2019年度のクーデターTVアニメ動画ランキング 2

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ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月29日の時点で一番の2019年度のクーデターTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

89.5 1 2019年度のクーデターアニメランキング1位
進撃の巨人 Season3 Part.2(TVアニメ動画)

2019年春アニメ
★★★★★ 4.1 (717)
3584人が棚に入れました
人類が永きに亘って壁の中に隠してきた、大いなる秘密――。 その真実に一歩近づいた調査兵団だったが、時の王政により反逆者の汚名を着せられてしまう。 しかし、人類はただ飼われるだけの家畜ではなかった。 真実を追い求めるエルヴィン・スミスの執念は兵団のトップを動かし、遂に現体制に対するク ーデターが勃発する。民衆を欺き続けた偽りの王は退き、真の王家の血を引くヒストリア・レ イスが即位。自ら巨人を討ち果たした勇敢な女王のもと、人類は新たな時代を迎えようとして いた。 エレン・イェーガーが得た硬質化の能力と、そこから誕生した対巨人兵器。 着々と反抗の準備を進める人類は、悲願のウォール・マリア奪還作戦を決行する。 人類と巨人、互いの生き残りを賭けた究極の戦い。 その先にエレンは、人類は、はたして何を手にするのだろうか?

声優・キャラクター
梶裕貴、石川由依、井上麻里奈、下野紘、小林ゆう、三上枝織、谷山紀章、細谷佳正、橋詰知久、朴璐美、小野大輔、神谷浩史、子安武人
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

俺たちの進撃よ お帰りなさいませ!

この絶望と高揚

つくづくこの作品は極限下の人間描写が素晴らしい。

進撃の巨人3期Part2は全10話。継続No.ですのでクレジットは#50~#59ということになります。極めて濃厚あっという間の10話でした。今クール(2019年春期)ひいては今年上半期の最優良物件と感じる自分はこうも思ってます。


 “途中で断念したみんな!戻っておいでよ!”


1期#01~#25、2期#26~#37、3期Part1#38~#49、そしてPart2とこれまで間隔を空けながらも足掛け5年は続いている長編物語は未だ道半ばにあります。
Finalと銘打たれたシリーズが2020年放送予定とのことでクール数不明ながらクレジット#70を超える大作として幕を下ろすのでしょう。

本作の良さはこれだけ長く続いているのに物語の整合性が保たれているところにあります。
私は原作組でもありますが、アニオリ入れても本筋から逸れることがない。その本筋は一本の線で筋が通っている。ブレがありません。
1期で提示されたのは未知なる巨人の圧倒的な力に抗う人類の意思でした。2期で巨人は見えない恐怖から見える恐怖に変わり、3期ではPart1&2を通じてこの世界の仕組みに踏み込んでいきます。
2期あたりから、外形的な巨人の恐怖が変わったことを面白くないとみる層が一定数いたのも事実でした。あまりこういうことは言わないのですがもったいないことをしてると思われます。出戻ってここまで辿りつけば報われる3期Part2と言えましょう。

やや説明的な3期Part1を踊り場にして、3期Part2では1期さながらの対巨人バトルが復活。これまでの物語の積み重ねによって闘う意味に極めて重たい理由が課せられた上での死闘が繰り広げられることになります。
さらにこれまでのあの場面に出てきたアレ。この場面でのあのセリフ。綺麗に伏線の回収がなされていきます。そしてFinalに向けての新たな謎撒き。ここまでくると、未回収の謎にもきっと答えを出してくれるのだろうとの信頼をこの作品に寄せることができてます。だからこそあらためて言いたい。


“途中で断念したみんな!戻っておいでよ!”


RevoさんもOPに返り咲きましたし。正直なところ曲単体での魅力は乏しいといいますかあんまりお上手ではない方ですよね。それでも進撃の物語にはしっくり馴染むのです。名曲「紅蓮の弓矢」を転調アレンジした「憧憬と屍の道」って、虎舞竜「ロード第二章」との既視感がハンパありません。
・・・褒めてんだか貶してんだか、こちらの曲は今から加速してくぞ!ついてこいよ!を宣誓する凱歌のように私は捉えておりました。


さて、全く未経験な諸氏向けにはどうか?
59話終わってなお続きが気になる物語です。長丁場は承知の上、Finalシリーズを共に楽しむために予習を済ませておきませんか?と推薦しておきたいところです。



■野球は巨人 対する阪神は新劇いや進撃
こんな危険球は嫌だ!の声が聞こえてきそうです。
※纏められなかったがこのエモさだけは残しておきたい!的な以下。

{netabare}#50~#55までの獣の巨人戦を軸とした戦闘描写は特濃レベルでした。ここまで6話分。辞書に無駄回という語が載っておりません。{/netabare}

観ていて苦しくなります。民族殲滅を目的とした強大な相手に対してどう対処すればよいというのでしょうか?
話せばわかるが通じない相手に非力な側ができることには限りがあり、“家畜の安寧”を甘受しようとも先細っていくのは避けられません。

{netabare}#54と前後の回は本作のピーク。

1.エルヴィン・スミスの諦観
「そして私は真っ先に死ぬ。地下室に何があるのか…知ることもなくな…」
これまで頼れる団長、超絶リアリストだったエルヴィンも事ここに至りて感情のある人間だったという事実に驚く。一呼吸置いてそりゃ人間だもんなの納得感に落ち着く。
「俺は選ぶぞ。夢を諦めて死んでくれ。新兵達を地獄に導け。獣の巨人は俺が仕留める」
#53はエルヴィンとリヴァイのやりとりだけで通常なら神回相当。

2.リヴァイの誓い
「待てよ…俺はあいつに誓ったんだ…必ずお前を殺すと…」「誓った!」
獣の巨人を仕留めにかかるリヴァイは作画の凄さも相まり冗談抜きで震えがきた。そして何回も観た。
死んでくれ!と自分が言った盟友との約束。死者(この時点では仮だが)との約束は限りなく重い。

3.アルミンの嘘
「エレン…わかってるよね?一緒に海に行くって約束しただろ。僕がエレンに嘘ついたことあった?だから何があっても僕の作戦守ってくれよ!」
「クソ…わかってたハズなのに…」
「わかってた…お前が誰よりも…勇敢なことぐらい…」
大人達から一転エレンサイド。ここまでしないと突破できない絶望的な状況というのがやるせない。エレンも泣き叫ぶでなく静かに咀嚼する。
#54は鋼、超大型、獣と無理ゲー級の負け戦からの大逆転ながらカタルシスはなし。これ凄いことです。

4.そして選択
リヴァイはアルミンを選んだのではなく、エルヴィンを選べなかったのだと思う。
壁の外。地下室に行きたいエルヴィンと海を見たいアルミンとが描く夢は一緒。諦めさせた夢を掘り起しもう一度地獄を見せることは出来なかったのだろう。団長R.I.P(T_T)
何を選ぼうがどれを選ぼうが地獄という世界は残酷この上ない。きっとこの後、“ここに団長がいれば”という展開が予想され、逆でも“ここにアルミンがいれば”となるのは必定な展開が透けて見える。
なにも時間をかけた選択ばかりを指さない。
・獣を足止めして生存者がいないかと逡巡したリヴァイ
・ライナーの取り扱いを巡るジャンとハンジの躊躇
瞬時に最適解が求められる戦場の非情さがものの見事に表現されているのだ。たまらん。

「アルミン、またな…」
リヴァイが団長を選ぶかという時にアルミンを前にしてのコニー。自身の死をも見越した別離の声掛けなんだよね。
#55 気持ち良さがまるでないが目の離せない展開が続きます。{/netabare}

ここまでお涙ちょうだいはないのですが泣けます。



視点を変えて、、、
こんな事態に陥る前に何ができたでしょうか?味方の損失を抑えるために何が必要だったのか? 諸々端折ると、正確な情報(インテリジェンス)が手元にあればということになるんだと思います。

{netabare}ミクロでならライナー達の潜伏位置や作戦内容。いくらこちらが弱くてもこれさえあれば何とかなりますし有能な指揮官なら次善策プランBプランCくらい練るでしょう。
マクロでなら巨人の正体。単に弱点突破の戦術のみならず、そこに係る利害関係者の思惑や力関係までも包括する情報を指します。{/netabare}

極地戦闘だろうが、国防外交だろうが情報をおざなりにして生き残った組織・国家は古今東西あるんでしょうか?答えは否。
戦争を起こさないために、有事に被害を最小限に食い止めるためにインテリジェンスを強化しないといけないのです。ここ無くして交渉もへったくれもありません。
アホが運用したら危険だ。その通りです。ただし仕組みが無ければやられ放題。仕組みを作った上でさっきのリヴァイの1000分の1程度の負担で糞の中からまだマシな者を選ぶ。我々だって当事者なのです。・・・あ、脱線してもうた。


「僕たちは圧倒的に情報が足りない」
アルミンが再三再四指摘していたことは本質を捉えているのです。


本作3期Part.2の後半は、足りない情報が埋められていく話。納得性のある超展開が待ち受けていることでしょう。
そして、来たるFinalシリーズでお会いしましょう。



視聴時期:2019年4月~6月 地上波リアタイ

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2019.07.10 初稿
2020.01.31 修正
2022.02.27 修正

投稿 : 2024/12/28
♥ : 71
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

壁を超えた先の遥かなる夢

アニメーション制作:WIT STUDIO
総監督:荒木哲郎、監督:肥塚正史、
シリーズ構成:小林靖子、キャラクターデザイン:浅野恭司、
音楽:澤野弘之、原作:諫山創

人類の歴史とともに生まれた壁に囲まれた城郭都市。
エジプト文明や古代ローマの時代から
外敵の侵入を防ぐための「壁」は、建設されていた。
エルサレムの旧市街やクロアチアのドブロヴニクには、
現在でも城郭都市が残っている。
そんな歴史を『巨人』が跋扈する架空の世界に置き換え、
見事なエンターテインメントとして成立させた作品。
いよいよクライマックスを迎え、
多くの謎が明らかになっていくPart.3だ。

シリーズは2010年代を代表する大ヒット作だが、
個人的には評価が乱高下していた。
異質な世界観は面白いのだが、
観ていると、作者の都合の良いように
ストーリーが展開しているように
より強く感じさせられてしまったからだ。
その違和感から冷めた目で見てしまう。
{netabare}特に女型の巨人が生き残る展開から
付いていけなくなり、興味がなくなってしまった。{/netabare}
それは、犠牲者が出るからということではなく、
人間の生きているストーリーとして
リアリティを感じられなくなってしまったからだった。

ところが、Part.3に入って、
様々なことが明らかになるにつれ、
Part.1と2の話が全て伏線としてつながっていく。
死んだ登場人物たちが意味のある存在として
物語のなかで浮かび上がってくるように感じる。
それによって、深く物語に没入することができた。
多くの事象がクライマックスに向けて収斂していく。
リヴァイを筆頭にエルヴィンや主役の3人の
キャラクター造形もいい。原作者が最初から
ほとんどの設定を決めて書いているだけに、
キャラの一人ひとりが、よりくっきりと
リアルな姿形で象られている。
主要人物の過去が語られることで、
それぞれの信念を追体験できるのが、
大きな魅力となっている。

同時にPart.3には、大きな柱がある。
それは全員が巨人たちによって支配された世界からの
脱却を求めているとともに、
各々が叶えたいと思っている夢が表出することだった。

アルミンの夢は、築いた壁の向こう側にある
遥かなる海を見ること。
未知の世界に対する憧れ。
またエルヴィン・スミスは、
世界を覆う未知の謎を知るためだけに、
全てを捨てて本心を隠し続け、偽りの世界に生きていた。
{netabare}そして、遥かなる夢を未来に見る者と、
全てを偽り続けながら真実に近づこうとする者との間で
命の選択が行われる。{/netabare}

本当に大切なものを守るために、
人は自分勝手になってはいけないのか。
戦時中の心情は、単純なものではないだろうが、
それでも利己的な物語のほうが好感を抱く。
大義で動くよりも、もっと個人的なことで
最終的には動いてしまうほうが
人間らしいと思ってしまうのは私だけだろうか。

ふたつの夢が交錯し、一方は潰えてしまう究極の物語。
SEASON3の最大の見せ場だ。

そしてもうひとつファイナルに向けて
示された大きな夢がある。
それは「進撃」を続けなければならない
人の使命とでも言うべきもの。
57話から59話で語られるエレンの父・
グリシャ・イェーガーの物語。
私はこの物語で、アルベールビル・オリンピックの
原田雅彦を思い出した。

スキージャンプ団体戦の決勝で原田は勝利を目前にした
最後のジャンプで大きな失敗をしてしまい、
日本は銀メダルに終わってしまう。
ジャンプが終わった後に頭を抱えて
うずくまる原田の姿は忘れられない。
日本中が落胆した日だった。
しかし、それ以上に脳裏に焼き付いているのは、
帰国した直後のインタビューだった。
そのときに原田は「私はこのことを背負って、
ずっと生きていきます」と覚悟を語ったのだ。
私は子供ながらに、凄い人だと思った。
帰国直後に、彼は全てを受け止めて前に進もうとしていたのだ。
後に長野オリンピックで、その覚悟を改めて示すことになる。

今回のラスト3話でクルーガーが巨人を託す相手として
グリシャを選んだ理由----
{netabare}それは妹を連れて壁外に出たことが原因で、
妹を殺されたからだった。
人は失敗を犯した日の後も生き続けなければならない。
クルーガーが初めて同胞を巨人にして崖から突き落とした日を
絶対に忘れていないことと同じだった。{/netabare}
何かをやり遂げるには、全てを受け止めて、
過ちの日からも進み続けなければいけない。
そんな強い意志が必要なのだ。

歴史は繰り返すと言われる。
しかし、過去を忘れ去ってしまい、
負の歴史を繰り返してはならない。
そのためには「痛み」が継承されるべきなのだ。
ラストに向けて人類の夢は、
どのような形で示されていくのだろうか。
(2020年2月15日初投稿)

投稿 : 2024/12/28
♥ : 57
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

いつかの少年

原作、諫山創。

進撃史上、最も濃密な全10話、

悲願であるウォールマリア奪還作戦、
エレンの故郷、亡き家族との思い出の場所。
物語の鍵を握るエレン家、地下室の手記、
壁の外を夢見た勇敢なる少年が帰還する時、
物語は悲劇性を帯び壮大な歴史が開示される。

それぞれの思惑が強度を増し炸裂する。
{netabare}ライナー・ベルトルトとの因縁の対決、
アルミンの知恵、ミサカの葛藤、団長の戦略、
そして兵士長リヴァイと獣の巨人の頂上決戦。{/netabare}
心臓を捧げ、疾走する立体機動装置、
シリーズ屈指のエピソードが数多く描かれる。

多大な犠牲のもと選択を余儀なくされる兵士たち。
それは「正義」の遂行であろうか!?
原作でも物議をかもしたリヴァイの決断。
人類生存のわずかな望みと私情の狭間で、
それぞれが葛藤し、それぞれの「死」を問うこと。
大きな決断が、物語を駆動させていく。

メルヴィルの描く「白鯨」のように、
形而上学的・神話的悪魔であった巨人の存在が、
ここに来て、身近な存在へと移行し、
{netabare}民族・宗教を含む文化圏の闘争が始まる。{/netabare}

世界の一切は、やがて移ろい、
私たち自身も遠からず過ぎ行くことだろう。

美しい海が見たい、泣けてくる。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 71

70.6 2 2019年度のクーデターアニメランキング2位
revisions リヴィジョンズ(TVアニメ動画)

2019年冬アニメ
★★★★☆ 3.3 (309)
1136人が棚に入れました
「これは予言よ。あなたたち五人に、いつか大変な危機が訪れるの。そのときみんなを守れるのはあなた」幼いころ誘拐された過去をもつ高校2年生・堂島大介は、幼なじみのガイ、ルウ、マリマリ、慶作とともに、不可思議な現象──「渋谷漂流」に巻き込まれる。渋谷の中心部が跳ばされたのは300年以上先の「未来」。そこで待っていたのは、広大無辺な荒野と森、点在する廃墟……そして、未来人「リヴィジョンズ」と彼らが操る巨大な機械の化け物だった。理由もわからぬまま化け物に蹂躙されていく渋谷を助けようと現れたのは、誘拐事件の大介の恩人と同名で瓜二つの少女・ミロ。彼女は、大介たちだけが操縦できる人形兵器「ストリング・パペット」を提供し、渋谷を守れと促す。誘拐事件の恩人──ミロによる予言「仲間を守る運命」を信じて生きてきた大介は、ついに訪れた危機と手に入れた力に歓喜する。しかし、幼なじみ5人の絆は誘拐事件の影響でバラバラとなっていた。孤立した街。未知の敵。未確定な過去と運命の予言。

声優・キャラクター
内山昂輝、小松未可子、島﨑信長、高橋李依、石見舞菜香、斉藤壮馬、日笠陽子、田村ゆかり、櫻井孝宏、遠藤綾、てらそままさき、飛田展男、寺崎裕香、大塚芳忠
ネタバレ

すがさ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

メサイアコンプレックス【救世主妄想】

平和な世界に生きるごく普通の高校生5人が、突如として訪れた危機に際して人類の命運を託されてしまうお話。

しっかりと"普通の高校生"なので、異世界転生主人公みたく、ニヤつきながら敵を蹴散らすような展開にはならないし、危機的状況の中で冷静に正解択を選ぶようなこともなかなかできない。
{netabare}そんな世界観の都合上、5人の中で視聴者が好感を持てたのはケイサクぐらいだったと思う。
(5人以外だと泉海さんが素敵な女性だった。)

ダイスケの行動がキツいのは脚本を書いた方も承知の上だと思うから、「ダイスケが嫌いだからこのアニメ嫌い。」というのは視聴者側の対話拒否なようにも思えるが、
実際にそう感じた視聴者が続出してしまったということはやっぱり脚本が悪かったのかな?

まあ、そこに関しては私は全然大丈夫だったんだけど、単に盛り上がりに欠けていたなとは感じた。

《メサイアコンプレックス【救世主妄想】》とかいう壮大なレビュータイトルに釣られてこのレビューを読んだ方が、中を開けてみればショボいなって思ったのと大体同じような感想。

ともあれ、私が見たかったもの[誘拐事件の伏線回収]は最終話で概ね満足のいく結果となってくれたので、終わり良ければなんとやら。観て良かったと思う。
{/netabare}

内容からは逸れますが、このアニメの3DCGは素晴らしいですね。
3DCGのアニメには少々抵抗があったのだけど、このアニメの3DCGはすごい(語彙力)
これほどの高クオリティでやってくれるのであれば、他のアニメでも大歓迎ですよ♪

投稿 : 2024/12/28
♥ : 32
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

群像劇としてのキャラクター配置の巧さ〈若干修正・追記あり〉

2019年冬放送のオリジナルアニメ。全12話。
半径1キロの範囲(都市)のタイムトラベル(SF)に少年少女の成長譚、都市災害、群像劇を加えたちょっと珍しい作品。

もともとメディアミックス前提の企画だったようですね。
WEBのインタビューを読んだら、監督によると「元々は(本作の企画・プロデュース担当の)スロウカーブさんが、アニメを中心としたマルチメディアミックスの企画を立てていて、その途中で私に声が掛かった」と。作品の枠組みは谷口監督が参加してから決まっていったようです。
CGを担当した白組の平川孝充さんとの対談などを読んでいると、かなり力が入った作品という印象を受けます。

3DCGとても良かったと思います。コンテ(カメラワーク)もしっかり決まっていて、CG酔いするような所が無くて見やすかったです。
個人的にはEDが大好き。歌も画も凄い好み。ミロ美人。


【良かった点】
過酷な環境下での少年少女の成長物語はもともと好きなので、とても楽しめました。
展開が早く濃くてアニメのみだと付いていくのが大変でしたけど、無駄が無くいので見直すのも苦になりませんでした。
恋愛要素は関わってきますが、それほどドロドロした描写はありません。グロは覚悟していたんですが、思ったよりショッキングなシーンは少なかったです。CGの限界なのかもしれませんが、演出でフォローしている所が多かった印象です。

{netabare}
大介の性格は私はあまり気にならなかったですね。
他のキャラクターが釘を刺し続けていたので、最後には必ず成長するだろうと何となく安心して見ていました。(周囲のキャラクター達が「大介はそのままで良い」という描写だったらさっさとやめてたと思いますが)
第一他の子たちも欠点が無いわけではないですし。
ミロとの関係が好きだったので大介の空回りにハラハラしつつ、成長してからミロとはどんな関係に収まるのかに期待して視聴していました。その点はすごく満足した!ミロ好き。

終盤になって、ストリングパペットの搭乗者としては大介が能力的には「補欠」であり慶作の能力が最も高かったことが判明するあたりが、もっと丁寧な描写だったら良かったかも。
こういうの好きなんだよね…「失敗しながらも必死で成し遂げたこと」によって凡人が英雄になるって良いじゃないですか。

それに対して慶作は本当に運に見放されていて可哀想でしたけど…。
視聴者の中には「主人公体質」と感じた人もいたようだけど、私は最初はそうは思わなかったんですよね。多分仲間たちのために自分は我慢していたからだと思うのだけど。
私にとって主人公の条件は、主体的に決断できることと心の強さ(最初は弱くて大きく成長する場合もアリ)なのかなと…
だから、最後に慶作が自分の意志で大介を生かしたのは主人公的な行動だったと思います。
そして「観測されたものは存在が確定する」というこの作品の理論によれば間違いなく慶作は生存しています。大作や他の皆が慶作のことを覚えているので、いずれかの時空に存在しているということですね。勿論それはニコラスも同じなので、また一波乱ありそう。
2期見たいですね~…慶作幸せになって欲しい。

ストリングパペットが巨大ロボットではなく、パワードスーツなのも好きでした。
市街地での戦闘や任務をこなせるサイズだから、自動車やバイクとの共同作戦が自然に画にできていたように思います。{/netabare}


【勿体なかった点】
{netabare}
正直に言うと、取り扱う題材が多く複雑で尺不足に感じました。
その分ワンシーンが濃くて飽きずに集中して視聴できたけど、毎回気は抜けない。
他のS.D.S.メンバーに比べてガイがちょっと出番少ないのは特に勿体なかったです。尺不足の煽りを受けちゃった感じはしますね。
ガイが好きな人には、小説は是非読んで欲しい。{/netabare}


【小説版読了】
小説版もかなりの出来で、単品でSF娯楽小説としても申し分ないです。
文章も読みやすいですし、内容・心理描写・世界観説明も素晴らしく、アニメと併せてとても楽しめました。
…ていうか両方手に取るべし。
{netabare}
物語は同じですがキャラクターへの理解が深まります。
S.D.S.のメンバーだけではなく、例えば大介の叔父の幹夫さんがとても良い。社会人としても叔父としても立派ですし、幹夫さんの描写と大介の掘り下げを併せてしているんですよね。こういうの好きです。

世界観についてもアニメだけだと説明が最低限になってしまっているし、小説だけだと視覚的に理解しにくい部分があります。
ストリングパペットのデザインはせめて挿絵がないとわからないと思う。一般的なロボットアニメのメカとはだいぶ雰囲気が違うので。
…何より田舎者には新宿の地図はとっさに頭に浮かばないし…。
3DCGを選択した理由の一つとして、監督は新宿の街の再現性を上げてもいるのですよね。地方民としては心底ありがたい(笑)

それだけ世界観をしっかりと構築しているので、映像と文章両方楽しめます。活字好きには是非オススメしたい。{/netabare}


ソーシャルゲームの展開も予定されているそうなので、この世界観がこれからも活かされそうなのは良いですね。
ただ、やっぱり私はアニメで見たいなあ…。2期あればきっと見ます。(2019.9.13)


【再視聴感想】
放送が今年の冬だったらもっと話題になったかなあ…
と思って遠い目になってる(苦笑)。
{netabare}
作中で直接パンデミックが描かれるわけではないんですけど、パンデミック後の世界と、抗体の有無で差別が起こり戦争に突入した2つの勢力を登場させたのはなんとも皮肉だなあと…。

自然災害時に起こる人災も普遍的な要素と思いますが、良い面も悪い面もきちんと描いているのも好印象でした。悪い面ばかり描けばかえってリアリティは失われるものです。
後日談の記者会見シーンで、教員(メンタルカウンセラー)、自治会長、公的機関責任者、医師が会見場に立っている。今の現実を見ていると、凄く理に適ったキャラクター配置をしていますよね。こうなるとサブキャラクターの群像劇をもう少し詳しく見たかったなと思ってしまいます。やっぱり2クール欲しかったですね…。

特に悠美子先生はもう少し活躍する予定だったんじゃないかなあ?小説でも特に描写が増えたりはしてないんですよね…。
大介達を精神的に追い詰めたり一般の人達をカウンセリングしたりしながら、悠美子本人も強くなっていく展開とかだったら是非見たかったなあ。強い大人の幹夫と脆い大人の悠美子の対比は、考えてみれば示唆に富んだ内容でもありますね。
{/netabare}
再視聴して全体の印象が変わったわけではないんですが、現実味と創作のバランスを如何に取るか、よく練られた力作だと改めて思いました。
(2020.5.31)

投稿 : 2024/12/28
♥ : 22

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ロボット物……、なのかなあ…?(SFなのは間違いないです)

オリジナルTVアニメ作品です。NETFLIXで先行配信していたみたいですが、私にとってはフジテレビ系列での2019年1~3月の放送を観たので、2019年冬クール作品です。

モーション・トレースっぽい操縦方法で作中では「パペット」と呼ばれている、生体認証機能が付いていると思われる搭乗型のロボット兵器が出てきます。

この生体認証機能のおかげで、パペットに搭乗できるのは主人公の堂島大介を含めた少年少女5人だけ。

何で人型なのかというのは、物語が進むにつれて明かされる情報からすると「そういうことなんだろうな」とわかる、イヤな感じっぽい理由だと思われます。(劇中でそこは明確には言ってなかった気はしますが、たぶん…。)

とりあえず公式サイトの第1話あらすじにある通り、大介が通っている高校を含む渋谷の街全体が、未来へ跳ばされてしまうというタイムスリップ系のSF物です。

跳ばされた途端に、未来の人類を二分する戦いに巻き込まれてしまうわけなのですが…。

とりあえずタイムスリップの実現方法以外はそんなに突飛な設定は無く、わりとまともなSF作品だったと思います。作中でのタイムパラドックスに関する解釈は、『STEINS;GATE』などと概ね同じっぽいです。

大介の性格にいろいろと難があるのでこれに耐えられずに視聴をあきらめてしまう人はいるかもしれませんが、一方で大介がひたすら凡人なのがこのお話の肝なのかもしれません。

最後まで観たら私はけっこう楽しめました。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 34
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