オレンジでシリアスなTVアニメ動画ランキング 3

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ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月19日の時点で一番のオレンジでシリアスなTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

82.2 1 オレンジでシリアスなアニメランキング1位
宝石の国(TVアニメ動画)

2017年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (946)
3795人が棚に入れました
宝石たちの中で最年少のフォスフォフィライトは、硬度三半とひときわ脆く、靭性も弱くて戦闘に向かない。また、他の仕事の適性もない。そのくせ口だけは一丁前という、まさに正真正銘の落ちこぼれだった。そんなフォスに、三百歳を目前にしてやっと「博物誌編纂」という初めての仕事が与えられる。

今から遠い未来、かつて存在した生物が、不死の身体をもつ「宝石」になった世界で、月から飛来する謎の敵“月人”と宝石たちとの激しい戦いを描く、強くてもろくて美しいアクションファンタジー。

声優・キャラクター
黒沢ともよ、小松未可子、茅野愛衣、佐倉綾音、田村睦心、早見沙織、内山夕実、高垣彩陽、内田真礼、伊藤かな恵、小澤亜李、種﨑敦美、茜屋日海夏、広橋涼、皆川純子、能登麻美子、釘宮理恵、中田譲治、生天目仁美、桑島法子、原田彩楓、上田麗奈
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

願わくばアニメの新地平を

市川春子原作、オレンジ制作。

遠い未来、僕らは「宝石」になった。
粉々になっても再生する28人の宝石たち。
それぞれに種類が違い硬度と靭性がある。
死の概念はなく非常に長寿である。
生殖はせず性別は存在しない。
そして来襲する「月人」との果てなき戦い。

奇抜な設定は時として、
芸術家の自己満足に陥りやすいのですが、
非常に娯楽性に富み哲学的であります。
次回予告が情熱大陸、声優は豪華で楽しい。

この星に受け継がれた伝説が語られ始める。
{netabare}この星には「にんげん」と言う生物がいたと云う。
かつて大陸に6度の流星が訪れ、
大地は欠け、全ての生物は海へと逃げた。
長い時を経て、結晶となり、再び、
浜辺へ宝石生命体として打ち上げられる。
「にんげん」は魂と骨と肉に分かれたと云う。{/netabare}

身体が欠けると記憶も失う、
不死の為、死に疎い宝石たち。
この設定が特に素晴らしい。
それゆえに生を価値あるものにするのだ。

最終話視聴追記。
唯一無二の世界観と3DCGの可能性、
色彩豊かな芸術作品の登場に心から感謝したい。
この作品こそ「宝石」でしょう。

願わくばアニメの新地平を、
大いなる挑戦に期待しています。

投稿 : 2024/12/14
♥ : 106

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

黒沢ともよさんの名演技が光る作品

原作未読。最終話まで視聴。

不思議な世界観の作品。
細かい説明が無いまま物語が進んでいくが、何故か引き込まれていく。

主人公・フォスは、トラブルメーカーなのに、結局、誰からも愛されている(ように感じた)。

エンドロールを見ると、有名声優さんがずらりと並ぶこの作品。
その中で、ひときわ際立つ名演技を見せてくれた黒沢ともよさん。

なんだか、謎めいた終わり方でしたね。
第2期を期待して待ちたくなる作品です。

投稿 : 2024/12/14
♥ : 93

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

「美術部門」的な意味で2017年秋クール最強…?(「ストーリーがつまらない」とは言ってない) 好演技: 黒沢ともよ無双!

原作は月刊アフタヌーン連載の同タイトルのマンガです。

特にアニメ化が決まる前からもPVが作られて書店で目にしたりと、わりと講談社には推されている感じでなんとなく気にはなっていたのですが、読まないでいるうちにアニメが始まってしまい、とりあえず原作を読むのを控えています。

このレビューを書いている時点では第4話まで観終わっています。

タイトルの通り、登場キャラクターたちは人間っぽい姿をしていますし人格もありますが「宝石(鉱物)」です。

「なぜ宝石が人格を持っていて喋るのか」という点について特に説明はないままストーリーは始まり、とりあえず宝石たちを襲う「月人」との闘いが描かれます。そんな中で宝石たちにはそれぞれ役割が与えられている中、皆の役に立つ役割を与えられないフォス(フォスフォフィライト: 主人公)がクローズアップされていきます。

序盤4話くらいで、だんだんこの物語の世界が視聴者にも見えてくる、とった感じのシリーズ構成になっているようですね。

本作ですが、他の方のレビューにも散見される通り「宝石」という題材と3DCGによる表現との相性がとても良く、各キャラクターたちが美しく描かれます。またそんなキャラクターの描写に劣らず背景美術も美しく、通常の2Dのアニメーション作画とは直接の比較は難しいですが、作画的な意味でかなり高評価です。

また声優陣にいわゆる「新人」は皆無であり、皆いろいろな他作品で活躍している方ばかりで大変豪華と言えると思います。

音楽担当としてクレジットされる藤澤慶昌氏はハロプロへの楽曲提供などJ-POP畑の人という印象ですが、アニメ的にはラブライブ!の劇伴音楽を担当されたり、TARI TARIの『続くメロディ』を作曲した方だったりもしますね。


おまけ: そもそもアフタヌーンという雑誌は、古くは『ああっ女神さまっ』、『寄生獣』、『なるたる』とか時代が下ると『おおきく振りかぶって』、『げんしけん』、『シドニアの騎士』などがアニメ化されており、週刊少年ジャンプほどではないかもしれませんが、マンガ原作の宝庫と言えます。

そして雑誌自体のカラーとして、ちょっとマニアックな感じの作品が集まっているようにも思います。想定している対象読者の年齢も、少なくとも小中学生ではなさそうな感じですよね。いかにも深夜アニメの原作向きに思われます。

2017.12.3追記:
9話: フォスの変化に応じたともよ様の演技の変化が素晴らしかったです。伊達に芸歴長くない、さすがの黒沢ともよ様!

2017.12.24追記:
最終話まで視聴完了。めっちゃ気になる引きで終わりました。これは原作読んじゃいますね。

アニメ、とても面白かったです。

2018.8.22追記:
現時点では中途半端でアニメの続編は難しいというかやめた方が良いと思いますが、原作はわりと驚くべき展開になっています。

既に原作は読み進めているのですが、区切りがついたら是非アニメ続編もお願いしたい感じです。

投稿 : 2024/12/14
♥ : 92

84.7 2 オレンジでシリアスなアニメランキング2位
ブラック・ブレット(TVアニメ動画)

2014年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (2572)
15395人が棚に入れました
突如、現れた異形の寄生生物「ガストレア」。赤く輝く目と圧倒的な力、そして桁外れの再生能力を持つ彼らの侵攻に、人類はなす術もなく大敗を喫する。国土の大半を失った現在、人類は彼らが唯一弱点とする金属「バラニウム」で作ったモノリスで囲われた、狭い「エリア」の中で、ガストレアの脅威に怯え、隠れながら生きることを余儀なくされていた。そんな中、生き残りをかけた人類のささやかな抵抗として組織されたのが、ガストレアへの対抗手段を持ったスペシャリスト集団「民間警備会社」――通称、民警。そのひとつ、天童民間警備会社に所属する高校生・里見蓮太郎は、相棒の少女・藍原延珠と共に、東京を壊滅に追い込まんとする、危険な企みに巻き込まれていく――。

声優・キャラクター
梶裕貴、日高里菜、堀江由衣、黒沢ともよ、小山力也、悠木碧、甲斐田裕子、豊崎愛生
ネタバレ

Appleモンキー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ロリっぽい...BUT...

悲しい設定だよね。
{netabare}感染源として、敵でもあり、味方でもある{/netabare}っていうのは。。。
えんじゅがかわいいだけに、今後どういう展開になるか期待!ですね^^

■第2話
{netabare}
「呪われた子供たち」への扱いがヒドイですね。
長老さんいい人だ^^
{/netabare}

■第3話~第12話
{netabare}
木更さんが最後に謎の闇落ちに・・・(笑)
カゲタネがラストで登場してアツかったですね!
{/netabare}

投稿 : 2024/12/14
♥ : 81
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

ロリになった覚えはないんだけど・・・。

延珠ちゃんを初め、少女がたくさん出てきます。
{netabare}
彼女たちは“呪われた子供たち”と呼ばれ、市民から激しく迫害されています。
時には殺害されるほどに・・・。

ところが、彼女たちはその人間離れした身体能力を活かし、“イニシエーター”として、市民を守るために戦います。
{/netabare}
ロリになった覚えはないんだけど、彼女たちに心奪われずにはいられませんでした。
{netabare}
後半で、延珠ちゃんの友人たちの命が、一度に奪われます。
{/netabare}
ロリになった覚えはないんだけど、思わず涙が溢れ出してしまいました。


コメディとバトルがバランスよくミックスされた内容。
全13話と短目なので、一気に見れると思います。

バトル好きで、アニメで泣きたい方にはお勧めです。

投稿 : 2024/12/14
♥ : 75
ネタバレ

☆エトペン☆ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

今期の作品はお気に入り棚行きが多いようです。

ガストレアという化け物が町をうろつく中
その化け物を退治すべく
主人公たちが相棒の少女と共に戦う話。



バトルものを好まない自分が
最初の数話で引き込まれた作品の一つ。

それは多分、自分が多少ロリコンだからかもしれない。
この物語に登場する少女はみんな強いが、
それ以前にかわいい。



しかし作品としては面白いが気になったところもあった。


{netabare}
まず1話目の人間がガストレアになるシーン。

その時は延珠がその男のそばにいて
延珠は「私には何もできない」と言って
ガストレア化を待っていた風に感じた。

なので僕たちに説明しているような雰囲気があった。
まだ演出の知識が浅い僕でもわかるのですから
もう少しうまくやって欲しかった。


今考えれば、
バラニウム弾でしか敵を撃破できないから
蓮太郎を待っていたのかもしれないが

そのあとの延珠の戦闘を見ていると
普通にガストレアを倒していたりしたので
疑問に思ってしまった。
{/netabare}



{netabare}
そして四話辺りである少女と合流したとき
自分はその子も味方になって少女のハーレム状態に
なると思っていたが、
すぐに少女が死んだので
自分の思っていたハーレムエンドの道は
絶たれたと思っていたのだが
なぜか一人あとで加わったので
思わず笑ってしまった。
{/netabare}



あと声優ですが・・・
また梶くんですか(笑
叫ぶ時はやはり進撃の巨人のエレンを連想したが
やはりロウきゅーぶが離れないw
小学生は最高だぜ!←自分の本音。




蓮太郎は好きな主人公の一人だが、


{netabare}
メガネ野郎の指を潰すのは同意できなかった。

もっとかっこいい方法があったはず!

結果的に最後は自業自得でしたしね。
{/netabare}




細谷さん今期はすごく出ていましたね。
自分の見ている作品だけでも6つ出てました。

{netabare}
ちなみにそれは
ブラックブレット、ハイキュー、棺姫のチャイカ、
一週間フレンズ、ダイヤのA、七々々です。
{/netabare}



{netabare}
あとティナ・スプラウトの声は
内田真礼さんだと思っていたが
違ったのには驚いた。
{/netabare}


<音楽>
自分の大好きな(多分みんな大好きだと思いますが、)
fripSideとやなぎなぎさんがOP、EDと歌ってくれて
良かったです。
すごく気に入りました。

OPの歌い出しなんか進撃の巨人を思い出させてくれて
かなり興奮したな。




{netabare}
途中、延珠の体のガストレア侵食率が
ヤバいシーンがありましたが、
この1クール内の伏線でなかったのなら
伏せて欲しかったですね。
{/netabare}



二期は絶対希望です。
これからってところで終わったので
続きが気になります!
早くやって欲しいですね。

投稿 : 2024/12/14
♥ : 64

77.7 3 オレンジでシリアスなアニメランキング3位
BEASTARS(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (356)
1549人が棚に入れました
肉食獣と草食獣の共存する世界。食肉が重罪とされるなか、名門校・チェリートン学園で演劇部の生徒が食い殺される“食殺事件"が起きる。犯人は見つからず、不安に揺れる生徒たち。そんな中、演劇部では死んだ生徒の代役を巡っていさかいが起きる。次期『ビースター』候補とささやかれ、演劇部のカリスマ的存在であるアカシカのルイに、逆恨みをした肉食獣の部員が襲いかかったのだ。それを庇ったのは、照明係の二年生・レゴシ。『鋭い爪』や『大きな体』など、強そうな外見とは裏腹に、心優しく無口で不器用なオスのハイイロオオカミだ。だが、当のルイはそんなレゴシを偽善的で気に食わないと言い、強引に夜間練習の見張りに任命する。夜。誰もいない講堂裏の裏庭で、ひとり見張りをしていたレゴシの前に現れたのは―――小さな白いドワーフウサギの女子生徒・ハル。その匂いを嗅いだ瞬間、レゴシの体を本能が駆け巡る。我を忘れて襲いかかり、気付いた時には、彼女を両腕に抱きすくめていた。腕の中で聞こえる鼓動が自分のものか、彼女のものかもわからない。しかしこのハルと、そして自分の本能との出会いが、静かで穏やかだったレゴシの人生を大きく変えていく。彼女へのこの感情は、恋なのか? それとも食欲なのか?オスとメス、肉食獣と草食獣。それぞれの痛み、そして強さや弱さに直面しながら、悩めるレゴシの青春がいま始まった―――

声優・キャラクター
小林親弘、千本木彩花、小野友樹、種﨑敦美、榎木淳弥、内田雄馬、大塚剛央、小林直人、下妻由幸、岡本信彦、落合福嗣、虎島貴明、渡部紗弓、室元気、井口祐一、原優子、兼政郁人、大内茜、山村響、あんどうさくら、大塚明夫、星野充昭、堀内賢雄

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

本能に抗え

アニメーション製作:オレンジ、
監督:松見真一、脚本:樋口七海
キャラクターデザイン:大津直、
音楽:神前暁(MONACA)、原作:板垣巴留

しょう油顔、ソース顔という
男性の顔の方向性を表現する言葉があった。
「顔」は、ある意味、その人そのものであって、
私たちは一生逃れることはできない。
自分の顔が気に入らなくて整形を繰り返す人もいるが、
結局は自分自身を覆う「何か」は、
死ぬまで付いて回る。

そして「草食系」「肉食系」という
人間の生態や性格を指す言葉もある。
これは、努力によって変えることが
できるものかもしれないが、
もしそれが動物のことなら、
遺伝子レベルのものから逃れることは不可能だろう。

BEASTARSは、動物を擬人化した物語。
登場人物は全員が動物の設定のため、
本能から逃れることはできないはずだ。
しかし、それでも自分の想いを実現させようと
抗い続け、挑戦し続ける者たちがいる。
これは、何かの業に縛られた者が、
「想い」の力によって大切なものののために
本能を飛び越えようとする
信念の物語ともいえるだろう。

物語の中心は演劇部に所属する
ハイイロオオカミのレゴシとアカシカのルイ。
彼らは、自分たちの宿命から逃れるために
想いを募らせていく。
レゴシはドワーフウサギのハルを好きになったことで、
自分の本能について深く考えるようになる。
一方、ルイは肉食、草食という動物社会における
地位の格差について変革を起こす野心を抱いている。
これは人間社会に置き換えるなら、
民族主義的な部分で将来を嘱望されている黒人と
ずば抜けた才能を持った白人によって繰り広げられる
戦いの物語という構図になるのかもしれない。
ただ、これに動物の「本能」という宿命を
付加させることで物語を興味深いものとしている。

レゴシとルイのそれぞれの葛藤を演劇によって表現した
3~4話で物語の深みに引き込まれる。
草食獣の代表として地位を掴み取ることが
悲願であるルイ。そして、オオカミの本能と
自身の平時における性格の違いに戸惑うレゴシとの
対比が実に上手く描かれている。
さらに、ほかの動物たちの思惑も絡み合い、
複雑な様相を呈しているのは、
まさに人間社会そのものだ。

学園内で起こった重罪とされる食殺事件、
動物社会で草食獣が「BEASTAR」に選ばれる意味、
肉食獣、草食獣が共存する世界における
政治家たちの思惑と現実、
レゴシの内面を覆いつくす真っ直ぐな想いと
正しい行い、そして恋心。
さまざまな要素が溶け合って、
あまり今まで味わったことのない
複雑な感情が湧き上がってくる。

人間たちの奥底にある様々な感情を
分かりやすい形で炙り出した群像劇。
続編も決定しており、まだまだ途中なので、
高評価するには早い段階だが、
起承転結のある優れたシリーズ構成によって、
挑戦的な作風を1クールでしっかり見せてくれた。
ジャズを意識した劇中曲やOP、
そして数種類用意されたEDも聴き応え十分。
これまでにない新しいアニメーションを
紡いでくれるのではと期待できる。

草食獣と肉食獣が共存する新しい地平。
それは、どこかにあるのだろうか。
(2020年3月7日初投稿)

投稿 : 2024/12/14
♥ : 54
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

人間の条件

板垣巴留原作、制作オレンジ。

擬人化された動物たちの物語が、
メジャー少年誌の看板になる。
その時点で物語に一定の力があるのだろう。

17歳、肉食獣のハイイロオオカミ、
身体は大きく繊細な心を持つ主人公レゴシ。
彼は肉食獣としての生き方に葛藤している。

興味深いのはよくある、
少数・多数や、勝者・敗者の関係性ではなく、
肉食と草食で対比している点だ。
この気持ちは「恋」なのか!?の後に、
それとも「食欲」なのか!?が配置されている。

当然、共存する社会の在り方や、
本能の抑制、倫理の確立が問題となる。
僕は単純に擬人化された物語は苦手である。
しかしながら擬人化した理由があるはずだ。

4話視聴追記。
人の持つ機敏な「感情表現」が、
あまりにも豊潤に表現され伝わる。
演劇内演劇の入れ子構造が様々な仕掛けを生む。
{netabare}捕食する側と捕食される側の論理。
否が応でも「他者」を考えさせられる。{/netabare}

最終話視聴追記。
レゴシに称賛を贈らねばならない。
落ち着いた声が素晴らしくキャラに馴染む。
肉食に・草食に生まれた存在意義、
その中で他者とどう分かり合えるのか。
レゴシはきっと見つけたのだ。
本能にも勝る偉大で崇高な感情を。

ここからが勝負どころである。

投稿 : 2024/12/14
♥ : 52
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

いろいろと生々しいのよ

原作未読


原作者の方。『バキ』を描いてる漫画家の娘さんらしいですね。すげー!
どうやら“動物の本能”を突き詰めたい血筋は変わらないようです。

“本能”を突き詰めすぎてもはやギャグ。荒唐無稽さを楽しむ良質なエンタメ作品を輩出している父。

対して本作『BEASTERS』では

“本能”を突き詰めたついでに社会の矛盾も浮かび上がらせる深みとコクを醸し出す娘。

サムネから想像するに、見た目重視。ケモナー優先。各動物の特性をなぞるかのようなキャラ設定。鳥獣戯画に毛の生えた擬人化ものを想像してました。とりあえず二足歩行させてやることは人間と一緒!みたいなやつです。

全然違いました。もちろん良い意味で、です。
草食動物と肉食動物を擬人化させて、彼らの特性を残しつつもそこに共存している世界を描いた作品。
食物連鎖をガン無視した統治機構を作り、そのための教育を施して理性キープしてますよという表部分と、蓋をしていても肉をどうしても食べたいという本能が見え隠れする裏の部分。その間で揺れ動くハイイロオオカミのレゴシ(CV小林親弘)が主人公です。揺れ動くのはレゴシだけでなく、肉食も草食も関係なく登場キャラたち軒並み葛藤している模様。そもそも本能に蓋をした社会は不健全であり、一見平和な世界そのものが揺れ動いている。そんな不穏さを孕みながら物語は進行します。これが大枠の背景。

そんなシビアな背景を原動力として、肉食動物の中でもそこそこ強い部類らしいハイイロオオカミとは対極の最弱の草食動物ドワーフ種ウサギのハル(CV千本木彩花)との恋物語がメインのストーリーです。一応この世界の恋のルールだったりその他常識については本編でお確かめ下さいね。
とりあえず二足歩行させてみた的な浅さとは程遠いと感じた次第です。


動物もの!?は無条件でパクッと喰いつく層以外でない、むしろ逆で安易な擬人化ものに辟易しているかもしれないあなた! …いいですよこれ。
やりとりされる会話の生々しさは2019年秋期もので断トツです。リアル世界に近いものがあります。そして、肉食と草食の両動物のフィルターを通した独自の世界観は新鮮に映ります。もの凄くファンタジーな世界で繰り広げられる生々しいやりとりと心の機微のリアルさ加減で充分楽しめるかと思います。

本能と理性という二項の対立/葛藤/調整なんて定番のネタでもあったりするので、いい感じでリアル世界の暗喩的なあれやこれやも感じる良作。
言い忘れてましたが、OPは音とアニメーション両方ともこのクールベストかも。ジャズファンク調リズムに乗った手のかかってそうなパペットアニメの組み合わせが素敵な一曲。
これは良いです(小並感) 2期決定したようなので今から楽しみですね。



※ネタバレ所感

■本能を無視すりゃ破綻しますよ

ナチュラリストを無条件で礼賛するほど極論には振れませんが、“自然”の対義語は“不自然”であるという常識(笑) 
この歪んだ世界は変わらずにいられるのでしょうか?

{netabare}レゴシと同族のジュノは「(対肉食への差別が)中学はそんなにひどくなかった」と高校に上がって社会の抱える歪みのひとつに直面。さらに別のシーンでは高校を卒業すれば闇市にも自由に行けることも。
人間と一緒。「お友達みんなと仲良くしましょう」の幼稚園時代から始まって徐々にやっかいな現実に触れていき、社会に出る頃には幼少期のそれは幻想と知る。段階を経て現実を知っていくのです。
ところがどっこい、BEASTERSの世界では幼稚園時代の理想がまかり通る世界。ライオン市長もいろいろ無理して“ライオンは怖くない”イメージ形成に成功したようですが、シシ組との棲み分け等々…蓋をしないとどうにもならないものを抱えざるを得ません。
“みんなと仲良くしましょう”という理想の実現のため歪みが肥大化しきって爆発しそうなのです。{/netabare}

{netabare}「メスは争いが嫌いです。(ジュノ)」に返す刀で「君ほど強欲なメスは違うだろ。(レン)」
矛盾を孕んだ世界を喝破する表現は随所にあるわけでした。{/netabare}



■ロミジュリを凌駕するほど二人を隔てる壁が

{netabare}「捕食者の本能があれば被食者の本能もある」{/netabare}
{netabare}「然るべき関係は体が一番知っている」{/netabare}

最終回で流れたテロップが示唆するところは?

{netabare}肉食草食同士、仲良くやろうという社会の中で、肉食草食同士の交合はご法度という世界観。
前者ですら危うい綱渡りをしているのに、さらにハードルが上がりもはや禁忌の世界。これを打ち破る可能性を秘めてるのがレゴシとハルの関係性ですわな。{/netabare}

どう畳むんでしょう。楽しみでしかありません。



視聴時期:2019年10月~2019年12月   

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2020.01.23 初稿
2020.07.16 修正
2022.01.23 修正

投稿 : 2024/12/14
♥ : 51
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