エンタメでテンプレなおすすめアニメランキング 2

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのエンタメでテンプレな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年02月19日の時点で一番のエンタメでテンプレなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

62.4 1 エンタメでテンプレなアニメランキング1位
魔法使いになれなかった女の子の話(TVアニメ動画)

2024年秋アニメ
★★★★☆ 3.1 (63)
166人が棚に入れました
原案公募企画「Project ANIMA」から生まれたオリジナルTVアニメーション 「魔法使いさん、わたし、約束守れませんでした……」 魔法使いに憧れる天然少女クルミ=ミライと、代々魔法使いを輩出する名家の令嬢ユズ=エーデル。 レットラン魔法学校<国家魔法師養成専門学科(通称・マ組)>への進学は魔法使いになるための必須条件。なのに、まさかの受験失敗………と思っていたら!? 一見、子どものような国家魔法師ミナミ=スズキが担任として現れ、学園生活は急転! 訳ありげなクラスメイトに、怪しそうな同好会…… この学校に隠された秘密って何!? 魔法使いさん、わたし<普通科一組>で、魔法使いになれる、の、カナ……? 夢に破れた正反対なふたりの少女の青春*魔法学園ファンタジー!
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

作画・画面は素晴らしかった。内容はテンプレ・模倣で深味が感じられません。

 作画…広義の作画ですね。キャラデザ、美術、色彩など画面作りは本当に良かったと思います。この点ではこの数年で見た作品の中でもトップクラスで好きでした。

 キャラで言えばユズはいいキャラを配置したなあと思います。本来、この子がヒロインでもおかしくないと思います。コンプレックスや成長したいという思いが強く描かれていました。

 一方で、ミライですね。最終話になって初めて、冒頭の魔法使いの言葉に「何がやりたいか」が付け加わります。これは悪手でした。それをはじめに提示して、ミライが何をやりたいかを模索しつつ、古代魔法との出会いが彼女の夢に繋がってゆくならテンプレですが、物語にはなったと思います。ところが「魔法使いはもういい」と葛藤するわけでもなく、すぐにあきらめました。この点でストーリーがものすごく受け身で場当たり的になってしまいました。

 また、魔素とミナミ先生、古代魔法と現代魔法の関係です。なんとなく説明がありましたが、ここに自然と科学、伝統と効率化、学校の成績至上主義などをもっと盛り込めればなあと思います。ただ、それだけだとそれこそパターンですので、そこに原作者あるいはこの作品に魂を込める立場の制作者が自分が何をこの作品で発したいかを込めるべきでした。そういうこの作品を描きたいと思った動機・モチベーションが見えてこないので、非常に浅く感じました。

 別にメッセージが表に出てこなくてもいいんです。ただ、問題意識を持って何かを普段から考えていれば、自然とそれが作品に入り込むはずだと思います。その辺がこちらに伝わってこないということは、ただ、作品が作りたいから作った…どまりかなあという気がしました。

 冒頭の導入、舞台とキャラ構造が本作とそっくりな「リトルウィッチアカデミア」においてはエンタメを強く表に出していました。そんな中で成長課題を描けていたと思います。まあ、この作品も深みはそれほどないですが、エンタメとして作品のストーリーそのものの出来が非常に良かったです。

 また「魔法科高校の劣等生」と同じ構造の設定でしたが、模倣で終わりました。それは魔法や魔素を使って「何をやりたいか」=「何を描きたいか」が不明瞭だからだと思います。
 「劣等生」はSF設定として「3つの魔法の課題」として魔法による核融合=魔法使いを経済に組み込むことで戦闘員からの解放という大きな設定がありました。また、魔法の測定方法の不十分なところな現代の学校批判につながるものを描いていました。
 そういうところにちゃんとしたSF設定の上にテーマを乗っけているなあと感心しました。本作はそういうところが手抜きというか、何もなくスタートしてしまったため深味に乏しい気がします。

 ユズ、ミナミ先生がいるのと、作画・画面がいいので最後まで見られました。話もテンプレに乗っかっているので話にはなっています。でも、咀嚼するもの、ひっかっかるものがない、サラリと終わってしまいました。2クール後には忘れられている気がします。





1話 作画と色彩が素晴らしい。類似が気になりますが面白かった。

{netabare} この中間色で柔らかい着採はなかなか気に入りました。キャラデザ、作画など絵作りはかなり好きな部類と言っていいでしょう。表情の作り方とか、構図とかの作りこみが良くて「アニメならでは」がものすごく好感が持てます。話の導入も落ちこぼれの逆転劇的な話は好きなので面白かったです。

 引っ掛かるのは「リトルウィッチアカデミア」との類似性ですね。キャラの配置とか、魔法へのあこがれとか、先生の素性が得体がしれないとか、昔会った魔女の素性が分からないとか、いろいろです。
 ただ「リトルウィッチアカデミア」ってアニメーターの習作みたいな位置づけもあった作品だと思います。本作も新しい才能が新しい挑戦をしているならそれは素晴らしいと思います。

 それとエブリスタに原作があるみたいですね。エブリスタ…「サクガン」のトラウマが…まあ、それは考えすぎでしょうけど。

 とにかく良い方にも悪い方にも偏見を持たずに見ると、素直に非常に面白い1話でした。「アニメーション」としては素晴らしいと思います。かなりレベルが高い作品になる…という期待は充分持てました。まあ、期待は外れることも多いですけどね。 {/netabare}


2話 「魔法学校の劣等生」?演出と脚本が子供向けの意味が不明。

{netabare}  1話の期待が100だとすると、2話で37くらいになった気がします。話はいいんです。ただ、演出と展開がなあ…誰向けかわからない、演出が日朝女児向けアニメよりも低年齢な感じがします。

 これは本当にわかりません。作画で女児向け的テイストを出しながらも、内容は大人の鑑賞に堪える演出になるのかなと思っていましたが、そこが最大の期待外れですね。作画のレベルも2話ということで落ちている気がしますし。別に演出と脚本の問題なのでお金は関係ないと思います。

 気になるところとしては、数学の定義や幾何学の歴史と結びつけながら魔法を描いていますが、その意味するところがヒロインの初回の魔法の発動の挑戦に繋がっているのかわかりません。

 1話は「リトルウイッチアカデミア」との類似性が気になりましたが、むしろ設定と話は「魔法科高校の劣等生」をやろうとしているのかな?
 魔法の作中の定義を科学的(もちろん疑似科学。本作は数学、劣等生はコンピュータ言語とか物理)に行いそれを理解できる人間というのが達也そのものです。で、劣等生と優等生の逆転劇ですね。魔法を国家が管理しているのもそうですし。

 類似性を非難したいわけではなく、そういうテーマを込めるなら演出と脚本の年齢層のレベルは間違ったんじゃないのかな?という気がします。{/netabare}


3話 2話で評価爆下げでしたが、3話で爆上げです。面白かった。

{netabare} 今回は作画もエフェクトや演出も展開・エピソードも良かったです。非常に面白かったです。やっぱりこの作品はちゃんと動くと本当に絵がいいなあと思います。
 それと、魔素と魔人(神?)で話が展開するんですね。なるほどそれで普通科を魔法使いにする必要があると。

 マ研という設定もクルミの居る場として面白いと思います。こういう特別感がワクワクさせてくれます。ミナミ先生が可愛いのもまたいいです。

 苦言を呈するとすれば、ユズが部活紹介のときに「本当は自分は…」みたいなことをつぶやきます。それは表情でわかるし、秘めたる気持ちで意地でも口にしないのが彼女のキャラ造形になると思いますし、このセリフを入れると安っぽくなります。
 やっぱりこの作品、このユズがいるかどうかでストーリーの厚みが変わってきそうです。彼女はぜひキャラを考え抜いて丁寧に描いてほしいです。

 それと、マ研って顧問がいるなら部室もらえるんじゃね?とか思ったりしました。あとは彼女たちが魔法をこっそり研究するきっかけが描かれなかったのはちょっともったいないかな。これからあるかもしれませんけど。

 ということで2話の出来が良くなくて、切る寸前でしたが3話で評価は大きく上がりました。2話は後で手直しした方がいいかもしれませんね。{/netabare}


4話 対立構造に深みは感じない。ユズに期待。

{netabare} 話の構造はよくあると言えばよくある古代VS現代の対立軸がそのまま普通科(マ研)VS魔組(魔研)になる感じです。それと魔人(神?)みたいですね。マ研の素性について若干説明がありました。

 一見すると古代の自然からのパワーというのと現代の科学あるいはマニュアルからのパワーという話で意味がありそうです。ですが、テーマというより自然(古い)VS科学(新しい)という創作のデータベース化された要素を使っているだけに見えます。

 展開としては非常にありきたりです。それでも面白いのはキャラだと思います。ミナミ先生が一時退場してしまいましたので、期待できるのはやはりユズのキャラかなあと思います。その他で意外性はない気がします。

 それとありきたりではありますが、アニメの基礎みたいな展開なのでちょっと懐かしい気分で見ています。基礎ということはしっかりしているということでもありますし。

 作画については今のところ奇数話が良くて偶数話が物足りない感じです。偶数話は大木良一さんという方が総作画監督で共通していますのでこの人の絵作りが…なのかもしれませんなのかもしれません。「総」が付く人が関係するのかわかりませんけど。{/netabare}


5話 低年齢向けっぽくあっても中身があるから面白い。

{netabare} レースのルールや途中の描写など短絡的な内容で、それだけ拾うと女児向けというかせいぜい中学生向けっぽいとは思います。演出もキャラの演技もエピソードも低年齢向け感はあります。

 ですが、中身がある話なので面白いです。ちゃんと話になっているのはやはりユズの存在です。ユズのコンプレックスと置かれた状況の中で頑張ろうとするところだと思います。夢をあきらめた少女が希望が見えることで考え方や行動がかわりました。

 やはりユズのキャラ造形が素晴らしいです。ユズが話に深くかかわるだろうなと思っていたら、やはり目立ってきましたね。彼女の性格というか意志が描けていて良い回だと思います。

 もちろんヒロインの魔法を使える、使えないということがあります。ここに何かが乗っかってくるのでしょう。そこも注目点ですね。

 また、ジャージをあえて負け組に着せた演出の意図もいいと思います。一見カッコ悪いですが、努力する彼らを見ているとそんな事を忘れてしまいます。
 ジャージを嘆いていた彼を使って上手くそこを強調しました。そしてサブキャラはこの程度の深堀りでいいと思います。1エピソード使ってサブキャラを全部深掘りするのではなく、こういう感じで見せるのがいいんでしょうね。

 それとやっぱり奇数話は人物の作画がいいです。姿勢や構図の変化がちゃんとあって、アニメーションを見ている気がします。{/netabare}


6話 内容があるだけに期末試験云々のエピソードの出来がもったいなかった。

{netabare} クルミが魔法使いになりたいの部分に「何故」「何に」「何のため」が抜け落ちていること、ユズの親や家族の手前あるいはエリート一家だからという理由で魔法使いを目指していた。そして、アニクの落ちこぼれと、キャラたちのそれぞれの悩みとしては面白いと思います。

 が、ちょっと不自然だったかなあ…特にクルミの考えの変遷が不自然に感じました。魔法使いにどうしてもなりたいと何故思っていたんだっけ?と魔法使いになるには実力が不足しているかも…が混在している気がしました。そもそも期末試験がエピソードとしては不自然だった気もします。

 クルミ=ミライって多分「来未=未来」ですよね。将来の自分を悩む少女だけにこの5話がポイントなんでしょうけど、ちょっとエピソードの出来に不満が残るかな。内容があるだけにもったいない回でしたね。やっぱり偶数回の出来が悪いなあ…

 それと類似例を挙げるときりがないんですけど今回ちょっと「水星の魔女」を思い出しました。「リトルウィッチアカデミア」「魔法科高校の劣等生」とミックスている感じですね。それぞれ名作と言っていい出来の作品です。
 ですので今見えているテーマが表面を撫でるだけの単なる物まねで終わるのか、自分なりのメッセージを込められるかです。{/netabare}


7話 展開が遅くて期待よりも話のスケールが小さそう。悩みはいいんですけどね。

{netabare} どうでしょうね。このままだと話のスケールがこじんまりと終わりそうです。もうちょっと大きな話に展開していくのを期待していたんですけど。学園内の魔素の問題だけで終わってしまう感じで、それで終わるなら「面白かった」で終わりそうです。

 古代魔法、成長、世の中の魔法の仕組み…なにかそういうものは描き切れない気がします。生まれの問題にするにしても、何かもうちょっと冒険とか謎解きが欲しかったなあ…

 ここで足踏みしたり疑問をもったり、ライバルであり良い友達であるユズとの関係性の変化は悪いとは思いません。2クールならかなり期待できるんですけどねえ… {/netabare}


8話 クルミの話とキャラ造形に違和感を強く感じる展開。もったいない。

{netabare} クルミの葛藤が弱すぎてなんとも言えません。入学時にはあきらめていたのが魔法少女になれるかもという希望を持たされて、でも先生も消えちゃうしなれそうもない…この振り出しに戻るのに意味があまり感じられません。だったら入学時からなれるかも、でもなれないという葛藤があればいいだけの話です。

 ユズを巻き込んでユズがヒロインの座になるならまだわかるのですが、その辺物語性というかキャラ造形に違和感を感じています。どうするつもりでしょうか?子供向けであっても子供だましではいけません。

 せっかく絵作りはアーティで頑張ったアニメなのに、脚本がこれだともったいない感じになりそうです。{/netabare}


9話 テーマやメッセージ自体がテンプレの型になってしまったかな

{netabare} 残念ながらクルミミライの描き方は失敗しましたね。外部から働きかけだけで意思決定して自分の想いが感じられません。魔法に対する執着、あきらめざるを得なかったときもあっさりしていて、劣等感や未練、葛藤、ルサンチマンなどの人間の内面に渦巻くドロドロをみじんも感じません。

 ユズもなかなかなところまで行きましたが、なかなかどまりかなあ。変な恋愛感情とか入ってきましたし。

 全体の流れは興味深いところもありますが、テンプレと言えばテンプレです。テーマやメッセージがありそうで、その肝心の芯の部分が何かの物まねでしかないように感じます。{/netabare}


10話 この展開が見たかったです。6から9話をもっと上手く使えていれば…

 10話がああ、これが見たかったという展開ですね。謎が姿を現す、陰謀の存在が明確化してくる、先生の復活、ヒロインの覚醒や過去が明らかになってゆく。
 要するにこの10話が見たかった起承転結の転の部分なので、作品の構成それ自体は上手くできていると思います。既視感は強いですけどね。

 ただ、6話から9話が弱いですね。ミライとユズの内面描写と成長、2人の葛藤と和解そして信頼がもっと丁寧にできていれば、優れた作品になったのにという気がします。謎の提示の仕方は悪くなかったかもしれませんが、マ研のキャラがふざけすぎて、イマイチ入り込めなかったのもマイナス要素です。

 本作のボディ…つまり、キャラそのもの大きな物語、設定はしっかりしているので、もし原作と違うのであれば、それは脚本、シリーズ構成が失敗したということです。中盤のダレは作品評価にとってかなりのダメージになっている気がします。

11話 いいんですけど、テーマが借り物で物語がなくなっている。

 なんでしょうね。魔素という要素に意味性が付加できれば、テーマが生まれたと思うのですが、そこが弱いのかも。つまり、ノーザンが何を目指してに意味が生じれば、話の厚みが出来たと思います。魔法手帳はスマホのアナロジーになってますし、学校批判にもなっています。

 なぜ、古代魔法を否定して選民思想的な管理社会にしたかったのか。ミライがなぜ魔法使いになりたかったのか、何を成し遂げたかったのか。それを語れなかったので、何かの模倣、型にはまった話になってしまいました。

 大きな意味で資本主義批判にはなっていますけど、それを言うなら社会の問題を描いた話はすべて、資本主義批判ですかね。魔素が自然な古代の良きやり方、エネルギーは人間からもれでるものですから欲望・悪意などダークサイドの象徴ともとれます。ですが、そこまで描けているというのは明らかに牽強付会だし、読み取れなければ意味がないです。10話、11話は話としては悪くないのですが、そこが弱いので何を言ってるんだ?という感覚が付いて回ります。


 本作のテーマやメッセージに借り物感、つまり言いたいことではなく話のネタとしてそれっぽいテーマ的な何かを置いているだけ、という感じがあるのはその辺かなと思います。

投稿 : 2025/02/15
♥ : 8

ninin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

私、魔法使い?それとも普通の人?

原作未読 全12話

昔は自然に誰もが魔法使える世界だったが、現在では魔法使いとしての資質とデバイスである手帳が必要となった世界。

幼い頃、魔法使いに助けられた主人公のクルミ=ミライは魔法使いに憧れて、唯一魔法使いになるための魔法学校の国家魔法師養成専門学科(通称・マ組)に入るために受験する。

しかし、マ組に入ることは叶わず、同じ魔法学校の普通科に入ることになります。その普通科の新たな親任教師が、魔法使いを目指す!と宣言して、魔法使いになることを諦めかけてたクルミに一つの希望が輝いて行きます。そんな魔法の名門校・レットラン魔法学校での様々な出来事を描いた作品です。

様々行事やレットラン七不思議といわれる現象をクラスメイトや怪しい部と共に解決していくことで、この世界の魔法使いについての真理に迫っていきます。

色々なことが分かり一区切りというところで終わりましたが、伏線は全然回収されていません。

もう少し続きを観たい作品でした。

OPは、PUFFYとついでにTOOBOEさん、EDはhalcaさんが歌っています。

最後に、パステル調に描かれた世界は、「灰と幻想のグリムガル」を思い出しましたね。

投稿 : 2025/02/15
♥ : 10

鬼戦車 t89 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

学校という理不尽な存在に甘えた作品

 最終話(12話)まで観ました。2024.12.29

 物語の舞台として学校という組織はとても優秀です。学校は教育のためという大義名分のために、かなり理不尽なことをしても許されますし、構成員の学生も、モラトリアム期の生き物なので、必ずしも合理的な行動をしなくても良いため、キャラや物語を転がしやすいです。ただ、そうした便利な舞台装置に甘え過ぎています。

 本作品の問題点は、古代魔法と現代魔法、魔法科と普通科という対立構造があるのですが、設定として上手く機能していない所です。

 普通科が何のためにあるのか、ラスト近くで明らかになりますが、どうも釈然としません。魔法科に合格出来なかった生徒が普通科へ行く意味が不明なので、面白くなりそうでならないのです。

 誰でも使える現代魔法と古代魔法も、差がよくわかりません。古代魔法を復活させたいミナミ先生は、本作品の現代魔法を使用する秩序側勢力からすれば、かなり反社会的な人物のはずですが、学校内の先生同士のライバル関係に集約してしまっています。

 学校という聖域内でのゴタゴタに終始するので、主人公もその他のキャラクター達も印象が薄いです。学校ものの宿痾と言っても良いほど、物語に社会的な広がりがありません。

 本作品は、パステル調のアニメで、色々やってみようと言う姿勢は感じますが、以上の問題点から、印象が薄く、先も気にならず、手放しに面白いと称賛出来る代物ではありませんでした。

投稿 : 2025/02/15
♥ : 2

75.4 2 エンタメでテンプレなアニメランキング2位
機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-(アニメ映画)

2025年1月17日
★★★★☆ 3.9 (23)
98人が棚に入れました
ТV放送に先駆け、上映用に再構築した劇場版作品
宇宙に浮かぶスペース・コロニーで平穏に暮らしていた女子高生アマテ・ユズリハは、戦争難民の少女ニャアンと出会ったことで、非合法なモビルスーツ決闘競技クランバトルに巻き込まれる。
エントリーネームマチュを名乗るアマテは、 GQuuuuuuX ジークアクス を駆り、苛烈なバトルの日々に身を投じていく。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

CV.黒沢ともよさん『ガンダム』に巻き込まれる

スタジオカラーの『シン~』シリーズ同様、
事前の情報規制、ネタバレ禁止ムードが醸されていた、
TVアニメ放送に先立った先行上映版。

実際観て、確かに、もったいぶるだけのネタはありました。
公式から本予告PVも出て、少しずつ語り出せる空気にはなりつつありますが、
隠したかったであろう、あのネタは、是非、映画館に足を運んで驚いて下さいということで。
ここでは、そこは極力回避して、今後のTVシリーズの展望、願望を語っていきたいです。


【物語 3.5点】
世界観・設定は、比較的、政情が安定した時代を選択。
武力も戦争リスクとして管理されたスペースコロニーが舞台。
戦闘は当局の監視の目をかいくぐった“クランバトル”なる、地下ギャンブルに隔離。

少女主人公他、子どもたちには、
普段のコロニーでの日常と、クランバトルの非日常を往復し、
自身の進路やアイデンティティについて思い悩む余地が今の所は与えられています。

これが例えば一年戦争のような全面戦争下だと、
子どもたちも自問自答する間もなく、切迫する戦局で、生き残るための対応に追われる内に、
色々、能力が目覚めたり、いつの間にかこんな所に来てしまったのかと呆然となるばかりですが。

本作の場合は、ここではない何処かへ行きたい、何者かになりたいという思春期ならではの悩みが、
地に足が付かないスペースコロニーという寄る辺のない環境でモヤモヤで倍加されて、
それを風呂に入って思い耽る時間くらいはある。

立ち止まって考える間というのは少女の青春ばかりでなく政治、イデオロギーの面でも同様。
人間が宇宙で暮らすという困難性は、地球VSコロニーの大戦の勝ち負けくらいで解決できる問題ではない。
その宇宙で目醒めてしまった新人類たちを既存の政体は受け入れないだろう。
では、何にどう挑んでいけば、覚醒した人々が見た理想は実現するのだろう。
そもそも、進化し過ぎた人々が到達した“キラキラ”した領域に、
鬱屈した主人公少女も惹かれているわけですが。
そのキラキラは果たして人が掴んで良い光なのか。

本作はこれら『ガンダム』シリーズが問いかけてきた諸課題を、
一定の秩序がある地球圏の、青春劇、政治劇の中で、じっくり哲学していくタイプの『ガンダム』なのだと私は感じました。

よって、例えば、本作が令和のファーストガンダムになり得るか?
と問われれば、答えはノー。
『シン・ガンダム』と言うよりは、『シン・ガンダムUC』でも見る心持ちで、
今後予定されているTVアニメ版も視聴してみようと考えています。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・スタジオカラー×サンライズ

レーダーを無効化され、有視界下での白兵戦を強いられたが故のモビルスーツ戦という原点を再定義するバトルアニメーション。
肉眼による索敵からの先手必勝こそ王道ですし、
それを補完し合う二機一組の“M.A.V戦術(マヴ)”こそ戦時下から培われてきたMS戦闘の普遍的な戦法であり、
クランバトルの基本ルールでもある。
この中で勘で間合いが読めちゃう異能とかチート。
こられの要素が、真っ暗な宇宙空間を背景に、よく再現された味わい深いMS戦闘でした。

キャラデザでは主人公少女マチュの虹のような瞳が印象的。
宇宙環境下で目醒めた人間がたどり着く“キラキラ”も思わせて示唆的です。
初回から一民間人では説明が付かない能力を発揮するマチュですが、
“キラキラ”を恐れない度胸も含めて、生い立ちの解答が気になります。


巨大なMSにリアルに大迷惑する住民という描写もカラーらしいと感じました。
あんなデカいビットが街なかを飛び回ったら難民の居住家屋などひとたまりもありません。

一方でやや興ざめだったのが、この時代でも衝撃で画面が割れちゃうスマホが現役だった点。
『ガンダム』をSFとしても楽しみたい私としては、
未来を感じるデバイスを想像して魅せて欲しいとも感じます。
もっとも、これが今後みんなでデバイスの枠を超えてテレパシーできる世の中が来るという伏線だとしたら脱帽しますがw


【キャラ 3.5点】
主人公少女アマテ・ユズリハことマチュはコロニーで塾通いもする一般家庭代表。
非合法な運び屋稼業に手を染めるニャアンは、戦争難民というコロニーの現実を体現する少女。
シュウジは“キラキラ”な?惑星少年w
メイン3人の凸凹で色々掘り起こせそうな期待はあります。

主人公機・GQuuuuuuX(ジークアクス)
ガンダムの系統ではある最新鋭MSと思われますがガンダムは名乗っていないのが何とも不気味。
カラーが絡むということで、早くも、ネット界隈では、どうせモビルスーツじゃなくて人造人間か何かだろうと考察されたりもしていますし、
“マヴ”のシュウジは愛機を人格を持った存在として語ってもいますが。
私はガンダムが自我を持っても精神の平衡が保てるように、
ずっとモビルスーツのアイコンであり続けてくれるザクでも眺めて安心しようと思いますw


【声優 4.0点】
主人公マチュ役の黒沢 ともよさん。
大事に巻き込まれ芸、厄介事に首ツッコミ芸をやらせたら天下一品の声優さん。
彼女が、平穏な生活を送っていた主人公が地球圏の運命に翻弄されていく、
巻き込まれアニメの金字塔『ガンダム』で主役を務める。

そう聞いたら、私は居ても立っても居られないですし。
今後、例え本作が『ガンダム』じゃないとか、『~Beginning』前半がピークだったとか叩かれようと、
ともよさん演じる、この少女の行く末は見届けたいと私は決意しています。
今回見た限りでは、ともよさんも、どちらかと言えば首ツッコミ芸の方が冴えている印象です。

運び屋ニャアン役には石川 由依さん。
シュウジ・イトウ役には土屋 神葉さん。
とメインキャストの掛け合いにはワクワクできそうです。


【音楽 4.0点】
何を言っても核心的なネタバレを踏みそうな本作ですが、
私は劇伴が一番ネタバレな気がします。
開始3秒で、カラーそっちで来ちゃいましたか。
パンドラの箱開けちゃいましたが、火だるまになっても頑張って下さいって感じで、
確信しちゃう主因は音楽だと思います。

その他BGMは、照井 順政氏が同じバンドでキーボード担当の蓮尾 理之氏と共作で提供。
本劇場版ではキラキラしたエレクトロ成分のアレンジも目立つSFサウンドとの印象でしたが、
『呪術廻戦』劇伴も手掛けて来た照井氏が、カラーにありがちなグロシーンでどう火を噴くのか、今から戦々恐々です。


主題歌は米津 玄師「Plazma」
大衆に売れることをポジティブに捉えている希少なアーティスト。
俺は大衆に媚びないとやさぐれて刺さらない音楽を出してこられるよりは、
大衆音楽はかくあるべきを実現している米津さんの姿勢は、私は好感しています。
本作でも{netabare} “もしもあの改札の前で 立ち止まらず歩いていれば君の顔も知らずのまま ”{/netabare} とド直球な歌い出しでタイアップにも貪欲。

が、大衆音楽上等な私から見ても。
またピックアップした話数の関係もあるだろうと考慮しても。
挿入歌で米津。EDでもう一発、米津。
というのはゴリ押し感を覚えてしまいます(苦笑)

さらに他のアーティストによる挿入歌も二曲あり。
『ジークアクス』。意外と歌う『ガンダム』になるのかもしれません。
MVと揶揄されない程度に盛り上げて欲しいとは思います。

投稿 : 2025/02/15
♥ : 13

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

「なんちゅうもんを見せてくれるんや…。」「これに比べたら…以下略」。私の鶴巻監督論。

 ネタバレできないとほぼ書けないので、擬音などでぼかして簡単に書きます(ご容赦ください)。冒頭の効果音でニヤ、本編数分で「ええっ〜!」、某杉田さんでニヤニヤ、まさかあの人がアレにってだけで「うぬ!」、そしてまさかの方向に行くので「おわぁ!!!(賛否両論ありそう)」ということでした、終わり。


 というのだけでは、流石に酷いので庵野さんの影に隠れがちだがガイナックス出身の大好きな監督鶴巻さん論を少々。庵野さんがエヴァで燃え尽き、いちお「カレカノ」やったけどその後は実写に行ってしまった後のガイナックスで気を吐いていたのは何と言っても鶴巻さんの「フリクリ」と「トップ2」だと言いたい。


 もちろん「グレンラガン」もありますが、今石さんはガイナックスにいたからこそあれだけの仕事をやれた気が個人的には…(その後のトリガーでの仕事を見ると)。


 この2つの特徴は、青春と上手くいく「セカイ系」というのが共通項な気がします。どちらも主役の前から大切な人はいなくなってしまうが、ちゃんと成長して「セカイ」から「世界」へと抜け出すことに成功する物語である。この辺が新海さんとは違う!(飛び火)。


 さらに、かなり病んでいた庵野さんが青春ロボものをやっても本人の当時の気持ちが、社会全体の雰囲気が乗っかって「エヴァ」はあんな良くも悪くも物凄い作品に、伝説になってしまった。


 しかしその点、鶴巻さんが青春を描くとビビットでサブカル的なセンスを有しながらも、芯に人は成長しうるという真っ当な価値観がドスンと下支えしているからエンタメとして重心が崩れない。だから両作ともに、ラストは主人公が上を見上げるカットに着地する。


 故に、本作も過去の富野さんのような重くて暗い戦争や人間の業でも、庵野さんがやるように参照的で謎めかしすぎもせず、青春の中で大切なモノを失うがちゃんと成長するエンタメに着地してくれそうな予感がします。ニュータイプによる革新という富野さんが思いつたけど投げちゃったテーマが中心にきそうだし、歴史改変の部分も面白いし、「なんちゅうもんを…以下略」。私の大好きな「山田玲司のヤングサンデー」でも特集やってくれないかなぁ〜。

投稿 : 2025/02/15
♥ : 6
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

シンガンダムではなさそうですが、オタク2次創作になる気はする。

 冒頭の3分の1は嬉しいだまし討ちで、素晴らしい映像でした。この作品がファーストガンダムを前提とした内容であることがはっきりします。映画館なので時間はわかりませんが、多分20~30分かそこらの内容ですが、劇場に足を運んだ甲斐はありました。

 見どころは{netabare}シャアがコロニーに侵入するシーンで始まりV作戦の偵察でガンダムを発見し…で完全に1STのリメイク…かと思ったら、そう来ましたかと言う感じでしたし、クシャトリアVS強化ジェガンを彷彿とさせるバトルシーン{/netabare}は見事でした。

 ただ、です。正直言えばその手に汗握るような映像の冒頭に比べ、残りの時間は普通でした。少なくとも、元の作品の好きなところを拾って「僕の作ったすごいガンダム」的な「シン・ガンダム」ではないです。

 むしろニュータイプのサイコミュを言いように解釈してエヴァ的な描き方にしてしまっています。なんとなくSF的に見せていますが、ガンダム(サイコミュ)をいいようにブラックボックス化して、説明不足というか都合のいい設定をニュータイプでごまかそうとしている気がします。

 その意味ではUCでニュータイプをオカルト化してしまった轍を踏む懸念があります。
 というより、人と人のつながり「マブ」(マブダチのマブだと思います)という用語をキーワードにしているので、逆シャアを言い訳にして兵器としてのガンダムではなく、スーパーロボット的なガンダムにしてしまっている気がします。その点でUC的と言った方がいいかもしれません。

 ベルトーチカチルドレンではなくT字のサイコフレームにした苦し紛れの弊害ですね。冒頭のシーンの最後のところはやっぱり逆シャア的なオカルト感はありました。

 で、なんといっても不満は絵柄ですね。冒頭のすごい画像を見たあとだけに、あのキャラデザは腰が抜けるかと思いました。そのギャップよ。このガンダムは萌え絵というかアニメの記号的なのは全然マッチしません。劇画とまでいいませんが、ファーストガンダムレベル(エヴァでもいいけど)くらいのリアリティラインがキャラデザに必要でしょう。

 そこに加えてサブキャラがテンプレで何度見たんだよ…という感じもガッカリ感はありました。

 それと、ザクを民間用の兵器として払い下げているとか、まあ、パトレイバーみたいな雰囲気を出そうとしているのかもしれませんが、何か、モビルスーツに機械兵器としてのリアリティがないんですよね。

 補給、整備、修繕、運搬、保管…などを描いていないので、兵器として運用をしているように見えません。工房といういか格納庫的なものはなくはないんですけど、単なる謎基地でしかありません。ガンダムはもちろんですけど、ザクもそう感じてしまいました。その原因は見せ方とか世界観もあります。そういう場面をシーンとして入れるべきだと思います。

 原状ではテーマが見えてこないのが何とも…もちろん、この後に続くでしょうから見えなくても当然なんですけど、なんというか深味が出る予感がしないというか… {netabare}ソロモンの破壊作戦{/netabare}のときにザクのエネルギーについての話があったのでそこかなとも思いましたが、それはやらない感じです。

 やっぱりマブ…人のつながり云々という面白くもない今更感のあるのがテーマになるのか。うーん、やっぱりカラーは良くも悪くもオタク集団ですねえ。テーマよりも描きたいものが先行してしまう可能性があります。オタク2次創作ですね。同人誌で薄い本じゃなくて、オリジナルモビルスーツのデザイン本みたいな奴。あんな感じです。お前らこんなの見たかったんだろ?で終わるのかなあ…

 話が大きくなるなら悪い意味での世界系になる気がします。人類補完計画…ニュータイプ版の。つくづくサイコフレームは悪手だったなあと思います。クリエータの創造力不足を補う便利グッズになってしまっているかも。

 まあ、今日見た感じではそんなところです。重ねていいますけど、冒頭の映像はすごかったです。



 追記 いや、やっぱりシン・ガンダムかなあ…僕の考えたガンダムのIF世界を徹底的に作りこんでいる冒頭シーンから言って、その設定は今後につながるのか。うーん、問題はシャアですよね。

 一方で、サイド6の分断から今の世界に繋がるテーマは作れなくはないですからね。宇宙世紀ガンダム、ファースト、Zから逆シャアまで、Vガン以降と富野監督の思想が違いますからね。カラーの人たちが好きそうなのが逆シャアとVガンのあたりです。
 富野氏はガンダムという名称とニュータイプ思想を後に躍起になって否定しました。で、かなり直接的にアニメのみのオタク、教養を持たないガンダムファンを批判的に見てやきもきしていたようです。

 そこを今回のガンダムでどう扱うか。つまり、ファーストを肯定的に扱ってしまうとオタク妄想のシン・仮面ライダーやシン・ウルトラマン的なシンガンダムになります。Vあたりですと、やはり人類補完計画になってしまいます。

 現実に帰れというメッセージが入るならシンエヴァですね。ただし、シンエヴァが現実に帰れといっているようで、庵野氏は結局特撮とガンダムとヤマトですからね。その点でその現実に変えれというメッセージは間違っているのかとも思います。最近は単なる庵野氏とカラーのエヴァからの卒業式だけだった気もします。その点で富野氏のメッセージと気合が違います。

 本作にもどると、やっぱりさっぱりわかりませんね。いい方に裏切ってくれることを祈ります。それにしてもキャラデザだけはなんとかしてほしいなあ。

投稿 : 2025/02/15
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