nyaro さんの感想・評価
4.0
ジェンダーと核そして善悪。見た目に反して重い話です。
2002年の映画で今はほとんど名前も残っていない感じの作品です。秋元康氏が企画・原案・製作総指揮したのが有名なくらいでしょうか。
一見通常の女子だけの戦闘部隊がエロい恰好をして大暴れに見えなくはないですが、結構真面目な話になっています。
みないろいろ抱えた女子たちという部分で今でいえば「目覚めた」設定ですが、2002年ですからね。ポリコレ臭はしません。途中で女であることを揶揄されるようなシーンで胸を見せつけたりしていますが、アニメのサービス的な部分とジェンダー的な部分を上手く融合させて、そう見えない感じに仕上げているのは上手いです。
黒人の2人の子持ちのママが一番魅力的というのもなかなか見せ方を工夫しましたね。この部隊の設定は新谷かおる氏の「砂の薔薇」をちょっと思い出す感じで、女性がいろいろあって行き着いた先のような雰囲気があります。会社の名前が「ガードオブローズ」なので、意識している気がします。
クリスマスに起こった「天使」にまつわる事件。善悪の相対化は確かに神の予定説を想起させます。ただ、生きることを選択することを希望と呼び、その意思で人類は何とか存続するという話です。悪役の相対化も行われるので、その辺の話の作り方は上手かったと思います。
核問題が中心にあり、原子力発電と核兵器についての危険性と人類のエゴが語られます。
面白いか面白くないか、と問われるとちょっと考えてしまいます。ありきたりと言えばありきたり、説教臭いといえば説教臭い。感情移入も視点がバラバラなのでしずらい。演出がゴチャゴチャしていて面白さが拾いにくい。
せっかく女子部隊だし、エロもないことはないのに、思い設定とかいろいろあって、萌えやエロを感じづらい、などです。
兵器やシーンが過去の映画のオマージュ的なものが多く、映像的な新味はあまりない気がします。
話はよくできているしストーリーは面白いけど、作品としてエンタメ性が不十分だったかな、と言うといいでしょうか。
内容的に女性問題も核の問題も入っているので2020年代なら評価されるかもしれません。作画が古臭いので、リメイクする意味がある作品ですが、原発の件があるのでスポンサーは付きづらいかな。
評価はストーリーは4はあると思います。キャラが…うーん、頭で考えると評価して4.5くらいつけたいですが、感情=エンタメとして評価すると3.5かなあ…間をとって4…うーん、オール4でいいですかね。テーマ性も含めて。