オーケストラでJ.C.STAFFなTVアニメ動画ランキング 2

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早速見ていきましょう!

76.9 1 オーケストラでJ.C.STAFFなアニメランキング1位
のだめカンタービレ(TVアニメ動画)

2007年冬アニメ
★★★★☆ 4.0 (726)
4277人が棚に入れました
天才と称される音大生・千秋真一は、世界的な指揮者を目指すも様々な壁にぶつかり将来を思い悩む日々が続く。
すっかり自暴自棄になっていたある日、千秋は一風変わったピアノソナタを耳にしながら目を覚ます。
そこで千秋が目にした光景は、ゴミだらけの部屋でピアノを弾く野田恵(通称:のだめ)だった。
のだめとの出会いで、エリートコースを歩む千秋の未来が少しずつ不協和音を奏ではじめる。

声優・キャラクター
川澄綾子、関智一、小川真司、川田紳司、織田圭祐、生天目仁美、松風雅也、小林沙苗、中井和哉、諏訪部順一、能登麻美子
ネタバレ

柴犬→柴猫 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

最高の8分間をあなたに

【個人的殿堂入り作品】
原作は二ノ宮知子さんによる漫画。
先にドラマ化され(2006年10月)、終了後にアニメがスタートした(2007年1月)。
同じ局での放送ということもあり楽曲の音源は共用されている。
深夜アニメとゴールデンタイムのドラマとでは制作費が全く違うため、
アニメ版のだめにとっては豊富な音源が使え、この点は良かったと言える。
逆にアンラッキーだったのはドラマ版の評判が余りにも良かったことだろう。
当たり前だが実写版は演奏シーンを含めて良く動く。
その結果、直後に始まったアニメ版が何ともショボく見えてしまった(特に演奏シーン)のは事実だ。
しかし繰り返し視聴してみると、改変の多いドラマ版と比べて、
ほぼ原作に忠実なアニメ版が内容的に見劣りするということは全くないと分かる。
特にクラシック曲の使用に関してはアニメ版の方が圧倒的に良い。
『のだめ』の劇中で演奏される曲は、殆どの場合何らかの意味を持っている。
ドラマ版はそうしたものはひとまず置いておいて、
演奏シーンを格好良く見せることに主眼を置いた演出だった。
一方のアニメ版は原作で提示されたものをしっかりと表現していた。
何故Sオケがベートーヴェンの『英雄』を演奏したのか、
何故のだめは『ぺトルーシュカ』を弾いたのか。
曲の背景にあるものを考えながら見るとまた面白いのである。

では、この1期でもっとも重要な曲は何だったのだろう?
それは間違いなくラフマニノフの『ピアノ協奏曲第2番』である。
以下にこの楽曲の使用に関する私見を書く。

【クラシック四方山話①】
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調Op.18

1901年10月27日に初演され大成功を収めて以来、
現在でも最も人気のあるピアノ協奏曲のひとつである。
ラフマニノフはこの曲をニコライ・ダーリに捧げた。
さて、このダーリとは一体何者なのか?
そのことを書く前に、話は4年前に遡る。
1897年3月15日、この日はラフマニノフの『交響曲第1番』が初演された日であり、
人生最大の屈辱を味わった日でもある。
何しろ演奏は大失敗に終わり、新聞にもこっ酷く酷評されてしまったのである。
これによってラフマニノフは精神状態が不安定になり、まともに作曲も出来なくなってしまった。
そこで登場するのがニコライ・ダーリである。
彼は医者であり、心理学などを専門としていた為、
ラフマニノフは彼の治療を受けることとなったのである。
用いたのは主に催眠療法と心理療法であったらしい。
こうしてダーリの力もあって大成功を収め自信を取り戻したラフマニノフは、
その後『ピアノ協奏曲第3番』や『交響曲第2番』といった傑作を生み出していった。
そういう意味ではこれは彼にとって間違いなく転機となった曲なのだ。

{netabare}さて、サラッとこの曲の解説を書いてみたが、ここに重要なキーワードが2つある。
それは『転機』と『催眠療法』だ。
話を『のだめ』に戻すと、千秋にとってシュトレーゼマンとの競演は間違いなく転機であった。
海外に行けないことをただただ嘆いていた彼が、
国内でもまだまだ出来ることがあると前向きな気持ちになるきっかけとなったからだ。
そしてそのことがまた新しい出会いを生み出していく。
『催眠療法』については今更言うまでもない。
『のだめ』の今後の展開を暗示している。
こうしてみるとこの曲がこの場面に如何に相応しい曲であるかが分かると思う。

更に素晴らしいのはアニメスタッフがこの曲の重要性をきちんと理解していると思われることだ。
演奏シーンは11話のAパートにある。
曲は第1楽章の冒頭から編集なしで8分間!流される。
これは『のだめ』1期の演奏シーンの中でも飛び抜けて長い。
しかも曲にセリフが被るのは極僅かである。
ああ、何と感動的な演奏なのだろう。
曲の背景にあるものが見えてしまうとなおさらだ。
佐久間さんでなくてもポエムのひとつでも呟きたくなる。
シュトレーゼマンは言った。
「ブラームスには無駄な音がひとつもないんです」
私は言う。
「のだめカンタービレに無駄な音楽はひとつもないんです」
私が数ある音楽ドラマの中でもこの作品を特別に愛して止まない理由はここにある。

【各話評価:平均6.39点】
1→23
☆◎☆◎☆☆☆☆神☆神☆◎☆神☆☆☆☆☆☆☆☆

【神回】
第9話「音楽祭」
ドラマでは省かれてしまったが、実はかなりの好エピソード。

第11話「ピアノ」
本物の巨匠がそこにいる、そして彼も(本物だ)。

第15話「変化」
いくら才能があったって、本人がそうあることを望まなければ・・・。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

◇fumi◆ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

88の場面の中に散らばった音かき集めて 歌うように・表情豊かに

2007年放送のテレビアニメ ノイタミナ枠 全23話

原作 二ノ宮知子 監督 カサヰケンイチ 構成 金春智子 キャラデザ 島村秀一
制作 J.C.STAFF

女性マンガ誌「Kiss」に2001年から10年にわたって連載された人気コミックのアニメ化。
この作者はクラシック音楽の知識が全くない人だそうで、
ゴミ屋敷の中でピアノを弾いている人の写真を見たことから発想を得たそうです。
そんな人が書く本格クラシック音楽コミックと言うことで、クラシック業界もバックアップしたのは必然です。
2004年の「スイングガールズ」のヒットに続けという感じで、
2006年秋にはフジテレビでドラマ化(全11話)そのまま連続する時期に放送されたのがアニメ版です。

もう十年以上も前の作品なので何も付け加えることは無いと思うのですが、
実は今回初めて第一期を完走しましてあまりの面白さに呆然となっているところです。
正直なことを言いますと、ドラマは楽しんだのですが、
アニメは古臭い作画に耐えられず3話くらいでやめたのです。

いったい何が古臭かったのでしょうか。
分かりません。今観ると素晴らしい作画です。
時代的に止め絵が多く、楽器演奏もアップ以外は出鱈目なのですが、
絵コンテのレベルが高くほれぼれと観てしまいました。

主人公『野田恵』CV川澄綾子のキャラはドラマ版より原作準拠で完璧な再現率です。

なんだかだらしない女子大生「のだめ」こと野田恵は音大ピアノ科2年生。
将来の夢は幼稚園の先生になること。
なぜか高レベルの音大らしき桃ケ丘音大(モデルは桐朋音大かな)に居る。
この居心地の悪さが生活を破たんさせた原因のようです。
逆に考えると「のだめ」はピアノの天才だったのです。
両親もよく分からないまま、地元のピアノ関係者の推薦のまま入学したものの、
一途に漫画家を目指して芸大に入ってしまった人のような心地悪さでしょう。

同じマンション(もちろんピアノ可)には偶然同じ大学の先輩である『千秋真一』がいまして、
ピアノとヴァイオリンに天才的な手腕を発揮するエリート音大生ですが、
その出会いから物語は始まります。

2クール作品ですが、大部分が千秋真一の指揮者への転向と活躍が描かれ、
のだめは変態扱いでギャグメーカーでしか無いです。

奇声を発するゴミ屋敷在住の色ボケ女子大生の主人公ですが、
原作がたぐいまれな名作だったこともあり、
00年代を代表する素晴らしい作品に仕上がっています。

音楽の使い方は、当時としては群を抜いています。
直前、同テレビ局でドラマを造ったこともあり、さらに進化したクラシック音楽の使用が可能になったと思われます。
80年代ポップス風のOPEDものだめの心情を現すようで作品にマッチしています。

2期、3期が制作され、全45話完結のノイタミナを代表する名作アニメ。
たぶん、あっという間に観終わると思います。

この作画は素晴らしいです。
止め絵でも構図が良ければ納得できるということですね。
物語は面白すぎて最高点。文句なしでした。

一つ問題点を上げるとすれば、この作品を観て音大に入りたくなる人が少なさそうだと言うこと。
登場人物が楽器の天才ばかりと言うのでは、身近に感じられないのです。
「けいおん」ほどの社会現象にはならず、クラシック音楽もそんなにブームにならなかった原因だと思います。

その代わり物語構成や展開の原作力は他の音楽作品を圧倒していますので、
もしかしたら今こそ観るべき作品なのかも知れません。

2期3期観終わりました。
素晴らしいエンディングが待っています。名作認定ですね。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 26

こたろう さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ドラマ>アニメ・・・・だけど良作

人気少女漫画のアニメ化作品。
オーケストラやピアノといった古典音楽を中心に、若者達の恋愛と成長を綴った物語です。
実写ドラマ化、映画化もされていて好評を博している作品。
アニメよりも実写の認知度の方が断然高く、
「あ、アニメにもなってたんだ」
とか言われると思います、一般的には。


人気の高い漫画を引っ張ってきているので、ストーリーが面白いのは当たり前です。
若く才能溢れる主人公達たちの成長の軌跡を描いているわけですが、コミカルな雰囲気を保ちつつも、真面目に音楽家としての挫折と成功のステップアップを追っていくストーリーは終始見応えがありどんどん引き込まれます。
恋愛面のドロドロはなく、初っ端からフラグが立っているのでメインストーリーの邪魔にはなりません。でもそれでいて、ちゃんと見所やヤキモキさせられる要素も含んでいます。

とにかく、のだめのキャラが特徴的。
独特のキャラを上手に表現できているか気になるところですが、ダメ人間ぶり変人ぶりは上手くできていたと思います。
実力派のベテラン声優さんなので表現力には死角なしですね、お見事でした。
序盤のザコ扱いにはヒロインとしてどうよ?と思い心配になりましたがw 終盤でちゃんと主人公らしさを魅せて挽回してました。
2クールの間、間延びすることもなく常に次が気になる展開。実に楽しめました。
キャラクターも粒ぞろいで、みんな愛せます(〃'▽'〃)


ただし、作画には注文をつけたいところが結構ありました。
序盤は、それなりに描いてあるのかな?っと感じた演奏シーンですが、視聴を続けていくと段々と手抜き感が露になってきます。
いや、オーケストラを作画するのって、もの凄く大変なのはわかりますよ。わかるけど、音楽をテーマにしてる作品の見せ場、命脈とも言えるシーン、もっと気合いを入れたアニメーションを魅せて欲しかったです。
楽器や指の動きはCGを使っているのでキレイなんですが、それに頼りすぎ。
頼みの綱のCGにしても創ってあるカット数が少なすぎて何度も使い回されているのがモロわかり。すぐ飽きるうえに、アップばっかりで構図も単調。魅せるべきところであろう演奏者(キャラ)が映るところは、指一つ、眉一つ動かない止め絵ばっかり。演奏の尺が長いもんだから、普通ならサラッと流せてしまいそうなところも、尚更そういうのが目についてしまいます。
なまじ音がいいだけに、余計に映像が負けている気がして・・・アニメ好きとしては、実写に引けを取って欲しくないのですが、残念ながらTVドラマや実写映画に勝っていると言えないのが悔しいです。
アニメだからこそできる表現ってあるのだから、そういう所を強調してナンボでしょう。
予算、音を作るのに全部もっていかれて映像にまで回せなかったッスか?


とまあ、苦言を呈しましたが、文句を言いたくなるのも、ストーリーや音楽が良かったからこそ。
扱っている題材もありきたりなものではないので新鮮味はあるし、作品としての娯楽性は豊富。安心してオススメできる良作です。
カンダービレで(歌うように楽しく)、ご視聴ください^^

投稿 : 2024/11/02
♥ : 23

70.7 2 オーケストラでJ.C.STAFFなアニメランキング2位
のだめカンタービレ フィナーレ-finale(TVアニメ動画)

2010年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (429)
2385人が棚に入れました
千秋はマルレ・オケでの活動を軌道に乗せはじめていた。
一方、のだめは、オクレール先生から出される課題に追われる日々を送っている。コンクールに出たいという希望も先生に一蹴されてしまうのだめ。レッスンを終え、疲れ果てて帰宅したのだめを、さらなる不幸が襲う。なんと、千秋がしばらくの間、騒々しいアパルトマンを出て行ってしまったのだ…。
先を急ぐ千秋と千秋に追いつけないのだめ。のだめの焦りは募るばかりだった…。

声優・キャラクター
川澄綾子、関智一、松風雅也、大原さやか、伊藤静、浅沼晋太郎、日野聡、森川智之、清川元夢
ネタバレ

柴犬→柴猫 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

ちゃんと分けて、ひとつになった

【個人的殿堂入り作品】
傑作である。
原作理解度の高い今千秋監督を先頭に構成の中島かずきさん、
脚本の横谷昌宏さん、大野木寛さん、吉田玲子さん、丸尾みほさんといったベテラン陣に支えられ、
かつて見ない程の濃厚な音楽ドラマとしてここに完結した。
本作は原作の17~23巻の部分にあたる。
話は段々とシリアスになって行くが、各所にギャグをちりばめ、決して重くなり過ぎることはない。
また『千秋とのだめと音楽の関係』に絞って再構成されているので、
話が散漫になることはなく、後を引く面白さがある。
(個人的には千秋と父親の関係の話が全面カットされたのが良かったと思っている)
最終回を原作を読んだ時、正直微妙な終わり方だなと思った。
(実際、賛否両論だった)
しかしこのアニメ版を見てから、その認識は変わりつつある。
演奏される数々の曲が説得力を持って私に語りかける。
「これで良いのだ」と。

【クラシック四方山話③】
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番変イ長調Op.110

1821年に完成した作品で、俗に言う『後期3大ソナタ』のひとつである。
表題の付いていない曲なので一般的な知名度は低いが、
音楽的にも構造的にも魅力的な曲で、好きな人も多い。
この頃のベートーヴェンは既に耳が全く聞こえなくなっていた。
更に経済的な困窮や身内の問題などで苦悩は多く、この作品にもそうした悲嘆が色濃く反映されている。
中期の作品であれば、そうした『運命に抗い、高らかに歓喜を歌う』曲になるのであるが、
晩年に書かれたこの曲は違う。
嘆きの後に続くのは、現状を受け入れることでその苦痛から開放されようとする諦観である。
しかしまた不意に襲いかかる嘆き。
その後曲は次第に元気を取り戻し、最後は力強く終結する。

{netabare}間違いなく『フィナーレ』で最も重要な曲。
オクレール先生がのだめに与えた課題曲のひとつとして第6話で登場する。
そしてその後、大事な場面で2回使われる。

《第3楽章》
この楽章前半は『嘆きの歌』と呼ばれている。
そこにあるのは『裏切り』『苦悩に満ちた試練』『落胆』。
人の嘆きの全てがある。
最後は疲れ果て、心もない。

初め、のだめはこの曲がうまく弾けなかった。
「なんか、わかる気がするのにわからない・・・」
そんな時、千秋がまたRuiと競演すると聞く。
しかものだめが千秋と演奏したいと熱望していた曲で。
次第に濃くなるのだめの悲嘆。
『裏切り』『苦悩に満ちた試練』『落胆』
「今はこの苦しい気持ちがいい音を出すんデスよ」

その後、シュトレーゼマンにピアノを聞かせて欲しいと言われてこの曲を。
度重なる悲嘆を経験し、『嘆きの歌』は完全に出来上がっていた。
そしてそれは巨匠の心を動かすのに十分なものだった。
「最後のフーガはなしですか?・・・歓喜に満ちた・・・」

本来、曲は『嘆きの歌』の後にフーガが続く。
そこで諦観から次第に活気を増し、最後には前向きな気持ちを取り戻すのだ。

Ruiの演奏の素晴らしさを認めつつも、
ならばそれ以上の演奏をしてやろうという気持ちにはなれなかった。
・・・だから、のだめはフーガを弾かなかったのではない。
弾けなかったのだ。

《第1楽章》
終盤の山場にのだめによって演奏される。
千秋がのだめのプロポーズを受け、
更に演奏家として上を目指すことを強いるのはやめようと決意したところでこの演奏を聞いてしまう。
曲想はcantabile molto espressivo(感情を込めて歌うように)。
また特にcon amabilità(愛をもって)と記されている。
のだめが千秋を想ってこの曲を弾いたことは想像に難くない。
千秋は涙する。
「それでもオレはやっぱり、何度でもあいつをあの舞台に連れて行きたいと思うんだ。
このピアノを聴くたびに」{/netabare}

【ちゃんと分けて、ひとつになった】
{netabare}『のだめカンタービレ』という作品は『千秋とのだめと音楽の三角関係を描いた物語』と言っていい。
千秋はまず最初にのだめの才能に惚れてしまったので、
後から本人を好きになっていっても、もう音楽と切り離して考えることが出来なくなっていた。
(だから切り離してのだめのプロポーズを受けようとしていた)
そんな千秋に付いて行くためには、のだめは音楽と真剣に向き合い、その道を進む以外に方法がなかった。
(千秋との競演というちっぽけな目標を心の支えにして)
そして月日を重ね、互いの気持ちが次第に寄り添っていっても、
どうしてもこの三角関係を断ち切ることは出来なかった。
だから振り出しに戻ってみたのだ。
モーツァルトの『2台のピアノのためのソナタ』。
曲は同じでも、あの時とはまた違った高揚感。
たとえ辿って来た道が苦しいものであったとしても、
こんな喜びがあるから、何度でも立ち向かおうと思える。
「先輩の背中、飛びつきたくてドキドキ。これってフォーリンラブですか!?」
あの時は「ちがう!断じてちがう!」と拒絶した。
今度は・・・しっかりと受け止め、抱きしめた。

(人と音楽を)ちゃんと分けて、(千秋とのだめは)ひとつになったのだ。

【各話評価:平均7.09点】
1→11
☆☆神☆☆☆☆神神☆☆

【神回】
第3話
ヴィエラ先生との再会、そしてのだめが見せる不安。

第8話
疲れ果て、心もない。

第9話
スリリングであり、感動的なショパン。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3

ねるる さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

20周年を迎えた伝説的な人気作完結編!良作の青春ラブコメを見たい方、見るなら今がオススメです!

原作漫画未読。ドラマ版視聴済み。アニメ1期、2期視聴済み。
全11話。

舞台は引き続きパリ。真剣に音楽と向き合い、ぐんぐんと成長を続けるのだめとそれを見守る千秋。2人の音楽と恋が、ついにクライマックスを迎える。アニメのだめカンタービレ第3期!フィナーレ!

今まで1期からずっと見続けてると、3期目のラストに向けての千秋先輩の献身的で一途な愛がとっても良くて、ほわ~ってなってました。2人の出会った時の関係性が、いろんな経験と出会いを通して徐々に変化し、追いかけたり、飛び越えたり、隠れたり、抱きしめられたり、特別な存在になっていく2人がとってもとっても本当に良くて、11話しかない事に泣きました。続きが見たい。
まだまだのだめも千秋先輩も道半ばでこれから更に前に進んでいくと思うので、原作も終わってしまっているけど、続きが見たくなりました。

この作品のメインであり、超強個性キャラのだめ。言わずもがな良いキャラですが、やっぱこの作品は千秋先輩という心底良いキャラがいるから輝くなと、、しみじみ思いました。
千秋真一というキャラが、少しでも違ったキャラ設定だったらこの作品をここまで楽しく見れてないと思う。イケメンでお金持ちで努力家で才能に溢れてて、性格は少し意地悪だけど世話焼き…ハイスペック過ぎる。作中で、優しいけど甘すぎず、ちょっと頑なだけど誠実。と評される千秋真一…キャラメイクが良すぎました。

千秋先輩役の声優:関智一の演技も凄く良かった。最初の頃から頑なさの中の優しさを凄く感じる演技だったけど、恋人関係になってからの深い愛情、尊敬を含めた愛のこもった甘過ぎない甘さが素晴らしかった。特に6話の2人でレッスンする回好きだったな~。

演奏されるクラシック音楽は、物語上での2人の心境やぶつかる壁に合わせた背景がある楽曲が流れるので、今までクラシック音楽聴いても作曲家の意図とか書いた時の作者の心境なんて気にしたことも無かったけど、そういう楽しみ方も出来る音楽なんだなって事が分かりました。きっかけがないとクラシックってハードル高くて中々行けないけど、この作品を好きになったから行く動機になったなって思います。

アニメ第3期まで一気に全部見ちゃうくらいにハマって、今はのだめカンタービレの事しか考えれないくらい、のだめ脳になってます。ドラマも見返して、原作漫画も読んでみたいと思います。昨年2021年に20周年という節目の年を迎え、今年も色々な催しがあり、ミュージカル化も決定した様なので、いい時期にどっぷりハマれたなって思います。
気になってる方!見るなら今!今なら供給過多です!
所々に刺さるセリフも出てきて、青春ものとしてとっても優秀だし、テンポも良く、程よいコメディ感も良く、2人の関係を描く恋愛アニメとしてもとってもハイクオリティな今作品。
人気なものには理由がある。この作品の人気にはしっかり中身と理由があります!男女ともにオススメです!

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9

◇fumi◆ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

のだめと千秋の音楽に賭けた青春の夢の始まり それが最終章

2010年放送のテレビアニメ 全11話

原作 二ノ宮知子 監督 今千秋 構成 中嶋かずき キャラデザ 島村秀一
音響監督 明田川仁 制作 J.C.STAFF

OP「まなざし☆ディドリーム」さかいゆう ED「風と丘のバラード」Real Paradis

4クールにわたって描かれた千秋真一と野田恵の青春ストーリーのフィナーレです。
原作はKissに2001年から2010年に渡って連載され、
音楽家を目指す若者の物語としてスタンダードになったと思います。

第三期と言っても第二期巴里編と舞台時期共に連続しているため、
後半2クールは連続して視聴することをお勧めします。

世界中からクラシック音楽の才能に恵まれた若者が集う街の一つ巴里を舞台に、
主人公「のだめ」が苦闘と飛躍、称賛と挫折を知り成長して行く最終章です。

天才と呼ばれる学生だらけですが、のだめと同期でそれなりの稼ぎがあるのは、
プロダクションと契約後の千秋と、神童として世界巡業の経験があるソン・ルイだけでしょう。
それ以外は、どんなに優れていようが親のすねかじりの学生です。
華々しく見えたのだめのコンサートもギャラは微々たるものと言う発言がありました。
シュトレーゼマンとの共演ならそれなりでしょうが、一回限りです。

18世紀なら音楽家は自由に信じる道を歩めたとか言われていましたが、
映画「アマデウス」など観た感じでは、やっぱり現代とそう変わらずに厳しい印象ですね。

世界中の音楽の神童はヨーロッパに留学し、大物に師事し、有名演奏家と共演し、
その経歴を生かして地元で生活を安定させて音楽活動を続ける。
と、信じている人は居るのでしょうか?
どこの国でもそんなに音楽家は必要とされていないのです。
ヨーロッパにとどまった人が勝ち組、帰国した人には幼稚園の先生並みの仕事しかありません。
家庭が裕福でなければ、演奏活動を続ける道は非常に狭いものです。

現代に現れたモーツァルトだったかもしれない「のだめ」と、
プロ音楽家として成功を収めつつある千秋のゴミ屋敷での出会いから、
恋をはぐくみ、お互いを理解しあえるようになるまでの成長を描いた、
「のだめカンタービレ」その一区切りがこの作品でした。

18世紀に比べてクラシック音楽の教育は進歩し、志す若者の数も数万倍とも思える現代ですから、
数万人のモーツァルトが現れるはずですが、そうはならないものなのです。
ジャズを知るソンルイ、アニソンを知るのだめ、雑音を全身で受けながら成長した千秋、
みんなある意味汚染されて過去の楽聖とは違う世界の住人です。

単に天才だから成功して終わりと言う物語ではない、
現代に生きる若者の不安や希望を未来に向けて拡散させるようなラストは、
良く考えられたもので、純粋に感動出来ました。

この作品はただの少女コミックではない。
多くの音楽家の夢と挫折を吸収しつつ膨らんだ叙事詩です。
この小さな恋の物語から、未来にこそ読み継がれるべき普遍性を感じました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 23
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