ギクシャクでオーディションなTVアニメ動画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画のギクシャクでオーディションな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月05日の時点で一番のギクシャクでオーディションなTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

78.6 1 ギクシャクでオーディションなアニメランキング1位
この音とまれ! 第2クール(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (271)
1015人が棚に入れました
廃部寸前の時瀬高校箏曲部。一人になってしまった部長のもとを訪れたのは不良少年とその友達、そして箏の天才少女だった。それぞれの箏の音が紡ぐ青春学園物語―

声優・キャラクター
内田雄馬、榎木淳弥、種﨑敦美、細谷佳正、石谷春貴、古川慎、井口祐一、松本沙羅、浪川大輔、金尾哲夫、花江夏樹、朝井彩加、水樹奈々、佐倉綾音、安済知佳、寺島惇太、保志総一朗、山谷祥生、蒼井翔太、東山奈央
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

音の一粒 黄金一粒

原作未読


この度の初話。『関東邦楽祭』というワードをしっかり覚えていた視聴者はいただろうか。
“分割2クール”スタイルが定着した今日この頃。ぶつ切りの13話から早3カ月。14話はその13話から地続きでスタートしてました。リアタイ視聴も考えものです。まとめて一気に観たほうが良さげな放送スタイル。それが“分割2クール”です。
そういえば今回の2クールめ放送直前に1クールめを直前視聴されたレビュアーさんがいらっしゃって「その手があったかー!」と妙に納得しました。視聴する分には、間隔空けずまとめて一気にこしたことないですもんね。

だって、さとわも愛もなんなら武蔵だって1クールめ序盤の頃と明らかに違ってるはずですもの。
{netabare}※さとわは「あんたら踏み台。全国連れてくから素人は黙っといて」くらいの勢いだったよ(^_^;){/netabare}
観終わってから登場人物の成長に目を細めるには記憶が怪しくなっていて勿体ないなと心底思います。
良い作品であればあるほどその思いを強くするわけでありますが、本作がまさにそれ。


音楽もの特に演奏シーンと物語の融合という点で『四月は君の嘘』『響け!ユーフォニアム』音でも魅せた偉大な先達が壁となって立ちはだかります。
というより比較されます。ベンチマークが『ユーフォ』というのも後進のつらいところです。手書きorCG。モノローグ。心象風景の映像化。止め絵の配分。運指の正確さ。観客の反応。そして回想シーン。あの手この手を駆使しての“音楽もの”本作はどうだったんでしょうか。

作品の序列は置いときましょう。すごい良かったと思います。
箏奏者だった原作者。作中のオリジナル楽曲は身内が作曲。題材である“箏”が血肉となってる身内同士のチーム。どう考えても最強です。画力や話構成なら漫画家のポテンシャルでしょうが、それとは別のネタ帳レベルでのリアリティについて絶対の信頼を寄せられる“扱う題材のトッププレイヤーがそのまま書いてる”という事実。
前半1クール序盤での懇切丁寧な説明もそこで終わらずさらに踏み込んできた今回後半。

 一音(いちおん)

…わかるようでわかりません。視聴者がギリギリついていけるかどうかの技術の説明やプロの感覚を惜しげもなくプッシュしてきました。情報過多に思えますが不快さはありません。

わかりやすくないとぶーたれるところを、私は肩書き/略歴で平伏しときました。「プロのあなたがそう言うならそうなんでしょう」…この感覚は自分でも新鮮でした。


演出面でもぬかりなかったような。
※{netabare}「天泣」部室での練習シーン。晶から指摘された17弦と独奏の音のズレはしっかり耳でもわかりました。{/netabare}
上手と下手が素人でも感じられるのです。

{netabare}姫坂→珀音→時瀬と続く予選。姫坂の音圧に圧倒されました。珀音もまた別角度で。どんだけハードル上げるのさ、からそれらを超える時瀬の演奏でした。
ライバル校の演奏、その積み重ねもちゃんと説得力ある形で描きながら、さらにその上を描く。作品の中の観客と同じような感銘を自分は受けました。途中で姫坂の穂積先輩に横恋慕したのは私だけではありますまい。
第23回~第25回の3話はたいへん見応えがあったと思います。{/netabare}


偉大な先達との比較。“楽器”“演奏”への深い造詣という点では抜きんでていると思われます。演奏なんてたかだか作品を構成する一要素なんですけどね。それでもこの部分でエモく揺さぶられたい欲望を私は抑えることができません。



物語に戻ります。

■ラブは添え物程度で

顔をすぐ赤らめるWチョロイン(少年誌仕様)
女子が欲しい時に欲しい言葉(少女漫画仕様)

{netabare}失礼ながらモブ感の強い時瀬の3人組。味はあってたまに見せ場のあるこの立ち位置。古くは『スラムダンク』の水戸洋平ら。直近だと『からかい上手の高木さん』の三人娘。物語の核となる恋愛のプレイヤーにはまずならない人たち。部内三角関係とか恋愛複雑化を一切心配する必要がない安全パイです。{/netabare}
{netabare}真白先輩。成長した武蔵に胸キュンなんて展開にしないですぐに練習へ回帰。{/netabare}
{netabare}他校生。同じくちょっかい出したり出されたりもさることながら、他校内カップルの気配すら薄い。{/netabare}

主要ボジションでのキャラ配置からの推察。どんどんへし折る恋愛フラグ。おそらく恋愛は1体1でしかやる気ありませんね。恋愛仕様なキャラデザインはミスリードじゃないかしら。私は歓迎します。
{netabare}妃呂も部活引退するまで気持ち封印すると言ってるし、続編あるとしても時々顔を赤らめる程度でお茶を濁しとくぐらいでお願いします。{/netabare}



■一応弱小校でしたので

トップクラスのプレイヤー+有能な指導者+裾野が広くない=ジャイアントキリングの条件 

これすなわち↓

さとわ覚醒 + 滝浪センセ本気出す + 神奈川全14校

とこんな感じでピースが埋まっていくことは前半終了時点である程度予想され、このへんおざなりにすると「ご都合主義!」すかさずツッコミ入るでしょう。及第点与えて良いと思います。
{netabare}さらに堂島晶さんの登場で説得力が増しました。{/netabare}



■闇落ちと簡単にはいいますが

愛もさとわも妃呂も前半1クールで陽のあたる場所に出てきてしまったので闇キャラ不足を心配しましたが思わぬところから援軍が!

 堂島晶(CV東山奈央)先生

前半で切った方はもったいない。ややありがちな高校生らのものとは別格の上質な闇を覗き見ることができます。実はエンドクレジット見るまで日高のり子さんだと勘違いしてたりしました。



■“天泣”これだけはいいたい

1.{netabare}冒頭の一小節を奏でた瞬間に全てを悟るさとわ母がすこぶる良い。途中だったり全部聞いてからじゃないのが大事だったように思える。
一音(いちおん)を大事にするコンセプトが徹底されてるかのようでした。最高!{/netabare}

2.{netabare}ソロさとわは別格で周りが合わせられるわけない、を受けての17弦の一音がすこぶる良い。深いところから響く低い一音。うむ合っている。
“合わす”でも『大量の音の符を合わすことに特化した姫坂』『絶対的エースを際立たせるための合いの手としての珀音』らのトップ3校の違いを分からせる会心の一撃でした。{/netabare}

3.{netabare}3校の違いはあれど、エース(独奏)とどう絡ませるか?の課題は珀音と時瀬は似ており、アプローチの違いで時瀬に分があるという演奏結果でした。実質は姫坂と時瀬の一騎打ちだったように思います。
すこし遡って、珀音は数か月前『関東邦楽祭』で全国トップの東京の高校と同列評価を勝ち取った学校です。邦楽祭から珀音は底上げしてきた。それ以上に慢心を捨てた姫坂が上り調子で、時瀬も言わずもがな。若い人たちがそれこそ僅かな期間で化けるのを目の当たりにしたような爽快感があります。
私は野球をやってましたが、春の甲子園に出場した学校(前年秋の実績)と練習試合(当年夏前)を組んでもらって対戦してみて「あれ!?そんな強くねーな」という経験をしたことがありますがそんな感じ。{/netabare}




なんといいますか、、、
全26話満足の一品でした。



■オマケ

{netabare}さとわが愛のために買い揃えたいちごグッズ。“うまい棒いちご味”に興味津々。“ポテトチップス ショートケーキ味”が意外と美味だったのでわりとイケるかも!{/netabare}

{netabare}偉大なる先達を彷彿させるキャスティングがところどころに。ボケるには文量増え過ぎちゃったのでやめときます。{/netabare}



視聴時期:2019年10月~2019年12月   

------
2020.03.01
《配点を修正》+0.1


2020.01.23 初稿
2020.03.01 配点修正
2020.07.30 修正

投稿 : 2024/11/02
♥ : 54
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

弱小箏曲部物語 第二節

第1期からの続きの第2期です。なので、第1期を見ていないと話がよくわからないと思います。初見の方は第1期からの視聴をおすすめします。

第1期は、廃部寸前の箏曲部を立て直して、ほとんどが素人部員の中で、みんなが一生懸命頑張って練習して、徐々に部員たちの絆が強くなっていくところが面白く見れました。
第2期は基本的にそれの延長上の話ではあるんですが、他の強豪校との絡みの話なども増えていく感じもあり、メンバーが安定してきた分、1期よりも話の展開により工夫が欲しいかもしれません。
そこも含めて期待して視聴したいと思います。
最終話まで見終わりました。最後はすっきりと終わって良かったと思います。この作品を見る前は、琴の部活なんてめずらしいなあ、と思ってたくらいだったんですが、お琴の演奏で、こんなに感動するなんて思ってませんでした!お話も部員同士の絆や、うまくなろうと努力するところもきちんと描かれていて、そこも良かったです♪
各話のレビューは以下のとおりです。

14話
{netabare}どうなることかと思ったけど、演奏は無事終わった。。
姫坂のかずさに、こんなのさとわの音じゃない、汚された、と責められる愛。
それに愛は、さとわの音がやさしくなった、俺は今の音の方が好きだと言う。
そして受賞式。愛は後ろの席の男にしつこく言い寄られて(-_-;)愛の才能に気づいたから?
・・最優秀賞は無名の珀音高校が受賞・・愛の後ろの男の高校みたい。。
がっかりするメンバー。でも顧問にいい演奏だったと言われて泣くみんな。。
そして全国大会へ向けてまた頑張ろうと誓う!{/netabare}
15話
{netabare}大会の次の日。朝に部室に来てしまったみんな。と先生。
今までやる気のなかった顧問が曲の楽譜を作ってきて驚くみんな。やっぱすごい人っぽい。
部長の今までのイイシーン回顧。もしかして今回は部長回なのかな。
部長と妃呂が買い出しに行くことになって、途中で妃呂が昔関わった人に会うけど、部長がかっこよく手を引いて。。本気で惚れそうになる妃呂。部長すっかりたくましくなったね(*^_^*)
さとわ画伯の絵素朴でいいと思うけどな(*^_^*)愛とさとわもいい感じになってきた・・のかな?{/netabare}
16話
{netabare}部長と妃呂、愛とさとわ、それぞれ変に意識してしまって。
特に愛とさとわが変によそよそしくなってしまって・・ちょっと心配。
学園祭。部長に元部長が会いに来てくれて。二人が話してるのを見てちょっと嫉妬してしまう妃呂。
部長の今の自分たちを見せたいという気持ちがみんなに伝わっていい演奏に。あ、1期OPの琴バージョンだ♪
顧問から、2年の部長と妃呂が最後の大会になると言われて。
そしてさとわの持っている音源から顧問が見つける。全国大会に向けての曲を。
でもなんとなくいわくつきの曲のような気がするけど・・{/netabare}
17話
{netabare}顧問が大会の曲をさとわの音源から「八重衣」に決めたけど、さとわがそれを嫌がって。
回想で母親からあなたの琴は凶器だと言われたのが関係してるのかな。
優勝校の演奏をみんなで聞くけど、正確に計算されてるみたいなすごい惹きつけられる演奏。
優勝するにはそれを越えなければならないと言われて、それにはさとわのあの曲が必要なんだね。
音源のさとわの曲は、当時のさとわの気持ちが乗ってて泣きたくなるような感じだけど、顧問が編曲して笑顔になるような感じにしてくれて。でも十七弦の琴が2つ必要になったんだけど足りなくて。
さとわは実家の母親へ借りにいくけど、母親も周りの人も冷たくて。嫌な感じ。
部のために土下座して頼むさとわ。。さとわがかわいそうで、うるっときました。。{/netabare}
18話
{netabare} 部長の後ろの席になって嬉しそうな妃呂がなんかかわいい♡
琴の指導者として、鳳月会から堂島晶が来て。堂島はさとわと過去に何かあったみたいだけど。。
堂島から基本の1音1音をきちんと綺麗に弾くことが出来なければ全国なんて無理と言われて・・
妃呂たちメンバーは堂島の指導に不満だったけど、愛はそんな堂島の指導に反抗することなく向き合って。
そんな愛の気持ちを知ってあらためて練習を頑張ろうと思うメンバーたち。
次回、堂島の過去の話?{/netabare}
19話
{netabare} 堂島晶の昔の話。
天才型の兄に憧れて、兄のようになりたいと努力する晶。
でも両親が突然事故で亡くなって、兄は琴をやめて働くことに・・
そして椿会を晶が継ぐことになって。。
そして大会。最優秀賞を目指して自分の持つ最高の演奏をする晶。
でも・・さとわの鬼気迫る「八重衣」を聴いて自分との差に愕然とする晶。。
結果、さとわは規定通り弾いてないとして失格になり、晶が最優秀賞になるけど・・
周りからも失格に負けたと散々言われて・・悔しくて涙を流して・・
晶としてはとても空しい最優秀賞だったんだよね。
こういう話って私弱いんです。ちょっとうるっとしちゃいました。。
そして急に筝曲部の指導を辞めますと顧問に告げる晶。{/netabare}
20-21話
{netabare}晶が主役といっても良い回でした。晶が葛藤しながらも、筝曲部の部員のひたむきな姿に心動かされて、再び琴に向き合うようになる展開は良かったです。{/netabare}
23話
{netabare}ほぼ姫坂回でしたね。穂積さんが落ちたのは残念だったけど、それがきっかけでみんなの全国に行こうと思う気持ちが一つになって。そして大会では素晴らしい演奏に。いい話でうるっときました。{/netabare}
24話
{netabare}今回は珀音のお話かな。天才肌の神崎が、数学教師の山本顧問の曲を弾いて、覚醒してすごい演奏に。
次回、時瀬の演奏だけど、姫坂や珀音のすごい演奏の後で、どれだけ視聴者に演奏をすごいと思わせられるか、とても楽しみです。{/netabare}
25話
{netabare}いよいよ時瀬の演奏が始まる!
演奏前の束の間の静けさ・・
なんか見てる私までドキドキしてきちゃいます。。
演奏直前、さとわの母親が会場に入ってきたのを見て、さとわのテンションが上がり・・
そして「天泣」の演奏が始まって。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふぅー。
すごくいい演奏でした!!私も観客のみんなみたいに気づいたら目に涙が・・(>_<)
演奏後、さとわがお母さんに会いに行って・・
次回、最終話ですが、また泣いてしまいそうです(>_<){/netabare}
26話
{netabare} 「今度はちゃんと伝わったの?」さとわが今まで見せたことがないぐらい顏をぐしゃぐしゃにして。
ずっとさとわの心の中にあったお母さんへの気持ちを考えるとうるっときちゃいました。。
そして結果発表!審査員の中では三者三様の意見で割れていたみたいだけど・・
・・・見事、時瀬高校が1位になって全国大会に!
「まだ終わらねぇんだ、続けられんだ・・」by愛(*^_^*)
姫坂のかずさと穂積先輩の会話を聞いてまた涙腺が・・(>_<)かずさの時瀬へのエールにも!{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 29

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

それぞれの箏の音が紡ぐ青春学園物語―

関東邦楽祭の本番直前、突如時瀬高校箏曲部を襲ったアクシデント…
お互いの音が交わり音楽を紡ぎ出すことを信じて臨んだ本番でしたが、本来の実力を出すことはできませんでした。
時瀬高校を襲ったアクシデントは「そういう類」のモノでしたから…
結果、具合、気になることだらけでしたが、まさかあそこで1クール目が終わるとは夢にも思いませんでした。
まぁ、分割2クール作品なので前半1クール目の終わり方にルールは無いから仕方ないんですけれどね。

ですが、満を持して放送された後半2クール目で、そんな些細なことなんて吹き飛ばしたのではないでしょうか。
物語は関東邦楽祭の直後から翌夏に開催される全国大会への出場を目指した神奈川県予選までが描かれていますが、この作品の持つ熱にすっかり当てられてしまったようです。

完走して振り返ってみると、この作品の日常は非日常の連続だったと思います。
だって、彼らはあんなにも喜怒哀楽に溢れているんですから…
普通…私の場合、会社に行って仕事して帰ってくる、という日々の生活に、喜怒哀楽なんていう感情はそう簡単には起動しません。
勿論、ゼロじゃありません。
仕事を進める上でスマイルは必須ですし、時折同僚とお酒を嗜む時だって楽しいひとときです。
でも、彼らの様に全力全開で喜怒哀楽を表現することはそうそうありません。
だから、彼らが眩しく見えるのかもしれません。

そして、この作品は「気付き」をとても大切にしている作品だと思いました。
今回も様々な気付きが顔を覗かせるのですが、それを全身で一生懸命受け止めようとする言動には感動すら覚えました。

溢れんばかりの思いに必死に蓋をしようとしたり…
自分たちが今死に物狂いで頑張らなきゃいけない理由を共有したり…
何気ない言動に包み込む様な温かさが感じられたり…
筝曲部の部員たちの関係が本当の仲間へと昇華していくのが手に取るように分かるんです。

だから彼らは自分たちの大切を貫くために決して怯みませんし何をも厭いません。
そこで躊躇して立ち止まってしまう事の方がよっぽど怖かったから…
だって、今ここで立ち止まってしまったら、死に物狂いで頑張る気持ちに背くことになるから…
勿論、温度差だってありますし、それぞれの立ち位置もバラバラです。
ですが、スタート地点が人それぞれ違うのは当たり前…
ゴールが一緒だったら良いんだと思います。

後半クールだからでしょうか…
物語の熱量も序盤から半端ありません。

愛とさとわ、そして武蔵と妃呂の身に降りかかった思いがけないハプニング…
個人的には格好良い武蔵の雄姿が脳裏にこびり付いています。

ですが、この物語の熱が激しく迸るのはここからです。
滝浪先生が選んだ予選で弾く曲は、さとわがかつて母に届けたい一心で弾いて届かなかった曲だったんです。
でも、あの時、さとわは独りぼっちでした。
確かに箏の演奏に関して天賦の才を有する彼女ですが、一人で表現できる音色にはきっと限界があるんだと思います。
でも、今はかけがえのない仲間がいるんです。
仲間と一緒なら届くかもしれない…そう考えると、選曲はこの一択しか無かったように思います。

そして、鳳月会の傘下「椿会」の跡取りで、全国筝曲コンクールで最優秀賞を受賞した実力の持ち主である堂島 晶が外部講師としてやってきて、物語は一層熱を帯びていきます。
堂島先生の目的は最初は明らかに違っていて、もしかしたら筝曲部に良くないことが起こるんじゃないかと思っていました。

誰よりも一生懸命箏に向き合ってきた堂島先生だから気付いたんだと思います。
彼らが決して中途半端な気持ちで箏と向き合っておらず、寧ろ本気で直向きに取り組んでいることに…
練習はスパルタだったようですが、結果的に彼らを支え、背中を確実に押してくれましたから…

こうして神奈川県予選の本番を迎えます。
何度も全国に出場している私立姫坂女学院の演奏は圧巻でした。
あの人数で、あのピッチの音をピッタリ合わせてくるんですから恐れ入ります。
関東邦楽祭で最優秀賞を受賞した県立珀音高校の演奏も凄かった…

ですが、時瀬高校の「天泣」は他校の演奏より鬼懸かっていたと思います。
演出の影響も多分にあるんでしょうけれど、箏の演奏で涙を流したのは初めてです。
さとわの優しく軽やかな独奏に始まり、音の交わりの心地良さ、旋律の美しさがこれでもか…という感じで降り注ぐのですから半端も容赦もありません。
言葉で表現できる限界を超えた楽曲って、きっとこういう曲のことを言うんでしょうね。
もう数えきれないくらい繰り返し視聴させて貰いました。

2017年3月8日にキングレコードからリリースされたアルバム「この音とまれ!〜時瀬高等学校箏曲部〜」は、純邦楽のインストゥルメンタルCDは0.1万枚売れればヒットとされる中、本アルバムは、リリースから約2か月で約1.2万枚を売り上げたんだそうです。
平成29年度(第72回)文化庁芸術祭賞のレコード部門で優秀賞を、第32回 日本ゴールドディスク大賞で純邦楽・アルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞したそうですが納得の結果だと思います(wikiより)。

それに中高生の中には本作をきっかけに箏を習い始める人もいるんだそうです。
十分に起爆剤たり得る作品だと思います。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、蒼井翔太さんの「Harmony」
エンディングテーマは、内田雄馬さんの「Rainbow」
前期から引き続きですね。

後半1クール13話で全2クール26話の物語でした。
思い切り堪能させて貰いました。
続きも気になりますけどね…
続編が制作されると嬉しいです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 25

64.5 2 ギクシャクでオーディションなアニメランキング2位
22/7(TVアニメ動画)

2020年冬アニメ
★★★★☆ 3.2 (168)
515人が棚に入れました
22/7、 はじまりの物語――2016年12月の結成以降、常に新しい挑戦を続けている「22/7」(ナナブンノニジュウニ)は、 秋元康プロデュース、複数のトップクリエイターがデザインしたキャラクターと、 応募総数10,325人から選ばれた少女たちによるデジタル声優アイドルプロジェクトです。 楽曲リリース&ライブ開催、 YouTuber企画、バラエティ番組出演など、様々な分野での活動を経て、 デビュー3周年目となる2020年1月、待望のテレビアニメーションが放送を開始!グループ結成の秘話やそこに至るまでの経緯が、メンバーそれぞれの視点を通して赤裸々に描かれます。大切なこと、それは自分を信じて一歩踏み出すこと――個性あふれる少女たちが彩る、もどかしくてちょっぴり切ない青春劇を、キュートな歌声とともにお届けします!

声優・キャラクター
西條和、天城サリー、倉岡水巴、帆風千春、海乃るり、白沢かなえ、宮瀬玲奈、花川芽衣
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

時折ある、新人声優連動型のアイドルアニメ

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
アニメ単体として純粋に評価するなら、あまりクオリティは高くないと思います。

が、現実の声優アイドルライブやゲームなんかを併せて楽しめる方だったら良いのかもしれません。

また、「未熟だからこそ、応援したい」という層にもウケるかもしれません。

1話視聴段階では酷評しまくりながらも、一応完走&☆3評価なので、終わってみれば、そこそこの見処はあったアニメかなって思います。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
本作の目指しているのは、分かりやすい。「成長」を「実感(応援)」できるアニメ、なんでしょうね。

まず、主人公の「滝川みう」のキャラ設定自体が、「成長」を前提にしたものだし。新人(アイドル)声優を大量に起用しているのもそう。

要は、「地下アイドル」商法ですね。「未熟」さは「身近」さに置き換えられ、「応援」が「楽しみ」になる。

(感覚違うかもだけど)私も、道場の子供に教える時、下手な子供を教える楽しさがあることも分かるので、共感できるような、できないような(笑)

ということで、このアニメの評価は、「1話から最終話までの伸び」次第でしょう。

さて、新人声優さん達の演技を1話段階で見ると、

滝川みう(内気)→×
斎藤ニコル(キツい性格)→×
戸田ジュン(子供)→×
立川絢香(セクシー)→△
佐藤麗華(年上)→△
丸山あかね(メガネ)→△
河野都(関西弁)→○
藤間桜(金髪)→○

って感じかな。主人公と思われる滝川みうがあれだと、評価としては下げざるをえない。しかも、母親役がベテランの久川綾さん(セーラーマーキュリー)で、妹役が15歳ながらキャリア8年で主役もこなしてる天野心愛さん(URAHARA 丸野みさ)ってのもね。誰の耳にも差が如実で、少し可哀想だったな。

仕方がないのかもしれないけど、アニオリなんだし、もっとシナリオでどうにかなんなかったの? 彼女の独白から1話目はじめなけりゃいけなかったの? 8人のシナリオ少しずつ見せるとかさ、やりようあったとおもうけど。

あと、音楽(OP.ED)もね。正直微妙。普通の地下アイドルか、それ以下って感じ。

と、決して高い評価はつけられなかった、スタートライン。

ただ、アイドルアニメって結局、個人個人のキャラ掘り下げ回を通して、「推せる」キャラが出来るかどうかなわけで。

そういう意味では、まずまず良かったアイドルアニメとも言える。

個人的に好きだったのが、戸田ジュンと河野都。

ジュンは、明るく前向きに頑張っている理由が分かってからは、応援したい気持ちになった。都は最初からお姉さんキャラで、良い子で、一番好きかな。「ガーリッシュナンバー」の京を思い出す。

ストーリーの面では、「最初はバラバラのメンバー」が、「次第に絆を深め」、「終盤のシリアスを乗り越える」という、アイドルアニメのド定番。よって、良いも悪いもないんだけど、最終話はなんか嫌でしたね。

「壁を乗り越え、自分の意思でアイドルをやること=成長」という構成は、壁が出てきた時点で想像ついたけど、壁から繋がる道を歩き、壁の指示で用意された会場にたどり着きライブを行うというのは、「じゃあ結局、壁の思い通りじゃん」と。

なんか、「自力(自立)に見せかけて、結局は俺様(壁、秋元さん)の掌の上で踊っていたのさ」て、「お前はどこのお釈迦様(西遊記)だよ」と思った(苦笑)

まあ、この辺の気持ち悪さに関しては、余談にたっぷりネチネチと(笑)

ということで、「成長」がテーマであろう本作の、「成長」がどうだったか? と問われれば、「そこそこ成長した」かな。

まず声優さんですが、滝川みうと斎藤ニコル以外は、そこそこ聞けるようになりました、、、が、やはり一番の棒が、メインの二人というのがね。「センター」と「エース」なのに。

まあ、滝川みうの中の人も、ちゃんと成長してると思うんですが、スタートラインがね、かなりね、うん(苦笑) 「そういうキャラ設定」というのも分かるけどね。

あと、斎藤ニコルの中の人も、元々は違う方がやっていて、その方が昨年末に脱退したため、2019年12月24日加入らしいので、ちょっと同情はしますね。

アニメ全体としては、よくまとまっていて、かなり「成長」したかと。それでもまあ、☆3ですけどね。
{/netabare}


【余談~ 本作は、秋元康さんプロデュース ~】
{netabare}
私は、秋元康さんは一種の天才だと思っています。この人は、「何がお金を生むか」を的確に捉えているんですよね。

AKB商法は、お金を生むことに関しては、実に良くできたシステムです。「モノ消費からコト消費に移り変わる」「SNS等を使い、個人が情報を発信できる時代」への過渡期を狙った、ほぼ完璧な作戦。

昔は、「良い音楽を作る」ことが絶対的な正義であり、そうすれば必然的にCDが売れ、利益に繋がりました。しかし、DLなどで音楽が手軽に聞けるようになり、付加価値をつけなければ音楽がお金を生まなくなります。そこで、「会いにいけるアイドル」として、「ライブを多数展開し」「CDに握手券をつける」という発明をします。

ここで上手いのが、「CDにつけた」ということ。当然、CDの売り上げが伸び、オリコン上位に。すると、メディアがそれを取り上げ、あたかも「日本を代表する歌手」のように報道する。それによって、それまでAKBに興味が無かった一般大衆も興味を持つようになる。

少数(オタク)をハマらせ、多数(一般人)を扇動する戦略。

秋元さんは、実は「音楽」ではなく「CD」がお金を生んでいたことに気づき、「ライブが」ではなく「ライブで」お金を生むという概念を持っていたのでしょう。

と、誉める?のはこのくらいにしておきます(笑)

という具合に、「凄い」ことは多くの人が認めていると思いますが、「好き」かは別問題。

私は、この人が、なんか「嫌い」です(笑)

この人のやり方は、既成概念を壊すことでお金を生むけど、概念どころかコンテンツ自体をぶっこわし、壊した後のことには興味がなく、草1本残さず去っていく。そんな気がするんですよね。

個人的には、そういう人に、自分が好きなアニメの世界には入ってきてほしくないんすよね。

AKBだってパッケージで売っているだけで、AKBの子達を技術的に成長させようという感じを受けないんですよね。実際、秋元さん自身、「K-POPをプロ野球とするなら、AKBは甲子園」と言っています。つまり、「プロとしての技術」ではなく、「アマチュアならではの未熟さやひたむきさ」を価値にして商品化しているわけで。

ああちなみに、私は結構AKBの曲は好きで聴くんですよ。AKBのアイドルの子達も全然嫌いじゃないです。嫌いなのは秋元さんのやり方だけです(笑)

さて、本作でもその姿勢ははっきり出ていて、そこら辺はレビューに書いていますが、本作は、「声優がアイドルをやる」のではなく、「声優をやるためのアイドルを育成する」ことが目新しく、アニメを放送する前に、アイドルとして活動したり番組を放送したりしています。

結局、今のアニメ業界でお金を生むのは、「アニメ」よりも「アニメ関連」という、先程のCDや音楽、ライブなんかの話に近いと思います。

でも、この方法が上手くいったとしても、そしてそれがもし主流になったとしたら、、、容姿が端麗じゃない実力派俳優は絶滅しちゃいますね(まあ、現時点でもかなり追い詰められていますが)。それに、「低クオリティに価値を認める」のはまだ良いけど、「低クオリティこそ価値がある」となればマズイしね。

やっぱり、1アニメファンとしては、アニメのクオリティを高めてほしいし、そこをハナから軽視している人には、あんまり入ってきてほしくないんすよね~。

まあそれは、「アニメのクオリティが、必ずしも利益に繋がるとは限らない」、今のアニメ業界の形態に問題があるということなんでしょうが。

にしても、本作の「壁」の存在は気持ち悪かったな~。ブラック企業の比喩なのか、アイドル業界の比喩なのか分からんが、それを、「秋元さんがやる」というのが気持ち悪かったです。

ご本人が、「恋愛禁止という非人道的なルール」「握手券などの過剰なCD販売戦略(に伴う、過酷な握手会の強制)」「人気投票による、アイドルへのサービスの強要」という発明家でありながら(自分はアイドルに手を出すし)、「壁ってヒドイよね~」「乗り越えて自立してね~」みたいな演出が出来ることが、うすら怖いなと(苦笑)。
{/netabare}

【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆2
まず、冒頭の独白からして、厳しいよね、声優のスキルが。あと、歌も微妙だし。妹と母親が普通に上手いというのも、また(苦笑) この手のアニメのわりには、作画は悪くない、、、ような場合に気はする。

全体的に上手くないけど、中でも、斎藤ニコル、滝川みう、の二人は抜けて厳しいな~。河野都の人はまあ良いかな。次いで、藤間桜の人。なのに、下手な二人、メインっぽくない?

そんな秘密基地、ナイナイ(笑) いくら儲ければ、設備投資を回収できんだよ(笑) 超ゲーム仕様(苦笑)

雪かきて、雪国出身にしか伝わらんやんw

2話目 ☆2
しかし、あまり演技の上手くない人二人を、メインに据えるのがな。「成長を描く」というのは、良いのかも。斎藤ニコルは、確かに他のメンバーより良かったけど、「圧倒的」かと言われれば、う~ん。中の上くらいじゃないかな? と。

母からすれば、アヤシイバイトしてるのかと思っちゃうよな(笑)

3話目 ☆4
みう回のラスト? ニコル回? デビューライブでこの集客は凄いな(苦笑) こういうライブって行ったことないからワカランが、どんだけ大々的に告知すれば、素人軍団にこれだけ客が集まるんだろ? しかし、主人公、棒なんのに、このセリフ量、制作はドSなのかな(苦笑)? いきなりピアノでって、天才かな?

ED、キャラソンにしたの? 私、アイドルにはメチャクチャ疎いんですが、昨日、襷坂のセンター、平手さん?が脱退しましたよね。平手さんは、かなりプロ意識強い方みたいなんで、滝川みゆ とは違いますが、キャラデザとか雰囲気は、参考にしているのかな?とか思ったり。いや、襷坂と乃木坂とAKBを並べられて、まったく見分けがつかない剣道部の戯言なんですがね(笑)

4話目 ☆3
桜&桜回。最後、綺麗な風景だったな。でも、ただの良い話だと、そこまでキャラは深まらない。

5話目 ☆4
都&お好み焼き回。ゴリラ型ロボットて(笑) ポンコツリーダー(笑) ×4を爽やかて(笑) キャベツ切る作画、当然知ってるだろうから、上手すぎても下手すぎても話題になるし、大変だな(笑) お好み焼き、タネに肉入れるか? 的はずれの親子愛。すてきやな。

6話目 ☆3
霊華&水着回。プロ意識といえばそうだし、ブラック企業の説得方法といえばそうだし、微妙なところ。

7話目 ☆4
食中毒、1回なったことあるけど、人生で一番キツかったよ、マジで(苦笑) 明るさの裏にある、陰。やたら芸達者だな。いやあ、CMは代役無理だろ。まあ、死ぬわな、展開的に。安易&ありきたりだけど、これは、ジュンが人気でそうなエピソード。ギャップ萌えだな。

8話目 ☆2
あかね回。いやいや、そこをゴシップする週刊紙は流石にない、、、が、父親が芸術家なら、ありえるのかな? キャラの壁を壊せた、とは思えないかな。

9話目 ☆3
温泉&絢香回。好きな相手がフラれたら、チャンス、ありがとうって思わないんかね。あかね、キャラ立ったか? 掴みにくいキャラではあるよな、リアルっちゃあリアルだけど。誰か一人脱退させろ、とかじゃなく、解散か。

10話目 ☆3
ファンはついていて知名度もあるんだから、「大人の事情で」って言って、一旦解散し、違う会社で全員揃って再結成すれば? 言いなりアイドルからの卒業ってこと? 「この支配からの~卒業」みたいな感じかな。へ~、元同級生ね~って、気づけや(笑) 本名だし、10年たってないだろうが。

11話目 ☆3
齊藤ニコル回。いや、先生ダメ過ぎるだろ。リンゴなんて、エアーでやれば良いだけ。滝川みう、なるほどそんな過去が、、、って、流石に覚えてるだろ、名前も変わってないのに(苦笑)

12話目 ☆2
う~ん。ラスト、このオチか。結局、壁の思い通りじゃん。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 26
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

【辛口コメント】「壁」の掌の上でどこまで踊ることができるのか

秋元 康氏プロデュースのデジタル声優アイドルグループ
「22/7(ナナブンノニジュウニ)」(ナナニジ)
メディアミックス展開の一翼を担うアニメ化作品。

【物語 3.5点】
センター及びグループの始動・覚醒→(8人のメンバーの個別回)→グループの危機

アイドル物としては無難なシリーズ構成で骨組みは安定。

ただ本作はアイドルのキラキラ感や萌えよりも、
秋元系アイドルに投げ掛けられる種々の疑問に対して、
運営等に矛盾はあるかもしれないが、
個々のメンバーの人生に寄与した側面もある。
という弁明が繰り返されるAKBグループのドキュメンタリー
の如きパターンが組み込まれるため、
そこに折り合えるかどうかがポイントになる。


【作画 3.5点】
各メンバーごとに人気絵師、アニメーター等を当てる豪華なキャラデザ陣。

これらを統括するメインキャラクターデザインは堀口 悠紀子氏。
京都アニメーションとも関わりが深い氏のデザインが再現されたライブシーンでは、
京アニのキャラがCG化して踊っているという感想を抱くかも。

3DCGは適宜、各モデルの動きを散らす等、不気味にならない工夫は見受けられるが、
ライブは手描き勢を沈黙させるほどではない。


私のベストシーンも{netabare}雨中の桜並木にて撮影されたグラビア{/netabare}で手描きの場面。
(単に推しが藤間桜なだけという説もありw)


【キャラ 4.0点】
ナナニジの現在のメンバー数は8人ではなく11人(経緯は公式等参照)
本作放送前年の4thシングル「何もしてあげられない」からは
歌唱もアニメMVも“11人”揃って行われている。

声優11人+キャラ11人=22人。思い入れもあったはずだが、
アニメでは敢えて8人のナナニジで通して、
1クールで個別回も全消化し、キャラを掘り下げた決断を評価。
但し、{netabare}残りの3人も最後に顔を出しますが。{/netabare}


【声優 3.0点】
ナナニジメンバー声優の熟練度、成長度はまちまち……。

終始、順調だったのは他作品でアフレコ経験もあった
藤間桜役の天城 サリーさんくらい。

特に初回、声を上手く当てられないメンバーが多く、掛け合いもぎこちない。


特に感情希薄系を中心に苦しい演技があった印象ですが、
センター・滝川 みう役の西條 和さんは、
演技力云々より根暗な性格を表現したクセのあるボイスに
視聴者が馴染むか否かという慣れの問題だと思います。

私が苦しいなと感じたのは斎藤 ニコル役の河瀬 詩さん。
メンバーで一番経験豊富な出来るアイドルという設定の割に……と傷口が広がった感じ。
ただ彼女は放送直前に卒業した前メンバー声優の後任であり高望みをするのは酷でしょうか。

但し彼女もニコル回では{netabare}吃音{/netabare}を演じる等、可能性は感じさせてくれました。


【音楽 4.0点】
劇伴はピアノやストリングスが場面を彩る上品な楽曲構成。
過去のナナニジの楽曲のシーンに合わせたアレンジ挿入も〇。

OPはナナニジ8人歌唱の5thシングル「ムズい」
ポエトリーも交えて、大人の支配下に置かれ喪失しかけている
自己の存在意義を模索する、アイドルアニメOPらしからぬ
苦~い青春ソング。ムズいよ。

EDは個別キャラ回がメンバー各々のキャラソン。
5thカップリング「空のエメラルド」もED起用された佳境にマッチした良バラード。

その他、過去のシングル曲も挿入。


私のお気に入りは3rdシングル「理解者」


【感想】
初回、懸念したよりは、無難に個別キャラ回で話数消化し、
変な方向には行かなかった印象。

ただ「壁」の指令=秋元 康氏の鶴の一声。
という見方をどうしてもしてしまう私にとっては、
日頃、秋元系アイドルに対して抱いている疑念も再燃し、
苦しさも感じるアニメ視聴となりました。

「壁に質問することは許されない」などと疑問も持たず従う事務所スタッフたち……。
チョット怖いです。

例えば、{netabare} 第三話にて、「壁」が機材トラブルが起きやすい会場を選んだ?
ことを、これも「壁」の意志なのか?とスタッフたちが感想を漏らす件とか。

第七話で、「壁」が食中りする差し入れを提供?→残された一人の超ハードワークとか。{/netabare}

「壁」が人間だったら、軽くハラスメントや犯罪なのでは?と私は感じてしまいました。

最後の、{netabare} 引退指令→反発→再始動の流れも結局、「壁」の思惑通りで、
終始、「壁」の掌の上で踊らされていたと私は解釈します。{/netabare}

業界に問題は色々あるけど、試練を乗り越えてこそ得られる物もある。
という筋書きは私の好物であるはずですが、
本作みたいに「壁」の指令として露骨に表現されると、
別にそれアイドルじゃなくても得られますよね?
だからと言ってアイドル業界の諸問題を放置していい訳じゃない。
などと天邪鬼が発動してしまいます。


そんなこんなでゾワゾワした感覚も抱いた本作ですが、
私にとっては妙に気になるアイドルアニメではありました。



【1話感想※毒舌注意】秋元グループのある種の悪趣味にとことん付き合える方だけ観て下さい。

長~い愚痴なので折りたたみw

{netabare}
ファンの方には申し訳ありませんが、
秋元系アイドルには、まだ技術的な裏付けが十分じゃない、
自己のアイデンティティ確立すらままならず、自信もない状態の少女たちを
いきなりスポットライトが当たる場所に放り込んで、
それを必死だ、青春だ、感動だと美談に仕立て上げる。
さらには、それすらも、それに対する批判や付随するスキャンダルすらも、
NHKや映画でドキュメンタリーとして切り売りする。
ある種の悪趣味があるように私には思えてなりません。


本作の導入からもAKBや坂道シリーズのドキュメンタリーと同種の不穏さを感じました。
それでも、私が視聴してしまうのは、
私自身がこうした不穏な描写に刺さる物を感じて引き寄せられてしまう悪趣味な大人だからです。


視聴中、私の中で、秋元系アイドルの半生が走馬灯のように流れました。

塞ぎがちで自己肯定感に乏しい自分を変えたくてアイドルの世界に飛び込んだ西野七瀬さん(乃木坂46卒業生)
貧困の中、弟の学費のために、病弱で何度も倒れながらも、アイドルで生計!を全うした橋本奈々未さん(乃木坂46卒業生)
ハードスケジュールの中、大人たちへの反発をぶつけた歌詞世界にシンクロし過ぎて、
しばしばぶっ壊れる平手友梨奈さん(欅坂46)

本作には今後、大人たちの理不尽な指令で、
上記のようなエピソードが再現されかねない不穏な空気で満ちています。


「ナナニジ」推しのアニメ誌『Newtype』2020年2月号の特集も拝見しましたが、
メンバーは「とにかくまじめでびっくりするくらい自分に自信がない、が第一印象」
「第1話では演者たちが役ではなく素でこんなに泣く現場を初めて経験しました」
という音響監督の証言。このコンテンツ……2.5次元世界も何だか不穏です。

だからアニメ映画のゲストタレントのアフレコ以上、プロ声優未満の棒読みくらいで、
どうか余り袋叩きにしてやらんで欲しいです。壊れますから。


これから、メンバー間衝突など、ますます不快指数が上昇する展開も予想される本作。

そもそも一部の深夜アニメや2.5次元アイドルファンにとって
前回のAKBアニメ化が文永の役としたら、今回はさしずめ弘安の役。
秋元系=“侵略者”という認識の壁がまずあって、
それらを乗り越えて視聴継続したとしても、
そこに萌えはなく、むしろ鬱展開が待っているかもしれない……。
光が差すとしても、修羅場を幾つか経た後になるのではと私は予想します。

いや……現時点では、私には、
とことん付き合える方だけ視聴続けましょうとしか言いようがないです。


それでも、付いていく!という方にオススメしたいアイドルは藤間 桜。
キャラも帰国子女、CV.天城 サリーさんもLA出身の帰国子女という陽属性。
メンバー中でいち早く"バーチャルYouTuber"活動を始め、他のアニメ作品出演歴もあるなど、
比較的、経験や技術的な裏付けもあると思われます。

推すというよりは、今後、鬱やらマズイ演出やらが襲って来た時、
キャラ面でも中の人の面でも彼女を当てにして、
どうにか完走したいというのが今の私の率直な心境です。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 39

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

未来は私たちの手の中にある 【'20.4.4修正】

私は4月から本作品の2期が放送されると記載しましたが、4月から放送されるのは「22/7 計算中」のシーズン2なんだそうです。
「22/7 計算中」はアイドルバラエティー番組で、22/7のキャラがスタジオでのトーク&ロケに挑戦する新感覚バラエティー番組なんだとか…

大変失礼しました_(._.)_
レビューの2期放送に関する部分を訂正させて頂きます

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
秋元康さんプロデュースで、デジタルアイドルグループが結成されることは知っていましたが、正直そういう事実を知っているだけで、グループ名や何人で構成されているのか、ましてやどんなキャラが存在するかなどは微塵も知りませんでした。

そしてアニメ化されることを知り、アニメを完走して今に至る訳ですが、振り返ってみると私にとって衝撃的な作品になりました。


22/7、はじまりの物語 ――
2016年12月の結成以降、常に新しい挑戦を続けている「22/7」(ナナブンノニジュウニ)は、
秋元康プロデュース、複数のトップクリエイターがデザインしたキャラクターと、
応募総数10,325人から選ばれた少女たちによるデジタル声優アイドルプロジェクトです。
楽曲リリース&ライブ開催、YouTuber企画、バラエティ番組出演など、様々な分野での活動を経て、
デビュー3周年目となる2020年1月、待望のテレビアニメーションが放送を開始!

グループ結成の秘話やそこに至るまでの経緯が、メンバーそれぞれの視点を通して赤裸々に描かれます。
大切なこと、それは自分を信じて一歩踏み出すこと――
個性あふれる少女たちが彩る、もどかしくてちょっぴり切ない青春劇を、キュートな歌声とともにお届けします!


こちらが公式HPに掲載されているINTRODUCTIONです。


滝川みうに突然届いた1通の手紙。新プロジェクトのメンバーとして選ばれたという。
半信半疑で手紙に書かれた場所へ行くと、そこには同様に集められた7人の少女たちが。
彼女たちが目にした巨大な極秘施設。途方に暮れる中、こう告げられる。
『あなた方にはアイドルユニットとしてメジャーデビューしていただきます』
未だかつてない新しいアイドルが、ここに誕生する――


こちらが公式HPに掲載されているPROLOGUEになります。

何故私にとって衝撃的な作品となったか…
まず、私は声優さんの演技が超が付くほど大好きです。
いま声優志望の方が増えていて、作品に出演するのは狭き門を突破しなければなりません。
それでも自分の夢を叶えるため声優の卵の方々は日々必死になって努力しています。

そうやって努力を重ね掛けしてようやく掴み取った役だから大切だと思いますし、きっと演技にも熱が入るんだと思います。
この様に愚直に努力を積み上げてきた人を差し置いて、例えば芸能人の方々が「声優初挑戦」などと急に抜擢されることが往々にしてあります。
もちろん、配役にピッタリの方もいらっしゃいますが、正直全部が成功しているとは思っていません。
「あぁ、これなら声優さんが演技した方が良かったのに…」と思うことが度々あります。

それはアニメに関しても然りです。
「声優至上主義」と言うと大袈裟かもしれませんが、声優さんってやっぱりプロだから上手なんですよね。
だから特にアニメに関しては声優さんに演技して貰いたいのが本音です。
この考えはこれまで微塵も揺らぐことはありませんでしたし、今もそう思っています。

ですが、22/7は…22/7だけは何か違うと思えたんです。
普通の高校生が突然呼び出されて、突然アイドルになれと言われた人が、いきなりプロ顔負けのパフォーマンスなんてできる筈が無いんです。
だからたどたどしくて当たり前…
きっと、この作品はリアリズムをとことん追求した結果、こんな形になったんだと思います。
この様な思考でこの作品を見ると、私の中で「有り」がどんどん膨らんでいきましたから…

きっかけは第3話のお披露目ライブ…
桜ちゃんのライブ中に送ったウィンクから全てが始まったと言っても過言ではありません。
突然のアクシデント…でも一番アイドルをやりたくないと言っていた滝川みうのパフォーマンスには正直感動すら覚えましたよ。

そして第4話では桜ちゃんの本気と彼女らしさが輝いていたと思います。
千本桜の前でみんなで撮った写真…本当に素敵でした。

このアニメにドップリ浸かっていると自覚したのは、ちょうどこの頃です。

ほぼまるっと1話を使ってキャラ一人ひとりを深掘りしていく構成は常套ですが分かりやすかったと思います。
何より、作画やキャラデザのクオリティの高さは尋常じゃありませんでしたね。
流石A-1 Picturesさん、ホント良い仕事していますよ♪

個人的な推しは、やっぱり滝川みうちゃんかな^^;
Twitterで見つけたのでフォローしたのは良いんですけれど、プロフィールに「最も無口なVTuver、22/7の滝川みうです」とありますが、「無口」と「VTuver」が頭の中で繋がらないのは私だけでしょうか^^;?

全般的にキャラの甲乙は付け難いのですが、藤間桜ちゃんについても一言…
キャラとしての彼女も好きなのですが、キャラデザが私のどストライクなんです。
と思ってググってみたら、桜ちゃんのキャラデザはカントクさんだったんですね。
好きな理由も腑に落ちましたよ^^;

最初はバラバラだったメンバーが少しずつ結束を強めてきて、「さぁこれから」という時に、まさかの第10話の仕打ち回。
全然予想していなかったので、メンバーと同じリアクションでした。
TwitterでG.I.Pから「大切なお知らせ」が発信されたのもリアリズムの追求の現れなんでしょうね。
メンバーの今後が不安で堪りませんでしたよ。

思えば第11話を見て滝川みうちゃんを推したいという気持ちになったんだと思います。
そして22/7部屋でのみんなのやり取りは涙腺に響きましたよ…

でも、最終回…やってくれましたね!
秋元康マジックに完全に踊らされた気分ですが、このシーンが見られるならそれも悪くありません。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、「ムズイ」
エンディングテーマは、「空のエメラルド」
この他3話のお披露目ライブで使用された「シャンプーの匂いがした」と「僕は存在していなかった」もお気に入りの楽曲です。

1クール全12話の物語でした。
この作品を視聴して良かったと本気で思います。

何気なくTwitterを見ていたら見つけてしまいました^^;
アニプレックスより「滝川みう」1/7フィギュア限定予約開始!
ふっ…思わずポチってしまいましたよ(*ノωノ)

べ、別に購入特典の「直筆サイン会参加券」に目が眩んだ訳じゃないんだからねっ!
ふ、ふーん、キャスト参加イベントの抽選応募券も特典としてプレゼントされるんだ…
イベントの日程は21年の初春…それまでにコロナが沈静化してくれていると良いんだけどな…

投稿 : 2024/11/02
♥ : 20
ページの先頭へ