ギスギスで演技なおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのギスギスで演技な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年03月05日の時点で一番のギスギスで演技なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

62.8 1 ギスギスで演技なアニメランキング1位
カブキブ!(TVアニメ動画)

2017年春アニメ
★★★★☆ 3.2 (121)
430人が棚に入れました
歌舞伎大好きな高校1年生、来栖黒悟(くるすくろご)の夢は、部活で歌舞伎をすること。
けれど、入学した高校にそんな部は存在しない。
「それなら、自分たちで作っちゃえばいいんじゃない?」
親友のトンボと一緒に、まずはメンバー集めに奔走するけれど……! ?
青春歌舞伎物語、開幕!

声優・キャラクター
市川太一、梅原裕一郎、逢坂良太、河西健吾、島﨑信長、甲斐田裕子、内山夕実、朝井彩加、山本和臣、前野智昭
ネタバレ

Kuzuryujin さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

笑顔で締めくくる青春の1ページ

特に歌舞伎ファンの受けはよくないようで、
ほとんど注目されてない印象の今作だが
もっと評価されてもいいと思う。

<真面目な高校の部活物として佳作と秀作の間くらいと感じた>

この作品には、題材に歌舞伎を扱った点以外は、
話自体に目新しさはない。

ツッコミ所をあげると、舞台美術やカツラ含む衣装代の予算が
それなりに掛かってそうで、予算乏しい同好会レベルとは
とうてい思えなかったところか。

しかし、キャラクターが皆、輝いていて、
生き生きしてるのが今作の最大の魅力。

歌舞伎のことはあまり知らず興味もない、
拘りもない自分にとっては、
この作品の、奇をてらわず、真面目で素直な所が気に入った。

青春ドラマとしての魅力。
頑張ってる登場人物たちを応援したい気持ちに自然になれた。

始めは、全く期待してなかったが、
最終話まで観たら好きな作品の一つになった。

その具体的な理由は以下に...。

<一人一人の個性と才能が適材適所で活かされてる>
{netabare}
歌舞伎同好会メンバーの求心力として輝いていた主人公の来栖黒悟(クロ)。
ひたすら前向きで明るい性格は、全体のキャラの中で上手く活かさる。
明るいだけではなく、人に対する洞察力に優れ、思慮深く、
思いやりもあって回を追うごとに好きなキャラに。

親友の村瀬とんぼは、物語開始当初、
クロになぜあれほど献身的なのか疑問だったが、
過去の出会いの回想も巧く描いてくれて
その関係性に納得できてから非常に好印象。

彼は、来栖のブレイン&サポーターとして非常に優秀。
来栖とは陰陽の対比が明確で、裏方としての頼もしさ、
情報収集力以外に後からいろいろ裏技も出てきて侮れない。
7話での意外な才能はちょっと受けた。

その他のメンバーも、来栖の情熱が徐々に乗り移り、
皆で一つの舞台を作ろうという様が自然に描かれる。

他の気に入ったキャラは、

・蛯原仁(えびはら じん)・・・
今作は、彼の成長物語の側面もあって彼にずっと注目。
歌舞伎界名門の御曹司で、跡取りとして非常な努力家。
プロ意識強く、歌舞伎同好会を遊びにしか思えないという役。
サラブレッドゆえ幼少よりのキャリアで凝り固まった自我が
クロたちとの出会いでどうほぐされていくのかが、
自分にとっての一番の見所だった。
大御所の祖父とのやりとりも興味深かった。
また、阿久津をライバルのように認識していく展開も面白い。

・阿久津新(あくつ しん)・・・
当初は音痴で単純なおバカな痛いキャラから、徐々に重要キャラに変貌。
わざと言ってるのか、と突っ込みたくなるほどのおバカな言い間違い。
そんな和み担当でも役者としての才能はずば抜けている。
トラブルメーカーとしても話題尽きぬが、憎めない愛すべきキャラ。
また、出自にまつわる謎、プロである蛯原との芸のぶつかり合いも
いい見せ場に。

・浅葱芳(あさぎ かおる)・・・
麗人としての魅力以上に、向上心豊かで努力家。
舞台役者として才能を感じられ、さらに思慮深い人格者として
高校生でありながら大人の魅力ある光る存在だった。

・丹羽花満(にわ はなみち)・・・
始めはオネエ言葉に引いたが、本質はノーマルということで安心。
性格的に温和に見え、日舞の名取らしく雅な雰囲気があって
芸に対する一途さも好印象。

・蛇ノ目丸子(じゃのめ まるこ)・・・
言動といいオタク風味全開でコスプレを愛し、
アニメを愛する一般的な視聴者にとって
一番身近に感じられるキャラだったと思う。
手作りとはいえ、衣装の素材は高価そう。
どこで調達するのかは最後まで謎だった。

他の部員も協力的で、魅力的。
徐々に歌舞伎の良さを学んでいく。

顧問も、歌舞伎初心者だったがクロに感化され
徐々に歌舞伎を愛するようになっていく。
教師と生徒という垣根をいつの間にか超え、
同好会の仲間のように描かれたことも好かった。

演劇部部長も初めは同好会の天敵かと思われたが、
徐々に思慮深い役柄と分かってから魅力が増した。
終盤、出番がなくなったのはさびしい。
{/netabare}
<次回への惹き付けも悪くなかった>
{netabare}
キャラの中でも歌舞伎界の名門の御曹司、蛯原の去就が
登場時から非常に興味深いものだった。
この作品中、一番成長するキャラかもしれないと思い、
毎回、次回が楽しみになり、それは最終話まで続いた。

実際、最終話まで上手く引っ張られ、
彼が同好会と初めて真剣に向き合うシーンは
ちょっとしたカタルシスを味わえた。
{/netabare}
<直向きで一途な青春群像が清々しい>
{netabare}
最終話で、新入生歓迎会の部活紹介の舞台を
クライマックスに持ってきたのは、ベタだがとてもよかった。

演目は渾身の「白浪(しらなみ)五人男」。

拘りを感じるノーカットの舞台描写に引き込まれた。

客席の観客(高校生)は、彼らの演技に見入っていたが、
台詞は声優たちの演目の演技に視聴者が集中できるように、
ギャラリーの台詞は最小限に。
生徒たちの表情だけでも十分、彼らの心に届いていると伝わる作画がいい。

京アニの作画と比べるとさすがに見劣りするものの、
「響け!ユーフォニアム2」第5話の
「三日月の舞」ノーカット演奏シーンに近い魅力があった。

蛯原役の声優、河西健吾氏は、
歌舞伎の研究努力を感じられる演技で
なかなかの説得力があった。

実際の歌舞伎の舞台は観たことないが、
初めての同好会との共演の舞台での台詞回しでは、
間合いの取り方、イントネーションの違いが
他のアマチュアなメンバーとの差別化として上手かったと感じた。

<達成感があり未来にする希望に溢れた締め括り>

舞台終演後、EDが始まってから、主要キャラの後日が描かれる。
全員晴れやかな表情に、歌舞伎同好会の明るい未来が感じられる。
全くの台詞抜きでOP曲だけなのがセンスがいい。
いろいろな想像をかきたててくれた。

さらには、今作で一番注目していたキャラ、
蛯原の、ひと皮剥けたと思われる描写も微笑ましい。
{/netabare}
<OP&EDは作品の世界観によく合っていた>
{netabare}
OPの「Running High」は、声優、下野紘の3枚目のシングル。
(下野氏は今作では声優としては出演していなかったと思う)
声優としてはこの作品時、2017年で17年のキャリアを誇る下野氏。
歌手デビューは意外と遅く2016年。

初めて下野氏の歌声聴いたが、この曲は回を追う内、徐々に好きに。
最終話でのEDとして、いい余韻を味わうことができた。

EDは、元は1980年リリースの沢田研二の歌う「TOKIO」を
タイトル「お江戸-O・EDO」として歌詞を
江戸時代風にアレンジしてカブキロックスがカバーした
1990年リリースの懐かしい名曲。

個人的には、パラシュートを背負った麗人風の衣装という
インパクトあるビジュアル込みで沢田研二バージョンが好きだったが
カブキロックスのアイドルっぽい瑞々しい歌声と歌詞は
この作品にはよく合う。
{/netabare}

もし2期があるようならぜひ観たい。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 10
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

むしろ傾(かぶ)いていない、王道の創部モノ

[文量→大盛り・内容→感想系]

【総括】
初心者の寄せ集めで何かを仕上げていく。しかし、その中には様々なジャンルの天才が含まれていて、、、という実に王道の創部モノ、青春モノ。

ストーリーとしては可もなく不可もなく。BLは全然大丈夫。歌舞伎の様々を知れたのは良かった。ただ、映像や演技の点で、歌舞伎の迫力を充分に表現できていたとは言い難く、そこはやや残念だった。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
まあ当然、「昭和元禄落語心中」とは比べられちゃうんでしょうね。伝統芸能つながりで。歌舞伎という男の世界を描く以上、どうしてもBL要素は入ってくるのかな?

歌舞伎は3回ほど、付き合いで観た程度。正直、特に面白いとは思えなかったです(まあ、私が坊やだったんでしょうw)。

でも、アニメという、身近で手軽な媒体によって、自分とは縁のなかった世界に触れられることは単純に喜びです。

そういう導入系アニメは基本的に興味深く観られます。「ろんぐらいだぁす!(ロングライド)」や「あまんちゅ!(ダイビング)」などは、(自分にとっては)導入系で面白かったです。

そんな中、最高クオリティで魅せてくれたのが、「昭和元禄落語心中」でした。勿論、本作はそこには及ばないです。まあ、比べるのはあまり良いことではないけれど。

主人公はクロ、と見せかけ、実は阿久津や蛯原の方が強いストーリーを持っているようでした。クロはあくまで繋ぐ役。本当に黒子のような存在でしたね。

意外と珍しいのは、創部モノなのに最終話までメインキャストが全員揃わない点。そういう点でも、蛯原は裏の主人公と言えると思います。

雪降る歌舞伎座の前で、クロと蛯原が語り合うシーンは、なんか良かったです。二人とも歌舞伎を愛する気持ちは同じくらい熱くて、でも進んでいる方向は全く違って、でもでもいつか必ず二人の道は交わるのだろうと想像できる、熱い展開。

部活モノとしてはそれで充分なんだけど、歌舞伎モノ?としては、やはり難しいんでしょうね。まず演目が長すぎて、フルサイズだとアニメにのらないし。動きもあるので、作画にも予算割かなければだし、勿論、声優さんの実力は求められるし。

最終話でなんとか一幕?を見せましたが、大半が名乗りのシーン×5で、歌舞伎の迫力はイマイチ伝わらず(ちなみに、レビューにあたり、YouTubeで、市川海老蔵さんや中村獅童さんが演ずる白波五人男を少しだけ観てみましたが、やっぱり迫力がありまし。生で観たらもっとあるのでしょう。なんか、ルパンみたいな筋なんですかね)。

それから、「素人」「歌舞伎らしきモノ」と切って捨てた蛯原と、切り捨てられた面々(丹羽や数馬ら)との「差」が、素人の自分にはよく分かりませんでした。なんとなく、蛯原の方が裏声なんか使って台詞の繋ぎが良いような気もしましたが、微妙な違いですし、プロと素人にはその程度の違いしかないの? とか、思ってしまいました。そもそも、阿久津の演技の方が好きでした。

まあ、私のような歌舞伎初心者以下には、良し悪しはあんまり判断できないっすけどね。

あと細かいことなんですが、体操部の動きが少な過ぎて、むしろそっちを観たくなっていましたw 登場シーン以外はほぼ体操の要素がなく、あれで新入部員が体操部に入ってくれるか心配になったほどです(笑) 勿論、この作品があくまで「歌舞伎」を魅せたいのはわかっていますが、「歌舞伎と体操の融合」なんて、メチャメチャおもしろい取り組みだと思うんですよ(リアルであっても良さそう、スーパー歌舞伎みたいなので)。それこそ、「カブキブ」でしか表現できないものだと思うし。だから、個人的には12話だけでも作画をガチで頑張って、体操部をバンバン跳ばして、歌舞伎同好会のメンバーで緩急をつけて、演目をもっと長く見せ、なんだったら30分マルマル使って歌舞伎をしっかり魅せて欲しかったです。

とにかく、悪くはないアニメでしたが、歌舞伎のような総合芸術をアニメにする、ハードルの高さは実感しました(ユーフォ2レベルの神作画と、落語心中レベルの神演技力が融合しないと難しいのかも)。
{/netabare}

【視聴終了(要約バージョン小盛りレビュー)】
{netabare}
「昭和元禄落語心中」に比べれば色々落ちるが、導入系、創部モノ、導入系のアニメとしては及第点くらいだと思う。

主人公のクロは正に黒子のような役目を果たし、実際には蛯原や阿久津の方がキャラが立っていた印象。

尺や作画、声優の問題もあり、歌舞伎をアニメにするのは難しいと思った。
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
作画、ちょっと厳しいな~。ペラペラだ。女性を入れていくとしたら、良い感じ、なのかな? 伝統文化だから、そのへんの機微は分からないな。前歯がとれるとか、一生に関わる大事件だよ。

2話目
剣道もそうだけど、無駄に「伝統文化」「精神」なんて言って敷居を高めると、底辺が狭まり、結果、衰退する。間口は広い方が良い。まさかのお姉展開は笑ったw 「昭和元禄落語心中」とは、声優陣のレベルが違うな(悪い意味で)。

3話目
やっぱり、歌舞伎1本丸々見せる根性はないか。まあ、演目の長さが落語とは違うからしょうがないな(アニメに入りきらないw)。いきなり歌舞伎のストーリーにダメ出しするとか、良いね。チビはまだしも、ブスや、特にデブではないでしょ。教頭先生が普通に良い先生なアニメは珍しい。

4話目
主人公が一番の大根ってのは良いね。ん? そもそもなぜそこに阿久津がいるの? そんな描写あったっけ?

5話目
阿久津はアホの子ですねw 文化祭定番の勝負展開。つか、外郎売りの大事なところ(早口言葉パート)やってないじゃん(盆まめ盆米盆ごぼう、粉米のなまがみ粉米のなまがみこん粉米のこなまがみ とか)。そこをアニメで魅せないと、意味がない気がする。

6話目
歌舞伎のリアルなダメ出しが多いアニメですね。わりと好きです、そういう姿勢。う~ん、このアニメの場合、キャラの掘り下げより、真っ直ぐにじっくりと歌舞伎を見せて欲しいんだけどな。

7話目
展開としての意外性はないですね。演劇部部長、策士だ。

8話目
舞台にプロジェクターで背景映してたけど、どこにプロジェクター置いたんだろ? 影写ってないけど、という無粋な突っ込みw やっぱり、肝心の歌舞伎の迫力がな~。

9話目
ここでも、月がきれい、か。

10話目
天才、二人。蛯原が八雲で、阿久津が助六って感じ?

11話目
いよいよ、ラストに向かっていきますね。全員集合の流れですね。

12話目
う~ん、イマイチ。歌舞伎の魅力、迫力、もっと観たかったな~。
{/netabare}

投稿 : 2025/03/01
♥ : 21

kororin さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

天真爛漫で澄んだ瞳、その無垢な表情がウザすぎる・・・・いや待てよ。あら?あらららら・・・・

古典落語と大人なドラマで渋い良作となった「昭和元禄落語心中」の熱冷めやらぬまま入った「カブキブ!」。タイトル通り、お題は日本の古典芸能「歌舞伎」。
歌舞伎オタクの高校生・来栖黒悟と隣人で親友・村瀬とんぼが歌舞伎の面白さを知ってもらおうと校内で歌舞伎同好会を起ち上げ、色んなスキルの仲間を集めていく歌舞伎青春グラフティーといった感じ。

ストーリーの流れは悪くないと思いますし初心者向けに専門用語や演目の解説なんかあって判りやすく、初「歌舞伎アニメ」という試みは良いと思います・・・・・・が、

・OPから『軽い!』。若者・一般狙いかもしれませんが「さわやかPOPミュージック」って軽すぎると思います。偏見かもしれませんが。(ああ、伝統の重みが崩れていくような・・・)
・演者の演技がヤッパリ『軽い!』。練習でも舞台でも[生]で見る演技というのは「空気(雰囲気)」が変わる(または緊張する)ものです。それを画面で表現するのは難しいだろうなぁと思ってたたら・・・そうなるしかないかなぁ・・・。絵を綺麗にして、カット多用したらもっとカッコよくなるのになぁ・・・そんな時間やセンスがないのかなぁ・・・演者は学生だから多少下手なほうが雰囲気でるということかな?
・来栖黒悟君の風体が『軽い!』。歌舞伎に関するウンチクや歴史の知識もあり、語りだしたら瞳を輝かせて情熱的に弁をふるうオタクぶり。でもなんだろ?彼のキャラのせいなのか声のせいなのか?ものすごくムカつくのは私だけなのだろうか?

集まる仲間達はクセがあり男女混成で結構好きなんですが・・・・
・村瀬とんぼ:黒悟の親友。クールで無口。裏方専門。
・浅葱芳:演劇部の看板女子部員。優雅なルックスで女子達から熱烈に信奉されてる所謂‟王子”。人柄はイイが練習の指導は笑顔でシゴく‟S”気あり。
・阿久津新:訳あり家庭で祖母と二人暮らし。父は他界しているが幼少時に歌舞伎経験あり。本人は歌舞伎嫌いと言って金髪メッシュッでバンドをやっていたが、すこぶる音痴。モノ知らず(馬鹿)のくせに気取りたがるお調子者。
・丹羽花満:母が日舞(日本舞踊)の師範で自身も名取(一定期間習って○○流と名乗れる称号のようなものらしい)。‟おネエ”だが恋愛はノーマル。付き合ってた彼女が彼氏を作り、自身に対しては親しい‟友人”としてみてくれてなかった事にショックを受け、格闘技に打ち込んでワイルド・ガイになろうとしていた。
・蛇ノ目丸子:阿久津とは近所で幼馴染。コスプレイヤーから讃えられるカリスマ・コスチュームテーラー(仕立て屋)。自虐的だが自身のプライドを持ちアグレッシブ。
・蛯原仁:梨園の名門、白銀屋の御曹司で現役の歌舞伎役者。同好会に対しては「お遊び程度」と冷ややかに見ている。今後のカラミが気になるところ。
、と個性派揃い。

時たま画力不足なところが多々ありますが「仲間が増えて何かをやり遂げる系」の話は割と好きなので完走予定です。

EDは、その昔(1990年頃)「三宅裕司のいかすバンド天国(通称・いか天)」でブレイクした『カブキロックス』による沢田研二の「TOKIO」の歌詞をもじった「お江戸-O・EDO-」。いや~懐かしいですね。派手な見た目より話題性が無かったので自然消滅したのかと思ってたましたけど、まだ活動してらっしゃるとは・・・・・・

【視聴終了】
前半、結構鬱陶しいと思えてた来栖君。演目の度に問題やトラブル解決に奔走するプロデュース力に好感が持てました。頼もしい仲間も助けてくれたりして「これぞ青春!」みたいな感じです。格式ばった歌舞伎はスゴイと思いますが「楽しむ」という本来の目的は達成できてると思います。

最終回の演目「白波5人男」を見て、「特撮ヒーロー」の名乗り口上みたいだと不謹慎にも思ってしまいました(案外、歌舞伎が元祖なのでしょう)。
戦隊ヒーローだと、
例:秘密戦隊ゴレンジャー
「アカレンジャー!」
「アオレンジャー!」
「キレンジャー!」
「モモレンジャー!」
「ミドレンジャー!」
「5人そろって、」『ゴレンジャー!』
例:仮面ライダーストロンガー
「天が呼ぶ。地が呼ぶ。人が呼ぶ。悪を倒せと俺を呼ぶ。俺は正義の戦士、仮面ライダーストロンガー!」
また時代劇だと、
例:桃太郎侍
「一つ人の世、生き血を啜り。二つ不埒な悪行三昧。三つ醜い浮世の鬼を退治てくれよう桃太郎」

そんな感じで歌舞伎は現代人にはセリフが判りづらいところもあるけれど、思いっきりカッコつけた(傾いた)最高にカッコイイ演劇なのかもしれませんネ。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 15

61.8 2 ギスギスで演技なアニメランキング2位
BanG Dream! Ave Mujica(TVアニメ動画)

2025年冬アニメ
★★★☆☆ 3.0 (135)
107人が棚に入れました
「言ったでしょう?残りの人生、わたくしに下さいと」 豊川祥子がメンバーを招き入れたバンド・Ave Mujicaは、 ライブやメディア露出など、商業的な成功を収めていた。 運命をともにすると誓った仲間も、生まれ育った家も失った少女。 彼女は何のために他人の一生を背負い、バンドを続けるのか。 過去も素顔も仮面で覆い隠し、今宵も完璧な箱庭に降り立つ。
ネタバレ

出オチ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

はいっ駄作確定

<<9話完走>>
{netabare}
フンッ モーティスなんかを主人公と認めるわけないだろう

どうやら残り4話は「どうやって祥子をAve Mujicaの再起を図るようマインド・コントロールするか」の話になるようです。
でもそれって、バンド活動を通して救われた側が実践するからカタルシスが発生する(MyGO!!!!!がそう)のであって、特に思い入れの無かったメンバーが過半数を占めるバンドの錆びた刀がどうこう言ったところで「媚びてますね」としかならないんです。

はい、ここで人間関係を整理してみましょう。

祥子→睦を救うためにCRYCHICやりたい。Ave Mujicaをやると睦が壊れちゃうから私には無理。やる必要ないし。
睦→うおおおお睦ちゃんが死んじゃった!こうやって真似ればいいんだ!(インセクター)
海鈴→なんだろう、掛け持ちのバンド全部やめたんでAve Mujicaやらせてもらっていいですか?バンドは信じ合いたいからやりたいの!(野菜)
初華→祥ちゃん返せ祥ちゃん返せ祥ちゃん返せ祥ちゃん返せ祥ちゃん返せ祥ちゃん返せ祥ちゃん返せ祥ちゃん返せ
にゃむ→お前のせいでオーディション落ちたし陰口叩かれるしYoutuberのモチベも消えたのに気持ち悪い演技してんじゃねぇけん!しばくぞ!

で、対するMyGO!!!!!の皆様。

愛音:か、勝手にどうぞ・・・
燈:祥子ちゃんがCRYCHICやりたがって睦ちゃんもやりたがってるのならまたやろう!
立希:なんだろう、睦の本心か調べてもらっていいですか?
そよ:なんだろう、祥子の本心か調べてもらっていいですか?
楽奈:しらね~

Ave Mujicaの話というよりAve Mujicaに翻弄されるCRYCHICとMyGO!!!!!の関係性を強調したストーリーメイク。7話のCRYCHIC復活とビジネス視座のthe first takeの越境性のためにAve Mujicaの掘り下げを一切断捨離した結果がこれ。モーティスと睦のやり取りも過剰。余分な脂肪をつけすぎてぶくぶく太って気づいたら他のメンバーを掘り下げる余裕が皆無。元鞘時代は睦からモーティスへと変貌した時期でも何とも思わず責任転嫁のみ、バンド解散後はそそくさと帰宅し立希につつかれるまで無感情。初華はもはや何してたかすら不明。いまさら祥ちゃんを返してって言われても知らんがな。sumimiの活動に不満があったぐらいしか匂わせてないだろ。でも、祐天寺にゃむだけは丁寧に描くよね、不思議だよね。

バンドを復活させるための一手?
もうクソ親父を元気づけるためぐらいしか理由づけなくないですか?
え、マジでそれやっちゃうの?
どうでもいいから祥子ぐらいにゃむを転落させてくんね?
{/netabare}

<<キャラクター紹介>>
{netabare}
●祥子
CRYCHICに謝罪していない事以外は特にやらかしてない人。
にゃむに翻弄されるもアドリブでその場その場を駆け抜け、睦の躁鬱もバンドのアイコニックとして確立する判断力の高さを見せ、モーティスに翻弄されても売れるのならと忍耐強さを見せるも最終的にこの二人に全てを崩壊させられ自分が嫌いになったある意味悲劇のヒロイン。
本気でもがいたり何かにしがみつこうとする意志すら脚本からケバブのように削られてるせいで、延々に曇らせられるも口を開けたまま話の顛末を防寒させられるある意味"傀儡"とも呼べるキャラ。主人公なんですよね?
Ave Mujica復活を打診されるも「もう解散したので・・・」と一蹴。
一蹴したのに初華はともかく大して思い入れもなく助け舟も出してくれなかったベースから信じ合いたいんですとか問題児にキメェ~と幼馴染を叩かれる始末。
絶賛CRYCHICで睦を救う予定。

●初華
祥子ちゃんしゅきしゅき。
Sumimiの活動に不満があれど相方が聖人なので6話時点でコンスタントに芸能活動を継続中。祥子ちゃんしゅきしゅきの側面ばかり描写されてるせいでバンドに対するアティチュードが全く見えない人。
ここから掘り下げがあるんだろうが、燈の後ろ姿から今にも泣きそうと感じ取ったキャラクターとはとても思えない。
2話連続映す価値なしだった彼女が遂にそっくりさんへと復活。
復活後はAve Mujicaの元衣装が廃棄予定だという事実にお涙ちょちょ切れたりCRYCHICでもない愛音に教えろとせがんだりプラネタリウム見に来ただけの燈と睦に「祥ちゃん取るんじゃねー!この馬鹿どもがぁ!」と霹靂一閃。
アベムジカしようよアベムジカしてしてアベムジカしなきゃアベムジカしなさいアベムジカするべきアベムジカしやがれ忘却忘却忘却

●海鈴
数多のバンドを兼任している実力者。
Ave Mujicaどころか睦の変貌にも思うところはなく、立希に「お前本当に人間か?」の含みで突かれると「何が言いたいんだよ」とキレる人。
数多のバンドの裏事情を眼にしたからこその無感情だとは思うが、崩壊寸前の迷子のバンドから「前の方が忘れられないようなので」と感じ取った彼女はどこに?泣きそうな燈よりモーティスの方がよっぽど違和感たっぷりでは。
・・・かと思いきや、「最初に活動していたバンドが和気藹々としていて右肩上がりで愛着があったのにライブをボイコットされて恥晒しにあった。仕切りすぎたのが原因だと考えられる。」「Ave Mujicaこそが愛着を持てる場所だと思っていたのに解散してしまって悲しい」「なので意地でも復活させます。モーティスにギター教えれば復活の火種になるでしょう」と8話から暗躍開始。挙げ句の果てには「掛け持ちのバンド全部やめたからAve Mujica復活して!信じ合いたいんです!」と供述。ウソこけ屁こけおならこけーっ!
絶賛信じようふたりだから愛しあえる中。

●睦
3話からのキーパーソン。
祥子を守るために「バンド楽しくない」と解散のトドメを刺したのかと思いきや「ギターヴォーカルの才能が無いから楽しくない」という逆張り展開を見せてくれた。祥子を守ったつもりが、実際は守っていなかった自分に絶望しモーティスに表人格を乗っ取られるも、楽奈の演奏で覚醒。前作1話からの登場キャラでありCRYCHICを紐解くキャラにも関わらず、実態は掘り下げが殆どされていない、ファッションサイコという記号的なキャラクターのまま話の半分を迎えている。
祥子を守りたいという意志で傀儡としての役目を果たしたモーティスは睦へと表人格を渡し、心の奥底へと消えていく。バンドの楽しさを思い出し、MyGO!!!!!時代の彼女へと復帰。ここから狂うことはないでしょう。
・・・と、思いきやモーティス復活。
睦は対面ごとに演じる人格を切り替える本物であったがギターとの遭遇で睦以外の人格は消滅、1話~3話のストレス回避のためにモーティスが顕現するも主導権を握りたいモーティスはAve Mujicaこそが唯一の生きる道だと確信し、最終的にはただ1人の人格として"自分のことを睦だと思い込んでるモーティス"として降臨。はい、そこ脚本の都合で睦が殺されたとか言わない。
絶賛モーティス メタルの流儀中。

●にゃむ
全ての元凶であり全ての戦犯。
そういう約束で加入した経緯もあるとはいえ、武道館公演で無断で仮面を剥がし睦の精神を崩壊させる、客が観たいものを優先させるためにリハですら演劇重視と我を通し、やらなかったらリーダーの祥子にブチギレ、その過程として覆面バンドではなくタレント志向の方向性にシフトせざるをえず、ギターの弾けないモーティスと対応を決めあぐねている祥子の姿を見てバンドを脱退すると鶴の一声をあげる見上げたプロ精神とお客様ファーストの姿勢。解散後は芸能界で活動を続ける字面だけなら某迷惑系Youtuberとあまり変わらないクズっぷり。方言シーンに某迷惑系Youtuberの画像を貼り付けるだけで一気に不快度が増すと思うよ。
マルチタレントの夢を目指し熊本から上京、Youtuberとしてもドラマーとしても俳優の卵としても研鑽を欠かさない努力家であり家族愛も充分、解散後も芸能界で活動しながらも睦の演技(実際は気絶)に嫉妬し、俳優のオファーを蹴りつつもバラエティ活動に重きを置きながら現在でも実力を高めている。海鈴の人格の変遷もいち早く見抜く慧眼っぷりだ。
その行動こそが"モーティス"への怖れであり、彼女の母親はいち早く出世欲とともに見抜き俳優のオーディションを回すも撤退した彼女を"逃げ"と見抜く。先手を打てば自分が取るはずだった俳優オーディションも他の同業者に取られてしまい後手後手となり後悔の嵐に翻弄されるのが現状だ。
他のレビュアーも語っているが、なぜコイツだけこんなに深く掘り下げて描写が丁寧なのか。こんだけ掘り下げる時間があるのなら活動期の睦や祥子の感情にフォーカスを当てられたのではないか。展開を俯瞰しても、どうも祐天寺にゃむの浅慮さが元凶である事実を祥子がバンドしか見ていないからに責任転嫁させようとする意図が見える。3話の仙台でのやり取りや睦とモーティスがにゃむに一切触れない違和感とか特にそう。誰も突っ込まないからサジェストに嫌いって出てくるようになったよ。
勝ち逃げはしなさそうだけど、メンバー5人の中でも優先度低めのキャラでありヘイトキャラであるにも関わらずリソースを割きすぎているのは擁護出来ない。
次回、革新の時。
{/netabare}

<<8話完走>>
{netabare}
マジでいい加減にしろよ。
ただでさえCRYCHIC復活とMyGO!!!!!との和解のためにAve Mujicaというバンドメンバーの掘り下げすら適当にやってきたんだから残り6話ぐらい必要最低限にスマートに描写しろよ。
海鈴のボンボン設定とか衝動買い設定とかモーティスの過剰なまでの演出込みの暴走とか睦との対話とか必要ねぇだろ。
んで、なんでにゃむだけ欠かさず丁寧に描ききってんだよ。おかしいだろ。

海鈴「CRYCHICは死んだんだ、いくら呼んでも帰っては来ないんだ、もうあの時間は終わって、モーティスさんもAve Mujicaと向き合う時なんだ」

まぁこんな台詞は劇中で一言も発してないのだが、これまでろくすっぽ心情すら描写されなかった海鈴の「右肩上がりのバンドだったはずが初ライブでボイコットされて恥晒しになった」という過去と「Ave Mujicaに愛着を持っていたけど解散してしまって悲しかった」という想いと「で、モーティスさんがギターを弾けるようになればAve Mujica復活出来るんですよね?」の目標が急に提示されても「いや、モーティスの変貌には知らんぷりだったしAve Mujicaの解散後はすぐ帰宅したのに何言うてんねん」と違和感だらけのスメルになるのは話の構成に難があるとしか思えない。

AパートはCRYCHICから今に至るまでに失われた時間をひたすら取り戻していく祥子と睦…かと思いきやモーティス復活!アンタ嫌い!お前嫌い!放送禁止モード発生!え、まだモーティス引っ張んの?

にゃむ「俳優への推薦は森みなみさんの手回しだったんですね!申し訳ないです!私、真面目にバラエティやっとるけん!コ◯ドットには負けん!」

モーティス「睦という存在は元々存在しない、本来は私という人格と数千の私で形成されてのに、ギターに出会ったせいで睦と私以外の人格は消えてしまった」
森みなみ「あの娘は生来の本物。小さい頃から多様な演技をする娘だった。あの娘を見てると自分が惨めに思えてしまう。」

「で、あの娘とバンドやってたのに何もかも逃げ出した貴方はこの業界向いてないんじゃない?」

はぁ・・・なんでにゃむだけこんなに描写が丁寧なのか・・・。

その反動なのか睦とモーティス、祥子、海鈴の描写が乱雑。睦はCRYCHICを祥子がやってくれるからモーティス消滅推進派、モーティスはAve Mujicaやらないと自分の居場所が無くなるからCRYCHICを解散させたい元鞘復権派、祥子は暫く休みたい人。字面だけなら分かりやすいのに読み手からすれば凄く分かりにくい攻め方で伝えてくるからドイヒー。
で、海鈴は「最初にやっていたバンドが和気藹々としていて右肩上がりだったのにライブをボイコットされて恥晒しにあった」「Ave Mujicaは私の母となってくれるバンドだ」と、これまで微塵も語られなかった彼女自身の想いが判明。最後はモーティスにギターを教えればAve Mujica復権するんじゃね?と百合展開で締め。

これ、本当にMyGO!!!!!と呼ばれる奇蹟の作品を描いた脚本の続編なのか?
あまりのレベルの落差にがっかり。
{/netabare}


<<7話感想>>
{netabare}
この回は素直に神回ということで。

良かった点。
CRYCHICの復活。居場所が無くても思い出の中でじっとしていた在りし日の記憶のフラッシュバック。あの頃が私の全てというメンバーの懐古にはFNAFシスロケの墓のシーンを思い出すぐらいには心に来る物がある。MyGO!!!!!7話の「なんで春日影をやったの!?」をAve Mujicaの「やるしかないでしょ」に重ねたのも素晴らしい。燈が人間になりたい歌を今でも覚えていた、祥子の台詞を受けて歌詞を改訂したこと、呪いの歌であった春日影が双方にとって祝福の詩へと変わったこと。

悪い点。
7話の評価だけでは作品の評価が覆らないぐらい今までがつまらなすぎた。そして7話がMyGO!!!!!の7話と重ねているのであれば9話、10話で特大ミサイルが投下されること。これを以て、最終的な評価をせざるをえない。
MyGO!!!!!とCRYCHICとの邂逅を前提に描いた今までの6話は悪い意味で"睦とモーティス"、"祥子の忘却"を描いた話であり、Ave Mujicaの話としてはかなり浅薄であること。祥子がバンド活動中に何を思慮していたか、初華がどういう思いで祥子に寄り添ったか、海鈴の元鞘への感情が断捨離され、にゃむ周りの描写と過剰なまでに身の詰まってない演出だけが盛られていて不快感しか生まれなかったこと。そして"モーティス"という物語の核をブラックボックス化してCRYCHIC復活のためのトリガーにしてしまったこと。

7話は確かに快哉を叫ぶほどの神回であったが、7話の祝砲を撃つためだけのこれまでのストーリーメイキングではシュタインズ・ゲート ゼロと変わりない評価になってしまう。

結局、モーティスが"どういう思想で睦を支配"し、"どういう意図で他人の言葉だけで喋って"いたのか、そもそもとして"過去も今も変わらず睦の思念に取り付いていた"理由というのも明かされないままの7話なので腑に落ちない部分もある。

冷静に見返しても、祥子が「睦と出会ったらまた壊れてしまう」も理由付けとしてはかなり弱く、CRYCHICを大切にしていたも睦だけ祥子と一緒なら・・・の側面が強めで感情移入出来ず、バンド壊してごめんの根本原因となるギター/ヴォーカルの才能無しも相まって「お?おぉん?」となってしまうのも、脚本から言わされてる感覚もあるので全体的に観たら話が破綻しているように思える。粗探しするな?いや、MyGO!!!!!って感情の細部に拘った群青劇で売ってきたんでしょ?というか、なんでモーティスは"祥子"には執拗に拘るのに"にゃむ"にはノータッチなんだ?お前の苦労をずっと見てきたポジションなら、アレを思い出すだけでバンシィ・ノルンの搭乗者みたいな顔になるはずだが・・・。

Bパートだけ見れば神回なのだが、全体的に話が破綻しているのは変わらず。次回に期待。
{/netabare}

<<6話感想>>
{netabare}
ドッピオの猿真似を延々と繰り返しながらMyGO!!!!!との邂逅を重ねていく前半。3日間、学校にもスタジオにも出向かなかった長崎そよはモーティスの下世話を繰り返していたのだが、そこからスタジオ外での奇行も引っくるめて「何か狂ってる」「祥子ちゃんは睦ちゃんを傷つけた」という極所をピックアップする意味の無い描写がひたすら繰り返される。裏を返せばモーティスという設定、二重人格という物語の核心をブラックボックス化し、ケレン味という言葉で包めてお送りするアブストラクトな作風。違和感しか覚えない。

というのも、MyGO!!!!!はケレン味やファンタスティックな二次元要素などなく各々の理念と信念でメンバーと衝突しあい10話の泣きながら演奏を楽しむ4人と心から楽しむ楽奈というフィナーレを迎えた。リアリズムがコンセプトのコンテンツとサイコティックがコンセプトのコンテンツでは噛み合いが悪い。ふるさと納税の返礼品で貰った地方の野菜料理にマキシマムスパイスをかけるようなもんである。

前半も後半も演出重視。とにかく演出重視。出てくる内容はこれまでのあらすじと祥子ちゃんが睦ちゃんとバンドを崩壊させただけ。事あるごとに僕のピアノってぼやきながら死ぬザフト兵かよ。その崩壊させたという言葉も、元を辿れば祐天寺にゃむが元凶なので違和感しかなく、睦がギターとヴォーカル両立出来ないからという葛藤も「いや、祥子が壊れそうだから」という言葉に繋がらないから違和感しかなく、祥子の言葉も「昔は喋ってたのに今はなんで喋らないし味方してくれないの」と全面同意なので同情の余地もなく。

「あんだけ睦が崩壊したりバンドが解散したのに何も思わねぇのおかしいだろ」と言われてキレる海鈴。まぁ崩壊したMyGO!!!!!から前の方が忘れられないと悟ったキャラではないわなw
隙あらばモーティスの演技に憎悪を顕にしてるだけのにゃむ。オルフェンズのイオクぐらいヘイト高いから出なくていいよ。このまま逃げ切り私が立役者ポジションか?だったら駄作よ。
特に何もせずにそのまま延々と曇っていくだけの祥子。とにかく曇らせとけばウケると思ってるのかね。因果応報でもなく最善を尽くしたのにそのままダラダラと堕ちていく主人公とか面白くないんだけど。
Ave Mujica復興のために睦を呼び覚ましたいけど演出過剰すぎて結局何がしたいのか分からないモーティス。祥子抜きでAve Mujicaをやりたいのか?理解したところで面白くなるかというと・・・これ書いてる時に設定眺めてたけどそんなこと無かったよ。

最終的に祥子が何故CRYCHICを脱退したのか、CRYCHICもAve Mujicaも睦も知らないと言った理由が判明。分かるってばよ展開でMyGO!!!!!が来るどー!で締めだが、MyGO!!!!!のクオリティの高さとAve Mujicaのクオリティの低さが顕になるばかり。何かを上げる時は他を下げちゃダメ?しょうがねぇだろ、MyGO!!!!!の続編なんだからさ。
これで話数半分なんだよな。次回予告だと海鈴壊れる予兆があるし、モーティスはまたキレてるし、本当何がしたいんすか?
{/netabare}

<<前回の感想>>
{netabare}
はぁ・・・
考えたくなかったけど、結局こうなるのね。

はい、ここまで話を巻いた理由が分かりました。
瀕死の祥子ちゃんにMyGO!!!!!が助けに来る、どこの界隈でも擦られ尽くしたテンプレートをそっくりそのまま中盤に持ち込むためです。
全ては祥子ちゃんの復活祭のための踏み台なのだと言わんばかりです。
そのMyGO!!!!!が初華との偶発的な遭遇もあったとはいえ、歌詞の中に収まりきらない燈の初期衝動的な行動によりバンドの理解度が深まり万事解決へと道しるべがたてられる味わい深い名作でしたが、こっちは他人任せ。
メンバーがバンドに対するスタンスとかアティチュードとか透明視されているとはいえ記号的なので全く味がない。

Aパートでは元鞘に戻ったメンバーの話。MyGO!!!!!で例えると10話冒頭。現実に戻らんとばかりに耐えられず実家に帰る祥子の話。
BパートはMyGO!!!!!のメンバーの話。海鈴を心配する立希、余りの変貌に流石に憂慮するそよりん、報連相足りとらんのに睦に何しとんねん地獄見せたるさかいのうと祥子の実家にする愛音と睦、あの頃の祥子つまり「幸せとは皆でバンドをやること」を思い出した燈がバンドをやろうという勇猛果敢さを見せて締め。やっぱMyGO!!!!!の魅力はすげぇよ。

で、某所のインタビューではCパートまで観ていただきたいけど金曜日は健康的に過ごしていただきたいと語っていたようなので、どんな衝撃展開が待ち受けているか心ぴょんぴょんにしながらその時を待っていました。モーティスがメディアで専横跋扈?もはや当てつけのように配信者界隈でも金字塔となったのか?若麦の憎悪はそれか?
で、実際のCパート。

ふぁ~~~~~wwwwwジョジョオマージュwwwww

どうやらこの作品はここから面白くなる事は無いようです。
インプレ、バズ、曇らせ、自サークルの商材を売ってほしいがために流行りのコンテンツに食いつき雲行きが怪しくなると端を切るイナゴに「どうや!?これの元ネタぐらい分かるやろ!?さっさとネタ絵を描いて布教せんかい!」とばかりに既視感とネタを提供するバズの伝導師へと変貌したようです。
実際に5話のラストでジョジョ(というよりパッショーネ24時)イラストは大量にTLに流れてくるし、前作なんて微塵も観たことなさそうな実況垢は食いつくし、曇らせ好きはバズ狙いに必死でその目論見は大輪の花を咲かせることに成功。
3話からデジャヴの寄せ集めが悪目立ちしていた訳だが、あたかもこれを狂った祥子と人でなしのメンバー達によるサイコアニメと呼ぶのは流石に無理あるんじゃあないか。淫夢とクッキー☆とエア本で義務教育を終えたオタクが作ったデッドプールみたいな薄ら寒さを感じる。

別にそれだけで面白みが無くなる訳ではないんです。

最後に言わせていただきたいのが新宿の某所での放送記念広告。
人通りが少ない場所ならまだしも人の往来が激しい某所での広告。
そしてその内容がトンデモナイネタバレを詰め込めるだけ詰め込んでること。
現在まで第五話が公開されていますが、そこに一切描写されていない内容、そしてこれからの顛末までの足踏みまでもが描写されています。何なら次回予告を観る限り6話にも該当するカットは無さそう。5話の最後がドッピオだったからってキング・クリムゾンせんでええねん。

これのせいで視聴意欲がもはや皆無に等しいです。
「あぁ、こういう結末ね?」というのが目に見えてます。
ジン・フリークスは「道草を楽しめ」と息子を励ましたが、こっちは道草を食うほどの味わいは今のところ無いです。
そしてネタバレを整理すると、祐天寺にゃむがここから凋落して猛省する展開はほぼほぼ無さそう。Mouthwashingの船長代理みたいに都合の良い幻覚を視ながら「俺が過ちを犯した!そうだろ!マジですまない!祥子!」とか無さそう。地元愛と身内愛と帰巣本能で何やかんや睦を超えるために戻って来るとかそういう感じじゃないかね?5話も努力してます描写が凄かったね。

このアニメには何も期待しないようにします。
ちなみに次回予告には初華が壊れるシーンが無かったので7,8話ぐらいで壊れちゃうんじゃないんですかね。
どうせ祥子に会えないから我妻由乃オマージュでもするんだろうけど。
{/netabare}

<<前回までの感想>> ※3話まで
{netabare}
結論から言うとつまんないっすね。
3話までにどれだけの視聴者から好奇心を鷲掴みにするか、という観点ならMyGO!!!!!は上手い具合に押し引き出来てたんですが、こっちはマジでそれが出来てないです。MyGO!!!!!の9話の濃度を2話~3話まででやってしまってるので今のうちに初華以外の話は昇華しておきたい含みも見えます。

で、その1話~3話も豊川祥子の苦難の連続やバンド内部のぶつかりあいというより祐天寺にゃむに翻弄されて被害に遭われるメンバーの方々のお話です。祥子の感情とかそれを憂う初華の腹づもりそっちのけでずっと祐天寺にゃむの浅慮な行動と炎上系じみた発言が続きます。尾を引くように3話ではメンバーと軋轢や演劇なのかバンドなのか、コンセプトをどうするかで揉めてます。全部コイツが元凶(マーセナス家)です。最大の被害者である睦がモーティスに喰われる下りまでが先行放映の内容だったらしいですが、全く解決してないのでここから数話ぐらいは「圧倒的カリスマと演技力を誇る英傑モーティス」と「それに嫉妬する祐天寺」の対立構造が展開されるんでしょう。まぁ、興味無いですね。こいつの行動「早期でバズりたい」以外の目的無いし。

似たようなポジションの立希は「凄い嫌な奴だな・・・」→「マジで嫌な奴だな・・・」→「CRYCHICでマジで何かあったんだろうな・・・」という3点バーストを3話までにしっかり決めてきたから後の重責混じりの行動も味があったんですが、こっちは他人を踏み台にする事しか考えてないので因果応報と猛省するんだろうね、ぐらいの感想です。ドンキの駄菓子コーナーにあるガムぐらいの味しかしないです。ドラムが折れるほど練習?演劇の特訓?再生数1万未満でコラボしか求められてないオワコンチャンネル?実は苦労してる?いや知らんがなw

それと「史上最狂のアニメ」とか「鬱ストーリー」とか市井の下馬評や広告では喧伝されてますが、全く鬱じゃないです。狂ってもないです。多分「魔法少女まどか☆マギカ」や「竜騎士07」みたいなサイコティックだったりケレン味を基調にしたかったんだと思います。3話の睦の人形を利用した演出なんかは「チャー研流行ってた頃のニコ動の雰囲気だ」と思いました。
なのであの頃のちょっとハードな作品を完走した事あるのであればMyGO!!!!!もAve Mujicaも余裕だと思います。まぁそういうファン層にマーケティングしてるんじゃないんだろうけど。

惹かれる物?
やっぱ雰囲気と曲が良いぐらいですかね?

祥子もメディアからは令和最大の転落ヒロインと売り込まれていますが、ここまでの流れをしっかり読み込むと報連相不足だったり取った択から始めた物語でもあるので割とギャップ差はあるかな。時代が時代なら「お前が始めた物語だろ」でコラでも作られたんじゃないんでしょうかね。

曲だけは飛び抜けて素晴らしいので、最後まで見るつもりです。
{/netabare}

投稿 : 2025/03/01
♥ : 2

たナか さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

シンフォニー・オブ・デストラクション

バンドリ改めギスドリの真打、アヴェムジカ編。
ギスドリ1期のMYGO編見てないとイミフです。

ブシロもやっと商売が上手くなってきたなあ…とほっこり
爆死したD4DJのメンツがバンド組んだりとかで救済できませんかねえ

OP・ユーベルブラットOPに欲しかったのはこの厨二感、いいですねー
ED・同上。

リアルイベントビジネスのライバルはにじさんじやホロライブか。声優の卵を1年かけて育てたプロジェクトは全方位でクオリティが高く、ファン層を拡大していくのは間違いない。ほぼ素人に7弦ギターや5弦ベースを仕込む鬼畜のブシロード。しかしきちんとモノにしてるメンバーはさすが。

Gt.&Vo.ドロリス/三角初華
ギスドリの良心かと思えばただのヘタレ。相方は聖人。

Gt.モーティス/若葉睦
モーティスはただの邪魔者?彼女の救済はナシか

Ba.ティモリス/八幡海鈴
不動のメンタルってか大概なサイコパス、もしくは大人っていう表現なのか

Dr.アモーリス/祐天寺にゃむ
マジで社会性あるのこいつだけ、高1設定は完全に失敗

Key.オブリビオニス/豊川祥子
結局いつも誰かが拾ってくれる、やっと復活の兆し

07
え?モーティス終わり?まあ萌えアニメだしこれくらいでいいのか

1期の種まきがきちんとカタルシスになってていいのですが、やっぱMYGOが本気だすとエロゲみたいな痛々しさが厳しい。自分に酔いすぎ。初期の新海誠みたいなナルシズム。いやまあそれに酔えるのがアニメの良さですけどね、バンドリシリーズは本来ギャン泣きポルノではなかったので。長期シリーズだからこそのバリエーションでいいのですけど。

感情込み上げてるともりが全然まともに歌えてないの、実にいいですね。わざわざ別録までしてるのにそこをあえてキャラに言わせないし誰も触れない。楽器はともかくあそこで「おまえ歌えてないやん台無し」って流石ににゃむや海鈴でも言えないでしょう。こういうところがブシロアニメの良さ。いくらでもゲームで後付け補足できるからってのもあるだろうけど。

やっぱりどうみても上級国民サマのおままごとでしかないのだが、新海誠作品を観るようにピュアでイノセントなメルヘンマインドで観るべきでしょう。とくにMYGOはそうしないとあまりに痛々しすぎる。

海鈴にとってはムジカが参加バンドの最高位なので復活を望むのもまあそりゃそうでしょう。にゃむも同様に上昇志向ってだけでいい。

まだ7話でこれをやるなら、もう完全にさらなる絶望に突き落とす格好の前フリでしかない。しかし上げて落とす前フリにしては高度が高すぎてえらい角度になってしまった。祥子攻略完了、ラスボスは海鈴か、それとも…。

んでクライシックがなんと!!!!first take出演!!!!

いやーブシロさんビジネス上手くなったやん。アニメバンドをリアルイベントでやるのは真似されまくって独自性がなくなったイノベーションのジレンマ。アニメやゲームでバンドのバックストーリーを語れる利点を最大限に活かしたグレイトなアイデア。今は無きあの伝説のバンドがついに復活!をゼロイチでやれるマッチポンプ。アメージング!!!!これにはマジでやられた。これは誰も真似出来ないし、パクって二番煎じもシラけるだけで成立しない。んでリアルでも2バンド分で3バンド編成が可能。上手い、上手いなー。いやマジでD4DJのメンツもどうにか拾ってください。睦は7弦あってこそなのでMYGOやクライシックにはもったいない

アップの泣き顔だけ手描きなのはマジでなんなの、顔が幼すぎて萎える
そんなに豚をブヒブヒさせたいのか。まあマーケティングとしては正しいのかも

投稿 : 2025/03/01
♥ : 4
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

【#1~#3先行上映会感想】初回から呑み込まれる

何かスゲーもんを見せつけられたなという感想が残りました。
公開初日、3話まで劇場鑑賞で観終えた夜、私は興奮して中々寝付けませんでした。
TV放送前でもあるので、極力ネタバレを回避しつつ、この整理できない私の感情も含めて言語化していきたいと思います。


こういう作品を観ると、つくづくエンタメ消費というのは残酷な趣味で、
ミュージシャンや声優まで含めた、広く芸能人というのは己が才能や、技術、プライバシーまで消費者に切り売りする、心身を削る過酷な職業なんだなと思い知らされます。

消費者は、私も含めて、芸能人自身が見せたくない物ほど見たいし、
やっちゃいけないことほど、やられると狂喜する。
芸能人はまさに国民の玩具、“お人形”なのです。
そして、お人形は飽きたら捨てられ、また次、次と消費者の欲求は留まるところを知りません。

その無限の欲望の坩堝(るつぼ)に身を投じる芸能人は、
自分のどこまでなら差し出しても自身を壊さずに済むか、
日々ギリギリの駆け引きを行っているのだと思います。

熟練した芸能人ならば、消費者との駆け引きも手慣れたものでしょうが、
経験不足の若手となると技術のみならず、自分の出し入れも未熟で、
時に自分の支柱となる致命的な部分まで差し出してしまい自壊してしまう。
近年、声優さんも含めて、若手芸能人の
精神疾患による活動休止などが相次いでいるのは、
仕事量のコントロールも含めた、自身と消費者との折り合いの問題も一因なのでは?と私は邪推します。

では、この心身を切り売りする芸能活動は残酷だから、
もう一切止めたほうが良いのかと言うと、そうでもなく。
消費者に何をどこまで差し出すかというギリギリの勝負の中でこそ、
覚醒する才能もあるわけで、捨て難い物があります。


何を長々と自説を垂れ流しているのかというと、
本作はAveMujicaバンドメンバーの本性を暴き出す内輪の“ギスドリ”仮面舞踏会(マスカレード)に留まらず、
作品を視聴し消費する我々が秘める残虐性をも指弾して来る危険物だと言うことです。

鑑賞中、私は、昔の映画だと『ブラック・スワン』、近年だと映画『エルヴィス』、
あとは秋元系のアイドルグループで私が唯一推していた欅坂46が、
平手一強の笑顔を見せないアイドルとして、暗黒方面に覚醒し、ぶっ壊れていく過程などを思い出しながら、
コイツはとんでもないアニメだなと放心していました。


AveMujicaを立ち上げたオブリビオニスこと豊川祥子(さきこ)も、
未熟な少女たちがプロとしてやっていく過酷さは重々承知しており、
プロデビュー後も芸能マネージャーなどの他人に管理を委ねず、
祥子がAveMujicaを自分自身の居場所として守り抜くためのリスクマネジメントも周到だったはずでした。

が、これも初回(※核心的ネタバレ){netabare} 成り上がりのため売名を急ぐ、にゃむ(アモーリス)により、ゴシップによるプライバシーの買い叩きから自分たちを守る防具でもあったマスクが剥がされ、{/netabare} あっけなく箍(たが)が外れ、
AveMujicaもまた祥子の手を離れ、消費者の熱狂の坩堝に呑み込まれていくのです。

前作『~MyGO!!!!!』は不穏な伏線をヒタヒタ張って中盤以降、起爆する感じだったので、
リスクを察知しながら徐々にガードを固めていく感じでしのげましたが。
『~AveMujica』は初回から崩壊のカウントダウンが始まる感じなので、それでは間に合いません。

視聴の際は、初回からガードを固めて行くことをオススメします。


呑み込まれるぞ。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 8

63.3 3 ギスギスで演技なアニメランキング3位
花は咲く、修羅の如く(TVアニメ動画)

2025年冬アニメ
★★★★☆ 3.2 (74)
211人が棚に入れました
人口600人の小さな島・十鳴島(となきじま)に住む春山花奈(はるやまはな)は、島の子供たちに向けて朗読会を行うほど朗読が好きだった。花奈の〝読み〟に人を惹きつける力を感じた薄頼瑞希(うすらいみずき)は、自身が部長を務める放送部へ誘う。 「お前の本当の願いを言え、アタシが叶えてやる」 「私、放送部に入りたいです」 入部を決意した花奈は、たくさんの〝初めて〟を放送部のメンバーと共にし、大好きな朗読を深めていく…。
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

3話 ギスギスとウジウジ頼りの上に快感も知識欲も全く刺激されない。

1話 内面のドロドロを描くという宣言なら良いのですが。

{netabare} これは物語として成立しているのか、という疑問がまずわきます。部長が花奈を勧誘するきっかけやプロセスがどうもご都合主義に思えます。また、花奈がそんなに部活をやりたい理由もイマイチわかりません。別に朗読が好きなら島で朗読していればいいじゃん、と。その点で話の展開について、人間が本当に描けるのか?という疑問が残る展開でした。

 昔朗読していた少女へのあこがれが、部活に入りたいきっかけにできなかったのかなと思います。

 さて、春と修羅がモチーフというか主題になっています。OPは銀河鉄道の夜がモチーフですから、当然宮沢賢治が描かれるはずだし、描かれなければなりません。春と修羅はそもそも難しくて、なぜ生命や芽吹き希望の春の季節に修羅にならなければならないのかは、人によって解釈があるようです。

 修羅は戦の神です。それが宮沢賢治の内面にあるドロドロした形にならない衝動のようなイメージがあります。妹(永訣の朝)と同じ時期なので何かあるのかもしれません。
 あるいは自分の無力感劣等感に対し、何事かを成し遂げたいという決意ともとれます。つまり、自分に対する怒りですよね。その辺がヒロイン花奈の中に描けるか、ですね。海辺のシーンはこれを表現したのでしょう。

 さて、ここまでが導入ですが、ここから先どこまで春と修羅を中心に花奈の内面のドロドロをくみ取れるかですね。彼女を綺麗に描くと作品にはなりません。ぜひ、鬱展開でもいいので思いっきりやってほしいところです。単なる表現論だけだったら、春と修羅を扱う意味はありません。海辺の朗読は春の山の花の名を持つヒロインの修羅を描き切るという宣言であってほしいですね。

 そして、部長が読んだのは高村光太郎の道程です。生きることは進むこと、という感じでしょうか。僕の前に道はない…ですね。これはまあ部長の性格と同時に勧誘しているのでしょう。宮沢賢治が童貞で一生を終えたことは決して関係ないと思います。{/netabare}


2話 宮沢賢治関係ないじゃん。朗読の魅力も内面描写も弱い、自己満足ストーリー。

{netabare} 何がやりたいんでしょうか。茶髪の男とヒロインが2人で話しているシーンを見て、この男がいたら私なら席を立って部長に対してこいつを何とかしなければ退部すると言います。それともう1人の茶髪の女子。部長が注意しろよと思います。
 そこは大目に見ていもいいです。アニメ作品の中のカリカチュアでしょう。ただ、ドラマのためのドラマというか、それでしか話を作れないのなら少し幼稚な気がします。

 そして、この作品の見せ方では、朗読じゃなくて演出ですよね。桜の花びら、海の映像。伝わってこないんですよね、朗読の魅力が。すごい朗読というのになぜ朗読で表現しないのか。難しいのはわかりますけど、朗読に感動できなんですよね。

 それに加えて、宮沢賢治に何を見出したのかが全然見えません。1話の海辺の春と修羅は何だったのか。タイトルの意味は。その辺が内面とリンクしないとストーリーにならないでしょう。

 トータルで言えば物語に見えません。2話までで、これだけ内容がないのも珍しいです。

 原作を読んだわけではないですがこれが原作通りだとすれば、原作者の武田綾乃氏は「ユーフォ」でも1期のところ以外はかなり凡庸だなあという印象です。一応3話は確認しますけど、自分で自分に酔っているような「ほら、良い話でしょ」的な、自己満足なストーリーに見えます。{/netabare}


3話 ギスギスとウジウジ頼りの上に快感も知識欲も全く刺激されない。

 もともと1話目からテイストが合わなかったので、もうやめた方がよさそうです。3話でアナウンスと朗読について具体的な話があったので、そこに興味がないわけではないですが、せっかく修羅の朗読を聞いているときに、余計な映像とまして音楽を入れるセンスに失望しました。

 普段、朗読小説はよく聞いているし、朗読で宮沢賢治は本数が多いのでなじみがあり、本作のテーマには興味がありました。その宮沢賢治、特に「春と修羅」という名作をモチーフにしながら、人間関係のギスギスとか非常に底の浅い劣等感でしか作品を作れないのはどうかと思います。


 総評、中断の理由です。エンタメとシリアス・テーマのバランスがおかしいというか、なんというか。コメディ・エロ・バトル・謎・驚きがないし、世界観の独自性などがない、テンポ・演出の妙もない、キャラに魅力もないし萌えもない。ストーリーはどこかで見たような話で、ギスギス頼りの展開。ヒロインのウジウジの理由が浅い。そして、テーマである朗読の深堀りが薄い。「修羅」「宮沢賢治」を使えていない。
 アナウンス・朗読について3話ではありましたけど、それはテキストを読めば書いてあることです。それをエピソードに落とし込んでエンタメにしないと。
 そして、演出と音楽で朗読をごまかしている。肝心の西園寺修羅でそれをやったのはがっかりしました。

 今後、ヒロインは自分と向き合うのかもしれませんが、とにかくギスギスとウジウジ頼りで、快感も知識欲も全く刺激しない作品なので、かったるい話で見ていられないです。





 

投稿 : 2025/03/01
♥ : 5

たナか さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ヴァージン・ジャーニー

信頼と安心のスタジオバインド作
ユーフォ原作者漫画のアニメ化

01
原作ファンも泣いて喜ぶ神作画でしょう、すげえ

「無職転生」「おにまい」とアニメ上級者向けの本格作品で知られるバインドだが、ここにきてユーフォレベルの見やすさな本格美少女アニメへ挑戦。朗読モチーフ作品だがメイン二人がベテラン声優だったボイスコミックから一転、フレッシュな起用へと転向。

アニメですら倍速視聴も珍しくない現代、例に漏れずに強引な爆速展開で駆け抜けサクッと入部へと至るハイテンポな初回。高2らしからぬ胆力でグイグイくる金髪お姉さまミズキに、流れるままに身を任せる清純弱気純情黒髪少女のハナ。猫娘って説明装置のモブなのかよ。どうりで雑なわけだ。


観る前から異世界なろうだとわかる「無職転生」や、ひとめでいかにもな上級者用とわかる「おにまい」と違い、初見ではややレベル感が伝わらない本作。でもバインドだから…ユーフォの作者だから…大丈夫だよね…と全力で寄りかかってしまうと不意に不快描写で傷ついてしまうかもしれないというリスクを危惧するのもアニメ粗製濫造時代では致し方ない自己防衛。しかし流石のバインド、流石のユーフォ作者。全てわかってる安心設計。

なぜか校長が新入生に向けて詩を送るという粋な計らい。ここでイキッて衒学趣味まるだしでマニアックなポエムで置いてきぼりにはしない。作者の自己満足や承認欲求で読者に疎外感を生み出してしまうのはクリエイターとしては愚の骨頂。そこで読み上げるのは義務教育レベルで誰でも知ってる高村光太郎の「道程」である。ミズキの超絶技法にしんみり聴き入る生徒たち。そして誰しもがまた新たな新生活に目を輝かせるのである。

おわかりいただけただろうか。ここは高校、画面の教室に映る全ての人物は健全で健康な高校生なのだ。これがリアルで行われたら、もう教室内は「ど、ど、ど、ど、童貞ちゃうわ」の大合唱で大爆笑の様相を呈するのは間違いない。少なくとも知人のDTイジリが始まるか、失笑の嵐が巻き起こるはずなのである。しかし誰もが触らないし、そのまま時が流れてしまう。そう、ここで明確に宣言されるのだ。この作品は決して皆さんを傷つけないユートピア、ユニコーンファンタジーである、と。このさりげない力強さに震える。このラインの引き方は発明と言っても過言では無い超絶技法。スタジオバインドここにあり。すごい。

これは穿った見方の底意地の悪い難癖に思えるかもだが、きちんとその後に男子生徒をわざわざ映していることから、明確に意図された演出だと思われる。まあそんなことを聞かれても正直に答えることはないでしょうけど。

ミズキも交渉済みとは言え、まだ未確定なのに先にハナをその気にさせるのはナシでしょう。本人的には手応えはあったんでしょうけど、たまたま上手く行っただけにしか見えません。「道程」にて「僕の前に道はない、僕の後ろに道ができる」に感心しながらも、ハナはミズキのいいなりで全部お膳立てしてもらってただ流されてただけですやん、とかしょーもないツッコミどころは山のようにあるが、それら一切を些事にしてしまう素晴らしい導入。痺れました。これはもう覇権間違いなし。安心して脳を休めて身を委ねることができるでしょう。長らく一強であった本格萌えアニメの雄、京アニを脅かす存在の出現が、ここにきて確信へと変わった瞬間に立ち会えたことに感激を覚えることしかできません。

あの朗読がどうすごいのかはまったくわからないけれど、そんなの誰もがどうでもいいんでしょう。というか、わからないからこそいいのかも。「すごい!」って言われて「どこが?」にはならないしなりようもない。「すごい!」「そうなんだーすごいんだー」とそのまま飲み込むしかない。つまりケチのつけようがない無敵のアニメ。まさかこれも計算づくなのだろうか。いやはやスタジオバインド恐るべし。

健気で儚くか弱い少女が懸命に困難に立ち向かう姿を見て「がんばえー!おうえんしゅりゅ!」は数多にあるが今作は本気度もレベルが違う。美少女アニメとして凄まじい完成度。ロリコンの方はメダリストで小学生見て「がんばえー!おうえんしゅりゅ!」しましょう。今期は層の厚さがすごいですね。

バインドが凄いのか、作者が凄いのか。どっちも凄いでいいでしょう。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 2

鬼戦車 t89 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

青春!部活!高校生!とても良いですね。

 
 3話まで観ました。2025.01.25

 引っ込みウジウジ系で自己評価が低いけど朗読好きの主人公、春山花奈が、高校の放送部に入って、先輩や同級生達と朗読大会で全国を目指す物語です。

 まさに王道の部活動青春ものですが、朗読、アナウンスと言う、ちょっと変わった分野のお話なのが面白いです。

 皆様のレビューにも指摘されている通り、アニメや声優に詳しい上級者には、凄い朗読をしているライバル達も所詮声優のシノギ演技に過ぎず、迫力が無いため、演出で誤魔化しているのが、分かってしまうところがマイナスポイントですが、そこに目を瞑れば部活ものとしては一級のポテンシャルを持っているのではと感じます。

 特に、狂言回し+視聴者に世界観を説明する重要キャラの、放送部顧問、吉祥寺先生が良い仕事をしているため、朗読、アナウンスの世界を門外漢でも理解出来る親切設計になっているのが良いです。

 後、個人的には頼りになるボーイッシュな瑞希先輩がド直球に私のタイプなので、それだけで視聴継続の価値がある気がいたします。まぁ…こんなに面倒見の良いパイセン居るかよ…やり過ぎでは?とは思いますが。

 わたくし的には今期イチオシの作品なので、人気が出て欲しいですね。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 5
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