ギスギスで幼なじみなおすすめアニメランキング 2

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのギスギスで幼なじみな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月20日の時点で一番のギスギスで幼なじみなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

89.2 1 ギスギスで幼なじみなアニメランキング1位
君に届け(TVアニメ動画)

2009年秋アニメ
★★★★☆ 4.0 (3038)
14980人が棚に入れました
陰気な容姿のせいで霊感があると恐れられ、「貞子」というあだながついている黒沼爽子。
周囲に避けられることに慣れてしまっていた爽子は、わけへだてなく接してくれるサワヤカさ100%の少年、風早翔太に憧れる。自分を変えたいという爽子の背中を押してくれる風早や、矢野あやね、吉田千鶴、真田龍といったクラスメイトたちとの関わりの中で、爽子は少しずつだが自分の殻を破っていく。
ピュアな爽子が友情や恋、ライバルや友達の失恋などいろんな「初めて」を知っていく過程を、丁寧に描いていく作品。
一般の少女漫画原作の作品と異なり、ドロドロとした女の戦いなどはあまりなく、それ以上に爽子が不器用ながらも自分の気持ちに正直に生きていく姿を中心に描かれており、思わず見ていてニヤニヤしてしまう学園青春ストーリー。

声優・キャラクター
能登麻美子、浪川大輔、沢城みゆき、三瓶由布子、中村悠一、平野綾
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

キラキラ☆ニヤニヤが止まらない!

原作未読。

主人公の黒沼爽子(くろぬまさわこ)は、暗い印象で、周囲に「貞子」と呼ばれ、クラスになじめないでいた。
しかし、実のところは、鈍感なだけで、とても前向きな女の子。
誰にでも平等にふるまう、風早翔太(かぜはやしょうた)と出会ったことがきっかけで、爽子と爽子の周囲がどんどん変化していく、青春ストーリー。


爽子は、健気で、どんなことにも一生懸命で、とても魅力的な主人公です。
なかなかうまくいかないときは「頑張れ!!」と、応援してしまいます。
そして、何か一つがうまくいくと、ニヤニヤが止まりません。
ずーっとニヤニヤさせられる回もあるので、視聴中に顔を見られたら不審者扱いされます。

爽子を支える周囲の人たちもしっかり個性立てされています。
本当にみんなキラキラと輝いていますね……エフェクト付きで。
{netabare}
矢野さんは、怖さと優しさのギャップが素敵。
龍は、漢!!
吉田さんは、感情豊かで見ていて飽きません。
風早くんは、何でもできそうに見えながら、ドギマギしてて、男から見てもかわいらしいです。
くるみちゃんは、やったことは迷惑だったけど、気持ちを打ち明けたシーンで泣いてしまいました。
ピンは、ギャグキャラに見えて、何気にキーパーソンになってますよね。
{/netabare}


テーマは、「人に想いを伝えることの大切さ」。

誰もが、人付き合いで悩んだことがあると思います。
その悩みを、「友達とは何か」という根本的な部分から、階段を登るように一歩ずつ、丁寧に描いています。

「○○は今、××に対して、□□という気持ちを抱いているので、△△したい」
このように、想いを言葉として、キャラクター、そして、視聴者に伝えるのが、爽子の役目です。

それを異性に対して発展させたものが恋。
同じように、「恋とは何か」というベースから、一つ一つかみくだいて表現してくれています。

おかげで、登場人物の気持ちが手に取るように分かります。
だからこそ、応援したくなるし、うまくいっているとニヤニヤさせられる。
そして、登場人物がうれしいときやつらいときには、一緒に泣いてしまう。
そんなふうにして、感情移入ができるアニメです。


丁寧ですが、テンポを損なっていないのもポイント。
ほどよく大事な話、ほどよく日常的な話、とバランスがとれていて、とても見やすいです。

ストーリーも行き当たりばったりではなく、しっかりと計算されています。
そこに、視聴者の予想の外をいく、ロマンチックなサプライズのアクセント。
{netabare}
ラーメン屋の名前が「徹龍件」というのは、後に出てくる徹(とおる)のことを表していたんですね。
他にも携帯電話を持っていないという設定や、吉田さんとくるみちゃんが同じ学校だったことなどが、しっかりと後々の内容に生かされています。

パパから携帯、風早くんからストラップのプレゼントをもらったときは鳥肌が立ちました。
そして、「ちい」という呼び名が、笑顔になれるという意味があったと知ったときはもう;;
{/netabare}

悩んでいるときに見ると元気になれるアニメ。
キラキラな青春を感じさせてくれるアニメ。
青春=恋ではなく、友情を基本にしているのが良かったですね。

OP、EDも素晴らしいですし、BGMの使い方もグッド。
少女漫画原作ですが、男女関係なく楽しめる作品だと思います。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 66

K1-R さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

男性でも楽しめるアニメ(漫画)だと思います☆彡

最初に漫画をみていたので「おもしろいなぁwアニメもみてみよぉ」とアニメも観てみました☆彡
少女漫画は男性視点ではないことが多く(今まで見た個人の感想で偏見ですw)よくわからない??ってことが多いのですが(´▽`)コレに関しては面白いと思い先が気になり眼不足になっても観てみました(*´∀`*)
漫画とほぼ同じ感じで忠実にアニメ化されている面白い作品だと思います✩

見所は・・・貞子(さわこ)のずれた?純粋な心ですかね?w
じ~んっとくるところもありなんかいいなぁって思えますよ(*´∀`*)

個人的には漫画で言うと10巻あたりから「よくある少女恋愛漫画」っぽく感じがして漫画も途中で見ていませんww
連載中??なのか知りませんが最後は気になるのですが・・・

主人公の女子とイケメンモテモテ男子の絡みまでは楽しくみさせてもらいました(^▽^)

漫画・アニメは面白いです♪ですがぁ・・・実写はマジ最悪!レンタルして開始30分で消灯でしたwwwなぜ?あの俳優チョイスなの????って感じでがっかり作品で・・・・・批判は嫌いなのですが本当に残念でしたw

何にしても一応世に有名な漫画みたいなので見て損はないと思うので是非見てくださいね✩

投稿 : 2024/11/16
♥ : 11

にゃっき♪ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

100% Pure Love

恋愛ものというより、等身大の青春を感じてみたい方にお薦めしたい作品です。

主人公である黒沼爽子のモノローグで綴られた、少女漫画の王道ともいえる学園もので、爽子の生活を取り巻く家族や友人、少しずつ心を開き、周りに溶け込んでいく彼女の成長を、淡い柔らかな空気で包み込んで丁寧に描いています。憧れや尊敬から恋愛に変わっていく風早翔太への気持ちの変化はもちろんですが、友人である矢野あやねと吉田千鶴の存在感が大きく、彼女たちも爽子と交流することで成長していく事も見逃せません。

視聴者に感情移入させるタイプではなく、素直で健気な彼女の心の成長とささやかな恋愛を、一歩下がって応援しながら視聴する作品ですので、ストーリー展開をメインに視聴すると退屈するのは間違いありません。ある意味、人間味のある腹黒い恋のライバルも登場しますが、展開にはいっさい期待しない方が良いと思われます。
着替えシーンやパンチラなどのお約束のサービスカットもありませんし、ピュアな世界観は今の時代にはおそらくリアリティに欠けると思われますが、少女漫画が目指す作品モデルとして一度は見ておいて欲しいです。
個人的には、何かが動き出し素敵な事が始まりそうな余韻を残した終わり方が素晴らしいと感じましたので、続編は必要なかったと思っています。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 52

70.6 2 ギスギスで幼なじみなアニメランキング2位
ツルネ ―風舞高校弓道部―(TVアニメ動画)

2018年秋アニメ
★★★★☆ 3.5 (262)
1054人が棚に入れました
「弦音」=ツルネ。矢を放ったときに鳴る弦の音。射手にとって美しい弦音を響かせることは喜びであり、その美しい音は人の心をとらえて離さない。同一人物が、同じ道具を使ったとしても同じ弦音を発することはできず、まさに一期一会。一射一射が、一生に一度の<出会い>と<別れ>である。鳴宮湊にとって、弦音が全ての<出会い>の始まりとなった……。果てのない弓の道を歩み始めるのは、若葉のように瑞々しい高校1年生の少年たち。彼らは弓道を通して一生に一度、かけがえのない経験をし、<仲間>を手に入れていく。

声優・キャラクター
上村祐翔、市川蒼、鈴木崚汰、矢野奨吾、石川界人、浅沼晋太郎、小野賢章
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

弓道を求道するに能はず

2019.01.26記


原作未読 全13話


『進撃の巨人3期』⇒『ツルネ』⇒『ピアノの森』と連なるNHKアニメ放送リレー。
進撃の頃から災害報道・選挙特番といった公共放送らしい理由による放送回スキップの影響で、2018年10月22日 - 2019年1月21日と中途半端な日程での放送となりました。進撃観てなきゃ危うく見逃しちゃいますよ。一方で一通り他作品が終了してからクライマックスを迎えるのは悪いことではないかもしれません。


出身の高校に弓道部があったり、家内も高校では弓道部だったりとそれなりの縁を感じたことが視聴動機。なにより袴姿というものは美しい。

弓を引いた時の音“弦音(つるね)”を聞いて弓道を始めた少年が、中学時代に“早気(はやけ)”イップスの一種に罹り一時期は弓を置いてしまう。そんな青年鳴宮湊が、新設の弓道部の仲間たちと再生を図っていく友情物語です。

言うほど京アニ制作はトリガーにはなりませんでした。むしろ男子5人組が主軸で、武道を扱って『Free!』みたいなのを見せられたら敵わんな・・・という不安が強かったと思います。
どういうことかというと、男子同士のあっさりとした友情物語と、心・技・体の一致を目途とした武道の世界との相性の悪さを気にしてたのです。もちろん京アニが自身の過去作をトレースせずに、ユルめの友情物語とは一線を画す物語を製作するという選択もできたと思いますが・・・

その不安は的中します。

なお作品自体は“不可”ではありません。
・マイナースポーツを扱っている。ルール説明があり競技の理解に繋がっている。
・所作や型は綺麗。動作の前後含めて弓を引く姿に違和感がなくリアリティが保たれている。このへんはさすが京アニといえる。
・締めも前向きさを感じさせる良い纏め方。
小さく纏まった感じでした。実力者京アニが弓道をそれなりに取材をして持ってる引き出しを流用しただけ、といったところでしょうか。“型”を突き詰めた描写がないことで競技の根っこの部分が最後まで伝わらず、無難過ぎて“弓道である意味”を見出せませんでした。素材の物珍しさで興味を引いたはずなのにもったいないという印象です。


“弓道である意味”を作品に期待することは求め過ぎでしょうか?

武道(柔道、空手道、剣道、相撲、弓道、合気道、なぎなた)に共通するのは、単に技術を磨くだけでなく、人としての成長をめざすことにあります。“競技の勝敗だけではないよね~”自分が武道をしていなくても広く日本人に共有されてる概念になるでしょう。
なかでも弓道は相手との接触がなく、より自分の内面と向き合うことでの心の在り方に重きを置いてます。ここで見せられるはずだった凄味が決定的に足りない。具体的には、
1.弓道と一体化したようなキャラが不在
2.鍛錬している姿が欲しかったなぁ

Mr.弓道みたいな弓道と一体化したような超越キャラがいても良かったのに。候補となる藤原愁はそれに及びませんでした。{netabare}幼少期の湊との関係が伏線にはなってたものの、{/netabare}強さの源泉に触れる描写はなかったと思います。マサさんも初登場が悪くはないんですが、{netabare}主人公そっちのけで葛藤するキャラと化し、それが物語の肝だったりするためツッコむのも無粋な話と理解しつつ、{/netabare}もっと超然としていてほしかったなと思います。佇まいだけなら桐先高校の主将さんはいい雰囲気でしたね。むしろご老体3人組が最も具現化されていて、なんだかなぁといった感じでした。

鍛錬している姿も同様です。人間関係に重きを置き過ぎておざなりになっていた領域でした。
{netabare}部に入る入らない、弓道するしない、反目するしないの群像劇をやってるうちに6話から大会が開始して・・・{/netabare} 競技の魅力を伝える暇がありませんでした。競技の難しさを早気という素材を通じて訴えかけてくるものはあったものの、いかんせん“足りない”のです。


先入観が邪魔してる可能性はあります。ここまで全て、私の武道への期待値に対して“足りない”といっただけの話です。気にしなければ気にならないでしょう。
朝青竜の勝ち名乗り後の雄叫びや、柔道国際大会で優勝した日本人選手のガッツポーズやくだけたインタビューにひっかかりを感じなければ、全くの杞憂かと思います。繰り返しますが、全13話。ほどよく纏まっている佳作ではあります。

なまじクライマックスの攻防が良いだけに、そこまでの段階の踏み方に素材(弓道)を活かしきって欲しかった。
細かいところでは、小野木海斗のイライラ設定も底が浅いし、千一・万次兄弟も高校部活ではあるまじき悪態のつきっぷりと、武道を嗜む者のメンテリティとして私にとってはそうとう違和感があったのは事実です。キャラの良し悪しというよりも、「これだったら別に他のスポーツ例えば水泳でもいいじゃない」ってことなんだと思います。


会場に日本人が入ると空気が変わる。国際大会で畏敬の念を持たれる存在。それが柔道における日本人である。こう喝破したのはスポーツライターの金子達仁氏でした。
諸説あるものの、スポーツマンシップを超えた柔道家としての矜持あればこそ、ラシュワンは山下の右足を執拗に攻めることはしなかったのです。
競技は違えど、〇〇道と名のつくものに通じる精神の一端でも垣間見えればまた違った見方もできたでしょう。取材はしたけど表層しか見てなかったのか、またはエンタメする上で敢えて削ぎ落としたのかはわかりません。
道場に飾ってあった『礼記射義』に触れてくれても良かったのに。

なんか悔しい。もったいない。

実力者こそチャレンジャーでいてほしいと思う次第です。
期待の裏返しってやつですね。ちょっと概念的な感想でしたが読んでくれてありがとうございます。



※以下おまけ

■そっち方面に振り切っても良かったのに
弓道部の多くは先輩が後輩を一人面倒を見る“師弟子制度”を導入しています。新設で同級生同士の風舞高校は厳しいとしても、伝統校桐先高校では導入してても良かったのにそういった描写はありませんでした。
どうせ作風から腐だ腐だBLだ!言われるんだったら、そっち方面に振り切る材料があったのですが、さすがにそれはやり過ぎ?

■モブ?
白菊さん。
{netabare}下僕Tシャツの男どもへの頼み方が板につき過ぎてたり、大会での全外しや、不遇の女子部員のなかでは印象に残るキャラクターさんでした。{/netabare}

■弓道キャラさん
そういえば弓道部キャラって女子のイメージが強いですね。静謐さだったり凛とした強さを備えた子って感じ。

{netabare}『艦隊これくしょん -艦これ-』加賀、赤城
『アイドルマスターシンデレラガールズ』水野翠
『ラブライブ!』園田海未
『ちはやふる』大江奏(仮){/netabare}



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2019.07.03追記
《配点を修正》



視聴時期:2018年秋期(ややズレありのリアタイ視聴)

そういえばNHK放送リレーは『ピアノの森』⇒『進撃の巨人3期の後半』の進撃全10話をもって通常スケジュールに戻りそう。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 51
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

弓道の所作や音、放たれる矢の美しさ

アニメーション制作 : 京都アニメーション
監督:山村卓也、シリーズ構成 : 横手美智子
キャラクターデザイン:門脇未来、総作画監督 : 丸木宣明
原作;綾乃ことこ

凛とした佇まい。
弓をゆっくり引いていくときの緊張。
矢を放つときの解放感、そして弦の音。
弓道という私にとっての未知の世界。
一連の動作には武道としての美しさがある。

弓を引いたときにタメが利かず、すぐに離してしまう
弓道ならではの「早気」という症状。
そんな心の問題によって弓道を諦めてしまった主人公が、
再び弓の世界に戻り、指導者の滝川雅貴や
仲間とともに競技を通じて自分を取り戻してしていくストーリー。
自社でアニメ化作品の原作を募集して文庫化する
京都アニメーション大賞の第7回小説部門審査員特別賞受賞作。

序盤の展開には引き付けられるものがあった。
弓を引いて矢を放つときの弦音(つるね)に魅せられ、
弓道を始めた鳴宮湊が早気にかかってしまい、
苦悩するところから物語がスタートする。
ある日の夜、近所にある弓道場で美しい射(しゃ)を
見た湊は、そこにいた滝川雅貴とともに
風舞高校の弓道部で再び弓を引くことになる。

弓道を行うときの所作がとても丁寧に再現されていて、
新鮮に感じた。私は弓道についての知識は
全くないが、一連の動きは美しい。
動画などを使用して、忠実に動きを作ったのだろう。
アニメならではの正面から矢が放たれた絵や
矢の回転などの動きには魅せられた。
カメラも多彩に動き3Dならではの楽しみがあったと思う。

ただ、物語全体を見渡してみると、散漫だったのは否めない。
{netabare}湊の早気の克服、海斗という異端と部活としての団結、
静弥のわだかまり、藤原愁との約束、
雅貴の祖父への復讐などがバラバラに感じられ、
なぜか1本の物語として感じられなかった。{/netabare}
原因のひとつとして考えられるのが、
弓道としての技術的なポイントや心構え、
面白さが物語のなかできちんと活かしきれていないことだ。
色々な問題の解決が、弓道とつながっているように感じられない。
この物語は湊の早気がひとつの根幹にあるのだが、
それが、あやふやな形で解消されるため、
どこに視点を定めて観ていけば良いのかよく分からない。
男性部員5名と雅貴との関係性がいちばんの見どころとして
ストーリーを展開したつもりだろうが、
私にとってはリアリティを感じることができなかった。

また、キャラクターの造形の浅薄さも気になった。
特に海斗という人物像だが、私はこのキャラクター自体には
リアリティがあると思っている。
というのも、ごく身近に性格の近い友人がいたからだ。
ただ、このタイプのキャラクターが現実に生きていくためには、
周りに対する気配りや自分に対しての厳しさを
普通の人以上にしっかりと持ち合わせていないと、
その性格を全うしていくことなど不可能なのだ。
それをやっていても、一部の人々からは大きな反感を買ってしまう。
私は海斗が他人にばかり厳しく、自分には甘いところから、
ただの記号的な人物にしか思えなかった。

そして、おそらく多くの人が感じているだろうが、
双子が意味もなく風舞の部員に嫌がらせをしてくる
あり得ない展開は必要なかった。
しかも彼らは強豪校のレギュラー。
昔からの知り合いならまだしも、
初対面の弱者をいきなり蔑んでくるやつはいないし、
武道をやっている人間として考えられない行動だ。
{netabare}その後にひとりが早気になるという、
ドラマに何のプラスにもならない展開にしたのも陳腐だ。{/netabare}
これを今クールの『風が強く吹いている』と比べると違いがよく分かる。
同じように主人公に執拗に絡んでくる他校の生徒がいるのだが、
こちらのほうは、全体の物語にきちんと組み込まれ、
心のある人間として描かれているため安定した話になっている。

弓道という今までに取り上げられなかったスポーツを題材にして、
その魅力を伝えてくれたが、ひとつのドラマとしては、
多くの部分で引っかかりを感じてしまった。
所作や動きの美しさなどには好感を持っただけに残念だった。

京アニのマーケティングとしては
Freeの後を継ぐ、完全な女性ターゲットの作品。
女性視点ではどう映ったのだろうか。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 54
ネタバレ

雀犬 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

弓道の良さとは・・・

【注意】これはアンチ専用レビューです

→→ 概要 →→
「ツルネ」は2018の秋クールにNHKで放送された弓道アニメです。制作は京都アニメーション。

 主人公の鳴宮湊は小さい頃から弓道の魅力に魅せられ、中学生時代は名門校で活躍していました。しかし中学最後の大会で彼は大きな失敗して自信を失い、早気(はやけ)に陥る。早気とは弓を放つタイミングを図れなくなる重度のスランプで、「会(かい)」という弓を引いてから矢を放つまでの動作ですぐに離してしまう状態を言います。

 それから転校をして弓から遠ざかろうとした彼が、立ち上がったばかりの弓道部で新しい仲間とともに再起を懸ける…というのがストーリーの大筋です。


→→ 葛藤を描くこと →→
 思うに、この作品は最初の設定で失敗しているのではないでしょうか。物語の開始時に主人公が心に鬱屈としたものを抱えているという設定は珍しくないし、傑作もあります。ただ問題は彼の抱える悩み、早気が弓道の中で閉じてしまっていることです。弓道は専用の道具と場所が必要であるため、弓道部に所属した人でない限り、視聴者にとって未知の世界です。そのため彼の苦しみを一緒に共有することはなかなか難しい。

 心理学者のアドラーは「人間の悩みは全て対人関係の悩みである」という言葉を残しています。こういった一般の人があまり経験しない苦しみは、人間関係の悩みと重ね合わせるのが創作の基本ではないでしょうか。

 例えば将棋マンガ「三月のライオン」の主人公も神童、将来の名人と嘱望されておきながらプロ入りしてからはなかなか結果を出すことができず苦しんでいる青年です。主人公の設定はツルネと少し似ている。しかし「三月のライオン」は主人公の複雑な生い立ちを徐々に明かしていくことで、たとえ将棋を知らない読者であっても彼の苦悩を十分に分かち合うことができる構成になっています。

 登場人物の抱える苦悩や葛藤は友人・家族・恋人といった人間関係の悩みと一体化させなければ効果的ではないように思う。本作の早気は競技における苦しみであって、薄情なことを言ってしまうと視聴者からするとそれ以上でもそれ以下でもない。画面の中のキャラクターに視聴者が十分に共感ができてこそ、苦しみを乗り越えた後の「雨上がりの虹の美しさ」を表現できるのではないでしょうか。


→→ 弓道というテーマ →→
 正直言うとこのアニメを見ても弓道の魅力はあまり伝わって来なかった。繰り返しですが、弓道は知名度は高くても実際に経験したことのある人は少ない競技です。弓道をテーマに据えるのであれば、その良さを視聴者にプレゼンする人がある。でもこのアニメはどうもプレゼンに失敗しているように思えてならないのです。

 マイナースポーツをテーマにするとき無難なのは主人公を初心者にしてしまうことです。これなら主人公の目線と視聴者の目線がずれないため、作品への導入がスムーズに進む。競技カルタの「ちはやふる」、なぎなたの「あさひなぐ」などマイナースポーツを題材にした漫画の代表格も、主人公とその競技との出会いから物語が始まる。

 しかしこのアニメはほとんどが経験者。なんと初心者は小野木という男が1人を残して全員、部から追い出してしまう。「やった!モブキャラを描く手間が減った!」と作画スタッフは喜んだかもしれないがお話としてはまずい方向に進んでいる。視聴者のほとんどは弓道は未経験なのだから、弓道の道具に触れたときの戸惑い、的の前に立った時の胸の高鳴り、初めて的中させたときの感動などを味わえるシーンは必要でしょう。

 でもたった1人残った初心者の遼平クンはあまり目立たない存在で、小野木にガミガミ言われる子分キャラ。貴重な未経験者なのに彼の視点で先に挙げたようなフレッシュな感動を表現できている場面があったでしょうか。この扱いはあんまりじゃないかな。

 それにもう一つ、この作品は対立の構図が弱いんだよね。武道とスポーツ、名門校と弱小校、経験者と初心者、天才と努力家、男性と女性、若者とベテラン。どれでもいい。こういった二項対立を活用して、弓道という題材の魅力をアピールするべきだったと思う。「ツルネ」はどの要素を掘り下げることなく中途半端なまま13話という短いようで長い時間を使い切ってしまった。最終回は{netabare}個人競技と団体競技{/netabare}という対比をうまく表現していて面白かったです。最初からこのクオリティなら名作になる可能性も十分あったのにもったいないと感じます。


→→ ギスギス感 →→
 本作最大の問題が弓道部の空気の悪さです。早気に苦しんでいる主人公に、いつもイライラしている小野木という男が「足手まといは辞めてしまえ」とばかりにいちいち噛みついてくる。これだけでもかなりきつい。この小野木、弓道を愛しているとうそぶいているくせに元々は弓道部がなかった風舞高校に入学するという設定的矛盾を抱えている。作者は一体何を思って彼をこんな性格の悪い人間にしたのだろう…

 幼馴染みの竹早は陰湿で「湊を泣かすことなんて造作もない」などと暴言を吐く。おまけにストーカー体質。主人公の受難は続く。遼平は小野木にガミガミ言われてる不憫な子だし、ジャニーズ系の七緒はキャラが型にはまりすぎていて実際のところ何を考えているのかよく分からない。彼を掘り下げる回がないため、悪い奴じゃないんだけど言うことが若干嘘くさく感じてしまう。

 顧問のトミー先生はのほほんと見守るだけ。まさか平成の終わりだというのに「~じゃのう」などというジジイしゃべりをするキャラをアニメで見るとは思わなかったんですけど。イケメンコーチの雅さんは男子部員に罰ゲームとして「下僕」とデカデカ書いたシャツを着せて使い走りにするというパワハラを行う。彼の笑顔はなんだか作り物のようで怖い。

 このように風舞高校の弓道部はギスギスしていて非常に空気が重い。その元凶といえる小野木も、鳴宮が真摯に弓道に取り組む姿を見て態度を軟化させていくのだけど、息つく間もなく中盤にはなにかと因縁を付けてくる双子の超煽りキャラがライバル校に登場する。この双子の鬱陶しさは筆舌に尽くしがたい。小野木にしても噛みつく相手が身内からこの双子に変わっただけと言ってよい。青少年の健全な心を育成するのが武道だと思っていたのですが、みんな煩悩だらけじゃん。

 この淀みに淀んだ空気を変えてくれるのは女の子しかいない!という思いも空しく、風舞高校の女子弓道部員は可愛いことは可愛いのだけど、本作では完全に脇役扱い。「ツルネ」の公式ページを見ても、男子部員は1人ずつページがあるのに女子は「女子弓道部員」の項目で3人セットでの紹介。"何らかの大きな力"が働き、女子は個人戦で弓を引くシーンすらカットされる。お互い「男子」「女子」と呼び、ほとんど名前で呼び合うことがないから最後まで見ても女の子の名前を覚えられなかった人が多いのでは。極端な話、「弓道女子A」「弓道女子B」「弓道女子C」でも十分なレベル。

 このアニメを見て弓道をやりたいと思った人はどれだけいるのかな…


→→ 匂い系 →→
 さて、ここまでは通常の高校部活ものとして感想を書いてきたけれども、この話題に触れないわけにはいかないでしょう。ツルネは「匂い系」というジャンルに入る作品です。「匂い系」とはやおい用語で、はっきりボーイズラブだと描写しているわけではないのだけれども、そう受け止めてあれやこれやと腐女子に妄想させてしまう作品群を指します。(そもそもボーイズラブはイケナイ妄想を楽しむものらしい)

 別にBLそのものを否定するわけではないけれども、本作の欠陥はBLで全てが説明できてしまうのが悲しい。

 主人公の湊、彼が女の子だったらどうなるか。若いイケメンのコーチ雅サンにドキドキしてしまう女子高生で、それに幼なじみで密かに主人公(♀)に恋心を抱く竹早クンが雅サンをライバル視してしまうという構図になる。不愉快なキャラ小野木も仮に女の子だったなら雅サンと仲良くする主人公(♀)にジェラシーを感じているイヤなお嬢様キャラの立ち位置に落ち着く。まとめると、

・鳴宮 → 年上の男性に憧れてしまうヒロイン
・雅貴 → イケメンのコーチ
・竹早 → ヒロインが実は好きな幼なじみの男の子
・小野木 → コーチをGETしようと必死なお嬢様系ライバル

というベッタベタの少女漫画構図が浮かび上がります。これを全員男にしたのが「ツルネ」という作品の正体なのです。何のことはない。女を男にひっくり返した結果、破綻しただけのお話です。

 少年同士のカップリングを脳内でさせることばかり頭にあるからか、武道の奥深さ、思春期の複雑な心理、努力と友情の大切さ、何かを直向きに取り組む充実した時間などなどスポーツ青春アニメに本来あるべきものがこの作品には不足しているように感じました。こんな「少女漫画の下位互換」でしかないボーイズラブアニメをどうしてわざわざNHKでやろうと思ったのか。京アニさん、本当にしっかりしてくださいよ。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 35
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