1989年度のオリンピックTVアニメ動画ランキング 1

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69.7 1 1989年度のオリンピックアニメランキング1位
YAWARA!(TVアニメ動画)

1989年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (163)
841人が棚に入れました
『20世紀少年』などで知られる漫画家・浦沢直樹の人気柔道コミックをアニメ化。浦沢作品初のアニメ化であると同時に、製作のマッドハウスが約10年ぶりに手がけたTVシリーズでもある。武蔵山高校2年生・猪熊柔は、幼少時から祖父・滋悟郎の英才教育を受けてきた天才柔道少女。スポーツ記者・松田が数少ない理解者だが、彼女自身は普通の女の子でありたいと願っている。そんな柔の気持ちと裏腹に、彼女は柔道のスターへの道を歩んでゆく。

声優・キャラクター
皆口裕子、永井一郎、関俊彦、神谷明、川島千代子、鷹森淑乃
ネタバレ

ポロム さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

当時柔道ブームの火付け役になった原作マンガのアニメYAWARA!

ビッグコミックスピリッツにて連載されていた
1989年から1992年のアニメ 全124話

アニマックスで今年1月から再放送され
月ー金の平日に1話ずつ観てやっと7月に全部見終わりました。

ラスボス感たっぷりの本当は普通の女の子になりたい才能あふれる
柔道家のヒロイン柔の苦悩と青春&スポコン、ラブコメたっぷりで
ラブコメにしては恋愛の進展が遅くてじれったいけど、
先の読めない展開と熱い柔道の試合が観ていて楽しいです。
スラムダンクやカレイドスター等熱いアニメが好きな方はハマるかもしれません。
曲や絵やキャラの服装がバブリーで多少時代を感じますが、
今観てもさほど気にならないというか逆に新しく感じます。

ここから感想&超絶ネタバレ↓
猪熊柔について{netabare}
幼い時から祖父の猪熊滋悟郎の英才教育を受けた柔道の天才少女
猪熊柔は柔道に関して消極的だった。
「普通の女の子は男の人を投げ飛ばしたりしない。
普通に恋をしたり、オシャレを楽しんだり普通の女の子になりたい」
と、思いながらも毎日欠かさず稽古を受け練習をしていた。

1話開始ぐらいの高校時代はアイドル志望の錦森君に恋する
ミーハーだったり、周りの友達にも柔道をしていることを隠していた。
高校卒業後にこの時期の柔の友達が後に登場しないことから
きっと彼女は心を許せる友人や人物はいなかったんだろう。
後に富士子やジョディロックウェルと親友になり
柔道の世界へ前向きに飛び込んでいくようにもなる。

実際、普通の「女の子になりたい」という理由は
恋やおしゃれとかの他に5歳の時に父親と稽古していた際に
巴投げで一本とったことにより「天才には、勝ち目がない」と
父親が修行の旅に出たまま帰ってこなくなる。

それにより、母親はその父親を探しに旅に出てしまい
そばにいて唯一頼れるのが祖父だけだったと思う。
柔道のせいで家族がバラバラになったというトラウマと
祖父に柔道だけ仕込まれたせいか世間知らずなところがある。

猪熊柔自身、小柄で華奢な体。ごく平凡な見た目だけど
重量級の相手であっても軽々投げ飛ばしてしまうほどの実力と
必殺技の一本背負いと立ち技寝技、何でもOKなオールマイティーで
数々の選手を魅了し頂点へ上り詰めるラスボス感ある柔道家だけど、
唯一欠点があるとしたら、すぐブレるマインドとメンタルの弱さ、
多少依存的なところがあり、未熟でもある、
そして精神論や綺麗事で動いている節もある。
悪く言えば、典型的なイイ子ちゃん。
だけど・・!その部分が逆に人間らしいというか・・味がある。

OP・EDが普段柔道着姿の多く女の子らしい服装が少ない柔を
監督のときたひろこさんが、
「せめてOP・EDの中だけでも色々な服を着せてあげたかった」
という意向のおかげで柔の色んな服装や姿が垣間見えるので要チェックです!{/netabare}

三角関係の行方{netabare}
柔は恋愛に憧れはいるけど、非常に鈍感だった。
彼女の才能ある爽やかな柔道の技や人柄に惹かれて
数々の人が恋に落ちるけど、それに気づかない。
(新聞記者の松田とさやかのコーチの風祭、高校の同級生花園など)

高校の同級生の花園薫{netabare}
富士子に出会いほぼ一目惚れ同士で花園の柔への気持ちは憧れへと変わり
富士子と二人で柔を応援し続けるのがすごくイイ。
特に富士子の柔への真っ直ぐな気持ちと友情、
バレリーナを目指していた甲斐がある体の俊敏性、
柔軟性の柔道の才能と試合に目が潤んだ。 {/netabare}

さやかのコーチの風祭進之介{netabare}
初登場時は恋愛経験ほぼ無い柔がキザな大人の魅力に惹かれて好意を抱いていたが、
さやかとの婚約発表を堺に後に松田への気持ちが強くなり
クリスマスイブエピソードで決定的になった。
実際風祭は軟派な男でひどいあがり症で頼りない
(↑このエピソードで彼の株は上がったw)
彼女に好かれようと道を外れても松田や滋悟郎と違って忠告や口うるさいことも言わない。
イケメンでお洒落な実家もお金持ち、しかも女好きの風祭は
内面の良さで真心のある松田に最初から負けている気がする。

結局柔への想いが募ってもさやかとの結婚で手に入る地位や名誉を
捨てることができなかった優柔不断が目立った時点で松田の勝利が見えていた。{/netabare}

熱血新聞記者の松田耕作{netabare}
ひったくり犯を巴投げする柔を見て
スポーツの才能がなく中途半端だった松田は憧れると同時に一目惚れして彼女を常に見守り良き理解者となる。
柔道で世界に羽ばたく彼女に対し、
三流新聞の記者でしかない自身との間に差を感じ中々柔に告白できず、
周りからイイところで邪魔が入るせいか、
(柔が鈍感なせいもある)恋愛の進展がとても遅かった。
124話のラストでも邪魔が入ったけど
後のスペシャル回でお互い気持ちに素直になり、
松田が本気の告白を見せてくれた。{/netabare}

オススメ&好きなエピソード{netabare}
31話「受験日のプレゼント」
三つ葉女子短大受験の時に手を痛めた柔を応援して
ハンカチでペンを固定するシーン
ここで松田ルートのフラグが立った。

53話「松田の独占インタビュー」
死闘後に松田が告白したら、柔は疲れがでて松田の肩にもたれて
(結局きいてないw)眠るシーン
夕焼けの中、二人っきりでベンチに座ってるのがロマンティック。

87話「爆走!パッパラーおじさん」89話「不敗神話!」
柔の松田への気持ちがハッキリした回
今までに無い緊張と絶不調は松田がいないことが原因だと分かり
松田が到着した瞬間に一本決めちゃうのが印象的!
勝った後お互い見つめ合うシーンがじれったい!

98話「ファーストキス!」
風祭が柔のファーストキスを奪うって・・作者病んでたのか・・(;゚Д゚)!
実際作者はラブコメ系のこの作品を書くのがだんだん辛くなったらしいし
続編は・・観たいけど、きっと・・書かせない方がいいと思う。
作者の・・発言的に(震え声)

107話「…泊まっていこうかな」
一番胸がキュンとしてドキドキした回・・ッ!!
高校までの柔なら松田が抱きついたら投げたはずだけど
お互い照れてるのが・・可愛い(笑)
胸にダイブ→床ドンの流れで下に落ちたリンゴと
視聴者の声を代弁してくれたお隣のおばあさんnice!!

ライバルの本阿弥さやかについて
初登場から高飛車で感じ悪いお嬢様だなーっ
と思ってたけど、スポーツ界を総ナメし、
並外れた運動能力で柔とは対照的に柔道に関して積極的だった。
邦子同様、柔の邪魔したりかなり嫌いなキャラではあったけど、
柔の父親猪熊虎次郎氏がコーチに入り
派手な柔道(一本背負いから立ち技)↓
地味な柔道(寝技)にシフトし、柔に戦いを挑む姿が勇ましい

特に最終回辺りの修行を積んださやかの2回戦目の戦いに
恐ろしい執念と努力が滲みでてた。
最終回で柔に負け、「試合、楽しかった」と差し歯を渡され
プライド高い故に相当屈辱を味わい、風祭に
「柔に強い選手と認められた証拠だ」的なことを言われて
思わず涙を流した姿

・・美しかった。

風祭も普段弱い姿を見せない彼女が泣く姿に
心臓の鼓動が早くなるのを感じ初めてさやかに恋をしたことに気づく。
このシーンのおかげで私の中のさやかへの好感度が上がった↑↑ {/netabare}

見終わるまでにわりと長い時間がかかって愛着が湧いたのと、
熱い展開に心動かされたので即お気に入りの棚行決定です(笑)
私の中で大好きな作品になりました。

投稿 : 2024/12/14
♥ : 45
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

時代の流れの中で生まれた、名作柔道漫画が原作

[文量→中盛り・内容→雑談系]

【総括】
柔道アニメとして、最も有名なのは、本作でしょう。トレンディドラマの恋愛要素と、スポ根モノの中間と言える本作。一見の価値はあるかと思います。

超古いけどねw

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
今や日本の漫画家の中でもトップレベルの実力と知名度、原稿料w を誇る、浦沢直樹さんの出世作。

それまでの柔道のイメージといえば、「柔道一直線」や「姿三四郎」から培われた、「無骨」で「熱血」、「男くさい」ものがメインだったと思います。柔道をやっている女子選手にしても、(実際には違っても)やはり「男勝り」だったり「ガタイの良い」娘が多いという印象だったと思います。

しかし、本作の主人公「猪熊柔(やわら)」は、小柄で可愛らしく、でも強く、でも「普通の女の子になりたい」という夢をもつキャラ設定です。

これは多分、当時としては目新しい設定だったのでしょう。

そこに+して、当時、流行ど真ん中だったトレンディドラマの要素で「柔道」「恋愛」の二本柱を確立させ、更に、「エースをねらえ!」のようなお嬢様キャラのライバルキャラなども登場し、少しのお色気要素や笑いの要素まで詰めこんだ、欲張りな作品です。そもそも、「小さい者が大きいものを倒す」「柔よく剛を制する」のは、日本人永遠の大好物ですし。

今になってよくよく考えると、「ヒットすべくしてヒットした」作品だったのですね。

ちなみに、本筋の柔道ですが、「疾風ナントカ投げ~!」的な必殺技は存在せず、極めて真面目に描いている印象です。そんなところも、スポ根好きとしては好評価です♪

時代の流れを読み、古き良き伝統と、(当時の)最先端を上手く融合させた、原作者に拍手♪
{/netabare}

投稿 : 2024/12/14
♥ : 35

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

浦沢先生の最高傑作。ベタを恐れるな!、キャラを愛せ!。

 浦沢先生といえば、モンスター以降路線変更しちゃってやたら謎で引っ張る+風呂敷広げるが畳めない作家になっちゃったが、実際は本作ぐらい王道で軽くて楽しい作品のタイプだと言いたい。「パイナップルアーミー」や「マスターキートン」は割りと重いが、一話完結だし、原作者さんと組んでたし、ちゃんと軽みが活きていた。


 本作は最強系主人公漫画として非常に上手くいっている。ライバルたち、特にさやか様とテレシコワのキャラが素晴らしいし、師匠のジゴロウ爺ちゃんに最大の壁となるお父さんといった脇のキャラも良い味出してる人ばかり!。力のあるなしに関わらずキャラがしっかりと愛情を注がれているのが感じられるのが嬉しい。花園君のような脇の脇のキャラの頑張りですら輝いている。


 そして、一番重要なのは相棒の富士子さんの存在が大きい。ヘタレでぶちゃいくでダメダメな富士子さん、しかし平凡な人間性を抱えつつも頑張る姿は私達に感情移入させられる。


 ずば抜けた天才の柔さんの隣に普通で駄目なところまで魅力的で努力の人の富士子さんがいるからお互いに良い影響を与えあっていて最強!。(実は富士子さんの方が天才なのかもだけどね、柔道始めたのは最近なんだから)。善逸もこうだったらなぁ…。


 アニメ版に関しては、流石の老舗マッドハウスが浦沢さんの素晴らしい絵を見事にアニメ化している。昔のアニメだから引き延ばしがあるのは仕方ないし、そのくせ原作に追い付いちゃって最後のオリンピックはテレビspになっちゃったり、とかの弱さはあるが雑に全体を処理されるよりはずっと良い。


 そして、アニメ版の最大の武器、というかこれ一つで地球を滅ぼしかねない最終兵器は、なんといっても柔を演じる皆口さんの素晴らしさだろう。この破壊力に匹敵するのは、辛うじて桜を演じる丹下さんくらいだろうか。もう柔の声を聞いてるだけで骨まで蕩ける~。


 さらにジゴロウ爺ちゃんは安定の永井さん、実況は芳忠さんという豪華さ。昔は良かった~とは言いたくないが、こういう脇を固める声優さんの充実度はハッキリ言って現代より遥かに昔のが良かったかな。松田さんも後の無惨様だし。


 銀河英雄伝説ほどじゃないが、昔のアニメは膨大なので、昨今の1クールアニメを追いまくるのに疲れたら、焦らずゆっくり味わえる本作のような旧作もオススメです。シンプルで軽く見れるし。

投稿 : 2024/12/14
♥ : 30
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