阿紫カービィ さんの感想・評価
4.0
僕と僕の彼女
静かなモノクロの世界
緻密な背景の中に、落書きのように描かれた
可愛く愛くるしい猫ちゃん。
…何かが、おかしいのだ。
女性らしくない殺風景な部屋、ベランダ。
散らかった服、日用品、パイプ椅子、電話機。
時おり映る『彼女』は
いつも何かを考えている様子で
何故だろう?
とても生々しく見える。
そして
『彼女』からは
温かさが、猫ちゃんへの愛が、
全く 感じられないのだ。
…空虚な密室の冷たさ 孤独だけが伝わってくる。
反して
部屋の外の世界は温かい。
ベンチでじゃれあう2匹の猫ちゃんは
自由で楽しげだ。
猫ちゃんは…どっちの世界が良いのかな?
冷たく、空虚な、モノクロの世界は、
辛い
だって、寂しいから 不安だから。
『彼女』は
『彼女』も
不安な ギリギリの場所から、
色とりどりの『外』に出る時がくるのかな。
なんて事を…考えずにはいられないのです。
おわり。