょう。

 そして音楽のセンスもいい。古いアメリカのラブソングを入れるのもいいですが、交響曲的な挿入音楽のレベルも高かったです。

 ということで、ストーリーにテーマ的な荒さとか、物語のゴールイメージの曖昧さなどアラは多い話です。が、手塚ワールドの集大成としてSFアニメとして見た場合の満足度は非常に高いです。是非大画面で見てみたい水準でした。

 ストーリーは3、キャラは4。これ以上は上げられません。ただ、作画は5、音楽は4.5の水準は十分にあります。声優さんは調整で3.5かなあ。

 ただ、アニメーションの技術水準がとにかくたかいので、それを見られた満足度は評価以上のものがありました。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 8

シェリー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

人とアンドロイドのお話

なかなか好きな作品です。
絵も綺麗ですし、それに合わせて流れるジャズのメロディが
体を包み込み作品へと引き込んでいきました
セリフやカメラワークに無駄がなく、とっても楽しめました。
あの映像はここにしかないものでした。


合理性を掲げた高度資本主義社会の中で必然として生み出されてきた機械(アンドロイド)。
しかし、時の流れと技術革新により本来担い手であった人間を疎外していってしまう。
そこで当然人々は「権利」なるものを取り返そうとする。
人の勝手で生み出され、それにより壊されようとされるアンドロイドたち。
そこに新たに人造人間「ティマ」が現れる。中立的な立場として。

ティマは上に書いた仮想社会の問題点を具現化したような存在。
彼女はこの作品の中で周囲の人々から
「アンドロイド」と「人間」の両方の立場で扱われるのです。
彼女は初めに人間に会い、その見た目、他人から認められること、
意思の疎通ができることから自然に自分のことも彼と同じだと解釈します。
しかし、ある人たちからは自分のことはアンドロイドだと言われます。
そして彼女は人にもそして自分にも「わたしは誰なの?」と問い続けます。
人と寸分変わらない見た目をしたアンドロイドが
「人間」と同じように扱われるか、
それとも今までの通り「アンドロイド」のままなのか。
人は目の前に引かれた境界を跨ぎ、歩み寄ることができるのかということが
この「ティマ」を受け入れることひとつに集約されているのです。

この映画では答えは出されませんでした。
そこは非常に残念でしたが他の部分は、その過程などは良く描けていたと思います。


計算ミスをする電卓は「人間」ではない。
それはどこまで行ってもそれは機械である。

では人間を「人間」たらしめるものはいったいどこにあるのか?


そんなことを少し考えた作品でした。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 8

てっく さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

人間の欲と情、争いと革命。そして、、、破滅。

手塚治虫氏の漫画をアニメーション化された作品。

物語は、人とロボットが共存する都市に主人公ケンイチと叔父の探偵ヒゲオヤジが生体を使用しロボット開発をしている国際指名手配中のロートン博士を探しにやって来た。
しかし、その都市の権力争いをしている大統領とレッド公との争いに巻き込まれることになる。
レッド公はロートン博士に今は亡き娘を模した人造人間の制作を依頼していたが、レッド公の息子(実子ではない)はその事実を知り破壊しようとする。
この争いに巻き込まれる形になったケンイチ達の物語。

一昔前の作品が原作という事もあり、キャラや風景などの描き方については、どこか懐かしさと寂しさのあるタッチ。
最近の煌びやかな描き方を白色LEDと表現するなら、この作品は温かみのある裸電球といったところでしょうか。

いつの日か近い将来、様々な制約や制限はあるものの、意思を持ったロボットと共存していく日が訪れた時、人類は上手に共存して行けるのだろうか?
はやり、争いは絶えないのだろうか?
そんな事をふと考えながら観させてもらいました。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 10

66.8 5 ジャズアニメランキング5位
青の6号(OVA)

1998年10月25日
★★★★☆ 3.5 (184)
997人が棚に入れました
近未来。地球の人口は膨れ上がり、環境は劣悪を極めていた。世界各国は人類最後のフロンティア=「海」に希望を求め、新たな世界を築こうとしていた。そのために設立されたのが、会場及び海中の安全を守る超国家組織「青」。各国は協力して自国の潜水艦を「青」に派遣することになった。日本の自衛隊から「青」に送られた潜水艦も6号艦として「青」の任務に就くことになった。しかし、そんな折、海洋開発のリーダーでもある天才科学者ゾーンダイクが突然反旗を翻し、凶悪なテロで世界を恐怖に陥れる。海洋テロ結社を築き、人類殲滅を宣言したゾーンダイクの野望とは?ゾーンダイク率いるキメラ兵器たちと、それを阻止せんと立ち上がる「青」の潜水艦隊。人類の存亡を賭けた戦いの火蓋が、今、切って落とされた!
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

GONZOの名を世に知らしめた名作

観始める前はSF・艦隊と聞き、ハードボイルドで哲学要素があり、社会に問いかける攻殻機動隊のようなイメージを連想していたのですが、小難しい話はなく、抽象的な世界を徐々に明らかにしていき最後に大きなテーマを抱えて待ち構えている構成で見ごたえがありました。

映像に関しては、1998年の作品と言うことですが、デジタル制作なので映像が観やすく、絵柄も落ち着いた感じなので古さは全然感じませんでした。
それどころか、優秀なアニメーターさんたちが携わっていることもあり、話数が進むにつれてどんどん迫力のある映像になっています。
今見ても見ごたえのある映像になっているかと思います。


物語
前述したように、抽象的な世界から始まり徐々に情勢が明らかになっていくので1話はよくわかりません。
2話は状況説明が主となります。
丁寧に世界を構築したおかげで3話4話の惹き込みはすごいです。
難しい話になりそうだったのでメモを取りながら視聴していたのですがいつの間にかメモを取ることを忘れていましたw

1話BLUES
あらすじ
戦いに飽きて隠遁生活を送る身勝手な主人公速水は、戦艦"青の6号"の乗組員である紀之真弓を助け操舵手に復帰する。そして久々の出撃で人類の敵である半獣達の一人、赤い目のミーティオを助けたのだった。

タイトルBLUESは憂鬱な気持ちを歌で表現する突飛なメロディの曲です。
ということは、キャラが憂鬱な気分に浸っていたということでしょう。
まずはヒロインの紀之真弓。青の6号の命令で速水を探しに来ましたが、身勝手な彼の態度はさぞかし憂鬱になったことでしょう。
次に主人公の速水、戦いに飽きたというそぶりでしたが、出撃時には前へ出るなど、案外隠遁生活にも退屈していたのかもしれませんね。

もちろんEDや挿入歌のブルース?ジャズ?な音楽にも注目です。

2話PILOTS
あらすじ
{netabare}基地に戻った青の艦隊たち。そこで行われたミーティングにより切り札として核爆弾を使うことが提案される。
その後速水は基地内で敵につかまり獣人に改造されてしまった昔の仲間と遭遇する。敵への復讐心を強めた彼は命令を反し一人で出撃、あえなく撃沈される。{/netabare}

1話では殆ど良くわからなかった敵の全貌、見方の内情が分かります。
タイトルのPILOTS、複数形ですから意味は
操舵手、艦長、種火、案内棒辺りが入るかなあと思います。
タイトルが物語にしっかりと食い込んでいるのがすごいです。

3話HEARTS
{netabare}あらすじ
撃沈された小型機から脱出した彼を助けたのは、以前助けたミーティオだった。速水はミーティオや巨型の人工生物ムスカと接するうち、獣人を作り戦を始めたユング・ゾーンダイクの真意を確かめたくなる。

HEARTSの意図について
最初はミーティオの恋心だけかなあと思っていたのですが、観ているうちに紀之真弓の恋心と、ゾーンダイクの心の内と言う意味でも使われているかもしれません。

海と陸それぞれのヒロインと共の立場から観てきた速水はいったいどんな結論を出すのか楽しみです~
ミーティオは魚を加えて速水に差し出すシーンが可愛いですね

それから、速水が海では助けられてばかりだということを繰り返し言っていましたが、振り返ると結構助けたシーンも多いです。ここは共生というテーマにもつながっているのかもしれません
{/netabare}

4話MINASOKO
{netabare}あらすじ
青の艦隊はいよいよ切り札の使用に乗り込む。
しかし、切り札を使ってしまえば敵だけでなく見方も巻き込んでしまう。そこで戻った速水はユング・ゾーンダイクの元へ赴き、真意を確かめたうえで実行してほしいと青の6号の艦長に頼み込む。
見方の援助のおかげで無事ゾーンダイクの元へたどり着いた速水は争いでは何も解決しないと悟り、ゾーンダイクからも希望を託され、青の艦隊に停戦を求める。
そして、獣人側の指揮をとっていたベルグと話し合いをして敵側も収めたのだった。

MINASOKO
水底に沈んだ銃が哀愁を漂わせています。
そして敵は人間を憎んでもゾーンダイクが帰ることはないと悟り、落胆して海の中へ消えました。
悲嘆にくれるベルグと速水への恋心を抑えベルグと共に海へ戻ったミーティオちゃんが気がかりですね。
戦いは終わっても共存は実現していないテーマの深さが浮き彫りになりました。{/netabare}


作画
1話ずつ制作しているみたいなので、最初はOVA初のデジタルアニメで手探りという感じだった作画が、話数を追うごとにグレードアップしていくのが目に見えて面白いです。

中でも一番の成長を感じたのはエフェクトでした。

1話の爆発はゲームの一マスに生えた草みたいで面白い形をしていたのですが、2話3話とナチュラルになり、形も変えてきているので話毎に見比べるのが面白かったです。

水の描写はかなり綺麗でした。場所によってはCGを使われているところと、手書きにエフェクトをかけたところがあったのかな?
1話の廃ビルから見下ろした水の景色がとても綺麗でした。

動きはCG手書き共に良かったですね。
CGでは2話の小型船が水面を滑走するシーン、迫力がありました。
手書きでは、ベルグがはやみんに殴り掛かるシーン、迫力があります。
ゾーンダイクがシャツのボタンをはずすシーン
それからベルグが沈んだ後、はやみんが「イーストセブンからイリアンジャヤ、何人も手にかけてきた、だけど、だけど初めてだったんだ。明るいところで、正面から」フッと笑いながら震えるシーン、そんなはやみんを紀之真弓がそっと抱きしめるシーン芸が細かいです。

音楽
主題歌の「みなそこに眠れ」
ジャズ?ブルース?な独特なテンポと色気のあるウィスパーボイスがいい味を出しています。
戦闘BGMも基本的にこんな感じです。
ピンチなシーンでもアップテンポな曲が流れるので、やや緊迫感にかけますが、カウボーイビバップでも同じような使われ方をしていますし、そういうテイストが楽しめる方は同様に楽しめると思います。


正直こんなに楽しめる作品だとは思っていませんでした。
あにこれの評価も賛否両論ありましたし。
残念なところはなくはないけれど、それ以上に良さが詰まった作品だと思います。
不朽の名作との呼び声の高さは妥当ではないでしょうか。

全4話、1話辺り30分ほどのアニメですので、是非見てみて下さい。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 12
ネタバレ

che さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

Thou shalt love thy neighbour.

ワンコさんと良いアニメなのに酷評が多いよね、という話が出まして、
でも僕はこのアニメ好きなので、出来るだけ色々な人に観てもらおう思い、啓蒙も兼ねてちょっと書き直しました。
啓蒙出来る内容になってるかは別として、、、w

OVAだけあって、作画も内容も音楽もレベルが高かったと思います。
今時珍しくもないですが潜水艦等がCGで当時としてはかなり先駆け的だったような記憶があります。
作画も奇麗だし、音楽が特にアップテンポなJazzyな感じでcoolとても良かったです!

物語は、一人の狂気の学者が、南極の氷を溶かし始め、世界の大半が海に没してしまった地球が舞台です。
そこで人類は、謎の海洋知的生命体と生き残りをかけ争っているというのが概要です。
「青の6号」は主人公が乗り込む潜水艦の名前です。
潜水艦での海の中の戦闘なんですが、青の6号は最新鋭潜水艦で結構アクロバティックなマニューバを見せてくれるので面白かったです。
あと、海の中という特殊な空間での戦闘と言うのも僕は面白かったです。
テンポもよく、何より4話しかないのですぐに見れるしオススメですよ。

まあ、戦闘もいいけど、最後の科学者、ゾーンダイクだっけ?
の話は中々考えさせらる物があって僕は其れが有ったからこそこのアニメは面白いと言う評価になりました。
{netabare}
結局ゾーンダイクが南極の氷を溶かし出したのは、身勝手な理由なんですが、まあそれは置いておいて。
人類と戦いを繰り広げていた知的海洋生物(人間並みの知能だと思う)たちも彼ゾーンダイクに作られた存在なのですが、
彼らが人類と戦っていたのは結局ゾーンダイクの指示などでは無く、彼等の意志で彼等の父であるゾーンダイクのために戦っていたんですね。
ゾーンダイクは別にそんな事を望んではいないのですが、幼い彼等はそれが父のためなると思い戦いを始めた訳です。
最後にゾーンダイクの元に辿りついた、主人公2人との会話の中でこんな事を言っていました。

ゾ なぜ彼等(海洋生物)と戦う?

主 先に攻撃してきたのは彼等よ!

ゾ なぜ彼等と手を取り合おうとしない?

主 先に攻撃を仕掛けておいて、沢山の人を殺しておいてそんな事が出来るわけがない!

ゾ 彼等は幼いのだ、彼等は人類からみれば弟の様な存在だ、なぜ彼等を許し、手を取り合おうとしない?

こんな感じの内容だったと思います、すいませんハッキリとは覚えてないですがw
もちろん会話には続きがありますが、心に残ったのがこの辺りだったので、覚えていた感じです。

{/netabare}

アリエッティのレビューでも触れましたが、人類は他の種
とは本当に共存できない悲しい種だなと、このアニメを観た時初めて思いました。

彼等の先制攻撃で人類は確かに死んだかもしれませんが、それは人類の0.1%にも満たない数だと思います。
人類は彼らを許すことを考えなかったんでしょうか?
僕はそうではないと思うんですよ、きっと怖かったんだと思います、人類以外の正体不明の知的生命体が現れ攻撃してきた事、これがきっと人類にはどうしょうなく恐ろしかったんだと思います。
だから、反撃したんだと思います、そうやって死体の数と、憎しみが、比例し終わらない泥沼の戦争ってのが始まるんだと思います。

ある日の夜、一人歩いていると、UFOが下りてきて、宇宙人が下りてきました。
貴方の懐には、デザートイーグルがありますw
宇宙人にだってでっかい風穴が開くマグナムです。
貴方はその銃を抜かず、右手を差し出す事はできますか?
、、難しいですよね。
僕なら、いきなりぶっ放したりはしないと思いますが、銃は抜いてしまうと思います。
でも僕は、「右手を差し出す努力ができる人間」で有りたいと思います。

きっと人類に出来る限界は「その程度」だと思いませんか?
でも「その程度」できっと今より随分まっしな世界になると僕は思んですよね。
ま、そんな事を考えさせられたアニメでした。
さて皆さん、興味がでたかな?面白いアニメだから皆見てね~!


因にタイトルは「汝の隣人を愛せよ」という聖書からの引用です。
僕は無宗教ですが、イエスさんは偉大ですよね。
今より、もっと荒んだ時代にこんな言葉を人々に説いたんだから。

こんな人にオススメ

海の人
メカの人
人間の人
考える人
ダウントリム一杯に夢が一杯な人

投稿 : 2025/01/04
♥ : 12

月夜の猫 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

1967年少年サンデー連載漫画が原作。

1967年~少年誌に連載されていた漫画を元にGONZOにより
1998年10月25日 - 2000年3月25日に全4話のOVA化された。
OVAとしては世界で初めてのフルデジタルアニメ。

航海の安全を守る組織「青」所属の潜水艦、「青の6号」と
国際テロ組織「マックス」との攻防を描く。海洋もの近未来SF。
原作は海洋冒険漫画となっている様ですがアニメを見る限り・・
マッドサイエンスもの・・冒険と言える部分が有るのか不明・・
作風が全く違うし製作時期が少し後になるけど冒険という意味
ではタイドライン・ブルーの方が良く出来ていると感じた。

原爆・生体兵器・人造生命体・・それらを絡めて人の醜さを
表現しつつ・・見境ない復讐と屁理屈・・そして復讐の連鎖。

なので・・大袈裟に派手に描いた割にはラストは・・へっ?・・
言いたいことは解っていたし 一応伝わるけど・・
4話で約2時間・・多少編集で削れば劇場版アニメ程度の時間?
でも・・そう考えるとエンターテイメント性に欠けている気が。
1967年に既に刊行されていた原作という部分にのみ素直に驚く。
この作者は凄いな・・海洋ものやSF絡みの著作が多いのかな。


全般には泥臭くアナクロな感じかな? 派手な3DCG等の戦闘
シーンなどはあるものの・・地味で盛り上がりに欠ける感じ。
そしてアメリカならそういう作品でもエンターテイメント性に
長けた面白い作品にしてしまうんだよね・・アニメぐらいは
頑張ってほしいな・・・日本のSFも・・

キャラデザはシリアスな作風を意識した作品の標準的デザイン
が8割以上 一部如何にも漫画的な個性の強いデザインも混在。
主人公は少し少年誌風でヒロイン他一部の女性キャラはアニメ
という感じのデフォルメ・・どうも3種類のデザインがあるよう。
ミュータントは実在する動物をベースに人造人間化された感じ。
眼が大きめのヒロインとか・・シリアスな作風だけに・・微妙
に感じた・・それほど大きいわけではなけど異質に感じた。

メカデザは如何にも近未来的な物が2タイプと生体兵器のような
物とで3種類あるようですが 世界観上違和感は感じない。
どの程度漫画のデザインを取り入れているのか不明ですが もし
このOVAが原作のデザインを重視したのなら漫画連載当時は相当
洗練されたデザインをしていたのかも?OVA作成時期のデザイン
なら・・それなりかな・・

声優は・・紀之真弓(ゆかな)が少し熱演気味のピーキーな印象で
他に数人聞き覚えのある声が居た・・ブライトとかひとみとか泥舟。
全般的に普通にキャラにあてはまってる感じでゆかなさんだけ極端。

作画は・・メカなどの3DCGとキャラとエフェクトで可成り違和感。
凄く拘って力が入っているのは解るけど・・癖の強い3Dとキャラ
の色彩や質感が融合していない・・エフェクトも凄くリアルを追求
したと感じさせ綺麗な仕上がりだけど・・同様に違和感が強い・・
カートゥーン処理ではなくリアルな質感などを追求した3Dだからか?
キャラなど如何にもアニメな色彩との折り合いがつきにくいのか・・
確かに凄いと感じさせる部分もあるけど・・あくまで単体として・・
作品全体としてみると・・何だかぎこちない動きが多い・・
1998年制作という部分ではそれなりに最先端でハイレベルなのかな。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 4

62.5 6 ジャズアニメランキング6位
GAD GUARD ガドガード(TVアニメ動画)

2003年春アニメ
★★★★☆ 3.4 (45)
312人が棚に入れました
『GAD GUARD』(ガドガード)は、2003年4月から9月までフジテレビで放送されたゴンゾ・ディジメーション制作のロボットアニメ。
【ストーリー】今から数百年後の地球。ユニットブルーと呼ばれる未来の街。そこには夜になると電力を失い暗闇に包まれるナイトタウンと呼ばれる街があった。
ナイトタウンに住む少年、真田ハジキはハチスカ運送で運び屋のバイトをしながら日々を暮らしていた。ある日、ハジキは高値で取引されている謎の物質 “GAD”に接触する。すると“GAD”は周りのスクラップを巻き込み、巨大な人型メカ”鉄鋼人ライトニング”へと姿を変えた。その時から、ハジキの周りにさまざまな鉄鋼人を持つ人が現れ…。

芝生まじりの丘 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

ジャジーな哀愁

あにこれのレビューの数あんまりないので、一応まず作品概要紹介。

ジャジーなやや退廃的な、ニューヨーク風の街、そこで生きる生きる少年たちと、謎のエネルギー体Gad、Gadから生まれる自立ロボ、テッコードの話。全2クール。
テーマの主題は、青春群像かな。そして街で生きる人々の営みが結構大事にされている。
ロボバトルといって、宇宙で巨大ロボが大暴れということはない。

個人的にはプリンセスチュチュと相対する作品なような感じもする。
あっちが、クラシック、メルヘン路線で、こっちは、ジャズと退廃のアングラな街の話だ。
そして両者の共通点は、主人公らが、少年少女であり、子供向けじみたものと、製作者の大人のこだわりが混ざり合っている点である。
プリンセスチュチュが少女向けアニメのような枠組みを保っているのと同様、こちらは、ポケモンとかビーダマン的な少年向けアニメの枠組みを多少持っていると思う。(しかし、この作品は同時に明らかに子供向けには作っていないのだが。)


個人的にはキャラクターデザインは最初いただけないな、と思った。(特にヒロイン。)
服装とかは良いし大人のキャラはいいんだけど、、、。顔の描き方がね。


さて、この作品の特筆すべき点は、街の設定や、雰囲気づくりの完成度だと思う。
背景とかちょっとした演出が素晴らしい。これは、1話で特に如実だが、全編を通しての特徴である。
"ミチコとハッチン"や、"レッドガーデン"などの雰囲気が好きなら、結構刺さると思う。

良い点は、全2クールあることもあり、大きな話の動かし方はせず、1,2話完結の話で進行すること。それでいて、一つのことの繰り返しに終始するのでなく、舞台を移りかえて行くこと、だろうか。
最初はテッコードに出会った少年たちの話になるのだが、後半3分の1くらいは、旅の、ロードムービーみたいな話になる。話がどこに進むのかわからないような感覚があって良い。

難点は、あげるとすれば脚本が惜しい感じなことがちょいちょいあるということだ。話の大まかな方向性は好きなのだが、登場人物の行動原理が明らかに変だったり、説明不足だったり、言葉が叫ぶだけで意味をなしていなかったり、持って生き方がいただけない時がある。
なんと言うか、あるシーンを描くために犠牲になってるシーンや要素があるというか。

特に最終回のあたりは、顕著で、いや、悪くないんだけど、十分な"読後感"は、与えられないような感じがある。それが惜しいところ。いや別に最終回、ひどい訳ではないし、いいな、と思えるポイントもかなり多いんだけどね。


評価は難しいが、確実に尖った見る価値のあるアニメだと思う。
アニメで人間味とか、雰囲気が好きなら推薦。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 3

ウェスタンガール さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

天の光はすべて星

フルデジタルアニメの先駆け、ゴンゾ・ディジメーションの意欲作である。

監督の錦織博、キャラデザと作監の相澤昌弘は少女革命ウテナのスタッフも勤めていたこともあってか、作風は非常にクセが強く、オリジナリティあふれる作品だ。

話は違うが、今作のヒロイン、“篠塚アラシ”のキャラは、相澤氏が同じく作監を務めた新房シャフトの吸血鬼モノ、“月詠-MOON PHASE-”の“葉月”にそのまま受け継がれてゆき、彼の黒髪パッツン少女への限りなき愛を感じるのである。

お話の舞台は、科学や経済の衰退した未来、ギャングが“ばっこ”する1940年代をイメージしたニューヨーク、それもサウス・ブロンクスのような街並だ。
というわけで、音楽はヒップホップではなくジャズである。
PE'Zのジャズインストゥルメンタルがカッコイイ。

これは、そんな街で自分の夢を描けぬ、出自も様々な5人の少年少女が出会い、対立し、旅立つ物語である。
鍵となるのが“GAD”と呼ばれる謎のキューブであり、彼らがそれに触れるとき、周りの機械を取り込み、“鉄鋼人”と呼ばれるロボットに変形する。
この、何ともレトロでキュートなデザインは、“フリクリ”のメカデザインも担当した“いづなよしつね”氏で、この作品をより魅力的なものとしている。
無機的でありながら、それぞれのキャラクターたちの心を見透かすような目を持つ。凡そ5メートル位であろうか、中に入って操縦するわけでも、遠隔操作するわけでもなく、手や肩の上にしがみつき、共に闘うのである。
そのスケール感が良いのだ。

脚本がこれまた一筋縄ではいかない。
激しく揺れる少年少女の心は、外へ外へと飛び出そうと、もがき苦しむ群像劇となって、ラストに向けて超展開を見せてくれる。

何処かで観たような…、
そう、“GAD GUARD”こそ、この後、ガイナックスが世に問うた“グレンラガン”に大きな影響を与えた作品ではなかろうか。

そして、これらの原点こそが、フレドリック・ブラウンが1953年に発表した古典SFの名作である『天の光はすべて星』ではなかろうか。
事故で片足を失くした酒浸りの元宇宙飛行士が、再び星を目指すお話。

これ以上はネタバレとなるが、このアニメが地上波で打ち切りとなった後、衛星放送で完結を迎えた内容こそが、この物語のメインテーマであり、全話配信されたことに感謝したい。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 4

ソーカー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

人が夢を見るといふ事

舞台は近未来。事故で父親を亡くした主人公ハジキは、母と妹と共に貧しい生活をしていたが、偶然手にしたGADが鉄鋼人に変化し操れるようになる。鉄鋼人を手に入れた若者たちはその力をどう使うか、鉄鋼人とは自分たちにとっての何なのか、絡み合う人間関係と鉄鋼人の謎、若者たちの群像劇。

色々と不遇の作品なのであまり評価はされていないようですが、私が見てきた名作迷作盛りだくさんGONZO作品の中でも最も輝いていた作品でした。まぁロボットアニメとしてはバトルもパッとしないし、そもそも敵と言える存在がいるかどうかも微妙なので評価は難しいと思いますが、青春群像劇という面では素晴らしい作品だったと思います。目的も見えず彷徨い自分の心に嘘をついたりする青春期のどこかナイーブなところを描ききったところを高く評価したい。

キャラは言動・行動に一貫性が無かったり、「なんとなく」「分からない」感じで動いてる事がとても多いのですが、つまりはそういうお年頃なのです。ロボットを手に入れた事で徐々に変化していき、おぼろげだった各々の想いの輪郭が浮かび上がっていき絡み合っていく。鉄鋼人の謎の落としどころも上手い。ロボット&青春群像劇という組み合わせが良い具合に融合しているんじゃねーかなーと思います。

あとPE'Zの音楽もこの作品独特の魅力を感じさせる素晴らしいものでした。
まぁちょっとオシャレに作りすぎだろーとか思うところはあるんですけど、案外内容もしっかりしてるので許してあげてくださいw

ラストも綺麗に纏まっていてなかなか感動的ですよ。
当時途中までしか放送されなかったので最後まで見てる人はあんまりいないと思いますが、途中退屈でもラストまで見れば満足できると思います。最終回で「人が夢を見るといふ事」が流れた時、この作品は最終回のためにいくつも丁寧に話を積み上げてきた事が改めて分かり、ぐっと評価がはね上がりました。
若者達のほんの少しの前進と家族の物語なんて言ってしまうとありきたりですが、青臭いながらも青春とロマンに溢れた秀作です。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 17

76.5 7 ジャズアニメランキング7位
BLUE GIANT(アニメ映画)

2023年2月17日
★★★★★ 4.1 (111)
389人が棚に入れました
「オレは世界一のジャズプレーヤーになる。」
ジャズに魅了され、テナーサックスを始めた仙台の高校生・宮本大(ミヤモトダイ)。
雨の日も風の日も、毎日たったひとりで何年も、河原でテナーサックスを吹き続けてきた。
卒業を機にジャズのため、上京。高校の同級生・玉田俊二(タマダシュンジ)のアパートに転がり込んだ大は、ある日訪れたライブハウスで同世代の凄腕ピアニスト・沢辺雪祈(サワベユキノリ)と出会う。
「組もう。」大は雪祈をバンドに誘う。はじめは本気で取り合わない雪祈だったが、聴く者を圧倒する大のサックスに胸を打たれ、二人はバンドを組むことに。そこへ大の熱さに感化されドラムを始めた玉田が加わり、三人は“JASS”を結成する。
楽譜も読めず、ジャズの知識もなかったが、ひたすらに、全力で吹いてきた大。幼い頃からジャズに全てを捧げてきた雪祈。初心者の玉田。
トリオの目標は、日本最高のジャズクラブに出演し、日本のジャズシーンを変えること。
不可能と思われる目標に、必死に真摯に、激しく挑む---。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

🏅ジャズ🎷演奏シーンが凄すぎて月🌘まで飛ばされるかと思いました

やがて世界的なテナーサックス奏者となる宮本大(だい)の足跡を描く、
ジャズ漫画シリーズ(第1部・5巻、仙台編~東京編序盤辺りまで購読中)の劇場アニメ化作品。

【物語 4.0点】
原作は明らかに連続アニメ化した方が適した連載コミック。
ですが原作再現よりも、映像でも“本物のジャズ”を届けたいと原作者が熱望。
これを受けスタッフは初手から音響設備で音楽体験を最大化できる劇場アニメで制作する勝負に出る。

構成は4分の1がライブシーン。
あとは東京編「JASS」3人のバンド活動を中心にピックアップしシナリオを形成。
そのあおりで仙台編にて“河川敷のコルトレーン”主人公・大(だい)を芽生えさせた恩師・由井など、大幅カットされたシナリオ多数。

だが決して物語が音楽の添え物というわけではない。
アドリブソロなどで回想カットを挿入し激情を昂ぶらせリミッター解除する。
演奏能力インフレも急激となるが、そこもバイト中のエアピアノ、エアドラムのカットで補完してエモさをアップさせる。
「ジャズは感情の音楽」、故にジャズの演奏は再現不可能な一度きりのパフォーマンス。
作品がこだわる価値観や、ジャズの火力を最大化するために必要なシナリオ熱量は十分確保されている。


【作画 5.0点】
アニメーション制作・NUT

演奏シーン。私は過剰な演出を排除して、ジックリと音楽を聴かせる映像の方が好み。
ですが、本作の場合は、テナーサックス中心に音楽が怪物級に強力。
ただ奏者をキャプチャーするだけでは絵が音楽に押し負けてしまう。

よってサックスが火を噴こうが、星を出そうが、演出が時空間を超越しようが。
この音楽と対峙するなら、アニメーションも総力戦だよねと納得するしかありません。

「すべての感情を音で表現できること」を至上とする大(だい)の音楽観。
受ける作画もセリフに頼らず、時に言葉以上に感情を爆発させる必要があります。

これに対応したのが総作画監督・キャラクターデザイン・高橋 裕一氏らのスタッフ陣。
『Vivy』でも歌でみんなを幸せにしたいAIの心の在り処という難題を取り扱った高橋氏。
サックスを描くのは宇宙戦艦を描くより難しいと愚痴りつつもw
彼らの画作りがフィットしたのも私にとっては大きかったです。

何より私は青の映像が大好物。
緻密に構築された青い東京の街並みを眺めるだけでうっとりしてしまうのですw


大(だい)がビッグになる未来は確定している本作。
大の伝説の始まりを関係者に尋ねるインタビュー形式の映像もしばしば挿入され、
巨星が頭角を現すスピード感を後押し。


【キャラ 4.5点】
★超新星若手ジャズトリオ「JASS(ジャス)」

宮本 大(だい)/テナーサックス……ほぼ独学でパンチ力のある演奏を体得。「世界一のジャズプレイヤーを目指す」が口癖のジャズの化け物。

沢辺 雪折(ゆきのり)/ピアノ・作曲……幼少より技術を積み上げて来た天才タイプ。大と出会うまでは才能を持て余し、片手演奏でナメプしたりしていた(ある意味これも伏線回収されるから凄い)ジャズシーンを変えると豪語するなど、大とはまた違った、ナルシスト方面のビッグマウス。

玉田 俊二/ドラム……サッカーサークルで燃焼しきれない衝動をこじらせた大学生。部屋に転がり込んで来た大に触発され叩き始めた初心者。キャリアの中で組むメンバーを変えるのがジャズバンドと割り切る2人とは対照的に、体育会系らしい仲間意識も持つ熱血漢。

以上3人の青春劇が基軸。
雪折の上手く弾きこなせているようで実は吹っ切れていない。
張り合える巨星・大に連れられ、ぶつかれる壁にまで高められることで初めて挫折と成長を知る。
器用なイケメンが不器用に足掻く様は、何度味わってもグッときます。


ノッてる若者たちを見定めるジャズ関係者の大人たちも渋くてグッド。
{netabare} 雪折にぞんざいに扱われた後、謝罪される豆腐屋のオヤジ。
玉田の成長するドラムが好きだといってくれたファンのおっさん。{/netabare}
衰退の一途をたどるジャズ。細々と語り継ぐファンのためだけに弾いていても仕方がないというのも一理ある。
ですが、巨星が出現した時、愛をもって見極めるだけのファンがいなければ、星は輝かず廃れるのみ。

ジャズだけでなくアニメ鑑賞などあらゆるジャンルの愛好家が肝に銘じたい心意気です。


【声優 4.0点】
若手俳優のメインキャスト3人の周りをベテラン声優陣が固めて安定をはかる、よくある劇場アニメの布陣。

最適解とは思いませんが、若い勢いを大人が受け止めるという構図が多発する本作ならそれもありでしょうか。

主人公・大(だい)役の山田 裕貴さん。
今年の大河ドラマでは、主君・家康にツンツンする重臣・本多忠勝役で好演中。
大口を叩くが実力もある若者の猛々しい演技が得意なのでしょう。
声だけの本作でも、その一端は発揮されていた印象。

山田さんは共演者とぶつかることで演技が引き出される憑依型の役者。
雪折(ゆきのり)役・間宮 祥太朗さん、玉田役・岡山 天音さん。
コロナ禍でも臆せず同世代俳優3人の同時収録を敢行したのも好判断だったかと。
3人のおバカな青春の掛け合いもまずまずのお味でした。


そんな若者の鼻面をへし折ったり、引き上げたりする役回りを演じたのが平(たいら)役・東地 宏樹さん。
日本一のジャズクラブを背負うプライドと責任から放たれるジャズ愛の鞭。
そこまで言ってくれるのかと私も胸のすく思いでした。


【音楽 5.0点】
Dolby Atmosにて劇場鑑賞。

担当は世界的なジャズピアニスト・上原 ひろみ氏。
劇伴だけでなく「JASS」のライブ楽曲群、EDも作曲。
宣伝のための無粋なポップス主題歌なんて要らない。全編ジャズで貫き通す潔さ。
さらには自身も雪折のピアノ演奏担当としてプレイヤー参加。

ジャズを知らないお客さんにも聞いてもらえる演奏をする。
ジャズで一番を目指すんじゃない。東京の音楽シーンのてっぺんに立つ。
作中主人公たちの大口に、現実のプロが全身全霊の音楽制作で応える。
この制作体制が既に熱いです。

サックスなどの音圧の強さが目立ちますが、繊細さも併せ持ちます。
こじんまりとした店のピアノは敢えて調律を甘くしてもらった
との上原氏のこだわりは、素人の私には高度すぎて分かりませんがw
真摯な音作りから醸される情熱はビンビン伝わって来ました。

繊細なのは音響も同様。
ライブ会場で熱狂する観衆などは臨場感があり没入させられました。

地味にお気に入りなのは、主人公が天候に合わせた選曲意図を汲んだ一コマ。
それが{netabare} ジャズバー「TAKE TWO」店主アキコとそこを練習場にする「JASS」の縁{/netabare} の始まり。
雨音とジャズが一体となった素敵なシーンです。


【感想】
2023冬アニメ。私の大本命が期待通り、いや想像を超えたパフォーマンスで魅せてくれました。

やはりライブシーンが圧巻。
{netabare} 星はあまりに高音になると赤を通り越し青く燃えるのだ。{/netabare}
アニオリだという演出も交えてタイトル回収されたクライマックス。
感極まった私の目頭もヒートアップ。劇場から出たあと鏡で見た自分の眼が赤すぎて恥ずかしかったですw

音楽アニメとしては今年随一とか、近年屈指とかではなく、
私の生涯の中でも指折りのインパクト。
青々と魂を燃焼される演奏シーン。必見です♪

投稿 : 2025/01/04
♥ : 30

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

体の奥底まで伝わるジャズの熱量

アニメーション制作:NUT、
監督:立川譲、脚本:NUMBER 8、
キャラクターデザイン:高橋裕一、
音楽:上原ひろみ、原作:石塚真一

アニメで本格的な音楽を聴く―――
アニメを観始めたころは、そんなことを考えたこともなかった。
アニソンなんて、オタクたちの聴く声優の歌う音楽だろう。
そんなふうに思っていた私は、自分の「偏見」を恥じることになる。
今では、私は「アニソン」ばかり聴いている。

『キャロル&チューズデイ』という音楽アニメの傑作がある。
アニメとしては、微妙な部分も多いのだが、音楽は最高だった。
その作品を音楽の面で超えたと言えるのが『BLUE GIANT』だ。
演奏シーンについては、体の奥まで響くほどの凄みを感じさせる。
クリント・イーストウッド監督の『バード』という
チャーリー・パーカーの生涯を描いた映画があるが、
ライヴシーンは、それにも引けを取らない表現力だ。
それもそのはず、音楽の部分のほぼ全てを任せられたのが
世界的ジャズピアニストの上原ひろみ。
よくこんな人を1本のアニメに引っ張ってこられたと思う。
上原ひろみというと、秋吉敏子以来ともいえるほど、
日本人として世界に認められ、活躍しているジャズ・ミュージシャン。
ジャズの本場、ニューヨークの最も有名なジャズクラブ、
ブルーノート・ニューヨークで何度も公演を行うなど、
世界でも指折りのミュージシャンだ。

そんな一流ジャズ・ミュージシャンがこだわった表現。
とてつもないレベルで完成度が高い。
特に主人公・宮本大の演奏シーンには痺れる。
力強い音色、心地よいスイング、スムースなアドリブ。
そして、何よりも圧倒的な熱量がある。

最近は、ジャズをほとんど聴いていないので、
宮本大役の馬場智章は、
初めて知ったミュージシャンだったが、
経歴を見てみると、バークリー音楽大学の奨学生として
音楽を学んだエリート。
報道ステーションのテーマ曲を手がけ、
リーダーアルバムを2枚リリースしているという
期待のジャズマンだそうだ。
上原ひろみからの要望をしっかり受け止めた
その表現はどこか別格な雰囲気さえ感じさせる。
コルトレーンっぽさを感じたと言ったら言い過ぎだろうか。
漫画は読んだことがないが、
この作品にあまりにもぴったりとはまる演奏だった。

ジャズを聴くようになってから、
音楽表現の幅広さや奥深さが、それなりに分かるようになった。
初めて聴いたのはデクスター・ゴードンの『GO』というアルバム。
1曲目の『Cheese Cake』に魅了された。
テナーサックスの音色とその空気感に衝撃を受け、
ジャズという音楽にはまっていった。
ジャズの真の魅力を知るには、ライヴに行くのがお薦めだ。
映画のなかでも語られるが、
ジャズの聴きどころは、即興(インプロヴィゼーション)にある。
そこで感じるのは、「メロディの良さ」ではない。
私たちは、幼い頃から西洋音楽を基礎とした音楽を
ずっと学んできているので、
音楽をメロディでしか聴かない人が多い。
しかし、黒人音楽をベースとした音楽では、
リズムや流れのほうが重要になってくる。
例えば、黒人たちが白人アーティストの
1枚のアルバムを聴いたとき、
間奏の部分で大いに盛り上がったりすることがある。
作曲家がリズムやテンポを重視した聴きどころを
持ってきている場合も多く、
これを「ブレイク・ビーツ」と呼び、
西洋音楽との大きな違いとして今では幅広く認識されている。
つまり、演奏者や作曲者の「ノリ」のような部分が
凝縮されているような音楽になっていることがあるのだ。
黒人音楽であるジャズの聴きどころが、
メロディ部分ではなく、テーマの後のアドリブ(即興)にあるというのは、
そういう感覚が大きく影響している。
だから、ジャズの良さを知るには、
ライヴを聴くのが手っ取り早い。

私もジャズの本当の良さが分かるようになったのは、
ライヴに行くようになってからだった。
チック・コリアやハービー・ハンコック、キースジャレット、
ゴンサロ・ルバルカバのピアノ、アート・ブレイキー、
ジャック・ディジョネットのドラム、
グラント・グリーン、ウェス・モンゴメリーのギター、
マイルス・デイビス、ケニー・ドーハムのトランペット、
チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーン、
ジョシュア・レッドマンのサックス。

かなり昔の話だが、『BLUE GIANT』の作中に登場する
有名ジャズクラブSo Blueのモデルであるブルーノート東京で、
ジョシュア・レッドマンのサックスを聴いた夜の
震えるほどの感覚は、今でも忘れられない。
天才的なアドリブとスムースなフロウ、
音が体に沁み込んでくるような感覚を覚えたのは、
あの夜が初めてのことだった。

『BLUE GIANT』を観て、
音楽を聴いて恍惚としたブルーノートでの体験を思い出した。
そんなことを感じさせるほど
『BLUE GIANT』には、質の高い音楽がある。
上原ひろみが音楽全体を仕切っているのだから、
ある意味、当然かもしれないが、
主要曲の作曲も行うなど、
かなり力を入れていることが分かる。


反面、ストーリーについてはそれほど驚くべき点はないともいえる。
地元の仙台の川辺でひたむきにサックスを練習していた
主人公の宮本大が世界一のジャズプレイヤーになるため、
東京に出て仲間を作り、奮闘していくというのが基本ストーリー。
ただ、この作品には、シンプルで真っ直ぐなストーリーが合っている。
ジャズという音楽から感じられる泥臭さや熱量が物語から滲み出てくる。

漫画の存在は知っていたし、
映画化されたことを耳にしても、
ジャズを一般の人を相手にアニメで表現するなど
無理な話だろうと思っていた。
好きな人には申し訳ないが『坂道のアポロン』が
放映されたときにとても期待して観たのだが、
音楽面でとても落胆したことが
記憶に深く残っていたこともあった。

日本アニメは凄い。
ジャズをアニメでここまで表現できるということは、
もう何でも実現可能な気がする。
多くの人が指摘しているように
演奏シーンでのポリゴン表現は残念だった。
ここを上手くやっていれば、さらに評価は高まっただろう。
個人的には、そういうマイナス部分もカバーするほど
音楽面が素晴らしかった。

日本アニメが「本物」を制作することのできる
世界でトップの業界なのだろうということを
改めて感じさせてくれた。

※ところで、作中に登場したソニー・ロリンズならぬ
ソニー・スティットについてだが、
『Sonny Stitt/Bud Powell/J. J. Johnson』というタイトルの
鳥が飛んでいる珍妙なジャケが目印の人気アルバムがある。
ジャケのしょぼさに反して中身の演奏の迫力がとんでもなくて
笑ってしまうほどだったのを思い出した。
もし機会があれば、一聴して欲しい。
(2023年4月2日初投稿)

投稿 : 2025/01/04
♥ : 29

takato さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

アニメーションは爆発だ!。脚本が大事、エモ注意、あとやはりジャズはわからん…。

 評判も良いし勧められたので鑑賞した本作ですが、見ながらこの感じはどこかで体験してるなぁ〜というデジャブに襲われました。そして見終わってから考えてみるうちに、そっか!これは「犬王」だ!と思い至りました。良いところも悪いところも本作は「犬王」に近いので、好きだった方はそちらも私はレビュー書いてますので、興味を持って頂けたらそちらもご視聴下さい(完)。


 で、終わらしちゃうのはあまりにズボラなので本作もレビューを書こうと思います。正直本作も「犬王」も凄い作品です。誰が見てもその炸裂するエネルギーとイマジネーションの奔流のようなアニメーションには脱帽でしょう。小綺麗でそつのない作画が多い中で、こんなパンクな作画を爆発させるのは、湯浅さんか「モブサイコ」を監督された本作の立川さんくらいでしょう。


 本作は演奏シーンの作画だけで見た価値充分な作品であることは間違いないですが、私には芯から感動して涙が零れ落ちるほどの喜びには残念ながら引っ掛かる部分の方が目に付きました。


 まず、見てわかるのはCGが微妙…。作画が凄いだけに演奏シーンで全身が映るロングで撮ってる時に微妙なCGが勿体ないこと山の如し。これは予算の問題もあるかと思うのですが、脚本にも関わる部分で演奏シーンをモリモリにし過ぎた弊害のように思えました。


 「犬王」もですが、演奏シーンは凄いんだけどその時にはストーリーの進行は止まっちゃうし、キャラの深堀りに時間もさけなくなる。あと、演奏シーンの爆発は抑えたドラマの部分でしっかりセットアップが出来上がって、期待満々の段階で炸裂させてこそ効果をより増す。目玉の演奏シーンで押そうとし過ぎてバランスを欠いたように思えました。

 
 あと、私は割とベタや泣きがある作品も嫌いじゃないですし、上手くやれてれば大好物です。しかし、本作はベタは王道になれず、泣きは若干エモの押し付けに感じてノリきれねぇ…が終盤来ちゃいました。


 キャラの配置やストーリーの流れがどっかで見たことがあるのは別にいいのですが、先程も述べたように演奏シーンに尺を割きすぎなのとポンポン進む感じもあってどうもベタからプラスαして、こいつら最高だなぁ…という感慨には至れず…。終盤の○○な展開も「んな、アホな!」というか、それ別の某ジャズ映画でも見た!な作り事感があって、盛り上げ+泣き「のため」な展開に見えちゃいました。


 そこで終盤かなりの作中人物が涙涙するんですが、ノレてないで涙涙を見ると冷める…。某鬼退治映画がその典型ですが、涙は本当に容量用法を守らないと危険ということを改めて認識しました。お前そんなに想い入れあったの!って空々しさが胸中に渦巻いてしまう。


 もっと演奏シーンは削ってキャラの掘り下げに時間を使い、作り事な無理ある展開でケリをつけないで、王道タイプな明るい主人公のキャラを掘り下げて、こいつ凄いけど「く、狂っとる…」な展開にしてくれた方が良かったように思えてしました。


 悟空を始めとした明るい王道主人公って私も大好きですが、冷静によく考えると夢や目標に対して一直線過ぎてサイコパス一歩手前な危うい存在である面も見えてくる。常人である我々からすると憧れはするけど、正直ついていけない…というのが本音。だから、そういうタイプの主人公は、脇に感情移入しやすい凡人タイプ、或いは秀才タイプの相棒がつくのがお約束です。


 共に夢を目指して来て最初は良かったけど、だんだん深まる両者の溝。それが最終的な破局にいたる。天才は凄いだけじゃなく、狂気と孤独の危うさをまとった凡人にはついていけない世界に行ってしまう…。それでも、あの「青い」日々の眩しさは嘘じゃない…的なラストだったらなぁ…。


 そして、なによりの問題が私はやはりジャズがイマイチ響かない…。他の音楽作品みたいにそのジャンルに詳しくなくてもビンビンに来ちゃう作品もあるんですが、ジャズはやはりわからん…。なんでこんなに来ないのか自分でもわからないくらいわからん…。


 繰り返しになっちゃいますが、総じて好きだけど両手を上げて大感激!には至れずな勿体ないお化けが跳梁跋扈していた作品に思えました。テレビで1クール丁寧にやった方が良かったかも。
 

投稿 : 2025/01/04
♥ : 10

64.3 8 ジャズアニメランキング8位
機動戦士ガンダム サンダーボルト(Webアニメ)

2015年12月25日
★★★★☆ 3.9 (96)
527人が棚に入れました
宇宙世紀0079、地球連邦とジオン公国が戦った一年戦争の末期、サイド4のスペースコロニー群、ムーアはジオン軍の攻撃により破壊され、多くの住人が命を落とした。破壊されたコロニーや、撃沈された戦艦の残骸が無数に漂う暗礁宙域では、ぶつかり合い帯電したデブリによって絶えず稲妻が閃くようになり、いつしかそこは、『サンダーボルト宙域』と呼ばれるようになった。ムーア市民の生き残りで構成された地球連邦軍所属部隊、ムーア同胞団は、故郷であったサンダーボルト宙域の奪還を悲願とし、宙域のジオン軍を殲滅せんとしていた。連邦の進軍を足止めせんとするジオン軍も、義肢兵の戦闘データ採取を目的に設立されたリビング・デッド師団を展開。ムーア同胞団に所属しながら、故郷や自身の出自に束縛される事を疎ましく思うイオ・フレミングと、過去の戦闘により両足を失い、今はリビング・デッド師団でエーススナイパーとして活躍するダリル・ローレンツは、戦場で対峙した時、互いに悟るのだった。ふたりは、殺し合う宿命なのだと……。

声優・キャラクター
中村悠一、木村良平、行成とあ、大原さやか、平川大輔、咲野俊介、佐々木睦、土田大
ネタバレ

ポール星人/小っさ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

4話で終わりかい(汗)

全6話だと思ったら、4話で終わりな様でw
どうやら追加映像加えて劇場版みたいな形で上映もするみたいですが。
配信版の全4話だとスゲェ締まりのない終わり方ですんで、チョットお勧めはし難いすね。

4話視聴
 くしくもMSと{netabare}軍人の肉体を直結するという残酷さと可能性{/netabare}が内包されたオルフェンズとサンダーボルトが同時期に放送された訳ですが。
個人的にはやはりサンダーボルトの方が心ににクるものが有るというか。
どちらもその要素はストーリーの本筋では無いですけどね。
 それらの要素を「どうです?酷い話でしょ??」とストレートに描いたガンダム2作品と並行して、そのテクノロジーに対する複雑な印象を福音の少ない台詞と仕草でオブラートに包んで見せた紅殻のパンドラも同時期だったりするのは偶然だったんですかね?
まぁ紅殻をそういう視点で見てた人は少ないみたいですけど。

 痛々しいシーンの多い作品ですが、流石にビームサーベルで生身の人を焼くシーンは絵面よりも行為のエグさが半端ないというか。
私は宇宙世紀モノ以外のガンダムは殆ど観てませんが、今のところ極北なガンダムかなと。
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2話視聴
 両パイロット共憎悪の根は戦争で失ったもの故ですが、相手に対する私怨で殺り合うが如く変質してしまった様が超私好みなんすよねw
今のところ、大義も敵に対する敬意なんて戦争物に付き物の綺麗事が無いのがイイ感じだと思います。"戦争なんて嫌い・帰趨なんてどうでもいい"という科学者の態度に対し困惑する主人公。

 UCも逆シャアまでの色んな世代のMSの改修機が観どころではありましたが、コレは馴染み深いファーストの機体ばかりですしタマランです。
ガンプラをMSVまで付き合ってた私みたいなオッサンは大喜びなのですw
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オリジン観てない私が言うのもアレなんですが、別のベクトルでファースト直撃世代が観たくなる路線すよね。
Gアーマーでシールドが左右2枚付いてるのに、分離するとシールドを重ねちゃうシーンに子供の頃から不自然さを感じてたりしたんですけどね。
サンダーボルトの世界では堂々とシールド2枚オッ立てて突っ込んできますw
極論するとMSという兵器の在り様がガンダムよりボトムズに近い雰囲気というか。
正直ジオン贔屓な作品が昔からOVAでは多かった気はしますが、コレはいい物観させてくれるかもという期待はさせてくれる1話目とは思いました。

まぁ原作読んだ方がいい気もしますが(汗)

出撃時にティッシュもらうトコは、ライトスタッフのリドリーとイェーガーへのオマージュなんでしょね。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 16

蟹チャーハン さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

ザクが主役のジオン視点のガンダム

大人のガンダムを目指して、それもザクが主役のガンダムという発想が素晴らしい。シリーズ作品が増え続ける中で、感覚的に取り残されてる(見放した?)ファースト世代待望の作品かもしれません。

あえてメカシーンを3Dで処理せず全編手描きにこだわるとか、大人向けにJAZZを多様するとか年齢層に見合ったつくりを考えているのがわかります。

ただ、正直に書いてしまうと、大人と子供たちの人生ドラマの差別化がどこまでできるのか? 一話目だけだとまだ判然としない状況か。上官と下士官のラブゲームみたいな色恋方面のシーンが目立ったので、そっちには行かないで欲しいかな…。

個人的に大人のガンダムというと、悲しいけどこれが戦争なのよねという名台詞を残して死んだスレッガー・ロウ中尉が思い起こされます。ビグ・ザムに突撃かけたあのシーンは、ガンダム名場面のひとつであり、すべてを受け入れた大人だから言える言葉と重みがありました。

まだ一話なんでよくわかっていませんが、連邦側の主役のパイロットの設定がフラグたちまくりの死にたい体質ぽく見えるんで、もうちょいペースとトーンを落としてもらえたらうれしいかも。あの渋い台詞の似合うような男たちの熱いドラマを見たいもんです。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 4

nico81 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

オールディーズ×フリージャズ

UCと同スタッフということで、正直なところ物語や演出面で期待薄で観る気なかったのだが…
なにしろ音楽が菊地成孔だっていうもんで結局観た。そしたらこれが期待以上に良かった。
短いけど、短いからこそか、作画も音楽も気合い入りまくっている。
あと木村良平さん、癖がないのに凛としていて良い声ですね。

ガンダムシリーズにありがちな大義名分やら夢見がちな正論は見当たらず、
現場レベルでの「戦争」の実態がより現実的に描かれている。
現場の人間にしてみたら大義や正義もよりも、国の存亡や理想よりも、
いまそこで起きている戦闘と殺戮が全てだし、生きるか死ぬかが全て。
そういうものなんだろう。


オールディーズのザク×フリージャズのガンダムという対比も両者の対立構造をより明確にしていて良い。
さらにその2種類の音楽で、戦闘のスピード感と同時に哀切をも効果的に表しているあたりはさすが。

音楽については菊地氏が自身のブログで詳細に解説している。
ご興味ある方は一読してみては。(↓4/22の記事。長文)
http://www.kikuchinaruyoshi.net/n-k-blog/
ご本人が自画自賛しちゃってるが、さもありなん。
熱量高くて、ちょっと本気出しちゃいました感、ハンパない。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 2

65.0 9 ジャズアニメランキング9位
リストランテ・パラディーゾ(TVアニメ動画)

2009年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (188)
1145人が棚に入れました
舞台はイタリア。田舎からローマに出てきたニコレッタは、リストランテ『カゼッタ・デッロルソ』を訪れる。それと言うのも、幼くして両親が離婚し、母親が再婚する為に祖父母に預けられたニコレッタは、自らの再婚の為、成人するまで娘を置き去りにした母を恨み、彼女の再婚相手がオーナーを勤めるリストランテにやってきた。娘がいることを知らない母の再婚相手に、全てを話そうと機会を窺っていた。

そこで、ニコレッタは何とかオーナーの店『カゼッタ・デッロルソ』の見習いとしてに働き始めたが、そこは従業員全員が、老眼鏡着用が必須の紳士という店だった。老眼鏡紳士が目当ての女性客で連日予約でいっぱいのリストランテだが、ニコレッタもサント・クラウディオ・パラディーゾが気になり始める。

声優・キャラクター
折笠富美子、山野井仁、立川三貴、黒田崇矢、喜山茂雄、西松和彦、上田燿司、七緒はるひ、渡辺美佐、乃村健次、沢海陽子、岡和男、木村はるか、中原麻衣

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

こんな素敵なリストランテがあるなら今すぐ行きたい

ローマにある小さなリストランテ「カゼッタ・デッロルソ」を舞台に
老眼鏡着用で50歳以上という採用条件を満たしたシェフ、ソムリエ、
カメリエーレ達と、生き別れた母親を訪ねてやってきた二コレッタが繰り広げる、
しっとり落ち着いた全11話の群像劇。

OP、EDとも音楽&映像がおしゃれ。
キャラデザは作品のサムネの雰囲気とは違い、もっと繊細で表情豊か。
ローマの石畳の街並みや名所の数々も美しく、
登場する料理やドルチェもすごく美味しそう!
お店に到着するまでの路地を、歩いてる人の視点で映したカメラワークは
子どもの頃から大好きだった人形劇を観るときのような期待感があって良かった。

それと色彩設計がお見事! シーンごとのインテリア、小道具、
人物が着ている服の色などの配色の調和がすごくとれていて、
こういう部分に拘った作品が好きな自分としては、
それだけでもかなり気に入ってしまった。
観ている人が、作品の中で一緒に寛げるような感覚になれたとしたら
きっとこの色彩設計と、穏やかであたたかい物語の流れと口調のせいだと思う。

主な登場人物が、それぞれ個性豊かな初老の紳士7人っていうのも珍しいし
まさか彼らの癒し効果がこんなにあるとは想像したこともなかったよ(笑)
老眼鏡かけたおじさん?加齢臭が・・なんてそんなイメージは一気に消え失せ
「ローマの紳士は適度な色気も感じさせつつ、何をしても絵になってカッコいい」
「イタリアの男はスーツ姿でジェラート食いながら歩いていてもカッコいい」と
友人からさんざん聞いていたが、この作品でもそれはまさにその通りだった。
もちろん、アニメだからなおさらそう見えるのだろうけど。

歳を重ねた人にしかない奥行き、落ち着き、品の良さ、やさしさが
何気ない会話や動作、立ち居振る舞いから滲み出ていて、
自分も50代になったら、こんなふうになっていたいものだと真剣に思った。
今の自分がこのままいくと性格的にはクラウディオかフリオに近い感じだけれど
ルチアーノみたいなクールな渋さに、すごく憧れる。

スピード感ある展開や号泣するような感動はないけれど、じんわりホロっときたり、
日本だとジメジメになりそうな展開も、意外にさわやかだったり、
ちょっとしたイタリア語会話や日常のあれこれが学べたり、たりたりイタリア~ノw
リストランテが舞台にしては調理風景のシーンが少なかったけれど
その分、人物描写やストーリーに焦点を絞っていたのも特徴。
それでも、今すぐローマに飛んで、このお店に行ってみたい・・
そう思わせてくれる作品だった。

メガネ紳士萌えの人はもちろん、落ち着いた作品が好みの人や
寝る前にほっこりしたいなって時にもオススメだ。

--------------------------------------
ここでちょこっと余談を。

イタリアの場合の飲食店の分類は、以下のようになります。

■リストランテ・・きちんとした食事ができる高級レストラン

■トラットリア・・リストランテよりは気軽に行けるやや大衆的なお店

■オステーリア・・ワインが豊富な居酒屋や郷土料理の店的な位置

■ピッツェリア・・ピザがメインの軽食屋

■バール・・カフェ。コーヒーやお酒、軽食向き

■ビッレリア・・ビールとおつまみが出される店

■パスティチェリーア・・お菓子やケーキの店。

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ちなみに、イタリアの中でも特に北イタリアは、男女とも歳に関係なく仕事を持つ人が多く
共稼ぎも当たり前なのだそうだ。
それでカトリック教という宗教上の理由と、離婚しにくい法律のおかげで
離婚率もかなり少ないらしい。しかし、その一方で結婚に拘らない同棲は多く
浮気も多いとか・・・さすが色男の多いイタリアというべきか(笑)
でも自分が知ってるイタリア人夫妻は、いくつになってもアツアツで
始終当てられっぱなし。ですw

投稿 : 2025/01/04
♥ : 31

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ワインを飲みながら観たくなる、小粋でお洒落な味わいと雰囲気

☆物語&感想☆

「ACCA13区監察課」が記憶に新しい、オノ・ナツメ原作漫画の2009年作品 
「ジョジョの奇妙な冒険」を手掛けるDavid Production初の元請制作作品

イタリア、ローマの片隅にある小さなレストランを舞台に、
田舎から、とある理由で出てきた主人公のニコレッタが、
従業員たちとの交流を通じて成長する姿や恋模様を描いた物語。

このレストランは他の店とは一風変わった趣向があり、
従業員たちが皆老眼鏡を着用した紳士ばかりだと言うこと。
客の多くも従業員目当ての淑女が多かったりするものの、
腕利きのシェフにソムリエも居て本格的なサービスが提供されていて、
料理アニメ的な観点でもそこそこ楽しい。

登場人物の平均年齢が高いこともあり、
皆それぞれの過去、ドラマが各エピソードを通じて満遍なく描かれおり、
中でもやはり恋愛に関しては、これほど大人の恋を描く作品というのはかなり珍しく、
新鮮な気持ちで鑑賞させていただいた。
見た目も含めてイタリア人だから成立するキャラや物語、というところは確かにあるだろうとは思うものの、
歳を取っても異性を惹きつける存在でありたいとは誰しも思うんじゃないかな?
各人の気持ちや身のふりようで、紳士にもなればオッサンにもなる…そんな事を考えされられた作品でした。

女子ウケが良さそうな作品ではあるものの、落ち着いた大人向けのアニメとして、
音楽もとてもお洒落なこともあり、一見の価値のある作品になっていると思います。
最終話はちょっとホロっと来ましたね~良かったですよ。


☆声優☆

リストランテの従業員の面々はベテラン声優で構成され聴き応えと安心感がありますね。
そんななか主役のニコレッタ役を、最近ではリトルウィッチアカデミアでのロッテ役が記憶に新しい、
折笠富美子さんがとても上手く演じられてました。
声質も最近の声優には居ないタイプの綺麗な声で、個人的にはもっと多くの作品に起用されて欲しいと思います。

☆キャラ☆

何と言ってもやはり老眼鏡の紳士達がどのキャラも癖があったり個性豊か。
一見すると女子ウケを狙ったキャラのようにも思えますが
(たぶん原作者の好みが大いに反映されたものでしょう)同じ男から見ても魅力的。
舞台がイタリアということも有るでしょうが、
年をとっても色気があって、ほんと自分もこういう年のとり方をしたいな~と憧れますね。
登場人物で一人若い主人公ニコレッタの、
親子関係や恋なんかは非常に等身大に描かれてて好印象でした。

☆作画☆

キャラデザインは原作準拠か女性キャラにやや癖があるようにも思えますが、
男目線を意識してない作品でしょうから、特に不満はないですね。
作画枚数的にはそこまで多い作品ではないでしょうが、
背景も綺麗だし2009年の作品ということを考えれば充分な出来かと思います。

☆音楽☆

OP,ED共にお洒落な大人向けアニメにピッタリのもので高評価。
それにも増してコーコーヤが担当した作中BGMの出来が素晴らしく、
雰囲気アニメとしても本作を味わい深いものにしてますね。


ACCAのように劇的な物語ではないですが(ACCAも全体としては地味ですけど)、
派手さはなくても落ち着いて観れるお洒落な作品として、とても好印象です。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 10
ネタバレ

Dkn さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

老眼鏡をかけた紳士が饗する、リストランテ 「カゼッタ・デッロルソ」にようこそ。

イタリアのローマが舞台の群像劇。

主人公は若い女性で老眼鏡をかけた老紳士に囲まれる。


男が見るもんじゃないなと思ってたら、落ち着いた雰囲気と穏やかに流れる音楽が視聴継続に結びつけてくれました。

子供の頃に両親の離婚で祖父母の家に居たニコレッタが上京し、母のいるローマへ着いた場面から物語は始まります。

この作品に出てくる老紳士たちの自己紹介をするシーンで、「この中で誰が一番モテるの?」と主人公のニコレッタが
聞きます。イタリアの男らしい瀟洒な答えが帰ってきて、これは大人の男を楽しむアニメだと理解しました。

思わず笑ってしまったシーンが、
{netabare}
クラウディオを押し倒す肉食なニコレッタ。クラウディオも憂いた表情で「やめて下さい・・」って・・(笑)

自分が女性だったら楽しいんでしょうね。力も年齢も上の男をソファーに押し倒して表情を曇らさせるなんて、この上
なくトキメクでしょう。乙女モードに振り切ってニコレッタ(20代女子)に感情移入全開でいけば余裕(錯乱)
{/netabare}

若い奥さんを貰ったイタリア男に、歳の差ってどう?と聞くと、あまり気にならないとサラリと返したり・・
なんてセクシーでスマートなんでしょうか・・・。日本人の男性ならしどろもどろで言い訳するでしょう。

イタリアと日本じゃ恋愛観が違うので、恋して家庭を放り投げる事があまり珍しくない空気が“らしい”です。
ニコレッタの母であるオルガが、恋する“じゃじゃ馬”さんなので、ダメな母親かな?と思ったらちゃんとお母さん
してました。日本と違い恋愛に対して陰鬱さがなくて好感が持てます。母と娘で同じ女性同士なのもあるのかも。

最終回まで傾斜のあまり無い展開ですが、温かい空気感と温かい人とのつながりを描き続け物語は終わります。


一部抜粋して・・

4話冒頭。
(↓こんな雰囲気です。一応伏せます)
{netabare}

(雨音が聞こえる店内で。。。)

カウンターに座る 憂いた表情の女性。

常連であろうその女性に
コーヒーを出すカメリエーレ。

“ありがとう”と受け取った女性が、
いつもと違う味に顔を上げる。

「お疲れのようですから、
少し濃い目にしてみました・・違いましたか?」

心遣いを受け女性は
“美味しい”と顔を綻ばせる





離れた席でオーナー夫妻が
そのやりとりを聞き、微笑する。

「傘がなくて良かった」
 
「ん?」

「長居する理由になるわ」

「・・そうだね」


(静寂に包まれた店内に、雨音だけが鳴り響く。。)


{/netabare}


あくまで日常のほんのスパイスとして恋愛を描くことが「リストランテ・パラディーゾ」の最大の魅力かと思います。


落ち着いてコーヒーを飲みたい午後のおともにどうぞ。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 15

66.6 10 ジャズアニメランキング10位
レジェンズ 甦る竜王伝説(TVアニメ動画)

2004年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (88)
569人が棚に入れました
『レジェンズ 甦る竜王伝説』(レジェンズ よみがえるりゅうおうでんせつ)というタイトルで、2004年-2005年までフジテレビ系で放送。
【ストーリー】かつて地球上には「レジェンズ」と呼ばれる伝説のモンスターが存在した。しかし、レジェンズたちは「レジェンズウォー」という戦争の末、「ソウルドール」という結晶体に姿を変え長い眠りについていた。
そして現代、レジェンズは伝説の魔道具「タリスポッド」を使って復活(リボーン)させることが出来ることが分かった。各レジェンズはトルネード(風)、ヴォルケーノ(火)、ストーム(水)、アースクエイク(土)、スピリチャル(光)、ネクロム(闇)の六つの属性を持っており、各属性のタリスポッドを扱うことが出来る人間は「サーガ」と呼ばれる。

声優・キャラクター
井上和彦、岡村明美、那須めぐみ、鈴木真仁、南央美、齋藤彩夏、土井美加、山口祥行、渕崎ゆり子、天野由梨、竹本英史、前田剛、中野裕斗、沢城みゆき、石井康嗣、澤田博幸、安原麗子、松山鷹志

さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

ケモノ愛

観ていたのは10年以上前になりますし、それも途中から見始めたものになるので、評価は3のままにしておきますね。
ただし、主題歌は今聞いてもいいなと思えるので評価を付けさせていただきました。

放送時期は金色のガッシュベルがやっていた辺り。
7:00 ハッスル!ハッスル!みんなハッスル!!
7:30 デカ!デカ!デカ!デカっレンジャー!
8:00 BLADEー!!BRAVEーー!!
8:30 プリティでキュアキュア!ふたりは プリッキュア~!!!
9:00 きぃみにこの声が 届きますよおおに
9:30 かーぜーがーこの街をーはーしりぬけーー大空たーかくとー
10:00 ててててーて てーててて てて ててててーて てーててて
私はこのころを00年代の日朝黄金期と呼んでいます。

どれも異彩を放っており埋もれてしまいがちなレジェンズですが、獣の描写と音楽はどの作品よりも優れていたと思います。

キャラデザに関しては、当時からみても良い感じの抜き具合。ガッシュの後に観るとさらにああ…となるような絵柄です。
しかし戦闘が始まるとキャラデザが変わります。ドラゴンのシロン(声:井上和彦)など獣は特に神秘性エロス猛々しい仕上がりになり、それが戦いあうのですから、興奮が止まりません…!

主題歌は
OP 風のレジェンズ
監督が自ら作詞を手掛け、作品との相性バッチリのOPになっています。
ED もうどうにもとまらない~ノンストップ~
山本リンダの名曲もうどうにもとまらないを元にした曲の英語版と日本語版です。
どちらもテンションの上がる曲になっています。
レジェンズに興味の無い方でも、曲だけはお勧めしたいです。

最初に途中から見始めたという言葉をおきましたが、観終わっての最初の感想は最初から観れば良かった。ということでした。
50話ありますし、そう言っている私もまた1話から挑戦しようという気にはなりません。ですから人に勧めるのはおかしいかもしれないけれど時々録画を見返してはやっぱり面白いなと思う作品です。
まずは是非1話。どの話からでも楽しめると思いますのでチャレンジしてみてください。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 2

papa0080 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

見掛けに騙された名作

新しいおもちゃの販促アニメ
でもおもちゃはあまり売れなかったようです

しかしアニメのほうは大人が見ても面白い
とても子供向けとはいえないシュールなギャグ満載
本当に子供向けアニメなの?

四人の子供達がメインキャラ、どの子もどこかで見たような性格ながら
何故か個性があるなぁと感じます
脇役達のキャラが物凄い立ってるのがとても良い、むしろ脇役達が気になって仕方ない程

登場人物達はタリスポッドを使ってモンスターを呼び出します
メインキャラ達も同様なのですが・・・

あるキャラの初召喚には度胆を抜かれました笑える意味で
自分はこのシーンが一番印象残った程のインパクト

個人的には販促アニメとしてデジモン並みの作品なのですが
おもちゃに魅力が全くないのが残念(笑)

大人の方が今から見始めるのは少し抵抗があるかもしれませんが
見てみれば素直に面白いと思えるでしょう

投稿 : 2025/01/04
♥ : 1

あーるわい さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

デジモン? いやいやレジェンズです。

デジモンが流行っていた頃にやっていた作品です。

主人公シュウへ父親が開発したタリスポッドをプレゼント。

タリスポッドとは投影されたモンスター同士が白熱の戦いをするゲームの本体のようなものです。

カセットとなるソウルドールを持っていないシュウは遊べない、、そんな時に一匹のネズミが、、、と言う話です。


敵となる相手も個性的、主人公のアメリカ風なツッコミとボケは見ていて面白いと思います。

曲は神と呼ばれる方が多いですが、レジェンズ自体50話やってるのに知っている方が少ないのが現実です。


是非見てくださいな。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 0

65.4 11 ジャズアニメランキング11位
ミチコとハッチン(TVアニメ動画)

2008年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (234)
1254人が棚に入れました
舞台は、太陽と原色に溢れる国。そこは貧困によって街は荒廃している上に、国を出た先は荒野が広がる危険な無法地帯。そんな中で、人々の心は欲望に満ち溢れていた。その国で暮らす少女ハナ・モレーノス(通称:ハッチン)は、養家の家族から酷い仕打ちを受けており、密かに家を出て自由に暮らす事を望むが、自ら行動を起こせず、ただ、いつか誰かが迎えに来てくれる事を祈るばかりであった。しかしある日、ハッチンの前に脱獄不可能と言われた監獄要塞を突破した謎の美女ミチコ・マランドロが、突如現れる。彼女はハッチンの母親を名乗り、ハッチンを誘拐して逃亡。訳も分からず、ミチコに着いていくハッチンは、彼女に翻弄されつつ、旅に同行する事になる。

声優・キャラクター
真木よう子、大後寿々花、坂井真紀、津田寛治
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ちょっと苦めでほろりとした余韻が残るクライムロードムービー

舞台は南米のとある場所。
身寄りがなく教会に預けられて酷い仕打ちを受けながら暮らしているハナ9歳。
そこに母親を名乗るミチコという女が現れて、一緒に父親を探す旅が始まります・・

・・正確には、逃亡犯で指名手配中のミチコが、元恋人のヒロシを探すためにヒロシの子供のハナをダシにしようと強引に連れ出したんですけどねw

南米の乾いた空気とスラムの無法な雰囲気がよく出てたと思います。
劇中音楽も南米っぽい様々な曲が使われてて、雰囲気に合っててすごいなーと思ったらキャロル&チューズデイの渡辺信一郎さんが音楽プロデューサーをなさってたみたいです。

ミチコのキャラが暴力的でとても行動的で自己中心的。だけどバイクで相手を蹴散らしていくところは面白い。
声は真木よう子さん。声質は合ってると思いましたが、本業じゃないためか、演技は・・でした。

ハナ(ハッチン)はジブリとかによく出てきそうな、真面目で芯が強くてしっかり者。
ハナが初恋をする15話がよかったです♡

ミチコは無茶なことでも強引にやりとおす感じで、最初の頃は真面目なハナと合わなくてケンカが絶えなくて。
でもヒロシを探して旅を続けていくうちに、少しずつ距離が近くなっていく二人。

後半になって二人で撮った最初で最後の写真がとても仲がよさそうな感じで、最終話を見終わってから思い出してじわっときたり。

見始めた頃は、この作品独特の苦味のある雰囲気、例えれば苦みのある原酒を強めの炭酸水で割って飲んだような感じにちょっと抵抗がありましたが、中盤くらいからほろりとした余韻が残るような話もあり、そしてミチコとハッチンの絆が深まるにつれ、どんどんお話に引き込まれていきました。

他のキャラで好きだったのは、孤児院でミチコにこき使われてたのを見返すために警部になり指名手配のミチコを追いかけるアツコ。
ミチコに対して複雑な感情を持っていて、友達とも敵とも言える間柄。
13話の少女とのやりとり、19話のミチコとの対話など、アツコの良さが出てました。

ラスト。(↓かなりネタばれあり注意)
{netabare}ついにヒロシを見つける(捕まえる)んですが、ミチコはヒロシとハッチンを見送り、自分は自首してしまいます。
あんなにヒロシに会いたがってたのに。でもそれはハッチンに幸せになった欲しくて選んだことなのでしょう。
それだけ、いつの間にかハッチンがとても大切な存在になってたということが分かるシーンで、別れのシーンはじわっときました・・
そして時は流れ・・大人になったハッチン。そして。見ててなぜかわからないけど泣きそうになっちゃいました。。{/netabare}

ちょっとくせのある作風だし、お話も苦めなのが多い(特に1話のいじめはダメな人いるかも)けど、見終わった後のほろりとする余韻はなかなかで、隠れた良作といっても良いのではと思います。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 8

ソーカー さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

これぞ大人の嗜み、もっと評価されて欲しいアニメNo.1

舞台は南米。
脱獄囚ミチコは、養家で虐待を受けていた娘ハッチンを救いだす(誘拐?w)
そのまま一緒に父親を捜すため逃走劇をくりひろげる。
全22話のアクション・ロードムービー風アニメである

スタイリッシュなOP、渋くてクールな作風から
「カウボーイビバップ」と比較されやすいが、ビバップとは全く違うものとして見た方がよい
ビパップはハードボイルドを突き詰めた作品で娯楽性も抜群だが
「ミチコとハッチン」は全然違った趣向の作品です
迫力と疾走感溢れる描写も結構あるので
単純な娯楽作品としても見れなくもないが、クールでかつ趣深い作品。

バイオレンスなシーンは多いが、爽快感が得られるアクションはむしろ少ない
そういったカタルシスを得るアニメではないということです
むしろ、ミチコとハッチンの二人を中心とした人間ドラマを描いた作品です
各エピソードは不意に終わったり、しみじみとした終わり方だったりする。
もちろん大筋のストーリーはあるが、繋がりの薄いところもあるので、ひとつひとつの物語を噛みしめて見るべき。

ミチコとハッチンは二人とも非常に人間味溢れる魅力的なキャラクター
世間の理不尽さをかっとばしながら、ぎこちなくも親子愛を育んでいく
そんな人間味溢れる二人を中心に人間を描き出す

愚かな大人と無垢な子供、どうしようもない世の中と二人の絆
これらを巧みに対比をして人間を描いたハートフルな物語である
しかし、必要以上に視聴者に感情移入は求めない。
暗い話しみじみとした話が多いが、しつこくもなく重く感じることもなく、むしろ心地良い。

声優に俳優を使っていることに否定的な意見が多いが、個人的はむしろ味があって良かった。
人間味溢れる独特なキャラクター性を作り上げていて、悪くない
もちろん拙い場面もあるが、徐々に上達していくので問題ないw

これだけ独自のスタイルを貫いたアニメは本当に珍しいし
あらゆる面において非常に完成度の高い作品で、
もっと評価されてほしい作品の筆頭ですが、あまり万人受けはしないかも。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 26

ヌンサ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

そんなヒロシに騙されて

「カウボーイビバップ」→「サムライチャンプルー」→今作→「LUPIN the Third -峰不二子という女-」と並べると、世界観や作風の流れが非常にスムーズにつながっているなと感じます。

特に前2作と、プロットは良い意味で"まんま"です。ビバップはジュリアを探すのが目的ではありませんでしたが、
フウの父を探す(「サムライチャンプルー」)=ヒロシを探す、ミチコ=フェイ、ハナ=エド(性格は違いますが、孤児院出身という設定などが特に)。後に峰不二子を描くことになるのも納得です。

大好きな渡辺信一郎監督の弟子筋にあたる(多分)山本沙代さんが監督を務め、
ナベシンさんも音楽プロデューサーとして弟子をサポート(?)しています。
彼女は、岡村天斎さんと並んでナベシンさんの作風の一端を継ぐ存在だと思い、注目しています。

今作最大の注目ポイントはキャスティングでしょう。真木よう子さんという方は、名前は良く見聞きしたことはあったのですが(主にスキャンダル・・・)、調べてみたところ出演作品は一つも見たことがりませんでした。
顔写真を検索してみても見覚えはありませんでした。
しかし、めちゃくちゃいい声ですね!もちろん、プロの声優ではないので絵との距離感や、
息の演技などはたまに聞いてて厳しいものがありました。それでも話数を重ねるごとに、
大後寿々花さんと並んで演技の上達が感じられたのも興味深かったです。

坂井真紀さんの声は、少し朴璐美さんを思わせる感じがあって非常に味がありました。

そして今作全体を通して、有色人種(特に黒人)が登場人物の多くを占めているというのは
いかにも「マングローブだな」って感じです(日本を舞台にした作品以外で)。
この空気感が大好きだったので、倒産してしまったことが非常に悔やまれます・・・。

渡辺信一郎さんのDNAは確実にアニメ界で息づいているな、と感じられて非常にうれしい作品でした。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 7

61.9 12 ジャズアニメランキング12位
バーテンダー(TVアニメ動画)

2006年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (85)
417人が棚に入れました
城アラキ原作、集英社スーパージャンプに連載の人気コミックのテレビアニメ化!“神のグラス”と呼ばれる至高の一杯を作り出す天才バーテンダー・佐々倉溜。彼のBarを訪れる人々は、差し出される一杯のグラスに心を奪われてしまう。時にはそれは思い出を呼び覚まし、時には悲しみを癒し、時には沈んだ心に火を点ける…。

声優・キャラクター
水島大宙、藤村歩、家弓家正、矢島正明、森本レオ
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

【第1作】青年誌連載らしく「大人の男の物語」がかっこよく描かれている

【レビューNo.119】(初回登録:2024/4/14)
コミック原作で2006年作品。全11話。
今期第2作が始まり、第1作を復習したのでレビューしておこうかと。

(ストーリー)
主人公・佐々倉溜はバー「イーデンホール」のバーテンダー。
彼はバーテンダーのサービスとして
・楽しい記憶
・安らぎの時間
・魂の癒し
を提供している。
今宵も彼の「神のグラス」を求め、また一人「イーデンホール」の重い扉を開け
るのだった。

(評 価)
・青年誌連載らしく「大人の男の物語」がかっこよく描かれている
 原作は「スーパージャンプ」等で連載されていたらしいのですが、個人的には
 青年誌を読んでいた頃の
 「かっこいい大人の男に憧れていた」
 あの感覚を思い出しましたね(笑)。
 作中で描かれているのは、確かに「大人の男の物語」なんですよね。
 例えば客として描かれているのは、仕事で悩みを抱えて、心がささくれ立って
 いている中間管理職だったり、落ち込んでいるサラリーマンだったりと。
 そんな彼らがバー「イーデンホール」で佐々倉と邂逅することで、魂が癒され
 明日への希望を見出していくという、非常に男性が共感しやすい創りになって
 いるという印象ですね。
 女性客も登場しますが、そこで展開されるのは
 ・その祖父と父の物語
 ・恋人・結婚・離婚等の男女の物語
 であったりと、やはり男性が物語の主軸になっているという感じですね。
 なので、「課長島耕作」等の青年誌愛読層には刺さりやすいのかなっと。

・「酒に付されていたエピソード」を絡めた秀逸なストーリー展開
 作中セリフからですが
 ・バーテンダーに一番必要な才能とは?
  {netabare}→ 人間に対する想像力
   → グラスの中で人間の物語を創る力{/netabare}
 ということで、佐々倉が鋭い観察眼で「客が求めている一杯」を読み解き、そ
 れを提供した意図を「酒に付されていたエピソード」と絡めて説いていくこと
 で客が救われるという構成になっています。
 そういう意味では各エピソードの主人公はあくまでも客であり、佐々倉はそん
 な彼らに寄り添う存在
 「バー(止まり木)・テンダー(優しい)→ 『優しい止まり木』」
 に過ぎません。
 そういう佐々倉の立ち位置がなんとも心地よい。
 またナレーションがあの「森本レオ」というのも、作品の魅力のひとつになっ
 ています。
 ただ「バーや酒のウンチク」や「佐々倉の『その一杯』の意図」といった説明
 ゼリフがかなり多いので、その辺は好みが分かれそう。
 (最終話は特にね・・・)

キャラデザや上司のどぎついパワハラ描写など、今観るとさすがに古いな感じる
部分はあります。
しかしそのキャラデザを始め、少し暗めの落ち着いたトーンだったり素材のよさ
を引き出す控えめなアニメ演出だったりと、本作は青年誌連載らしく「大人の男
の物語」がかっこよく描かれている作品なのかなっていう印象ですね。
客一人一人の人間ドラマも面白く描かれていると思いますし。
皆様もバー「イーデンホール」で「魂の癒し」をいかがでしょうか(笑)。

OP「バーテンダー/ナチュラル ハイ feat.椎名純平」
・昭和歌謡の男女の駆け引き的な歌詞をR&Bな曲に乗せてという少し不思議な感じ
ED「始まりのヒト/ナチュラル ハイ」
・しっとりと聴かせるバラードナンバー
 (ED映像では、作中に登場したカクテルを作る実写映像が使われています)
共に良曲なり。
あと劇中音楽はバーのBGMっぽくってこれも良かったかな。
  
(追 記)
とはいえ、本作はよくも悪くも「昭和世代が思い描く『かっこいい大人の男像』」
を描いているって感じがしますね。
第2作は(まだこれからですが)
・客の人間ドラマよりも佐々倉寄りに焦点を当てた構成にしているのかなあとい
 う印象
・それに加え、価値観等も令和にアップデートされたことも影響し、第1作のそう
 いう男臭さやかっこよさがかなり薄まった印象
尖った感じがなくなり、凡庸な作品になりそうだなっと。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 8
ネタバレ

智慧ノ輪 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

個人用メモ

【製作】
パルムスタジオ
【CV】
佐々倉 溜 - 水島大宙
来島 美和 - 藤村歩

葛原 隆一 - 家弓家正
東山 稔 - 矢島正明

ナレーション - 森本レオ

他、各話にゲスト有
{netabare}
※イーデン・ホールというBARを舞台に、バーテンダーや客のお酒にまつわるエピソードを描いたもの。
これを観たらお酒のうんちくが身につくかもしれない。飲みの席で話題に困ったときなんかに役立つ場合がある…かも。
バーテンダーが洗練された大人って感じでイケメンすぎだろw
物語の大部分が客の自分語りになってるんで、自分がバーテンダーになってるかの様に感じられる作りに。イケメン気分が味わえますよw

こんな落ち着いたBARがウチの近所にもあればなぁ。。。
おいらがよく行くトコはスポーツバーなんで雰囲気が真逆だったりします。
いや、スポーツバーみたく騒がしくて隣に座った初めて会った人と好きなスポーツでも語りながら飲む…ってのも大好きなんですがねw
{/netabare}
ここから先は、アニメを見てお酒に少し興味がわいたって人ぐらいしか見てもつまらないと思われます。
{netabare}
『簡単にできる、おすすめカクテル』

完全においらの好みですが、オススメのカクテルを紹介します。
アルコール度数低め、甘口、ビルドでできる(グラスに注いでステアーするだけのもの)…を条件にしてみました。
アルコール苦手な方でも飲みやすい物が多い&簡単につくれる物ばかりなので、気になったらお試しあれw

【ソコ・ジンジャー】

SOCO(サザンカンフォート)▼30~45ml
ジンジャーエール▼適量

※サザンカンフォート(SOCO)という果実とハーブのリキュールをジンジャーエールでアップするだけ。
ちなみにおいらはテキーラの味が凄く苦手なんで、罰ゲームでショットしなきゃいけない場合はSOCOで代用しちゃってますw
ショットで飲む場合はライムジュースを少し入れたら甘すぎなくていいかも。

【パッソア・パイン】

パッソア▼30~45ml
パインジュース(100%)▼適量

※パッソアという、パッションフルーツのリキュールにパインジュースを混ぜるだけ。
パッソアっていうお酒、出来が凄くよくて柑橘系のジュースだったら何を合わせても美味しいんです。
オレンジなんかも美味しいんだけど、個人的にはパインジュースが酸味と甘みのバランスがよくて一番飲みやすいと思います。

【カシス・オレンジ・ヨーグルト】

カシス・リキュール▼30ml
ヨーグリート▼20ml
オレンジジュース(100%)▼適量

※カシス・オレンジは定番なカクテルなんだけど、それにヨーグリートっていうヨーグルトのリキュールを入れたら更に飲みやすいカクテルに。
お酒っていうよりデザートみたいな感覚で飲めちゃいます。
女性向けかな?男性には少し甘すぎるかもしれないw

【チャイナ・ブルー】

ディタ(ライチ・リキュール)▼30ml
ブルーキュラソー▼10ml
グレープフルーツジュース(100%)▼適量

※ディタ・グレにブルーキュラソーで色づけしたカクテル。
最後にブルーキュラソーをグラスのふちからそっと入れる事で、比重の関係できれいなグラデーションになる為、見た目も楽しめる。
あ、グレープフルーツジュースはホワイトを使ってくださいねwピンクだと色も綺麗にならないし、比重の関係でグラデーションになりにくいんで。
お好みでトニックウォーターを入れるのも美味しいですよ。

{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 12

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

一杯のカクテルが紡ぐヒューマンドラマ あなたには思い出の一杯がありますか?

☆感想&物語☆

漫画原作の全11話からなる1話完結オムニバス形式、2006年の作品。
「神のグラス」と呼ばれるカクテルを作る主人公のバーテンダー佐々倉 溜が、
バー「イーデンホール」を舞台に、訪れた客へ提供する一杯のカクテルを巡る物語。
原作は21巻まで出ているので、その中から尺的に纏められるものだけチョイスした、という感じでしょうか。

内容は完全に大人向けのヒューマンドラマですが、
一杯のカクテル、酒の持つ歴史や背景、込められた意味が、
人生の岐路に立ったそれぞれの登場人物に絶妙にリンクさせており、
非常に物語の作り方が上手いな~と思いますね。

酒に纏わるウンチクの説明が多く、それだけ聞いてても、
なるほど、そんな意味や歴史があるのか、と関心して観させてもらいましたが、
バーやバーテンダーという存在、職業への理解を深めるのにも役立つでしょう。

終始お洒落なBGMが途切れないので、
お酒が飲める人なら、是非一杯やりながらまったりと観るのも良いんではないでしょうかね。
憂いを帯びたエピソードは飲みながら観てると酒が進む笑

☆声優☆

この作品は後にドラマ化され、そちらを先に観ていたんですが、
完全にアニメより実写向きな作品ではあるものの、
やはり演技に関しては声優の方が渋くしっくり来ました。
ナレーションを担当された森本レオの語りがなんとも渋い。

☆キャラ☆

些細なお客の情報や話から提供する一杯の「神のグラス」を作る主人公が凄く粋で格好良い。
時間が短いので会話より説明が多いのは致し方ないところかもしれません。

☆作画☆

作画力が求められるような作品では無いものの、正直低予算な印象を受けます。
EDに実写で物語の中のカクテルを作るシーンは良かったです。

☆音楽☆

OPはちょっと昭和臭漂うデュエット曲で少々微妙ですが、
EDの方がしっとりと哀愁を帯びた、思い出の初恋を歌った曲で聴き応えあり。
まぁ作品との内容とはそんなにリンクしているとも思えませんが、
各話のEDへの入り、イントロがなかなか良いですね。

この作品で一番評価できるのは作中BGMですね。
ここだけはそれなりに予算を使って作られているように思います。
終始BGMが流れていますが、実際にバーに居るかのような極上の雰囲気が楽しめ、
やはりこれは漫画を読んでも味わえないところでしょう。


私事ながら、もうずいぶん長い間実際のバーには行ってませんが、
京都に住んでいた学生時代に友人と行った、とある雑居ビルのバーの事が今でも記憶に残っています。
当時付き合っていた彼女に振られ友人に自棄酒を付き合わせて、酔った勢いで入った友人行きつけの店。
自分は初めて連れて行ってもらった所でしたが、そこのバーテンダーに失恋してうなだれた状態で、
今の自分に合う一杯を作ってくれとムチャぶり笑
肝心のカクテルの名前が思い出せないんですが、
あの店のバーテンダーの人、良かったなぁ...まだあの店あるならまた行ってみたいなぁ。
そんなほろ苦い青春の1ページを思い出しながら、感慨深く観させてもらいました。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 8

69.0 13 ジャズアニメランキング13位
機動戦士ガンダム サンダーボルト BANDIT FLOWER(アニメ映画)

2017年11月18日
★★★★☆ 3.8 (36)
241人が棚に入れました
 イオとの死闘を制したダリルは、ジオン残党軍の一員として地球にいた。彼は奪われたサイコ・ザクの情報を得るための諜報任務に就いていたのだ。一方、新たな仲間と共に「サンダーボルト作戦」に参加したイオの前に、南洋同盟国境守備隊隊長を名乗るペール中佐が立ち塞がる。

http://www.gundam-tb.net/information/index.html

声優・キャラクター
中村悠一、木村良平、古川由利奈、逢坂良太、杉田智和、行成とあ、大原さやか

二足歩行したくない さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ハードな前作に比較してかなりソフトな内容となっています

前作、"DECEMBER SKY"の続編。
一年戦争が集結した、その7ヶ月後が舞台です。

主人公も前作から続投で、連邦の「イオ・フレミング」と、ジオン残党として諜報活動を行っている「ダリル・ローレンツ」の二人です。
前作同様無意味なギャグや不自然なキャラクター付けは一切排除され、癖のあるキャラクターデザインと遠慮のない戦火の描写がリアルな、真摯なアニメ作品となっています。

連邦軍からの独立を目論むインド洋の「南洋同盟」が極秘裏にRPD(リユース・サイコ・デバイス)を開発。
これを奪還または破壊することを目的とした「サンダーボルト作戦」に参加するため地球に降下したイオ・フレミングと、ジオン再興のためRPDのデータ奪取を目論むジオン残党、そしてイオとダリルは再び、戦場で相まみえることになる。
文章にするとシンプルですが、本編視聴中には説明不足を感じました。
なぜ戦っているのか、何と戦っているのかの説明がほとんどなかったように思えます。
目的、状況が不鮮明で、見ていて内容が頭に入ってきませんでした。
原作を読んでおくか、あらすじの予習が必須だと思います。
まぁガンダムは断片的な説明がお家芸のようなものなので、ある意味ではガンダムらしい作品と言えなくもないですが、実のところストーリーは結構シンプルなので、事前知識を得た上で視聴し、ストーリーを追いかけるより作品の空気を楽しむ方をおすすめします。

前作では宇宙が舞台でしたが、本作でバトルフィールドとなるのは地球です。
オーストラリア周辺を舞台に連邦とジオン残党、そして南洋同盟が三つ巴の戦いを繰り広げる内容となっています。
南洋同盟は宗教じみた部隊で、禿頭の高僧のようなパイロットが洗脳でもされているかのように突貫する不気味な集団として描かれており、作中、印象深かったです。
前作で象徴的に鳴り響いていたジャズやポップスは本作でも流れます。
ただ、前作では音楽が引っ切り無しに響いていましたが、本作は控えめで、流れるは流れるのですが、前作ほどジャズが騒々しい感じではなかったように思えます。
ポップスも日本語ボーカルがメインで、前作よりも聴きやすい、一般受けしそうな作品になったと感じました。
また、前作では可愛い女の子の挟まる余地が無いくらいにずっと戦争の描写が続いていましたが、本作は前作より女の子率が高く、ハードな前作に比較してかなりソフトな内容となっています。
そして、本作は単独で完結しておらず、次回に続く終わり方になっています。
前作"DECEMBER SKY"がストーリーとしては単独で完結していたのに比較すると、本作はラストが、結構ブッツリ終わっていて驚きました。
途中までの作品ということを知らずに見たため、ラスト間近でどうまとめるのかハラハラして見ていたらオチも何もなくブッツリ終わってしまい、この終わり方はちょっと残念に感じました。
なお、原作漫画は連載中、本作に続く続編アニメも作るつもりではいるんでしょうけど、現時点で発表が無いので (無いよね?)、漫画未読組はせめて次回作の発表の後で視聴することをおすすめします。

前作が名作過ぎたという感じもしますが、本作は悪くはなかったのですがどうも粗が気になりました。
原作漫画に準拠しているそうなので、漫画を読んでいたならば盛り上がれたかと思います。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 4

さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

JAZZと戦争

前回のDECEMBER SKYでは、1年戦争の末期であったので奮い立つ若者たちの様子から真実を知って絶望する姿が描かれていた。
今作は1年戦争の7か月後を描いた作品なので、悲しみの感情が強く描かれていたと思う。
家族を失ったやり場のない怒りを敵勢にぶつける少佐がいたり、手足を失ったダリルの生身で走り回っていた時の記憶であったり。戦死した者たちを弔う描写がしっかりと描かれていたり。
ファンタジーなのになんてリアリティのある作品なのだろう。
カルト宗教の台頭という話の流れも、ごく自然かもしれない。
作品自体も前作より落ち着いていて、前作の感じで視聴したら若干物足りなくも思ったが、作品づくりの点においてものすごい拘りを感じる。

映像は相変わらずのクオリティでロボットは手書きなのかCGなのか分からないけれども、セル時代のアニメーションのような独特な色合いを感じた。

劇伴も相変わらずの豊富さでジャズを中心に、ポップス、民謡まで幅広いジャンルを展開して、劇画・セル画タッチの本編に負けず劣らずの存在感をもつ。
映像と音楽とがセッションしてるみたいで面白い。まさにJAZZという感じだ。

ガンダムはあまり詳しい訳ではないのだが、この作品は素直に面白く、凝っていると感じる。ガンダムを切り離しても多分面白い。ヴィンテージ・アンティークっぽい雰囲気なので、ハマる人も多いと思うのだが…OVA作品だけに知名度が低いのが残念。
もっと多くの人に観て欲しい。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 8
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

水陸両用MS活躍活躍

 前回のガンダムサンダーボルトの続きの話で、舞台が地球になるお話です。

 フルアーマーガンダムとの死闘を制したサイコ・ザクが、南洋同盟というカルト教団に奪われていて、ダリル達ジオン残党軍、地球連邦軍の三つ巴展開なアニメだったです。

 アッガイ、ゴッグ、ズゴックの活躍が凄かったし、懐かしのモビルアーマー グラブロなんかも洗練され登場するです。

 捕らえられたイオも復帰し、アストラルガンダムという何か貧弱に見えるも新たな機体で、ジャズを聴きながら活躍するのです。水陸両用で結構強いです。今回のジャズは、思ったほど激しくない感じです。

 地球連邦軍とジオン残党軍の戦闘は、氷上や水中における戦闘で、ゴッグ、ズゴックに有利な環境で凄いと思ったです。イオも負けてなかったけど。

 一方でアッガイを操縦するダリル達。性能を最大限に引き出しているというのか?あの丸く短足な機体で初期のアッガイとは比べ物にならない、動作性能だったです。ダリル、サイコ・ザクでなくてもニュータイプな感じです。

 最後の方では、イオにとっての思わぬ再会や南洋同盟の秘密にも触れることとなり、思わぬ展開に発展するようだったです。{netabare}まだ次作いつになるのかあるらしいです。{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 6

65.1 14 ジャズアニメランキング14位
ギャラリーフェイク(TVアニメ動画)

2005年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (104)
616人が棚に入れました
表向きは贋作・レプリカ専門のアートギャラリー『ギャラリーフェイク』を舞台に、オーナー藤田玲司が、様々な登場人物と絡みながら、時に世界を駆け巡りながら、絵画、彫刻などを通じて「アートとは何か?」を問いかける。主人公の魅力は、単なる守銭奴ではなく、アートへの奉仕者として清濁併せ呑む点にあるほか、美術・芸術・骨董の多方面に渡る薀蓄的描写も、読者の好奇心をそそる。助手サラ・ハリファとのほのかな恋の行方も気になるところであるほか、脇役・レギュラーキャラクターも多い。

また芸術に絡んで社会問題にも言及するなどしており、物語は美術方面の商業的な話題から推理サスペンス、コミカルな人間模様、陰惨な事件、時に憎み合い時に愛し合う人々の交流、文化財保護にまつわる制度面の問題など、多岐にわたる。

声優・キャラクター
森川智之、川澄綾子、ゆきのさつき、石坂浩二
ネタバレ

青陽 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

神の左手悪魔の右手

ハンターのヨークシン編が好きな人、その中でも
クラピカ絡みの話よりゼパイルさんの目利き話やオークションが好きだった人
…そして特に旅団のコルトピファンなら観て損はない作品。


私は昔からお宝鑑定団の視聴者でしたので、この作品も非常に楽しめました。
ナレーションに石坂浩二氏が特別出演されていたのも合点がいきますね。


主人公、深田の画廊
「ギャラリーフェイク」
表向きは贋作を取り扱う専門店だが、裏では闇に出回る訳あり品やら真作を取引している。
まさにギャラリーフェイクなのです。
藤田は美術界の闇と深く繋がりながらも、なにより美術品の価値を尊重していますね。彼の美術に関する幅広い(広すぎるくらいの)知識と絵画の修復技術の巧みさ、なによりその審美眼は目を見張るものがあります。
彼の仕事ぶりを見れば
かの中島鑑定士も思わず「いい仕事してますねえ〜」と感嘆することでしょう。

この作品をわかりやすく例えると美味しんぼの美術品ver.といったところでしょうか。こっちの主人公のほうが断然かっこいいし、テーマとしても好きだけど。
毎回、テーマとして扱われる美術品とその持ち主の人生が描かれておりドラマ性が高いです。
トレジャーハンターの話はちょっと作品の色と違うだろ…と思ったけど、まあ うん…スパイスにはなっていたかな。
個人的にはトレジャーハンターみさえのほうがry


以下は特に好きだった話の感想

{netabare}

Myセレクション

1話
物語の説明を兼ねたオークション話。今回出品された
モネの「積みわら」
モネが長期に渡って描いた連作であり、季節や時の経過による
空気や光の変化が緻密に描かれていて高い評価を受けた作品。ギャラリーフェイクの世界でも他の作品は無事に保管されていることを願います。


7話 光と影
光の魔術師 レンブラントの作品にまつわる回。
もっとも有名な作品は「夜警」だろう。夜の暗がりを進む自警団が描かれている中で、まるでスポットライトが当たっているかのように光さす少女が印象的な絵画。依頼主は自分たちより謎の少女のほうが目立っていることに少しおこだったらしいけど(笑)

画家というと
生前は貧窮極まり、死後にその作品が高く評価されるというイメージをお持ちの方もいらっしゃるでしょうが
レンブラントは当代一の人気画家として名を博した。
一大ブームとなり、彼の工房も盛んに
→多くの弟子とともにたくさんの作品を世に送る。

しかし、技術が精巧に受け継がれたことや、作品の仕上げをレンブラントが行ったことなどから
作品の一群が真作かどうか。
作品を描いたのは本人か弟子か
非常にわかりづらいものとなり、それを調査するための組織まで設立された。

今回ある作品を調査しに訪れたレンブラント委員会。
委員会の博士は細かな部分に気を取られて弟子による作品と判断したが、藤田はその鑑定を覆し真作であることを証明する。

真作か贋作か?
それより大切なことがある
世間の風潮、常識や凝り固まった価値観に縛られない審美眼

美術は正誤ではない
本人の力量に勝るとも劣らないほどの美しい作品が世に多く存在している。それは素晴らしいことではないか。
と主張する藤田

ギャラリーフェイクを経営している真意が垣間見られるような発言だ。
本物か偽物か、有名か無名か。重要に思えるがそれは二次的なもの。


11話
ベトナムに向かった藤田と助手のサラ。
ベトナム戦争時に有名だった戦場カメラマン川口の愛用していたカメラを入手したという情報があったからだ。しかも、それを戦場で死んだはずの本人から譲り受けたというのだ…

長きに渡り 悲惨な戦場を見てきて心が疲弊してしまった川口は
カメラとカメラマンだった自分を捨て、新たな地で牧歌的な生活をしていた。
惨劇交じりの回想シーンを見ても彼がそうなってしまったのは無理ないと思えた。
写真を撮ることが苦痛になった彼が藤田たちと知り合い
一悶着起きたものの
最後には
かつてベトナム現地で見たような美しい瞬間に出会い
ハッとし、フィルターを構え、写真を撮る。気づけば彼の頬を伝う涙。
彼の日々は辛いことばかりではない、たしかに美しい時も存在していたのだ…!


13話 監獄のミケランジェロ
藤田の若き日の思い出。
かつて藤田が美大生だったころ、修行の一環として
刑務所に天井画を描くアシストをしたときの話。
青野武さん演じる監獄のミケランジェロ たつが良い味だしてる!
亡くなってしまった偉大な演者とこうやって思いもよらぬ再会ができるのは
映画やアニメを観ていて嬉しいことのひとつです。


14話パサージュを抜けて
パリを舞台に粋な話。
観たい作品のひとつであるクロワーゼもたしか舞台はパサージュだったはず。
耳すまを思い出すような
人形にまつわる淡い恋の話。
最後のあの演出は粋すぎる。



19 知念、危機一髪
国宝を発見し保護する「国宝Gメン」と呼ばれる文化庁の人間 知念。あるとき彼は東北の寺で見つけた仏像を愛ですぎて破損させてしまう。なんとか自分のミスを誤魔化そうと、尻ぬぐいの修復を頼まれた藤田。
仏像を積んだトラックが目的地に着くまでの間にこっそり忍び込み、仏像の修復を済ませねばならない、というHARDなミッション。
今までとテイストが違ってはらはらしたし、面白かった話。オーシャンズ11を思い出した。
トレジャーハンターが出てくるより、これくらいのアクションがちょうどいいと思う。



33話 絵金
藤田は脇役。美術品もほぼ脇役。だが、悪くない!ヤクザな男とそんな男に惚れた女のドラマ
遠き日の思い出もまたかけがえのない芸術である。

{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 6

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

「美術と蘊蓄」「ピカレスク」「一話完結」おすすめです

<2022/2/9 初投稿>
原作は1990年代にビッグコミックスピリッツで連載されてて、当時たぶん一通り読んでます
・・・と、ウィキ調べたら2016年からまた連載再開されてる!
マジですか?
読みたい!
というかあらためて全巻揃えたい!

作者の細野不二彦さんは「さすがの猿飛」「Gu-Guガンモ」などで1980年代から活躍する漫画家さん。
さらにいえば、美樹本晴彦、河野雅治、大野木寛といったマクロス組?と若い頃から仲良しグループだったのだそう。
そのグループの中でも画力の高さは際立っていたそうで、確かにこなれた絵柄は見やすく、かつ躍動感、存在感に溢れたものでした。
そういえば漫画版「クラッシャージョウ」もこの人だったような。

今回、CSでアニメ版の一挙放送やってたの見つけて、懐かしくて毎日一話ずつ、楽しみにしながら視聴しました。

本作は一話完結型の「美術と蘊蓄のピカレスク」

主人公・藤田玲司は表向きは贋作専門、裏では盗品なども扱うと言われる画廊「ギャラリーフェイク」を営む美術商。
実は元メトロポリタン美術館(MET)のキュレーター(学芸員)であり、
その美術品全般に渡る深い知識と正確な鑑定眼、そして極めて高い美術品の修復技術からMET時代は「プロフェッサー」の異名で呼ばれた伝説の存在。
とある事情でMETを追われてから「ギャラリーフェイク」を開き、その知識・スキルと幅広いコネクションで「怪しい商売」を営んでいます。
でも美術に対する熱い心は失ってないよ。
仕事では億単位の取引をしてるくせに、その素顔はボロアパートに住む、蟹好きで腰痛持ち運動不足の三十代後半のオールバックのおっさんである。
名前の元ネタはフランスで活躍した日本人画家・藤田嗣治なのだそう。
声は無職転生のルディのパパというイケボ

サラ・ハリファは藤田の助手兼ヒロイン。
アラブ系の超お金持ちで元王族。
とある件から藤田に惚れて、ギャラリーフェイクに「押しかけ助手」。
よくわかりやすくヤキモチを焼く。
ティーンのため藤田からは子供扱いされるも、なんだかんだで藤田に大切にされている。
美術品を見る眼は肥えていて、助手としても有能なんじゃないかと思うけどどうなんだろう?
声はセイバーとかのだめの人なので拗ねると可愛い

三田村小夜子館長はもう一人のヒロイン兼藤田のライバル役。
日本の私立美術館の館長でやはり海外の美術館でキュレーターの経験あり。
なので美術品の知識や鑑定眼はハイレベル。
真面目で勝ち気な美人さん。
藤田さんをたまにデレデレさせる役割も担う。
つまりサラからは恋敵に見える立ち位置。
でも本人が藤田のことをどう思ってるかは謎。
声はプラネテスの田名部愛とかフルメタのかなめの人。

レギュラーキャラは以上です。

一話完結で、毎話ゲストキャラも登場します。
お話はバリエーションに富んでいて。
渋みのあるものから、
ニヤッとするもの、
ニヤニヤするもの、
温かくなるもの、
ハラハラドキドキするもの、
日常っぽいものまでなんでもアリな感じ。

今回見た中で特に印象深いのは
13話「監獄のミケランジェロ」
16話「楊貴妃の香」
31話「孤高の青」
33話「神々の宝石」
37話「メトロポリタンの一夜」

毎話出てくる美術品の蘊蓄も楽しみでした。
本作始まった頃ってまだネットもなかったはずだけど、作者の細野先生と編集さんはよく調べるよなぁ。


藤田は極めて高い専門性を持ち、物語の中の立ち位置としては決して評論家に収まるのではなく「研究者」とか「職人」といった風情。
そう言ったところ含め本作には「マスターキートン」に近いものを感じてしまいます。

ちょっと外連味ありますが、大人が楽しめる楽しい作品。
美術の世界に少しでも興味あるならならおすすめできる。
隠れた良作だと思います。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 23

セメント さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

美を知る者は孤独なり

徒党を組めばやがて馴れ合い腐りゆくまで。


<物語>
主人公の藤田玲司は元メトロポリタン美術館の学芸員、自身の審美眼や、他の美術館の学芸員、ブラックマーケットの人脈を駆使して有利に商売を進める画商です。
ということで、美術品に関する豆知識が得られるというのもこの作品の優れた点ですね。
元学芸員という主人公の遍歴も新しいですし、発想の勝利と言わざるを得ない。
話も基本的に一話完結で没頭してしまいます、絵画や彫刻だけに留まらず、ミステリークロックやからくり人形、植物標本など扱う品も多岐に渡り、時に善良なオーナー、時に悪徳美術商、特に冒険家と瞬時にスタンスを変える藤田から目を離せません。
中でも私個人としては、バーを舞台にしたミステリー回(25話)と佐伯祐三の顔のない自画像の回(28話)とウジェーヌ・ドラクロワのアートキャンサーの回(35話)が面白かったですね。

<作画>
原作は"ビックコミックスピリッツ"連載の細野不二彦さんの漫画、「美味しんぼ」とコラボなんかをしてたりします。
現在のトムス・エンタテインメントの前身である東京ムービーがアニメを制作していますね。
テレ東系列ということで結構広く放送していたはずなんですが、何故か放送時期は存在感を発揮してませんでしたね。
それこそ深夜ではなく夕方に放送した方が良かったかもしれません。

<声優>
藤田役の森川智之さん良い!すごく良い!
胡散臭さがぷんぷんしていてこれ以上に無いベストキャスティングです。
サラ役の川澄綾子さんも良いですね、褐色娘良い。
ライバル的立ち位置の三田村館長には雪野五月さん、予告の声も兼ねていて、そのどれもが楽しそうに思える語り口は見事でした。

<音楽>
EDの「だから、私は歌う」は良い曲ですね、ナチュラルハイの。
お洒落でセンスのある曲なんですけど、ナチュラルハイと検索するとアダルトメーカーが引っ掛かるのが玉に瑕です。

<キャラ>
藤田の言葉遣いや主要人物の構成は「ブラック・ジャック」に似ていて、細野さんも意識していると認めていますね。
比べるまでもないですが、どちらも分野に精通しているのが見て取れて、面白いですよね。
手塚さんが阪大医学部卒の経緯を創作に活かしてるのは伝わりますが、その点紺野さんは慶応経済学部卒ですから、趣味の範疇なのでしょうかね。
聞くところによれば、どこかしらの図書館で専門書として本作が扱われているようで、紺野さんの博識ぶりが伺えます。
さて、気になるのは藤田の年齢ですが、メットの学芸員であれば少なくとも大学院は出ていますよね。
プロフェッサー時代とアートディレクター時代合わせて40歳は超えているだろうと考えられますが、30代後半くらいの印象です。
それにしても、異色の経歴の主人公です。
他にも珍妙な肩書を持った魅力的なキャラクターが沢山出てきます。


こういった特定の分野に特化した作品は学ぶ点も多くて大好きです。
初めて本作に触れる人なら、知らない土地で隠れた名店を見つけた時のような感動が味わえると思います。
お勧めのアニメです。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 7
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