Witch さんの感想・評価
4.3
見た目に騙されるな! かなりインテリジェンスが高いゴルフ作品
【レビューNo.136】(初回登録:2024/7/28)
コミック原作で2024年作品。全13話。
視聴してみるとまさかのガッツリ理論派だったとは・・・
いやーこれは完全に見た目に騙されましたわ。
(ストーリー)
プロゴルファーの五十嵐一賀(イガイガ)は、ゴルフで不正を犯したためゴル
フ界を追われ、新たな職を得るために鹿児島のトカラ列島の「火之島」へと転
居してくる。
そこは人口百数十人ほどしかいない離島で、五十嵐はこの島で中学3年生の少女
・大井とんぼと出会う。
とんばは幼少期に両親をなくしており、漁師をする祖父のゴンじいに引き取ら
れていた。
また島には3ホールの立派なゴルフコースが設営されており、そこでとんばと
プレーをした五十嵐は、彼女の「高い技術と個性的で自由奔放なゴルフ」に大
きな可能性を感じるのだった。
「島の外で本格的にゴルフの才能を開花させてやりたい」
島で一生暮らすことを望むとんぼの気持ちを変えるために、五十嵐は動き出す。
(評 価)
・中学生に見えないキャラデザ
主人公とんぼは愛らしいのですが、個人的には中学生には見えなかったなと。
・幼い顔つき
・華奢な体つき
・言動の幼稚さ
最初は小学生だと思っていたのですが、次のシーンでセーラー服で登場して
「え―――っ」ってなりましたね。しかも中学3年って・・・
それを象徴するのが終盤なんですが、話は一気に半年後の卒業までワープ、
そこで登場したとんぼは、
・顔つきが大人びてるやん
・手足もスラっと伸びて、体つきも改善されてるやん
・顕著なのがイガイガとの相対比で
・before:頭がイガイガの肩位
・after:完全に頭が肩を超えてるやん
(言動は相変わらずだがw)
って感じで、これ位モデルチェンジしないと、やっぱ中3~高校生には見えん
だろうとw
そんなキャラデザを象徴するように、作品の雰囲気としても
・大自然の中でノビノビと
・島民皆が家族的な付き合いでハートフル
・1打の緊張感のない”遊び”としてのゴルフ
全体的に”緩く優しい世界”で描かれているという感じですね。
・時代の最先端?! かなりインテリジェンスが高いゴルフ作品
ただ上述の”優しい世界”に反して、ゴルフシーンはかなり密度が高いです。
例えばとんぼは
・通称「3鉄」(父の形見の3番アイアン)1本であらゆる球を打ち分け
・それを遊びの中で独自の感性で磨き上げた
という「自由奔放なゴルフ」なんですが、これをイガイガが
・フォーム(肩の入れ方やスタンス、スイングの軌道等)
・クラブ捌き(フェイスやシャフトの使い方等)
から何故打ち分け可能なのかを事細かに理論的に解説していくという。
またゴルフコースについても
・このコースの設計意図
・プレイヤーの攻略作戦
といった「設計者 VS プレーヤー」といった構図で面白くみせてくれてい
ます。
人によっては「いちいち理屈をこねてうんざり」と好き嫌いが分かれそう
ですが、個人的には
・イガイガの解説が的確で演技もよく分かりやすい
・アニメの利点を活かした作画・演出が効果的で見やすい
ということで
「ゴルフも奥深さを知るとこんなに面白いのか!!」
と高評価ですね。
(たった1打に「どんだけ情報が詰まっているねん!」と素直に驚きw)
ゴルフ作品といえば最近だと『BIRDIE WING』がありましたが、あちらが
「とんでもゴルフで勝負の熱さをみせる」という(少し昭和臭のする)作
品だったので、ある意味対極的な位置付けになるのかなっと。
ちょうどサッカーだと最近の『アオアシ』『ブルーロック』辺りは「個人
戦術」や「ゴールアイデア」といった、やはり情報量が多く、サッカーの
奥深さをインテリジェンスでみせる作品にシフトしてきているので、やは
り本作もそういう最新の流れを汲む、インテリジェンスが高い作品という
印象ですね。
ストーリー的には
・島の世界しか知らない才能ある野生児・とんぼが
・(落ちぶれた元プロ)イガイガと出会い、新たなゴルフの世界を知り、島の
外の世界へ飛び立っていく
という王道展開ではあります。
ただ「勝負の世界」というシリアスさがなく、1期は仕込みに終始したという
感じなので、少しメリハリに欠けるところはあるのかなっと。
しかし
・イガイガや他のキャラとの出会いによるとんぼの成長をしっかりみせ
(これも出会いによりクラブが1本づつ増え、キャラ名をクラブにつけると
いう演出が上手い!)
・インテリジェンスが高く、ゴルフの奥深さを提示しちゃんと面白い
という、かなり良く出来た作品だと思います。
2期も決定しましたし、とんぼも「競技ゴルフ」の世界に足を踏み入れること
になるので、その辺りは今後に期待ということで。