サンライズでスペースコロニーなおすすめアニメランキング 5

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのサンライズでスペースコロニーな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年02月26日の時点で一番のサンライズでスペースコロニーなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

77.7 1 サンライズでスペースコロニーなアニメランキング1位
機動戦士ガンダムUC/episode1 ユニコーンの日(OVA)

2010年3月12日
★★★★★ 4.1 (1023)
5220人が棚に入れました
第二次ネオ・ジオン抗争、別名「シャアの反乱」の終結によって地球圏には束の間の平穏が訪れた。
それから3年後、宇宙世紀0096年。工業コロニー「インダストリアル7」において、とある謀議が交わされようとしていた。政財界に絶大な影響力を持ち、地球連邦政府を影から操る ビスト財団が、「袖付き」と通称されるネオ・ジオン残党軍に『それが開かれる時には連邦政府が滅びる』と言われる「ラプラスの箱」を譲渡するという。
一方、コロニー内に設置されたアナハイム工専に通う少年バナージ・リンクスは、オードリー・バーンと名乗る謎めいた少女と出会う。新たな戦争の火種となり得る箱の取引を阻止するべく、たった一人で行動を起こした彼女を手助けするうちに、日常に“ずれ”ているような違和感を抱いていたバナージは次第にオードリーに惹かれていく…。
ネタバレ

しゅりー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

宇宙世紀物に一つの幕を

福井晴敏さんによるガンダムの小説作品を映像化した作品です。
「逆襲のシャア」の約3年後の世界が描かれます。
2010年から2014年までの間に全7巻でOVAが制作されました。
2007年小説連載開始からOVA完結までの7年半は非常に長い時間だったように思います。


OVAは劇場の先行上映と同時に動画サイトでの有料公開。
公開初日の劇場限定BD先行販売など、ガンダムとしては
はじめてのビジネスを色々とやっています。
元来ガノタだった私などはだいぶ搾り取られました。
3月上旬の早朝にBD購入のために並ぶ劇場前の寒いこと…。


さて本編ですが、小説既読の方が視聴する場合は消化不良や
小説と異なるイメージを持たれるといったことが多く発生する作品になると思います。
ある意味はじめて原作(※)の物語と戦ったガンダム作品ではないでしょうか。
(※ここで言う原作は「富野監督のガンダム」ではなく、小説版としてください。)

ジンネマンとリディの描写はとても人間臭く最後まで見応えがあるのですが、
全体としては小説の頃に感じた10代から20代の多感な若者と
子を持つ親くらいの世代の大人の描き分けや、
立場や境遇の違いに隔てられた人々の軋轢と和解などが
途中から薄れてしまった印象があります。

また、OVA中盤から登場するMSが小説の描写より大幅に増えます。
そのあたりはバンダイの希望なのでしょうが、プラモデルが好きな私でも
4巻だけならともかく5巻以降も懐かしい、珍しいMSの活躍が多数描かれたことには辟易し
「MSV(モビルスーツバリエーション)かビルドファイターズでやって」と呻きました。
そうしたMSの戦闘シーンで変に頑張ってしまったためか、終盤の戦闘は好みが分かれます。
ネタバレレビューを読む


上記の理由で以前視聴中に投稿したレビューほどには
このアニメをお奨めしようという気持ちは薄れてしまいましたが、
それでも長年ガンダムを好きだった私にとっては観て良かったアニメでした。
これから宇宙世紀のはるか未来の物語として「Gのレコンギスタ」が、
別の設定の宇宙世紀物である「THE ORIGIN」がそれぞれアニメとして展開されていきますが、
ファーストからある程度、世界観を共有してきたガンダムは一旦これで幕が下りたような気がします。
そんなわけで宇宙世紀ガンダムが好きな方には気が向いたときに
一度観てみても損はないのではないでしょうかと提案をしてみます。






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↓2011/11/13時点のレビュー↓
ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/02/22
♥ : 30

偽ニュー隊長 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

クオリティはさすが(視聴中)

小説原作。原作未読。
宇宙世紀シリーズ最新作。
全6話予定で現在3話まで放映済。

逆襲のシャアから3年後の話。
宇宙世紀シリーズファンとしては待ちに待った新作。

現在3話までだが、安心のクオリティ。
久しぶりに新作ガンダムの世界に触れて
個人的には非常に満足である。

ただし、ガンダムを観ていない方にとってはちょっと敷居が高いか。
内容についていけないかもしれない。

この秋放映予定のepisode4「重力の井戸の底で」には、
ついに元ホワイトベース艦長のブライト・ノアが登場!? 
そうなると、故・鈴置洋孝氏が担当していた
ブライト・ノアの声は誰になるのか。

声優さんはすでに決定しているようで、
いったい誰になったのか、
ガンダムファンとしては期待と不安で渦巻いている。
しかし、きっとまた数々の名セリフをきっと聞かせてくれるだろう。

はやく続きが観たくて仕方ない。
6話まで到達するのはいつの日か・・・

投稿 : 2025/02/22
♥ : 12
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

個人的には《宇宙世紀シリーズ》全体へのマイナスイメージを、かなり救った作品となりました。

※episode1~7全部含めたレビューです。

◆総評

1.(主人公)ネタバレレビューを読む
2.(ヒロイン)ネタバレレビューを読む
3.(敵役)ネタバレレビューを読む

・・・ということで、戦闘シーンの見事さと相まって、個人的にはそれまで何とか我慢して視聴し続けてきた《宇宙世紀シリーズ》全体へのマイナス評価を、かなりの程度思い直す結果となりました。


◆制作情報
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◆視聴メモ
ネタバレレビューを読む


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

※「逆襲のシャア」から3年後(宇宙世紀0096年)の物語

========= 機動戦士ガンダムUC (OVA) (2010年3月-2014年6月) =========

episode 1 ユニコーンの日 ★ ネタバレレビューを読む (2010年2月) ※約58分
episode 2 赤い彗星 ★★★ ネタバレレビューを読む  (2010年10月) ※約59分
episode 3 ラプラスの亡霊 ★★ ネタバレレビューを読む  (2011年3月) ※約59分
episode 4 重力の井戸の底で ★★★ ネタバレレビューを読む (2011年11月) ※約60分
episode 5 黒いユニコーン ★★ ネタバレレビューを読む (2012年5月) ※約54分
episode 6 宇宙(そら)と地球(ほし)と ★★ ネタバレレビューを読む (2013年3月) ※約59分
episode 7 虹の彼方に ★ ネタバレレビューを読む  (2014年5月) ※約90分
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★★★(神回)2、★★(優秀回)3、★(良回)2、☆(並回)0、×(疑問回)0 ※個人評価 ★★ 4.5 

※総計439分=7時間19分≒18.5話(1クール半)に相当

投稿 : 2025/02/22
♥ : 16

85.9 2 サンライズでスペースコロニーなアニメランキング2位
機動戦士ガンダム(TVアニメ動画)

1979年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (1351)
6218人が棚に入れました
スペースコロニーへの宇宙移民開始を紀元とした未来世界、宇宙世紀0079年が舞台。人類は増え続ける人口のため、半数が月軌道周辺にあるラグランジュ点に浮かぶスペースコロニー群(サイドと呼ばれる)に居住していた。その中で地球に最も遠いコロニー群サイド3はジオン公国を名乗り、地球連邦からの独立を求め、人型機動兵器「MS(モビルスーツ)」を駆使して独立戦争を挑んできた。開戦から僅か1ヶ月あまりで双方の陣営は総人口の半分を死に至らしめた。そんな中、サイド7に住む少年アムロ・レイは、地球連邦軍が進めていた「V作戦」に対する調査のためサイド7に侵入したジオン軍MS ザクの攻撃に巻き込まれ偶然が重なり、連邦軍の新型MS ガンダムのパイロットになってしまう。

声優・キャラクター
古谷徹、池田秀一、鈴置洋孝、鵜飼るみ子、白石冬美、井上瑤、古川登志夫、鈴木清信、戸田恵子、潘恵子、永井一郎

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

君は生き延びることができるか?

本日、「機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)」と「閃光のハサウェイ」の予告を観てものすごーーーくいろいろ言いたいのですが、まだ「あにこれ」に反映されていないので後にしましょう。

「機動戦士ガンダム」は富野由悠季がロボットアニメの乱造に切羽詰ってできた作品であり、今までのポジティブで一辺調子のヒーローものだったものを、政治的で人間関係を中心としたリアルなものに置き換えたことにより、「ハリウッド映画」的な重厚感を帯びたのである。

当時のオタクは歓喜しただろう。自分たちの生き様のようなものをそのままアニメ化されたら、そりゃ喜びますわ。

今見ると、当時のアメリカンニューシネマをそのまま「ロボットアニメ」に置き換えただけだと思いますが、それでも情報そのものが氾濫している現在と1980年代初頭では全然、影響力が違うのかと思います。

特にラストにおける新しい時代の「ニュータイプ」たちは、今まで以上に協力して分かり合うことのできる新人類になるというメッセージは2018年現在の若者にも届く素晴らしいメッセージであり、

本作が不朽の名作たる所以だと思います。

。。。。。。初代がやはり一番なのか?

投稿 : 2025/02/22
♥ : 28

おその さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ガンダムから見えたコト

ガンダム、今見てもやっぱり面白い
ガンダム以前の巨大ロボアニメも数々ありましたがやはりガンダムからこのジャンルは確立したと思います
主人公がヒーローで敵が絶対悪がそれまでの流れだと思いますが、ガンダムは必ずしもそうとは限らない
地球連邦軍側から見ればジオンはいきなり独立宣言し宣戦布告、それを認めず開戦に至る
ジオン側から見れば連邦は地球の資源を食い尽くし独裁的に世界を治めてる

連邦何だから各コロニーにも一定の自治権はあるものの、ほぼ連邦の息のかかった知事が就いてる

サイド3(ジオン公国)だけはこれに反し公国と謳うだけあって「国王」を持つ
ニュータイプに先に目をつけたのもジオン
しかし戦場で目覚めたのは主人公であるガンダムのパイロットであるアムロ・レイ

最初に今見ても面白いと書きましたが時代が時代だけに粗も目立ちます
声優の使い回し、作画の使い回し、バズーカを持って出たガンダムが次のカットでビームライフルに変わってたり
重箱の隅をつつくのはナンセンス

物語に世界観にキャラに、何よりガンダムをはじめとするモビルスーツが好きになれれば
こんなに面白いアニメはない

ここから始まるガンダムシリーズ、宇宙世紀は子供心にアニメの楽しさを感じさせてくれた大切な思いで。

投稿 : 2025/02/22
♥ : 50
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

ニュータイプ神話の誕生

私が“ファーストガンダム”をちゃんと視聴したのは今世紀に入ってから。
但し、「一年戦争」の概要はゲーム等でかなり詳しく知っていました。
(例えば『ギレンの野望』とか『連邦VSジオン』とか『ザク打』とかw)

よってアニメ視聴時は、初見でありながら、頭に打ち込まれた名セリフなど、
既知の展開を確認する視点で“ファーストガンダム”を体感することになったわけですが、
それでも引き込まれましたし、心が打たれるシーンが数多くありました。


ちなみに私が好きなモビルスーツはジオンの水陸両用MS群。ズゴック、アッガイ、ゾック……。
まるで甲虫かカンブリア紀の海中生物のような独特な面構えで、
ストレートに格好いいとは言えませんがwそこが渋くて、またいいと思います。
私にとっては『ガンダム』シリーズの中ではティターンズの可変MS群と双璧を成すメカたちです。

本作はメカだけでなく、キャラもイケメンばかりではない所が、
かえって人間味が溢れていて良いと思います。
こういうデザイン、作画には、つい高得点を付けたくなってしまいます。


本作は人間ドラマが光る名作だと思います。
“富野節”全開のささくれ立ったセリフ回しなどで構築された、
人間関係の描写が繊細で実に素晴らしい。
素晴らしすぎて、見てるこっちまで、胸がチクチクしますし、胃が痛いですw


本作が生み出した「ニュータイプ」という概念は、
後世や、某アニメ雑誌のネーミングにまで影響を与えた強烈なエポック。

もしも「ニュータイプ」が戦場の極限状況に置かれた戦士が獲得した超能力程度なら、
ここまで多くの人々の心に刺さることはない。かなり陳腐な設定に止まったと思います。

ですが、本作の「ニュータイプ」は相当に突き詰められた人間関係の上に立脚しているからこそ、
後々の時代にまで響いたのだと思います。


“ファーストガンダム”の世界においては、
友軍の絆、家族の縁すら頼りになりません。
それどころか、家族同士、仲間同士で裏切り、いがみ合っています。
人類の半数を死に至らしめたこの「一年戦争」の惨状を引き起こしたのは、
こうした人間たちによる相互不信こそが原因なのでは?
ギスギスした人間同士の描写を見ていると、そんな終末感すら漂ってきます。


私が地味に印象に残っているのは第八話「戦場は荒野」

ネタバレレビューを読む


さらに、好きな……と言うより、ゲーム→アニメで印象が好転し、
共感度がアップしたキャラはカイ・シデン。

最初はただのチャラ男かな?と思っていましたが、
苛烈な戦争の実態が投げかけられるにつれ、
次第に一見いい加減な彼の言動も、惨劇の中で正気を保つ防御本能に思えて、
だんだんカイのことが愛おしくなってきました。

「ニュータイプ」でもない凡人が、地獄を生き抜くには、根を詰めるばかりでは、とても保たない。
私もカイみたいに適度に逃避しつつ「一年戦争」の現実と折り合いを付けようとすると思います。
ただ、私はカイほどスキルもありませんし、上手く立ち回ることもできないでしょうね……(苦笑)


ここに至っては、もはや味方も血縁も、お偉いさんが大言壮語する戦争の大義も、
悲惨極まる戦場でPTSD級の高ストレスを受けたはずなのに、
心身すこぶる健勝などと意味不明な判定を下すコンピュータ健康診断も、
全くもってあてにならない。

俄にホワイトベースに同舟した仲間のチームワーク程度では、
この虚無感にはとても立ち向かえそうにない。

こうした息ができない程の鬱屈を徹底された上で、満を持して、
人間同士が分かり合い、こじれた人間関係をも打開する切り札として、
人類の革新としての「ニュータイプ」思想が視聴者に提示されるのです。


後世の『ガンダム』シリーズでは、この「ニュータイプ」の概念を相対化し、
総決算を試みるエピソードが数多く登場して、私もそういう筋書きがお気に入りだったりします。

けれど改めて“ファーストガンダム”に舞い戻って、「ニュータイプ」発現の根源に触れてみると、
後のシリーズが総括した「ニュータイプ」思想とは、
兵器として有用な「ニュータイプ」能力が一人歩きして形骸化した残滓が、
急進的な革命思想とみなされ、排除されたに過ぎないのでは?との着想すら抱いてしまうのです。

なるほどエスパーじみた怪しげな「ニュータイプ」能力は
既存の政治勢力等に封じ込められたのかもしれません。
では、この分かり合えない人間関係はどうしてくれるのか?
そもそもの事の発端については未解決のまま放置されている感すらあります。

身内の虐待がどうの、社会の分断がどうのと騒然としている現代にこそ、
むしろ「ニュータイプ」思想は人々の心に響くのではないか?
そんな感想すら浮かんで来るのです。


「ニュータイプ」神話は未だに健在なのです。

投稿 : 2025/02/22
♥ : 42

76.8 3 サンライズでスペースコロニーなアニメランキング3位
∀-ターンエーガンダム(TVアニメ動画)

1999年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (495)
2578人が棚に入れました
正暦2343年、月の民(ムーンレィス)の少年 ロラン・セアックは、「地球帰還作戦」の潜入調査員として北アメリア大陸に降下した。旅の途中、川で溺れているところをキエルとソシエのハイム姉妹に助けられた。鉱山を経営するハイム家は新興富裕階級に属し、当主の長女キエルはロランが憧れる月の女王ディアナ・ソレルにそっくりだった。ロランは姉妹の力添えでハイム家に雇われ、のちに機械好きを買われて自家用車の運転手に起用されるなど、地球人として平穏な日々を重ねた。2年後、ロランとソシエは、マウンテンサイクルでの成人式の儀式に参加していた。同じ頃、地球と月との2年間にわたる秘密交渉が決裂し、月の女王の軍(ディアナ・カウンター)が「地球帰還作戦」を開始。巨大MSで威圧するようなディアナ・カウンターに対し、地球のアメリア市民軍(ミリシャ)は複葉機や高射砲などの旧式装備で、果敢に郷土防衛戦をはじめた。この戦力差を理解していないミリシャの攻撃にいらだつディアナ・カウンターの一機(ポゥ少尉)は、発砲を禁じられていたにもかかわらず、強力な対艦ビーム砲を発射し、マウンテンサイクルに封印されている“黒歴史”の遺物「∀ガンダム」を目覚めさせてしまう。ロランはなりゆきから∀ガンダムのパイロットになり、地球と月の共存のために活躍する。

声優・キャラクター
朴璐美、高橋理恵子、村田秋乃、青羽剛、福山潤、渡辺久美子、稲田徹、小山剛志、子安武人、石丸博也

ヒロトシ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

私的ガンダム最高傑作

∀を初めて見た人はきっとこう思うに違いない。このMSのデザインは一体何なんだ?これ本当にガンダムなのか?それにこの世界名作劇場みたいなタッチは何なんだ?なんでこんな牧歌的な雰囲気なんだ?という風に。それ故に未見の人から何かと敬遠されがちな作品という印象が強いが、私的には未だにこれを超えるロボットアニメに出会っておらず、強い抵抗がないなら是非とも未見の人に見て欲しい作品である。合う・合わないは勿論あるだろうが、それでも当初抱いていたイメージはいくらか払拭されてはいるのではないだろうかと思う。

Vガンダム以降、しばらくガンダムから離れていた、富野監督の表現する『新世代のガンダム』。それが∀である。Vガンダムで一旦退場宣言をした富野監督が再びガンダムに手を出す気になったのは、年月を経て、生まれた精神的余裕としがらみから離れた事で生まれた考え方の変化が大きいだろう。かつて俺のガンダムをぶっ壊してくれ!と願った新世代のガンダムはバトンを受け継いだ今川監督が、自身の才能を大いに活かす事で、Gガンダムという名作を誕生させるに至った。そして、その成功を受けて、新世代のガンダムは様々なイメージに形を変えて、幅広いファンを獲得するようになっていく。富野監督も例外ではなく、自身、この新世代の描くガンダムに新たなインスピレーションを感じたのかもしれない。そして自らが作り出したガンダムに再度向き合い得たインスピレーションから、自分なりの新世代のガンダムを再構築していく事を選んだのだと、そう思う。

その再構築は、まずガンダムに対して抱かれる普遍的なイメージの払拭から行われた。かっこいい・洗練されたフォルムとガンダムの概念を覆すべく、世界的デザイナーであるシド・ミード氏をメカデザイン原案に起用し、あの強烈な主人公機∀ガンダムを生み出した。

∀を初めとするこの作品に出てくるMSは悉く格好悪い。しかし格好悪さを逆手にとって、動きをコミカルにする事で、MSに対する愛らしさを視聴者に印象付けてしまった。そして今までのようにガンダムを戦争の代用として描くのではなく、人間の生活の一部としてMSを運用するといったシーンを付け加える事で、MSの新しいイメージを模索していった。親しみやすさと格好良さは残念ながらイコールではない。格好悪いデザインというのは富野監督を制作陣も重々承知ではあったと当然思う。しかし制作側がそうやって率先して働きかける事で、ガンダムに対するイメージが再び凝り固まりつつあった視聴者への『ガンダムはまだまだ色々な可能性があるんだよ』と言う一種のメッセージではなかったのだろうかと個人的には思う。

これは機体だけではなく、人物にも反映されている。今までの富野ガンダムでは子供が大人のエゴに良い様に振り回される面が目立ち、その過程で大人に対する嫌悪感・そして失望をどのキャラクターも得ていった。しかし今作の主人公ロランからはそういったものは一切感じられない。周りの状況に振り回されながらも、戦争に対する向き合い方を早々に確立し、最後までそれを貫き通した青年として描かれている。愛らしいロボットと愛される素養を持った主人公。そして何処か喉かな雰囲気を持つ世界観。非常に魅力に溢れる作品なのである。

ガンダムとは伝統でありながら革命の象徴でもある。そして革命とは常に新しい世界を見せる事を常とする。今までそれを行っていたのはテレビの中のキャラクター達だけだった。しかし90年代も終わりを向かえ、新たな時代00年代、そして21世紀を迎えるにあたって、富野監督がどうしてもやりたかったのは
自分が生み出した作品を自分の手で破壊し、そして新たな作品に仕上げることだった。それを他人の手に委ねたままというのは、本人にはどうしても心残りだったのではないかと思う。

色々と見るにあたり、勇気がいる作品だとは思うが、是非とも恐れずに飛び込んで欲しい。そしてこんな拙い意見が、貴方の背中を押した原因の一端になってくれれば幸いである。

投稿 : 2025/02/22
♥ : 15
ネタバレ

ひげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

人を選びますが4クールモノのお手本的作品 

白富野の代表作。

舞台は遥か未来の地球、アルマゲドンから2千数百年。生き延びた地球人の末裔のところに、遥か昔に月へ移住した人々が帰還したいと申し出るとことからはじまります。そこで起こる異文化同士の摩擦を描いた物語。
ガンダム作品では異例の政治劇、群像劇が主。MSは完全に作品を彩る小道具です。

ガンダム20周年作品で菅野よう子、シドミード、あきまん、といったスタッフがありえないくらい豪華。
しかし予算はSEEDに遠く及ばず・・・

ターンエーのデザインが苦手?大丈夫です。劇中でも突っ込まれてますから。あと動くとかっこいいんです。

G,W,Xのアナザーガンダムの登場、製作の補助等で富野監督が生み出した結論です。


∀(すべてを含む)そしてAガンダム(ファーストにかえる)というダブルミーニング。
ファーストがファンタジーにリアリティを求めたものならば、今度はそれをファンタジーへと返す。そんなテーマ。
設定、演出でもTV作品ではファーストと同じく主役機交代がない。
そして当時の夕方ロボットアニメの呪縛からやっと解き放たれ1話でガンダムが登場しない。
富野ガンダムではじめてのプロ(軍属)の主人公。MSの操縦がうまくてあたりまえ。
監督作品で必ずでるNTですが設定上は月の人間はすべてそうなんですがいままでのお約束の表現はほとんどない。
この作品上では戦争をしないNTとなった人々は、去勢された人類とモジャモジャ頭の人気キャラに語られる始末。

ストーリーはよく言われるように『かぐや姫』『とりかえばや物語』『宇宙戦争』『月は無慈悲な夜の女王』などなど古典、古典SF、スチームパンクの様相が非常に強い。
産業革命の起こりはじめた未来の地球でMSが発掘されてしまうという。
そういったことから従来の我々の世界の延長上にあるSFという従来のもととはまったくの別物。個人的には世界観と雰囲気だけで満足。ガンダムじゃなくていいじゃん・・ってそれこそいいたい。ああ・・だから『機動戦士』ないんだっけ。
そもそも本作品、ガンダム、アニメ好きじゃなくて『ファースト世代』へ向けたメッセージだそうです。


V終了後から富野監督が長年仕込んだだけあって脚本、演出、世界設定、キャスティングすべてが最高峰。
構想の段階でロラン役を探していたときに若き朴璐美を実娘の劇団で発掘したのが決定的な製作の発端らしい。

低い予算の関係で画の乱れやセルの少なさが目立ちます。しかし相変わらず動かすところはなんとしても動かすその伝統の技法、、時間経過の表し方はまさに古い映画のよう。それが世界設定とあいまって、名作劇場といわれる所以かと。


ネタバレレビューを読む
多数の個性豊かな登場人物たちが物語を盛り上げます。大人になったファースト世代の方は食わず嫌いをせず見ていただきたい作品です。長いですけど・・。


ガンダムシリーズの公式的な最終回であり、『黒歴史』という名言でこれからも生まれ続けるすべてのガンダムや当時バンダイやら角川、講談社やらがとっちらかした設定をまとめあげてしましました。

∀の世界を『現在』にすることで、過去の出来事は異聞譚、あったかどうかもわからない物語ってことにしてしまった。
メタフィクションとして受け取るなら、あなたの好きな通りに解釈しなさい。遊びなさいと。
この発想はまさに目から鱗。
劇中とおなじく神話の世界へ当時半ば宗教化していたガンダム業界を封じ込め、開放してしまった。

『ひげは死すとも黒歴史は死せず』
そもそもこの黒歴史なる造語。作品以前の問題、日本語として最大級の発明品。語源を知らないで使ってる人間があまりに多い。


これを製作された以上、未来永劫新しいガンダムをどんなに作る、語ろうと原作者である富野監督の手のひらの上で遊んでいるにすぎないようだ。それはエゴだよ!って言われてもそもそも原作者なんだし、アラ60のじーちゃんが考えてしまったんだから・・天晴れじゃないでしょうか。

投稿 : 2025/02/22
♥ : 24
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

食わず嫌いは、ちと勿体ない!

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
ガンダムです。ちゃんと、ガンダムです。

富野さんのガンダムが好きなら、キャラデザ&メカデザに負けず、視聴してみて下さい♪

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/02/22
♥ : 31

67.2 4 サンライズでスペースコロニーなアニメランキング4位
機動戦士ガンダムZZ[ダブルゼータ](TVアニメ動画)

1986年冬アニメ
★★★★☆ 3.5 (463)
2130人が棚に入れました
宇宙世紀0088年、グリプス戦役でティターンズは壊滅しエゥーゴも勢力が衰退。摂政 ハマーン・カーンに率いられたジオン軍残党 アクシズが地球圏の制覇に乗り出す。グリプス戦役で傷ついたエゥーゴの戦艦 アーガマは、サイド1 シャングリラに寄港した。そこでジャンク屋稼業をしている主人公 ジュドー・アーシタとその仲間たちが、Ζガンダムを奪って一儲けしようと企んだことから、アーガマと関わり合いをもち、これに敵対するネオ・ジオン軍(アクシズ)の戦艦 エンドラとの戦闘に巻き込まれる。

声優・キャラクター
矢尾一樹、鈴置洋孝、岡本麻弥、菊池正美、森しん、塩屋浩三、原えりこ、松井菜桜子、堀内賢雄、戸谷公次、門間葉月、榊原良子、カシワクラツトム、本多知恵子

EVIZORI さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ジュドーの大人びた子供加減

コミカルな始まりからラストに掛けてガンダムシリーズ特有のストーリーの深さを盛り込んだ1作。
個人的にはジュドーの考え方が凄く好きで、見る度にジュドーらしく振舞って行けたらなぁと思いますね!
Zから間もない時代背景で、ファやカミーユが出て来たりします。モビルスーツもZから受け継がれた機体が長く出て来て分かりやすいです。終盤のガンダムチームは豪華で好き
ガンダムシリーズで見易い部類に入ると思いますが、一応宇宙世紀なのでファーストとかZを見ていないと分かりづらい所もちらほら。でもその辺も好きです。
しっかしラストのハマーンが22歳というのには驚きですね・・・w

投稿 : 2025/02/22
♥ : 7

Tuna560 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

『機動戦士ガンダムZZ』作品紹介と総評

ガンダムシリーズの第3作であり、『機動戦士Ζガンダム』の直接的な続編として、第一次ネオ・ジオン抗争を描いた作品です。

(あらすじ)
宇宙世紀0088年、摂政ハマーン・カーンに率いられたジオン軍残党(アクシズ)はネオ・ジオンと名乗り、地球圏の制覇に乗り出す。
グリプス戦役で傷ついたエゥーゴの戦艦アーガマは、サイド1のシャングリラに寄港した。そこでジャンク屋稼業をしているジュドー・アーシタとその仲間たちは、Ζガンダムを奪って一儲けしようと企んだ事から、アーガマと関わり合いをもち、これに敵対するネオ・ジオン軍の巡洋艦エンドラとの戦闘に巻き込まれる。(wikipedia参照)

衝撃的な展開が多かった前作とは対照的に、明るくコミカルかつテンポの良い作風にシフトしましたが、中盤以降頃からはコミカルな演出を残しつつも従来のシリーズ同様のシリアスな物語が展開され、どこかアンバランスな印象を受けました。
この故は、子どもの視聴者を増やそうと試みたためだそうです。主人公のジュドーが一貫して大人を理不尽な抑圧者として捉えている点や、第一作から引き続き描かれる“ニュータイプ”の概念についても、本作では特に「大人の理不尽さ」と対極にある「子供の純真さ」と重ね合わせて描かれています。良くも悪くも「子どもの目線」で物語が進んでいきます。

ハマーンやグレミーなど、魅力的なキャラも多いのですが…少しぶっ飛んだキャラが多く存在し、今までのガンダムの雰囲気とミスマッチを起こしている点が、観ていて非常に気になりました。

ただ、現在制作されている『機動戦士ガンダムUC』の登場人物と接点が多かったり、登場機体の元ネタがあったりと、無視出来ない作品でもあります。

富野監督のガンダム作品は個人的には高評価の作品が多いですが、この作品だけはどうも合いませんでした。

(1/20:追記)

投稿 : 2025/02/22
♥ : 10

がおー敦煌 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

無印 Z ZZまで現在見終えました。

最初に言っておきます。にわかです。私はにわかです!!!!!ガンダムマウントコワイ勢です!!! 

私はストーリーが好きなわけじゃなくMS MAが好きな部類です。
一番好きなMSがバウなのでとりあえず最初っから見るかっと思い無印から見ました。

バウのかっこよさは顔面偏差値ですね。Rジャジャといい勝負ですがバウが上ですね。
Zのバウンドドックとかも結構好きでしたが、やはりイケメンには好き度は勝てません。

しかし顔面偏差値をぬかせば全体的に大好物です。
このほかの作品も見るので現状はバウが私の彼氏です。

投稿 : 2025/02/22
♥ : 3

69.1 5 サンライズでスペースコロニーなアニメランキング5位
機動新世紀ガンダムX [エックス](TVアニメ動画)

1996年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (339)
1850人が棚に入れました
アフターウォー (A.W.) 15年。人類と地球に壊滅的な打撃を与えた勝者無き大戦争、第7次宇宙戦争後の荒廃した地球が舞台。戦争で孤児となった主人公ガロード・ランは、ジャンク屋やモビルスーツ狩りを生業として逞しく生きていた。そこにある依頼が来る。内容はバルチャー艦「フリーデン」に誘拐されたティファ・アディールという少女を取り戻してほしいというものだった。しかしティファに一目惚れしたガロードは、依頼者を見て激しく怯えたティファをつれて逃走。そしてティファに導かれたガロードは、幻のモビルスーツ「ガンダムX」を発見する。紆余曲折を経て二人は、フリーデン艦長ジャミル・ニートと共に、「ニュータイプ」と呼ばれる人々を探す旅に出るのだった。
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

私にとって最初のガンダム作品

1996年4月~12月放送のテレビアニメ。全39話。

私が全話きちんと視聴した最初のガンダム。ほぼリアタイでした。
ガンダムについて詳しく知る前にこれを見ちゃったのは「設問を見る前に解答例見ちゃった」感があるなあw
BDBOX発売が近いので再視聴しました。


高松信司監督が「ガンダムを考えるガンダム」と語った通り本作はファーストガンダムをオマージュしていますが、きちんとまとまった内容なので初代を知らなくとも問題ないと思います。私は本作がほぼ初のガンダム作品だった(Wを何話か見ていたくらい)ので何も知らずに子ども心に楽しみました。

本作は作画スタッフの少なさが弱点ではありますが、コンテ・演出に作画がしっかり噛み合っていることは大きな美点です。また楽曲のクオリティが高く演出としても上手に使われています。無駄なキャラクターもおらずテーマと物語の一貫性も保たれていました。
スロースターターながらフォートセバーン編からテーマが見え始め、メタ要素はあるにせよ決して難解ではない点も評価に値します。

また、純粋にキャラものとして見てもなかなか楽しめる作品。
客観的に考えると本作の世界観はかなり重くシビアですが、主人公であるガロードのバイタリティやティファとの関係性、フリーデンの和やかな人間関係が作風を明るくしてくれます。


【テーマについて】ネタバレレビューを読む


【作画・演出】ネタバレレビューを読む


【音楽】ネタバレレビューを読む


【キャラクターについて】
地に足の着いた印象のキャラクターが多いですね。
キャラそのものも好きですが、フリーデンクルーは厳しい世界で助け合って生きていて、娯楽室や食堂などでクルーの関係性を知るシーンが多かったのが良かったです。テクス先生の活躍は一見の価値あり。
ただ終盤にウィッツの活躍が無かったのは残念でした。サテリコンの掘り下げももう少し見たかったですが、放送期間短縮と連続性の強い展開でちょっと難しかったのかな。
みんな好きだけど、今回見直して特に色々考えたキャラについて少し。

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まとまりが良く全体的な質は高いと言えると思います。誠実な作品作りが形になった好例ではないでしょうか。
地味な作風ですが、肌に合えば年齢性別問わず楽しめると思います。(2018.3.8)


【ガンダムチャンネルにて一部無料公開中】
改めて見ても音楽の使い方が素晴らしいです。
HDリマスターを公開しているので色味もとても綺麗です。背景の空などは色選びも新鮮ですし。BDそのままの色を見ることができますよ。

第1話前半だけでも雰囲気は掴めるので、興味があればどうぞ。
(2020.2.9)

【ガンダムチャンネルにて第14話以降を期間限定で配信開始】
ガンダムXでは珍しい単発回の第15話が公開されてます。この話数だけでも面白いと思いますよ。
良い回なので是非ー。
(2021.2.23)

投稿 : 2025/02/22
♥ : 23
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ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ガンダムのフォーマットを借りた少年・少女の初恋ストーリー

視聴率が余り取れなくて、ガンダムシリーズとしては珍しく放送期間が短縮されてしまった不人気作ですが、実際に視聴してみると、その「ガンダムらしくなさ」が逆に個人的には次第に好もしく思えてくる作品となりました。

監督の高松信司氏は、前年(1995年4月-1996年3月)に制作・放送された『新機動戦記ガンダムW』で、本来の監督(池田成氏)が突然途中降板した後、監督代行を本作の放送直前まで務めており、本作のシナリオについては、前作『ガンダムW』と同じく複数ガンダム・複数パイロットとする等の大枠を示した後は、川崎ヒロユキ氏にほぼ丸投げだったそうです。

そして、そういう経緯から本作のシリーズ構成&脚本を一人で担当することになった川崎ヒロユキ氏の方は、その後2005-6年に制作・放送された『ツバサ・クロニクル』(CLAMP原作)の第1-2期の脚本も一人で全話担当している方、ということで、そうした日常系ではない特殊な世界観設定のある「少年・少女の初恋もの」の脚本家として高い適性のある方なのではないか、と思いました。

※つまり本作は、《イベント牽引型》作品の代表格である「ガンダム」向けのシナリオではなく、登場キャラクターたちの細やかな心情推移をゆっくりと描き出す《感情描写型》のシナリオになっている。
→それが、本作が「ガンダム」としては不人気作となってしまった一方で、私には好ましい作品に思われた原因と思います。

なお、《感情描写型》作品ということの補足説明として、本作は、
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・・・等をそれぞれ確り描出しており、視聴者がそうした細かい描写に気付くかどうか、で本作全体への評価も微妙に変わってくる作品かも知れません。


◆制作情報
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◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

============= 機動新世紀ガンダムX (1996年4-12月) ============

 - - - - - OP「DREAMS」、ED「HUMAN TOUCH(英語版)」 - - - -
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 - - - - OP「DREAMS」、ED「HUMAN TOUCH(日本語版)」 - - - -
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 - - - - - - - - OP「Resolution」、ED「銀色Horizon」 - - - - - - - -
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★★★(神回)0、★★(優秀回)1、★(良回)21、☆(並回)17、×(疑問回)0 個人評価 ★ 4.0


◆富野氏の作品は「叙事文学」的、それに対して本作は「叙情文学」的?

そもそも「ニュータイプ」という「只の超能力者」に関する勿体ぶった(その実、何の内容もない)言説には余り興味が涌かない自分には、本作のような《感情描写系》で「叙情文学的」な作品の方がしっくりくる感じです。

なお、私の個人的意見として、ガンダムシリーズは「文学的」ではあっても全然「哲学的」ではない、と考えています(物語-story-としての面白さはあるが、論理考究的な面白さはない)。

※この点については、現在視聴中の『銀河英雄伝説』が、「哲学的」な面白さも兼ね備えた作品と思うので、そちらのレビューの方で比較考察したいと考えています。

投稿 : 2025/02/22
♥ : 26

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

幽玄の中の新人類(ニュータイプ)

※1劇場版「機動戦士ガンダム」公開からおよそ15年後に製作された、テレビシリーズとしては7作目のガンダム作品。全39話。

ガンダム平成3部作(アナザーガンダム3部作)と呼ばれる作品群の中では、G、Wに続く最後の作品あたり、監督を務めた高松信司さんの言によると、作品のテーマは「ガンダムを考えるガンダム」との事。

スペースコロニーの独立運動に端を発する大戦争の末、人類の99%以上が死滅し、文明の名残も僅かとなった広漠とした世界が舞台のお話。

※2バルチャーの少年ガロードは、運命に導かれるまま(成り行きのままにとも言う笑)に、ニュータイプの少女ティファ、かつてニュータイプと呼ばれていた男ジャミル、その仲間達と共に、放浪の旅へと繰り出します。

従来(あるいはそれ以後の)のガンダム作品とは異なり、物語の中心に据えられているのは戦争ではなく、あくまでも探求の旅。上で引用させてもらった高松監督の示唆する通り、メタフィクション的な視点からガンダム、あるいはニュータイプを再評価した、珍作「Gガンダム」に負けず劣らず(方向性は全く違うけど笑)の冒険的な試みを断行した、シリーズ中屈指の異色作品になっていると思います。

戦争に駆り立てられる訳でもなく、使命を帯びる訳でもなく、ただただ、個人的な想いをつてに人探しの旅を続けるジャミルおよびバルチャー一行の織り成すドラマは、やや冗長で緩慢。

ガンダム作品ではお約束となっている擬似家族ドラマや恋愛物語としての魅力は充分にあるものの、基本的には人探しと戦闘(小競り合い)の繰り返しの構成となっており、最後半になってやっとの登場となる「D.O.M.E.」なる存在が物語に影を落とすまでは、山場と言える様な大きな展開がありません。心地良い退屈感を覚えてしまいました(笑)

主人公のガロードにしても、言わば地を足で行く努力型。ガンダムシリーズの主人公にはありがちな、※3特別な力を持った存在としてではなく、むしろ生粋の※4オールドタイプの少年として描かれているので、ヒーロー性が弱いと言いましょうか、格好良さや華々しさとは縁遠い印象を受けます。元気印で天真爛漫な姿は見ていて痛快ですが、主役としての覇気に欠け、やや頼りなく、物語を牽引する役割についても脇を固めるティファとジャミルにそっくり譲ってしまっている様にさえ思えました。(二人のお供の立ち位置なので仕方無しですけど)

作品全体を俯瞰して見ると、このヒーローらしくないヒーローであるガロードという少年の人物像は、物語のテーマにしっかりと絡み付いておりまして、その意義は"敢えて特別ではないキャラを主役に据える事"そのものにあったのではないかと思われます。言葉に毒されぬ直感型、頭でっかちにならず体を動かす行動派である彼は「ニュータイプ」と言う言葉で理想化された"進化した人類"という概念の破壊と再構築を担う役回りとして、最適なキャスティングだったのではないでしょうか。

人は理想を求めて生きる動物ですが、あくまでも理想は絵に描いたモチ、それ以上でも以下でもなく^^。理想と現実を混同し、もしそれを自身に強いれば、必ずひずみが生じ、病み、もしそれを他者に強いれば、それはエゴとなり、争いの種となる。幼子が博識な大人を見る時、恋する人が想い人を見る時、それがその瞬間幻となるのと同じように。

ニュータイプ(アニメキャラ)という理想に魅せられた少年少女が大人になる通過儀礼としての一面も備えた本作は、裏を返せば、そんな理想に捉われた人々の心の歪みが紡ぐ青春群像劇と言い変える事が出来るのかも知れません。

ニュータイプなんて関係ねぇ!のポーズをとり続ける自由なガロード、ニュータイプとしての力を求められ戸惑いながらも信念を曲げない強い子ティファ、ニュータイプであった過去から逃れられず苦悩する探求者ジャミル、ニュータイプになりたかった献身の人、高潔な魂のカリス、ニュータイプを憎み、滅ぼさんとするフロスト兄弟。

言霊に縛られた人々が白い闇を抜けて、それぞれの道を歩むまでの姿を描いた「機動新世紀ガンダムX」。これはそんな人たちの物語。心を平らかにしてお楽しみ下さい。

最後に、申し訳程度の説明になりますが、ガロードとティファの繊細で優しさに満ちた恋愛描写につきましては、シリーズ屈指、いやむしろ、恋愛を扱ったアニメ全般をひっくるめても突出した微笑ましさと愛くるしさがあったと評価したいです^^

前途ある二人に祝福あれ!


※1:本作のタイトルは劇場版「機動戦士ガンダム」公開直前に、新宿駅前で行われたイベント「2.22アニメ新世紀宣言」を踏まえているそう。劇中の年号「A.W.(アフターウォー)15年」もこれに因んでいるとの事。

※2:ハゲタカの名の通り、廃墟を漁り、使えるものや金になるものをかっぱらい、自分達で利用したり、売り捌いたりして生計を立てているジャンク屋みたいなもの。いくつもの派閥があり、中には傭兵や追い剥ぎまがいの行為をする連中もいる。

※3:あくまでも設定として。バルチャーとして年齢不相応の抜け目無さと逞しさがあり、モビルスーツ乗りとしての天性にもスペシャルと形容していい程に恵まれている。

※4:ニュータイプの対義語。精神感応や未来予知など超能力に類する能力を全く持っていない人。つまり普通の人。

投稿 : 2025/02/22
♥ : 27
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