ギスギスでラノベ原作なおすすめアニメランキング 3

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ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年09月09日の時点で一番のギスギスでラノベ原作なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

88.6 1 ギスギスでラノベ原作なアニメランキング1位
ようこそ実力至上主義の教室へ(TVアニメ動画)

2017年夏アニメ
★★★★☆ 3.6 (1449)
6926人が棚に入れました
『ようこそ実力至上主義の教室へ』の舞台となるのは希望する進学、就職先にほぼ100%応えるという名門校・高度育成高等学校。
ここは優秀な者だけが好待遇を受けられる実力至上主義の学校で、入試で手を抜いた主人公・綾小路清隆は、不良品が集まる場所と揶揄される最底辺のDクラスに配属されてしまう。
しかしそのクラスで成績は優秀だが性格に難のある堀北鈴音、気遣いと優しさでできた少女・櫛田桔梗らと出会うことで、状況に変化が生まれていく。

声優・キャラクター
千葉翔也、鬼頭明里、久保ユリカ、M・A・O、竹達彩奈、逢坂良太、岩中睦樹、日高里菜、日野聡、東山奈央、若山晃久、小松未可子、梅原裕一郎、小原好美、佐藤利奈、金元寿子、岩澤俊樹、竹内栄治、阿部大樹、郷田翼、水中雅章

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

欺瞞のロジック

【少し追記】


タイトルが内容を表していない、あるいは内容を誤解させるようなタイトル付けをしたライトノベルが目に付くが、本作も同様の流れの中にある。

学園内通貨を獲得する劣等クラスの奮闘を描く物語だが、通貨の獲得は実力主義による評価にかかっている、という憶断は、このタイトルによるミスリード、もしくは欺瞞がもたらしている。

作品内で描かれている評価システムは、「実力主義」ではなく、「成果主義」だ。


「成果主義」を「実力主義」と言い換える欺瞞は、視聴者に向けたタイトル付けのトリックというだけではなく、作中の「システム」が作中人物に対して押し付けている「欺瞞」でもある。

「実力」があれば「成果」を挙げやすいのは確かだが、「実力」がなくとも様々な条件によって「成果」が挙がる場合もあるし、不利な条件が重なれば実力とは無関係に成果は挙がらない。
外的要因によって左右される「成果」は、個人の能力である「実力」に完璧に還元できるわけではない。

成果=実力と評価するシステムの欺瞞は、「成果」によって生じる結果は、本人の「実力」=能力の結果なのだから受け入れなくてはならないという「支配」の正当性を内面化させるためにある。

「結果」によって配分される様々の「格差」は、本人の「実力」によって生まれたものだから受け入れなくてはならないと、「底辺」に置かれた敗者までもが自主的に納得することが目指されている。
作中の劣等クラスの生徒たちも、自分たちは「実力」が劣っているのだ、という評価基準の公平性については疑っていない。

だが、評価されているのが「成果」であるならば、様々な「実力」外の要因によっても左右されているはずだ。


現実の教室においても、主な評価はテストの「成績」で測られる。

ペーパーテストで高得点を挙げる「学力」は、個々人の勉強という努力に先立って、教科書や問題文を読み取る「読解力」が高い方が有利であることは理解しやすい。
読解力が身についていれば、同じ量の勉強で、より学力がつくだろう。

読解力は読書習慣の有無が大きく影響するが、統計的な傾向として、下流階層の家庭よりも、中流階層の子供の方が読書習慣がつきやすいとされている。
家庭に文学全集が置いてあったり、子供に読書を勧めることが多いのは、(統計的に)下流階層よりも中流階層の家庭の方であるのは想像できる。
子供に向かって「本ばかり読んでないで外で遊んで来い」と言い出す親がどちらの階層に多いのかも、想像がつくだろう。

言うところの文化資本とかハビトゥスといったものだが、机の前に座って教科書を読み、ペーパーテストを解く学校システムにおいて、このハビトゥスが身に着いた子供が有利であるのは明らかだ。

テストの点数の公正さは、あらかじめ、特定階層出身の子供が得点という「成果」を上げるために有利な制度設計がなされていることの隠蔽として機能する。
「学力」があれば得点できるという「公正」さは、特定の文化資本を「学力」と呼んでいるという制度設計を隠蔽する。
そうして生まれるのが、中流階級=高得点=高収入=中流階級の再生産のサイクルだ。


本作の架空の学校システムにおいても、特定集団にとって「成果」が出しやすいシステム設計であると描写されている。
特定集団が達成しやすい「成果」ではなく、個人の能力=「実力」を測るシステムであると擬態することで、その「結果」と、そこから導かれる「待遇」も、自己責任で受け入れるべき公平なものであると作中の生徒たちは納得するように仕向けられている。

「成果」が出せる/出せないが、あらかじめ制度設計によって調整されている不公平性を隠蔽するものとして、成果主義=実力主義の言いかえの欺瞞は導入されている。

テストの点を底上げする主人公の「奇手」は、この欺瞞を突いたものだ。
測られているものは「実力」ではなく「成果」であることを突いた奇手。

そして、この「奇手」は、成果=実力の言いかえの欺瞞を逆手に取った「妙手」でもある。

成果を実力と置き換える欺瞞に駆動されるシステムにおいては、どのような過程を経たものであれ、「成果」を出してしまえば「実力」であると評価を「しなくてはならない」ということを意味する。

実力の「公正」性をたてにして「格差」の支配を正当化するシステムは、どれほど非・実力的な手段による「成果」であろうとも、成果=実力=公正であると「評価」しなくてはならない。
「実力」とは無関係な成果であると暴露されたところで、支配の正当性を欺瞞の上に築いている限り、システムは、いやでも「実力」であると評価せざるを得ないだろう。

「裏ワザ」的な知恵比べでシステムを出し抜こうとする物語は、単なるチートの知恵比べではなく、このようにシステム自体への批判を構造化している。

この批判性が、主人公一人が体現しているだけで、クラスメートの誰にも共有されないまま終了を迎えたのが少し不全感を感じさせる。

「成果」を出したことではしゃぎ回り、そもそもシステムが何を計測するための課題であったのか全く気にも留めないDクラス生徒たちは、成果が証明する「実力」というタテマエを嘲笑している、とみることもできなくはないのだが、そこまでの意図があるようにも思えなかった。



表現の上で興味深いのは、OPや本編の前後に、思想書や文学書からの抜粋が挿入されていることだ。

小難しい言葉=よく分らないが難しそう=頭がいい=教養=「実力」がある、といった連想を意図しているのだろうか。

が、東京大学の院生が、授業中に「ドストエフスキーって誰ですか?」と発言したと報告されたのは、もう15年も前のことだ。
「頭がいい=教養」の図式は、象徴的には、このときに失効が完了したと言えるだろう。

岡田斗司夫に代表されるオタク第一世代が、殊更に「オタクはアタマがいい」と宣伝してきた背景が、この教養の失効ということになるかもしれない。

教養とは、単に知識量が多いということではない。
それぞれの「知識」を、どう価値付けて立体的に配置していくかという、序列の「構造」あるいは「枠組み」の規則が、「教養」と呼ばれる。

岡田と第一世代は(半ば自衛のため)、アニメや特撮やSFのオタク知識は、教科書には載らない、もう一つの「教養」体系であると主張していた。
本家の「教養」が崩壊し、「知識」の序列化ができないまま、知識という単なる「情報」に溺れている一般人に対して、なるほどオタク知識体系の「教養」を持つオタクは、相対的に「アタマがいい」ということになるのだろう。

しかし、教養を崩壊させた情報のフラット化は、結局はオタク知識の「教養」をもフラット化し、岡田斗司夫は「オタクの死」を宣言することになる。
正当的な「教養」であれ、異端的なそれであれ、「枠組み」は消滅する。

「枠組みの規則」の消滅によって、オタク領域の、例えばアニメの解釈で、「神アニメ」「クソアニメ」の言い合いが平行線で決着がつかないくらいのことは大した問題ではない。
問題は、実社会の方だ。


ほぼすべての憲法学者が違憲であるという「事実」を突きつけた法案が、平然と国会を通過する。

専門の歴史学者が数十年にわたって精査した「事実」である虐殺を、無かったと思い込む。


「専門知」が導く「事実」を簡単に無視して目を塞いでしまえるのは、知識体系を規定する「教養」の失効の、最も現実的な表れだ。

確かに、かつての「教養」は「文化資本」として機能していた。
ある程度までは、社会で実務をハンドリングする実用性が「教養」にはあり、それが階級の再生産を支えていた面がある。

しかし、政治家がどれほど無教養を曝け出しても罷免されることが無い事実が証明するように、現代ではこの相関は機能していない。

そんな時代に、本作は「教養」を再び再生産のエンジンとして持ち出してきた。
高待遇をもたらす「実力」を基礎づける「頭の良さ」を表象するものとして、アニメというオタク領域で「教養」を復権させて描写しようとしている。
……のだろうか?

疑がわしく感じてしまうのは、各話を総括するように挿入されている、思想書から引用される箴言が、当の著作の文脈からするとドラマの内容とは噛み合っていない例が(わかる範囲で)いくつか見受けられるからだ。

挿入される箴言は、「それっぽく」て、「頭がよさげ」に見えるというだけの、アクセサリーのごときものでしかないのではないか。

はたして、ある「成果」を測るのに適切な「設問」であるのかに全く疑問を持たず、迎合するにせよ反発するにせよ、なんらかの「実力」が測られていると信じている学生たち。

計測される「実力」に対して、不釣り合いに莫大な「評価コスト」を掛けた「テスト」を、莫大なコストを掛けていること自体が評価の正当性の根拠であるように捉えているかのような彼らが、小難しくてよく分らないことが「教養」を証明していると見せたいらしい製作者の態度に重なって見える。

実力=能力がある=知力の演出として引用される「箴言」が、微妙に使い方が不適切でいい加減さを感じさせるのは、作中の「実力」が怪しげで無根拠であることを、図らずも露呈しているようで興味深い。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 9
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

難癖ですが、アニメの内容的には、「実力(至上)主義」じゃなくて、「成果(至上)主義」の方が正確だと思いますが……

[文量→大盛り・内容→雑談系]

【総括】
なんかこう、「奉仕部(俺ガイル)に憧れた高校生が、文月学園(バカテス)に入学し、真剣に戦っている」という印象を受けました。

ツッコミどころは多く、すごくおもしろいとは思えなかったけれど、「見て損」とも思いませんでした。知略系とか好きなら、観ても良いと思います。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
まあ、難癖なのは百も承知でm(._.)m

レビュータイトルですが、「実力主義」の辞書的な意味は『(年齢や学歴、人柄などではなく)実力の程度で評価をくだす立場。能力主義』(三省堂 大辞林)となります。

似ている言葉に、ビジネス用語でもある、「能力主義」や「成果主義」があると思います。

ものスゴくザックリ言うと、「能力主義」は、資格などを含め「これくらいの力があるから、給与はいくら」という日本的な考え方で、「成果主義」は、人を見ずに、とにかく出した結果だけをドライに査定する欧米的なやり方ですね。

例えばプロ野球なら、「160㎞投げられるから年俸いくら」とか、「まだ一軍登板こそないものの、実力的に向上したから年俸アップ」なんてのは「能力主義」的。一方、「10勝した(防御率が○点だ)からいくら」とか、「力があるのは誰しも認めるが、(仮に不運が重なっても)結局試合では活躍できなかったから年俸ダウン」なんてのは「成果主義」的です(多分)。

一応、三省堂さんの解釈を信じるなら「実力主義=能力主義」としてるし、一般的にも「実力=成果」よりは、「実力=能力」と捉えると思います。(ビジネス用語として用いる時、実力主義と成果主義を同様のものとして扱うことも多々ありますので微妙なところですが、やはり普通の感覚としては、実力(能力)を評価すると捉えるでしょう。

となると、このアニメに置き換えた時、ポイントとして加算されているのは、明らかに「実力(能力)」ではなく、「成果(結果)」だと思います。

そもそも、「年齢(学年)」で集団を区切っている以上、「実力主義」とも「成果主義」とも異なる(真逆な)、「年功序列」という概念も入ってきています。本当に実力を至上とするなら、年をバラバラにして学級編成をするとか飛び級を認めるとか、あるいは、場合によっては3Aより2Bの方がポイントが上、ということもあってしかるべきでしょう。仮にDクラスでも、実力が認められれば(個人的に)Aクラスに編入できるとか(7話のアイキャッチで可能と分かりましたね)。

また、「実力主義」という資本主義的な発想で学校を運営しているのに、ポイントは学級(集団)の実績(連帯責任)という、なんとも「社会主義」的なシステムにしているのにも違和感が。まあ、そこ(集団を押し上げてこそ、真の実力)が盛り上げどころなのでしょうし、アニメにそこまでリアリティを求めても良くないのですが、自分が生徒なら納得しないかなw というかこれは、「クラス(集団)を成長させられる人間こそ本当に優秀」という、実に日本的に発想のもとにあるシステムだよね(一見、個人主義的な評価基準に見えて)。

そういう、「微妙な言葉やシステムのズレ」がどうにもこうにも気になって、なんか懐疑的な(斜に構えた)見方になってしまいました(汗)

それもあり、内容的も「知略戦、に見えてご都合主義」と、そんなことを感じました(辛口ですが)。

例えば、定期テストのくだり。過去問の入手って、いや、同じ学校に勤務し、定期テストを過去問通り出す教師なんていないやん。実力至上主義なら、まずその教師をクビにしろと(笑)

例えば、須藤の暴力沙汰のくだり。なんか目撃者とか色々と出してるけど、(それが相手の策略であれ、怪我の程度が本来より重くなったとはいえ)手を出したら、やっぱり手を出した方が悪いと思うんだけど、シンプルに。なんかみんな「俺達仲間だろ」と守ろうとしてたけど、そこで開き直って居座っている須藤には、普通に腹が立ちました(苦笑)。

とか、ツッコミどころは多数。キャラも、ひねくれたキャラは好きだし、よく作ってはいるけれど、飛び抜けた魅力は感じられず。いずれにしても、65点感が漂うアニメでした。

ただまあ、一定以上には楽しめたことも事実。今期(2017年夏)はあまりハマれたアニメがなく、途中切りも過去最多。「他に比べれば」と思っていたことは否めない。

もちろん、見所もあって、島編のラストの展開は(うまくいきすぎだけど)面白さもあった。あまり、深く考えずに騙され、積極的に翻弄されるのが得策でしょうか。ラストの「脱力系主人公がガチで腹黒クズの可能性」は新しかったと思いますし♪

私も基本的には実力主義ですが、「至上」かと言われれば、微妙かな。

まず、誰が何を評価するかによって、つまり評価基準によって実力なんて変わるから、あまり明確な基準は設けられないよな~と。

社会における正しい平等とは、機会の平等であって結果の平等じゃない。そう思います。アニメとは、あまり関係のない話ですが。
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
なんか、「俺ガイル」に似てるな。知能戦? が楽しめれば良いな。これ、連帯責任なのはどうなんかね。話は盛り上がるけど、評価基準として。他をリードできて、初めて評価に値するということ?

2話目
これ、Dクラスはダメな人を集めたのなら、主人公やヒロインもダメな人認定なわけで、多分ここから逆転していくんだけど、じゃあ、入学時の査定にセンスがなかったということですな。

3話目
いや、定期テストの過去問、そのまんま出すなんて教師の手抜きやん。そんな教師いないって。櫛田さん、もっと遠くで、いや、自分の部屋でストレス発散しようよw

4話目
なんなこう、正論を言ってもね(汗) クラブ? あれで格好いいと思っているんなら、笑えるんですけど(笑)

5話目
公然猥褻w 論破せずに、目撃者を出すし、目撃者が親近者だし、どれだけからまれても、結局手を出したのは須藤だから、非がないとは思えないんだけど。格好良い壁ドンw

6話目
いやいやいやいや、この段階で事件を取り下げても、「虚偽報告」とかあるんじゃね? いやいや、この程度でマスコミ動かないでしょ。いや、ファンかどうかは、相手が決めることでしょ。

7話目
かなり毒舌だが、こういう「大したことない作品」に、雑にエヴァ(名作)とかのパロディーをやられると、なんかイラッとするな(苦笑) ガラッと作風を変えた日常回&水着回。まあ、番外編的な感じで気軽には楽しめたかな。

8話目
ホントに、こんな奴らのキャッハうふふに税金を払っているとしたら、ガチで切れるな(苦笑)

9話目
中忍選抜試験かい? 言動には気を付けろと言った直後のリーダー宣言、トラップくさい。川の水は一応煮沸しよう。これ、多分、あのCクラスの娘が、Dクラスのリーダーを嘘報告してくれるの? まあ、一人いなくなっても、この段階なら、食糧を買わなくてすむから、30マイナスでも別に良いと思う。

10話目
下着を捨てりゃあ良いんじゃね?

11話目
キーカード、あの水浴びの状況で盗めるもんか?

12話目
ラストは意外かな。
{/netabare}

投稿 : 2024/09/07
♥ : 40
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.4

見るんじゃなかった

4話までの感想
{netabare}マイナスの意味ではない違和感(いうなればフックって意味合い?)を覚える部分は「学校のシステム」に係わることであり、これらが次第に詳らかにされていくって作品…なのかな?
できればそこから更に一歩踏み込んで学校にひと泡吹かせるって展開になってくれると最高なんだが、どこまで話進むのかのう。
ということで現状これといった不満もなく楽しく見ています。

それと個人的には「一芸に秀でてさえいれば他はどうでもいい」って価値観には懐疑的でして…。
ってのも、結局それって雇う側にとって都合のいい理屈で、せめて最低限の社会常識や協調性を持ってないと食い物にされるだけだぞ、と思ってるので。
で、連帯責任については協調性を養うのが目的かなぁ~と思いまして。
まぁ軍隊や刑務所みたいなもんかと、問題はそれが行き過ぎかそうでないかって点で。
なので、じゃあ狭いコミュニティで間違いを犯さないように監視状態が過熱して総括が横行するって話なのかなぁと思ったけど、どうやらそうではないっぽい?
というより、ん?主人公って南方熊楠がモデルか?(ワザと50点取る辺り)
熊楠は今の言い方をするならコミュ障、頭が良すぎて周囲がバカに見えて耐えられないタイプかと。
コミュ障やニートが成功する物語ってやっぱりどこかに無理が出るよなぁと感じてた自分としては熊楠はいい所に目を付けた、とは思うけど…そのまんまだと余りに破天荒過ぎて物語が成立しないような?
ってことで、破天荒さを抑えた現代の熊楠物語として受け止めればいいのかなー?と思ったり。

と、そうしてたら3話でとうとうマイナスの意味での違和感(かも知れない)を覚えることが発生。
あれ、普通に退学あるの?
だったら卒業後就職できそうにない連中は全員退学させりゃいいだけの話になっちゃうような?
作中で語られてた「社会から認められる優秀な学校」であるなら、使えないヤツをどれだけ使えるヤツにして送り出すかが重用ポイントじゃないのかねぇ。
一方でそういう問題のあるクラスメイトをどう扱うかってのが連帯責任含めた評価基準なのかな。
優秀な人材を輩出って言ってるから、下っ端の社員じゃなくて上に立って指導する側を育成してるとか?
いやでも高校でそれはどうなんだろう。
ここら辺の違和感については今後に期待かな?

と思ってたら櫛田が本性?を表す。
まーそんなもんだろうとは思ってたけどこれでホっとした。
それまでの八方美人の良い子ちゃんぶりしてたらそりゃあストレス溜まるって。
あぁこの子も普通にストレス溜める普通の子なんだなーと親近感が沸くというか、むしろそっちのがカワイイじゃん、と。
いや待て、そう思われるのを見越してあの振舞いも演技だったりして?綾小路落とすための。
秘密の共有は恋愛の第一歩だし「アイツの本当の顔を知ってるのはオレだけ」ってのは独占欲をくすぐりますからのぅ~。
他の男子にも同じような演技してたとかだったら面白いんだが…さすがに考えすぎかな。{/netabare}

6話までの感想
{netabare}あれ?民事と刑事をごっちゃにしてないか?
学校内で処理する案件ってことでそれらとは別定義なんだろうけど、それを承知した上でも…。
目の前に怪我を負った人が居るって事実は変わらんワケで、その怪我どうしたん?ってのは追及しなきゃヤバい気が。
被害者が取り下げれば無かったことになる、とするなら、いじめがあっても被害受けてた人がなんでもありませんと言えば学校側は「いじめはなかった」と言えてしまうワケで…。
せめて被害取り下げても「捜査機関のお手を煩わせてすみません」というペナが発生しないと…C組の先生なんてメンツ丸潰れやん?

ま、ええねん。
そういう異常なことがまかり通る学校ってことなんでしょう。
予想というか好意的解釈としては生徒会や教師よりももっと権限が上な「黒幕」が居て、ソイツらが観察してニヤニヤしてる…って世界なのかなぁ、と。
進学や就職すらもカバーできるめっちゃ巨大な黒幕。
んで、主人公はそこで作られた強化人間…なのか?
そこに探りを入れるために龍園が事件を起こしてみたって感じなんだろうけど…。
う~ん、クラス間の抗争に終始するのか、学校の制度に切り込むのか、個人的には後者に絞ってくれると有難いのだが、なんか前者だけで終わってしまいそうな予感。
大して面白くもない須藤の件で何話も引っ張ったからねぇ…このエピソード1話でまとめられたんちゃう?

ところでアイリの言った「自分を偽り続けるのは大変」って台詞は、櫛田への当て擦りかなー?と思ったり。
櫛田のみならず、堀北や綾小路へ無意識の内に出た嫌味なんじゃないかなー、と。
自分が綾小路に不快感を持たないのは(たまたま)熊楠みたいなキャラなんかなーと思えた部分に起因している。
とはいえ熊楠も本気で打ち込めること以外には不誠実ってだけであり、綾小路もいい加減本気で打ち込めることを見せてくれないと「ただ斜に構えてるだけ」で段々とつまらなくなってしまいそう。{/netabare}

9話までの感想
{netabare}流石に学校の目的が分からなくなってきた。
いや、元から分からなかったけど、考えるのも無駄な気が。
なんか飽きてきちゃった…最終回までに多少ヒントなりとも明かされる?のか??{/netabare}

全話見て
{netabare}何もやらずにキャラ紹介だけで1クール使い切っちゃった。
ある意味潔いのかも知れないけど、だったら原作付属のOADでやれよと。
設定も真面目に考えるのもバカバカしい。
先輩に過去問聞けるなら無人島も聞けるんちゃう?
どんなカリキュラムがあるかくらい予習しとけよと。
ってかもはやTV番組じゃないか。
やっぱり逐次観察して楽しんでる人が居るような気がするんだが誰も疑問に思わないのはなんだろう。
向き合う対象はそっちじゃないだろ、と。
マジで最近リアルで見たんだけど、タバコの年齢認証の文句(なんでそんなことをしなきゃならんのかって内容)をコンビニのバイトにグチグチ言ってるのと同じ。
生徒同士でいがみ合っても結局「観察してる者」を喜ばすだけちゃうかのう?
ぶっちゃけ生徒同士のポイントの取り合いとか興味ないです。
だってそれで一番になったところで“黒幕”が出てきて「参りました」って言うワケでもなし。
結局ただ与えられたものをこなしてるだけの話で、こんなんなら動物観察の方がまだマシ、知性を疑うことが無いので。
って思うと段々イライラしてきて…最後黒幕にひと泡吹かせるのを励みに見続けたけどそれも無し。
カタルシスが無くフラストレーションだけが溜まる作品でした。
見るんじゃなかった。{/netabare}

投稿 : 2024/09/07
♥ : 9

88.7 2 ギスギスでラノベ原作なアニメランキング2位
冴えない彼女の育てかた Fine(アニメ映画)

2019年10月26日
★★★★★ 4.3 (486)
2460人が棚に入れました
ある春の日、安芸倫也は桜舞う坂道で運命的に出会った少女・加藤恵をメインヒロインにした同人ゲームを制作することを思いつく。美術部に所属していながら、同人イラストレーターとして活動する澤村・スペンサー・英梨々と、学年一位の優等生でありながら、ライトノベル作家として活躍している霞ヶ丘詩羽を誘い、blessing software を結成。やっとのことで一作目を発表した――。英梨々と詩羽は大作ゲーム『フィールズ・クロニクル』を開発するために、人気クリエイターの紅坂朱音のもとへ。blessing software 代表の倫也はサークル活動を継続し、副代表の恵とともに新作の開発を開始した。イラストレーターに後輩・波島出海を起用、プロデューサーを出海の兄・伊織へ依頼し、氷堂美智留と彼女のバンド icy tail とともに新作の開発を進めるが……。英梨々と詩羽の大作はどうなるのか? 倫也と恵の関係に異変が? はたして blessing software の新作の行方は?

声優・キャラクター
松岡禎丞、安野希世乃、大西沙織、茅野愛衣、矢作紗友里、赤﨑千夏、柿原徹也
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

冴えまくり彼女に萌えそびれた私

ついにここまでやってきた!

1期2期を経て堂々完結の劇場版。fine(フィーネ)と言ってる以上終わるもんは終わるのです。
完パケしてるためこれからの方はパッケージで視聴検討されたらよいシリーズものかと思います。

 冴えないヒロインは育ったのでしょうか?

完結編で求められるはこの一点。恐らくダブルミーニングで

1.加藤恵の魅力はさらに増すだろうか?
2.渾身のギャルゲーは完成するだろうか?

しっかり育っての大団円だったと思いますが、どうなるかはもちろん自分の目で確かめて下さいね。


“お約束”を登場人物使ってとことんコケにしながらその“お約束”をありったけ投入し
“オタク”をさんざんをこき下ろしながらもその“オタク”へ注ぐ視線がこのうえなく温かい。
そして加藤恵という唯一無二ヒロインが異彩を放っている作品です。一言で言えば尖ってる。

いったんラブコメとラベリングし経過を辿ればこんな感じでもありました。
1期→ラブ2:コメ8
2期→ラブ5:コメ5
これが劇場版では

 劇場版→ラブ8:コメ2

くらいでしょうか。これまでを踏まえた流れに無理はないしきちっとラブはキュン死不可避でしょう。
なのでTVシリーズからのファンは迷う必要ありません。迷わず行けよ!行けばわかるさ!

ちなみに私はさほどこの劇場版では踊れませんでした。尖っておらず只のめちゃくちゃきゅんきゅんするラブストーリーだったことが理由。

自分の過去レビュー読み返してもみました。どうやらこの作品にはラブtheオンリーを期待してなかったみたいです。己の心の姿勢の問題。
過去の私の評価は1期(3.7)2期(4.1)です。面白いかどうかの分岐は4.0。つまらないかどうかの分岐は3.5として、クリエイターの産みの苦しみとラブコメが調和した2期を高く評価しました。なおシリーズ通して加藤恵に萌えてはいません。
唯一無二ヒロインについては『擬似三次元女子』と評し1期レビューにまとめております。平たく言えば現実には存在しないリアリティ無き女子です。存在に現実味がないため“ラブ”が深いところに刺さらない。響かない。
作品の柱ギャルゲ作りも産みの苦しみはどこかに消え作業ゲーになってました。障害はトモヤくんのサボりですもんね。これは比重をラブに置いた結果ですから仕方がありません。


あくまで私の心の姿勢の問題ですからね。シリーズの流れを逸脱しない自然な展開。劇場版ならではのグラフィック。きちっとタイトルを回収しながらの大団円。本来なら減点要素はない。どれも及第点だったけど自分には引っ掛かりの薄い佳作でした。



※ネタバレ所感

■遅らばせながら…

気づいたこともありました。遅せーよ!

{netabare}ストーリー展開がそもそもギャルゲーだったんですね。
加藤恵を模したヒロインでゲーム作ってるのに、お約束やフラグのギミックで遊んでいるって指摘してたのに、すこーんとこの観点が抜けておりました。

振り返ればエリリルートや詩羽先輩ルートを経てからのメインルートが劇場版の位置づけでした。
ギャルゲと思って1期から振り返ることは意義があるように思えます。{/netabare}


■高校生のスケジュール管理

納期より大事なものはあるっ!→いやそんなもんねーよ!
自由すぎるトップに翻弄されてた加藤恵が工程管理表を手にしていたのに驚いた。有能ですねこの子。

{netabare}項目を大中小分類に分けていて、分量(カット/差分)、月での区割り(上旬中旬下旬)のシンプルなやつ。

ええ一時停止してガン見しました。高校生にしてゴールから逆算して考える発想があることに驚き。
それでも人生の先輩ヅラしておせっかいを焼きたくなりましてちょっと失礼…

 {netabare}追加したほうがいい項目 → 担当者、予実、マイルストーンいやクリティカルパスかしら
 修正したほうがいい項目 → 区割りを日単位{/netabare}

自由人を縛れるかはまた別の話っす。{/netabare}


■エモかったとこ

もっとも胸を締めつけられたのはここ

{netabare}エリリが「トモヤがいても描ける」と淋しそうに目線を落としたところ

想い人との関係が深まるのと反比例しイラストが描けなくなってったエリリでした。クリエイター魂を優先し袂を分かった2期のクライマックス。整理すればエリリルートの終焉。
それが今は描ける。ちょっとしたボタンの掛け違いで別れる関係もある。今だったら素直に飛びこめるのに、でも今の自分があるのはあの時の別れがあったから。このジレンマがたまりませんでした。{/netabare}


■紅坂朱音(CV生天目仁美)のお仕事

ほんとにトモヤの…ひいては作品の魅力はこれでした。

{netabare}「クソみてぇなキモヲタの妄想を垂れ流せるのがお前の強みなんじゃねーか」{/netabare}

{netabare}「鳥肌が立って恥ずかしくなって目を背けたくなって…」
「それでも読めちまうのがお前のクソシナリオなんじゃねーか」{/netabare}

{netabare}「真のキモヲタは絶対お前についてくる」
「今は上手くなろうとするな」
「キモいまま突き進め」
「てめぇの妄想をそのまま垂れ流せ」{/netabare}

S.ジョブズの劣化版みたいなキモヲタ主人公のキモイ情熱をもっと見たかったのでした。
でもそれを望むのは酷なのかも。ヒロインと一緒に陰キャの代表選手みたいなキモヲタも人間的に成長したものと思うようにしました。

末永く爆は…いやなんでもありません。



※閑話休題

なんだったんだろう?

{netabare}題字協力 松岡禎丞 茅野愛衣{/netabare}



視聴時期:2020年10月 

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2020.10.28 初稿
2021.08.26 修正

投稿 : 2024/09/07
♥ : 49
ネタバレ

シン☆ジ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

うん。。ヒロインもいいしエピソードも楽しい。ラブコメの名作と言っていいんじゃないかな。

 
終わったと思った『冴えカノ』の続編で劇場版。
fine(フィーネ)はイタリア語でendの意味。
DVDレンタルで視聴。

う~ん、TV版のラストをよく覚えていない・・
ま、いいかw

■エピソード

そっか、blessing softwareのメンバが刷新されたんだっけ。

~{netabare}
出だしは『icy tail』のバンド演奏・・
色んな要素を盛り込んでますね。
ガールズバンドものは好きだからいいけど。
その部分のエピソードが薄いのは仕方ないか。

2期での大ごとである、詩羽と倫也のキス・・
ドラマチックな展開でズルズル引きずるかと思ったら、
居酒屋で加藤がいるの目の前で、露呈。
しかも、あっさりコメディタッチでw
なんかドロドロしなくて個人的にはホッとしました。
ラブコメはこうでなくっちゃw

それなのに倫也にサンドイッチを作る加藤・・
それを食べ残す倫也も、おいおい、と思ったけど、その食べかけのサンドイッチを食う加藤。
せめてもの関節キッスと、詩羽にはできないことを密かにすることで自分の留飲下げる行為ってことかなw

オタクとはいえ倫也のヘタレ加減に辟易。

紅坂の入院によりマルズのゲーム製作が頓挫・・
倫也が交渉・・いいねこの先が読めない裏切り展開。

エリリと詩羽を助ける倫也・・
加藤、そこはスネるんだ。へー。
キスは流した風に見えて、実は不満がたまってたのかな。

加藤が倫也を呼んだセリフが無音・・
どう呼んだのか。「安芸クン」?「倫也クン」?
この口の動きはきっと・・

物語開始から1時間14分・・
blessing softwareに戻る倫也を送り出したエリリと詩羽。
と、突然、画面がブラックアウトしエリリと詩羽が倫也に助けを求めるかどうかを話し合うシーンに逆戻り。
え・・・タイムリープ?別ルート?ラブコメでこれは新鮮w

いや・・
違う・・のか。
これは、触れられなかった二人の会話。
倫也をメインヒロインルートへ戻してやろうという。
手法としては珍しくないけど、ジーンときた。

家の前で加藤と再会する倫也・・
住宅街の路地。憤懣やるかたない加藤。
 倫也:『それに、安芸クンに戻ってない』
・・やっぱそうか。
 加藤:『これだけ怒っているのに、他人行儀な怒り方、できないよ』
・・名ゼリフ。
遂に告白。
 加藤:『合格、だよ』

次は加藤の回想シーン・・
これまでのモヤモヤした気持ちも一気に解消する、
ヒロインの待ち望んだイベント。
 加藤:『違わないよ、倫也クン』・・
    『私の、望んだとおりだよ』
 二人:『いっせーの・・』
うん、ラブコメはこうでなくっちゃw

ええと、残り15分あるのにエンドロール・・・
そこに小田和正の『ラブストーリーは突然に』の文字が。
え?使ったっけ?

エンドロール後にエピソード・・・
なんだこれ・・
加藤は夢を追う倫也が好きだったの?
詩羽と再会・・

きた!『ラブストーリーは突然に』
・・そういうことかww

詩羽ルートは自分も望むところなので劇中での宣伝なのは残念ではある。

エリリや詩羽以外、例えば美智留や出海などの悲哀も、もう少しあっても良かったけど、ドロドロし過ぎず明るい作風とメインヒロイン推しを貫いた姿勢は好感が持てました。

モヤっと書きましたが、{netabare}俺ガイル{/netabare}と比べてしまってますw・・いい悪いではなくて。

それにしても・・
{/netabare}~

うう・・か、加藤、かわええw

展開とかセリフとか、やっぱ一味違う。

終わり方も自分好みで良かったw

やっぱラブコメはこうでなくちゃww
(しつこいですがw)

★エンドロールの後もお見逃しなく ^^


 原作:ラノベ
 キャラデザ:高瀬智章
  FGOも担当。原画や作画監督はTo LOVEる、
  WORKING、SAO、化物語なども。
 制作:CloverWorks
    A-1 Picturesの血統だけあって安定。
 封切:2019年秋
 視聴:2020年秋 レンタル

■キャスト
~{netabare}
松岡禎丞(倫也)
 さすがに演技は安定。
 ちょっとキリト感を感じてしまったけど
 視聴の邪魔になる程ではなかったかな。

安野希世乃(加藤 恵)
 別のレビューやBEST10でも触れていますが、
 かくしごと(ラスナ)も良かったし、今回も
 正統派ヒロインを堪能させていただきました ^^

大西沙織(澤村・スペンサー・英梨々)
 ダンまち(ヴァレンなにがし)とは
 違ったキャラも楽しませていただきました ^^

茅野愛衣(霞ヶ丘 詩羽)
 かやのん、もうホントにマジ天使 ><

矢作紗友里(氷堂 美智留)
 元気っ娘といえば矢作さん、的なw
 ハマリ役かと。

赤﨑千夏(波島 出海)
 段々メインヒロインが増えてきていますねー。
 今回も別ルートがあってもいいキャラかと。
 外伝求ムw

生天目仁美(紅坂 朱音)
 パワフルなキャラはさすが。
 一騎当千(関羽)、俺妹(沙織)、
 このすば(ちょむすけ)、
 宝石の国(スフェン)、
 エグゼロス(ニョタイカ蟲)・・・
 結構お世話になってます ^^;
{/netabare}~

冴えカノも、これにて終幕・・か。

シリーズ通して、名作と言っても過言ではないかと
 

投稿 : 2024/09/07
♥ : 26
ネタバレ

はあつ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

誰もが悶絶するヒロインの描きかた

映画館でこんなに顔が火照った事はない!
萌えて悶え過ぎて顔がゆでダコのようになりました。

ヒロイン「加藤 恵」が可愛すぎる♪♪♪

ここまで徹底したあざとい可愛さは見事と言うしかない!

主人公が力説する「オタクにとっての理想的なヒロイン」

私も含めた2次元オタク男性が萌えて悶えて魅せられる「恋する女の子キャラ」を描き上げる為に構築されたアニメシリーズの最終章であり最高潮の仕上がり。

テレビドラマ2クールで、クリエーターとしての才能と尖った個性を持つヒロイン達を魅力的に描きつつ、唯一目立った才能が無い普通の女の子でありながら、抑えてきた感情のインパクトある露出によって存在感を示したメインヒロイン。
その彼女の清楚で可憐な魅力が劇場の大スクリーンで満開に花開きます。

本シリーズの脚本構成を担当されたのは丸戸史明氏。
恋愛物としては、同じ丸戸シナリオで個人的に傑作だと思う「WHITE ALBUM 2」に比べると、主人公の(CV松岡さんのイメージも手伝って)ハーレム的ご都合感は拭えませんが、ヒロイン達が主人公を好きになる要素は俺Tueee系より断然説得力があり、丸戸氏がゲームシナリオ作家として培ってきたノウハウを活かすゲーム仕立てのプロットで、ヒロイン達の切ない恋の進退をドラマチックに纏め上げてます。
(ちなみに丸戸氏のギャルゲーが原作の「WHITE ALBUM 2」は、楽曲を織り込んだストーリーと演出、中盤の盛り上げや鳥肌物のラストの脚本構成も合わせ1クールの恋愛アニメの中では神懸かった出来映えです!)

加えて、ゲーム作りに纏わる主人公やヒロイン達の言動には、ゲームシナリオ作家として歩んできた丸戸氏のクリエーターとしての情熱が伝わり見応えがあります。
{netabare}(倫也の書いたゲームシナリオを紅坂が豪快に笑い飛ばすとこなんて、青臭い頃の自分を振り返りつつ自分の道程を肯定的に受け止めている様でクリエーターとしての矜持を感じる。){/netabare}

また、登場人物にゲームシナリオを演じさせる様な客観的なセリフは、丸戸氏ならではの視聴者へ寄り添う遊び心があってユニークでした。

《作画》

テレビ版から背景も含め綺麗な作画で、挟まれるパステルチックなカットもお洒落。
そして本シリーズでは何と言っても、アイラインのカラーが特徴の女子キャラの描写に力が入ってます。
弾力感が伝わる肉感的な体のライン、あざと過ぎる可愛い仕草やエロいポーズをふんだんに描く事で萌えに徹してます。
かがんで見せるたわわな胸の谷間、テーブル下で絡み合う脚線美・・フェチなアングルも堪りません。
アニメと無縁の女性に鑑賞させたらセクハラになります♪

《音楽》

春奈るなさんの主題歌を初め、声優さん達の劇中歌も多く、ヒロイン達の恋心を盛り上げてます。
エンドロールの挿入歌に「ラブ・ストーリーは突然に」とあり、いつ流れた?と思ったら・・・オッサン世代へのサービス♪

《特筆声優さん》

今回の劇場版ではメインヒロイン役、安野希世乃さんの透明感のあるクリスタルボイスにキュンキュンさせられました。
安野さんは歌も上手いですね。今作の挿入歌も良かったし先日まで放送の「ソウナンですか?」のEDも好き♪

《キャラ》

よく泣く主人公は、女々しく感じ好きになれませんでした(同じオタクとしての妬みか^^;)が、ヒロイン達には制作スタッフの思惑どおりブヒブヒと鳴かせていただけました。

以下は萌えブタのネタバレ鳴き(見苦しいのでお許しを)
{netabare}
スカイプでの会話で「とっくにフラグは立ってる」(2期終盤の坂道での二人を見てる視聴者への完全表明)にまず、
ブヒー♪

ホームでただの手つなぎから恋人つなぎに!
ブヒブヒブヒー

誕生日デートの約束に「どうなっても、し~らないよ~♪」
ブヒブヒー

名前呼びを指摘されて
「それのどこが悪いの!」
倫也以外にも♭じゃない態度露出で、
ブヒブヒブヒー

2人の初めてのキスシーン
「タイミングがずれただけだよ」
ブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒー
「「いっせーの!」」
ブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒーヒーヒーヒーヒー

「私の事、好きだった~?!!」のエリリにも、ブヒブヒブヒブヒブヒー(泣)
(ちなみに1期では私、エリリ推しでした(^^;) エリリと詩羽先輩の、二人が居たからこその恋の引き際も、切なくも素晴らしい魅せ方でした!)

ラストのエンディング曲中
「あなたが望むメインヒロインになれたかな?」
ブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒ悶絶ー

正直オマケパートは折角の余韻が冷める蛇足だと感じましたが、クールダウンしたのは良かったかも知れません。
あのまま直ぐ映画館を出てたらどんな顔をしてたやら
(*^^*)

「回収しとくね♪」のキスにも
ブヒブヒブヒブヒブヒブヒブヒー♪{/netabare}

投稿 : 2024/09/07
♥ : 27

70.6 3 ギスギスでラノベ原作なアニメランキング3位
ツルネ ―風舞高校弓道部―(TVアニメ動画)

2018年秋アニメ
★★★★☆ 3.5 (259)
1047人が棚に入れました
「弦音」=ツルネ。矢を放ったときに鳴る弦の音。射手にとって美しい弦音を響かせることは喜びであり、その美しい音は人の心をとらえて離さない。同一人物が、同じ道具を使ったとしても同じ弦音を発することはできず、まさに一期一会。一射一射が、一生に一度の<出会い>と<別れ>である。鳴宮湊にとって、弦音が全ての<出会い>の始まりとなった……。果てのない弓の道を歩み始めるのは、若葉のように瑞々しい高校1年生の少年たち。彼らは弓道を通して一生に一度、かけがえのない経験をし、<仲間>を手に入れていく。

声優・キャラクター
上村祐翔、市川蒼、鈴木崚汰、矢野奨吾、石川界人、浅沼晋太郎、小野賢章
ネタバレ

雀犬 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

弓道の良さとは・・・

【注意】これはアンチ専用レビューです

→→ 概要 →→
「ツルネ」は2018の秋クールにNHKで放送された弓道アニメです。制作は京都アニメーション。

 主人公の鳴宮湊は小さい頃から弓道の魅力に魅せられ、中学生時代は名門校で活躍していました。しかし中学最後の大会で彼は大きな失敗して自信を失い、早気(はやけ)に陥る。早気とは弓を放つタイミングを図れなくなる重度のスランプで、「会(かい)」という弓を引いてから矢を放つまでの動作ですぐに離してしまう状態を言います。

 それから転校をして弓から遠ざかろうとした彼が、立ち上がったばかりの弓道部で新しい仲間とともに再起を懸ける…というのがストーリーの大筋です。


→→ 葛藤を描くこと →→
 思うに、この作品は最初の設定で失敗しているのではないでしょうか。物語の開始時に主人公が心に鬱屈としたものを抱えているという設定は珍しくないし、傑作もあります。ただ問題は彼の抱える悩み、早気が弓道の中で閉じてしまっていることです。弓道は専用の道具と場所が必要であるため、弓道部に所属した人でない限り、視聴者にとって未知の世界です。そのため彼の苦しみを一緒に共有することはなかなか難しい。

 心理学者のアドラーは「人間の悩みは全て対人関係の悩みである」という言葉を残しています。こういった一般の人があまり経験しない苦しみは、人間関係の悩みと重ね合わせるのが創作の基本ではないでしょうか。

 例えば将棋マンガ「三月のライオン」の主人公も神童、将来の名人と嘱望されておきながらプロ入りしてからはなかなか結果を出すことができず苦しんでいる青年です。主人公の設定はツルネと少し似ている。しかし「三月のライオン」は主人公の複雑な生い立ちを徐々に明かしていくことで、たとえ将棋を知らない読者であっても彼の苦悩を十分に分かち合うことができる構成になっています。

 登場人物の抱える苦悩や葛藤は友人・家族・恋人といった人間関係の悩みと一体化させなければ効果的ではないように思う。本作の早気は競技における苦しみであって、薄情なことを言ってしまうと視聴者からするとそれ以上でもそれ以下でもない。画面の中のキャラクターに視聴者が十分に共感ができてこそ、苦しみを乗り越えた後の「雨上がりの虹の美しさ」を表現できるのではないでしょうか。


→→ 弓道というテーマ →→
 正直言うとこのアニメを見ても弓道の魅力はあまり伝わって来なかった。繰り返しですが、弓道は知名度は高くても実際に経験したことのある人は少ない競技です。弓道をテーマに据えるのであれば、その良さを視聴者にプレゼンする人がある。でもこのアニメはどうもプレゼンに失敗しているように思えてならないのです。

 マイナースポーツをテーマにするとき無難なのは主人公を初心者にしてしまうことです。これなら主人公の目線と視聴者の目線がずれないため、作品への導入がスムーズに進む。競技カルタの「ちはやふる」、なぎなたの「あさひなぐ」などマイナースポーツを題材にした漫画の代表格も、主人公とその競技との出会いから物語が始まる。

 しかしこのアニメはほとんどが経験者。なんと初心者は小野木という男が1人を残して全員、部から追い出してしまう。「やった!モブキャラを描く手間が減った!」と作画スタッフは喜んだかもしれないがお話としてはまずい方向に進んでいる。視聴者のほとんどは弓道は未経験なのだから、弓道の道具に触れたときの戸惑い、的の前に立った時の胸の高鳴り、初めて的中させたときの感動などを味わえるシーンは必要でしょう。

 でもたった1人残った初心者の遼平クンはあまり目立たない存在で、小野木にガミガミ言われる子分キャラ。貴重な未経験者なのに彼の視点で先に挙げたようなフレッシュな感動を表現できている場面があったでしょうか。この扱いはあんまりじゃないかな。

 それにもう一つ、この作品は対立の構図が弱いんだよね。武道とスポーツ、名門校と弱小校、経験者と初心者、天才と努力家、男性と女性、若者とベテラン。どれでもいい。こういった二項対立を活用して、弓道という題材の魅力をアピールするべきだったと思う。「ツルネ」はどの要素を掘り下げることなく中途半端なまま13話という短いようで長い時間を使い切ってしまった。最終回は{netabare}個人競技と団体競技{/netabare}という対比をうまく表現していて面白かったです。最初からこのクオリティなら名作になる可能性も十分あったのにもったいないと感じます。


→→ ギスギス感 →→
 本作最大の問題が弓道部の空気の悪さです。早気に苦しんでいる主人公に、いつもイライラしている小野木という男が「足手まといは辞めてしまえ」とばかりにいちいち噛みついてくる。これだけでもかなりきつい。この小野木、弓道を愛しているとうそぶいているくせに元々は弓道部がなかった風舞高校に入学するという設定的矛盾を抱えている。作者は一体何を思って彼をこんな性格の悪い人間にしたのだろう…

 幼馴染みの竹早は陰湿で「湊を泣かすことなんて造作もない」などと暴言を吐く。おまけにストーカー体質。主人公の受難は続く。遼平は小野木にガミガミ言われてる不憫な子だし、ジャニーズ系の七緒はキャラが型にはまりすぎていて実際のところ何を考えているのかよく分からない。彼を掘り下げる回がないため、悪い奴じゃないんだけど言うことが若干嘘くさく感じてしまう。

 顧問のトミー先生はのほほんと見守るだけ。まさか平成の終わりだというのに「~じゃのう」などというジジイしゃべりをするキャラをアニメで見るとは思わなかったんですけど。イケメンコーチの雅さんは男子部員に罰ゲームとして「下僕」とデカデカ書いたシャツを着せて使い走りにするというパワハラを行う。彼の笑顔はなんだか作り物のようで怖い。

 このように風舞高校の弓道部はギスギスしていて非常に空気が重い。その元凶といえる小野木も、鳴宮が真摯に弓道に取り組む姿を見て態度を軟化させていくのだけど、息つく間もなく中盤にはなにかと因縁を付けてくる双子の超煽りキャラがライバル校に登場する。この双子の鬱陶しさは筆舌に尽くしがたい。小野木にしても噛みつく相手が身内からこの双子に変わっただけと言ってよい。青少年の健全な心を育成するのが武道だと思っていたのですが、みんな煩悩だらけじゃん。

 この淀みに淀んだ空気を変えてくれるのは女の子しかいない!という思いも空しく、風舞高校の女子弓道部員は可愛いことは可愛いのだけど、本作では完全に脇役扱い。「ツルネ」の公式ページを見ても、男子部員は1人ずつページがあるのに女子は「女子弓道部員」の項目で3人セットでの紹介。"何らかの大きな力"が働き、女子は個人戦で弓を引くシーンすらカットされる。お互い「男子」「女子」と呼び、ほとんど名前で呼び合うことがないから最後まで見ても女の子の名前を覚えられなかった人が多いのでは。極端な話、「弓道女子A」「弓道女子B」「弓道女子C」でも十分なレベル。

 このアニメを見て弓道をやりたいと思った人はどれだけいるのかな…


→→ 匂い系 →→
 さて、ここまでは通常の高校部活ものとして感想を書いてきたけれども、この話題に触れないわけにはいかないでしょう。ツルネは「匂い系」というジャンルに入る作品です。「匂い系」とはやおい用語で、はっきりボーイズラブだと描写しているわけではないのだけれども、そう受け止めてあれやこれやと腐女子に妄想させてしまう作品群を指します。(そもそもボーイズラブはイケナイ妄想を楽しむものらしい)

 別にBLそのものを否定するわけではないけれども、本作の欠陥はBLで全てが説明できてしまうのが悲しい。

 主人公の湊、彼が女の子だったらどうなるか。若いイケメンのコーチ雅サンにドキドキしてしまう女子高生で、それに幼なじみで密かに主人公(♀)に恋心を抱く竹早クンが雅サンをライバル視してしまうという構図になる。不愉快なキャラ小野木も仮に女の子だったなら雅サンと仲良くする主人公(♀)にジェラシーを感じているイヤなお嬢様キャラの立ち位置に落ち着く。まとめると、

・鳴宮 → 年上の男性に憧れてしまうヒロイン
・雅貴 → イケメンのコーチ
・竹早 → ヒロインが実は好きな幼なじみの男の子
・小野木 → コーチをGETしようと必死なお嬢様系ライバル

というベッタベタの少女漫画構図が浮かび上がります。これを全員男にしたのが「ツルネ」という作品の正体なのです。何のことはない。女を男にひっくり返した結果、破綻しただけのお話です。

 少年同士のカップリングを脳内でさせることばかり頭にあるからか、武道の奥深さ、思春期の複雑な心理、努力と友情の大切さ、何かを直向きに取り組む充実した時間などなどスポーツ青春アニメに本来あるべきものがこの作品には不足しているように感じました。こんな「少女漫画の下位互換」でしかないボーイズラブアニメをどうしてわざわざNHKでやろうと思ったのか。京アニさん、本当にしっかりしてくださいよ。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 35
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

1枚の絵画たれ

[文量→大盛り・内容→雑談系]

【総括】
弓道アニメは、初めて観ました。なかなか面白かったです。

あえて、弓道の(技術的な)マニアックな部分を省き、精神的な部分やキャラクターの成長に焦点を当てている感じがしました。よって、弓道若葉マークにとっては見やすくなっている気がします。

一方で、弓道経験者にとっては、物足りなさを感じるのかもしれません(いや、分かりませんが)。

あと、若干ホモホモしい感じもするので、嫌な人は嫌だろう(私は視聴断念するほどの不快感はなく、ギリ友情の範囲内かな)と思いました。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
武道を追求する上で、「勝つためにやるか」「武道の真髄を表現するか」というのは、多くの武道家が悩むこと。

「1枚の絵画たれ」というのは、私の恩師の言葉。曰く、「剣道を極めていくと、その立ち姿は1枚の絵画のように美しくなる。我々剣道家は、最終的にはそこを目指さなければならない」。

警視庁に出稽古に行った時に、警視庁の名だたる師範の先生を評して、「1枚の絵画」と表現していた(ちなみに私の恩師も、後に、剣道の最高段位、合格率0.1%と言われる八段を取得した名剣士です)。

本当は、「美しさ」と「強さ」は両立する。

理屈ではそう分かるものの、その領域にいけるのは本当にほんのわずかで、多くの選手はどちらかに傾倒していくことになる。剣道では、勝つことに特化して、形の美しさや礼節などを軽視した剣道を「当てっこ剣道」「スポーツ剣道」と揶揄することがある。

(弓道には詳しくないので、もし間違っていたら訂正してほしいのだが)弓道は剣道以上に「勝つこと」以上に「美しさ」を重視している武道だというイメージがある。

「射形」「弦音」ということが、本作ではかなりフォーカスされていた。

(詳しくないことに対してあまり偉そうに言うのもなんだが)アニメを観ている範囲では、確かに、鳴宮や藤原の「射形」は、「美しい」と感じた。その美しさはおそらく、(工芸品などにおける)「用の美」に近いのではないだろうか(用の美とは、機能美から合理性を引いたものという感じ)。

「美しくあるために美しい」のではなく、「的に当てる」ことを追求した「結果として生まれる、美しさ」。とはいえ、的に当たれば何でもいい(合理的なだけの)わけではなく。

私の師匠は、「剣道の試合とは、相手を打つのではなく、審判の心を打つもの」だと教えてくれた。剣道にも一応「一本の基準」はあるものの、そこまで厳密ではなく、ようは「審判が一本だと思ったら一本」なので、「審判を感動させられたら勝ち」とも言える。

弓道の試合で面白いと思うのが、ポイントが「1」と「0」しかないところ。もし「的に正確に当てる技術」を厳密に評価するなら、アーチェリーのように、的の中心ほど高い点数にするのが合理的である。しかし、弓道は、的に当たりさえすれば、中心だろうが端だろうが同じ点数。

もしかしたらこれは、「最低限的に当たる程度の技能」があれば、あとは「美しさ」を追求できるようにした、「あそび」なのではないだろうか(車のハンドルのあそびと同義)。

そういう意味で、「競技としての勝ち負け」と別のところで、「弓道としての勝ち負け」があるのでしょう(射形や弦音の美しさで感動させる)。だとすれば、素敵な武道だと思った。

さて、いくら雑談系だとしても、弓道の部分だけでなく、アニメの部分にも少し触れよう(苦笑)

私はスポ根好きなので、もっと熱い展開や、技術的にマニアックな部分を見たかった。あと、ヒロイン要素が欲しい(笑) だから、高評価はしていない。

けれど、今まで縁遠かった「弓道」の世界に触れさせて頂き、色々と考えることができたのは、ありがたかった。

ひとつ、「武道として共通点」を感じたのが、最終話で、「優勝したのに、会場を出るまでは喜びを表さない」風舞の面々。あれは、武道の描写として非常に正しい。剣道でもそうだけど、強いチームは、優勝を決めたその瞬間さえ笑顔を噛み殺す。ガッツポーズなんて、絶対にしない。喜ぶのは、少なくても会場の外。下手すりゃ、帰りのバスに乗ってから。それは、敗者への配慮。どこまでも、礼を尽くすのが、武道。

だから、(日本の武道で断トツの露出度を誇る)柔道の国際大会とかで、優勝した選手の決める派手なガッツポーズなど見てると、違和感を感じてしまう(学生の大会とかならまだしも)。未だに記憶にあるけど、北京オリンピックで負けた鈴木桂治選手が、帰り際に会場のパーテンションを帯で思いっきりぶっ叩いたのには、衝撃を受けた。それが、日本選手団の旗手を務めるほどの、超一流の武道家の振るまいか。本当に、風舞の選手達を見習ってほしいな。

あれ? やっぱり武道の話に(苦笑)

まあ、雑談系なんで許して下さいm(._.)m
{/netabare}

【余談~ 剣道部の弓遊びw ~】
{netabare}
昔、部活前の暇な時間に、部室で弓を射って遊んでいました。実は、竹刀に使われる材料だけで、簡単に弓を作る事ができますw

①(壊れた)竹刀をバラバラにする。
→竹刀は4本の竹が組み合い、1本になっているので、弦や柄といった装具を全部外してバラバラにします。

②そのうちの1本を弓にする。
→バラバラになった竹の上下に、錐で穴を空ける。竹をしならせ、空いた穴に弦を通し、竹の外側でたま結びにして固定する。

③余った竹で矢を作る。
→竹をノコギリで3分の2程度の長さにする。その際、竹の細い方を残す。切断面に切り込みを入れて、弦が掛かるようにする。場合によっては、竹を縦に割いて、ヤスリをかけると良い矢になる。

これ、結構殺傷力がエグくて、2~3mくらいからなら、ベニヤ板貫きます(笑) うちらは段ボールで的作って遊んでました。

余談ですが、日光江戸村の弓矢のアトラクションは全部当てて、マグカップもらいました(笑)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆3
なんか、ホモホモしいな。イップスみたいなもんか。

2話目 ☆3
本気になったら泣かすなんて造作もない。特に、ドラマもなく戻るのは良いね。

3話目 ☆4
シンプルながら熱い展開。

4話目 ☆3
下僕ティー。個人攻撃かい(笑)? 武道にはこういう儀式的なやつはあるよね。

5話目 ☆3
ここまでやられたら、よほど信頼している相手以外だったら、ついていかないよな(まだ早い)。嫌味のない作画の良さ。

6話目 ☆3
復讐。守破離というやつだな。

7話目 ☆3
弓道って、競技人口どんなもんなのかね? 剣道も似たようなもんだよ、声援とか。

8話目 ☆4
的の先を見る。イップスの克服。弓を愛してない。

9話目 ☆3
なるほど、単なる友情(ホモ)ってわけじゃなく、事故に関わった、贖罪の気持ちもあるんだな。

10話目 ☆2
甲虫(笑) あまりにホモホモしい(汗)

11話目 ☆3
これでもかというくらい、順調にいかないな(笑)

12話目 ☆3
ホントに、メンタルメンタルメンタルメンタル、な。

13話目 ☆3
まあ、弓は竹刀よりもずっとシビアだろうな。まあ、メンタルの繋がりだよね。ここでもう、勝たしちゃうのか。負けた後の動作は、流石に武道。そうそう、ガッツポーズは会場を出てから。ちょっと桐裂の先輩、物分かりが良すぎ。
{/netabare}

投稿 : 2024/09/07
♥ : 37
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

弓道を求道するに能はず

2019.01.26記


原作未読 全13話


『進撃の巨人3期』⇒『ツルネ』⇒『ピアノの森』と連なるNHKアニメ放送リレー。
進撃の頃から災害報道・選挙特番といった公共放送らしい理由による放送回スキップの影響で、2018年10月22日 - 2019年1月21日と中途半端な日程での放送となりました。進撃観てなきゃ危うく見逃しちゃいますよ。一方で一通り他作品が終了してからクライマックスを迎えるのは悪いことではないかもしれません。


出身の高校に弓道部があったり、家内も高校では弓道部だったりとそれなりの縁を感じたことが視聴動機。なにより袴姿というものは美しい。

弓を引いた時の音“弦音(つるね)”を聞いて弓道を始めた少年が、中学時代に“早気(はやけ)”イップスの一種に罹り一時期は弓を置いてしまう。そんな青年鳴宮湊が、新設の弓道部の仲間たちと再生を図っていく友情物語です。

言うほど京アニ制作はトリガーにはなりませんでした。むしろ男子5人組が主軸で、武道を扱って『Free!』みたいなのを見せられたら敵わんな・・・という不安が強かったと思います。
どういうことかというと、男子同士のあっさりとした友情物語と、心・技・体の一致を目途とした武道の世界との相性の悪さを気にしてたのです。もちろん京アニが自身の過去作をトレースせずに、ユルめの友情物語とは一線を画す物語を製作するという選択もできたと思いますが・・・

その不安は的中します。

なお作品自体は“不可”ではありません。
・マイナースポーツを扱っている。ルール説明があり競技の理解に繋がっている。
・所作や型は綺麗。動作の前後含めて弓を引く姿に違和感がなくリアリティが保たれている。このへんはさすが京アニといえる。
・締めも前向きさを感じさせる良い纏め方。
小さく纏まった感じでした。実力者京アニが弓道をそれなりに取材をして持ってる引き出しを流用しただけ、といったところでしょうか。“型”を突き詰めた描写がないことで競技の根っこの部分が最後まで伝わらず、無難過ぎて“弓道である意味”を見出せませんでした。素材の物珍しさで興味を引いたはずなのにもったいないという印象です。


“弓道である意味”を作品に期待することは求め過ぎでしょうか?

武道(柔道、空手道、剣道、相撲、弓道、合気道、なぎなた)に共通するのは、単に技術を磨くだけでなく、人としての成長をめざすことにあります。“競技の勝敗だけではないよね~”自分が武道をしていなくても広く日本人に共有されてる概念になるでしょう。
なかでも弓道は相手との接触がなく、より自分の内面と向き合うことでの心の在り方に重きを置いてます。ここで見せられるはずだった凄味が決定的に足りない。具体的には、
1.弓道と一体化したようなキャラが不在
2.鍛錬している姿が欲しかったなぁ

Mr.弓道みたいな弓道と一体化したような超越キャラがいても良かったのに。候補となる藤原愁はそれに及びませんでした。{netabare}幼少期の湊との関係が伏線にはなってたものの、{/netabare}強さの源泉に触れる描写はなかったと思います。マサさんも初登場が悪くはないんですが、{netabare}主人公そっちのけで葛藤するキャラと化し、それが物語の肝だったりするためツッコむのも無粋な話と理解しつつ、{/netabare}もっと超然としていてほしかったなと思います。佇まいだけなら桐先高校の主将さんはいい雰囲気でしたね。むしろご老体3人組が最も具現化されていて、なんだかなぁといった感じでした。

鍛錬している姿も同様です。人間関係に重きを置き過ぎておざなりになっていた領域でした。
{netabare}部に入る入らない、弓道するしない、反目するしないの群像劇をやってるうちに6話から大会が開始して・・・{/netabare} 競技の魅力を伝える暇がありませんでした。競技の難しさを早気という素材を通じて訴えかけてくるものはあったものの、いかんせん“足りない”のです。


先入観が邪魔してる可能性はあります。ここまで全て、私の武道への期待値に対して“足りない”といっただけの話です。気にしなければ気にならないでしょう。
朝青竜の勝ち名乗り後の雄叫びや、柔道国際大会で優勝した日本人選手のガッツポーズやくだけたインタビューにひっかかりを感じなければ、全くの杞憂かと思います。繰り返しますが、全13話。ほどよく纏まっている佳作ではあります。

なまじクライマックスの攻防が良いだけに、そこまでの段階の踏み方に素材(弓道)を活かしきって欲しかった。
細かいところでは、小野木海斗のイライラ設定も底が浅いし、千一・万次兄弟も高校部活ではあるまじき悪態のつきっぷりと、武道を嗜む者のメンテリティとして私にとってはそうとう違和感があったのは事実です。キャラの良し悪しというよりも、「これだったら別に他のスポーツ例えば水泳でもいいじゃない」ってことなんだと思います。


会場に日本人が入ると空気が変わる。国際大会で畏敬の念を持たれる存在。それが柔道における日本人である。こう喝破したのはスポーツライターの金子達仁氏でした。
諸説あるものの、スポーツマンシップを超えた柔道家としての矜持あればこそ、ラシュワンは山下の右足を執拗に攻めることはしなかったのです。
競技は違えど、〇〇道と名のつくものに通じる精神の一端でも垣間見えればまた違った見方もできたでしょう。取材はしたけど表層しか見てなかったのか、またはエンタメする上で敢えて削ぎ落としたのかはわかりません。
道場に飾ってあった『礼記射義』に触れてくれても良かったのに。

なんか悔しい。もったいない。

実力者こそチャレンジャーでいてほしいと思う次第です。
期待の裏返しってやつですね。ちょっと概念的な感想でしたが読んでくれてありがとうございます。



※以下おまけ

■そっち方面に振り切っても良かったのに
弓道部の多くは先輩が後輩を一人面倒を見る“師弟子制度”を導入しています。新設で同級生同士の風舞高校は厳しいとしても、伝統校桐先高校では導入してても良かったのにそういった描写はありませんでした。
どうせ作風から腐だ腐だBLだ!言われるんだったら、そっち方面に振り切る材料があったのですが、さすがにそれはやり過ぎ?

■モブ?
白菊さん。
{netabare}下僕Tシャツの男どもへの頼み方が板につき過ぎてたり、大会での全外しや、不遇の女子部員のなかでは印象に残るキャラクターさんでした。{/netabare}

■弓道キャラさん
そういえば弓道部キャラって女子のイメージが強いですね。静謐さだったり凛とした強さを備えた子って感じ。

{netabare}『艦隊これくしょん -艦これ-』加賀、赤城
『アイドルマスターシンデレラガールズ』水野翠
『ラブライブ!』園田海未
『ちはやふる』大江奏(仮){/netabare}



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2019.07.03追記
《配点を修正》



視聴時期:2018年秋期(ややズレありのリアタイ視聴)

そういえばNHK放送リレーは『ピアノの森』⇒『進撃の巨人3期の後半』の進撃全10話をもって通常スケジュールに戻りそう。

投稿 : 2024/09/07
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