ジャズで心温まるなおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのジャズで心温まるな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月28日の時点で一番のジャズで心温まるなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

65.0 1 ジャズで心温まるなアニメランキング1位
リストランテ・パラディーゾ(TVアニメ動画)

2009年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (188)
1145人が棚に入れました
舞台はイタリア。田舎からローマに出てきたニコレッタは、リストランテ『カゼッタ・デッロルソ』を訪れる。それと言うのも、幼くして両親が離婚し、母親が再婚する為に祖父母に預けられたニコレッタは、自らの再婚の為、成人するまで娘を置き去りにした母を恨み、彼女の再婚相手がオーナーを勤めるリストランテにやってきた。娘がいることを知らない母の再婚相手に、全てを話そうと機会を窺っていた。

そこで、ニコレッタは何とかオーナーの店『カゼッタ・デッロルソ』の見習いとしてに働き始めたが、そこは従業員全員が、老眼鏡着用が必須の紳士という店だった。老眼鏡紳士が目当ての女性客で連日予約でいっぱいのリストランテだが、ニコレッタもサント・クラウディオ・パラディーゾが気になり始める。

声優・キャラクター
折笠富美子、山野井仁、立川三貴、黒田崇矢、喜山茂雄、西松和彦、上田燿司、七緒はるひ、渡辺美佐、乃村健次、沢海陽子、岡和男、木村はるか、中原麻衣

もちすい さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

こんな店があったら行きたいよ

恋愛ものでもあるけれど、主軸はリストランテを舞台にした群像劇。
ストーリー展開で魅せるというよりも、あくまでキャラクター主導の深みのある落ち着いた雰囲気のエピソードが描かれます。

日本人だと考えられないような「こんなおじさん(おじいさん?)いないよね」っていうキャラばかりなんですけど、なにせイタリア人なので、イタリア紳士はこんな感じなんだろう、と勝手に納得してます。
ともかく、みんな素敵で温かくていい人ばかりなので、作品全体の雰囲気が、なんだか妙にほっこりと温かみがあります。
こういう人間関係っていいなって思います。

ちなみに、この母子関係については、あまりにもひどい母親だけど、娘はそこまで恨んでいるわけでもなく、健全に育ってるみたいだし、あくまでこの2人の間には大きな問題もなさそうなので、常識的に考えてどうこうとか言うのも野暮なコッツミじゃないでしょうか。

実写ドラマのような、アニメっぽくないアニメですが、おそらくこれを実写で日本人キャストでやってしまうと色々と胡散臭くなってしまいそうで、実写ドラマとアニメーションの良い部分を合わせたような作品だと思いました。

万人受けはしなさそうですが、この手のジャンルはアニメ作品だとあまりないので貴重だとは思います。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 10

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

こんな素敵なリストランテがあるなら今すぐ行きたい

ローマにある小さなリストランテ「カゼッタ・デッロルソ」を舞台に
老眼鏡着用で50歳以上という採用条件を満たしたシェフ、ソムリエ、
カメリエーレ達と、生き別れた母親を訪ねてやってきた二コレッタが繰り広げる、
しっとり落ち着いた全11話の群像劇。

OP、EDとも音楽&映像がおしゃれ。
キャラデザは作品のサムネの雰囲気とは違い、もっと繊細で表情豊か。
ローマの石畳の街並みや名所の数々も美しく、
登場する料理やドルチェもすごく美味しそう!
お店に到着するまでの路地を、歩いてる人の視点で映したカメラワークは
子どもの頃から大好きだった人形劇を観るときのような期待感があって良かった。

それと色彩設計がお見事! シーンごとのインテリア、小道具、
人物が着ている服の色などの配色の調和がすごくとれていて、
こういう部分に拘った作品が好きな自分としては、
それだけでもかなり気に入ってしまった。
観ている人が、作品の中で一緒に寛げるような感覚になれたとしたら
きっとこの色彩設計と、穏やかであたたかい物語の流れと口調のせいだと思う。

主な登場人物が、それぞれ個性豊かな初老の紳士7人っていうのも珍しいし
まさか彼らの癒し効果がこんなにあるとは想像したこともなかったよ(笑)
老眼鏡かけたおじさん?加齢臭が・・なんてそんなイメージは一気に消え失せ
「ローマの紳士は適度な色気も感じさせつつ、何をしても絵になってカッコいい」
「イタリアの男はスーツ姿でジェラート食いながら歩いていてもカッコいい」と
友人からさんざん聞いていたが、この作品でもそれはまさにその通りだった。
もちろん、アニメだからなおさらそう見えるのだろうけど。

歳を重ねた人にしかない奥行き、落ち着き、品の良さ、やさしさが
何気ない会話や動作、立ち居振る舞いから滲み出ていて、
自分も50代になったら、こんなふうになっていたいものだと真剣に思った。
今の自分がこのままいくと性格的にはクラウディオかフリオに近い感じだけれど
ルチアーノみたいなクールな渋さに、すごく憧れる。

スピード感ある展開や号泣するような感動はないけれど、じんわりホロっときたり、
日本だとジメジメになりそうな展開も、意外にさわやかだったり、
ちょっとしたイタリア語会話や日常のあれこれが学べたり、たりたりイタリア~ノw
リストランテが舞台にしては調理風景のシーンが少なかったけれど
その分、人物描写やストーリーに焦点を絞っていたのも特徴。
それでも、今すぐローマに飛んで、このお店に行ってみたい・・
そう思わせてくれる作品だった。

メガネ紳士萌えの人はもちろん、落ち着いた作品が好みの人や
寝る前にほっこりしたいなって時にもオススメだ。

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ここでちょこっと余談を。

イタリアの場合の飲食店の分類は、以下のようになります。

■リストランテ・・きちんとした食事ができる高級レストラン

■トラットリア・・リストランテよりは気軽に行けるやや大衆的なお店

■オステーリア・・ワインが豊富な居酒屋や郷土料理の店的な位置

■ピッツェリア・・ピザがメインの軽食屋

■バール・・カフェ。コーヒーやお酒、軽食向き

■ビッレリア・・ビールとおつまみが出される店

■パスティチェリーア・・お菓子やケーキの店。

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ちなみに、イタリアの中でも特に北イタリアは、男女とも歳に関係なく仕事を持つ人が多く
共稼ぎも当たり前なのだそうだ。
それでカトリック教という宗教上の理由と、離婚しにくい法律のおかげで
離婚率もかなり少ないらしい。しかし、その一方で結婚に拘らない同棲は多く
浮気も多いとか・・・さすが色男の多いイタリアというべきか(笑)
でも自分が知ってるイタリア人夫妻は、いくつになってもアツアツで
始終当てられっぱなし。ですw

投稿 : 2024/12/28
♥ : 31
ネタバレ

Dkn さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

老眼鏡をかけた紳士が饗する、リストランテ 「カゼッタ・デッロルソ」にようこそ。

イタリアのローマが舞台の群像劇。

主人公は若い女性で老眼鏡をかけた老紳士に囲まれる。


男が見るもんじゃないなと思ってたら、落ち着いた雰囲気と穏やかに流れる音楽が視聴継続に結びつけてくれました。

子供の頃に両親の離婚で祖父母の家に居たニコレッタが上京し、母のいるローマへ着いた場面から物語は始まります。

この作品に出てくる老紳士たちの自己紹介をするシーンで、「この中で誰が一番モテるの?」と主人公のニコレッタが
聞きます。イタリアの男らしい瀟洒な答えが帰ってきて、これは大人の男を楽しむアニメだと理解しました。

思わず笑ってしまったシーンが、
{netabare}
クラウディオを押し倒す肉食なニコレッタ。クラウディオも憂いた表情で「やめて下さい・・」って・・(笑)

自分が女性だったら楽しいんでしょうね。力も年齢も上の男をソファーに押し倒して表情を曇らさせるなんて、この上
なくトキメクでしょう。乙女モードに振り切ってニコレッタ(20代女子)に感情移入全開でいけば余裕(錯乱)
{/netabare}

若い奥さんを貰ったイタリア男に、歳の差ってどう?と聞くと、あまり気にならないとサラリと返したり・・
なんてセクシーでスマートなんでしょうか・・・。日本人の男性ならしどろもどろで言い訳するでしょう。

イタリアと日本じゃ恋愛観が違うので、恋して家庭を放り投げる事があまり珍しくない空気が“らしい”です。
ニコレッタの母であるオルガが、恋する“じゃじゃ馬”さんなので、ダメな母親かな?と思ったらちゃんとお母さん
してました。日本と違い恋愛に対して陰鬱さがなくて好感が持てます。母と娘で同じ女性同士なのもあるのかも。

最終回まで傾斜のあまり無い展開ですが、温かい空気感と温かい人とのつながりを描き続け物語は終わります。


一部抜粋して・・

4話冒頭。
(↓こんな雰囲気です。一応伏せます)
{netabare}

(雨音が聞こえる店内で。。。)

カウンターに座る 憂いた表情の女性。

常連であろうその女性に
コーヒーを出すカメリエーレ。

“ありがとう”と受け取った女性が、
いつもと違う味に顔を上げる。

「お疲れのようですから、
少し濃い目にしてみました・・違いましたか?」

心遣いを受け女性は
“美味しい”と顔を綻ばせる





離れた席でオーナー夫妻が
そのやりとりを聞き、微笑する。

「傘がなくて良かった」
 
「ん?」

「長居する理由になるわ」

「・・そうだね」


(静寂に包まれた店内に、雨音だけが鳴り響く。。)


{/netabare}


あくまで日常のほんのスパイスとして恋愛を描くことが「リストランテ・パラディーゾ」の最大の魅力かと思います。


落ち着いてコーヒーを飲みたい午後のおともにどうぞ。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 15

61.9 2 ジャズで心温まるなアニメランキング2位
バーテンダー(TVアニメ動画)

2006年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (85)
417人が棚に入れました
城アラキ原作、集英社スーパージャンプに連載の人気コミックのテレビアニメ化!“神のグラス”と呼ばれる至高の一杯を作り出す天才バーテンダー・佐々倉溜。彼のBarを訪れる人々は、差し出される一杯のグラスに心を奪われてしまう。時にはそれは思い出を呼び覚まし、時には悲しみを癒し、時には沈んだ心に火を点ける…。

声優・キャラクター
水島大宙、藤村歩、家弓家正、矢島正明、森本レオ

Anna さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

お酒を通して見えてくる、人生の生き方!

渡辺正樹監督による、お酒にまつわるエピソードと、ヒューマンドラマが描かれた作品。原作は、城アラキ(原作)/長友健篩(作画)の漫画で、製作はパルムスタジオです。

BAR"イーデンホール"のバーテンダーである"佐々倉溜"の作るカクテルは、「神のグラス」と呼ばれていた。
そのカクテルとは、孤独に傷つき行き場のない魂を救う最後の一杯…。
ほんの少しの楽しい時間と安らぎを求め、さまざまな悩みを持つ人々が、バーの扉をたたきにやってくるのだった…。

上品なピアノ音楽と、トーンの落ち着いた作画に癒されます。
薄暗いバーに浮かび上がる、お酒やカクテルの鮮やかな美しい色が印象的。飲んでみたいと思わせる演出です!
森本レオさんの渋いナレーションもこの作品の魅力。
1話ごとに人生の苦悩と喜びが描かれており、佐々倉のお酒に出会い人生が変わる人々を見ていると、とても心が温かくなります。
お酒に関する知識やエピソードを、哲学や文学を交えながら語ってくれるのも魅力です。
ドラマシリーズでは、佐々倉の、躓き心揺れながらも成長していく姿が描かれていました。アニメでは、成長した上で、バーテンダーとして絶対的で頼もしい姿で登場しています。

本能的な詩で訴えるOP曲(「バーテンダー」 ナチュラル ハイ、feat.椎名純平)や、切なく感動的なED曲(「始まりのヒト」ナチュラル ハイ)も作品のムードを上げていて素敵です。

お酒に興味がある人、アニメでほっと一息つきたい人にお勧めする、ちょっぴり大人な作品です!

投稿 : 2024/12/28
♥ : 5
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

【第1作】青年誌連載らしく「大人の男の物語」がかっこよく描かれている

【レビューNo.119】(初回登録:2024/4/14)
コミック原作で2006年作品。全11話。
今期第2作が始まり、第1作を復習したのでレビューしておこうかと。

(ストーリー)
主人公・佐々倉溜はバー「イーデンホール」のバーテンダー。
彼はバーテンダーのサービスとして
・楽しい記憶
・安らぎの時間
・魂の癒し
を提供している。
今宵も彼の「神のグラス」を求め、また一人「イーデンホール」の重い扉を開け
るのだった。

(評 価)
・青年誌連載らしく「大人の男の物語」がかっこよく描かれている
 原作は「スーパージャンプ」等で連載されていたらしいのですが、個人的には
 青年誌を読んでいた頃の
 「かっこいい大人の男に憧れていた」
 あの感覚を思い出しましたね(笑)。
 作中で描かれているのは、確かに「大人の男の物語」なんですよね。
 例えば客として描かれているのは、仕事で悩みを抱えて、心がささくれ立って
 いている中間管理職だったり、落ち込んでいるサラリーマンだったりと。
 そんな彼らがバー「イーデンホール」で佐々倉と邂逅することで、魂が癒され
 明日への希望を見出していくという、非常に男性が共感しやすい創りになって
 いるという印象ですね。
 女性客も登場しますが、そこで展開されるのは
 ・その祖父と父の物語
 ・恋人・結婚・離婚等の男女の物語
 であったりと、やはり男性が物語の主軸になっているという感じですね。
 なので、「課長島耕作」等の青年誌愛読層には刺さりやすいのかなっと。

・「酒に付されていたエピソード」を絡めた秀逸なストーリー展開
 作中セリフからですが
 ・バーテンダーに一番必要な才能とは?
  {netabare}→ 人間に対する想像力
   → グラスの中で人間の物語を創る力{/netabare}
 ということで、佐々倉が鋭い観察眼で「客が求めている一杯」を読み解き、そ
 れを提供した意図を「酒に付されていたエピソード」と絡めて説いていくこと
 で客が救われるという構成になっています。
 そういう意味では各エピソードの主人公はあくまでも客であり、佐々倉はそん
 な彼らに寄り添う存在
 「バー(止まり木)・テンダー(優しい)→ 『優しい止まり木』」
 に過ぎません。
 そういう佐々倉の立ち位置がなんとも心地よい。
 またナレーションがあの「森本レオ」というのも、作品の魅力のひとつになっ
 ています。
 ただ「バーや酒のウンチク」や「佐々倉の『その一杯』の意図」といった説明
 ゼリフがかなり多いので、その辺は好みが分かれそう。
 (最終話は特にね・・・)

キャラデザや上司のどぎついパワハラ描写など、今観るとさすがに古いな感じる
部分はあります。
しかしそのキャラデザを始め、少し暗めの落ち着いたトーンだったり素材のよさ
を引き出す控えめなアニメ演出だったりと、本作は青年誌連載らしく「大人の男
の物語」がかっこよく描かれている作品なのかなっていう印象ですね。
客一人一人の人間ドラマも面白く描かれていると思いますし。
皆様もバー「イーデンホール」で「魂の癒し」をいかがでしょうか(笑)。

OP「バーテンダー/ナチュラル ハイ feat.椎名純平」
・昭和歌謡の男女の駆け引き的な歌詞をR&Bな曲に乗せてという少し不思議な感じ
ED「始まりのヒト/ナチュラル ハイ」
・しっとりと聴かせるバラードナンバー
 (ED映像では、作中に登場したカクテルを作る実写映像が使われています)
共に良曲なり。
あと劇中音楽はバーのBGMっぽくってこれも良かったかな。
  
(追 記)
とはいえ、本作はよくも悪くも「昭和世代が思い描く『かっこいい大人の男像』」
を描いているって感じがしますね。
第2作は(まだこれからですが)
・客の人間ドラマよりも佐々倉寄りに焦点を当てた構成にしているのかなあとい
 う印象
・それに加え、価値観等も令和にアップデートされたことも影響し、第1作のそう
 いう男臭さやかっこよさがかなり薄まった印象
尖った感じがなくなり、凡庸な作品になりそうだなっと。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 8

kuroko85 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

酒と人生のお話

とあるバーで語られる人間模様。
全11話ですが、話毎にそのテーマとそれに
まつわる酒の話が語られます。
この手の(青年誌でTVアニメ化の)代表格でもある
「美味しんぼ」と同じように、題材としてこそ
食や酒に目がいきますが、重要なのはそこに
絡む人間の模様。
この作品もそれがしっかりしているから、
様々な味わいで魅せて(酔わせて?)くれます。
私のような半ばアル中のような人間にも
そして、あまりお酒を飲まないような
方にもお薦め出来る作品。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 2

65.4 3 ジャズで心温まるなアニメランキング3位
ミチコとハッチン(TVアニメ動画)

2008年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (234)
1254人が棚に入れました
舞台は、太陽と原色に溢れる国。そこは貧困によって街は荒廃している上に、国を出た先は荒野が広がる危険な無法地帯。そんな中で、人々の心は欲望に満ち溢れていた。その国で暮らす少女ハナ・モレーノス(通称:ハッチン)は、養家の家族から酷い仕打ちを受けており、密かに家を出て自由に暮らす事を望むが、自ら行動を起こせず、ただ、いつか誰かが迎えに来てくれる事を祈るばかりであった。しかしある日、ハッチンの前に脱獄不可能と言われた監獄要塞を突破した謎の美女ミチコ・マランドロが、突如現れる。彼女はハッチンの母親を名乗り、ハッチンを誘拐して逃亡。訳も分からず、ミチコに着いていくハッチンは、彼女に翻弄されつつ、旅に同行する事になる。

声優・キャラクター
真木よう子、大後寿々花、坂井真紀、津田寛治

みかみ(みみかき) さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

バカで、かわいくて、かっこいい

 とにかく、スタイリッシュな映像を見る快楽にひたりたいのであれば、これほどのアニメに出会える確率はごく稀なことだろう。



 ミチコはどこまでバカで、ハナの後日談もいい。ハナの声優を大後寿々花が担当している、というのはアニメの作法からすると、いささか違和感も残る。けれども、大後寿々花のキャラ自体が非常にたっている女優なので、大後寿々花が声をあてている、と思うとそのこと自体にも味を感じる。

 ヘタレは、やっぱりヘタレでクズとして描きながらも、それでもその一方でヘタレをどうしようもなく愛するという眼差しもすばらしい。

 とにかく格好のいい映像をつくった。日本のアニメのなかにこういうものがキチンとある、というのは実にすばらしいことだと思う。

■関連推奨作品

 バカかわいいヤンキーの暴力女と、理知的で気丈ながらも頭のネジがどこかはずれている女の子…という組み合わせは、『下妻物語』を彷彿とさせる。未見の方はぜひご覧あれ。

 一方で、丁寧に描かれた南米の風景は、『City of God』『City of men』『Carandiru』といったロクデナシだらけのブラジル映画を見ているような気分にもなる。ブラジルをスタイリッシュに描いた作品、ということではここらへんの映画がネタもとになっているのではないだろうか。

 また、アニメとしては、これに先行するかっこいい作品としてはやはり『cowboy bebop』を挙げないわけにはいかないだろう。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 10

ソーカー さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

これぞ大人の嗜み、もっと評価されて欲しいアニメNo.1

舞台は南米。
脱獄囚ミチコは、養家で虐待を受けていた娘ハッチンを救いだす(誘拐?w)
そのまま一緒に父親を捜すため逃走劇をくりひろげる。
全22話のアクション・ロードムービー風アニメである

スタイリッシュなOP、渋くてクールな作風から
「カウボーイビバップ」と比較されやすいが、ビバップとは全く違うものとして見た方がよい
ビパップはハードボイルドを突き詰めた作品で娯楽性も抜群だが
「ミチコとハッチン」は全然違った趣向の作品です
迫力と疾走感溢れる描写も結構あるので
単純な娯楽作品としても見れなくもないが、クールでかつ趣深い作品。

バイオレンスなシーンは多いが、爽快感が得られるアクションはむしろ少ない
そういったカタルシスを得るアニメではないということです
むしろ、ミチコとハッチンの二人を中心とした人間ドラマを描いた作品です
各エピソードは不意に終わったり、しみじみとした終わり方だったりする。
もちろん大筋のストーリーはあるが、繋がりの薄いところもあるので、ひとつひとつの物語を噛みしめて見るべき。

ミチコとハッチンは二人とも非常に人間味溢れる魅力的なキャラクター
世間の理不尽さをかっとばしながら、ぎこちなくも親子愛を育んでいく
そんな人間味溢れる二人を中心に人間を描き出す

愚かな大人と無垢な子供、どうしようもない世の中と二人の絆
これらを巧みに対比をして人間を描いたハートフルな物語である
しかし、必要以上に視聴者に感情移入は求めない。
暗い話しみじみとした話が多いが、しつこくもなく重く感じることもなく、むしろ心地良い。

声優に俳優を使っていることに否定的な意見が多いが、個人的はむしろ味があって良かった。
人間味溢れる独特なキャラクター性を作り上げていて、悪くない
もちろん拙い場面もあるが、徐々に上達していくので問題ないw

これだけ独自のスタイルを貫いたアニメは本当に珍しいし
あらゆる面において非常に完成度の高い作品で、
もっと評価されてほしい作品の筆頭ですが、あまり万人受けはしないかも。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 26

ヌンサ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

そんなヒロシに騙されて

「カウボーイビバップ」→「サムライチャンプルー」→今作→「LUPIN the Third -峰不二子という女-」と並べると、世界観や作風の流れが非常にスムーズにつながっているなと感じます。

特に前2作と、プロットは良い意味で"まんま"です。ビバップはジュリアを探すのが目的ではありませんでしたが、
フウの父を探す(「サムライチャンプルー」)=ヒロシを探す、ミチコ=フェイ、ハナ=エド(性格は違いますが、孤児院出身という設定などが特に)。後に峰不二子を描くことになるのも納得です。

大好きな渡辺信一郎監督の弟子筋にあたる(多分)山本沙代さんが監督を務め、
ナベシンさんも音楽プロデューサーとして弟子をサポート(?)しています。
彼女は、岡村天斎さんと並んでナベシンさんの作風の一端を継ぐ存在だと思い、注目しています。

今作最大の注目ポイントはキャスティングでしょう。真木よう子さんという方は、名前は良く見聞きしたことはあったのですが(主にスキャンダル・・・)、調べてみたところ出演作品は一つも見たことがりませんでした。
顔写真を検索してみても見覚えはありませんでした。
しかし、めちゃくちゃいい声ですね!もちろん、プロの声優ではないので絵との距離感や、
息の演技などはたまに聞いてて厳しいものがありました。それでも話数を重ねるごとに、
大後寿々花さんと並んで演技の上達が感じられたのも興味深かったです。

坂井真紀さんの声は、少し朴璐美さんを思わせる感じがあって非常に味がありました。

そして今作全体を通して、有色人種(特に黒人)が登場人物の多くを占めているというのは
いかにも「マングローブだな」って感じです(日本を舞台にした作品以外で)。
この空気感が大好きだったので、倒産してしまったことが非常に悔やまれます・・・。

渡辺信一郎さんのDNAは確実にアニメ界で息づいているな、と感じられて非常にうれしい作品でした。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 7
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