ゲーマーでラノベ原作なアニメ映画ランキング 1

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76.0 1 ゲーマーでラノベ原作なアニメランキング1位
ソードアート・オンライン プログレッシブ 星なき夜のアリア(アニメ映画)

2021年10月30日
★★★★☆ 4.0 (182)
926人が棚に入れました
新プロジェクトで描かれるのは小説『ソードアート・オンライン プログレッシブ』を原作とした物語。

デスゲームの舞台であるアインクラッド第1層からクリアまでの軌跡を川原自らが描くリブート・シリーズ。キリトが“黒の剣士”となったエピソードや、《アインクラッド》編では語られなかったエピソード。

声優・キャラクター
松岡禎丞、戸松遥
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

これは再起動(リブート)であっても遊びではない

《SAO》攻略を第1層から描き直す新シリーズ小説『ソードアート・オンライン プログレッシブ』(3巻で挫折中)を原作に、
《アインクラッド》編をヒロイン・アスナ視点で再構築した、劇場版再起動(リブート)シリーズの1作目。

【物語 4.5点】
小説『ソードアート・オンライン』は決して完全無欠の作品ではないと思います。
特に《アインクラッド》編などは、時系列もバラバラ、詰められてない設定、空白部分も多い。
原作者もラノベ版あとがき等で言及されているように、欠点も多く、アニメ化成功には構成、脚本による調整が不可欠でした。

が、だからこそ、『SAO』にはアニメスタッフが工夫を重ね、開拓する余地があり、ヒットに繋がったのだと思います。
(逆に、このラノベはすごい!と鳴り物入りでアニメ化され散っていった作品の何と多いことか)
そもそも《アインクラッド》編やり切った感があったら原作者も『~プログレッシブ』書いたりしないでしょうから。


今回、スタッフは《アインクラッド》編序盤の大きな空白。
すなわち本名プレイ&リアルと同一のアバターでネトゲ始めちゃう位の超初心者だったヒロイン・アスナ。
彼女が序盤から攻略最前線に躍り出る実力を有したのは何故か?
という突っ込み所に、実はアスナにはVR-MMOのいろはを手ほどきしてくれた親友・ミトがいたのだ!
というオリジナル新キャラ設定を詰め込むという強硬策に打って出ました。
(そうか。ミトなんていたのか。きっとTVアニメ版では死角に隠れて見えなかったんですね……って流石に無理がありますw)

ところが、ミトを起点に開拓した、このアスナ視点の《アインクラッド》編序盤がシリーズ中でも屈指の面白さだったのが驚愕でした。
大体、ミトが親友なら後年のアスナが忘れ去っているのはおかしいじゃないか?という疑問に対しても、
{netabare}モンスターの大群からアスナを見殺しにしたミト{/netabare}というアスナ&ミトについての決定的な転機として語ることで、
デスゲームの恐ろしさを再認識させる、うっちゃりを決めてみせる。

終わってみれば、新鮮な気持ちで《アインクラッド》編を満喫できる上々の再起動(リブート)。
『SAO』に眠るシナリオ展開可能性の大きさを改めて思い知らされました。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・A-1 Pictures

より広大に“リフォーム”された第1層ボス部屋など、戦闘シーンの迫力のリメイクに注力するのはもちろん。
目を引いたのは、アスナ&ミト。女子の友情の象徴となったお互いの髪を結う描写。
1回目は女性アニメーターが担当し、2回目はロトスコープの手法も用いて担当男性アニメーターの作業を補う。
河野 亜矢子監督と合わせて、スタッフ陣に注入された女子力がアスナ視点とミトが割って入る道を切り開く。

キャラデザで驚かされるのはキリトらの線の細さ。
公開前年に完結した《アリシゼーション》編の逞しいキリトの印象が残っていたので、
中学生・キリトの登場には、こんなに幼かったっけ?っと戸惑いました。
年齢による違いを再起動(リブート)に合わせて頭身アップしたキャラデザの中で微調整して伝える。
その繊細さにも作品愛が詰まっています。


あとは原作第1巻愛読者には待望?の{netabare}アスナの入浴シーン。“隠れ巨乳”の破壊力は壮絶でしたw{/netabare}


【キャラ 4.0点】
アスナのキャラ解像度アップが図られる。
キリトのクリームのせパンがもたらしたアスナの脳内革命など、アスナ本人の掘り下げ。
さらには、これまでは、アスナが借用したナーヴギアの持ち主という設定くらいしかなかった兄・結城浩一郎についても、息苦しい家庭内で、アスナが唯一心を許せる息継ぎポイントとして人物像が確立。
《マザーズ・ロザリオ》編でも鍵となった、アスナが仮想現実にのめり込む家庭内動機についても補強。
アスナのキャラ強化による《閃光》誕生秘話を語る準備も万端です。

アスナと後の《黒の剣士》キリトの馴れ初めについても初々しく再構築。
将来の無双ぶりが信じられない程のキリトのポンコツぶりが可愛らしいですw
{netabare}背中の鞘はここですよ~{/netabare}って感じで、ついお世話したくなっちゃいますw
キリトの{netabare}“ビーター”宣言{/netabare}についても闇落ちではなく、
仕方なく演じてるんだよとアスナに向けて苦笑する描写が成されたのが救い。
こうしたニュアンスの違いからも“SAO事件”の裏側を表現するという意欲が滲みます。


【声優 4.0点】
新キャラ・ミト役には水瀬 いのりさん。
キリト&アスナの間に割って入り存在感を示すという無茶振りをこなす流石の実力。
が、特筆すべきは{netabare}ミトのマッチョな狂戦士アバターの声を担当した中尾 隆聖さん。
おっさんボイスの中に確かに潜む乙女心を感じるベテランの職人芸は必聴ですw{/netabare}

キリト役の松岡 禎丞さん。アスナ役の戸松 遥さん。
お馴染みのキャストも、ボイスを高めにコントロールし、
もう一度、中学生を演じ直す調整力で魅せる。
アスナについては成長度による掛け声の演じ分けも巧妙。
初心者の頃のアスナの「はぁ~!!」には萌えますが、ボス戦のアスナの気合には圧倒されます。


【音楽 4.0点】
劇伴は梶浦 由記氏によるフィルムスコアリング。
長尺戦闘シーンの起伏に合わせて曲中に楽器をパートごと抜く。
シリーズBGMの双璧である『swordland』と『luminous sword』のフレーズも場面に合わせて躊躇なく切り貼りする献身ぶり。
何より絶望すらも美しく彩る“梶浦語”のコーラスはデスゲームでこそ映えます。

ED主題歌はLiSA『往け』
モヤモヤを抱えたアスナが、仮想世界で決心し、突き抜けていく、心情再現も上々な良曲。
サビの締めに“キミトアスヘ”と主要キャラ3人の名を折り混ぜるのも心憎い演出。


【感想】
これはキリトが《黒の剣士》と呼ばれるまでの、アスナが《閃光》と呼ばれるまでの物語。
『~プログレッシブ』の基本コンセプトであり見どころですが、
加えて私が関心を持っているのは《血盟騎士団》成立過程。
つまり(※《アインクラッド》編の核心的ネタバレ){netabare}デスゲームを仕掛けた茅場晶彦は何故自らゲーム内に入り攻略ギルドを結成、主宰するという酔狂(中二病w)な行動に出たのか?{/netabare}

この観点から興味深かったのはボス攻略に向かう途上のアスナとキリトの会話。
戦いに向かう人々はどういった心境なのだろう?という問答。
第1層の段階では、まだロールプレイであることを実感するやり取りでもあり、
これが役割を演じているのを忘れ、戦士になりきる段階になった時、
このゲームは遊びではなくなり、職業軍団である《血盟騎士団》が誕生するのではないか?
想像も掻き立てられる、示唆に富んだ一幕でした。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 14
ネタバレ

遊微々 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

さあ立ち上がれSAOアンチよ!今こそ手の平を返す時だ!!

勝ったあああああああ!!!!
俺ようやく勝ったよおおおおおお!!!!


まあ順を追って説明しましょうか。
最早説明不要な「とある」に続く電撃文庫が誇る大ヒットシリーズ「ソードアート・オンライン」
2012年のアニメ1期放送から、アニメ業界でも一線級の人気を集める作品ですよね。
私自身は1期放送のリアタイ勢なのですが、今まであにこれで触れることはほとんどありませんでした。
まあこの作品やっぱりファンが多いわけじゃないですか。このサイトにも好きな人は多いし、キャッチさせていただいてる方にも高評価な方が多いわけですよ。そんな状況でこんなこと言うのもあれなのでレビューとかも一切控えてたんですが、いい機会だからハッキリ言いましょう。

私このSAO、大っっっっっ嫌いな作品だったんです。

うーん、なんて言うんでしょうか。好きと嫌いは表裏一体とでも申しましょうか・・・
最初の3話くらいまでは面白くて毎週楽しく見てたんですよ。でも10話過ぎたあたりから急速に熱が引いていくのを感じるようになりましてね。最終話まで見終わった時に感じたのが凄まじいまでの失望感だったんですよね。
最初に感じたワクワクが消え失せていくのがどうにもやるせなくてですね。
キャラも世界観ももっと調節すれば上手くいくのになぜこんな結果に・・・という感情が先行してしまって、気づけば反吐が出るほど嫌いな作品になってました。
極端な話、キリトとかアスナとか全員〇ねばいいのに、くらいまで至っていたと思います。


さあそんな私の目に飛び込んできたのが今作「ソードアート・オンライン プログレッシブ」の告知。
最初のSAOの新解釈版というかリブート版みたいな内容ということで、私がずっとヤキモキした気持ちを抱えてた「もっと他にやりようあっただろうがよぉ」をワンチャン形にしてくれているのでは!?という期待を込め、見に行く決意をしたのが3か月前。
で、今日ようやくその日が来たわけですけども、結果は最初に述べた通りです。

いやーーーー、長かった。1期放送から約10年、ようやく面白いと思うことができて良かったですよホント。

{netabare}TVシリーズの本筋をなぞりつつも、ちょくちょく変更が加わってましたね。
アスナの親友であるミトの存在や、キリトと出会うまでの過程が変わっていたりと。
特にキリトとの出会いと関わり方をTVシリーズと変えていたのは本当に大事でしたね。「いつの間にこいつら仲良くなってんの?」状態だったあっちと違って、こっちの方がより自然で受け入れやすいです。
そして危機感の描き方といいますか、命がけの戦いから生まれる緊迫感がよく伝わってきました。そうそうこういうのを求めてたんですよこっちは。
おかげでご覧なさい?あれだけ鼻についてウザさと薄ら寒さしか感じなかったキリトさんの活躍シーンがこんなにも意味を持ったカッコイイシーンに仕上がるわけですよ?
ビーター発言のところとかTV版見返しても「キャーキリトサンカッコイイー」くらいにしか思わないのに、そこに至るまでの経緯をしっかりと描くことで「キリトさん・・・アンタ男やで・・・」と見えてくる不思議!
そして野郎がカッコよければそれに比例してヒロインのアスナの魅力も増すってわけですよ。正直キャラデザ以外の魅力0だなこのヒロインと、そう思っていた時期が私にも・・・というかずっとそうだったんですが、今作で見せた普通の人間らしい弱弱しさやそこを乗り越える強さ、そして時折垣間見える可愛い女の子らしさといった部分が実にGOOD。アスナさん、あんた超ヒロインしてたよ・・・。
ようやくこの二人が好きになれたというだけでも今作が果たした役割は大きかったです。やっぱりボーイミーツガール好きとしてはこのままで終わりたくなかったですしね。

ただ一つ誤算だったのは今作で完結!!
ということではなく、どうやらこのシリーズ続き物になるみたいで・・・
今回の感じだと3~4部作くらいの構成になりそうだなーという予感。
あんまり待たされるのも嫌だなー。
{/netabare}

SAOファンの方はもちろんですが、SAO嫌いな人にこそ一回見て欲しい。
マジで認識変わる可能性あるから!マジで!

投稿 : 2024/11/02
♥ : 31

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

走れ、突き進め。闇夜を切り裂く、流星のように

この作品の原作は未読ですが、アニメは全て視聴済です。
ようやく視聴できるようになったので、早速見ることにしました。


第15 回電撃小説大賞<大賞>を受賞した川原礫氏による小説『ソードアート・オンライン』シリーズ(「電撃文庫」刊)。
次世代VRMMORPG《ソードアート・オンライン》を舞台に繰り広げられる主人公・キリトの活躍を描いた物語は、2009年4月の原作小説第1巻発売以来高い人気を誇り、2021年現在、全世界での累計発行部数は2,600万部を突破。
TVアニメは2012年に第1期が放送され、現在までに4シリーズ(全97話)が放送されている他、ゲーム、コミカライズなど、幅広いメディアミックス展開がなされている。
2017年には『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』が公開。
興行収入25億円を突破する大ヒットを記録した。

『ソードアート・オンライン プログレッシブ』は、《SAO》物語のすべての始まり、アインクラッド第一層からの軌跡を、深く掘り下げながら詳細に描く作者自身によるリブート・シリーズ。

原作者・川原礫がアスナ視点で描く新たな《アインクラッド》編を、完全新作アニメーションで映画化。

これは、ゲームであっても遊びではない――。

ゲームオーバーは現実の死に直結する。
全ての原点であるデスゲーム『ソードアート・オンライン』が、劇場のスクリーンで新たに幕を開ける。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

完走してまず最初に思ったこと…
「やっぱりアインクラッド編は最高ですっ!」ということです。

もちろん、マザーズ・ロザリオ編やアリシゼーション編も十二分に堪能させて貰いました。
それ以上にアインクラッド編が凄いんです。
そして今回はそのアインクラッド編を更に深掘りしてくれるのだから堪りません。

構成も序盤からやってくれています。
何せ開始1分早々で例のバトルシーンのテーマ曲が流れるんですから…

この作品の主人公はアスナ…
しかも、キリトに出会う前のアスナって、言われてみると殆ど分かりませんでしたよね。
第1層のボス攻略会議の場で偶然出てきた感じでしたし…

真相がこの作品によって明らかにされますよ。
良い意味で期待を裏切ってくれる展開だったと個人的には思っていますが、既に視聴された方はどの様な印象をお持ちなんでしょう。

アニメーション制作は、変わらずA-1 Picturesさん。
監督は、この作品が監督デビューとなる河野亜矢子さん。
デビュー作品がこの作品って、重圧が半端無かったのではないでしょうか。

wikiに「作品を見終わった後にテレビシリーズを見たくなるような作りを重視したこと」と監督が話されたそうです。
確かに、記憶と微妙にズレている部分がある気がするんです。
もう一度視聴して確認したいという思いが沸々と湧き上がっています。
もし視聴するなら、これまで以上に睡眠時間を削らないと時間が捻出できないんですけどね…^^;
監督の思惑が見事ハマった何よりの証拠だと思います。

今回はいのりちゃん演じるキャラが大活躍でした。
ですが、物語のラストにしーちゃん演じるキャラがチラ見せされていましたが、公式サイトのTOPページではキービジュアルにドーンと掲載されていました。
きっと、次の物語でキーになるキャラなんでしょうね。

主題歌は、LiSAさんによる「往け」
言わずと知れた名曲ですね。

100分弱の物語でした。
アインクラッド編ということもあり、視聴のハードルを勝手に上げていましたが、難なくクリアできたクオリティだったと思います。

続編は9月10日から上映されるとか…
それまでにコロナが落ち着いてくれると良いんですけどね^^;

投稿 : 2024/11/02
♥ : 18
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