サイバーパンクで頭脳戦なおすすめアニメランキング 5

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのサイバーパンクで頭脳戦な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月27日の時点で一番のサイバーパンクで頭脳戦なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

92.1 1 サイバーパンクで頭脳戦なアニメランキング1位
攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX[スタンドアローン・コンプレックス](TVアニメ動画)

2002年秋アニメ
★★★★★ 4.3 (5060)
21557人が棚に入れました
西暦2030年…あらゆるネットが眼根を巡らせ、光や電子となった意思をある一方向に向かわせたとしても「孤人」が複合体としての「個」になるほどには情報化されていない時代…。
情報ネットワーク化が加速度的に進展し、犯罪が複雑化の一途を遂げる社会的混乱の中、事前に犯罪の芽を探し出し、これを除去する攻性の組織が設立された。内務省直属の独立部隊公安9課、通称「攻殻機動隊」である。
公安9課の役割は、深刻な電脳犯罪への対処、国内における要人の援護、政治家の汚職摘発、凶悪殺人の捜査から極秘裏の暗殺まで、多岐に渡っている。彼らは電脳戦を最も得意としつつ、高性能義体を生かした物理的な戦闘においても特筆すべき能力を発揮する、精鋭部隊である。

声優・キャラクター
田中敦子、阪脩、大塚明夫、山寺宏一、仲野裕、大川透、山口太郎、小野塚貴志、玉川砂記子
ネタバレ

ラスコーリニコフ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

あにこれでの攻殻の順位変動

■攻殻の順位変動について

自分があにこれに来たのは2011年の夏、招待制だった頃で、その頃
の攻殻の総合順位は7~9位くらいだった気がする。

たしか1位がとらドラ!、2位エヴァ、3位がCLANNADのAFだったかな。

CLANNAD、あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。も現在よりは
上位だったはず。

その後、一部のエヴァアンチによる悪意のある工作(明らかに1人の
人間が大量のIDを用い低評価を付けまくり)により、エヴァの順位が
やや低下。シュタゲとコードギアスが徐々に上昇。

あとは自身何度か休止を挟んでいるので、正確な事は分からないです
けど、大きな動きは無かったような。

2013年の6月、化物語が急にトップに、攻殻も一気に順位を上げる。

詳しくは

化物・攻殻の大躍進
http://www.anikore.jp/board/608/

自分は2013年の6月下旬~11月中旬まであにこれを休止しているので、
どう変化したのか分からないですが、気付くと攻殻が1位になっていた。


■攻殻機動隊が1位の弊害

レビューサイトとしての信頼度は上がる気がするものの、あまり良い
事では無いよーな・・。


・視聴のハードルが高い

あにこれに初めて来た人が最初にチェックするのは、総合1位の作品と
そのレビューだろうし、それがよく知らない作品だったとする。

普通は見る。自分が来た時も、まずは「とらドラ!」を見た訳ですよ。

釘宮病だったので掘り出し物を見つけた気はしたものの、ストーリー
はそんなに面白く無かった、なんでこんなもんが1位なんだよ、と。

とはいえ、とらドラ!だったら多分どんな人でも完走出来るだろうし、
死ぬほどつまらない、なんて事も無いはず。

少なくとも「話が難しくてよく分からん」という事はまずない。攻殻
だと結構な確率でそれがある訳です。

「初っ端で挫折する人が出て来る」、これが問題の1つ。

タグに社会派ドラマとかあるけど、巷で話題の半沢直樹とかとは受け
入れの広さが違う。

「やられたらやり返す。倍返しだ!」で、キャッキャするよーな事は
できねー訳です。


・レビューも書きにくい

頑張って完走したとする、そうなると次はレビューです。

レビューを書くのが初だったら、まずは人の真似をして書いて慣れる。

あ~みんな 感動した 最高だった 神アニメだった って書いてる。

よし、じゃあ自分もそんな感じで書こう、と。

そんなノリで書いたレビューは段々消したくなるのですが、仮に後に
消したり書き直す事になるとしても「慣れるために必要な事」な訳で、
攻殻の場合はそのハードルが非常に高い。

「え~、こんな視点で見て、こんな事を書かなきゃいけないの~」

なレビューが沢山並んでいる訳です。当然、脱落する人が出て来る。


■一部の人用の作品

○攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 【全13巻】
巻数  初動  2週計  累計   発売日
01巻 *8,722 **,*** 19,680 02.12.21

○攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG 【全13巻】
巻数  初動  2週計  累計   発売日
01巻 11,533 14,576 20,158 04.03.26 


ほぼ同時期に出ているガンダムSEED

○機動戦士ガンダムSEED 【全13巻】
巻数 初動   2週計  累計   発売日
01巻 30,147 38,685 71,081 03.03.28

売上が全てという事では無いですが、圧倒的に負けている訳でして、
性質としては あにこれでの順位は876位、総合得点は64.7点 の

○頭文字D Fourth Stage 【全12巻】
巻数  初動  2週計  累計  発売日
01巻 22,008 29,647 44,169 04.06.16

に近い。「特定の事に興味がなければ普通は見ない、けど、その一部
をほぼ確実に掴める」攻殻もそういった類のものです。


◯涼宮ハルヒの憂鬱 【全8巻】
巻数  初動  2週計  累計  発売日
00巻 28,729 33,892 35,176 06.06.23

○コードギアス 反逆のルルーシュ
DVD版 【全9巻】
巻数  初動  2週計  累計  発売日
01巻 36,634 45,593 62,527 07.01.26

○魔法少女まどか☆マギカ 【全6巻】
巻数    初動       2週計      累計
      BD(DVD)     BD(DVD)    BD(DVD)
01巻 52,944(*9,097) 57,767(10,295) 68,547(11,542)

○化物語 【全6巻】
巻数    初動       2週計       累計
      DVD(BD)    DVD(BD)     DVD(BD)
01巻 15,513(29,372) 19,103(37,251) 24,755(58,048) 

○けいおん! 【全7巻】
巻数    初動       2週計      累計
      BD(DVD)     BD(DVD)    BD(DVD)
01巻 32,503(*7,949) 35,220(*9,418) 42,625(10,847) 

○進撃の巨人 【全9巻】
巻数    初動       2週計      累計
      BD(DVD)     BD(DVD)    BD(DVD)
01巻 37,339(19,454) 40,488(21,852) 51,473(29,252)


もっと色々見たければ、

検索 TVアニメ 先発累計平均5000超作品一覧 除外方式 2000年以降


つまり「1位の作品を見る」という気持ちでは、見ない方が良いです。

現在たまたま1位ですが無理して手を出すよーなものではない、内容
に興味がある一部の人だけが勝手に見て、勝手に盛り上がる代物。

自分も含めて、攻殻好きは「理屈っぽくて面倒臭いイメージがある」
ので、レビューを書いたらマイナスになる事もあると思います。


■下がんねーかな順位・・

見て面白くなかったら、積極的に面白くねー、つまらねーと書くのが
良いです。

所詮メスゴリラとむさい男共とハゲジジイが社会の隅っこで色々な事
をしてるだけの話で、2ndに出て来る茅葺総理の雰囲気が少しエロい事
以外は女っ気の欠片もない。

美女、美少女不足は現代アニメとしては「重大な欠点」な訳で、欠陥
商品にはいくら文句を言っても問題ねーです。


大昔に書いた少し恥ずかしいレビュー
(をやや修正、主に「読むに堪えない暑苦しい部分」をカット)
{netabare}

レビュータイトル:よし、そろそろ熱い想いを込めて書こう。

このサイトに来て半月程。
長文書くのは久々だったし、そもそもレビューを書くのは初体験で
この作品への思い入れが強過ぎたせいでこれのレビューを書くのを
後回しにして来たけど、大分慣れて来たんでそろそろ書く事にする。


■一部の人用の作品、マニア用、無駄な凝り具合

普通のアニメとは凝り具合が完全に別方向。

自分は、これ以外の作品ではどれだけ評価が高いものでも気に食
わないと言いたい放題書いてきたし、レビューの内容はそれで良い
と思います。


■科学崇拝

とある魔術の~の話じゃなくて、科学崇拝者ホイホイ作品という話。

【エヴァの自分のレビューの一部】

(エヴァレビューにはひどい事を書き過ぎた為、少し反省、控えめ
 に書き直しを行い、今はこの部分は残ってないです)

ーーーーーーーーー
「攻殻」-「立証可能な理論、現実性」+「ウジウジ君」=エヴァ

「現実を元にした虚構」=攻殻 「虚構を元にした虚構」=エヴァ

背景にあるのがエヴァの場合は宗教と現実味の無い哲学で、攻殻
の場合は、背景が科学と推論としての哲学、あと文学少々。

攻殻は実際ある理論を元に今後ありそーな世界で、ありそーな事を
やってる訳で、両方メッセージ性で話題になった事あるけど、違いは
理解して頂きたい。
ーーーーーーーーー

攻殻を絶賛していたアニオタの友人達は皆が数学、物理、科学等の
崇拝者でして、情緒面よりも科学、エロ、萌え、そして金。と。

検索 空想科学読本

この本中身を知らずにバスで読んで笑いが止まらなくなって困った
事があったんですが、多分この手の作品が好きな人がハマる傾向が
あるのが攻殻。

つまり理系用作品、文系でこの作品の中身にまで興味を持った人は、
相当偏差値が高く良い高校や大学へ行っている(た)人な気がする。

ちなみに「攻機」じゃなく「攻殻」と略しているのは、何の作品なのかが
分かりやすくなるようにする為。口頭でも「攻機」と言ってしまうと通じ
ない場合があるので「攻殻」と言う癖が付いてます。


■銃器、兵器、他陸自等、軍事オタホイホイ

作品には架空のもの実在のものが出て来て、攻殻はかなり凝って
ます。興味ないと評価できないでしょうけど、これも売りの一つ。

ブラックラグーンとかでも少し出て来る話で、
(「軍人達は皆プラグマティストだ、憶測じゃ動かない」だったかな)

軍事はプラグマティズム(実用主義、道具主義、実際主義、行為主義)
の塊なので、科学崇拝者達とは非常に相性が良い。


■攻殻は近未来の日本が舞台の話

2030年頃の日本を舞台にした話なんですけど、2019年の事とかも
あるので、現在2011年ですけど、ちょっとリアル科学は攻殻に追い
つきそうにないですね。追いつくと思ったのになー・・残念だ。


■本当にありそーな設定、無茶とは言い切れない設定

「立証可能な理論、現実性」「現実を元にした虚構」

・・、立証可能な理論って言葉の使い方おかしいけど、他に言葉も
浮かばないから、イメージとして理解して頂きたい。

(実証、証明・・とも少し違うよーな、やはり立証が一番近い気がする。
理論を立証するって言い方はあるから、立証可能な理論でOKなはず)

そういった現実からの発展、推測、推論、未来予測が元になってる
作品なので「そんな未来があり得そう」な訳です。


■その発想力と設定の細かさ

ここのレビューの限界文字数知らないけど、本気で書くと多分余裕
でオーバーするので、設定は解説サイト見て来ると良いです。

架空の話なんだから、そんなとこまで細かく設定する事ねーよ!な
内容で、それ故にマニアが食い付く。


■出てくるキャラ

メスゴリラ、むさ苦しいおっさん達、無駄に有能なジジイ、そして
攻殻が好きはきっと皆大好き笑い男。2rdでは雰囲気がエロい総理。


■作画

萌え絵じゃなくて、変な作画じゃなくて、本当に良かった。


■台詞

センスが日本のアニメのよくあるそれではない、ハリウッド映画系、
ともやや違う、脳筋系すらそのセンスのせいで激しく良いキャラに。

蒼天航路、富野作品、ブラクラ、銀英、冨樫や福本作品、ビバップ

パッと思いつくので、それぞれが独特に台詞が印象に残る作品。

攻殻にも脚本に6人のうち1人がビバップに関係してるけど、ビバップ
ともやや違う。台詞一つで台無しになるところを素晴らしい仕上がり。


■声優

有名どころだけ:田中敦子 大塚明夫、山寺宏一 中田 譲治 三木
眞一郎  折笠愛 榊原良子


■音楽

日本の至宝、菅野ようこ様

検索 Inner Universe (full song)

2011年秋に480万再生、2013年年末に900万再生。


■アニメーション製作・Production I.G

作中もだけど特にオープニングが気合入り過ぎで、当時開いた口が
塞がらなかった。

検索 攻殻機動隊 S.A.C Origa - inner universe OP : Ghost in the? Shell

検索 攻殻機動隊 S.A.C 2nd GIG Origa - rise - YouTube


■これが原作漫画だと?

原作を超えたとかよく聞くし、原作は見る気も起きない。


■士郎正宗

原作者の別の作品「RD潜脳調査室」を見た時の、俺の落胆っぷり
といったら・・いや、そんなものは存在しなかった。


■周囲で影響を受けた人は数知れず

急にハッキング系の本を読み出したり、サリンジャー作品を読み出し
たり、作品に出てくる用語をネタとして使いまくる人々。自分がよく使用
したのは「~と囁くのよ、私のゴーストが」

人気があったのは光学迷彩

検索 光学迷彩 ニコ大百科


■STAND ALONE COMPLEX

独立した個人が結果的に集団的総意に基づく行動を見せる社会現象
孤立した個人でありながらも全体として集団的な行動をとる


この作品は色々な部分を作ってる人々が、他の部分のあまりの出来の
良さに影響されて、普段の実力以上の仕事を、創作への熱意を燃やす
事になった、そう解釈しています。

「どんな環境でどんな仕事にも真剣に取り組む人」は非常に立派です。

しかし、やはり他がダレていたり、打ち込む価値が無いと感じてしまう
と、どうしてもやる気が無くなる、人間とはそういうものです。


我々の間には、チームプレーなどという都合の良い言い訳は存在せん。
有るとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ。


製作側がアニメをどういう風に作っていくかは知らないので、ただの
妄想。

スタッフ全員本気で良い仕事し過ぎて、自分だけ手が抜けなくなった、
というより自分も感化されて本気になった、攻殻機動隊製作委員会に
はそれがあったと思う。

質の良い原作ありきで、更にスタッフ個人の良い仕事し過ぎ、頑張り
過ぎによる相乗効果、その成果こそが

「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」だと、自分は信じている。


■書き直したい

暑苦しい駄文を大分カットしてすっきりしたけど、全部書き直したい。

でもそんな事をするなら、最初から全部見ないと・・。
{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 120

ごんざれす さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

上質な政治・官僚ドラマ

本作品は政治ドラマというほうが正確かも知れない。

政治的というよりは官僚的な表現や言い回し、考え方が多く最初はついていくのが大変ではあったが、話は綿密に練られており、予想外の展開も随所に見られ非常に見ごたえのある作品。

権謀術数を駆使したり最新技術やそれから発生する事件など、知的な好奇心を刺激する。

もともと士郎正宗氏の原作も綿密に科学技術を考慮した作品であるがゆえにリアリティを感じる将来的にはこんな世界になるのかなぁ。。。というある意味「絶望」をもたらす作品かもしれない。(人によっては希望だろう)

ブレードランナー的なサイバーパンクの世界感が好きな人はたまらないはず。

個人的には映画版の「攻殻機動隊」よりTV版のほうがさばさばしてて好きです。

是非一度御照覧あれ。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 47

ソーカー さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

あらゆる点でパーフェクトなアニメ

言わずと知れた、攻殻シリーズのテレビアニメ一期。
天才的ハッカーが起こしたと思われる笑い男事件を中心に、
公安9課「攻殻機動隊」の活躍を描いたアニメ。
近未来SFアニメとして最高の完成度を誇る素晴らしい内容。

哲学的な要素が多いアニメ映画版(GHOST IN THE SHELLとイノセンス)もありますが、
かなり一般人受けしにくい内容なので、なかなかすんなりとはおすすめしづらいところ。
一方、テレビアニメ版はアクションや頭脳戦もハイクオリティなので
エンターテイメント性にも優れています。(なので映画版とテレビアニメ版は切り離して見るべき)
刑事ものをみるような感覚でも十分楽しめるし、9課の面々の魅力もタップリ。
色々と難しい設定やストーリーを色々と考えながら見なければならないので、
とっつきにくい人もいるとは思いますが、どっぷり攻殻の世界にハマれば良さは理解出来るはず。

映画「GHOST IN THE SHELL」を見て、その世界観に魅せられてこのシリーズにハマったクチですが
実際の所は、映画をみただけでは、設定や世界観が理解しにくいと思われるので
このテレビアニメ版から視聴するのが正解だと思います。
スタンドアローンコンプレックスとは一体なんなのか?
社会問題に切り込んだ娯楽性十分の素晴らしい傑作SFアニメ。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 59

90.4 2 サイバーパンクで頭脳戦なアニメランキング2位
攻殻機動隊S.A.C 2nd GIG(TVアニメ動画)

2004年冬アニメ
★★★★★ 4.3 (2334)
12411人が棚に入れました
「笑い男事件」が解決して半年…労働力不足を補うため国外から招かれた約300万人の招慰難民。日に日に存在感を増す招慰難民と、国家の孤立を謳うインディビジュアリストたちの対立は深まり、テロが頻発するようになった。その状況の中で「個別の11人」を名乗るテロリストがテロと自決を決行する。
だが「個別の11人」のその行為の背後には、あるからくりがあり、その仕掛けに踊らされていただけだった。それに気づいた公安9課は、その事件の黒幕へと迫っていく。
一方、自決した「個別の11人」の生き残りであるクゼは、招慰難民のカリスマ的指導者となり政府と対立を深めていく。そして素子(もとこ)はそのクゼとの間に奇妙な因縁を感じ始める…。

声優・キャラクター
田中敦子、阪脩、大塚明夫、山寺宏一、仲野裕、大川透、小野塚貴志、山口太郎、玉川砂記子

AKIRA さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

かくいう私も童貞でね(元ネタ知らなかった…)

↑これが元ネタだったのか… 

1期を一気に視聴したので、その勢いのまま視聴。

1期ほどは難解なストーリーではなかったですが相変わらず難しい話ではありました。1期は刑事モノ色が強かったですが2期は政治色が強いですね。難民のくだりなどは色々と考えさせられるものがありました。

後半になるに連れてクゼとゴーダという重要人物を交えての三つ巴は次の展開が読めずハラハラさせられましたし、間に挟んでくる素子の過去のの話もこれまで語られてこなかった過去の話なので非常に興味をもてました。

最後の4話は画面に釘付けになって見ていた。予想はしていたのだけれどもタチコマのくだりはグッとくるものがありましたね。

OP・BGMはもはや言うまでもあるまい。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 12
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

低きに流れた水の中の魚は灼ける大地の事を何も知らない

攻殻機動隊S.A.C.の2期に当たる作品。前作の「笑い男事件」終結から凡そ2年後の世界が舞台。今回テーマの中核となるのはナショナリズムにテロリズム、難民問題、代理戦争など。前作と比べさらに政治色の強い作風になっています。

地道な捜査の積み重ねで積極的に「笑い男事件」の真相を追うミステリー色の強い1期に対し、2期では依頼を受けてから行動、事件が起きてから対応という受身の展開が目立ち、常に※1攻性である事を謳い文句にしている9課の本領が発揮される場面が少なくなってしまっています。情報戦における優位性を確保出来ずに敵に先手を打たれるなんて場面もしばしば。物語の運びからもやや鈍重な印象を受けます。

1期では表舞台に上がらなかった「※2内閣情報庁(内庁)」なる組織が9課のライバル的な位置付けとして登場した事がその大きな原因で、内庁は監視、工作活動により、9課の動きを牽制しつつ、自らの組織の謀略計画を進行させていきます。

さらにこの2GIGではクゼという強敵も9課の前に立ちはだかります。テロリストという括りの中にありながら、非常に人情深く頭の切れるキャラなので、彼もまた9課のみならず内庁をも翻弄する存在として物語の中で大きなウエイトを占めていく事になります。

踏まえ、本作2GIGは、公安9課と内庁、さらにクゼを交えた-三つ巴の化かし合い-頭脳戦の色合いの強い作品になっていると言えるのではないでしょうか?

※1~2
{netabare}
※1:作中では当たり前の様に使われている単語ですけど、あれこれ辞書を引いても該当するものは見つからず(汗)内攻性(表面に表れず内側に広がり攻める意)という言葉は存在するので、概ねその逆のニュアンス、単純に攻撃的、積極的という意味合いで捉えても問題ない言葉だと思います。

※2:現・内閣情報調査室、国家安全保障会議、国際情報統括官組織などを統合して作られた組織との事。国内外の諜報活動や情報操作等による謀略活動なども行なう上、国防に関しても発言力を持つという非常に力のある組織。米CIAみたいな感じです。人員数、組織力の面で9課を圧倒的に上回る。
{/netabare}

また本作では、個人の情報を丸ごと外部記憶装置に移し変えた時、そこにゴースト(魂)は宿るのか?あるいは人造物にゴーストは宿るのか?という疑問や、肉体(義体)がゴーストに与える影響等についてのお話もそこかしこに見られ、1期と比べ、より原作テーマへの接近が試みられている点にも大きな特徴があります。

人の体を一度分解して別の場所に再組成する転送装置というものが、古~い海外ドラマの「※3スタートレック」とか洋画「※4ザ・フライ」なんかでは登場しますが、ちょっとだけ冷静に考えてみると、いずれの例でも、装置に入った人は転送の際-肉体が分解された時点で-一度死んでいると解釈出来る点に非常な怖さがあります(汗)分解の過程を除けば、本作で描かれる人体情報の電脳ネットへのコピーも、これとほぼ同じ事をしていると言えます。

ではコピーされた人格って同じ人?別の人?という疑問についてはどうなのでしょう。近似として双子の例を取ってみると、遺伝情報は同じでも、ヒトの脳の取り得る量子状態は一瞬毎に10の13乗通り以上あるらしく、両者の個性の分岐は主にそれゆえに生じる現象だそうなので、オリジナルにとっては双子に等しいコピー人格も、このケースと同じく独立した別個の人格になると考えられる様です。

さらに電脳ネット内の人体情報を別々の場所にコピーした場合、当然の結果として、3つ子、4つ子に相当する異なった人格をそこに見出す事が出来るはず‥。

まとめると、わたし達の身体に宿す人格(本作で言う所のゴースト)とは膨大量の選択肢から脳が選び続けた積み重ね、迷路の様に無数に枝分かれした可能性の末端にしか観測されない、また凡そ、この宇宙に唯一つしか存在し得ない、かけがえの無い奇跡の様な帰結と評価する事が出来るのです。

なので、今この文章をお読みの皆さん! 皆さんの中に仮にコピー人間の方がいらっしゃったとしても、何ら恥じる事はありませんよ。あなたはあなた以外の何者でもないのですから。「私が死んでも代わりはいるもの…」とか暗~い台詞は当然無用です(笑)ご自身のゴーストには一定の誇りと責任を持って胸を張って生きましょう!

‥さてさて、もう一つの原作由来のテーマ、肉体と精神の不可分性についてに話を移すと、これは電脳ネット内に記録されたコピー人格が自身の肉体を錯覚する事さえ出来れば(義体を手に入れるか電脳ネット内にアバターを作るなどすれば)充分にクリアー出来る問題だと思います。肉体から脳へ、脳から肉体へというフィードバックが上手く働かないと精神の健康を害してしまうそうなので、これは必須の条件と言えます。意識はあるのに外界の事を何も認識出来ない、な~んて状態がずっと続いたら※5SAN値が下がりまくる事は容易に想像出来ますからね(笑)原作漫画にあたる「攻殻機動隊2」や派生作品の「紅殻のパンドラ」においても、そんな問題について触れられていますので、ご興味のおありになる方はぜひ手に取って読んでみて下され。

※3~5
{netabare}
※3:邦題「宇宙大作戦」。惑星連邦(訳によっては銀河連邦とも‥かな~り違う)なるものが設立された遠い未来の宇宙を舞台にしたテレビシリーズ。宇宙船エンタープライズ号の船長カークと、その仲間たちの活躍を描く惑星・宇宙探査アドベンチャー。戦記ものの性質も若干ある。派生作品多数。今年(2017年秋)には「スタートレック:ディスカバリー」という新シリーズも公開されるそうです。でも日本での知名度は何故か低め(汗)

※4:転送装置を使ったある実験中、その中に一匹のハエが紛れ込んでしまい大変な事に‥身の毛もよだつSFホラー映画。

※5:クトゥルフ神話TRPGにおけるパラメーターの一つ。プレイヤーの正気度を示す数値。SANは英語のSanity(正気さ)の略。0になると発狂し、ゲームオーバー扱いとなる。
{/netabare}

文学について、引用元は1期はD・J・サリンジャー、2期は三島由紀夫とされていますが、後者については引用許可を取るのが困難とみられ、また右翼による殴り込みの可能性も踏まえ、結局の所、架空の思想家パトリック・シルベストルにすげ替えられたという裏話があるそーです。なんてこった(汗)

確かに神山監督は現実の事件と自身の作品を深く結びつける傾向があり、関係者からの反感を買う種を闇雲にばら撒いている節があります(笑)ですが、これはあくまでもフィクション。モチーフとした事件と作中エピソードの顛末には何の関係もありません。アニメに自分の思想を代弁させる様な行為はあまり褒められたものではありませんが、神山監督はギリギリの線の所でその点をカモフラージュしつつ、あくまでも社会問題に目を向けさせる方向に視聴者を誘導している様にわたしには思えます。何と言いましょーか、綱渡りですね~(笑)

三島由紀夫の名を使えなかった事で、前作と比べリアリティが落ちたと言う意見を方々で目にしますが、この点については、わたしはかえってそれで良かったのではないかと思ってます。前作におけるサリンジャーの引用のくどさは、作為的なものが見え隠れする所為で、かえってリアリティを削っていた様に私的には思えましたし、サリンジャーも三島由紀夫も知らぬっていう人にとっては、はっきり言ってどっちでもいい事ですからね。事実、物語としてちゃんと成立している※6総集編ディスクでも、シルベストルに関する台詞は殆ど削られていましたし(笑)

士郎先生の漫画の良い所は、特定の政治思想などに肩入れする様な事はせず、率直に淡々と未来世界を夢想している所にありますが、それだけに、善と悪、敵味方の図式で描かれる事の多い、ある程度の単純さが要求される娯楽性重視のアニメ作品とは、もっと言えば、テーマを明確に提示したがるきらいのある神山監督の作風とは、若干ながら相性が悪いのかも知れませんね(汗)


キャラについて、2期において先ず目を引くのはやっぱりこの人! 怪人・合田一人(名は"かずんど"と読む。ユニークな顔とセットで覚えよう)。顔面の右半分と左半分の造形のギャップが著しい、有名どころで例えるなら※7あしゅら男爵みたいな風貌してます。1期には存在しなかった役どころにあり、序盤から登場する明確な敵役として強い印象を残します。自己顕示欲の強い自惚れ屋。あくどい事を嬉々として語るタイプのキャラなので、視聴者の憤りの矛先も9課の人たちと同じくこの人に向かうかも知れません。

そしてクゼ・ヒデオ。能面の様に動かない顔を持つ※8前身義体のテロリスト。頭脳明晰にして戦闘能力極めて高し、自らの思い描く革命を実行に移さんと信念のままに行動する人。弱者の味方で無駄な争いを好まぬ人格者でもあるという、正に完璧超人。中の人(小山力也さん)曰く「完璧すぎて真似出来ない」だそうな‥わたしもそー思います(笑)

また、9課の新メンバーとしてアズマ、矢野、プロト君が登場しますが、前者から数えて二人は出番少な目、影薄めの役回り。プロト君には結構見せ場が用意されてます。一応3人とも原作登場キャラで、アズマは押井監督の「イノセンス」にも登場。そっちでもこの人不遇な扱いですが(汗)原作漫画の攻殻機動隊1.5では出番多めだったりします。嗅覚素子が強化されていてワンコみたいに臭いで対象を追跡出来るという裏設定あり(笑)

※6~8
{netabare}
※6:新作映像、新規アフレコを追加して161分にまとめた再編集版「Individual Eleven」の事。シルベストルに関する台詞、個別エピソードの殆どをカット。スピード感重視の映画的編集になっており、テレビ版よりもサクサクと物語が進む印象で観やすかったです。

※7:元祖スーパーロボットアニメ「マジンガーZ」に登場する悪役。右半分は女性、左半分は男性という設定の人造人間。

※8:脳以外の全てを機械化している人の事を指す。作中では少佐とクゼの二人が前身義体。部分義体の人とは異なり、生体にかかる負荷を殆ど考慮しなくても良いので、その動作は高速かつパワフル。痛覚とかの遮断も出来るので体が損傷してもひるまない。
↓続き
片腕サイボーグって何だか強そうなイメージありますけど、重い物を持ち上げたり、思い切りパンチしたりすると接合部分の脱臼や疲労骨折のリスクが大きくなって、あまりよろしく無いらしい。原作1巻では"部分サイボーグは「人間の能力を補う」前身サイボーグは「人間以上を作る」"と説明されていました。そういう理由でこの二人(次いで義体化率が非常に高いバトーさんとか)は別格に強い。主人公補正とかではない(笑)
{netabare}後半のバトーさんVSクゼの一騎打ちシーンは本作のハイライトシーンの一つ。派手なシーンではありませんが緻密な描写が美しい!最優の義体使い同士の闘い、とくとご覧あれ!{/netabare}{/netabare}

構成について、続き物と一話完結のエピソードが明確に区別されていた1期と違い、大部分のエピソードが主軸となる「個別の11人事件」に関連する内容となっています。なので下に付記した分類は申し訳程度のものと考えて、素直に全話視聴した方が良い気がします。総集編を観て面白かったら、テレビ版を視聴というのもアリでしょう。

黒=一話完結 :1.2.3.6.8.10.13~15.17.18
白=クゼ関連 :5.11.12.16.19~21.23~26
灰=ゴーダ関連:4.7.9.22

全体的に緊迫感高め、アクションシーン多めの構成ですが、上でも述べた様に前作では深く切り込まなかったゴースト(魂)の所在についてのお話なんかも割と多めになっています。

他方で1期には辛うじてあった日常描写やお遊びシーンはさらに少なめです。でも本編終了後のお約束コーナー「タチコマな日々」は健在なのでご安心あれ。ちょこっとだけ笑かさしてもらえます(笑)

音楽について、前作に引き続き、菅野よう子さんの曲とOrigaさんの歌の相性が絶妙なオープニングテーマ「rise」が特に良いっ! 前作の「inner universe」は摩訶不思議な浮遊感が特徴的でしたが、今回の「rise」はドラマ、闘争を思わせる、流麗かつ勇ましい曲。2ndGIGの作風との親和性が感じられます。

作中音楽も全て素晴らしい。ですが最も印象に残ったのは、その名も「Go DA DA」という、オスマン軍楽の「ジェッディン・デデン」を改悪した様な曲。聴く度に"ヤなやつ出てきたな~"と感じてしまう程に強烈なテーマ。おかげで色々と刷り込まれてしまいました(笑)

完成まで長らくの時間を要してしまいましたが、学びつつ発見しつつ、ゴーストの囁きに導かれて、今回も楽しく書かせて頂きました。


再視聴を終えて(ネタバレ無しですが一応折り畳んでおきます)
{netabare}
小説や実写映画では既に御馴染みの、近年ではアニメ作品においても確立されつつあるスパイものというジャンルですが、今回の再視聴を通して、本作は後者の先駆けとして既に大きな仕事を果たしていたという印象が新たに加わりました。

フィクションの中で描かれるスパイと言えば、情報を盗み取るとか要人を暗殺するとか、かなり派手な仕事をするのが常で、華々しい表の面(変な表現だけど)だけを描く事がお約束となっていますが、反してこの職業の持つ地味で目立たない仕事、最も卑しい面が描かれる例は極めて稀です。

虚言の流布は現実の世界でもスパイの手によって頻繁に行なわれており、米ソ冷戦時代には特に苛烈に、またそれ以前もそれ以後も、手を変え品を変え巧妙さを増し、脈々と繰り返されてきたものであります。

活版印刷の発明以前から、プロパガンダ戦略は戦争においても、企業間競争などにおいても、大きな役割を占めていた様ですが、時代が進むにつれ、ラジオ、テレビ、ネットと情報の伝播の速さは爆発的な成長を遂げ、その重要性はますますの高まりを見せています。

近未来の世界を描く本作には、電脳ウィルスなるものが存在しますが、これもまたプロパガンダ戦略の一種と見て取る事が出来るのではないかとわたしは思います。

ネットワークを通して知らず知らずの内に人から人へと感染し、いつの間にかその行動を支配するという、ユーザーへの直接攻撃を目的としたコンピュータウィルスとも取れるこの技術は、一見怖ろしげなものの様に見えますが、ちょこっとだけ視点をずらせば、現代に生きる私たちもまた、既にテレビやネットなどを介して、感情や思考を意図ある何者かによって支配され続けている、そんな風には考えられないでしょうか?

一例をとってみると、テレビ人間とそうでない人の違いが挙げられます。テレビの中でも特にバラエティ番組の類を全くと言って良いほど見ないわたしは、テレビ大好きっ子みたいな人と話すと、その言葉遣い、ものの考え方に不安と言ってもいいほどの違和感を覚える事がちょくちょくあります。これは上の話で言えば、わたしがウィルスの感染源との接触を遮断した結果起きた必然であって、その良否はともかくとして、感染者と非感染者との間には無意識下のレベルで何らかの隔たりが生じてしまっている事を表します。感染源にはネット情報は勿論の事、紙媒体の本も当然含まれますので、わたしとて既に何らかのウィルスに感染してる可能性は充分にありますけど(笑)

洗脳は苦言によってではなく、甘言によって行なわれる所に、その正体の見つけ辛さがあります。良心に訴えかけるもの、同情を誘うものは、素朴な正義感を抱えているものにとっては格好のエサで、原油まみれの水鳥の映像や、一人の少女の証言が、戦争の正当性を高める為に利用されたという※9歴史的な事実さえもあります。

昨年話題になった「インターネット上で最も影響力がある25人」の一人に選ばれたある少女の発言にしても、わたしたちの殆どは、それが誰の意図または指示で行なわれたのかを知る術を持ちません。

総評として、大義名分の中に隠された嘘、人心操作のメカニズム、政治における光と闇の実態を、際どい所まで描き切った本作は、社会問題をテーマに据えた攻殻SACシリーズの中でも、最も危険な作品、屈指の名作と評価する事が出来るのではないでしょうか?


※9:湾岸戦争の事、アメリカ軍による自作自演と、難民を演じる様に指示されたクウェート駐米大使の娘によるプロパガンダがテレビなどで繰り返し報じられる。
{/netabare}

おまけ・用語解説など
{netabare}
映像カーテン:通電性のある特殊ガラスに微電流を流して電波や可視光を撹乱、遮断する技術。狙撃や盗聴に対して絶大な効果がある。

バイオロイド:クローン技術を用いて造られた人間。遺伝子操作によってネガティブな因子が取り除かれているおかげで物腰がとても柔らか。つまりいいヤツ。血が白いがロボではない。

スタンナックル:手袋型のスタンガン。義体化してる人にも有効。使用者にもビリッと来るらしい(笑

マテバ:イタリアの食品機器・銃器メーカーの名前。作中では主にトグサさんの使う回転式拳銃「マテバM-2008」が度々こう呼ばれる。発砲時のガス圧で次弾が自動装填されるオートマチック拳銃と比べ、単純構造ゆえに機械的トラブルが起こりにくい。装弾数が6発とやや少ないのが弱点。義体化を敢えてしないトグサさんのキャラと共に作中におけるアンチテーゼの一つになっている。と思う。

日本の奇跡:マイクロマシンによる放射能除去技術の事。人工物ではなく天然モノですが、1986年に原発事故を起こしたチェルノブイリで放射線を養分化できる細菌が近年になって発見されたそうです。除去や無害化とは程遠い性質ですが、こういったものの研究が作中の日本の奇跡みたいな技術に繋がっていくのかも知れません。

マシンなんて言うと鉄やシリコンなどの無機物から作られているというイメージを持たれている方も多いかも知れませんが、有機物のものは勿論の事、近年では生物から採取した生体パーツをそのまま利用する、ちょっと大きめなセボットと呼ばれるマシンなんかもあるそうです。けっこう怖い(汗)実は本作で描かれるマイクロマシンの多くも有機物だったりします。

また作中では「マイクロマシン汚染」なんて言葉もありますが、自己増殖する様にプログラムされたマイクロマシンやナノマシンは天然のウィルス以上に危険なものになる可能性があるそうで、戦争やテロなどへの使用も懸念されているらしい。こちらはかなり怖い(汗)

米帝:アメリカの政策を非難する際に度々使われる「アメリカ帝国主義」を指す言葉ではなく、本作における第四次非核大戦後、3つに割れた国の内一つを指す。正式な表記はアメリカ帝国(American Empire)他二つはアメリカ合衆国と米露連合。

ポセイドン・インダストリアル:「日本の奇跡」の開発によって飛躍的な成長を遂げた巨大多国籍企業。マイクロマシンの他に、義体、兵器の開発・製造なども行なっている。米帝と強固な繋がりがあり、前日譚(パラレルワールド扱いですが)の「紅殻のパンドラ」では悪の秘密結社のイメージ、危険な組織として描かれる。前身である「大日本技研」の名は士郎先生の承諾の元ガレージキットメーカーの名前にもなっているそうです(笑)

デカトンケイル:ポセイドン・インダストリアルが管理するスーパーコンピューターのこと。データを基に仮想人格を構築、シュミレーションする事が出来る。名の由来は10倍を意味する"デカ"と100の手と50の頭を持つギリシャ神話の怪物(巨人)"ヘカトンケイル"の様です。

スプリング8:「播磨科学公園都市内に位置する大型放射光施設。電子を加速・貯蔵するための加速器群と発生した放射光を利用するための実験施設および各種付属施設から成る。」とwiki先生は言ってました(笑)作中ではある人物がプルトニウムの分析の為にここへ向かう描写がある。

招慰難民:世界大戦(攻殻の世界では2030年までに2度の世界大戦が起きているという事になっている)で発生したアジア難民の内、日本に受け入れられた人たちがこう呼ばれる。300万人程いる。国から仕事を与えられているものの、国内労働力が過多の為、国民からは税金の無駄遣いと非難されている。

ハブ電脳:ハブは漢字で書くと轂。轂(こしき)とは車輪の中心、自転車で言えば放射状に伸びるスポークの中心部を指す。作中では膨大数の電脳から生じる意識を繋ぎ止める特定の人物の電脳の事をハブ電脳と表現していた様です。
{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 24

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

「かく言う私も童貞でね」

名作「攻殻」のテレビ版第二期の本作。みんな大好きな悪役、合田一人の登場。作画も音楽も前作よりパワーアップ!となれば前作以上の傑作になりそうだが…。


正直いって本作は前作に比べると劣る。前回と同じ、メインストーリーと一話完結のサブストーリーを同時に進める構成だがメインが弱いのが勿体無い。


難民問題という現実問題と、クゼという収拾をつけづらい要素がかぶってしまったのがアキレス腱となってしまったと言いたい。


前者は、最近の某火星アニメでもやってたが、現実の問題をモロに入れるのは悪手になりやすい。ちゃんと現実と繋がる要素があるのは大切だが、未来SFでモロに現実問題が出てくると冷める、という以前にそういう問題は解決できるわけないからどうしてもモヤモヤが残るし、普遍性を欠くことになりがち。


後者はカリスマという設定だからカリスマ、という同語反復みたいな人工的な感じのキャラであるクゼの存在。この設定を納得させるだけの魅力を描ききるのはやはり難しいものだったのだろう。


 作中でクゼに比べて二流、と言われる合田のほうがよっぽど魅力的なのだ。前作のアオイもそうだが、人間的な弱さがあるからこそ素晴らしい。


他にも、またタチコマが~とか、合田の最後がショボいとか色々弱い点がある。しかし、全体的に見ればやはりクオリティーが高い。一話完結のサブストーリーのほうは前作と同じく素晴らしいので見応え充分。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 21

86.6 3 サイバーパンクで頭脳戦なアニメランキング3位
GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊-ゴーストインザシェル(アニメ映画)

1995年11月18日
★★★★★ 4.2 (1104)
6542人が棚に入れました
他人の電脳をゴーストハックして人形のように操る国際手配中の凄腕ハッカー、通称「人形使い」が入国したとの情報を受け、公安9課は捜査を開始するが、人形使い本人の正体はつかむことが出来ない。そんな中、政府御用達である義体メーカー「メガテク・ボディ社」の製造ラインが突如稼動し、女性型の義体を一体作りだした。義体はひとりでに動き出して逃走するが、交通事故に遭い公安9課に運び込まれる。調べてみると、生身の脳が入っていないはずの義体の補助電脳にはゴーストのようなものが宿っていた。

声優・キャラクター
田中敦子、大塚明夫、山寺宏一、仲野裕、大木民夫、玄田哲章、生木政壽、家弓家正

takarock さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

90年代後半を振り返る ~身体と心の乖離、そして電脳社会の到来~

1995年11月に公開されたアニメ映画。
2008年にはCG映像を中心にリニューアルされています。
監督は押井守監督です。
アメリカのビルボード誌のビデオチャート1位を獲得、
「マトリックス」を始め、様々なハリウッド映画に多大な影響を与えた超本格SF作品。

風の噂によると押井守監督は、熱海の自宅を建てる為にこの仕事を引き受けたとか何とか。
まぁ風の噂ですよw

簡単なあらすじを言うと、西暦2029年。
他人の電脳をハッキングして人形のように操る
国際手配中の凄腕ハッカー、通称「人形使い」を
主人公草薙素子(くさなぎもとこ)が所属する公安9課が追っていくという話です。

電脳化というのは、脳にマイクロマシンなどを埋め込み、
そこからネットワークに接続できるといったようなもので、
主人公の草薙素子も電脳化、
さらには義体化(簡単に言うとサイボーグ化)している存在です。

もの凄くざっくりと本作の紹介をするとですね、
この人間と機械の中間のような存在の草薙素子が、
記憶すらもデータとして扱われる機械と人間のボーダーレス化が進んだこの世界で、
「本当に自分は人間なのか?」と
自己のアイデンティティを問うて葛藤していくという話です。

本作はよく、難解であるとか、哲学的である、なんて表現がされますが、
哲学的かどうかというのは一旦置いておいて、
少なくとも難解であるとは思いませんでした。
その当時観ていたら、難解だと思ったでしょうけど、
現在の視点から言えば、非常に馴染みの深いテーマなんですよね。
つまり、本作のテーマは90年代後半に、アニメだけでなく社会全体の問題として
再三再四に渡って取り扱われてきたということです。

では、ここで90年代後半とはどのような時代だったのかを
ちょっと振り返っていきたいと思います。


押井守監督作品によく見られるテーマ、
いや、ひょっとしたら押井守監督の哲学なのかもしれませんが、
「現実と虚構の境界線の曖昧さ」

90年代後半はまさにそのテーマを現実として目の当たりにした時代でした。
本作公開年である95年は、1月の阪神・淡路大震災の天災に始まり、
3月20日には、国内史上最悪の人災と言われたオウム真理教による地下鉄サリン事件発生。
これまでは、創作物の中の出来事と思っていたような事件が、
今現実に起こっていて、
TV画面越しにそのショッキングな映像が映し出されていたのです。
教祖の言うことならば、どのような凶行も実行してしまう心を失くした信者たち、
こういった側面からも盛んに議論が交わされていました。

1997年には、神戸連続児童殺傷事件(酒鬼薔薇事件)が発生。
自らを「透明な存在」と表現した当時14歳の少年が、
残虐無比な殺傷事件を起こし、日本中を震撼させます。

そして、街では
「身体と心は別物だから」と言わんばかりに少女たちは身体を売って、
援助交際は社会問題として取り扱われていました。

極めて不安定な状況に置かれた価値紊乱の時代。

また、1995年11月23日Windows 95日本語版を発売。
これが爆発的なヒットを記録し、
これまで夢物語と思っていたネットワーク社会が
すぐそこまで迫っていることを、一般層も意識せざるを得なかった
過渡期を迎えていました。

当時、ネットワーク社会が本格的に到来したら
日本はどうなってしまうのかなんてことは誰にも分からないことでした。

分からないということは、それは不安であり、恐怖でもあるのです。
ましてや、この時代は上述したように
「身体と心の乖離性」が大きく取り扱われていたわけですからね。

1997年にリリースされたサザンの「01MESSENGER ~電子狂の詩~」という曲があります。
これはPCやインターネット社会に対しての歌なんですけど、
ちょっと聴いてみましょうかw

ジャッジャッジャッラチャ~(前奏省略)

「君はいったい誰なの?」

はい、ストップ!!
ね、端っからこれですよ。

ネットワーク社会=仮想世界=そこに本当の自分など存在しない(本当の自分とは?)
もうこういう論調が当たり前だったわけです。
そしてそれは本作のテーマでもありますね。

90年代後半のアニメ作品を見ても、
95年10月に放送開始された「新世紀エヴァンゲリオン」は、
「身体と心の乖離」「本当の自分とは?」
これがテーマになってますし、
98年7月に放送開始された「serial experiments lain」なんかは、
まさに電脳仮想世界と現実世界の狭間で「本当の自分とは?」を
問うていくような作品なわけです。
厳密に言えば、本作とこれらの作品は似て非なるものなのですが、
それはまた別の機会に語ることにしましょう。


さて、90年代後半を振り返ってきたわけですけど、
こういう時代に生き、その当時の作品に触れてきた私にとっては、
本作のテーマというのは、難解でも何でもなく、お馴染みのテーマでした。
「90年代後半なんてまだ自分は生まれてないよ!」という方でも、
おそらくこういったテーマを扱った作品に触れたことがあると思います。

じゃあ、総括していきますよ。
政治的亡命とかODA要請とかの外交問題は何となくの理解で結構です。
公安9課と6課の内部コンフリクトについても何となくの理解で結構です。
専門用語? もちろん何となくの(略)
これらは主テーマを際立てせる為の、物語に重厚さを持たせる為の
ただの舞台装置と捉えてしまいましょう。

そして主テーマは、今現在の視点で言えば、非常に分かりやすいと思います。

細部までこだわり抜いた躍動感のあるアクションを楽しみ、
当時の技術の粋を尽くした映像を楽しみ、
物語の結末はどうなるのかをワクワクしながら楽しむ。

難解だと思えば、難解になりますけど、
シンプルに捉えれば、決して敷居の高い作品ではないと思います。

ただ、レビューを書いている人だと特にだと思いますが、
作品を網羅的に、構造的に理解しようとする人は結構多いんじゃないですか?
けれでも難しい所は何となくの理解でいいと思いますよ。

本作を視聴して、「この作品はそんな単純なものではない!」と思ったのならば、
各種考察を是非楽しんでみて下さい。
哲学的な視点から、宗教的な視点から、
台詞回しから、香港という舞台1つとっても、
本作は、それができる作品です。

95年当時、間違いなく衝撃的な作品だったでしょうし、
現在の視点で言っても、アニメ史に残る名作として語り継がれていく作品だと思います。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 65
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

世界5分前仮説

押井守監督によるの攻殻機動隊シリーズ劇場版第1作。
劇場版は、テレビ版の「攻殻機動隊 Stand Alone Complex(http://www.anikore.jp/anime/475/)」のパラレルワールドという設定です。
世界観がよく似ているのでどちらから入っても大丈夫です。
しかし、テレビ版から見たほうがとっつきやすくていいと思います。

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊 → http://www.anikore.jp/anime/1798/

イノセンス -INNOCENCE → http://www.anikore.jp/anime/1864/


人間の脳が電脳化され、ネットワークで接続されるようになった時代。
人形使いと呼ばれるスゴ腕のハッカーが、次々と電脳をハッキング。
それを追う公安9課(攻殻機動隊)の物語。


ガッチガチのシリアスなストーリーです。
テレビのシリーズとは異なり、タチコマという癒やし要素が存在していません。
もともとの硬派なアニメがさらに硬くなりました。


目立つ特徴は独特な間。
多くの時間がBGMと動画だけで占められています。
映像と音楽で表現される「行間」です。

しかし、いったんしゃべり出すと嵐のようなテーマ展開。

キーワードは、

・全と個の境界
・生命の定義
・現実と夢の境界

といったところです。
見るだけでくらくらしますね。
でも、そんな哲学を上手に表現するのが、このアニメの持ち味です。


みなさんは、「世界5分前仮説」ってご存じですか?
文字通り、この世界は5分前に生まれたという話です。

「世界は5分前に、5分前の状態で作られた」

別に30秒でも1時間でもいいです。
要するに、「記憶」は本当にあったできごとなのか、それとも植え付けられたものなのか。
それは証明できないという理論です。

このアニメでも似たようなことを表現しています。

自分という個が昔から確かに存在し、今も存在している。
それを証明する手立てはあるのか?
また、これからも個を存続させることはできるのか?

それに対していろんなアプローチをしているのが本作。
テーマは「アイデンティティ」。
カギとなるのが先ほどのキーワードです。


何やら難しいことを書きましたが、簡単に言えば、
{netabare}
素子(もとこ)「機械化しすぎてワケがわからなくなったけど、自分って本当に人間として生まれてここにいるの?」
人形使い「記憶があるんだから自分は人間と変わりがない。でも、自分をコピーで増殖しても進化がない」

機械に近い人間と、人間に近い機械。
さーて、そんな2者が合体したら答えは出るのかしら?
{/netabare}
ということです。

なかなか面白いテーマだと思います。
2度、3度と見ると、テーマにつながる新しい発見があります。
余韻が残り、いろいろ考えをめぐらせてみたくなる、そんな作品でした。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 59

ヒロウミ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

一般周知されることが無かった悲劇の名作

1995年公開作品?マジでっ!?原作マンガ1989年?マジっすか!?な物語。


この作品に触れるきっかけとなったのはパチスロ攻殻機動隊S.A.C 2nd GIGを打つ機会があり「タチコマ」のファニーな言動が面白くぐっと興味を引かれた。タイトルだけは聞いたことがあったがそれ以上もなく無関心そのものでした。


SF世界でゆったり流れる空気なのに至るところに撒き散らされた霧が充満しもやがかかったストーリー展開。退屈もハラハラも大きくあるわけではないがそれでも画面に食いついてしまうこの物語はマトリックスとセブンが合わさった空気感。そんな雰囲気が好きな方は事前情報無しでも楽しめる物語。この作品独自の専門用語が多いが何となく掴めると思います。


緻密に描写された世界、その世界を深く落とし込む劇中音楽、キャラクターに命を吹き込む声優さんたちの演技。Production I.G制作の近未来作品のロボットやアイテムやっぱ良い!良いぃぃぃ!
あにこれだと150位なんですね。ガタガタ物語&ロボダサなコー◯ギアスやS◯Oよりこれ間違いなく面白いと思うんだけどなぁ。


このシリーズ完走前からべた褒めしちゃってますが完走後再評価しようと思います。このシリーズの公開順序をご存知の方はご一報ください。
劇場アニメから出てしまっが故にエヴァほどの知名度を得ることができなかったのかもしれないが劇場アニメだからこそあるこのクオリティ。Production I.Gであれば大きな差異無く制作しただろうけど1年早く公開されていたらどうなっていたのか見物でもある。

タチコマいつ出てくるんやぁ?

投稿 : 2024/12/21
♥ : 31

78.4 4 サイバーパンクで頭脳戦なアニメランキング4位
攻殻機動隊S.A.C. Solid State Society[ソリッドステートソサイエティ](OVA)

2006年9月1日
★★★★★ 4.2 (894)
5489人が棚に入れました
「個別の11人事件」後、草薙素子が公安9課を去って2年経った2034年。草薙が失踪したことにより組織の変革を余儀なくされた9課は、課員を大幅に増やし、捜査活動やその方針にも変化が見られる。そんな中、シアク共和国残党の特殊工作員によるテロ計画が判明。実質的リーダーとなったトグサ率いる9課は捜査を開始。ところが当の工作員達が次々と謎の自殺を遂げる。新浜国際空港では、9課の目の前で1人の工作員が「傀儡廻が来る!」と謎の言葉を残して自殺する。\\n一方、単独でテロ事件の捜査を行っていたバトーは草薙と再会する。草薙はバトーに「Solid State には近づくな」と謎の警告をする。捜査が進むにつれ、バトーは草薙が「傀儡廻」ではないかと疑い出す。

ひげ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

乙女座の私にはセンチメンタリズムな運命を感じずにはいられない

一応シリーズ最終回。攻殻全体のサクロンのような作品。
2期で原作の冒頭とつなげました。
よって順ずる、、映画版、続編イノセンス、とつながった形になります。あくまで別世界設定のままですが。
それはファンの自由でしょう。
それらすべてにたいしてTVスタッフなりの結論を出します。
やっぱりおセンチな内容。日本人らしくていいと思う。
TVシリーズ以外でうーん・・どうなの?って消化不良に思ってるひとはぜひ見とくといいと思います。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 6
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

ラストが不完全燃焼感。残りはGOOD!

2期の続きです。
約105分のOVA。

「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX[スタンドアローン・コンプレックス]」
http://www.anikore.jp/anime/475/

「攻殻機動隊S.A.C 2nd GIG」
http://www.anikore.jp/anime/588/

「攻殻機動隊S.A.C. Solid State Society[ソリッドステートソサイエティ]」
http://www.anikore.jp/anime/1635/

1期レビュー → http://www.anikore.jp/review/646727/
2期レビュー → http://www.anikore.jp/review/667295/


2期からさらに2年が経過した2034年。
公安9課は、連続自殺、麻薬などの事件をひも解いていく。
その途中で現れる「傀儡廻(くぐつまわし)」というキーワード。
傀儡廻の正体にせまりつつ、少子高齢化や社会保障問題といったテーマにつながっていく。


ハラハラドキドキさせつつ、余韻が残るストーリーでした。
さすが攻殻機動隊。

実は最初に見たとき、すべて見る時間がありませんでした。
そこで、きりがいいところまでのぞき見しようと思ったんです。
それがそもそもの間違い。
53分まで止まりませんでした。
おかげで約束の時間に思いっきり遅れました。

……私が悪いですね、はい。


止まらない面白さ。
構成がうまく、アクションシーンも上質で、見ごたえが十分でした。
1期や2期と比べると、動き重視かもしれません。
{netabare}
突入のシーンはかっこよかったですね!
スーツ vs. タチコマ、心理戦も取り入れた良質なアクションでした。
{/netabare}


ただ、終わり方が少し強引だったかなと。
特別なことは何もしていないし、根本的な解決もできていません。
勝手に話が終わった印象があります。
{netabare}
傀儡廻の正体は推理できます。
素子(もとこ)が絡んだ集団的無意識の集合体なのでしょう。
個々の無意識が一つになることで、まるで意識を持っているかのように動くと。
しかし、決定的な証拠がありません。
そして、それがどうして最初の自殺の引き金になるのか。
すっきりしない点があります。
{/netabare}
また、自殺や麻薬といった話から、少子高齢化や社会保障というテーマにかわっています。
途中で論点をすりかえている気がするんですよね。
私の理解力がないだけかもしれませんが、一度見ただけでは疑問が残りました。
もう少し争点をはっきりさせて欲しかったです。


最後にひとこと。
作中にこんなセリフがあります。

「10の力で1つの事件を解決する組織」から「8の力で3つの事件を解決する組織」へ。

私もこの考え方には大賛成でした。
私は効率を求める合理主義者なんだなと実感しました。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 42

voja さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

さすが神山監督!

時間軸としては、ファースト、セカンド、劇場版、今作となるのかな?
もちろん、アナザーストーリーとして攻殻機動隊のTV、OVAがあるため、つながりづらいとは思うが、トータルとしてうまくまとまって作品は作られていると思う。
劇場版でもなくTV版でもない、1話のみの3作目。しかし、ストーリも重厚で前作と変わらず、心理戦、頭脳戦、銃撃戦といった見るものを惹きつける魅力は十分の作品。
最後は意味深な終わり方をしているため、これで終わりなのかはすごく疑問ですが、攻殻ファンとしては是非とも続編の作成を強く望むところです。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 5

75.8 5 サイバーパンクで頭脳戦なアニメランキング5位
PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR(アニメ映画)

2020年3月27日
★★★★☆ 3.8 (230)
1357人が棚に入れました
2120年、東京。シビュラシステムによって管理された社会で、刑事課一係を率いて事件を解決してきた二人の監視官、慎導灼と炯・ミハイル・イグナトフは、事件を捜査していく渦中で真実と正義を巡り決裂してしまう。それらの事件の裏で暗躍する梓澤廣一は、ついに刑事課そのものを標的に定め、公安局ビルを襲撃する。かつてない窮地に立たされた公安局刑事課一係。灼と炯の信義を問う、最後の事件が起きる――

声優・キャラクター
梶裕貴、中村悠一、櫻井孝宏、大塚明夫、諏訪部順一、名塚佳織、沢城みゆき、佐倉綾音、日髙のり子、宮野真守、中博史、日笠陽子、森川智之、堀内賢雄、矢作紗友里、関智一、野島健児、東地宏樹、伊藤静、本田貴子、花澤香菜

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

き、汚い!。流石サイコパス汚い。

フェイトがおじゃんになっちゃったので、急遽予定変更してサイコパスを鑑賞。正直3期は微妙だったし、アマプラで見れるから…と期待はしてなかったのですが、面白れぇ…じゃねぇかこれ。


しかし、やはり汚い!。詳しくはネタバレ注意なんで言えないですが、こんな終わらせ方は汚い!。でも…、好きってなってしまうのが罪深い。そもそもディケイドじゃあるまいし、続きは劇場で!はないと思いますが、ソフトが売れない今は色々厳しいのかも。


正直言って作画は劇場版に相応しい超豪華仕様じゃ全くありません。テレビのクライマックスな2、3話を劇場にかけた感じです。しかし、微妙だった3期が見違えるほどに面白い!。終わらせ方はともかく、一本の映画として充分ストーリー、キャラが魅力的だから善し!。正直私は全シーン作画がしっかりしてないと許せないタイプではないので。作画の粗捜しはつまらないことです。


とにかく、今回は梓澤の悪役としての魅力が全体にしっかり芯を通してるし、目標もハッキリしているアクションサスペンスとしてかっちり構成されてます。キャラの台詞がいちいちキマっててどこか箴言じみている味わいがあるのも善し。


多くのキャラ、多くの事態が入っていますがゴチャゴチャにならず2時間15分くらいが凄く充実しています(充実し過ぎて久々に膀胱がヤバイ…って状態に)。


終盤の事件の収拾が少々軽かったり、そもそもあの終わり方…とか言いたいこともあるが、3期でガッカリした人も充分見る価値あります。


最後に、梓澤と相棒のハッカーのおデブちゃんの関係がめちゃ良い!。彼等の活躍をもっとテレビ…とは今更言ってもせんないこと。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 28
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

シビュラの帰還

AmazonPrimeVideoの編集版を視聴。

【物語 3.5点】
『~3』としては大風呂敷を畳むも、
『PSYCHO-PASS』としての論点は、語る土台を整えるに留まる。
とは言え、刑事ドラマとしてシリーズが脱線、霧散という最悪の事態は避けられた。


道中、シリーズの象徴である“ドミネーター”の出番を制限してまで、
アクションや人質に交渉、脅迫、“狐”やブラフなども飛び交う、
刑事ドラマSPらしいお祭り騒ぎを繰り広げた時は、
興奮はするけど、もう『PSYCHO-PASS』は戻って来ないのでは?
とワクワクとイライラが入り混じった複雑な気持ちにさせられましたが、
最後はちゃんと『PSYCHO-PASS』として着地。


結局、{netabare}いつも通りのシビュラ圧勝でしたw{/netabare}


【作画 4.5点】
各組織の“代表選手”が激突する格闘戦、銃撃戦、ドローン戦などが
よく動く作画でド派手に演出されている。

もっとも、私のベストバトルは……{netabare}“ダンゴムシ”無双ですが。{/netabare}


描き込まれた背景美術に重ねられた季節の描写も頑張っていた本作。
降り止まない雨ばかりでなく、
雪降りしきる真っ暗な冬から、やがてやって来る花吹雪舞う新しい春へ……。
春公開の意外なタイムリー性を見せる。


霜月課長の変顔もあるよw


【キャラ 4.0点】
華やか。舞台を公安局とその周辺にしぼることで、
現状のオールスター戦が実現。


『~3』の新主人公キャラの灼(あらた)については、
シビュラとの関係性も含めて立ち位置が明確になり、
罪を憎んで人は執行せず裁きにかけるという性格が改めて強調。


今後、旧主人公の朱の構想や、狡噛の価値観と、
どう関わり、対峙していくかが、
『~3』が壮大な伏線だったか、脱線だったか、
決定付けるポイントになると思います。


梓澤(あずさわ)は、“紙の本”で読書する中々のボスキャラでしたが、
1期の例のあの方には、やはり及ばず……。

むしろ、スタッフさんたちもそれは承知の上で、
及ばない様を、シナリオで生かす道を模索した感があります。


【声優 4.0点】
主要キャスト陣らが引き続き安定。
ブラフ合戦が醍醐味になるのも役者の好演あってこそ。

天才クラッカー・小畑千夜役を演じた矢作 紗友里さんの悪態と、
受け流す梓澤廣一役の堀内 賢雄さんの掛け合いも程よい毒スパイス。

CV野沢 由香里さんとCV斧 アツシさん。
ベテラン勢が演じた“ピースブレイカー”残党も
“亡霊”として渋味が効いてグッド。


【音楽 4.5点】
劇伴は『~3』からのメインテーマが要所で活躍。
新旧キャラが“肉体言語”で会話するシーンでは、
旧メインテーマの旋律もアレンジされ対決を盛り上げる。

OPはWho-ya Extended「Synthetic Sympathy」
雨が降り止まない首都の闇をハイスピードで駆け抜ける快作。

EDはCö shu Nie「red strand」
変拍子も交えて歪んだ世界をかいくぐり意志を貫き通す。


なんだかんだ『~3』の一番の収穫は新OP&ED主題歌体制の確立。
特にWho-yaの抜擢は大きかったと思います。


【感想】
どこぞの中央銀行が利下げした、統計発表がどうだった。
テロが起きた、選挙結果が意外だった……。

現代の市場取引は、世界情勢などにも反応して、
自動的に売買を即断するアルゴリズムによって、
超高速マネーゲーム化している……。

とすると仮に市況を一変させる出来事を操作、創造できるとしたら、
これはもはや大きすぎて摘発されないインサイダー取引だな……。

本作を視聴していて真っ先にこの着想を思い出しました。


過度な刑事ドラマ路線傾倒への懸念はひとまず払拭されましたが、
22世紀が舞台のSFとして未来を見せてくれたかと言えば、
扱われた問題は、引き続き21世紀的だったと思います。

ビブロストとの戦い自体……
{netabare}シビュラ開発過程で残った過去の問題の精算でしたし。{/netabare}


さらにここに来て、朱が、{netabare}法による人とシステムの保護を提唱し出した件。

そう言えば、そもそも法治主義が何故崩壊したのか。
そこからシビュラシステムがどう確立されたのかについては、
語られていないことも多い印象。

もしも朱が法治主義の復活を目論むならば、
今後の物語は多分に温故知新の様相を呈していくと思われます。{/netabare}


因みに劇場公開版の方は、EDクレジット後に今後の展開も匂わせる映像が追加されているとか……。
流石に新型コロナ感染リスクを冒して劇場に遠征する勇気はないですね……。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 27
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

亡霊たちの宴、終幕。

ProductionI.G制作、SF×サスペンス。

乱雑する全ての点が線となり集約され、
ここに亡霊たちの宴が幕を閉じる。
人物を動かすあらゆる動機が露呈された。
シリーズ最高評価点を贈りたい。

正義を巡り決裂した灼と炯・イグナトフ。
{netabare}暗躍するインスペクターが公安局を襲撃する。
仕組まれた自動車事故、微笑むコングレスマン。{/netabare}
かつてない窮地に立たされる公安局刑事課一係。
占拠された公安局ビルでダイハードが始まる。

シビュラシステムの盲点が照準である。
複雑に入り組んだ事件の真相は、
それぞれが抱く正義と信念をもとに、
その分岐点が交錯し始めるのだ。
{netabare}ビフロストの真の目的とは!?
一介の駒である梓澤のその真意とは!?
そして法斑静火の行動原理、
圧巻の映像描写は健在で臨場感が凄い。{/netabare}

シビュラはまだ進化の途上であるのだ。
高度に拡張した完璧なシステムの構築に、
膨大な外部情報だけでは測れないもの、
亡霊とは設計図から零れ落ちたバグである。

灼が語るこの言葉こそ物語の本質である。
{netabare}「ドミネーターには引き金が付いている」
つまり責任はまだ「人間側」にあるのだ。{/netabare}

躊躇する存在こそ人間なのだろう。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 41
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