コンクールでシリアスなおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのコンクールでシリアスな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月05日の時点で一番のコンクールでシリアスなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

91.1 1 コンクールでシリアスなアニメランキング1位
響け! ユーフォニアム(TVアニメ動画)

2015年春アニメ
★★★★★ 4.2 (3140)
13944人が棚に入れました
高校1年生の春。
中学時代に吹奏楽部だった黄前久美子は、クラスメイトの加藤葉月、川島緑輝とともに吹奏楽部の見学に行く。
そこで久美子は、かつての同級生・高坂麗奈の姿を見かける。
葉月と緑輝は吹奏楽部への入部をきめたようだったが、まだ踏み切れない久美子。
思い出すのは、中学の吹奏楽コンクールでの麗奈との出来事だった。

吹奏楽部での活動を通して見つけていく、かけがえのないものたち。
これは、本気でぶつかる少女たちの、青春の物語。

声優・キャラクター
黒沢ともよ、朝井彩加、豊田萌絵、安済知佳、寿美菜子、早見沙織、茅原実里、石谷春貴、津田健次郎、小堀幸、藤村鼓乃美、山岡ゆり、日笠陽子、沼倉愛美、久川綾、櫻井孝宏
ネタバレ

Kuzuryujin さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

これぞ青春!

1話からつかみバッチリ!!
作画はさすがの京アニクオリティ。
監督も「ハルヒ」他ヒットメーカー石原立也さん。
シリーズ演出は、「けいおん」では監督の山田尚子さん。
そのためか、特に主要キャラの久美子、葉月、緑輝(さふぁいあ)の会話シーンは、けいおんっぽさがかなり出てます。
(女子高校生を女性ならでは視点で可愛く描くという意味で)

キャラたちの魅力に溢れ、安心して最後まで観れそうな予感。
無目標のほのぼの日常を描いていた「けいおん」と違い、
大会という具体的な目標があり、
それに向かい部員同士、お互いに切磋琢磨していく醍醐味がありそう。

★第1回「ようこそハイスクール」
{netabare}
北宇治高校入学ほやほやの主人公、黄前久美子は
中学では吹部のユーフォニアム奏者。
初めての教室で人懐っこいクラスメート、
加藤葉月や川島緑輝と早速仲良くなる。
そして、葉月と緑輝は吹部見学に誘うが久美子は乗り気でない。
なぜなら新入生歓迎の演奏聴いてあきらかな演奏レベルの低さに
入部する気など全くないから。

しかし、久美子は流されやすい性格のようで
見学を付き合わされた。
そこに、中学時代の吹部仲間、高坂麗奈が吹部の練習に現れる。

麗奈は、久美子など眼中にないのかあえて無視したのか不明ながら
久美子を全く見ようともしない。
そして見学すっ飛ばしていきなり入部。
プロローグ以外、高校生としての初登場時、
麗奈の台詞は、たった一言。
部長「見学ですか?」
麗奈「いえ、入部したいんですけど。」

中学最後のコンクールの結果発表の場で、
ちょっとしたわだかまりを作ってしまい、
麗奈には再会したくなかった久美子。
羊のような悲鳴を上げる。
まさかの同じ高校で再会するとは…。
よほど縁が濃いようでw

そして新任顧問の出番は今回は赴任前に神社でお参りする姿のみ。
ちょっとおっちょこちょいで変わった方のようにも見える。
実際はどんなキャラなのか、これからのお楽しみ。

と、まあ話のテンポはかなりゆっくり。
今回は主人公の入部も新顧問の着任もまだ。
じっくりキャラを描こうとしてるのがよくわかる初回でした。

最近のアニメのテンポに慣れてるとちょっと退屈する視聴者もいるかも。
アニメよりむしろドラマっぽい作りになってる。

久美子役の黒沢ともよさん、4月に19歳になりたてで
ちょうど今年高校を卒業したタイミングのフレッシュさ。
オンとオフ、つまりクラスメートと家族に対する態度の違いの
演技の使い分けがすごく上手い。
リアル女子高校生になってます。
演技というより地に近いのかもww
{/netabare}
★第2回「よろしくユーフォニアム」
{netabare}
2話の絵コンテと演出は石原監督自らのようで、
麗奈と久美子のコミュニケーションの噛み合わなさとか
葵先輩と久美子の絡みは山田さんの演出とは一味違う。

今回は、主人公の過去を引き摺る、ウジウジさがいただけないけど
副部長の明るさがいい感じに中和してくれて
全体的には地味目な印象でしたがいい感じにまとまってた。

大所帯の部活の中では、地味な存在の生徒ばかりのなかで
こういうキャラが一人くらいは居てくれると安心。

顧問の滝先生、まだ紳士にしかみえないけど
全国大会出場目標と決まり、次回から別人格降臨(鬼コーチ)か?
櫻井孝宏さんが演じてるということで間違いないでしょう。
(櫻井さんはサイコパスの槙島聖護とか怖い役もかなり嵌る)

普通の部活ものとして今後も楽しみです。

背景の美しさ、特に夕刻の川面の自然な流れ描写が素晴らしい。
京アニの並々ならぬこだわりを感じます。
{/netabare}
★第3回「はじめてアンサンブル」
{netabare}
<地に足の付いた演出、脚本>
地味だけど真面目に部活を描く流れにほっとしました。
ギスギスした姉妹。久美子は、過去に姉と何かあったのか?
麗奈のドヴォルザーク「新世界より」に込められた想いとは?
新キャラ、ユーフォ先輩の2年生の中川夏紀とは?
興味が尽きない。

<小さなことからこつこつと>
以上は、漫才師、西川きよしさんの座右の銘であり、ギャグネタでもありますが、
基本を疎かにするものは上には決して上がれない。
ごく当たり前なことでも忘れがち。
いいですね。このポイントを外さない感じ。

<私の時間を無駄にしないでいただきたい>
櫻井孝宏さん、グッジョブ(^^)b
顧問の存在がまた一段アップ。やはり一流の指導者らしい。
穏やかで常に冷静、だけどひたひたと目標に相応しい指導開始。
真綿で首を締めるかの如く部員を追い込み、部員の中から反発も芽生える。

やり手の片鱗をのぞかせてもらい彼に魅せられてきました。
これはとても重要なこと。頼り甲斐ある指導者いてこそ部活物の醍醐味がある。
彼をこれからどう活躍させるかでこの作品の評価が決まりそう。
この物語での最重要キーパーソンと言えましょう。

麗奈のトランペットの音色に反応する表情もいい。

<大所帯なるがゆえに>
過去の、上級生と下級生の対立ゆえに起きてしまった不協和音が
今の腑抜けた音楽性に繋がっていることが判明。
この物語でまず最初に乗り越えるべき最重要課題。
これ乗り越えなくして大会出場どころかまともな音楽すら生れない。

<小笠原晴香と田中あすか>
過去の部内対立の渦中にあった部長の小笠原晴香と副部長の田中あすか。
気弱で流されやすい部長に対し、
明るくサービス精神旺盛な副部長のほうが、人情の機微が解ってそうだし頼もしい。
これから顧問と上級生の間の溝が深まるのは確実。
部員と顧問の板挟みの中で、この二人はこれからどう考えどう行動していくのか。
新入部員はどう巻込まれるのか。

目が離せません。次回も楽しみです。
{/netabare}
★第4回「うたうよソルフェージュ」
{netabare}
<不毛なパーリー会議>
今回、会議のシーンでリーダーたちはどこかピントずれてると分る。
吹奏楽の目的が音楽で人に喜びと感動を与えるためでなく、
自己満足のイベント参加になっていた。
そのため、時間を浪費してやるべきことの積み重ねを忘れていたようだ。
だからいつの間にかお互いの発する音もまともに聴かなくなって
バラバラの合奏に甘んじるようになったんだろう。

<滝先生の指導>
会議終了時、タイミングよく滝先生登場。
練習時間を会議に充てる時間の浪費を指摘して、きっちり顧問としての義務を果たす。
走り込みによる基礎体力向上。部員に抗議する隙さえ与えず、やりたい放題。
さらに楽器ごとの個別指導により、時に厳しく、時に優しく、部員のレベルに応じ自在な指導。
部員の顧問への不満エネルギーを、個々の努力に向かわせる手腕が見事。
結果として一定のレベルのアンサンブルが生まれ、次のステップへ。

もとからやる気のある麗奈、入部時は大人しかったが自己主張復活。
顧問の指導に触れ、この先生となら高みに行けると本気スイッチ入ったようだ。

<皆さんが普段若さにかまけてドブに捨てている時間をかき集めれば、この程度の練習量は余裕でしょう>
一言多い滝先生、屈託のない笑顔で嫌味なことさらっと言ってのける。
もしかすると天然ボケの傾向あるかも。
日曜返上の練習メニューで、まずはサンフェスに向け練習開始。
真面目な部員の信頼は勝ち取ったようだが、さてどうなることやら。

今回、滝先生の指導で部員の多くが本当の音楽の喜びに目覚め始めたことが伝わりました。
オーバーな演出が少ない、こういう落ち着いた作品は安心して楽しめます。
{/netabare}
★第5回「ただいまフェスティバル」
{netabare}
<サンフェスのダークホース>
北宇治高吹奏楽部ににいい風吹いてきたとわかる回。
上達が早すぎるかなという気もするけど、もともと実力のあった部員が迷走してポイントずれてたのを、
滝先生が本来の道に戻したとして良しとしましょう。
練習シーンや部内の確執が延々続くのも飽きるし。

<初めて微笑む麗奈>
久美子の北宇治高に入学した動機が、中学時代の吹部仲間の入学が少ないだろうから、
と言ってたけど案外、麗奈も同じ動機だったりして。
意外と麗奈と久美子は気が合うのかも。

今回は特に、あすか先輩と麗奈が輝いてました。
他校も登場して観る側もいい気分転換になりました。
滝先生は優秀なだけでなく、道に迷ったり抜けたとこもあって人柄もいいようです。
初回の神社での初登場時にもその片鱗みせてましたけど。
そろそろ爽快感が欲しかったから気持ちのいい回でした。

とりあえず滝先生と部員の関係は良好なようなので
次回は、部員内の人間関係を掘り下げて描くのかな。
麗奈は謎の微笑みの奥で何考えてるんだろう。今回一番気になりました。
{/netabare}
★第6回「きらきらチューバ」
{netabare}
おおっ、今回はチューバ担当、葉月の回。
チューバ初心者の彼女が一所懸命に練習する姿で初心を取り戻す久美子やミドリが微笑ましい。
そして久美子は、仕返しできるほど麗奈と打ち解けてきたようだ。
さらに恋の予感のおまけつき。
青春だよなぁ。

<全国大会への足場固め>
以前は第一段階の京都府吹奏楽コンクールでは銅賞だったようで、
第二段階の関西大会にも進めず、三段階目にして最終目標の全国大会に
ほど遠かった北宇治高校吹奏楽部。

粘着イケメン悪魔の滝先生の意地悪の一言はツボを外さない。
全国大会へのスキルアップのために生徒をまた追い込む。
理詰めで隙がないし、サンフェスでの手応えもあったから生徒は反論できないんだね。

通常8月上旬に行われる吹奏楽コンクール京都府予選のための
先生作成の5月からの練習計画表を生徒に配布。
そして、最大55名の出場枠を
64名(DVDコメンタリー情報、小説版では81名(wiki情報))の部員から選抜するため
オーディション実施の宣言。

コンクール出場者をオーディションで選抜なんてごく当たり前と思うけど
生徒たちの驚きから察するに、今までは生徒主体の運営だったようで
在校生にとってはオーディション初体験のようだ。
滝先生の直前の指導者ってどんな顧問だったんだろう。
年功序列でコンクール出場者を決める方針を放任してたなら職務怠慢酷過ぎ。

オーディションとなれば当然、部内の空気が変わる。
こういう緊張感は上達するために大切でしょう。

部員は皆、本質的に真面目で、やれば出来る子たちばかりのようで
素直にオーディションに向けて自主練する姿はいいもんです。

<今回のあすか先輩>
ルビー川島とプラチナダイヤモンド川島の件はクスッと笑えたけど
今回はそれ以外は、微妙なコメディリリーフでした。
後輩思いで面倒見のいい先輩。
まあ、いろいろずれてる所もあっても彼女の個性は嫌いじゃないです。

<ちゅーばくん>
表情がエヴァの使徒っぽくマスコットとしてはなんとも微妙。
どちらかと言うとキモイ。
頭部の曲線が俯いた猫背のように見えるせいもあり、
久美子ちゃんが思わず日陰者のユーフォ愚痴ったもんだから、
中の乙女がくたびれた中年オヤジに思えちゃいました。
ミドリがハートマークで抱きついたのは違和感あってちょっと引いちまった。

<合奏してこそチューバが活きる>
チューバの個性とメンテナンスなどの描写は
よく知らない自分には新鮮でとても良かったです。

低音パートは、リズムと音楽の屋台骨を支える快感を味わえないと面白くもなんともない。
バンドのベースギターも合唱のバリトン&バスもそうなんですよね。

自分は現在、混声合唱でオケ付き大曲専門でテノール歌ってますが、
以前はア・カペラの小編成の合唱も経験あります。
フーガ(遁走曲)とかは別にして、主旋律は主にソプラノで、
内声にあたるアルト、テノールはハーモニーの構成音を主体にした
メロディアスでないパートなので必ずしも音楽的には面白くない。
しかし、最高音域ソプラノと最低音域バスの外声に挟まれて全体で合わさって
音楽としてのハモった時に得られる歓びは体験しないと解らない。

だから合奏でチューバの魅力を体感させる描写はとても共感して納得できました。
{/netabare}
★第7回「なきむしサクソフォン」
{netabare}
Aパートの滝先生の指導シーン、リアリティがあってかなり良いですね。
穏やかで冷静、かつ的確。無理強いはしなくても追い込み方が容赦ない。
そして、やる気のなかった部員までやる気させる指導者としてのカリスマ性も感じられる。
こういう所を丁寧に描いてくれてると短期間で上達する様を見せられてもあんまり違和感ないです。
この緊張感のある空気では、いい加減な気持ちの者は弾き飛ばされるのも無理がない。

<曇り後、雨>
今回は、ギャグのないシリアス回でした。
天気と部員の気持ちを上手くシンクロさせた演出が光ってました。
吹部の現状の気運に負けてテナーサックスの葵先輩、
受験という理由で吹部辞めちゃった。
不器用なんだね。
気持ち解らなくもないけど、ここまで続けてきたんだから
受験も吹部も両立させないと後悔の種を蒔いてしまう。
このまま不完全燃焼のままで辞めたら、今は受験で手一杯だけど
高校卒業後の同期の吹部仲間に再会した時に後ろめたさが残りそう。

<降り始めた雨は、しとしとと降り続く>
葵先輩の決断がきっかけで3年生の先輩たちのそれぞれの闇が見えてきた。
2年の夏紀先輩の台詞でいろいろ見えてきた吹部の黒歴史。
意外にも普段社交的なあすか先輩の闇が一番深そう。
どうやら、楽器に集中するためなら保身に徹し、
なんでも切り捨てられる非情さもあるようで。

<トランペットのスターたち>
いも娘、香織先輩が今回はシリアスの中の和み役として一番光ってました。
晴香部長へのフォローが絶妙。いい仲間に恵まれた晴香は運がいい。
今回一番美味しい所持って行きました。お芋も美味しそう(^.^)
そして、麗奈が帰りの電車でいつの間にか久美子と秀一の傍に座ってたのはちょっと笑えました。
麗奈さま、相変わらず掴み所ないお方なようで…。

来週の天気は?
次の曲は、恋の三角関係かな?
楽しみです。
{/netabare}
★第8回「おまつりトライアングル」
{netabare}
派手じゃないけどいい余韻が味わえた心に響く良回でした。
次回オーディションを描くと思われ、ややシリアス寄りになりそうな予感。
その前の箸休めとして実に見事です。

<まるで夢でも見ているような不思議な時間>
最後の久美子の台詞通り、まさに夢のような世界でした。

これは部活が主体のドラマなので、校外での描写は
西日の目立つ放課後から暗くなるまでの時間帯が舞台になることが多い。
今回は特にお祭りで、夜でもキャラは帰宅せず外出しているため
制作者は夕刻から夜にかけての光の変化の表現に拘っているのが汲み取れた。
自然光が織りなす光のイリュージョン。
そこにお祭りの華やいだ人工の光と山から臨む夜景が加わり
音楽も素晴らしく、現実から離れた夢のような美しさが際立ちました。

またそれらの光が反射するキャラの目の感情表現が上手い。
動揺、純真、悲しみなど、台詞以上にそれぞれのキャラの感情と個性が伝わる演出がいい。

<恋の行方も青春の1ページ>
葉月の恋、引き伸ばさずあっさり決着付けたのは好ましい。
恋の行方はちょっとビターな隠し味程度で済ませ、
今回の話の本当のメインは麗奈と久美子だったという意外性がいい。

<♥と♪>
今回、葉月に対しちょっとおせっかいだったミドリ。
でも全く嫌味ないし、むしろ好印象。
彼女の浴衣の柄のセンスに彼女のキャラがよく出てました。
サファイアと名付ける親の子供らしい感性で
一般からちょっとずれてる感じが微笑ましい。
彼女をそのまま幼くした妹のヤバい可愛さといい、
とても魅力的なキャラとしてクローズアップ。

<麗奈と久美子の初デュエット>
久美子に麗奈が初めて自分を赤裸々に語った。
今まで謎めいていたキャラの本音がようやく聞けて少し安心しました。
そして二人の絶妙な合奏に今後の二人の関係性が暗示されてて良かったです。

久美子は、ユーフォ持ち歩くのは秀一が相手では面倒くさがってても
麗奈となら山に担いで昇るのまで付き合わされてしまうところとか面白い。
久美子と秀一の今後の進展にも興味出てきました。
{/netabare}
★第9回「おねがいオーディション」
{netabare}
<ちょー、ちょー、ちょー、どうでもいい>
初回から6話までは、一番好きだったキャラはあすか先輩だったけど
始めの頃と印象がずいぶん変わってしまいました。
7話で意外にも自己中心のドライな本性が見えてきてから今回がダメ押しの描写。
私情でアンサンブルを乱すミドリをあっさり切り捨てた。
好感度急降下。

<私も頑張るから頑張って>
その代わり、8話でようやく本性が見えてきた麗奈が好感度かなりアップ。
彼女もドライなんだけど周りを引っ張れるカリスマ性を秘めてる気がする。
言葉少なめだけど目力が凄い。
ほっぺ、ムギュっとストレートにハートを直撃。
ウジウジ傾向にあった久美子を主人公らしい芯の入ったキャラに変えた。

<同期低音3人娘の友情アップ>
久美子、葉月、ミドリ、前回の恋の行方は成否以上に意義があった。
皆、お互いを思いやれる優しさがある。
結果としてお互いにより分かり合えたようで友情が深まった模様。
きっとすべてがいい思い出になるね。

<オーディション>
自分も合唱団の入団オーディションで似たような経験をしたことあり、
すごくキャラに共感できて一緒にドキドキしました。
明暗しっかり別れ、上級生も落とされシビアさがかなりリアル。
2年の夏紀先輩は来年リベンジのチャンスがあるからまだいいけど
ソロパートを麗奈に奪われた3年の香織先輩が一番気の毒でしたね。

次回、選抜メンバーと落選した部員との差別化の中、
吹部がどう描かれるのか楽しみです。
{/netabare}
★第10回「まっすぐトランペット」
{netabare}
<あんたがいなければコンクールに出れたのに>
人の心は複雑。
久美子は中学時代に実力で上級生を蹴落としてしまって
逆恨みを買ってしまったことがあった。
そのため今回オーディションに落ちたユーフォの夏妃先輩を気にする久美子。

呼び出しをくらい戦々恐々の久美子。
ところが先輩はいい人だった。
むしろ先輩はとても優しく久美子を気遣う。

久美子を励まし彼女の楽譜に書き込む夏妃。
夏妃「久美子ちゃんに最初に書きたかったんだよねー」
”絶対☆金賞☆!!v来年一緒に吹くぞ!!”

夏妃はオーディションをきっかけにやる気スイッチが入ったようだ。
自分より上手い仲間はライバルでもありいい目標ともなる。

夏妃「黄前ちゃんのおかげで少し上手くなれたような気がするよ」
久美子は感激のあまり泣いた。
今回のとてもいい話。
後半のドロドロ展開前の一服の清涼剤。

夏妃の初登場時の無気力さと180度違うキャラの意外性がいい。

<噂になってるんです。オーディションの時先生がひいきしたんじゃないかって!>
逆恨みは別なところで勃発。
トランペットソロを香織先輩から奪った麗奈を蹴落とすため
香織を信奉する優子は毒を周りに振り蒔いた。
麗奈と滝先生、父親同士の縁で旧知の間柄である事実を元に
えこひいき疑惑が勃発。
不信感が止まることなく吹部のアンサンブルが崩れた。

<ケチ付けるなら私より上手くなってからにしてください!>
麗奈の辞書には謙虚という言葉が欠落してる。
そしてそんな彼女を受け入れられるのは久美子だけ。
麗奈と久美子のやりとりの面白さは回を追うごとに爆増する。
久美子の前ではリラックスしてる麗奈はとても可愛い。

<意外な解決策>
しかし、この状況を打破する術もなくしばし静観の滝先生。
そんな中、資料をコピー中の滝先生の前に副顧問が現れる。
そこで解決のヒントとなる一言。
副顧問「音楽というのはいいですねー。嘘を付けない。いい音はいいと言わざるを得ない」
目の前のコピー機の液晶に表示された65枚という数字…64名の部員。
ハッとする先生。
問題解決の手段を、希望者のみ対象に
公開で再オーディションすることに見出す。

香織は一度はソロを諦めたものすっきりはしていない。
これは天からの救いか。
香織はこれに乗ることでこれに自身の想いにケリを付けようと決める。

すべての出来度が有機的に繋がり魅力あるドラマになってますね。
{/netabare}
★第11回「おかえりオーディション」
{netabare}
<香織と優子>
香織のソロに執拗に拘りたかった優子。
そこには香織の信者として、と共に
過去の吹部の黒歴史上の体験に要因があった。
香織2年、優子1年のコンクールの頃、トランペットは香織が一番うまかった。
しかし、実力もないのに3年生というだけでソロを任され
さらにはろくに練習もせず本番に臨んだ先輩がいた事実。

しかし麗奈の練習を聴けば香織との実力の差は多くの者にとっては明白。
想い極まった優子は麗奈に頭下げてまで
わざと負けてソロを譲ってもらおうとする。
いいことではないけど、この一途さは賞賛に値する。
不器用ながら憎めないキャラ。

香織も麗奈には敵わないのは薄々気付いてる。
不安のあまり同期のあすかに思わず感想を訊いてしまうシーンは真に迫る。

質問はぐらかし「決めるのは私じゃないんだから」と言うあすか。
まだまだ底の知れない今作一番の謎多きキャラ。
興味が尽きない。

<やっぱり久美子は性格悪い>
あすかと比べると、久美子はキャラとしても主人公としていまいちパッとしない。
進路相談時も糠に釘。主体的な言動が希薄。
周りを動かすことも出来ず、逆に周りに振り回されてばかり。
人の顔色を伺う日和見主義。

しかし、8話での麗奈と音楽で心と心を通わせて以来、
徐々に変化する様が小気味よい。

麗奈のソウルは彼女を変える。
まだぎこちなさはあれども自己変革の萌芽が光ってる。

そんな久美子をいじる麗奈。
優子に頭下げられ、ちょっと迷いがあったようだが
久美子のおかげで吹っ切れたようだ。
久美子と麗奈のお互いを支えあっていく関係性の描き方が絶妙だ。

<あなたがソロを吹きますか?>
麗奈vs香織の公開オーディションは
ノーカット完全版で視聴者にも公開された。

明らかに違う二人の音色。
音楽は楽譜に正確に出来るのは大前提。
優劣は表現力の差がものをいう。
百聞は一聴にしかず。

滝先生は、審判の拍手量で選ばせようとしたが
結局それぞれ身内の二人づつしか拍手なく同点引き分け。

演奏を聴く部員は皆、ソロに相応しいのは麗奈と判った様子。
ところが、麗奈には拍手出来ない。
ケチ付けたのは自分たちだから。

ここでさすが滝先生、出来る指導者はやることもスマート。
再オーディションを申し出た香織に判断を委ねる。
生徒を信頼してるからこそ出来る芸当。

結果、香織は自分から辞退。
やりきって自身が納得するためにオーディションの意義はあった。

ここでの優子の号泣には、大いに同情できた。

今回はトランペットの音色だけで迫真の勝負が描かれてて見事!
8話以降、毎回キャラに感情移入しまくってます。
全体的にBGMも控えめで分をわきまえててとてもいいです。
{/netabare}
★第12回「わたしのユーフォニアム」
{netabare}
最終回直前にて久美子の情熱が火を噴く。
(実際は鼻血だったけど)

暑さ極まる盛夏、迸る灼熱の想い、
滝先生の指導もコンクール直前に相応しくヒートアップ。
作画の拘りも今迄で一番熱い。
物語の厚みも8話以降どんどん増えてる。

青春ドラマに相応しい、
アツさ5倍の溶けそうなほどの12話。

<月に手を伸ばせ、久美子>
急遽、滝先生よりコンバスのパートを一部ユニゾンで
サポートするよう指示されたユーフォのあすかと久美子。
あすかは楽々クリアするが、久美子は苦戦。

<コンクール本番10日前>
秀一はトロンボーンの壁をひとつ超えた。
これに対し、一部吹かせてもらえない小節が出てしまった久美子。
どんなに一生懸命に練習しても届かないものがあった。
初めて中学時代の麗奈の悔し涙と同じ涙を流す。

「上手くなりたい」という想い。
言葉として前回から自然と発するようになっていた。
今、厳しい現実を突き付けられ魂の叫びとなった。

久美子が中学で吹奏楽を始めたのは姉がきっかけ。
しかし、大学の受験勉強のためあっさりトロンボーンを止めてしまった姉。

これは葵先輩とダブります。
姉との心の溝は、どうやらそのあたりに原因があったとわかる12話でもありました。

久美子が本当に脱皮するのは次回、最終回か?

最終回の期待値はMAXです。


余談ですが、DVD/BD第一巻スタッフコメンタリーによると

京アニの社員約100名の内、20名ほどの吹奏楽経験者がいて
いろいろダメ出ししてくれて随分と参考になったそうな。
因みに石原監督も山田尚子さんも吹奏楽はド素人で
今作のためにかなり勉強されたとか。

ただ、山田さんのお姉様は吹部経験あって
偶然にも主人公と同じユーフォ奏者だったそう。
あと、会社が資料用にトランペットとユーフォニウムを購入してくれたとか。

監督は職場で葉月のようにマウスピースの音出し練習して
周りから注目されてるけど、
まだ上手く吹けないとご本人が仰っておりました。
{/netabare}
★最終回「さよならコンクール」
{netabare}
見事です!
期待値MAXにも関わらずがっかりするところは微塵もなかった。
最後にオール5の満点確定!!

惹き込まれてあっと言う間の30分でした。

OPなしで静かに、淡々とコンクール当日の早朝のシーンから始まり
クライマックスの演奏シーンに向かう流れ。
そして、1話の久美子たちの中学時代と重なるコンクール結果発表。
緊張感と達成感の表現、すべてに文句の付けようがありません。

チューニング中に共鳴して揺れるペットボトルの水面。
埃舞う舞台上、照明による光のハレーション。
登場するのは美形キャラばかりですが、
そこ以外はすべてリアリスティック。
でもキャラたちも表情がとても細やかで迫真の描写。
麗奈のソロも初めて全体のアンサンブルの中で堪能できた。
そして麗奈のソロを隣で穏やかな表情で聴く香織がいい。
まるで実写映画のようでした。

そしてEDはなんと、OP曲のブラスアレンジバージョン。
過去のダイジェストシーンと相まって
ジーンと感動の余韻に浸れました。

<様々なグー・タッチ>
久美子と夏妃、久美子と秀一、
言葉なくてもそれぞれの思いが伝わる。
これは今までの丁寧なキャラ描写の賜物でしょう。

<皆さん、会場をあっと言わせる準備はできましたか?>
滝先生の演奏前のスピーチも最高。
一瞬にして部員たちのガチガチな心を解きほぐした。

「春、あなたたちは全国大会を目指すと決めました。
向上心を持ち、努力し、音楽を奏でてきたのはすべて皆さんです。
誇って下さい。私たちは北宇治高等学校吹奏楽部です!」

そして極めつきの一言。
「さあみなさん行きましょう、全国に。」

<伏線あり、二期期待せずにはいられない>
●気付いた伏線①
北宇治の演奏直前に観客席に着席した女性。

気になってネット漁ったら、
夏妃の同期のトランペットの傘木希美(かさき のぞみ)のようです。
吹部黒歴史の渦中、いい加減な吹部の方針にいたたまれず
辞めてしまった一人。
確認すると、7話の夏妃の回想シーンで
ちらっと登場する同じ髪型の部員が確かにいた。

滝先生による部の改善で、原作では吹部に復帰するらしい。
彼女をチラっとでも出した以上は続編ないと悲しい。

●気付いた伏線②
朝の教室で、一人ユーフォを手にするあすかのすぐ後に出た
最終話のサブタイトル「さよならコンクール」。
「さよなら」というのは、あすかに因んでいるのか???

演奏直前、舞台上暗転の中、あすかは久美子に語る。
いつもと別人のようにしんみりと、

「なんか、ちょっと寂しくない?
…あんなに楽しかった時間が終わっちゃうんだよ
…ずっとこのまま夏が続けばいいのに。」

さらには結果発表の時、関西大会出場ゲット出来たのにも関わらず
一瞬、一人だけ寂しそうに俯いたあすか。

えっ、あすかは秋には部を辞める?
実際はどうなんだー!?
あすか先輩は、さすがに1クールでは描ききれないキャラだった。
気になるので責任持って続編作ってもらいたいですね!!

<願いは口にしないと敵わない。絶対全国に行く!>
夏妃と葉月のハイタッチで久美子が吹けなかった部分の課題を
クリアしてたことを伝える演出がスマート。
久美子もすっかり逞しくなりました。

山田尚子さんが絵コンテ書かれたのは全13話中3話。
4話では監督と二人で書いてますが、
最終話は初回以来、久しぶりに全パート山田尚子さんが書かれたよう。
トリに相応しい。さすがです。
{/netabare}

<全話観終えて>
全体的に人間描写が見事。
表情も台詞も無駄がない。
物語もひとつの区切りまで無理なく辿り着けました。
それは自然の川の流れのよう。
時に淀み(7話、10話)あれどもいずれは大海原に辿り着く。
そう考えると、背景に川が頻繁に描かれたのも意味深い。

また、滝先生の描き方が素晴らしかった。
先生を信じてスパルタを乗り越えた生徒たちの達成感が
ご都合主義でない自然な結果として伝わりとても良かった。

作画の拘りもあり実写の青春映画を観た気分。

2クールあったらもっと細やかに描けたでしょう。
でも1クールでよくここまで描き切ったと思います。
結果的にEDの歌詞と画にもあった
「青春の価値」と「高揚感」をしっかり描くことに成功したと思う。

ぜひ二期を期待したい逸品です。

多くのキャラに魅力があればこそ。
最後の集合写真でグッときたは「SHIROBAKO」以来です。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 88
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

実力のある者が、正当に評価される世界(※サントラCD紹介と余談を追記)

2015年、個人的最優秀作品。まだ半年残っていますが、私の中ではほぼ確定の状態です。

「京アニの本気」に応えるために、今回は「全身全霊」を注いでレビューを書きました。その分かなり長くなっていますが(当社比2倍)、ユーフォちゃんの魅力をいっぱい詰め込んだので、ぜひ最後まで楽しんでいただけたらと思います。

※一番下に、『サントラ紹介』と『余談』を追記しました。興味のある方は、ご覧ください。


◆この作品で伝えたかったこと◆

このユーフォちゃんが描きたかったこと、それは『吹奏楽の本当の魅力』です。

吹奏楽部といえば、学校の中でも文化部の花形。でも華やかに見えるその世界も、実は運動部のように暑くて辛くて苦しくて、想像以上に本気がいる。でも、だからこそ生まれる、心響き合うブラスバンドの音楽。そんな心おどる青春を、感動を、描きたかったのだと思います。

そのためにこの作品では、♪吹奏楽の演奏における3つのポイント♪を意識して、丁寧に作られていると思います。


♪1つ目、演奏者の心の重なり合い♪

けいおん!やTARI TARIを見ていただければわかるように、合奏や合唱において大切なのが、「演奏者同士の心と心の重なり合い」。たとえ技術は未熟でも、そこに同じ想いや絆があれば音楽はきらめき出す。しかし、5人くらいなら難しくもないと思いますが、それが50人60人ともなれば話は別です。

吹奏楽の特徴の一つに、その「人数の多さ」が挙げられると思います。

多くの部員がいるから、部活としてなかなかまとまらないし、問題が起こればすぐギクシャクした雰囲気になりやすい。このギスギスした感じが好きじゃない、みたいな意見も目にしますが(主に某まとめサイト)、この吹奏楽部の実情から目を背けてはいけないと思います。

心がギスギスしてるから、音もギスギスしてしまう。一度、不信感が吹いてしまったら、もう合奏なんてできやしない。でも、だからこそ、そんな心の不協和音を乗り越えたとき、最高の演奏ができる。最高の音楽が生まれる。

全国大会出場。この想いたちが本当の意味で重なり合ったとき、そこに奇跡が訪れる。

そんな視点でこのストーリーを楽しめたら、と思います。


♪2つ目、演奏者の演奏技術♪

じゃあ、演奏者同士の気持ちが重なり合いさえすれば、素晴らしい演奏ができるのかと言われると、もちろん、そういうわけではない。全国大会に出場するレベルの演奏をするには、たしかな技量が伴ってないといけない。

この「演奏技術の向上」という点に真摯に向き合って丁寧に描いているのが、この作品の二つ目の特徴です。仲良く楽しく、仲間との絆に重点を置いたけいおん!とは、対照的なスタンスです。

滝先生の熱血指導と「私たちも上手くなれる」という熱い気持ちに乗せられて、徐々に実力をつけていく部員たち。素人の私には、その指導方法がどれだけ効果的、現実的なものなのかはわかりませんが、吹奏楽部の練習の厳しさと苦しさは、十分に感じ取ることができました。

また、優れた演奏者になるための重要なポイントが、もう一つ。それがご存知、「特別」であるということ。

演奏において大切なのが、演奏技術と特別さ。これは「個性」という言葉にも置き換えることができると思いますが、仮に演奏技術がまったく同じだった場合、明暗を分けるのは、音に含まれる「見えない何か」。それは音の深みだったり、気高さだったり、やさしさだったり。それらを生み出すのが、演奏者の内面的魅力、つまり個性だと思います。

それを手にするためには、その他「大衆」といっしょではいけない。特別な存在にならなくてはならない。麗奈をはじめ、音楽的才能にあふれる一部の登場人物たちは、己の道を貫かんと努めます、振る舞います。

だから、第11話の{netabare}再オーディション。麗奈の態度に不満を漏らす声も聞こえてきますが(またまた某まとめサイト)、それは彼女が特別な存在になろうとしたため。決して、空気の読めない子だからではない。他の方のレビューにもありましたが、彼女には彼女なりの葛藤や不安があったんだと思います。{/netabare}


ところで、私の同僚にオーケストラの楽団に所属している後輩(元吹奏楽部、フルート演奏者)がいるのですが、彼女の話だと音楽家という人種には「変人」が多いそうです。

具体的な話は忘れてしまいましたが、彼女の楽団の「指揮者」の方が70代のおじいちゃんで、かなりの変人らしいです。でも、ものすごいオーラ(ONE PIECEでいう{netabare}「覇王色の覇気」{/netabare}のこと)をまとっているそうで。

この作品でも、音楽的才能にあふれている(であろう)人たちはみんな、どこか変わっているところがあります。{netabare}麗奈、あすか先輩、滝先生、そして久美子。{/netabare}

この文脈から考えると、麗奈と久美子の「百合関係」も理解できます。狂気とも、変態とも思える二人の発言や行動は、二人が特別な存在になり得る「変人」だからこそ。

このことは、{netabare}再オーディション演奏前の香織先輩と部長の会話と、麗奈と久美子の会話を比較してみれば、一目瞭然だと思います。まさに、「ふつうと異常」のコントラスト。まさか、あの会話が結果の伏線になっていたとは、なんてね。{/netabare}

もしかしたら、二人の関係がどんどん深まっていくことは、{netabare}「二人の演奏の成長」{/netabare}を意味しているのかもしれません。(まあそもそも私はあれが、あまり百合だとは思っていませんが。)

あと、もう一つ。この作品には吹奏楽部ということもあって多くのキャラが登場しますが、音楽的才能を持つ「特別な人」、一生懸命頑張っている「ふつうの人」、その他「大衆」というふうに描き分けられていると思います。だからキャラが立っていない人もいる、というのはあえてだと。まわりの意見や雰囲気に流されやすい大衆を描いているのも、あえてだと思います。

そんな中でも、一人ひとりのキャラを魅力的に描いているわけですから、「さすが京アニ!」クオリティーですね。


♪3つ目、指揮者の圧倒的個性と実力♪

部活動において、指導者は大切である。これは野球部やサッカー部などの運動部でも共通することだと思いますが、吹奏楽部の場合は尚更なんだと思います。

本来ならまとまることのない55人という大勢の人をまとめ上げ、一つの演奏に導かなければならない「指揮者」。そのためには、圧倒的個性と圧倒的実力が必要なんだと思います。

そして、「粘着イケメン悪魔」と陰で呼ばれる滝先生は、自らの指導方針を貫き通します。生徒の自主性を尊重しながらも、巧みな言葉で生徒たちをほのめかし、やる気を引き出すあの話術。音楽に対してぶれることのない信念と、それに基づく厳しい指導。

どこかのサイトで「あの指導は時代錯誤だ」みたいな意見を目にしましたが、現実はもっと厳しい。先ほどの指揮者のおじいちゃんは、ちゃんと演奏できないと、独り立たせて、10分でも20分でも、できるようになるまで演奏させるそうです。たとえ、途中で泣き出しても終わらない。それに比べたら、滝先生の{netabare}『もう一度聞きます。いつまでに出来るようになりますか?』{/netabare}なんて、かわいいものです。

またどこかで、滝先生の指導がぶれぶれだという意見も見ましたが、これは「若さゆえの迷い」から来るものだと思います。

そもそも「どこが?」と思ってしまったので具体的には指摘できませんが、個人的には{netabare}再オーディションを滝先生の方から提案したのは、よかったと思っています。部員たちの不満や不信感を受けて、悩みながらも滝先生が指導者として導き出した、現状を打開するための「答え」。その指導者としての姿勢を描きたかったんだと思います。{/netabare}

あと、{netabare}オーディションのそもそものやり方に疑問を感じている方もいられましたが、音楽にまっすぐな滝先生はあくまで「実力主義」。それは最初に宣言してますし、オーディション(審査)も副顧問の松本先生との二人(協議方式)で行われているわけだから、公平性は保たれていると思います。{/netabare}

また、{netabare}部員全員で審査する再オーディションのやり方も、ラスト香織先輩本人に意思確認を行ったのも、「自主性の尊重」を信条とする指導方針だからこそ。「音楽は嘘をつけない。」その想いを信じたんだと思います。{/netabare}


♪音で伝わる吹奏楽の魅力♪

さて、これまで♪吹奏楽の演奏における3つのポイント♪をご紹介してきましたが、やはりこの作品で特筆すべきは、その演奏シーンの圧巻とも言えるクオリティーでしょう。そして、特に私がすごいと思うのが、「音」による表現へのこだわりです。

私は音楽に詳しくもないですし(こだわりはありますが)、音感もいい方ではありませんが、十分に「音による演奏の違いと成長」を味わうことができました。第11話の{netabare}再オーディションの演奏の優劣{/netabare}も、ちゃんと聞き分けることができましたし、徐々に上手くなっていく吹奏楽部の演奏も、十分に理解することができました。まさに、「最高峰の音楽アニメ」と言える素晴らしさです。

また作画においても、その美しさはもちろんのこと、京アニが誇る圧倒的表現技術の高さで、細かく丁寧に描かれている演奏シーン。こちらもぜひご覧になって、その豊かさを感じていただければと思います。


京アニが持つ、すべての熱意と技術で描かれる、吹奏楽という音楽の魅力。

そして、次の曲が始まるのです。



◆大好きなシーンたちの紹介◆

第四回「うたうよソルフェージュ」

{netabare}それは、北宇治高校吹奏楽部が初めて行う合奏シーン。『海兵隊』の演奏を外で聞いていた男子生徒が、思わず行進を始めてしまった姿が印象的でした。それだけで、「いい演奏をしているんだな」と思わせる京アニの技術が素晴らしい。

そして、私の中でこの瞬間、ある「期待」は「確信」へと変わりました。

これから絶対、面白くなる!{/netabare}


第七回「なきむしサクソフォン」

{netabare}それは、香織先輩が部活を休んだ部長のお見舞いに行くシーン。この作品では、ちょくちょくこの二人が相談するシーンが描かれていますが、私も学生時代、合気道部に入っていたのでとても共感できました。上級生には上級生の、3年生には3年生の、悩みがあるんですよね。

そして、ここで投入「牛乳とさつまいも」。京アニはねえ、ここら辺が上手いと言うかあざといと言うか、さらっとキャラの魅力を高めてきます。(香織先輩、かわいい。)私も今度、牛乳とさつまいも試してみようかな。{/netabare}


第十二回「わたしのユーフォニアム」

{netabare}それは、久美子が「うまくなりたい」と叫び駆け出すあのシーン。この作品では新人、ベテランの違いなく声優さんたちの活躍が光っていますが、黒沢ともよさんの気持ちのこもった演技に思わず嗚咽が漏れました。

そして、「悔しくて、死にそう」という気持ちに初めて気づいた久美子の成長。それをやさしく見守る星空と、夜の街の美しさ。圧倒的な表現技術を誇る京アニだからこそ描くことができる、芸術的で感動的なシーンでした。{/netabare}


最終回「さよならコンクール」

{netabare}それは、京アニが持てるすべてをかけて奏でた最終回。正直、ここまで目を凝らして、画面を見つめ続けたアニメは他にありません。一つひとつの動きに想いが込められていて、目を離すことができませんでした。

また、緊迫感あふれる演奏前の待機時間。緊張をほぐそうと、「大丈夫かよ。」と耳元でささやく塚本と、照れながらもグータッチを差し出す久美子の二人。私はこの二人がくっつくことだけは望んでいなかったのですが、もう付き合ってもしょうがない。塚本お前、かっこいいよ。

そして、ラストの演奏シーン。音と作画の相乗効果で、気迫あふれる部員たちの演奏を、威風堂々、豊かで雄大な音のシンフォニーを、堪能することができました。その中で伝わってくるそれぞれの想いに、胸の高鳴りが収まりません。この作品に出会えて、心からよかったと思っています。京アニのみなさん、本当にありがとうございました。


ところで、{netabare}演奏開始直前に、会場のドアを開ける係の女性。モブのくせして、かわい過ぎじゃありませんか。{/netabare}

そして、私たちの曲は続くのです。{/netabare}



◆私が気づいた売れない理由◆

これまで、ユーフォちゃんの魅力を思うがままに書いてきましたが、みなさんのレビューにもあるように、世間ではBDの売り上げの伸びがあまりよくないようです。

ユーフォちゃんを愛して止まない私としては、悲しくて仕方がないのですが、ある時、とあることに気づきました。

それは、サムネの画像を変更しようと、ユーフォちゃんのお気に入りキャラを考えていた時のことです。はたして、私は誰が一番好きなんだろう。性格などの内面で考えると、香織先輩。外見的美しさなら、麗奈。でも総合的に考えると、やっぱり久美子なのかな。

しかし、どんなに考えても誰を選んでみても、「2014年、俺の嫁選手権」覇者であるSHIROBAKOの「絵麻たん」には、どうしても一歩及ばないように感じてしまう。

この時、私はある事実に気づきました。ユーフォちゃんは徹底的に吹奏楽の魅力を追求した、正真正銘の傑作音楽アニメ。しかしその反動で、「俗的な」アニメキャラとしての魅力が弱くなってしまったのでは、と。だから、{netabare}「絵麻たそペロペロ」、「あずにゃんペロペロ」といった楽しみ方がし辛いのでは、と。(私はしてませんよ){/netabare}


私にはこの作品を含めて、「心から出会えてよかった」と思っている神アニメが7つ(通称「七神」、詳細はプロフィールにて)あります。そして、この「ユーフォ」と「ちはやふる2」以外の5作品にはすべて、俺の嫁と呼ぶにふさわしい大好きなキャラが存在します。


♪愛して止まない俺の嫁たち♪

それは、{netabare}「SHIROBAKO」の絵麻たん、「TARI TARI」のさわ、「シュタゲ」のクリス、「けいおん!!」のあずにゃん、「クラナドAS」の渚、の5人です。それぞれが、それぞれの個性あふれる魅力を持っていると思います。

ちなみに、ユーフォちゃんの俺の嫁は結局、{netabare}香織先輩です。誰よりもやさしくて、誰よりも自分にまっすぐで、一生懸命な彼女が、とても魅力的でした。左目の下にある泣きぼくろも色っぽくて、うん、とってもかわいい。茅原実里さんの演技も素晴らしかったです。

(あれ。よくよく考えたら、香織先輩も他の5人と同じくらい魅力的だぞ。どうしよう。){/netabare}
{/netabare}


また、ちはやふるには俺の嫁がいなくて、競技カルタと日本の伝統文化である和歌の魅力を真摯に描いた作品なので、どことなくユーフォちゃんに似ています。でも、ちはやちゃんには、スポ根アニメ特有の胸がアツく熱くなる展開や、切なくて苦しいラブストーリーが詰まっていて、大衆の人でも取っ付きやすくなっていると思います。

それに対して、このユーフォちゃんの最大の魅力は、真剣に部活に取り組み、本気で全国出場を目指す暑くて苦しい「青春」と、その熱い想いたちが奏でる、心揺さぶる吹奏楽の「音楽」です。だから、部活動経験者や音楽に興味がある人でないと、その魅力を十分に理解するのは難しい。またアニメ感の薄い作品ですから、キャラものとして楽しむのも難しい。

批判を恐れずに言わせていただくと、この作品を楽しむためにはある程度、「肥えた目と耳」が必要なんだと思います。

この作品は音楽・作画・声優・キャラ・ストーリー。そのすべてが圧倒的で、七神の中でも随一のクオリティーだと思います。しかしその完成度の高さ故、皮肉なことに京アニが奏でる渾身の一撃も、大衆の胸には響かないのかもしれません。


実力のある者が、正当に評価される世界であってほしい。

心の底から、そう願います。



◆まとめ◆

いつにも増して長文で、偉そうなことを書いてしまい、失礼致しました。でも、実は私も、麗奈や久美子のように「特別になりたい」と思っています。

特別な京アニが描く、特別な作品、響け!ユーフォニアム。

たとえ世間が評価しなくとも、私の中では「七神」の頂点に君臨するであろう神アニメ。きっとこれから先、この作品を越える吹奏楽アニメは誕生しないでしょう。


一人でも多くの人がこの作品の魅力に出会って、少しでもその魅力が世界に伝わることを願っています。



◆最後に◆

今回のレビューを書くにあたって、多くの方のユーフォちゃんのレビューを拝見してきました。

「はい、おっしゃる通りです。」や「なるほど、そう感じたのか。」といった思いを積み重ねてきたからこそ、この度この作品への想いを書くことができたんだと思っています。


最後まで読んでいただき、そして素敵なレビューを書いていただき、本当にありがとうございました。



◇余談1◇

『おもいでミュージック』

{netabare}サントラCD「おもいでミュージック」の紹介を簡単にしたいと思います。

私はある方のおかげで、先週の日曜に無事ゲットできました。Disc 1がふつうのサントラ、Disc 2が劇中曲といった感じです。

♪お気に入り曲の紹介♪

Disc 2-12 「愛を見つけた場所」
まるで、二人の心が寄り添い合うかのような音のハーモニー。目をつぶれば浮かんでくる、あの景色。うん、二人の愛を感じます。

Disc 2-15 「三日月の舞(香織 トランペットソロVer.)
本編では聞くことができなかった香織先輩のソロ演奏。感無量です。でも、麗奈の方がコンクール的にはよかったのかな。ごめんね、香織先輩。

Disc 2-17 「DREAM SOLISTER(Wind Orchestra Ver.)
ラストに流れた、OPの吹奏楽バージョン。いや、映画のエンドロールを見ているかのような気分です。本当に、素晴らしい作品に出会えてよかったな、と思います。

劇中曲ばかりを紹介してしまいましたが、サントラの方も圧巻のクオリティー。Disc 1-1の「はじまりの旋律」を聴いてみて下さい。ああ、この作品はすべての音楽が素晴らしい作品なんだなと思えるはずです。そして、アニメが見たくなる。また、演奏における面白い制作秘話も必見です。

ユーフォファンの方は、一度聴いてみることを強くオススメします。{/netabare}


◇余談2◇

『京アニの最新スペクトル戦略?』

{netabare}こないだ医学部の友人に面白い話を聞いたので、ちょっと紹介したいと思います。一応、ユーフォちゃんの売り上げに関連する話です。

ただし、かなり暑くて長い文が続くので、部屋を涼しくして、アイスコーヒーでも飲みながら、興味のある方だけご覧ください。(①は医学、②は経営学?に関するちょっと小難しい話なので、飛ばしてもらってもOKです。)


① 抗菌スペクトルって何?

{netabare}※この①と次の②は、医学部に通う友人が大学の講義で聞いた内容に基づいています。又聞きなんで書いても問題ないと思いますが、それなりに信憑性はあると思います。あとは、私がちゃんと説明できるか、です。(ただし、ネット検索しても私はうまくヒットしませんでした。ご理解を)

医学の間では、「抗菌スペクトル」という考えがあるそうです。

そもそも「スペクトル」とは、光における虹のような色の帯のことで、一般的には、「ある組成のものを分化した成分を、一定量の大小によって並べたもの」。そして、「抗菌スペクトル」とは、「消毒剤や抗生物質が効力を及ぼす病原微生物の範囲とそれらの作用強度」を意味しています。

これだとちょっとわかり難いので、具体例をあげて考えていきましょう。

私は今、「ユーフォ病」にかかっています。その原因には、①麗奈がかわいい、②香織先輩がかわいい、③久美子がかわいい、④音楽が素晴らしい、の4つが考えられるのですが、その原因は「1つだけ」で、今は特定できていないと仮定します。

この時使用されるのが、スペクトル範囲が広く、作用強度の弱い物。これだと、①~④すべてに効力を及ぼすことができますが、その強度が弱いため、原因を完全には除去することができません。

これに対して、原因が②の香織先輩だと判明している場合。この場合は、②だけに効く、スペクトル範囲が狭く、作用強度の強い物が使われ、その原因を完全に除去することができます。つまり、私の「ユーフォ病」は完治します。(たぶん、ずっとしないと思いますが)

現在の医療現場では、上記のように病気の原因(病原微生物)が特定されている場合は、その病原菌「だけ」に強力に作用するスペクトル範囲の狭い薬が使用され、特定されていない場合は、スペクトル範囲の広い薬が使用されているそうです。
{/netabare}

② お菓子メーカーのスペクトル戦略

{netabare}この考え方を商品開発の場で応用しているのが、「お菓子業界」。

以前のお菓子業界では、「子どもから大人まで」楽しめる商品を販売していたそうですが、最近は特定の顧客層をターゲットにした商品の開発に力を入れているそうです。

わかりやすい例で言えば、「大人のお菓子シリーズ」。調べてみると、「大人の雪見だいふく」や「大人のたけのこの里」などの商品があるようで、そういえば、お店で大人向けのお菓子をよく目にするようになった気がします。

また、これをさらに進めて、現在では「外国人観光客」をターゲットにした商品開発が盛んなようです。日本を代表する「抹茶味」のお菓子をたくさん作って、空港免税店などで発売する。具体的には、「ポッキー和ごころ」や「アルフォートプレミアム宇治抹茶」など。(決して、商品の宣伝をしているわけではありませんよ)

そして、これらの商品を「インバウンドマーケティング」という手法(興味のある消費者に、自ら調べて見つけてもらうこと)を用いて、効果的に外国人観光客に販売しているそうです。そして見事、人気を博しているそうです。

つまり、先ほどの「スペクトル理論」から考えると、外国人観光客の好み(=抹茶)を的確に捉えて、外国人観光客「だけ」を対象とした商品を作ったことによって、高い満足感を生み出し、確実な売り上げを手に入れることに成功した、と言えると思います。

あと補足ですが、人間は「幸福感」と「不快感」の程度が同じだった場合、幸福感の方をより深く感じるようになっているそうです。つまり、「このアニメ、クソだったな」という気持ちよりも、「この作品に出会えて、心からよかったな」という喜びの方が、より強く心に残るそうです。(たしかに、そんな気がする)

だから、たとえ一部の顧客にしか支持されない商品になってしまったとしても、大丈夫だそうです。

先ほどの商品たちが日本人の口に合わなかったとしても、「私の好みじゃない」と流されるだけなので。(これに他の感情が混じると、話は別なんでしょうが。)それよりも一部のターゲットに強い高揚感を与え、固定ファンを着実に作ることが、重要であるということらしいです。
{/netabare}

③ 今回、京アニが狙ったもの

{netabare}この話を聞いて、私は「今回、京アニはそもそもターゲットをしぼって、ユーフォちゃんを作ったんじゃないの?」と考えるようになりました。

今、アニメ界で最も人気がある作品と言えばそう、「ラブライブ!」

正直、私はラブライブ!が好きではありませんし、あまり面白いとも思っていません。(特に2期)だから、ニュースとかで「ラブライバー」を見ると、「なんだかな~」という気持ちになります。

もちろん、ラブライブ!を好きな人全員が変人だとは思っていませんし(私の知っているラブライバー?の女の子たちはとてもいい子です)、映画も見ていないので作品の真価はなんとも言えません。

でも、大ヒットした主な要因は、話題性と大衆性。(あとは、見た目だけがかわいいキャラと、キャッチーな楽曲、きれいなライブシーン、押しメン制度、スクフェス、など。)だから、狙って「大人気作」にするのは難しかったと思いますし、いくら人気があってもあれじゃあ・・・というのが正直な感想です。

これは、アニメに限った話ではないと思います。「ドラマの視聴率」も「音楽CDの売り上げ」も、必ずしも「名作」だから高いわけではない。もちろん、人気が出るのにはそれなりの理由があるとは思いますが、基本的には、その当時「話題」になって流行っているものと、「大衆」が理解しやすい内容のものが、売れやすいんだと私は考えています。

つまり、売れるかどうかは「実力」ではなく、「運次第」ということです。(SHIROBAKOでも言ってた気がする)

そして、現代は年に100本以上のアニメが作られる「多作の時代」。また、アニメを見る年齢層の幅は年々広がり、作品の好みはバラける「価値観の多様化」も同時進行中。テレビ界や音楽界で生じた現象が、いよいよアニメ界にもやって来たという感じです。

そんな中、アニメを見ている「すべての人が共通に楽しめる作品」を作ることは、ほぼ不可能なんでしょう。

だから、先ほどのお菓子業界と同じように、「特別」な一部のファンだけに「深く」愛される作品に、今回、京アニが挑戦してきたのではないかと思うのです。(あくまで、個人的な意見です)

じゃあ、それが結果的にうまくいったのかは、まだなんとも言えません。

BDの売り上げの初動だけを見ればよくないですが、サントラCDの人気は上々のようです。(各地で購入できない状態があったみたいですし)

あとは、これから人気が出るように、我(々)が布教活動するしかないでしょう。作品としては文句なしの出来なのですから、それをちゃんと理解できる人たち(吹奏楽経験者など)に薦めていくことが、一番の近道なのかもしれません。(ちなみに、私は例のオーケストラの後輩に話をしてみようと思っています)

実力のある者が、正当に評価される世界であってほしい。

そもそも世の中全体がそうではないと思いますが、やっぱり大好きな作品ですし、2期を作って頂くためにも、精一杯応援したいと思います。
{/netabare}

④ これから、アニメ界はどうなるの?

{netabare}はい、完全な余談です。

先ほどの話からすると、やっぱり「名作」が必ずしも売れるわけではない。正当な評価を受けるわけでもない。

あくまで人気が出るのは、その時話題になって流行った作品。しかも、アニメを見ている層の中心は、中高生の10代から大学生くらいまでの20代なわけだから、大人の趣味と合わない所ももちろんある。

だから、彼らが好きなものを、大人の目からすると理解できない時もあるし、逆に大人が素晴らしいと思っているものを彼らがつまらないと感じてしまうこともある。私は日常的に彼らと接する仕事をしているので、このことを日々強く実感しています。「アニメの好みが、違うんだよ。」

そうなると、アニメ制作会社はどういった舵取りをするべきなんでしょうか。

今回の京アニみたいに、一部のターゲットにしぼった作品を作るのか。ラブライブ!のような、大衆性の高い作品を作るのか。

アニメ制作もあくまでビジネスでしょうから、採算の取れる道を選んで頂ければと思いますが、そのせいで「心から楽しめる作品」がなくなってしまったら、とても淋しいです。それこそ、「過去の名作」を見るだけになってしまう。

クールジャパンに代表されるように、人気が出てきたアニメ業界。その方向性もそうですが、その作業現場も過酷なようです。なんにせよ、頑張ってほしいと陰ながら応援しています。


それでは、我々アニメファンは。

まず、人それぞれ好みが違うわけですから、「自分が楽しいと思える作品」を、存分に楽しめればいいんだと思います。でも、楽しめる作品が多いことに越したことはありませんから、自分の世界観や感受性が豊かになるように努力する。

そのためには、多くの人と意見交換をすること。つまり、あにこれを活用すればいいんですね。素晴らしい。

また、「名作」が「名作」であることを、少しでも多くの人に知ってもらって、素晴らしい作品を作ってくれている制作会社を応援する。恩返しをしていく。

そのためには、レビューを書いて、その作品の魅力を発信していくこと。つまりこれも、あにこれを活用すればいいんですね。重ねて、素晴らしい。

このサイトを一方的に賛辞することを書いてしまいましたが、私はこういった気持ちで、あにこれ活動をしています。

みなさんにこの考えを押し付ける気は「まったく」ありませんが、私がこういった人間であることは、ちょっと紹介したいなと思いました。

みなさんが少しでも、多くの「大好きな作品」たちに出会えますように。


またバカみたいに長文を書いてしまいましたが、最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 77
ネタバレ

mio♡美桜 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

Come on!Join us‼︎ & Bravo‼︎(余談3追記)

♫彡。.:・¤゚♫彡。.:・¤゚♫彡。.:・¤゚♫彡。.:・*゚♫彡。.:・¤゚♫

原作 - 武田綾乃
監督 - 石原立也
シリーズ構成・脚本 - 花田十輝
キャラクターデザイン - 池田晶子
シリーズ演出 - 山田尚子
美術監督 - 篠原睦雄
色彩設定 - 竹田明代
楽器設定 - 高橋博行
撮影監督 - 高尾一也
音響監督 - 鶴岡陽太
音楽 - 松田彬人
音楽制作協力 - 洗足学園音楽大学
演奏協力 - フレッシュマン・ウインド・アンサンブル
音楽監修 - 大和田雅洋
アニメーション制作 - 京都アニメーション
製作 - 「響け!」製作委員会
放送期間 - 2015年4月 - 6月
話数 - 全13話

(以上Wikipediaより引用)

♫彡。.:・¤゚♫彡。.:・¤゚♫彡。.:・¤゚♫彡。.:・*゚♫彡。.:・¤゚♫


京都アニメーションの新作「響け!ユーフォニアム」

京都アニメーションならではの美しくて繊細な作画と
その中で生き生きと動くキャラクター達。
吹奏楽の魅力溢れる楽器の質感と演奏描写。
ホール特有の臨場感と緊張感。
そして合奏で生まれるダイナミックな高揚感。

アニメ視聴歴の短い私がこの様な事を言うのは大変おこが
ましいのですが、長年に亘って培ってきた京都アニメーシ
ョンの技術がいかんなく発揮されている印象を受けました。

京都アニメーション製作と聞きますと必然とでも言うの
でしょうかやっぱりその作画力に注目しちゃいます。
何気ない街の信号機の押しボタン、音楽室の備品らしい
楽器の傷や黄昏時の公園の背景、夕日や水銀灯が反射し
キラキラと輝く水面。演奏する時の息遣いや指の動き。
何秒も映らないシーンに対してのこだわりと言うので
しょうか、本当に細やかな描画が凄いと思います。
そしてその様な素晴らしい背景の中でそれぞれのキャラ達
が豊かな表情で丁寧に動いています。

私、京都アニメーションの横顔の描き方、けいおんやたま
ラブのレビューでも書かせて頂きましたが大好きなんです。
額から鼻そして唇、顎のライン、つい吸い込まれる様な瞳の
美しさにこの作品でも心を奪われました。
第1話から制作サイドのこれでもかと言わんばかりの熱意が
伝わってくる作画。
まるで映画かと勘違いしてしまうくらいのレベルを維持
しつつ圧巻の最終話までいきます。
凄いです!
ここまで作画に関して書かせて頂きましたが、是非その
目で実際に堪能して下さい。

次にストーリーなのですがお話としては、とある高校の
吹奏楽部の成長物語をヒューマンドラマを交えながら
描いた、ある意味では部活物の王道的なお話です。
しかし高校生ならではの憂い、葛藤、喜び、そして少し
ばかりの恋心を吹奏楽部の成長と共に全く手抜きの無い
リアルな描写で描ききってます。
そのリアルさに何度も心が震え、学生時代の楽しくて熱く
て切ない記憶が蘇りました。
特に吹奏楽部に対しての描き方は吹部在籍者もしくは
経験者も納得の内容だと思います。
そして1クールという短い時間の中でも出来るだけの楽器
の紹介や演奏、お手入れの仕方、吹部内のパート・編成の
説明、全国コンクールまでの仕組みなどの解説もあります
ので吹奏楽未経験の方でも凄く楽しめるかなと思います。
アイキャッチで毎回違う楽器が登場するので、
あっ、これなんだろ?
って興味を持つのも楽しいかもしれませんね。
尺の都合上十分ではないかもしれませんが吹奏楽未経験者
の方でも楽しめる様な配慮がなされている点が凄く嬉しい
です。

どうしても吹部というのは女子率が高いのでキャッキャ
ウフフ、はたまた女子特有のギスギスした関係等想像
するかと思われますが、体育会系並みの練習のキツさや
辛さ、顧問の先生または部員同士の確執、そして音を奏で
る喜びや音楽を通して築かれていく信頼関係や友情等も描
かれていますので学生時代に何か部活に打ち込まれた
方など特に共感出来る部分も多いのではないでしょうか。

アニメのタイプには非現実的でリアルではありえない事を
私達に擬似体験させてくれる楽しさと現実的でリアルで
あり得る事を共感しながら楽しませてくれる作品がある
と思います。
しかしどちらも同じアニメの醍醐味。
この作品は後者の良さが詰まった素敵なシンフォニーです。
少しばかり女の子同士のファンタジーもありますけれど。

胸を熱くさせるセリフの1つ1つ。
葛藤、友情、愛情、情熱のこもったストーリーを盛り上げ
る声優さんの演技もまた素敵です。
メインキャラを務める声優さんは私的に余り存じ上げ無い
方が多かったのですがその周りを固めるベテラン(年齢は
若いですが実力派の方を含め)の声優さんの演技が光って
ます。
エンドロールでおおっ!この人出てたんだ!ってなるのも
楽しみです。

そんな作画、ストーリー、声優陣のバランスのとれた
作品を盛り上げてくれるのが
OPの「DREAM SOLISTER」、EDの「トゥッティ!」
どちらもブラスバンドを取り入れていて、この作品の楽し
さと音楽を奏でる、みんなで合奏する楽しさが凄く伝わる
素敵な曲だと思います。

特に最終話のEDは…これは内緒ですね。是非!

最近視聴したアニメの中で最初から終盤までここまでの
期待感と緊張感を維持したまま視聴したアニメはなかなか
ありません。
ストーリー的な面白さもありますが、人間関係、心情、
音の対比の表現が素晴らしいと思います。

ボキャブラリーの少ない私には多くは語れません。
是非視聴して下さい。
そして感じて下さい。

とここまでなるべくネタばれ無しで感想を述べてみました
けれど、

上手く伝わるかなぁ…ちょっと不安。

でも、私自身初の5点満点の作品となりました

「響け!ユーフォニアム」

音楽とは聴く者の心を打ち震わせ、繋ぎとめる
世界共通の言語。

しっかりと心に響きました。ガチです!


【主要登場人物・出演者】

黄前久美子 - (CV:黒沢ともよ)
加藤葉月 - (CV:朝井彩加)
川島緑輝 - (CV:豊田萌絵)
高坂麗奈 - (CV:安済知佳)
田中あすか - (CV:寿美菜子)
小笠原晴香 - (CV:早見沙織)
中世古香織 - (CV:茅原実里)
塚本秀一 - (CV:石谷春貴)
後藤卓也 - (CV:津田健次郎)
長瀬梨子 - (CV:小堀幸)
中川夏紀 - (CV:藤村鼓乃美)
吉川優子 - (CV:山岡ゆり)
斎藤 葵 - (CV:日笠陽子)
黄前麻美子 - (CV:沼倉愛美)
松本美知恵 - (CV:久川綾)
滝 昇 - (CV:櫻井孝宏)


【主題歌】

オープニングテーマ
「DREAM SOLISTER」(第2話 - 第12話)
作詞 - 唐沢美帆 / 作曲・編曲 - 加藤裕介 / 歌 - TRUE

エンディングテーマ
「トゥッティ!」(第1話 - 第7話、第9話 - 第12話)
作詞・作曲 - ZAQ / 編曲 - 高田暁 / 歌 - 北宇治カルテット
[黄前久美子(黒沢ともよ)、加藤葉月(朝井彩加)、
川島緑輝(豊田萌絵)、高坂麗奈(安済知佳)]

メモリアルエンディングテーマ
{netabare}
「DREAM SOLISTER (Wind Orchestra Ver.)」
(第13話)
作曲- 加藤裕介 / 編曲 - 松田彬人
{/netabare}


【mio's café】
ここからはネタばれの感想となりますので未視聴の方は…
出来ればご遠慮ください。
それでもという方は…Come on!Join us‼︎

{netabare}
良かった、本当に良かったです。
最初はヒロインらしからぬどこかクールでちょっと
ネガティヴな主人公:黄前久美子ちゃんにこの子この先
どうなるんだろうって不安だったけど、見事に変わって
くれましたね。
周りに良き友人、先輩、先生に囲まれて葛藤しながらも
成長し、本当の自分の気持ちに気付いていく様は見事でし
た。
CV:黒沢ともよさんの演技も普段のクールでグタグタな
低音ボイスから気持ちが高揚した時のちょっと上擦った
感じの声まで凄くメリハリがあって素敵でした。
本当にリアルな女子高生らしさが出ていたと思います。

そんな久美子を序盤で支えたのが超ポジティブ思考の2人
のお友達。
加藤葉月ちゃんと川島緑輝(サファイア)ちゃんでした。
でもこの2人のポジティブさ微妙に違うんですよね。
そのあたりの細かい使い分けも凄く上手だったと思います。
葉月ちゃん演じるCV:朝井彩加さん、
緑ちゃん演じるCV:豊田萌絵さん。
多分初めて名前を見る方だったのですが凄くキャラの魅力
を引き出していて良かったと思います。

久美子と最初にお友達になった加藤葉月ちゃん。
序盤のチューバとの馴れ初めは笑っちゃいました。
こうだと決めたら突進するポジティブ要素の他に以外と
感受性が高くナイーブな感じ。
感動しやすく、お友達の為なら頑張れる女の子。
8話告白シーンでの後ろからのカメラアングルで瞬きする
所、橋の上での緑ちゃんと再開して涙が溢れ出すシーン。
切なかったですね。
逆に9話でヘコむ緑ちゃんを励ます姿が愛おしかったです。

そして川島緑輝ちゃん。
「命かけてます!」
「その言葉待ってました!」
なんと前向きなキャラなんでしょう。
あのちっちゃい体でコンバスってのも良いですね。
後ろは振り向かない前進あるのみの超ポジティブ思考。
事あるたびに久美子にハッパかけてくれます。
そんな緑ちゃんでもさすがに9話ではへこんじゃってちょっ
と心配しちゃった。
8話でのいきなり登場した妹の琥珀ちゃん。
「こりゃ、ヤバいね〜」
葉月ちゃんの言葉そのもの。かなりヤバかったです。

緑ちゃんが背中を押して葉月ちゃんがさりげなくフォロー
する。
タイプの違うポジティブキャラの魅せ方がとても印象に
残ります。

そんな2人に割って入るかの様に久美子の心を虜にした
高坂麗奈ちゃん(CV:安済知佳さん)。
凄いですね。
私の中で「高坂麗奈」という「戦場ヶ原ひたぎ様」に
勝るとも劣らないキャラが誕生しました。
第1話でのあの涙。
凄くわかるんです、あのダメ金の悔しさ。
吹奏楽は一人じゃないからこその悔しさ。
皆んなが1つにならなきゃ取れない代表の座、
だけど一つになっても取れない代表の座。
嬉しさも倍なら悔しさも倍だから…
麗奈の気持ち凄くわかるんです。
リアルですね。
(私が現役の時はダメ金という言葉が凄く嫌いでした。
あの評価方法自体今思い出しても酷だと思います。)

私がこの作品を見始めて凄く興味があったのが、いかに
して金に届くまでの吹部に育っていくのかという事と
第1話で訪れた久美子と麗奈の関係がいかに変わっていく
のかという事でした。
第5話が吹部としての大きなきな転換点、そして第8話が
久美子と麗奈の関係の大きな転換点だったと思います。
作画の美麗さに音楽が優しく重なり、私までなんだか
幻想的な夏の夜の夢を見ているようでした。
背後の夜景が透けて見える白いワンピース。
久美子の顔をなぞる麗奈の白くて細い指先。
「特別になる…」
ユーフォニアムとトランペットでの2重奏。
その曲名も

「愛を見つけた場所」…

背景、音楽、キャラのあまりの美しくしさに背筋が
ゾクゾク。
最後のEDまでドキドキしてました。
近年の京都アニメーションの中でも突出した出来だと
思います。
負い目を感じて後ろ向きだった久美子が麗奈の強くて
真っ直ぐな気持ちの虜になった第8話。
好きな人の為なら全てを敵に回しても構わないという覚悟
の第11話。
この2話に共通していた事が好きな人の為なら死をも厭わな
いという気持ち。
高校生にはちょっとオーバーとか百合展開とか思われる方
もいらっしゃるかと思いますが、私にはそう感じませんで
した。
憧れや人を尊び好きになる気持ちは男女の壁を越えたそう
いう物だから。
人生にそう何度もない出会いが高校生の久美子に訪れた
だけだと思います。

そして麗奈と同じ目線に立てた第12話への大きな導火線
だったと。

「悔しい…悔しくて、死にそう…」

第1話での麗奈と同じ言葉を発した久美子のシーンには
見ているこっちまで心が張り裂けそうでした。
自然と涙が溢れました。
久美子が駆け出すシーンからの作画は圧巻です。
この12話での作画に関してちょっと興味深いツイートが
ありましたので。
以前京都アニメーションでアニメーターとして活躍してま
した斎藤敦史さん(現在はフリーとしてSAO、アルドノア・
ゼロ、ガリレイドンナ等のメインアニメーターとして活躍
中)のツイートなんですが、ちょっと引用させて頂きます。

「ユーフォニアム12話、ちょろっとだけ観たけど
どうやったらこんなクオリティになるのか意味が
分からない。無理〜。
演出がどのぐらい手を入れてたのか気になる。」

凄いですね、プロで同業者しかも元京アニの方が見ても
この感想です。

やはり京都アニメーション、凄いです。

メインキャラとモブ的なキャラの区別がつかないくらい
それぞれのキャラが魅力を発揮するのも京都アニメーショ
ンの作品の特徴の一つ。
今回も沢山の魅力的なキャラがいましたね。
当初から私が注目していたのが
低音パートリーダー田中あすか先輩(CV:寿美菜子さん)
新任顧問の滝昇先生(CV:櫻井孝宏さん)
の2人でした。

最初はあすか先輩の弾けたキャラに魅了され(寿美菜子さん
の演技もまたぴったりです)ていたのですが、お話が進むに
つれて見え隠れする過去と影。
リーダーとしての資質を持ちながらみんなとは一線を画す
あすか先輩の本心というのがとても気になりました。

新任顧問として赴任してきた滝昇先生。
私的にはもう何と言っても櫻井孝宏さんの演技が大好きです。
櫻井さんの顔が滝先生になるくらい素敵でした。
クールで優しい仕草で語りかける言葉の中にある熱い
情熱。
時には残酷ともとれる指導方法をとりますが、大事な所
での言葉はさすがです。

色んな言葉がありましたが最終話でのチューニングルーム
からみんなを送り出す時の言葉は最高でした。

「では皆さん行きましょう、全国に」

これで頑張れないわけがありません。
演奏始まる前から私のアドレナリンが噴出しちゃいました。
吹奏楽に対する情熱と生徒への信頼が感じられる素敵な
先生です。
あんまり言うと麗奈に怒られますね。

でも最終話が終わってもあすか先輩と滝先生2人の中にある
過去というか事情みたいなのが一番引っかかりました。
2期あれば明らかになるといいな。

中世古香織先輩(CV:茅原実里さん)は何と言っても10.11
話での再オーディションのお話が胸に残りましたね。
周りをそして自分を納得させ気持ちよくコンクールに向か
えるように敢えての再オーディション。
最終話での麗奈のソロパートを聴くマリア様のような表情
が全てを物語っていました。

小笠原晴香先輩(CV:早見沙織さん)もいろんな葛藤があり
ましたけれど、お話が進むにつれての成長がとても良かった
です。早見沙織さんの独特の鼻にかかったような声が私的に
は高ポイントでした。

一人一人あげていくと大変なレビューになりそうなので
最後にこの人だけはというキャラを。
中川夏紀先輩(CV:藤村鼓乃美さん)です。
私的に最大のダークホースって言い方はおかしいかもしれ
ないけれど、お話が進むにつれて一番魅力的になりました。
ポニテ先輩最強です!
最初の頃はこの先輩なんだかなぁ〜って感じだったんです
けれど、自身の過去の辛い思い出や久美子のトラウマを
取り払い、再オーディションの時も関係修復の為に影で
支えていましたね。
優子ちゃんとの微妙な関係も凄く好きです。
屈託のない笑顔でコンクールに出場するみんなを支える
姿に癒されました。
最終話では感動する葉月ちゃんの肩にそっと手を回す
シーンに思わず涙。
やっぱポニテ先輩最強!そういえば最終話はポニテ祭りで
したね。
私も翌日、久しぶりにポニテしちゃいました。
影響されやすいタイプなので…

もうキャラ紹介だけのなんだかなレビューになっちゃい
そうですけど、それだけ魅力に溢れたキャラがいる作品
という事かな。

最初から最後まで右肩上がりで楽しめた当作品。
中でも特に好きだったのは第5話、第8話、第11話、
第12話、第13話でした。

私の視聴したアニメの最高評価は4.9というのが何作品か
あるのですがあと0.1点というのが今までの壁でした。
凄く面白かった、感動した、泣いたそれでも充分なんです
がこの作品を視聴してその0.1というのがわかりました。

「心が震える」

これが0.1点の答えでした。

最終話でこの答えが出るかどうか、緊張のスタートです。

コンクール当日の朝、いきなり画面から伝わる緊張感。
目覚ましより早く起きてる久美子がまずリアル過ぎま
した。
静かな朝だからこピリピリ張り詰めた空気感という
のが伝わります。
そしてお姉ちゃんとの微妙な感じ…
そんな空気を麗奈との肘の小突きあいで飛んでけぇ〜って
麗奈も緊張してるんでしょうね、ついほっこりほぐしてく
れました。
現在の私のアドレナリン充填率70%

淡々と準備が進みみんなの表情もどこか硬い…
そんな緊張をほぐすかのようにチーム「もなか」からの
プレゼント。
サブメンバーの屈託のない笑顔に癒されます。
またもやほっこり。
小笠原部長とあすか先輩の掛け声でいざ出陣!
それにしても滝先生のタキシード姿、滝シードでした。
かっこいい♡
私のアドレナリン充填率80%

会場に到着してますます高まる緊張感。
もう私までリアルで見ているかのような気持ちの高まり。
あのホール独特の匂いまで再生されました。

館内で流れるアナウンス、チューニングルームでの音合わ
せであたふたする様子、音に共鳴するペットボトルの水。
凄くリアル。
現在、私のアドレナリンの充填率90%

招集がかかりいよいよです。
そして滝先生の言葉

「では皆さん行きましょう、全国に」

先生と生徒の気持ちが一つになった瞬間でした。
私のアドレナリン充填率100% 一気に噴出…
心が震えました。
そうです、最後の0.1点がきたんです。
しかしこれは序章、「心の震え」第1波です。

緊張の演奏開始。もう合奏を楽しむよりも祈るような
気持ちです。
ライトに反射する細かいダスト。
引きと寄りのカメラワーク。
みんなの気持ちのこもった表情。
「全国に行くんだ」
セリフと共に映し出される久美子の表情。
獲物を狙う野獣のような表情に「心の震え」第2波が
来ました。
凄い、この子達…

譜面に書かれたメッセージ、
「絶対金賞‼︎来年一緒に吹くぞ‼︎」中川
「絶対絶対ゼッタイぜったい‼︎全国‼︎」加藤はづき
「久美子ちゃん。次は火星まで手を伸ばしましょう!
行きますよ‼︎」みどり
「全国、行こうね」麗奈
胸が熱くなります。

いよいよ麗奈のソロパート。あの伸びやかな演奏の始まり
私も緊張MAX…
でもその演奏を聴く香織先輩の表情に「心の震え」第3波が
来ました。
色々あったけど今彼女達は演奏を楽しんでるんだ。
充実しているんだ、良かった…

演奏も終盤、みんなの演奏にも力が入ります。
滝先生も渾身の指揮。
フィニッシュ。涙が溢れました…
みんな凄く良かった、本当に…

いよいよ各賞の発表。
この緊張感、凄いです。
湧き上がる歓声と悲鳴、凄いどこまでリアルなんでしょう
みんなの表情に「心の震え」第4波。

最大の関門、代表校発表。
そうですね、言葉は入りません。表情だけで充分です。
素敵な演出に「心の震え」第5波。

もう私、鼻水まで出てきちゃいました…
どうしてくれるんでしょうか…

言葉では言い尽くせない、感じて欲しい作品です。
素敵な演奏、素敵なドラマを見せてくれてありがとう。
彼女達と京都アニメーションに感謝しています。

最後の集合写真、
屈託のない笑顔の滝先生が印象的でした。

あっ最後に一つだけ、立派な音響設備があれば別ですが
最終話だけはヘッドホンかイヤホンで視聴して欲しいです。
是非‼︎



〜凄く余談〜吹奏楽コンクール〜
{netabare}
この作品を通じて吹奏楽に興味を持たれた方がいましたら
是非、近くの地区大会、支部大会等のコンクールに足を
運んで欲しいです。
7,8月に都道府県、8,9月に支部(関西、九州とか)、11月に
全国というスケジュールで毎年行われます。
日にちをずらして小、中、高、大、般という様にだいたい
行われますが、高校生以上の金を狙う方々の演奏の迫力や
美しさたるもの凄まじいものがあります。

そんな中で私が凄く思うのが小学生の部の演奏を聴いて
欲しい事です。
まだ吹奏楽を生で聴いた事が無いという方がいらっしゃい
ましたら、是非近くのホールに騙されたと思って足を運ん
で欲しいです。
小学生と侮る事なかれ、今の子供達のレベル凄いです。
どんなに小編成のバンドでも心に響くものがあります。
子供達の演奏する圧倒的な音楽を体で感じて欲しいです。
是非!

凄く余談でごめんなさい。
{/netabare}

〜凄く余談2〜リアルユーフォ二アム〜
{netabare}
ご存知の方も多いかと思いますが、昨年吹奏楽界に激震が
走りました。
何が激震なのかというと九州吹奏楽コンクールで長崎代表
の活水中・高等学校が全国コンクールの切符を手にしたん
です。
いゃ〜おめでたいではないですかぁ。
そうなんです。おめでたいんです。

ってそこではなくて、何が凄いかと言いますと、
この活水中・高等学校は九州ではほぼ無名、長崎県大会で
も好成績を残した実績も無く一昨年まで部員不足でコンク
ール出場すらままならない学校だったんです。

そんな学校に昨年の4月に革命が起きました。

九州を代表する吹奏楽の超名門校「精華女子高等学校」
を35年間指導されてきた藤重佳久先生が精華女子高等学校
の定年退職を期に長崎・活水学院の教授に就任。
大学での音楽講義、中・高等学校、大学の吹奏楽部の音楽
監督を兼任する事になりました。

音楽特に吹奏楽は指導者で大きく変わると言います。
私も実際にその様な学校はこれまで幾つも見てきています。

「わかりやすく楽しく、目標を共有する」という指導論を
軸に1980年頃からの創部間もない精華女子を指導し全日本
吹奏楽コンクールには過去19回出場、平成26年には8回
連続・通算10回目の金賞を獲得。マーチングに至っては出
場した15回全てにおいて金賞というまさに吹奏楽界のレジ
ェンド。

就任5カ月での全国出場。
地区大会1回戦負けの常連校がまさかの甲子園という感じで
しょうか?
もちろんこの5カ月の間色々な意識改革、厳しい練習があっ
たと思います。先生を慕って転校してきたり入学して来た
生徒もいるかもしれません。
私立の学校なので施設や楽器にお金をかけたかもしれませ
ん。

でも楽器がいいから、設備がいいから、いい生徒が集まる
からでいい音楽は奏でられないのが吹奏楽なんです。

無名の学校を短期間にここまで成長させハーモニーを作り
上げるのは並大抵の事では無いと思います。
これから毎年藤重先生の指導を受けたいという生徒が全国
から活水学院に殺到するかもしれませんね。

昨年の全日本吹奏楽コンクールは銅賞でしたが、精華女子
高等学校で一つの音楽を作り上げ、活水中・高等学校でまた
新たなる音楽を作り上げようとする藤重先生。

いつか九州吹奏楽コンクール鹿児島開催の時、新しい藤重
先生の音楽聴いてみたいです。
これから楽しみがです♬
{/netabare}

〜凄く余談3〜劇場版公開前に7回目の視聴〜
{netabare}
うん!
何回見てもこんなに心が熱くなれる作品、
やっぱりユーフォです。
何でだろう…
「DREAM SOLISTER」を聴いてるだけで胸が熱くなり
涙が溢れてくる…

やっぱり私にとっては最高の出逢い。

何回見ても感謝の言葉しかありません。

原作・武田綾乃さん、制作・京都アニメーションさん、
「響け!」製作委員会の方々。
制作に関わった数多くのスタッフ、キャストの皆さん。

劇場でまた北宇治吹部のみんなに逢えるのが楽しみです。
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 199

78.6 2 コンクールでシリアスなアニメランキング2位
この音とまれ! 第2クール(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (271)
1015人が棚に入れました
廃部寸前の時瀬高校箏曲部。一人になってしまった部長のもとを訪れたのは不良少年とその友達、そして箏の天才少女だった。それぞれの箏の音が紡ぐ青春学園物語―

声優・キャラクター
内田雄馬、榎木淳弥、種﨑敦美、細谷佳正、石谷春貴、古川慎、井口祐一、松本沙羅、浪川大輔、金尾哲夫、花江夏樹、朝井彩加、水樹奈々、佐倉綾音、安済知佳、寺島惇太、保志総一朗、山谷祥生、蒼井翔太、東山奈央
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

音の一粒 黄金一粒

原作未読


この度の初話。『関東邦楽祭』というワードをしっかり覚えていた視聴者はいただろうか。
“分割2クール”スタイルが定着した今日この頃。ぶつ切りの13話から早3カ月。14話はその13話から地続きでスタートしてました。リアタイ視聴も考えものです。まとめて一気に観たほうが良さげな放送スタイル。それが“分割2クール”です。
そういえば今回の2クールめ放送直前に1クールめを直前視聴されたレビュアーさんがいらっしゃって「その手があったかー!」と妙に納得しました。視聴する分には、間隔空けずまとめて一気にこしたことないですもんね。

だって、さとわも愛もなんなら武蔵だって1クールめ序盤の頃と明らかに違ってるはずですもの。
{netabare}※さとわは「あんたら踏み台。全国連れてくから素人は黙っといて」くらいの勢いだったよ(^_^;){/netabare}
観終わってから登場人物の成長に目を細めるには記憶が怪しくなっていて勿体ないなと心底思います。
良い作品であればあるほどその思いを強くするわけでありますが、本作がまさにそれ。


音楽もの特に演奏シーンと物語の融合という点で『四月は君の嘘』『響け!ユーフォニアム』音でも魅せた偉大な先達が壁となって立ちはだかります。
というより比較されます。ベンチマークが『ユーフォ』というのも後進のつらいところです。手書きorCG。モノローグ。心象風景の映像化。止め絵の配分。運指の正確さ。観客の反応。そして回想シーン。あの手この手を駆使しての“音楽もの”本作はどうだったんでしょうか。

作品の序列は置いときましょう。すごい良かったと思います。
箏奏者だった原作者。作中のオリジナル楽曲は身内が作曲。題材である“箏”が血肉となってる身内同士のチーム。どう考えても最強です。画力や話構成なら漫画家のポテンシャルでしょうが、それとは別のネタ帳レベルでのリアリティについて絶対の信頼を寄せられる“扱う題材のトッププレイヤーがそのまま書いてる”という事実。
前半1クール序盤での懇切丁寧な説明もそこで終わらずさらに踏み込んできた今回後半。

 一音(いちおん)

…わかるようでわかりません。視聴者がギリギリついていけるかどうかの技術の説明やプロの感覚を惜しげもなくプッシュしてきました。情報過多に思えますが不快さはありません。

わかりやすくないとぶーたれるところを、私は肩書き/略歴で平伏しときました。「プロのあなたがそう言うならそうなんでしょう」…この感覚は自分でも新鮮でした。


演出面でもぬかりなかったような。
※{netabare}「天泣」部室での練習シーン。晶から指摘された17弦と独奏の音のズレはしっかり耳でもわかりました。{/netabare}
上手と下手が素人でも感じられるのです。

{netabare}姫坂→珀音→時瀬と続く予選。姫坂の音圧に圧倒されました。珀音もまた別角度で。どんだけハードル上げるのさ、からそれらを超える時瀬の演奏でした。
ライバル校の演奏、その積み重ねもちゃんと説得力ある形で描きながら、さらにその上を描く。作品の中の観客と同じような感銘を自分は受けました。途中で姫坂の穂積先輩に横恋慕したのは私だけではありますまい。
第23回~第25回の3話はたいへん見応えがあったと思います。{/netabare}


偉大な先達との比較。“楽器”“演奏”への深い造詣という点では抜きんでていると思われます。演奏なんてたかだか作品を構成する一要素なんですけどね。それでもこの部分でエモく揺さぶられたい欲望を私は抑えることができません。



物語に戻ります。

■ラブは添え物程度で

顔をすぐ赤らめるWチョロイン(少年誌仕様)
女子が欲しい時に欲しい言葉(少女漫画仕様)

{netabare}失礼ながらモブ感の強い時瀬の3人組。味はあってたまに見せ場のあるこの立ち位置。古くは『スラムダンク』の水戸洋平ら。直近だと『からかい上手の高木さん』の三人娘。物語の核となる恋愛のプレイヤーにはまずならない人たち。部内三角関係とか恋愛複雑化を一切心配する必要がない安全パイです。{/netabare}
{netabare}真白先輩。成長した武蔵に胸キュンなんて展開にしないですぐに練習へ回帰。{/netabare}
{netabare}他校生。同じくちょっかい出したり出されたりもさることながら、他校内カップルの気配すら薄い。{/netabare}

主要ボジションでのキャラ配置からの推察。どんどんへし折る恋愛フラグ。おそらく恋愛は1体1でしかやる気ありませんね。恋愛仕様なキャラデザインはミスリードじゃないかしら。私は歓迎します。
{netabare}妃呂も部活引退するまで気持ち封印すると言ってるし、続編あるとしても時々顔を赤らめる程度でお茶を濁しとくぐらいでお願いします。{/netabare}



■一応弱小校でしたので

トップクラスのプレイヤー+有能な指導者+裾野が広くない=ジャイアントキリングの条件 

これすなわち↓

さとわ覚醒 + 滝浪センセ本気出す + 神奈川全14校

とこんな感じでピースが埋まっていくことは前半終了時点である程度予想され、このへんおざなりにすると「ご都合主義!」すかさずツッコミ入るでしょう。及第点与えて良いと思います。
{netabare}さらに堂島晶さんの登場で説得力が増しました。{/netabare}



■闇落ちと簡単にはいいますが

愛もさとわも妃呂も前半1クールで陽のあたる場所に出てきてしまったので闇キャラ不足を心配しましたが思わぬところから援軍が!

 堂島晶(CV東山奈央)先生

前半で切った方はもったいない。ややありがちな高校生らのものとは別格の上質な闇を覗き見ることができます。実はエンドクレジット見るまで日高のり子さんだと勘違いしてたりしました。



■“天泣”これだけはいいたい

1.{netabare}冒頭の一小節を奏でた瞬間に全てを悟るさとわ母がすこぶる良い。途中だったり全部聞いてからじゃないのが大事だったように思える。
一音(いちおん)を大事にするコンセプトが徹底されてるかのようでした。最高!{/netabare}

2.{netabare}ソロさとわは別格で周りが合わせられるわけない、を受けての17弦の一音がすこぶる良い。深いところから響く低い一音。うむ合っている。
“合わす”でも『大量の音の符を合わすことに特化した姫坂』『絶対的エースを際立たせるための合いの手としての珀音』らのトップ3校の違いを分からせる会心の一撃でした。{/netabare}

3.{netabare}3校の違いはあれど、エース(独奏)とどう絡ませるか?の課題は珀音と時瀬は似ており、アプローチの違いで時瀬に分があるという演奏結果でした。実質は姫坂と時瀬の一騎打ちだったように思います。
すこし遡って、珀音は数か月前『関東邦楽祭』で全国トップの東京の高校と同列評価を勝ち取った学校です。邦楽祭から珀音は底上げしてきた。それ以上に慢心を捨てた姫坂が上り調子で、時瀬も言わずもがな。若い人たちがそれこそ僅かな期間で化けるのを目の当たりにしたような爽快感があります。
私は野球をやってましたが、春の甲子園に出場した学校(前年秋の実績)と練習試合(当年夏前)を組んでもらって対戦してみて「あれ!?そんな強くねーな」という経験をしたことがありますがそんな感じ。{/netabare}




なんといいますか、、、
全26話満足の一品でした。



■オマケ

{netabare}さとわが愛のために買い揃えたいちごグッズ。“うまい棒いちご味”に興味津々。“ポテトチップス ショートケーキ味”が意外と美味だったのでわりとイケるかも!{/netabare}

{netabare}偉大なる先達を彷彿させるキャスティングがところどころに。ボケるには文量増え過ぎちゃったのでやめときます。{/netabare}



視聴時期:2019年10月~2019年12月   

------
2020.03.01
《配点を修正》+0.1


2020.01.23 初稿
2020.03.01 配点修正
2020.07.30 修正

投稿 : 2024/11/02
♥ : 54
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

弱小箏曲部物語 第二節

第1期からの続きの第2期です。なので、第1期を見ていないと話がよくわからないと思います。初見の方は第1期からの視聴をおすすめします。

第1期は、廃部寸前の箏曲部を立て直して、ほとんどが素人部員の中で、みんなが一生懸命頑張って練習して、徐々に部員たちの絆が強くなっていくところが面白く見れました。
第2期は基本的にそれの延長上の話ではあるんですが、他の強豪校との絡みの話なども増えていく感じもあり、メンバーが安定してきた分、1期よりも話の展開により工夫が欲しいかもしれません。
そこも含めて期待して視聴したいと思います。
最終話まで見終わりました。最後はすっきりと終わって良かったと思います。この作品を見る前は、琴の部活なんてめずらしいなあ、と思ってたくらいだったんですが、お琴の演奏で、こんなに感動するなんて思ってませんでした!お話も部員同士の絆や、うまくなろうと努力するところもきちんと描かれていて、そこも良かったです♪
各話のレビューは以下のとおりです。

14話
{netabare}どうなることかと思ったけど、演奏は無事終わった。。
姫坂のかずさに、こんなのさとわの音じゃない、汚された、と責められる愛。
それに愛は、さとわの音がやさしくなった、俺は今の音の方が好きだと言う。
そして受賞式。愛は後ろの席の男にしつこく言い寄られて(-_-;)愛の才能に気づいたから?
・・最優秀賞は無名の珀音高校が受賞・・愛の後ろの男の高校みたい。。
がっかりするメンバー。でも顧問にいい演奏だったと言われて泣くみんな。。
そして全国大会へ向けてまた頑張ろうと誓う!{/netabare}
15話
{netabare}大会の次の日。朝に部室に来てしまったみんな。と先生。
今までやる気のなかった顧問が曲の楽譜を作ってきて驚くみんな。やっぱすごい人っぽい。
部長の今までのイイシーン回顧。もしかして今回は部長回なのかな。
部長と妃呂が買い出しに行くことになって、途中で妃呂が昔関わった人に会うけど、部長がかっこよく手を引いて。。本気で惚れそうになる妃呂。部長すっかりたくましくなったね(*^_^*)
さとわ画伯の絵素朴でいいと思うけどな(*^_^*)愛とさとわもいい感じになってきた・・のかな?{/netabare}
16話
{netabare}部長と妃呂、愛とさとわ、それぞれ変に意識してしまって。
特に愛とさとわが変によそよそしくなってしまって・・ちょっと心配。
学園祭。部長に元部長が会いに来てくれて。二人が話してるのを見てちょっと嫉妬してしまう妃呂。
部長の今の自分たちを見せたいという気持ちがみんなに伝わっていい演奏に。あ、1期OPの琴バージョンだ♪
顧問から、2年の部長と妃呂が最後の大会になると言われて。
そしてさとわの持っている音源から顧問が見つける。全国大会に向けての曲を。
でもなんとなくいわくつきの曲のような気がするけど・・{/netabare}
17話
{netabare}顧問が大会の曲をさとわの音源から「八重衣」に決めたけど、さとわがそれを嫌がって。
回想で母親からあなたの琴は凶器だと言われたのが関係してるのかな。
優勝校の演奏をみんなで聞くけど、正確に計算されてるみたいなすごい惹きつけられる演奏。
優勝するにはそれを越えなければならないと言われて、それにはさとわのあの曲が必要なんだね。
音源のさとわの曲は、当時のさとわの気持ちが乗ってて泣きたくなるような感じだけど、顧問が編曲して笑顔になるような感じにしてくれて。でも十七弦の琴が2つ必要になったんだけど足りなくて。
さとわは実家の母親へ借りにいくけど、母親も周りの人も冷たくて。嫌な感じ。
部のために土下座して頼むさとわ。。さとわがかわいそうで、うるっときました。。{/netabare}
18話
{netabare} 部長の後ろの席になって嬉しそうな妃呂がなんかかわいい♡
琴の指導者として、鳳月会から堂島晶が来て。堂島はさとわと過去に何かあったみたいだけど。。
堂島から基本の1音1音をきちんと綺麗に弾くことが出来なければ全国なんて無理と言われて・・
妃呂たちメンバーは堂島の指導に不満だったけど、愛はそんな堂島の指導に反抗することなく向き合って。
そんな愛の気持ちを知ってあらためて練習を頑張ろうと思うメンバーたち。
次回、堂島の過去の話?{/netabare}
19話
{netabare} 堂島晶の昔の話。
天才型の兄に憧れて、兄のようになりたいと努力する晶。
でも両親が突然事故で亡くなって、兄は琴をやめて働くことに・・
そして椿会を晶が継ぐことになって。。
そして大会。最優秀賞を目指して自分の持つ最高の演奏をする晶。
でも・・さとわの鬼気迫る「八重衣」を聴いて自分との差に愕然とする晶。。
結果、さとわは規定通り弾いてないとして失格になり、晶が最優秀賞になるけど・・
周りからも失格に負けたと散々言われて・・悔しくて涙を流して・・
晶としてはとても空しい最優秀賞だったんだよね。
こういう話って私弱いんです。ちょっとうるっとしちゃいました。。
そして急に筝曲部の指導を辞めますと顧問に告げる晶。{/netabare}
20-21話
{netabare}晶が主役といっても良い回でした。晶が葛藤しながらも、筝曲部の部員のひたむきな姿に心動かされて、再び琴に向き合うようになる展開は良かったです。{/netabare}
23話
{netabare}ほぼ姫坂回でしたね。穂積さんが落ちたのは残念だったけど、それがきっかけでみんなの全国に行こうと思う気持ちが一つになって。そして大会では素晴らしい演奏に。いい話でうるっときました。{/netabare}
24話
{netabare}今回は珀音のお話かな。天才肌の神崎が、数学教師の山本顧問の曲を弾いて、覚醒してすごい演奏に。
次回、時瀬の演奏だけど、姫坂や珀音のすごい演奏の後で、どれだけ視聴者に演奏をすごいと思わせられるか、とても楽しみです。{/netabare}
25話
{netabare}いよいよ時瀬の演奏が始まる!
演奏前の束の間の静けさ・・
なんか見てる私までドキドキしてきちゃいます。。
演奏直前、さとわの母親が会場に入ってきたのを見て、さとわのテンションが上がり・・
そして「天泣」の演奏が始まって。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふぅー。
すごくいい演奏でした!!私も観客のみんなみたいに気づいたら目に涙が・・(>_<)
演奏後、さとわがお母さんに会いに行って・・
次回、最終話ですが、また泣いてしまいそうです(>_<){/netabare}
26話
{netabare} 「今度はちゃんと伝わったの?」さとわが今まで見せたことがないぐらい顏をぐしゃぐしゃにして。
ずっとさとわの心の中にあったお母さんへの気持ちを考えるとうるっときちゃいました。。
そして結果発表!審査員の中では三者三様の意見で割れていたみたいだけど・・
・・・見事、時瀬高校が1位になって全国大会に!
「まだ終わらねぇんだ、続けられんだ・・」by愛(*^_^*)
姫坂のかずさと穂積先輩の会話を聞いてまた涙腺が・・(>_<)かずさの時瀬へのエールにも!{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 29

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

それぞれの箏の音が紡ぐ青春学園物語―

関東邦楽祭の本番直前、突如時瀬高校箏曲部を襲ったアクシデント…
お互いの音が交わり音楽を紡ぎ出すことを信じて臨んだ本番でしたが、本来の実力を出すことはできませんでした。
時瀬高校を襲ったアクシデントは「そういう類」のモノでしたから…
結果、具合、気になることだらけでしたが、まさかあそこで1クール目が終わるとは夢にも思いませんでした。
まぁ、分割2クール作品なので前半1クール目の終わり方にルールは無いから仕方ないんですけれどね。

ですが、満を持して放送された後半2クール目で、そんな些細なことなんて吹き飛ばしたのではないでしょうか。
物語は関東邦楽祭の直後から翌夏に開催される全国大会への出場を目指した神奈川県予選までが描かれていますが、この作品の持つ熱にすっかり当てられてしまったようです。

完走して振り返ってみると、この作品の日常は非日常の連続だったと思います。
だって、彼らはあんなにも喜怒哀楽に溢れているんですから…
普通…私の場合、会社に行って仕事して帰ってくる、という日々の生活に、喜怒哀楽なんていう感情はそう簡単には起動しません。
勿論、ゼロじゃありません。
仕事を進める上でスマイルは必須ですし、時折同僚とお酒を嗜む時だって楽しいひとときです。
でも、彼らの様に全力全開で喜怒哀楽を表現することはそうそうありません。
だから、彼らが眩しく見えるのかもしれません。

そして、この作品は「気付き」をとても大切にしている作品だと思いました。
今回も様々な気付きが顔を覗かせるのですが、それを全身で一生懸命受け止めようとする言動には感動すら覚えました。

溢れんばかりの思いに必死に蓋をしようとしたり…
自分たちが今死に物狂いで頑張らなきゃいけない理由を共有したり…
何気ない言動に包み込む様な温かさが感じられたり…
筝曲部の部員たちの関係が本当の仲間へと昇華していくのが手に取るように分かるんです。

だから彼らは自分たちの大切を貫くために決して怯みませんし何をも厭いません。
そこで躊躇して立ち止まってしまう事の方がよっぽど怖かったから…
だって、今ここで立ち止まってしまったら、死に物狂いで頑張る気持ちに背くことになるから…
勿論、温度差だってありますし、それぞれの立ち位置もバラバラです。
ですが、スタート地点が人それぞれ違うのは当たり前…
ゴールが一緒だったら良いんだと思います。

後半クールだからでしょうか…
物語の熱量も序盤から半端ありません。

愛とさとわ、そして武蔵と妃呂の身に降りかかった思いがけないハプニング…
個人的には格好良い武蔵の雄姿が脳裏にこびり付いています。

ですが、この物語の熱が激しく迸るのはここからです。
滝浪先生が選んだ予選で弾く曲は、さとわがかつて母に届けたい一心で弾いて届かなかった曲だったんです。
でも、あの時、さとわは独りぼっちでした。
確かに箏の演奏に関して天賦の才を有する彼女ですが、一人で表現できる音色にはきっと限界があるんだと思います。
でも、今はかけがえのない仲間がいるんです。
仲間と一緒なら届くかもしれない…そう考えると、選曲はこの一択しか無かったように思います。

そして、鳳月会の傘下「椿会」の跡取りで、全国筝曲コンクールで最優秀賞を受賞した実力の持ち主である堂島 晶が外部講師としてやってきて、物語は一層熱を帯びていきます。
堂島先生の目的は最初は明らかに違っていて、もしかしたら筝曲部に良くないことが起こるんじゃないかと思っていました。

誰よりも一生懸命箏に向き合ってきた堂島先生だから気付いたんだと思います。
彼らが決して中途半端な気持ちで箏と向き合っておらず、寧ろ本気で直向きに取り組んでいることに…
練習はスパルタだったようですが、結果的に彼らを支え、背中を確実に押してくれましたから…

こうして神奈川県予選の本番を迎えます。
何度も全国に出場している私立姫坂女学院の演奏は圧巻でした。
あの人数で、あのピッチの音をピッタリ合わせてくるんですから恐れ入ります。
関東邦楽祭で最優秀賞を受賞した県立珀音高校の演奏も凄かった…

ですが、時瀬高校の「天泣」は他校の演奏より鬼懸かっていたと思います。
演出の影響も多分にあるんでしょうけれど、箏の演奏で涙を流したのは初めてです。
さとわの優しく軽やかな独奏に始まり、音の交わりの心地良さ、旋律の美しさがこれでもか…という感じで降り注ぐのですから半端も容赦もありません。
言葉で表現できる限界を超えた楽曲って、きっとこういう曲のことを言うんでしょうね。
もう数えきれないくらい繰り返し視聴させて貰いました。

2017年3月8日にキングレコードからリリースされたアルバム「この音とまれ!〜時瀬高等学校箏曲部〜」は、純邦楽のインストゥルメンタルCDは0.1万枚売れればヒットとされる中、本アルバムは、リリースから約2か月で約1.2万枚を売り上げたんだそうです。
平成29年度(第72回)文化庁芸術祭賞のレコード部門で優秀賞を、第32回 日本ゴールドディスク大賞で純邦楽・アルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞したそうですが納得の結果だと思います(wikiより)。

それに中高生の中には本作をきっかけに箏を習い始める人もいるんだそうです。
十分に起爆剤たり得る作品だと思います。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、蒼井翔太さんの「Harmony」
エンディングテーマは、内田雄馬さんの「Rainbow」
前期から引き続きですね。

後半1クール13話で全2クール26話の物語でした。
思い切り堪能させて貰いました。
続きも気になりますけどね…
続編が制作されると嬉しいです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 25

69.4 3 コンクールでシリアスなアニメランキング3位
ましろのおと(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (194)
611人が棚に入れました
「俺の、音――」伝説的な腕を持つ、津軽三味線の奏者・澤村松吾郎。彼を祖父に持つ少年・澤村 雪は、祖父の死をきっかけに、三味線を弾けなくなった……。"好きな音"を失い、アテもなく上京する雪。キャバクラで働く女性「立樹ユナ」に助けられた雪は、ライブの前座として津軽三味線の演奏を披露することになる。雪は、様々な出会いを、想いを三味線の音色にのせて弾く。自分の音を、自分の想いを探しつづけて――

声優・キャラクター
島﨑信長、細谷佳正、本田貴子、麻生智久、宮本侑芽、近藤玲奈、岡本信彦、鈴木達央、梅原裕一郎、畠中祐、三上枝織、梶裕貴、落合福嗣、谷口夢奈、高柳知葉、木村匡也、逢田梨香子、柿原徹也
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

音楽と映像の親和性が初心者には嬉しい、津軽三味線アニメ。

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
「高校生の部活モノ(和楽器)」ということで、おそらく、多くの視聴者が比較するだろう「この音とまれ!」との比較を、自分もしてみたいと思う。

個人的には、

①ストーリーの深さは互角で、共に○。この音は群像劇で、ましろは一人称小説的なため、好みは分かれると思う。

②(恋愛面含めた)キャラクターの良さなら、この音が圧倒的に良い○。ましろは△。

③音楽的な表現なら、この音は○で、ましろは◎。どちらも良いがましろに軍配。

ということで、総合評価は両作共に☆4。この音はバランスのとれた良作であり、ましろは音楽的な表現や苦悩に特化した良作であると言える。

レビューでは、本作の、特に音楽的に良かったと思う部分を書きたいと思います。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
自分は岩手県の生まれであり、お隣、青森県の津軽三味線は幼い頃から身近にあった。ニュースとかで音色を聴く機会も多かったし、なにより数年、津軽三味線の本場、弘前市に住んでいたしね。

その上で言わせてもらえば、「三線(沖縄)の方が圧倒的に好き(笑)」。

なんか、魂が震えるんだよね、三線の音色(HYとかBEGINとか、沖縄民謡とか、全部好き)。穏やかで柔らかい響きは、南国の景色とよく似合う。一方、津軽三味線の張り詰めた緊張感と力強い響きは、雪国の景色とよく似合う(実際に演奏方法も全く違い、津軽三味線は打楽器に近い性質を併せ持つ)。

私が津軽三味線より三線を好きなのは、単に私が雪国出身で、雪景色の美しさだけでなく、雪道の運転や雪かきの大変さを嫌っちゅう程知っていて、南国に憧れがあるから(とはいえ、住んでみれば南国には南国の大変さはあるのだろうけどね)。

津軽三味線は、雪国を表現する楽器。

ということを感じるくらい、本作の津軽三味線の演奏と、アニメ演出はスゴい。色々な音楽系のアニメの中でも、ここまで、「音色」「解説台詞」「映像」に親和性を感じる作品は、そうない。

音楽のプロの方々なら、「音」だけで「色」を感じられるのだろうけれど、私のような素人には、「言葉」と「映像」があって初めて感じられる。アニメが総合芸術であることがよく感じられる作品だったと思う。

冬景色には、きちんと冬っぽい音が鳴る。春の訪れも音色で感じる。松吾郎風(雪の前半)の演奏には、老獪さを感じ、雪本来(後半)の演奏には若いエネルギーを感じる。サブキャラもそう。お利口さんとその反抗期が音色で分かる梶貴臣の演奏。スリ上げを多用する荒川潮の演奏。1つとして同じ演奏はなかった(唯一の不満は、皆がベタ誉めする松吾郎の演奏を聴きたかった。雪に似ていて、雪とはレベチの演奏ってやつを)。

これを、曲そのもののを変えて表現するのは難しくないが、「津軽じょんがら節」という(課題曲の)1曲のみで表現しきるには、かなり高い演奏技術が必要だろう。そういう意味では、本作の最大の貢献者は、津軽三味線監修の吉田兄弟さんと、演奏の葛西頼之さんや柴田雅人さんなんじゃないかと思っている。

また、(原作由来だからということもあるかもだけど)あえて1曲のみで表現しきったことで、「津軽三味線の奥行きの深さ」を伝えることもできていた。たった3本の弦でこれだけの違いを生み出せる、凄い楽器だし凄い曲だと思う(これができたのは、「じょんがら節」という、展開が大きく演奏者の個性を引き出しやすい楽曲だからという視点もあり、さすが津軽三味線の圧倒的な代表曲だと思った)。

てか、冷静に考えれば、アニメで同じ曲を3話も弾き続けるって、かなりチャレンジングだよな。決断した監督も偉いと思う。

この感じなら、2期も期待できる。部活動編はここでスッパリ切り、個々を深める展開になるのかな。

海人はサッカー(夢)への再挑戦。雷先輩は複雑っぽい家庭環境の解消と就職(咄家の演奏)。雪は勿論、自分の音を探す旅。

更に、海人×結×朱利の三角関係と、雪×朱利×舞×桜の四角関係の解消。まあ、海人と結、雪と朱利の組み合わせになるだろうけど、ワンチャン、海人と朱利、雪と舞の可能性もあるかな?(笑)

という具合に、本作に足りていなかった群像劇的要素や恋愛要素は今後、、、「伸び代ですね!」(笑)
{/netabare}

【余談 ~「じょんがら」と発音すると、東北訛りの練習になるw~】
{netabare}
東北方言の特徴に「鼻濁音」というものがあります。

鼻濁音とは、日本語で濁音の子音を発音するとき鼻に音を抜くものを言います。特に、「が、ぎ、ぐ、げ、ご」のガ行を「んが、んぎ、んぐ、んげ、んご」というふうに、鼻の方へ抜いた発声法です。通常の「が」は「Ga」で、鼻濁音の「が」は「nGaA」になると書けば、分かりやすいでしょうか。

現代の日本人で、この鼻濁音を発音できるのは、2~3割にとどまり、その多くが東北、北陸地方の人です。(ちなみに、この鼻濁音は中国語では多用されるので、大学の中国語の時に、「発音が完璧」と誉められましたw)

我々東北人は、語頭は「Ga」で、それ以外は鼻濁音のがぎぐげごを使います。つまり、「学校」は「Ga kko 」ですが、「小学校」は「Sho nGaA kko」になります(笑)

私も今回初めて気付きましたが、「じょんがら」という言葉は、「ん(n)」と「Ra(アの母音)」で「が(Ga)」を挟む言葉なので、普通の人が「じょんがら」と発音しても、鼻濁音っぽくなる言葉なんだと思います。

ちなみに、本作の声優陣の津軽弁ですが、「ほぼ全員微妙」でした(苦笑) 主人公の澤村雪役の島﨑信長さんは宮城出身ということで、下手ではないけど、津軽弁とは微妙に違うな~と感じてました。まあ、☆3か4。後は、わりと(津軽弁としては)下手くそで、☆2か3な。特に、澤村梅子と田沼総一は違和感あったな~。圧倒的に上手かったのは田沼舞 役の三上枝織さんです。まあ、青森出身で、ネイティブですもんね(笑) 皆さん、プロなので鼻濁音とか基本的なことはできていましたが、特に文末のイントネーションが微妙に違ったり、濁点をつけるのがちょいと少なかったり、多分、地元民にしか分からない微妙な違和感です(笑)

本来はこれ以外にも、「ザ行」も特徴あるけど、それはまたどこかの機会に(笑)

さあ、「じょんがら」を連呼し、君も東北弁マスターに近づこう! 何のメリッドもねぇけんど(笑)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆3
津軽三味線。女優かアイドルか分からんが、その卵が、リスク犯して見知らぬ男救うためにチンピラ殴り、泊めるって、絶対にないだろう。ガチの本物の才能との出会い。依存。津軽じょんがら節。津軽三味線の絶対的代表曲だな。まさかの加藤ミリア(笑)

2話目 ☆4
民謡、上手いな(笑) この親子ユニット(笑)、人気出そうだな。なんか、素敵だな、家出息子に手厚い比護(笑) 全国3位で、東京で三味線教室開いたらそれなりに儲かりそうだけどな。

3話目 ☆3
部活になるのね。しかへる、というド津軽弁もそのまま使うか。完璧主義から、1歩を踏み出す。そたらはんかくせぇ(そんなに中途半端な)奴、死ねぇ(笑) 

4話目 ☆3
生きてる?(笑) バアちゃん、語るな~。

5話目 ☆4
こういう、初心者系の部活モノはよくあるけど、いつも思うのは、「皆、よくそんなに熱くなれるよな」ということ。自分はやらされてた剣道だったし、本気でやってたのは、全国がリアリティな目標となってから。初心者なのにあんなに一生懸命になれるのが凄いなと。

6話目 ☆3
OPが6話で変わるのか。ねぶた囃子はちゃんと音にしてほしかったな、こういうアニメだけに。

7話目 ☆3
大会。頭突き(笑) まあ、オール1年である程度いければ、2年後には優勝見えるやな。

8話目 ☆3
素人には大歓声、プロにはイマイチか。戦う前に負けセリフ(笑) 

9話目 ☆4
なんかもう、この音止まれ、だな(笑) 団体は団体の演奏からの個人技。熱い展開だな。集団催眠か(笑)  え? 未成年だっけか(笑)

10話目 ☆4
そうだよな、北東北の赤飯は甘いから(笑) 子供か(笑) 自分勝手な親2人。同じ曲を何十曲もはキツいな(苦笑) 古典の中の異端。プロ向けってことだよな。めっちゃ棒読み(笑) 確かに、少しの雑さは感じる。上手いよな、再現。

11話目 ☆3
演奏の途中でぶった切るのは、どうだろう? こうなると、松五郎の演奏も聴きたいよな。雪が似ていて、雪とはレベチの演奏ってやつを。

12話目 ☆4
ここで初代OPは良いな。もはやファザコン。慕情。やる気にさせるためか。まだ真っ白な音なのね、雪のように。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 24
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

津軽三味線の演奏に引き込まれます♫

[2021.6.19]
最終話を見終わりました。
中盤以降は三味線甲子園の話になって、この音とまれみたいだなーって思いながら見てて、悪くはないんだけど、このまま優勝とかして終わりはつまらないなぁって思ったり。。
で、最終話なんですが・・すごーく良かったです!ビター展開好きの私も満足でした♪
この物語は雪くんが自分の音を探し求める旅なんだなーって。
雪くんの音は澄んだ綺麗な静かな音。色に例えると白。だから真っ白な音=ましろのおと。
大会の結果は・・{netabare}そして勝ちたいと悔しがり、嗚咽を漏らしながら泣く雪くん。
梅子にとっては残念な結果だったかもだけど、この甲子園は雪くんにとってとても大きなものを得られたんだと思います。{/netabare}
すごく続きが気になるところで終わりましたけど、2期あるのかな?
原作読んじゃおうかな・・27巻もあるけどw
※12話の感想も下にちょっとだけ書きました。

[2021.4.18初投稿]
原作は月刊マガジン連載みたいですが未読です。
作者の羅川真里茂さんは青森出身のようです。

春アニメの視聴作品を物色してた時は、サムネの男の子が暗そうだし、津軽三味線のお話?って感じであまり期待しないで見た作品でした。

澤村雪(さらむらせつ)は弘前の高校生。
津軽三味線の名人で憧れだった祖父の澤村松吾郎(さわむらまつごろう)が亡くなり、自分の音を探すために東京へ行くけど・・

絵は綺麗でいいですね!
舞台は弘前と東京。弘前といえば、ふらいんぐういっちを思い出します。
結構津軽弁でしゃべってるけど大丈夫かな、と思っちゃいましたけどそれも含めてなかなかいい雰囲気です。
キャラデザもクセがなくて好きですね。

なんといっても良かったのは津軽三味線の演奏シーン!!
演奏を聴いていると、なんだかどんどん引き込まれていく感じです。

お話自体もとても面白いし、これは今期の中でもおすすめしたい作品です☆
ちょっと原作読みたくなっちゃいました。

[2021.4.20追記]
原作コミックを2巻まで軽く読んでみました。
演奏ももちろんですが演出がいい意味で渋い感じに変わっててアニメのほうが好きかも。
2話の時点でコミック2巻ちょっとと、カットされたシーンも多く進行ペースもわりと早いんですが、うまく編集し直して良い作品になっていると感じました。

以下、各話の感想です♫

【第一話-寂寞】
{netabare} 雪のシーンが綺麗。
ユナさん親切すぎ。というか強すぎ。
自分をきちんと持ってる子みたいだしやりたいことが見つかればいいよね。
雪くんの津軽三味線すごく良かった♫
配信で見てた子はあとで登場するのかな。
ラストはちょっとギャグっぽくて浮いてたようなwって誰?{/netabare}

【第二話-林檎の花】
{netabare} 個性的な女性は梅子さんといって雪くんの母親なんですね。
梅子に促されて、雪くん演奏と梅子さん唄の競演が始まる。
うわ!唄も本格的っぽくてすごい!
そのおかげで下宿先が見つかって良かった♪
東京の高校に転入した雪くん。
同じクラスの前田朱利(まえだしゅり)が1人で津軽三味線愛好会をやってて。
雪くんの兄の若菜が東京に。
兄弟の距離感がなんかいいな。優しいお兄さんだね。
兄弟で競演した演奏がこれまた素晴らしいです♫
ED見てわかったんですが、この作品オリジナル曲みたいで題名が「アレ」だそうですw{/netabare}

【第三話-驟雨】
{netabare} 朱利さんと一緒にいる子って1話で配信見てた子?
朱利さんが聴いてた祖母が口ずさむ曲を聞いた雪くんは松吾郎の曲に似てると感じて。
祖母の前で演奏して欲しいと頼むけど、雪くんに弾けないといわれて。
青森から来た津軽三味線の神木清流(かみきせいりゅう)のライブ演奏を聞く雪くん。
雪くんに興味を持った神木から、何か弾くように言われて弾くけど、どういう音を聞かせればいいか分からなくて。
雪くんって芸術家肌というか、繊細なんだね。難しいな。
でも、とても大切なことでやらなきゃ後悔するんだったらやります、と朱利さんに言われて松五郎の曲を演奏したいと思う雪くん。{/netabare}

【第四話-春の暁】
{netabare} 青森から送ってもらった松吾郎の「春暁」のカセットテープ。
朱利さんたちと一緒にいた矢口海人(やぐちかいと)にテープの再生をお願いして、矢口宅で聴く雪くん。
でも松五郎のように弾きたいと練習するけどなかなかうまくいかなくて。
永森雷(ながもりらい)に言われた「シンプルであることの良さ」をヒントに、松五郎の音をひとつひとつそぎ落としてシンプルな自分の春暁にしようと思う。
雪くんは朱利さんの祖母の前で春暁の演奏をはじめる。
昔疎開先で聞いた若い頃の松五郎のことを思い出すおばあちゃん。
必死に生きるために津軽三味線を弾いていた松五郎。
松五郎の優くて生きる勇気をくれた音色と同じようなものを雪くんに感じて。
松五郎の魂はしっかりと雪くんに受け継がれているんだと。
なんだか見ててちょっとうるっとしちゃいました。
津軽三味線愛好会を朱利さん、雪くん、山里結(やまざとゆい)さん、矢口くんの4人で活動することになりそう。
それを聞いた雪くんの母親の梅子が津軽三味線甲子園を企画するみたいだけど、青森の雪くんをライバルと思ってる女の子とかも絡んできそうで今後の展開が楽しみです♫{/netabare}

【第五話-合奏】
{netabare} 初心者ばかりの津軽三味線同好会。
雪くんの演奏に感動して少しでもそれに近づきたいと話す朱利さんの言葉。
それは雪くんが松五郎に抱く気持ちと同じような気がして。
顧問が連れてきた神木清流と雪くんの合奏・・・今回もすごく良かったです♫ {/netabare}

【第六話-原郷】
{netabare} OP変わりました・・けど前の曲のほうが三味線入ってたし合ってたような。。
青森に合宿に来た雪くんたち。
聴いてくれる人の反応がなによりの教え、人に聴かせなければ自分の音は見つからない。
松五郎が語った話を聞いて個人戦に出る気になり雪くん。
朱利さんや矢口くんの話も盛り込みながら、全員最後まで合わせて弾けるようになるお話の流れは良かったです♪
ちなみに青森市のは「ねぶた」、弘前市のは「ねぷた」です。{/netabare}

【第七話-風】
{netabare} いよいよ始まった津軽三味線甲子園!
青森の人って独特のイントネーションあるから、なんとなくわかるんだよね。
雪くんって自分の気持ちを表に出さないから矢口くんのイライラもわかる。
でも優勝したいって気持ちは同じなんだって分かってよかった。
けど自分中心なとこは相変わらずなのね(-.-)
団体戦やって個人戦も、となるとそれだけで1クール終わっちゃうかも。{/netabare}

【第八話-音叉】
{netabare} 青森のマイマイのチームの演奏、さすがって感じ。
すごーく雪くんを意識しちゃってるとこも面白いです。
いいキャラしてますね♪
梅園学園が優勝しておしまいって展開はちょっとつまらないので、もうひとひねりの展開を期待します。{/netabare}

【第九話-風花】
{netabare} 梅園学園の演奏、とても良かった!
雪くんがスタンドプレーすることなく、みんなの音を大切にしながら演奏してたのも。
そして結果発表。
うん。物語の展開としては良い結果だと思いました。特別賞もらったし。
メンバーみんながすごく悔しい思いをしてる姿にじんわりきました。
それだけ頑張ってやりきったという思いがあるということだから。{/netabare}

【第十話-山嵐】
{netabare} 青森の赤飯って甘いんですね♪ちょっと食べてみたいかも。
雪くんの父親ってあの人だったなんてちょっとびっくり。
だからマイマイはあんなにライバル視してたのかな。{/netabare}

【第十二話-ましろのおと】
OP、前のに戻りましたね♫やっぱりこっちのほうがいいな。
雪くんの演奏をスマホで見てるユナさんが一瞬写って元気そうで良かった。
感想は上のほうにだいたい書いちゃったので。。
今回みたいな苦味のあるビターな展開は物語に深みが出ていいと思います。
雪くんの今後の成長がとても楽しみに感じたところで1期は幕を閉じましたね。
できれば2期やってほしいけど、津軽三味線という地味な題材だけに厳しいかもですねー。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 27

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

和楽器

原作未読。存在はずっと知っていたけど、連載始まってからもう10年以上経過しているとは驚き。
この音とまれみたいな和楽器を題材にした作品ていいよね。
アニメ化すると実際に音を聞けて日本人の心に刻まれているのだろうか、心になんだか刺さる。和楽器の音たまらん。特に篳篥とか。笙とか。東儀秀樹の演奏を生で聴いたとき震えたのを思い出す。三味線関係ないことまで思い出してしまった。

後を引くような終わり方で最終回ぽくない感じだったな。これから雪はどうやって自分の音を見つけていくのだろうか。母、父との間の葛藤、祖父との思い出。友人との関係。これからに期待。作中の音楽もどうなっていくのか。

津軽三味線監修は一般人でも知っているというか三味線を一般に浸透させた吉田兄弟。よき響きよな。劇中ではかの有名な津軽じょんがら節など。
その他はあんま知らなかったけど。

OP
BLIZZARD BURNOUT SYNDROMES
銀世界 BURNOUT SYNDROMES
ED
この夢が醒めるまで feat.吉田兄弟 加藤ミリヤ
OPはBURNOUT SYNDROMES。津軽三味線と言えば青森。そして雪を思わせるタイトル。
EDは加藤ミリヤの妖艶な感じの歌声に三味線。面白い。スタッフロールの文字は読みづらい笑


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
「俺の、音--」 伝説的な腕を持つ、津軽三味線の奏者・澤村松吾郎。彼を祖父に持つ少年・澤村 雪は、祖父の死をきっかけに、三味線を弾けなくなった……。 ”好きな音”を失い、アテもなく上京する雪。 キャバクラで働く女性「立樹ユナ」に助けられた雪は、ライブの前座として津軽三味線の演奏を披露することになる。 雪は、様々な出会いを、想いを三味線の音色にのせて弾く。 自分の音を、自分の想いを探しつづけて--


第一話 寂寞
津軽三味線の奏者、澤村松吾郎を祖父に持つ少年「澤村雪」は、憧れていた祖父の死をきっかけに、なくなってしまった”自分の音”を探すため、アテもなく上京する。トラブルに巻き込まれていたところを、キャバクラで働く女性「立樹ユナ」に助けられた雪は、成り行きからライブの前座として演奏を披露することになり--

第二話 林檎の花
突然押しかけてきた破天荒な母「澤村梅子」により、雪は半ば強引に私立梅園学園に編入させられる事となる。使わないまま放置されていた三味線の組み立てを手伝った事をきっかけに、同級生の「前田朱利」と知り合った。そんな中、雪は久しぶりに再会した兄と共に、三味線を取りーー。

第三話 驟雨
授業中、こっそり音楽を聴いていたのがバレてしまい、スマホを取り上げられる朱利。彼女のイヤホンから流れてきたのは、雪の祖父である松吾郎の即興曲「春暁」だった。なぜ?どうして彼女があの曲を?曲のことを問う雪に、朱利は、おばあちゃんとの大切な思い出を語りだす--。

第四話 春の暁
おばちゃんのために、もう1度「春暁」を聴かせてあげたい朱利。だが、自分にはまだ弾けないからと、雪は演奏のお願いを断ってしまう。「春暁」と改めて向き合う中で”自分なりの音”を見つけた彼は、朱利のおばあちゃんの元へ。ついに、雪の「春暁」が鳴り響く--。

第五話 合奏(resonance)
雪の演奏に感動した朱利は、三味線を本格的に続けていくことを決意する。雪を中心に、朱里、朱利の幼馴染である「山里結」「矢口海人」や、経験者の「永森雷」を加え、津軽三味線愛好会を結成!しかし、素人ばかりのメンバーを相手に、どう教えていいものか分からず戸惑う雪は--

第六話 原郷
和楽器屋の店主「大俵ヒロシ」に連れられ、青森へと合宿に来た津軽三味線愛好会。さっそく練習に取り掛かるメンバーだが、スランプに陥ってしまう朱利に対し、自分の悩み上の空態な態度で接する雪。だが、大俵から聞いた津軽三味線の歴史をきっかけに、雪は迷いに対する自分の答えを見つけ--。

第七話 風
梅子の主催する『松吾郎杯』に出場する津軽三味線愛好会。大会には、子供の頃から雪をライバル視していた「田沼舞」と、その兄である「田沼総一」が参加。さらには大阪の「梶貴臣」、福岡の「荒川潮」など実力者が集まり、大会は熾烈を極める。そして、ついに『松吾郎杯』団体戦が開幕する!

第八話 音叉
ついに、本音をさらけ出した雪。結束を固める津軽三味線愛好会だったが、迫る本番を前に、朱利の不安と緊張はピークを迎えてしまう。結にすがる朱利だったが、結の様子もどこかおかしい。大舞台を前に緊張する結は、朱利の手前、気丈に振る舞おうとするが、プレッシャーに押し潰されていて…?

第九話 風花
ついに、私立梅園学園の出番が来た。緊張しつつも、堂々と演奏を始める津軽三味線愛好会。圧倒的な雪の音に、決して負けずに演奏を重ねる梅園メンバー。心に浮かぶイメージを重ね、皆の音が重なり合っていく。果たして彼らの演奏の行方は--。

第十話 山颪
『松吾郎杯』にて、3位の成績を残した津軽三味線愛好会。いよいよ次は、個人の部が始まる。だが、その場には、意外な人物が待っていた。「神木流絃」。総一と舞の養父であり、雪の…実の父親。そして、流絃は梅子に自分の考えを打ち明ける「雪に『神木流』を継いで欲しい」と--。

第十一話 枷
独奏の途中、弦が切れてしまうアクシデントに見舞われる梶。だが、残る2本の弦で見事な演奏を続けるその姿に、雪の心は動かされた。そして、この大会を開催した母梅子の真意を聞かされた雪。雪が弾くのは、祖父の音か、自分の音か。彼の演奏がついに、始まる--。

第十二話 真白
雪が、心のままに弾く。イメージをのせる。伝える、一心不乱に。雪の三味線から溢れ出す音が、聴く者の思い出を引き出していく。続いて優勝候補、田沼総一の演奏が始まる。圧倒的な音で、会場を揺さぶる彼の演奏もまた、聴くものを惹きつけていく。2人の演奏が終わり、大会の結末はーー。

投稿 : 2024/11/02
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