クローンで宇宙なTVアニメ動画ランキング 3

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画のクローンで宇宙な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月27日の時点で一番のクローンで宇宙なTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

89.8 1 クローンで宇宙なアニメランキング1位
彼方のアストラ(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (991)
3918人が棚に入れました
宇宙への往来が当たり前になった近未来で、9名の少年少女たちが惑星キャンプへと旅立つ。宇宙旅行に胸を躍らせながら出発した彼らを待ち受ける、予想外の事態とは……!?

声優・キャラクター
細谷佳正、水瀬いのり、武内駿輔、黒沢ともよ、木野日菜、松田利冴、内山昂輝、早見沙織、島﨑信長

ニワカオヤジ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

スケットダンスが好きなら更に楽しめる

あらゆる漫画を読み漁ってきた私の中で、ギャグ漫画家トップ3に入る篠原健太先生の作品です。

●SFじゃないという批判について
別にハードSFを謳っているわけではありませんし、むしろこれぞSFと言って良いと思っています。自分が子供のころにガンダムやドラえもんでSFに興味を持ったのと同じように、SFの門戸を広げてくれる素晴らしい作品ではないでしょうか。


●ギャグが面白くない説
スケットダンスでも同様の傾向があるので、そのうちスケダンのレビューで考察しようと思いますが、原作者のギャグは漫画でこそ栄えますが残念ながらアニメではあんまり面白くなりません。
なので、アニメを見てギャグが寒いと感じられた方は是非とも原作を読んでください。同じ内容なのにめちゃくちゃ面白いです。そしてスケダンを読んでから読むと更に面白いです。

原作には「アカツノチリゲムシ」などスケダンのファンにはたまらない小ネタがありますが、アニメでは出てこず、残念ではありました。
しかし、宇宙服のメーカー名が実は全てスケダンのクソゲーシリーズという、どうでも良いネタをちゃんと拾ってもらえたのは嬉しかったです。
「FALKEN」とか、めちゃスポーツメーカーとして自然なのが笑えます。「SMB」は「Special Mariko Broken(壊れちまった特別な真理子)」の略称。どう考えても宇宙服メーカーの名にはふさわしくないwww

ギャグといえば、原作コミックの巻末にある番外編四コマ漫画がめちゃくちゃ面白くて、四コマだけでも連載を続けて欲しいほどでした。
特に「紙ずもうレスリングトーナメント」の話が秀逸ですが、アニメではEDの一枚絵で紙ずもうチャンピオンのグレートロブスターが出てくるだけでした。


以上、ほぼ原作のギャグを褒めただけのレビューになってしまいましたが、SFミステリとしての完成度はアニメ史上でも類を見ないレベルだと思います。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 35
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

私たちは変わることができる、そして人生は続く

アニメーション制作:Lerche
監督:安藤正臣、シリーズ構成:海法紀光
キャラクターデザイン・メイン総作画監督:黒澤桂子、
音楽:横山克、信澤宣明、原作:篠原健太

子供たちだけで惑星キャンプが行われる時代。
ケアード・ハイスクールのB5班は、
無人の惑星で5日間過ごす野外学習に出かけた。
9人の少年少女たちは、惑星マクパで降ろされ、
楽しい日々を過ごすはずだった。
しかし、彼らの前に謎の球体が現れ、事態は急変する。

集英社のウェブコミック配信サイト『ジャンプ+』で
連載された作品。口コミなどで評判が広がり、
『マンガ大賞2019』の大賞を受賞した。
宇宙という舞台、子供たちだけの冒険、
陰謀がうごめく背景、9人全員が抱える事情、
惑星でのサバイバルなど、様々な要素のある
エンターテインメント作品となっている。

原作漫画は完結しているため、
1クール12話、しかも1話と12話を
1時間ずつを使う特別編にすることで、
5巻分を余すところなくアニメ化している。
{netabare}無料開放の漫画を少し読んでみると、
原作に忠実に作られているだけでなく、
宇宙空間に飛ばされたアリエスを
カナタが助けるシーンでは、全員が手をつないで
ふたりを救助するという改変も行っている。
(漫画では、このシーンは残されたワイヤーに
戻り、それを辿って帰還している。
1度ワイヤーを巻き取って、再度、別の誰かが
助けに行けばいいなどの意見もあるだろうが、
ここは全員で手をつなぐという行為に意味があったわけで、
良改変だったと個人的には思う){/netabare}

SFの部分では突っ込みどころが多く、
アニメが終了した後にSNSなどで大論争が巻き起こり、
作者が降臨する事態にまで陥った。
ある意味、SF要素のある人気作の宿命だ。
ただ、この作品はSFを見せようとするものでないことは
明らかで、批判する人の気持ちは分かるが、
そこについて深く突っ込み過ぎるのは違和感がある。
この作品において、SFのリアリティは枝葉の部分に過ぎない。

では、どこを重視しているかというと、
9人の子供たちが抱えている問題と、
その悩みを解消するために、仲間が相手のことを
思いやり、本当に大切なものを得ることについてだ。
9人の子供たちは、それぞれ幼少期から、
大きな喪失感を抱えながら生きてきた。
旅を続けるなかで、一人ひとりが体験してきた背景を
各々が理解しながら、解決していく構成になっている。
9人もいるキャラクター全員の過去について、
しっかり語っているため、彼らが失い続けてきたものに
思いを巡らせることができる。
だから、そこから彼らが何かを獲得する様子に
カタルシスを感じられるのだ。
それがこの作品の最大の見どころだろう。

舞台装置としては、孤島の閉鎖空間での
ミステリーと同様の形を取りながら、
それだけに止まらない群像劇として、
最初から最後までしっかりとまとめられている。
{netabare}特に11話『CONFESSION』での回想から
カナタの怒りにつながる流れは素晴らしい。
カナタ役・細谷佳正の演技は、抜群の説得力がある。
反重力シューズを履いてきて、
ワームホールを飛び越すという展開からの
決着の付け方も完璧だった。
この回は、夏クールの私が観た全話のなかでも
出色の出来だったと思う。{/netabare}

9人の少年少女たちは、数ヵ月の旅の間に、
自分の支えになる原点を獲得することができた。
アストラ号で過ごした日々は、
何事にも代えがたい時間として
今後の人生の支えになるに違いない。

引きこもりや親子断絶などが、
もはや当たり前になった現代において、
子供たちの心に響く物語に思える。
ここではないどこかに行けば変われるかもしれない。
行動すれば誰かとの出会いによって、
人生が動くかもしれない。
親から愛されない境遇にあったとしても、
生きていていいのだ。

そして、人は絶対に変わることができる。
(2019年10月19日初投稿)

投稿 : 2024/12/21
♥ : 93
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

判別可能なキャラ達と金太郎飴的な惑星群

原作未読

漫画の評判がいいから、が視聴動機。
全12話ただし初回と最終回が1時間枠だったので実質14話分のボリュームです。
序盤はもの珍しい細谷佳正さんのハイテンション演技を堪能することから。SF興味なくともこの一点で “ 買い ” かもしれません。2~3話経過してからはBパートの引きが良く毎話楽しみながらの完走です。

ざっとあらすじ:子供たちだけでどっかの惑星で5日間自活してこよう!スケール大きめの林間学校に意気揚々と出発したらトラブルに巻き込まれて帰ってこられなくなりました的なやつです。

キャストは多め。性格ははっきりとキャラ毎に別れており、キャラ回というよりキャラパートを設けてあまり尺を使わずにさらっと紹介。それでいて不思議と名前は覚えていられました。
{netabare}みんな多かれ少なかれ境遇は一緒だよ、との本作の特徴を活かしこのへんばっさり切りましたね。英断だと思います。{/netabare}


カナタ・ホシジマ(CV細谷佳正):リーダー 十種競技選手 アツい!
アリエス・スプリング(CV水瀬いのり):天然ドジっ子に見えて意外と有能
ザック・ウォーカー(CV武内駿輔):頭脳明晰鉄面皮 キトリーと幼馴染
キトリー・ラファエリ(CV黒沢ともよ):医者の娘 フニシアの姉 基本ガヤ
フニシア・ラファエリ(CV木野日菜):最年少 キトリーの妹 パペットマペット
ルカ・エスポジト(CV松田利冴):政治家の子 僕っ子亜種「オイラっ子」
シャルス・ラクロワ(CV島﨑信長):貴族出身 なんというかムツゴロウさん
ユンファ・ルー(CV(早見沙織):国民的歌手の娘 超内向的隠れ美人
ウルガー・ツヴァイク(CV内山昂輝):教頭の息子 本人はアウトロー志向

ポリーナ・リヴィンスカヤ(CV生天目仁美):ゲスト ポリ姉


途中経過時点ではおおむね今期多かった中間層上位 ( 自分比 ) の作品という見立て。完走は苦にならずそこそこ面白いが一皮むけてないといった「惜しい!」作品の一つ。
ただしそれは物語の全容が明らかになってくるまででした。起承転結の転から加速しきっちりまとめてゴールイン!一気に観るのがいいと思います。

引っ掛かったところ先に述べとくと、全12話のけっこうな部分を占める各惑星描写についてもっとエンタメに振り切って欲しかったな~ということですかね。


※各惑星の簡易説明

{netabare}惑星マクパ:当初目的地
惑星ヴィラヴァース:最初に訪れた惑星。肉食恐竜みたいなのとにょっきーん植物が脅威
惑星シャムーア:脅威のない草食動物。毒胞子まき散らすポールツリーが脅威
惑星アリスペード:リゾート惑星。地震と津波が脅威
惑星イクリス:自転してない過酷な環境。超獰猛な可動性植物が脅威
惑星ガレム:最後の惑星。わりと平和

一覧すると、植物らしきものが脅威だよというパターンが被りヴァリエーションに乏しい。{/netabare}

いきなり遠くの宇宙空間に放り出され、かくかくしかじかで食糧の備蓄量を見据えながら惑星を中継して帰還するという一大作戦決行中の若者たちです。

 未知の惑星にどんなものを持ってくるか?

これがいってみれば想定の範囲内。観てるこちら側の斜め上をいくようなタイプの惑星が登場してたら、

 本当に生還できるのか?

SFサバイブもののドキドキワクワク感はさらに増したことでしょう。
{netabare}そしてサバイバルパートが際立てば際立つほど第9話「全容見えてきました!」回との目線ずらしが奏功してたと思います。サバイバルと見せかけてサスペンスでしたの落差で評価は爆上がりしてたことでしょう。{/netabare}


この引っ掛かり以外は気にならず、中盤までゆるやかに右肩上がりで面白くなっていくストーリーだったと思います。サバイバルという題材と+αの謎{netabare}(「裏切者は誰だ?」){/netabare}を早々に提示してくれたおかげで、なにがなんだかよくわからないまま後半に種明かしみたいな不親切設計でもありませんでした。
起承転結の構成も手堅く、転からの終盤はオチも含めて意外性と納得感のある内容。このへん詳細は本編で!

ジャンプ連載だったわりには、下手に引っ張らず撒いた伏線を回収して短くスッキリと終わらせた構成にも好感を持ちました。良作です。



■物語の構成について ※ネタバレ

{netabare}出来過ぎなくらいハッピーエンドでしたね。それが嫌らしいと感じませんでした。
物語は以下の順で明らかになっていきます。

1.アストラ号メンバーの共通項
2.刺客はこやつ
3.この世界の秘密

序盤から2.は提示されていて視聴者の興味を引っ張る材料になってました。そして2.が明らかになれば当然「どうして?」がでてくるわけで、その説明が1.と思ったわけです。
これで1クールでも充分だったと思いますがおかわりがありました。3.です。期待値の一段上をいってました。{/netabare}


■優しい人たち

これは雑感です。人間の善意を信じようという作者の意図が根底にあったのだと思います。
{netabare}・ユンファのライブ会場に押し入ろうとしたキトリーと警備員とでひと悶着。直後、隣にいたアリエスのとある報告に控えめに拍手を送る警備員さん。さっきまでもめてたのにw
・アリエスの母ちゃんに連絡を取ろうとした時に、だれも疑わなかった。普段ならご都合とか平和ボケみたいに感じたろうにこの時はクルーの絆みたいなのをより強く感じました。不思議なもんだねぇ
・ピンポイントでしか覚えてなさそうなカナタが本を執筆できるわけなかろうもん。きっと隣にいた超絶記憶力の持ち主がサポートしながら書き上げたんだろうね、と妄想。{/netabare}




■(余談)カナタのアストラ

冒頭に戻るわけですがハイテンション細谷佳正さんが個人的にはイチオシです。
アツい!とにかく勢いがあるキャラでした。そして、彼は脳筋一歩手前の絶妙なバランスで好感度を保っていると思しき立ち居振る舞いをします。行動に根拠がある。よって知性も感じる。

モデルは武井壮?と思った人他にいないかしら。

なかやまきんに君でも春日でもないんだよなぁ 
武井壮なんだよなぁ



視聴時期:2019年7月~9月 リアタイ視聴

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2019.09.20 初稿
2020.04.07 修正

投稿 : 2024/12/21
♥ : 78

82.0 2 クローンで宇宙なアニメランキング2位
シドニアの騎士(TVアニメ動画)

2014年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (1619)
8036人が棚に入れました
対話不能の異生物・寄居子(ガウナ)に破壊された太陽系。かろうじて生き残った人類の一部は、小惑星を船体とした巨大なる宇宙船・シドニアで繁殖しながら宇宙を旅する道を選んだ。それから約1000年の時を経たシドニア出航紀元1009年。地下層部でひっそりと育てられた少年・谷風長手(たにかぜながて)が、祖父の死を期に街へ出る。長手は人型巨人大装甲・衛人(モリト)の操縦士訓練学校に入学することになり、そこで初めて祖父以外の人間と触れ合っていく。長道が初めて異性を意識する女性 ─ 星白閑(ほしじろ しずか)長道の初めての友人となった男でも女でもない人間 ─ 科戸瀬 イザナ(しなとせ いざな)長道に苛立ちを覚える少年 ─ 岐神 海苔夫(くなと のりお)様々な訓練生たちと学校生活を送る中、ついに長道たちに初任務が下される。それは決して困難な任務ではないはずだった。しかし長道たちの前に突如、寄居子が出現。100年ぶりとなる脅威との遭遇に、人類は、長道は何を選択するのか? 人類の存亡をかけた戦いが今、始まる──。

声優・キャラクター
逢坂良太、洲崎綾、豊崎愛生、櫻井孝宏、金元寿子、喜多村英梨、大原さやか、坪井智浩、子安武人、新井里美、田中敦子、森なな子、本田貴子、鳥海浩輔、佐倉綾音、阪脩、小山力也

WANTED さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.5

エヴァのパクリだったw

エヴァはウルトラマンのパクリで
これはエヴァのパクりですね
何かよくわかんない未知生命体やらレーザー砲とか色々。。

赤井青木緑川百瀬は名前からしてモブ臭すごかったな
さすがモブ、精鋭なのに1人犠牲にできず全滅(笑)

おまけに宇宙に放り投げられた描写がよかった
星城が7話であっさり死んだらしいw
1匹倒すのでも苦労してんのに
そら集合体とかすぐこられて勝って視聴者ぽかーんなるし
物語に意外性もたせるためヒロイン星城ころしたけど
空気読まなさすぎてゴミクズになっちゃったね

7話断念ですはい、
パクるならせめてエヴァくらい超えろよと言いたい(笑)
評価すらできないレベルの作品だね

投稿 : 2024/12/21
♥ : 1
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

SFアニメの白眉

弐瓶勉×ポリゴンピクチュアズ。

稀に見る傑作でしょう。

緻密な世界設定と背景、脚本、
音響効果、声優の質と量に驚嘆です。
ラブコメも絶妙に配置されてまさに隙なし。
弐瓶作品としては新機軸の娯楽性、
好意的なレビューが多いのも納得の出来です。

食料危機を脱出する為に、
遺伝子改変で人類が光合成する時代、
性別未分化者やクローン生命体が共存する時代。
太陽系外宙域で遭遇した「生命体ガウナ」と、
人型戦闘機「衛人」を扱うシドニア人との、
種の存続を賭けた手に汗握る攻防戦が始まる。

衛人のデザインも格好良く、
これだけの話を緊張感、臨場感とともに、
12話にまとめてみせた構成も素晴らしい。
日常風景や美術も凝りに凝っているので、
世界観を楽しむ、それだけでも好印象です。

{netabare}人は移民できる惑星を求め航海を続ける。
シドニアとはまさにノアの方舟であろう。{/netabare}

これはリアルSFアニメの白眉、
このジャンルでいつ以来の衝撃だろうか。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 83
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ほなエナとガウナぁ

原作未読 弐瓶勉も知らん


前情報ゼロ。タイトルだけ知ってて「ぺーさんこれ好きそう」と推薦されてたようなそうでないような。地上波ラインナップに挙がってたのでチェックしときました。
タイトルから中世もしくは剣を振るって活躍するなにかしらを想像したら違いましたね。
初っ端から宇宙空間でロボットが宇宙生物みたいなのとドンパチする仕様。SFものです。

省みて私がSFを楽しめたなぁと思う時は2つのハードルをクリアしている時で、本作は両方ともクリアしてるなぁという感じ。

1つは「見た目」。
綺麗なのにこしたことはありませんが全てではない。思いっきりフィクションして見たことのない景色があればそれで良し。メカのカッコよさ。キャラデザインのかわいさはほぼ気にしません。あと動きもそれほど気にしません。CGがどうこうとかも不問。基本ちょろいです。

2つは「適切な進化」
なにかしら事象があってそれに対応すべく発展してきたという形跡が見えれば良し。それによって出来上がったものがぶっ飛んでても面白ければOK!


SFって作者が脳内の妄想を膨らまして捻りだした“非日常”なわけじゃないですか。
『世界観』ということになると思うんですけど、自分の面白いセンサーを棚卸ししたらこんな感じ。
余裕でこの作品は飛び越えてきました。

なるほどそういう事情だったらさもありなんってやつだね、と納得感の得られる設定でした。
あらすじに絡めて設定や世界観について書こうかと思ったんですけど諦めました。おそろしい量ありますから書いててきりがない。それでいて全12話終わってみると、初めて見聞きする設定や世界観がとっ散らかってないという不思議な作品。
これだけで観る価値はあるのではないかと思います。SFに期待するところの非日常体験が心地よい。


あとはドラマでしょうか。
ちょっとネタバレになっちゃうんで一応隠しますけど、
{netabare}不謹慎と言われようとヒロインが悲劇に見舞われるのって大好きなんですよ。性癖のようなものです。{/netabare}


充分お薦めできる良作です。2期もあるようですが、この12話だけでも綺麗にまとまってたりするところも好感ですね。もの申すとしたらラブコメ的要素が消化不良なことくらい。
中世の騎士もんかと勘違いして面を食らった冒頭の私。そしてその後押し寄せる驚きと納得の繰り返し体験をこれからの方はぜひ堪能されてみてください。

あとは枝葉の部分。OP曲は久々に飛ばさず観てた世界観に合う良曲でした。
あと個人的にはヒ山ララァ役の新井里美さん。巡り合せで『ハイスコアガール(矢口母)』→『リゼロ(ベアトリス)』→『レールガン(白井黒子)』の順で新井さんを意識してきた私です。要はクセのある役ばかり(笑) 今回クセは見た目だけでお芝居は至極真っ当。嬉しい驚きでした。ホント上手いなぁ。



※ネタバレ所感

■あのガジェット

{netabare}『生体尿道カテーテル』(笑) 管を刺すことで排尿が可能的なアレ。濾過して飲料水とは驚きです。
その“生体”を抜いたただの“尿道カテーテル”この前入院した時刺しましたけど経験者っています?
若干エロティックに描かれてた本編と違い、入れる時抜く時の脂汗もの凄いのだが・・・まあ生理現象に関わることなんで具体的にはどうだとか詳しくは言わないけど…{/netabare}


■時代を前後する

門外漢なので見当違いだったらごめんなさい。

“CGがそんなに気にならない”作品だったのでは?

それで放送した2014年当時はそれだけで凄い!みたいな下駄の履かされ方してるとか。
そんなん差し引いても、ぐいんぐいん動いて迫力があったので文句ってほどのもんでもないですけどね。2020年現在でさえCGが気になる気にならないという論争がいろんな作品で起きてるのを承知してます。そのわりには2014年と今から6年前なのに違和感なく感じたのでちょい気になりました。


■非武装主義者

世界観が斬新?な分、置いてけぼりにならないよう、現実世界だとアレだよねとすぐわかるキャッチーなアイコンがきちんと用意されてる親切設計でした。
彼らを通じて、訓練生その他兵士が置かれている状況、敵へのスタンス諸々が想像しやすい。これに限らず、居酒屋のメニューなんかもそうなんですが我々の今とSF世界を繋ぐ接着剤のようなあれやこれやが豊富な作品でした。

いつもなら
{netabare}「集団移住船の顛末ってソマリア沖でのピ○ス○ート事案そのまんまじゃねーか」とか{/netabare}
{netabare}「やっぱり街頭に出てるので若い衆誰もいねーな」{/netabare}
と言ってるところですが自粛。むしろ彼らへの追い風が吹いてるようにも見えました。

{netabare}エナ星白はカビザシ格納庫方向を見ていたわけですもんね。
“こんな物騒なものあるから敵に狙われる”理論を補強可能です。
{netabare}そんでもって、普段駅前でのぼり立てて「九条守れ!」と叫んでるおじいちゃんおばあちゃん達が

「日本が武装して周辺国の脅威となるからかえって狙われるのです。このことを志半ばでガウナに取り込まれてしまった星白さんが証明してくれてるではありませんかー!」

と訴えてきたらうっかり握手してしまうかもしれません。{/netabare}{/netabare}


■ロボ苦手

それでも平気でした、って自分もよく言うんですけどなぜだろう?そもそも苦手なロボって何?
遡って定義すると『ガンダム』『マクロス』に辿りつきそうです。まともに観たことがないシリーズ。そのガンダムすら観てないという負い目にも似た苦手意識があってそう言ってしまうのかなぁ、と。
ついつい言ってしまう「ロボ苦手だけど…」の枕詞ですけど冷静に考えるとそんなに言うほど苦手でないなというところに行き着くんです。あえて好んで手に取らないだけです。


これはぜひ2期観てみたい作品でした。



視聴時期:2020年7月~9月 地上波再放送

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2020.09.12 初稿
2021.09.10 修正

投稿 : 2024/12/21
♥ : 56

67.8 3 クローンで宇宙なアニメランキング3位
カイバ(TVアニメ動画)

2008年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (219)
1025人が棚に入れました
記憶のデータ化ができるようになり、肉体の死がもはや死と呼べなくなった世界。記憶はデータバンクに保存され、新しい身体への「乗り換え」や、記憶の売買といったことが可能になり、違法に記憶を改ざん、記憶を盗むことも行われていた。社会は混沌とし、力を失い停滞化していた。そんな世界を主人公カイバは記憶を失ったまま宇宙の星々をめぐり、たくさんの人々と出会い、記憶を取り戻してゆく。

声優・キャラクター
桑島法子、能登麻美子、朴璐美
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

生命讃歌

湯浅政明監督作品、マッドハウス制作。

記憶はデータ化され蓄積できる世界。
肉体は滅んでもより良い体へ移し不死となる。
貧富の差はますます広がり社会は混迷している。

{netabare}壊れた部屋で目覚めたカイバは記憶を失くし、
自分が何者か分からないまま突如襲われる。
ワープと名乗り宇宙への逃避行が始まる。{/netabare}

現代の「火の鳥」「銀河鉄道999」である。
星を巡り旅を続け少年は記憶を取り戻していく。
人の持つ欲望や貧困の悲哀がよく描けていて、
クロニコのながぐつ・ばあさんの記憶の部屋は、
心に響く珠玉のエピソードでしょう。
絵本のような世界観に魅了されますね。

個である事の本質と社会風刺、
哲学性と娯楽性が見事に調和されている。
奇抜なフォルムと鮮やかな色彩に溢れ、
全編を通じユーモアにも溢れた優しい物語。
生と死を考察しやがてその意味を知る。
僕たちはいずれ懺悔せねばならない。

美しく儚い生命讃歌である。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 39
ネタバレ

manabu3 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

「記憶」が「個性」になった、せつない未来のお話

「我々は遺伝子を運ぶ箱舟に過ぎない」というコトバもある今の時代の中で、
自分の「記憶」が未来に引き継がれることは、ある意味人類の「夢」なのかもしれない。
「記憶」がデータ化され、肉体は意味を持たず、記憶こそが「個性」になった、
そんな人類の「夢」がかなった時代の、悲しいお話。
テーマ性もあるアニメなので、SF好きには是非見てほしいアニメ。

■ストーリー
序盤は、色々な星を巡り渡る、一話完結型のストーリー。
 「記憶」を巡る、ちょっぴり重く、せつないお話。どれもとても面白かった。
 『銀河鉄道999』や『キノの旅』のようなイメージを彷彿とさせた。
終盤からは、「いつまでも旅をし続けてほしい」という私の願いも虚しく、話は一変する。
 今までの登場人物が錯綜し、様々な「謎」が解き明かされ、物語は一つになっていく。

全12話ということでテンポは凄い良かった、が、当然説明や情報の描写は少なかった。
特に終盤の時系列や、展開の速さは、私には難解だった。
二回見て、分からなかったことが分かり、登場人物の行動の意味がようやく繋がった。
とてもせつない物語だった。
また、オープニングの、様々なキャラクターが手を握り合うシーンがとても印象的だった。
肉体が軽視された時代の中で、肌で触れあうことの大切さを、主張しているのだと思った。

■作画について
手塚治虫のような昔風のレトロな作画なので、
「萌え」*1や「今風の作画」を要諦にしている人には合わない作品かもしれない。
SF好きなら、作画に拘らずに一度は見てほしい。
私個人としては、このアニメの作画は大好きだ。
まず、童話や絵本のような作風故の、「独特の世界観」がある。
次に、シンプルな画風故の、型にはまらない「表現の自由」がある。
顔の表情や、人物や背景の動き、奇妙な世界やキャラクターに至るまで、
本当に「自由」だなって思ったし、「アニメ」だなって思った。
こういうアニメがもっと増えて欲しいと心から思う。
(*1レトロな画風だったけど、クロニコは十分「萌え」に該当するキャラだと思う)

監督・湯浅政明氏の作品は初めて見たので「四畳半神話大系」などの作品や、今後の活躍に期待。


■せつないアニメ(※物語の核心を含むネタバレ)
{netabare}せつないストーリーや人物は多々存在したけど、個人的にピックアップしたいのは「ひょーひょー」
旅の初めからずっと主人公・カイバに付き添い、彼を守ってきた「ひょーひょー」の記憶は、ヒロイン・ネイロの過去の記憶だったこと。そして、今いる「現ネイロ」が過去の記憶を持っている「ひょーひょー」の記憶を拒絶し、「現ネイロ」として生きていくことを決めたこと。
「過去に拘らない」、「今を生きる」、「私は私」。そんな「現ネイロ」の気持ちもわかるけど、
「過去ネイロ」(ひょーひょー)の今までの事を思うと、この事実がとてもせつなかった。
第2話で、ある女の子の着替えのシーンを、カイバに必死に見せまいとする「ひょーひょー」だったり、
その女の子が、カイバが下げているペンダントに入ったネイロの写真を見て、「彼女?」と聞いた時、ウンウンと頷く「ひょーひょー」だったり。
これらのシーンは、視聴1回目では分かり辛い(いじわるな)シーンだ。「ひょーひょー」は、本当にカイバが好きだったんだなーと思った。
「現ネイロ」と「過去ネイロ」の記憶の「融合」は出来ないのだろうか?
それだと、「別の誰か」になってしまうのだろうか。

カイバも、最終的には保存された過去の「記憶を捨て」、ネイロと新しい人生を歩み始める。
身体ではなく「記憶」が「個性」になった世界で、それを否定したシーンだと思う。

最後の最後のエンドロールで、「ひょーひょー」が記憶屋・キチの元へ飛んで行く描写が、せめてもの「救い」だった。
記憶屋・キチは「ひょーひょー」を生み出してしまった張本人だけど、責任を感じていたし、それと当時に実はネイロを愛していた。
「ネイロ」になれない「過去ネイロ」は、「過去の記憶を乗り越え」、これからキチと新しい人生を歩むのだろうか。
どうかお幸せに。{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 15

阿紫カービィ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

メランコリー親和型

もう10年も前の作品なのですね…


私が『カイバ』を初めて観た時は

メッセージ性の強さに、
『解ったから、少し黙って』と、思ったなぁ。
『奇をてらいすぎてる!』とか…

トランス状態に陥る様な淫靡さ、はとても好きでした



年月を経て、ようやくこの作品に追い付け…た?事が
とても嬉しい。



「難解だ」と言われがちな このお話

1部、2部に わかれていると思って観ると
わかりやすいと思います

記憶を無くした『ワープ、もしくはカイバ、クロニコ』が
色々な『星』を巡るお話、と

『ワープもしくはカイバ』が
記憶を取り戻していくお話。


なんとなく…
伝えたい事、大切な事が
もう、しっかりと、オープニングで描かれているような



この作品に出てくるのは

『悲しい感情を持つ人間』ばかりです。
(悲しい、の中に、優しい、ひとつまみ)

それを

綺麗と思うか
醜いと思うか
馬鹿だと思うか
哀れと思うか
尊いと思うか

性(さが)と思うか。


記憶も身体も自由に入れ替えできる、となると
人間はこうなるものなのかな、と、色々考えさせられました。


今、現在も
ある意味、何もかも『使い捨て』


悲しいかな、人は人や情報に踊らされる生き物です。

『私利私欲のため』に行動しがちです。

『他を下に』して優位に立とうとする人もいます。

『甘い毒』で心を支配したりされたり。



…嫌だなぁ。


だから
何が大事か、何が正しいのか、冷静に考えて、
常に自分と向き合わなきゃ、

簡単に棄てられ、惨めに消えてしまうよ?


なんて言って…私 消えそうなんだけども



好きなシーンは数多くありますが、
特に
『排泄』のシーン。

セッチンの登場!セッチンですよ!
超未来型の排泄器具(?)です。


(もしこの作品を観られる時は、注意して見てみてください(笑)素晴らしいですよ。)


ほかにも
面白い発見が沢山ありました。


今の時代にこそ、ぜひ観てもらいたい作品です。
エロティックで、エロティックです(笑)



『映画』も『アニメ』も『小説』も…
人が一生懸命つくった物は、

色褪せる事なく存在し続ける。


大切にしなくてはいけません。

投稿 : 2024/12/21
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