青龍 さんの感想・評価
3.9
二人の男が過去を乗り越えるまでのお話
本作は、TROYCAの10周年記念作品で、全12話(2023年)。
監督は、同社の1作目である『アルドノア・ゼロ』を担当したあおきえい。制作は、『Re:CREATORS』、『やがて君になる』などのTROYCA。
(2024.11.30 再投稿)
【あらすじ】
モータースポーツの登竜門といわれるF4のチームである「小牧モータース」を中心として、その高校生ドライバーである浅雛悠(あさひな はるか:CV.古屋亜南)と、とあるトラウマから人物写真を撮れなくなった写真家の眞賀孝哉(まどか こうや;CV.小西克幸)という二人の主人公が、それぞれが抱える過去を乗り越える(オーバーテイク)までのお話。
【カーレースのスポ根アニメというより人間ドラマ中心】
本作のレースシーンは、マシンの駆動音、小刻みに揺れる車体など実際の車載カメラの映像を見ているかのような臨場感があり、とてもクオリティが高い。また、資金力のないチームがカーレースという「金喰い虫」に参戦することのリアリティや、カテゴリーのトップを目指す上昇志向の強いレーサー同士の熾烈なライバル争いもしっかり描かれています。
もっとも、本作は、そのカーレースを中心として、その頂点を目指すという「スポ根もの」というより、二人の主人公が抱える過去を乗り越えていく過程を描く人間ドラマが中心となっています。
しかも、カーレースを題材としていながら、レーサーの悠より、写真家の孝哉のレースと全く関係のない話が良くも悪くもレースの話をぶっ飛ばすくらいに重い(笑)。
なので、本作の評価は、ひとえに眞賀孝哉という人間をどう捉えるか次第といっても過言ではなくなってしまっています。
個人的には、孝哉の人間ドラマを描くこと自体は全然有りだと思いましたが、レーサーである悠の話と絡めて、「全然違う分野の二人が出会うことで二人の間に化学反応が起こった」(※Wikipediaによると、そういう企画コンセプトだったらしい)というには、少し説明不足なように感じました(※理由などは後述)。
まあ、孝哉の過去については、人によって大きく評価が変わりそうなので、ご自身で確かめてみるのが一番よいかと思います。
【孝哉の人間ドラマはアリか?(※核心的なネタバレ有りの感想)】
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