カセットテープで家族なおすすめアニメランキング 2

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのカセットテープで家族な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年10月06日の時点で一番のカセットテープで家族なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

79.3 1 カセットテープで家族なアニメランキング1位
宇宙兄弟(TVアニメ動画)

2012年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (1081)
5942人が棚に入れました
2006年7月9日、月に飛翔するUFOに遭遇し「2人で宇宙飛行士になろう」と約束した南波六太(なんば むった)、日々人(ひびと)兄弟。時は流れ2025年、その時に交わした約束通り日々人はNASAの宇宙飛行士となって月に向かおうとしていた。その一方、弟の悪口を言った上司に頭突きして自動車開発会社を退職(リストラ)し無職となった六太。再就職もうまく行かず、意気消沈していた六太の元に、事情を聞いた日々人からメールが届く。「あの日のテープを聴け。」メールに書かれているまま、幼い日に録音したテープを聴く六太。するとそこには、六太が置き去りにしていた「約束」が鮮明に刻まれていた。

声優・キャラクター
平田広明、沢城みゆき、池田昌子、KENN
ネタバレ

ポロム さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

やっぱり・・大好きなアニメ (やっと観終わったので追記)

スカパーアニマックスで視聴
平日に毎日一話ずつ観ていたので全99話観るのに半年程掛かった。

観終わるまで長く楽しめたことと、
一人一人掘り下げられた実際本当に居そうなキャラクターと濃いストーリーが心に響いた。
展開やテンポは若干ゆっくりだけど丁寧な印象。
話の中でも細かい伏線があったりして、後になって「そうだったんだ」と、何回か驚かされることがあった。

<キャラクター性>
まず、全話観て嫌いなキャラクターが居なかった。
回想シーンやキャラの成長を描くのが上手くて
どのキャラも生きてる!って感じで人間らしい。
思わず共感し自分のように感じさせるのがさすがだと思った。

好きなキャラ一人一人名前を挙げてたらキリがないので
主なキャラの南波兄弟を例に挙げたい。

「兄とは常に弟の先に行かねばならない」と長男ゆえのプライドで
生き方も不器用で割と繊細。弟の日々人がバカにされたり何かあると
仕事の上司にさえ頭突きをして会社をクビになるほどの熱きハートの持ち主の「南波六太」と
対照的な弟の「南波日々人」は才能に恵まれ人望も熱く
生き方も器用だが肝心の何かが抜けていると言われるほど大雑把だけど兄思い。
見た目も性格も生き方もこんなに違う兄弟がとても仲良しで
お互いを思いやり、お互いを知り尽くし信頼関係が出来てる。
家族だけど、時に友達みたいで助け合ったりするのが素敵
この物語の魅力の殆どはこの兄弟からきている気がする。

<感想>
あまりにも印象的なエピソードが多く
正直文字制限に引っかかりそうで書ききれない。
兄弟が宇宙を目指すキッカケとなったエピソードや
アメリカヒューストン生活や、六太の宇宙飛行士選抜試験、
どれも大好きだけど、今回はつい今日観た「日々人の月面着陸エピソード」の感想を残したい。

<ここから44話までの超絶ネタバレ>
{netabare}月面をバギーで走行する日々人とダミアン。
誤って深い谷底へ落ちてしまう。
朦朧とする意識の中で誰よりも尊敬するブライアンJから言われた言葉を思い出す
「自分が死んだらどうなるか・・天国と地獄はあると思うか?」
その問いに日々人は「ない」と答える。
「天国も地獄も生きているうちに見るものだ」と。この言葉に痺れました。

一緒に落ちたダミアンの宇宙服は音声機能と体温調節機能が故障していた。
ダミアンを抱え谷を登ろうとした時に日々人は落下してしまう。
その際に酸素タンクを破損してしまう。
         のこり・・・80分の命。
救助が来るまでの時間を想定しても助からないかもしれないと不安が頭を過る。
じっとしていられない日々人はダミアンを連れ
太陽光が当たる安全な場所へ移動した。

その時点で残り酸素残量10分。
日々人は重く受け止めて一人で月面を歩くことを選ぶ。
満天の星空を眺めながら死ぬのも良いかと谷底を眺めると
月に着陸した時に見た不思議な光を見つけた
(これが伏線だったと気づいた)
どうせ死ぬなら謎の光の正体を知りたいと光の方へ歩く。

そこにいたのは・・ブライアンだった。
正確に言うと置き土産の「小さなブライアン」だったけど
「兄弟で宇宙へ行く」と南波兄弟と同じ夢を持ってたブライアンJの想いだった。
私はこのシーンでお鼻が痛くなって思わず涙が出た。
だけど、左手を見て口にくわえてるものを見ると
夢中で観てたせいか「柿の種 わさび味」が気づいたら大量に消費してた。
・・これじゃあ涙も出るな・・と・・・!!
実際、胸がいっぱいになった。(わさびのせいで頭も痛かった)

宇宙で「ブライアン」ともう一度出会い
酸素が切れ、死を覚悟した日々人の前に偶然にもブライアンと同じ名の
酸素生成ローバー「BRIANー03」が現れる。
そして、その回の44話の題名が「3人の宇宙飛行士」の理由を視聴者は知る。
一人目は、誰より尊敬する宇宙飛行士で月面に人形を置いてくれたブライアンJ。
二人目は指揮をとって「BRIANー03」を届けてくれた吾妻。
三人目は日々人の兄で一番の理解者でブライアンの行き先を示した六太。
結果、題名の「3人の宇宙飛行士」が日々人を救った。
だけどそれまでに希望を見失わなかった日々人は凄い。

自分自身の不器用な生き方が六太と似ていたので
つい六太にばかり共感していたが、
今回で日々人の人生観や考え方にふれて更に好きになった。
こうして、「兄弟で月面に立つ」という夢がまた一歩近くなり
再度約束を交わすシーンが爽やかだった。{/netabare}

<追記>{netabare}
一度44話まで観て感極まって感想を書いたけれども
44話以降は六太にしっかりとした目標が出来たことと、
宇宙飛行士という役割が出来たからか、話の進みが少し穏やかになった。

後半が原作ストックに追いついたせいか、あらすじやミスターヒビットで本編が短くなったのが少し残念だったけれど、
話の展開も宇宙飛行士になるまでの選抜試験のようなドキドキから変わって
日々人が月面の事故からPDになり、克服するため周りの人達に支えられたり
仲間達との絆をとても感じて後半も良いストーリーだった。 {/netabare}

<まとめ>
このアニメを観るまで私は宇宙に興味がありませんでした。
全く無いと言ったら嘘になりますが、何より「知らなかったから」だと思います。
作中でも野口聡一さんが説いた「3次元蟻」の話がありますが、
一般常識や固定観念にとらわれていては解決策が見つからないのと一緒です。

「宇宙に人間が行くということも、単に遠くの星に行くだけではなく、
今、私たちが地上で抱えている問題を新しい視点で解くことができる」
この言葉に私は今まで固定観念に囚われた「2次元蟻」だったと知りました。
これは私のひとつの考えですが、宇宙に興味がある人も、ない人も
「好奇心がくすぐられる、視野が広がるアニメ」だと思います。

このアニメを観てから、宇宙飛行士の大変さや宇宙の神秘さ不思議さに惹かれ
飛行機に乗ると「宇宙チャンネル」で宇宙飛行士の宇宙生活を楽しんで観るようになりました。

人生、落ち込むことも楽しいこともいっぱいあるからこそ
諦めずに未知へのチャレンジ精神を忘れないようにしたい、と
南波兄弟を見るとまだ知らない宇宙に想いを馳せながらそう思いました。

投稿 : 2024/10/05
♥ : 71
ネタバレ

とろろ418 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

宇宙への航路

視聴中→{netabare}ストーリーやキャラも面白いですし、感心する話も結構ありました。
中でも三次元アリの話は見事でした。
宇宙開発には莫大な費用が掛かるのは勿論のこと、今はそうありませんが事故も付き物ですし、
何より意義があることなのか、疑問も持つ方も多いはずです。
私も反対はしていませんが、疑問は持っていました。

雑記→{netabare}そこへ三次元アリの話です。
『私たちは地球上で暮らしています。そのため、地球を外から見ることはできないのです。
 宇宙開発はそれを可能にします』
といった内容でした。
確かに視点を増やすという観点で見れば、計り知れない価値がありますよね。
疑問が消えたわけではありませんが、納得です。

ただ、これには問題もあるんですよね。
三次元からは二次元の世界が見えないのです。
つまり、宇宙開発が進み、宇宙に済むことが当たり前になった人々には、
地球上で暮らしていたことの本当の価値がわからないのです。
現在で言うと、若者には戦争の重さがわからない、に等しいかと思います。
歴史で紡ぐことはできるのですが、それにも限度があります。
大事なのは、想いを紡ぐこと。そして、前だけを見ず過去を振り返る勇気を持つことではないかと思います。
それを忘れて宇宙へ乗り出すというなら、私は反対しますね。

長々と私見を述べてしまい、申し訳ありません。話を戻しますね。{/netabare}

推進力が強く、宇宙飛行士になりたいと思わせてくれる作品です。
純粋に楽しめますので、宇宙開発に興味のない方や反対派の人も見れると思います。お勧めです。
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『19話 感想』
  ただウドンを作りながら駄弁る回。
  ただ自分の話したいことを話せるだけ。でも、それってとても凄いことですよね。幸せなことですよね。
  私も同じ経験があるので、心を動かされました。
  それにしても”あるある”をさり気なく、散りばめてるのが憎いです。
  つい、『これやってた』とか『こんなやつ居た』とか、心の中で相槌を打ってしまいます。
  宇宙飛行士試験だけで、終わってしまうのでしょうか?
(2012.8.6 追記)
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『第37話 感想』
  とうとうムッタが宇宙飛行士に。いや、合格発表ってこんなに嬉しいものなんですね。
  流されるがままに生きてきた私には味わえなかった感覚。純粋に凄く羨ましかったです。
  「おめでとう! ムッタ」(* ̄∇ ̄)/゚・:*【祝】*:・゚\( ̄∇ ̄*)
  溝口くんも良かった。『人を頼ること』私もこれ苦手なんですよ。これだけはホントに難しい。
  手を抜くって言ったらアレですけど、そういうのも必要なんですよね。やっぱり頼られると嬉しいもんね。
  これからはより一層気をつけます。そしてただのぐうたら野郎に。ヾ(・ε・。)オイ

  さっそく少し愚痴ります。
  自分で出来ることを平気で他人に押しつけてくる人の気持ちが解りません。自分で解決する方が面白いじゃん。(*・ε・*)
  (勿論、他人のことまで処理するのは疲れますよ)
(2012.12.17 追記)
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{/netabare}
【視聴後】
  率直な感想。「え、これで終わりなの? なんで?」
  まだまだ続くものだと思っていたので、呆気に取られましたね。
  しかも、99話ってものすごくヤラシイじゃないですか。一種の暗喩のようで悲しくなりました。{netabare}100には届かない。劇場場入れてってことなんでしょうかね?{/netabare}

  作品としての評価は上々というところ。
  正直、宇宙飛行士試験が一番面白かったと思うのですが、その後のいい話路線も嫌いじゃないです。
  ただ、その分終わり方が残念でならないですね。
  {netabare}ムッタが宇宙行くまでやって欲しかったです。せめてヒビト復帰だけでも見たかったなぁ。{/netabare}

  劇場版の公開が決まっているようなので、その辺りを期待しています。
(2014.3.30)

投稿 : 2024/10/05
♥ : 9

ちょっきん さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

素晴らしい作品です!続編希望☆(=´∀`)人(´∀`=)

全99話
※長編作品ですが観てない方はぜひ!!!

タイトル見ただけじゃ面白くなさそうで後回しにしてましたが、皆さんのレビューが良かったことと、家族が原作を読んでいて面白いと教えてくれたので観ることにしました。
※原作愛読者にとっては、アニメは展開が遅く観ていられないのだそうです。なので、原作未読の方にオススメです!



掲載雑誌:モーニング
設定:2025〜28年の日本とNASA
主人公:32歳のもじゃもじゃ頭。声が良い♪タイバニのこてつと同じ声優さんです。

日本人の宇宙飛行士さんの実名が出ます。←最初の頃。
全てがフィクションでなく、実際におこった出来事もおりまぜて作られてます。
今より、数年後のお話で現代と変わらない。

普通に笑えます。(*´∇`*)
そして、泣けます。
観ていると宇宙飛行士のことがなんだか分かった気がするのです。
元気ももらえます。

うん。
かなり面白いです。(*≧∀≦*)
続きが気になる系のアニメです!!

あ、キャラデザは青年誌って感じ。大人向け?です。



★最終話★ なんか、夢もらった感じです。私もイロイロ挑戦して諦めず、困難をも乗り越えられるパワーを身につけたいと思いました!
続編希望☆観たいですね、その後の六太と日々人!!!
★98話★ ( ´ △ ` )しょぼーーん。
★97話★ ∑(゚Д゚)えええええええ!!!
★96話★ ケンジ編。
★95話★ なるほど!繋がった!ベティ編。
★94話★ 個性イロイロ〜
★93話★ ブライアンとエディ。涙出る(・ω・`)
★92話★ 六太の訓練開始!新しいメンバーとの顔合わせ。。。だが?
★90〜91話☆ 日々人の戦い。宇宙服は味方だ!涙出る☆
★89話★ 六太の行く先が決まりました!そして、日々人をガンバレーっと応援したくなる回でした!
★88話★ OP、EDが変わりました。
やっぱ、六太はいい奴だなぁ♪
*************************
☆86〜87話☆ 六太結果待ち。日々人編。なんか、ウルっとくるな。
☆83〜85話☆ 六太海底訓練終了。84話で良い感じに!!!
☆82話☆ 六太海底訓練、ケンジ編。
☆81話☆ 六太、日々人それぞれの訓練。
☆80話☆ 日々人NASAへ戻る&六太の新プログラム開始。
☆76〜79話☆ 日々人ロシア編。
☆75話☆ 前半のバトラー室長ネタ笑った!!だけどシャロンで涙目になった!!忙しいアニメだw
☆74話☆ バトラー室長編。秘密の裏ワザ。
☆73話☆ 六太のプレゼン。
☆71〜72話☆ 日々人。。。トラウマですか?
☆70話☆ Newミッション。さて、ムッタの行く末は??
☆66〜69話☆ 飛行訓練。やんじいの話もシャロンの話も涙出るわ。祝!宇宙飛行士
☆65話☆ OP、EDが新しくなりました。
*************************
★64話★ じんわり涙たまる。
★62話★ 新たな展開。。。来そう。。(/´△`\)
★55話〜★ 本編スタートです!安定した面白さです。
★52、53、54話★ 総集編。日々人の場面では息が詰まる。
★50、51話★ 新田ストーリー。(T_T) 涙が出る。

★38話★ 新メンバー宇宙飛行士揃う! 感動で涙出る! 合格発表までの長い道のり34話分の思い出がよみがえり、感情移入している私は自分のことのようにドキドキして…(T_T) そして、涙ぐむ。いい話だわー。

★37話★ 合否発表 溝口くん編…そして‼ ムッタ編‼ ドキドキ。

★36話★合否発表 伊東せりか編‼ お父さんとのストーリー、涙出るわ。(T_T)

★35話★合否発表 ケンジ編!!(*≧∀≦*) ドキドキ。

投稿 : 2024/10/05
♥ : 26

67.4 2 カセットテープで家族なアニメランキング2位
詩季織々(アニメ映画)

2018年8月4日
★★★★☆ 3.5 (64)
287人が棚に入れました
【陽だまりの朝食】北京で働く青年シャオミンは、ふと故郷・湖南省での日々を思い出す。祖母と過ごした田舎での暮らし、通学路で感じた恋の気配や学校での出来事...子供時代の思い出の傍には、いつも温かい、心のこもったビーフンの懐かしい味があった。そんな中、シャオミンの祖母が体調を崩したとの電話が入る。【小さなファッションショー】広州の姉妹、人気モデルのイリンと専門学校生のルル。幼くして両親を亡くした2人は、共に助け合いながら仲良く一緒に暮らしていた。しかし、公私ともに様々な事がうまくいかなくなってきたイリンはついルルに八つ当たりしてしまい、2人の間には溝ができ、大喧嘩をしてしまう。【上海恋】1990 年代の上海。石庫門(せきこもん)に住むリモは、幼馴染のシャオユに淡い想いを抱きながら、いつも一緒に過ごしていた。しかし、ある事がきっかけとなり、リモは石庫門から出ていき、お互いの距離と気持ちは離れてしまう。そして現代、社会人になったリモは、引っ越しの荷物の中に、持っているはずのないシャオユとの思い出の品を見つけるのだった。

声優・キャラクター
『陽だまりの朝食』坂泰斗、伊瀬茉莉也、『小さなファッションショー』寿美菜子、白石晴香、安元洋貴、『上海恋』大塚剛央、長谷川育美

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

全然観に来てる人が少なくて嘆かわしい!!!これは正しく2010年代版『秒速』ですよ!!!

新海誠監督の制作拠点としてもお馴染みのコミックスウェーブフィルムの新作
新海作品に強い影響を受けた新世代スタッフを中心に、中国のハオライナーズが「中国の都市を舞台に、中国の衣・食・住・行(行は交通)といった文化をテーマにした『秒速』みたいなのを作りたい!」と実に10年も前に持ちかけた話がキッカケとなった短篇3部作です




~陽だまりの朝食~
雨の降る北京を足早に行く男性、シャオミン
彼は喧騒とした都会の朝の中で、ふと故郷の朝の思い出を蘇らす
幼少期の好物であった三鮮米粉(さんせんビーフン)を祖母と食べた日々
そして淡い青春の日の隣にも三鮮米粉はあった
いま彼の目の前にあるのは、チェーン店で量産された米粉だ
もう思い出の味を口にすることは無いのか…そう思った矢先、1本の電話が入る…


~小さなファションショー~
中国第3の都市、広州は世界中のアパレルメーカーが拠点を置く現代のシルクロード
そんな広州で一流ファッションモデルとして働く女性、イリンは服飾の専門学校に通う実の妹のルルと二人暮らしをしていた
順風満帆かに見えたイリンの人生だったが、モデルとしての人気にも陰りが見えてきたことに焦りを感じ、自分を追い込んでしまう
やがてやるせなさの矛先は妹のルルに向けられ、イリンとルルは喧嘩してしまう
仲直りのキッカケを掴めぬまま、イリンはモデル引退をマネージャーに切り出すのだが、マネージャーからは1枚のメモが託される…


~上海恋~
90年代、上海の石庫門(せきこもん)と呼ばれるポピュラーな集合住宅で青春を過ごしたリモ、シャオユ、パンの3人
リモ青年は建築設計士となって上海に戻ってきたが、仕事は上手くいかず憤りを感じていた
そんな最中、男友達パンが引越しを手伝ってくれていると1本のカセットテープが発見される
それは淡い想いを抱いた幼馴染、シャオユとの交換メッセージを送りあったテープだった…
なぜリモはテープをシャオユに返さなかったのか?
なぜリモとシャオユは離れ離れにならなければいけなかったのか?
全てを思い出す為に、リモはテープを再生出来るラジカセを探し始める




まず率直に今作、『秒速5センチメートル』『言の葉の庭』『君の名は。』といった新海作品が好きな人に是非観ていただきたいです


美麗な美術や作画は言うまでもありませんが、今作が描いているのはSFでもファンタジーでも無く、中国の等身大の日常です

中学校の制服がジャージだ、とか
蕎麦でも饂飩でもなく米粉が朝食だ、とか
日本で言うところの団地や長屋に相当する石庫門の作り、とか
色んなものが“あの『君の名は。』クオリティ”で丁寧に描かれつつも、オイラの様な日本人にはとても新鮮な光景に映るんです


ところが今作のストーリーの根幹で、“国や文化の違いがあっても人の青春は新海作品で描かれているモノと同じなんだ”という新海作品との共通点に辿り着くんです


新海作品と違うアプローチをしながらも、新海作品と同じ着地点に辿り着く
こんなに美しく、斬新で、面白い映画は今までにありませんでしたよ
文字通り、10年前では思いつかなかったであろう、2010年代版『秒速』ですねこりゃ


にも関わらず、プロモーションが上手くないのか東京都でも封切り時の公開館数は僅か5館
大作サマームービー真っ盛りの季節ということもあって、上映回数も来客数もまばら…


おかしい!
こんなに新鮮な作品を、今観ないで何時観るのか!?
けみかけは『詩季織々』を応援していきたいと思います
鑑賞料金は一律1300円の特別興行でお得
どうせ後からBDを後出しするんでしょうけど、鑑賞チケット提示で本編DVDも買えます(買いましたw)


個人的に、今後の日本のアニメ業界は“日本のアニメ制作の技術を海外の顧客や出資者に買ってもらう時代”が来てると思ってます
もう日本のヲタクの財布をアテにする時代は終わりました
そういう意味でもハオライナーズ、ビリビリ動画、NETFLIXが配給に協力している今作は新時代への回答を既に提示してると言えるでしょう


その一方で、エンドクレジットを観れば純粋な日本人のスタッフが制作現場の中心を担っていることがよくわかります


誰にでも出来るわけではない
日本人だからこそ作れるアニメを、世界の人にお金を払って観てもらう時代の到来と言えます
あなたも今作を鑑賞してみて、時代の先駆者になってみるのは如何でしょうか?

投稿 : 2024/10/05
♥ : 20

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

新海色が強いですが、映像・話・詩情・テーマすべて高水準です。

 チャイニーズ新海です。とはいっても出来は悪くないです。日本との合作のようですが、中国というのはやはり文化文明の国ですね。ここまでのレベルに到達しましたか。ちゃんと詩情があるじゃないですか。良い映画だったと思います。

 映像も日本の真似ではあるでしょうけど、日本だってアメリカやヨーロッパ、古くは中国文化へのあこがれと模倣でやってきた国ですのでお互い様です。日本の真似からどこまで独自性を生み出してゆけるか、というところまで届きそうです。


 1番目のビーフンのやつの出来は素晴らしかったと思います。食事と食堂という視点で成長と時代を見事にとらえ「豊かさとは何か」を描けていると思います。

 手間暇かけた化学調味料を使わない、1つの料理だけ出し続ける店。その食事の調理方法の説明は映像を含め素晴らしい出来栄えです。そして家族である祖母と一緒にいつも通りに食べる食事。素朴で質素で単純であるけど、そこにある精神的な充実と食事の本質を描写していました。

 そして、青春時代。機械が入って子供時代よりも多分味も質は落ちたでしょうけど、ビーフンを愛する奥さんが切り盛りする店の味はおいしいでしょうし、何といっても初恋の味ですね。
 おそらく儲けたいか楽したい旦那の葛藤の末、なくなってしまった食堂。ここに中国の資本化…日本でももっと昔に経験した失われた何かが表現されていました。
(なお、中国人の料理人は試験を通った料理人以外はかなり低い地位で、常に違う職に移る…という風俗らしいですので、それも入っているかも)

 そして超近代化した北京で食べるチェーン店のビーフン。まあ、機械と化学調味料の味ですよね。そしてそこで終わらないでラストですね。時代の節目を感じさせる良い終わり方だったと思います。
 もう少し視聴者を信じてセリフを少なくて映像だけで見せたほうが数段良くなったかな、という気はします。


 2番目のファッションモデルの話。これはちょっと話を作りすぎたかな、という気がします。家族に対する義務感とか売れなくちゃ、加齢に対する恐れを妹とライバルの若いモデルを使って描かれています。ちょっとステレオタイプな女性的な男性も出てきますし、うーん…という感じです。
 妹が描きたいテーマなのか、自分らしさなのかを切り分けて集中した方がもっと自然なストーリーになったかな、という気がしました。もちろん、妹がいたからこその義務感とプレッシャーだったんだとは思いますけど…誕生日とか恋人とかライバルがちょっとうるさかったかな。「すずめの戸締り」の環さんのまだ挽回できる年齢バージョンですね。

 作画も1話目よりは落ちる気がしました。印象として現代の中国の方がもう日本よりもスタイリッシュですよね。ここもちょっとテンプレ感はありますがタワーマンションの生活やファッション界の描写はなかなかよかったと思います。

 3番目は気持ちのすれ違いもの、ですね。それこそ秒速5センチメートル感がかなりあります。もちろん詩情とかダメージとかカタルシスとかそういうのは本家にはかないませんが、本作も結構いい話になっていました。青春ものとして、立派に「あの頃」とか「実は」とか「過ぎた時間」についていろいろ考えさせる作りになっていると思います。

 まあ、最後は新海監督ほどマゾじゃないんだと思いますが、そこをどうとるか、ですね。私はほっとした半面、そこが惜しいなあという気はしました。


 ということで、1番目のビーフンはかなり秀逸。日本に持ってきても上位に食い込む出来だと思います。3番めは露骨な新海フォロワー過ぎますが、ほろ苦くもさわやかな青春もので良い出来です。2番目がもう少し絞り込めていれば…という気がします。もう少し頑張りましょう、かな。

 全体として食事の描写がよく、自分の家族、家、故郷、文明化によって失われるもの、時間などなど一貫したテーマのオムニバスとして、非常にいい出来だと思います。

 作画はうーん…2番目がなあ…4かな。話は4点…いや、1番目が素晴らしいので4.5。キャラはオムニバスですが、3作とも主役の出来がいいので4.5。音楽・声優は調整で両方4にします。
 時間的にも80分もないですので、ストレスなく見られましたし、主観的にも満足度は高いです。

投稿 : 2024/10/05
♥ : 7
ネタバレ

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

20年前の朝食ってなんだった?

この話は三篇の話
四季折々といいながら(いってない)三篇に渡って構成されている中国アニメ。

三篇といっても個々の共通点はゼロ。強いて言うなら舞台は中国、という以外全て独立してます。ただテーマは一貫した物となっています。
共通といってよいのかわかりませんが、「時代の移り変わり」を様々な視点から捉えた作品となっています。
本作を一応中国アニメ、と評しますが制作チームの中には「」新海誠さんたちが所属する作画チームが参加しています。新海誠らしさは感じ取れませんでしたが、やはり雨の描写は流石でしたね。

中国アニメ、といえばとりあえず戦ったり、とりあえず世界最強決定戦を開いたり、と荒々しいイメージでしたが、本作は「時代を移り変わり」を主としているため、イメージとしては「言の葉の庭」のような(制作会社が同じで雨の描写が印象的だったというのもあります。)静寂かつ鮮明な心象を表しいている作品となっています。
この「時代の移り変わり」に着眼点を置く、というのも良いのですが、それを複数の異なる焦点をもって捉える。この発想は素晴らしいですね

別に小説(複数の作家の短編を載せているやつ)などでは珍しくはない表現の仕方なのですが、アニメでは珍しく、新鮮なものでした。
「時代の移り変わり」は日々の生活にあふれているもので、それ自体は珍しくありません。が、それを多角度から捉え、意識することでなんてことない日常を時代の移り変わりを感じさせる特別なものに感じさせる(残念ながら未だに日々を特別に思えないのですが)、そんな作品となっています。

話の内容としては「朝食」「ファッションショー」「上海」、と一般市民から見た「時代の変化」を表したかのような内容。
客観的な自己視点、という描写が多かったのも特徴的であり、このテーマの意義と非常に合致しています。
これを他者による語りならば実感はなく、ただただ空想にしかなりませんでしたし、ただの主観的感想を述べているだけだったら日記となんら変わりません。
しかし、客観的な自己視点を採用することで過去現在、そして未来の自分にまで範囲を広げることが出来ます。非常に考えられたものであり、評価せざるを得ません。
一つあたりの尺が短く、気軽に見れるというのも長所の一つです。

しかし
{netabare}
時代の移り変わり、というどうしようもなく抗うことの出来ない事象に対して、それでも抗ったり取り戻したりしようとする、という行為を描いているくせに、終わり方は完結。移り変わりという流動的な現象を完結という手法にしてしまうせいで違和感となり、本作を見終わったときに「ええ終わったのか」とあっけなさ、というか物足りなさを得る。まぁ純粋に一つあたりの尺が短いから、というのもありますが。
{/netabare}
さらに、テーマを重視したおかげで内容自体が薄い
{netabare}「過去を回想しながら今日も飯を食う」「トップモデルで限界が見えたが妹のためにもモデル続ける」「テキトーに返事しまくったらアンジャッシュしてたけど、夢を叶えたあと再会した」てだけですからね。かなり薄い。{/netabare}
まぁ雰囲気やテーマに合わせるのならば仕方のないことなのでしょうが。
しかし、やはり着眼点やテーマは素晴らしく、好印象です。
内容自体は薄く、矛盾してるかのような作品でしたが、楽しめたことには変わりなく、間違いなく中国アニメの印象が変わる作品であると思っています。

{netabare}
個人的には朝食は面白かったです。時代の移り変わりをダイレクトに、そして客観的に描写しており、「儚くも鮮明な人生」を体現したかのような、作品。
しかもそれを朝食、という一つのものに焦点を当てただけで表現できるんですから本編は純粋に褒めなければなりません。着眼点もさながら脚本も「移り変わり」を意識したものであり、詩季織々にあっていると思います。
{/netabare}

「陽だまりの朝食」の監督は中国の方
「小さなファッションショー」の監督は日本の方
「上海恋」の監督は中国の方

作画はかなりよく、さすがといえる出来栄え。
主題歌はビッケブランカさんの「WALK」

移ろうのは時代だけだったか
ということで締めます

投稿 : 2024/10/05
♥ : 2
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