2021年度のショッピングモールアニメ映画ランキング 1

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71.3 1 2021年度のショッピングモールアニメランキング1位
サイダーのように言葉が湧き上がる(アニメ映画)

2021年7月22日
★★★★☆ 3.7 (78)
282人が棚に入れました
17回目の夏、地方都市⸺。コミュニケーションが苦手で、人から話しかけられないよう、いつもヘッドホンを着用している少年・チェリー。彼は口に出せない気持ちを趣味の俳句に乗せていた。矯正中の大きな前歯を隠すため、いつもマスクをしている少女・スマイル。人気動画主の彼女は、“カワイイ"を見つけては動画を配信していた。俳句以外では思ったことをなかなか口に出せないチェリーと、見た目のコンプレックスをどうしても克服できないスマイルが、ショッピングモールで出会い、やがてSNSを通じて少しずつ言葉を交わしていく。ある日ふたりは、バイト先で出会った老人・フジヤマが失くしてしまった想い出のレコードを探しまわる理由にふれる。ふたりはそれを自分たちで見つけようと決意。フジヤマの願いを叶えるため一緒にレコードを探すうちに、チェリーとスマイルの距離は急速に縮まっていく。だが、ある出来事をきっかけに、ふたりの想いはすれ違って⸺。物語のクライマックス、チェリーのまっすぐで爆発的なメッセージは心の奥深くまで届き、あざやかな閃光となってひと夏の想い出に記憶される。

声優・キャラクター
市川染五郎、杉咲花、潘めぐみ、花江夏樹、梅原裕一郎、中島愛、諸星すみれ、神谷浩史、坂本真綾、山寺宏一、井上喜久子

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

言葉にすることで

俳句少年と歯矯正少女の出会いの物語。
舞台はショッピングモール、季節は盛夏。
眩いばかりの風景と色とりどりの構造物。
サイダーのように甘くて爽やかな作品です。

出会いは、突発的。
スマホが吹っ飛ぶ、
口元から矯正器がキラリン。
コミカルな衝撃です。

少年はチェリー、少女はスマイル。
チェリーは静、スマイルは動。
俳句とネット配信と興味は対照的。
NとSが引き合うようなものなのでしょう。

レコードに隠された過去。
50年前のフジヤマさんの思い出がシンクロ。
ヤマザクラにそんな意味があるなんて。
「葉」と「歯」かあ、考えたものです。

終盤に向かって、ちょっとした事件により行き違います。
しかし、「ヤマザクラ」の奇跡に再び二人の気持ちは・・・
まるで、サイダーを振ったかのように・・・
青春期の衝動的な恋心が、夢のように気恥ずかしいです。

全く前情報なしに観た作品です。
テンポが良く、目が離せませんでした。
それに、素直な気持ちを読み込んだ俳句が要所を締めています。
俳句ってホントいいものですね。

夕暮れの フライングめく 夏ともし
「めく」が可愛い。
私も瞬時に思いました。
言葉には不思議な表情があるのです。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 19
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

最高にエモくて面白いラブストーリー。ただ2つの見過ごせない点あり。

 夏ですし、今テレビ番組で一番好きなのがプレバトの俳句コーナーということでこの作品再視聴ですね。

 この作品見始めは色調がビビッドすぎるのと、動きが多すぎ、騒がしい演技と効果音で、なんじゃこりゃ?となります。

 が、キャラデザと構図と動きがいいのと、田舎のショッピングモールという、地方においてそこがすべての人が集まる場所という舞台設定が秀逸です。地方社会のコミュニティーとしての機能が言外できちんとでていました。当然文化の発信地でもあります。そういう部分を感じるのが心地よかったです。だから出会いもあったわけで。

 そして、特に2人が一緒にショッピングモールから帰る夕方の風景が、なにか胸に刺さります。同じ道を何度も2人で通る描写がイコール2人の時間の積み重ねにもなっていました。

 また、キャラ造形が比較的スムースに物語の中で説明されるので、いつのまにか面白くなってゆきます。

 色彩の変化には注目すべきでしょう。どんどん淡く彩度が落ちて行くのがとても良かったです。音も静かになって行きます。

 俳句と動画配信者の組み合わせ、人前で話すことと容姿のコンプレックスの対比、老若男女の組み合わせに、声がでかいレコードを探す老人を組み合わせることで、昔と変わらない恋心を見事に描き出していました。

 と、時をこえた2つのラブストーリーに関しては非常に良かったです。最近「耳をすませば」に深く感動しましたが、本作もそれに劣らず感動しました。それとショッピングモールとスマホ、SNSという題材だけに、より身近な物語だったのも良かったと思います。

 で、2点気になるところがありました。これはちょっと物語や作画の良さではカバーできませんでした。一つは俳句と物語の結びつきといいますか「サイダーの様に」だったかです。

 ヒロインスマイルが感動するショッピングモールの帰り道の俳句とか、キーとなる山桜の俳句などとても良かったし、エピソードとも絡んで上手かったと思います。

 ただ「サイダー」というのは俳句がどんどん湧き上がってくる様子だと思うのですがラストの主人公の{netabare} 告白はサイダーの様に…だったかですね。なんか真っ赤になって一生懸命俳句を詠む姿は、もう少し別のものだった気がします。俳句は文字だ、という主人公の主張とあいまって、 {/netabare}本当にいいラストなのは間違いありません。
 言葉を変えると、夏のイメージの重ね方が強引な気がすると言った方がいいかもしれません。

 それと大貫妙子さんの歌です。もちろんシュガーベイブ時代からみんなの歌まで皆好きなんですけど、さすがにもっと若々しい声の歌い手さんじゃないとなあ。あの初々しい少女に合ってましたか?
 ここも容姿と恋愛は関係ない、可愛らしさとは人それぞれだというメッセージが、{netabare}主人公の俳句を読み上げるという告白と重なって、ヒロインがマスクを取って笑うカタルシス {/netabare}になっているので最高でした。ですが、大貫妙子さんでは声がベテランすぎです。


 評価です。作画はいいです。最高です。キャラも同じく性格から内面、感情の動きまで丁寧に描けていました。が、音楽はまあ減点ですねえ。4までかなあ。それとストーリーの「サイダーのように」がやはり見えませんでした。これは大きすぎる部分なので4にしておきます。

 が、主観的には物語にはかなり感動しました。キャラは主人公2人含めて皆良かったです。そして、アニメーションの良さは「ああアニメ映画を見たなあ」という充実感になりました。90点!という感じでしょうか。

 それと劇中、画面に出てくる俳句は、全部拾いきれてないのであとで見返すかもしれません。発見があれば追記をします。

 なお、 ラストは{netabare}引っ越しはするので、一旦は離れ離れですよね?その後はご想像にお任せしますでいいのかな? ただ、SNSでいっぱい俳句を投稿することでしょう{/netabare}

投稿 : 2024/11/23
♥ : 10

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

山桜、俳句とSNS、正に青春

 俳句好きな少年チェリー、カワイイもの好き矯正中の前歯を気にする少女スマイルは、出会うです。SNS、バイト、特におじいちゃんのレコード探しから縮まる距離、すれ違い、強い思いが動かす青春を描いていたです。

 ショッピングモールを舞台に織りなす設定は、面白かったです。チェリーもスマイルも身近にいる人たちに気にかけられていると思ったです。お話の要となるフジヤマのおじいちゃんの存在が、二人の交流や周囲を巻き込んでいき、盛り上げていったです。

 おじいちゃんの探しているレコードというものが何なのか?、若いころのおじいちゃん、ショッピングモールの過去、レコードのジャケットが導く謎と明らかになったです。
 ついに探し当てても、思わぬトラブル、すれ違いと一体この話どうなるの?と思ってしまったです。

 またもや思わぬことがあって、それが幸運に変わるとき、その後スマイルが選んだ思い、思いを受け止めたチェリーの行動は、大胆かつ「これで、いいのだ!」展開へと進んだことが凄かったです。普通だったら、なんか恥ずかしいことだったと思ったです。
 でも、チェリーらしいと言えばらしい、良い結末だったです。

 流れる歌の曲が、今の時代にないような音程だったことが、印象的だったです。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 9
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