2023年度のウイスキーおすすめアニメランキング 2

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2023年度のウイスキー成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年03月02日の時点で一番の2023年度のウイスキーおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

計測不能 1 2023年度のウイスキーアニメランキング1位
ゴブリンスレイヤーⅡ(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.4 (149)
325人が棚に入れました
「俺は世界を救わない。ゴブリンを殺すだけだ」 辺境のギルドには、ゴブリン討伐だけで銀等級(序列三位)にまで上り詰めた稀有な存在がいるという......。 冒険者になって、はじめて組んだパーティがピンチとなった女神官。 それを助けた者こそ、ゴブリンスレイヤーと呼ばれる男だったーー

声優・キャラクター
梅原裕一郎、小倉唯、東山奈央、中村悠一、杉田智和、上坂すみれ、井口裕香、内田真礼、日笠陽子、松岡禎丞

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

俺は世界を救わない。ゴブリンを殺すだけだ――

この作品の原作は未読ですが、TVアニメ第1期と劇場版「ゴブリンスレイヤー GOBLIN’S CROWN」は視聴済です。
ゴブリンって、RPGゲームをプレイしたことの無い方でも恐らく名前くらいは知っているという最底辺のモンスターという認識が一般的です。
かく言う私も本作或いは、「灰と幻想のグリムガル」を視聴するまでは世間一般と同じ認識でした。

ですが、単体での戦闘力は低くても群れを成し、統率された戦闘部隊となると話は別です。
これは人間に例えても同じことが言えるので、筋の通った理屈だと思います。

だけどゴブリンに対する世間一般の認識があまりにも浸透し過ぎていることから、大抵の冒険者はゴブリンを格下の弱い相手だと思ってします。
所謂、油断ってヤツです。

この物語では、この油断に警鐘を鳴らす作品であると思っています。
しっかりと準備をして臨まなければ何が起こるか分からない。
そして一度相手の策略にハマってしまったら…心身に大きな傷を負ってしまう、或いは2度と戻れなくなるという状況が待っているということ…

これって、私たちの仕事に対しても同様の事が言えると思うんですよね。
そういう意味でも私にとっては興味深い作品でした。


「俺は世界を救わない。ゴブリンを殺すだけだ」

辺境のギルドには、ゴブリン討伐だけで
銀等級(序列三位)にまで
上り詰めた稀有な存在がいるという……。

冒険者になって、はじめて組んだ
パーティがピンチとなった女神官。

それを助けた者こそ、
ゴブリンスレイヤーと呼ばれる男だった。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

相変わらず緊張感のある良い作画…
と思ったら、第1期と第2期ではアニメーション制作会社が変更されていたようです。
第1期はWHITE FOXさんで、第2期はライデンフィルムとwikiに記載されていました。

どちらも名高い制作会社だと思いますが、WHITE FOXさんはここ最近あまり活動されておらず、2023年は一つの作品も世に輩出しなかったようです。

色々と想像しちゃいますよね~
例えばリゼロの第3期を一生懸命準備しているとか、「無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜」の制作に伴い、新たなアニメーション制作会社を立ち上げているので、そちらの加勢に行ってたりとか…
どちらも私が視聴を楽しみにしている作品だから、こういう発想になるんでようけれど^^;

この作品の物語はシンプルです。
ゴブリンスレイヤー一行が、各地に生息しているゴブリンを殲滅するというものです。
行く先々に違いがあるので、背景や人との出会いに変化があるくらい…

ですが、その分ゴブリンとの戦闘シーンはとても秀逸だと思います。
ゴブリンも手を変え品を変え襲ってくるので、単にゴブリンとの戦闘と言っても決して視聴者を飽きさせることはありません。

そして何より気になること…
ゴブリンの暗躍の全容が見えないんです。
特に気になるのがゴブリンスレイヤーが寝泊まりしている牧場の牛飼娘…
彼女の存在だけが異質に見えて仕方ありません。

ギルドに所属している冒険者は、多少なりとも自身を外敵から守る術を心得ています。
ですが、牛飼娘は戦闘力皆無である上、人里離れたところに住んでいるので、ゴブリンスレイヤーを温かく迎える姿を見る度にホッとしてしまいます^^;

そういえば、この作品ってキャラ名がありませんよね。
女神官とか、妖精弓手など…
無くても困りはしませんが、あった方が愛着が湧くと思うんですけどね^^;

もしかすると呼び方が皆さん違う事が起因になっているのでしょうか。
例えば、ゴブリンスレイヤーの事を、妖精弓手は「オルクボルグ」と呼ぶし、鉱人道士は「かみきり丸」、蜥蜴僧侶は「小鬼殺し殿」ですからね~。
この自由さもそれぞれの種族の持ち味なんでしょうけれど。

あと、もう一つの見どころといえば、ゴブリンスレイヤーを取り巻く色恋のお話でしょうか^^
段々、対抗馬が増えてきましたよね。
女神官、牛飼娘、受付嬢に剣の乙女…
勿論、ゴブリンが跋扈しているうちは中々進展は無いと思いますが、どうなるんでしょうね。
こちらの顛末も楽しみです。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、Miliさんによる「Entertainment」
エンディングテーマは、中島由貴さんによる「霞の向こうへ」
Miliさんの楽曲は今回も格好良かったです~

1クール全12話の物語でした。
今回もしっかり堪能させて頂きました。
気になるのは、やはり続編制作の事になります。
続き、メッチャ見たいんですけど…
続報を楽しみに待っていますね。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 11

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

やはり面白い。世界とゴブリン、神の関係は?大司教が大活躍。

 やっぱり面白い…神とサイコロ。作品の2重世界的な雰囲気が3人の冒険者の登場で徐々に垣間見えてきました。1期では確かお祭りみたいな場面で一瞬でてきてよくわからない存在でした。とはいえまだ全然わかりませんが、ゴブリンとは?という謎とセットで謎が深まってきました。それともちろん大司教の過去ですね。あのフェロモン全開のゴブリン恐怖症は一体?

 軍が相手にしているのはどんな敵なのか?というのが、1期の段階では民衆のために働かない無能な為政者のイメージでしたが、2期に来てなるほどそっちはそっちでいろいろあるのかあと分かります。

 女性がさらわれて助けるというパターン化とちょっとゴブリンスレイヤーのダークな感じが初心なヒーローという感じになってしまった気がするのが惜しいと言えば惜しいかな?ハーレム化現象も無くはないです。

 女性の悲惨さの場面がかなりマイルドになっているのも作品世界が変わった感じがしました。その点では1期の1話の衝撃の貯金をまだ使いつぶしている感じはあります。

 ですが、本作も続いても面白さが持続する数少ない作品の1つです。それは世界観とキャラの作り込みが出来ていて、その謎を解き明かすという構造が上手く機能しているからでしょう。
 
 作画ですが、言われているほど悪くなかったと思います。特にキャラデザは造形そのものは本作の方が良かったし、頭身も本作の方が自然だったと思います。ただ、一般的な異世界ものの雰囲気になってしまったのが惜しいと言えば惜しい気はします。
 線と色彩の雰囲気は1期の方が良かったですし、エフェクトがちょっと安っぽくなった気はしました。アクションシーンの動きと、ゴブリンとかクリーチャーの造形が駄目だったとは思いました。

 ということで、人気作だけに継続してほしいところ。今期は最終回直後でつづきの2クール・2期発表の作品が多いので、是非本作も3期を早急に。

 評価はストーリーは上の通り非常に面白いですが若干アラも見えたので4.5。キャラはテンプレ感がなくていいですね。大司教が大活躍です、4.5。
 作画は思ってたほど悪くなかったですよ?動きは不満なところはありましたけど、4。音楽は…普通?OPEDアニメがいい分で3.5としておきます。声優は十分良かったです、4。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 8

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

ゴブリンか?ゴブリンじゃないのか・・・ゴブリンか!!!

面白かったけど1期とだいぶ感じが変わりました
1期に比べてずいぶん明るくなったのは良かったのか悪かったのか?
盾勇者と一緒でコレも1期でやりたいことをやりつくした感じで、方向性を変えたのかも
作画は結構顔が歪むことあって気になる

1期は女性を凌辱するシーンが壮絶でしたが、2期はだいぶマイルドになっています、女性の状況から、たぶん原作ではもっとひどい目にあってそうで、苦情でも入ったのでしょうか?
私は女性が凌辱されるシーンに嫌悪感あるのでマイルドになって良いんだけど、どうしても嫌なら2期なんて見ないでしょうし、今さらマイルドにする必要あるんでしょうか?

2期になってもやってることだいたい一緒というか2期は同じようなことの繰り返しだし、残酷な描写が一期よりだいぶマイルドになったし戦闘も1期ほどの緊迫感がなく、ゴブリンの脅威度が減ったので、ゴブリンスレイヤーが延々とゴブリンをせん滅しているのがだんだん気になってくる、しかもゴブリン世界中に大量にいるみたいだから狩っても狩ってもキリがないような? どう完結させるのでしょうか?
3期があるならそろそろひたすら狩り続ける以外の大目的が欲しいところです
ただ仲間キャラクターの活躍が多くなって賑やかになったので一緒に戦ってる感じがいいかも
妖精弓手の可愛さと蜥蜴僧侶の老練した安心感が好き

この世界でゴブリンは最弱とみなされているみたいだけど、これだけ知恵が発達していて大きな組織を作って行動しているなら最弱扱いされているのが不自然です
もっと上位のモンスターも同じように知恵やコミュニティがあるなら、冒険者壊滅しますよね?
そのへんの矛盾は気になります

投稿 : 2025/03/01
♥ : 20

73.9 2 2023年度のウイスキーアニメランキング2位
駒田蒸留所へようこそ(アニメ映画)

2023年11月10日
★★★★☆ 4.0 (53)
248人が棚に入れました
経営難の蒸留所を舞台に、家族の再生と幻のウイスキーの復活を目指す若き女社長の奮闘を描く劇場版オリジナルアニメーション。
先代社長であった亡き父の跡を継ぎ、駒田琉生は駒田蒸留所の若き女社長となった。琉生は経営難の蒸留所の立て直しを図ると共に、バラバラになってしまった家族と、幻のウイスキー“KOMA”を復活させようと、奮闘の日々を送っていた。
そこに、自分の仕事に魅力を見いだせずにいる新米記者の高橋光太郎が取材のためやってくる。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

『Komada A Whisky Family』

長野の小規模メーカー「駒田蒸留所」
若くして女社長として跡を継いだ駒田琉生(るい)が、
経営難に直面しながらも家族の酒である幻のウイスキー“KOMA”復活を目指して奮闘する姿などを描いた、オリジナル青春群像映画。

【物語 4.0点】
P.A.WORKS“お仕事シリーズ”の最新作。
だがレビュタイに掲げた本作の英題の通り、後半にかけてより家族の絆の物語へとシナリオが傾斜していく。


前半、主人公視点を蒸留所の女社長・琉生ではなく
ネットニュースサイトのうだつの上がらない記者・高橋光太郎に置き、
取材視点で群像を渡り歩く内に、当初やる気のなかった取材にも熱が入っていって……という展開。

お仕事アニメとしても、ウイスキー作りを下積みから叩き上げてどうとかではなく、
自分のやりたいことが分からずにフラフラしている記者の若者が、
与えられた場所や仕事で本気に取り組むことで、
周囲の様々な人生に触れ、発見や成長をしていく。
好きなことをストレートにやるだけが成功じゃない。
やりたいこととは関係ないと思っていた仕事から思わぬ道が拓けることもあるとの教訓を伝えることに力点が置かれる。

ウイスキー作りについても専門性をマニアックに深掘りするのではなく、
幻のウイスキー“KOMA”を家族の絆を象徴する軸として活用した感じ。


これらのシナリオをプロットはあまりガチガチに詰めずに、
登場人物のブレンドが生み出す化学反応に期待して脚本。

そのため予め目標にしていたクライマックスではない、思わぬ場面がヤマ場になりますし、
人によっては光太郎同様シナリオも方向性が定まらずフラフラしていると感じるかもしれません。

けど私はあまりウイスキーアニメだからなどと決めつけずに、
シナリオの流れに身を委ねたら、終盤、(※核心的ネタバレ){netabare} 琉生の母が復活したKOMAを試飲{/netabare} する場面では感動。
意外と人物や伏線をそう絡めて繋げて来たか、
ウイスキーKOMAの“タイトル回収”と合わせて、
独楽の如くクルクルと上手くシナリオを回して来たなと感心もしました。

熟成まで最低3年かかるウイスキー作り。
序盤仕込んだネタが何処で熟成されるのか。
高々90分の上映時間くらい辛抱強く待ちましょうw
特に冒頭のワンカットには仕込みが多いので感度を上げて挑むことをオススメします。


【作画 4.0点】
人物作画の描き込みは思いのほか簡素。
背景美術も高密度なフォトリアルではなくイラストタッチ。
作風には合っていますが、劇場版クオリティとして評価すると平凡な出来。

一方やはりウイスキー関連については、ウイスキー監修まで招いて、
見慣れない道具のリアリティーにまでこだわって描き込んで来ます。
蒸留施設にあるニューポットの金属のテカり具合とか他の背景とは気合が違います。

私が凄いと思ったのは調合室の描写。
サンプルの原酒一つ一つに色彩を設定しなければならない。
テーブル上や棚に色とりどりの瓶が並ぶ絵は壮観でしたが、作画の面倒臭さを思うと気が遠くなりましたw


【キャラ 4.0点】
一応、前半、青春群像劇の主人公視点を与えられたネットニュース記者・高橋光太郎。
本作の監督が若手にアニメ制作を教える中で、もう少しで開花しそうなのに辞めてしまう人がいるとの悔恨から、
こうした若者たちにエールを送る意図も込めて創造されたキャラクター。

よって序盤、自分探しをこじらせて異様に情けないのも、群像間をフラフラしているのも、狙いとしては正しいのでしょう。
が、中盤、{netabare} 琉生社長に向かって、家業継いで好きなこと仕事に出来る奴はいいよな~とトンチンカンな悪態を付いて往復ビンタを喰らう{/netabare} 件は、シナリオの転換点として機能していたものの、流石にイタ過ぎると私も頭を抱えましたw

普通ならコースアウトしかねないほど危なっかしい光太郎が前に進めたのは、
蒸留所・道具修繕担当のベテラン東海林さん、
ネットニュース会社上司・安元さんの温かいフォローのお陰様でしょう。

あとは光太郎が凹んでいる時には愚痴を聞き、
調子が出てきた時には自慢話を聞く親友の斉藤裕介。
俺もどうせ酒を飲むなら、こういう奴と酔い潰れて放言して、内心ウザがられたいですw


後半、光太郎が本気を出し、取材の進展と共に、
真の主役へと解像度アップする女社長・駒田琉生(るい)

確執を抱えた兄・圭などバラバラだった家族が、
思わぬ視点で、駒田家や琉生のことを互いに見ていた。
家族の酒・KOMAを通じて豊潤になっていくキャラクター相関が味わい深かったです。


【声優 4.5点】
オーディションでキャスティングする中、
駒田 琉生(るい)役だけは早見 沙織さんを指名して起用。
若きリーダーとしての仮面に覆われた前半と、
キャラ深掘りによる本音の暴露と、家族などに関して心境が変化していく後半で振れ幅も大きい役柄。
それでもブレない優しさをナチュラルに持っている早見さんの性格に期待してのキャスティングとのこと。
私もしかと伝わって参りました。

真面目な女社長役なので、はやみん萌えの補給は望めない?と思いきや、
{netabare} テイスティングノートをBL漫画イラストで表現していることが知られた際に赤面{/netabare} する早見さんの演技はなかなか破壊力がありましたw


振れ幅という点では高橋光太郎役の小野 賢章さんも見違えていく若者を好演。
それ以上に、そんな若者の成長を見守り、時にケツも拭いたりする、
上司・安元役の細谷佳正さんの包容力のあるボイスの安定感、安心感が半端ありません。


【音楽 4.5点】
劇伴担当は加藤 達也氏。
力強いピアノとストリングスによる心情曲、戦闘曲が印象的な作家さん。
本作ではそこにサックスのブレンドを多用しウイスキーのムードを演出。

駒田 琉生(るい)役の早見 沙織さんが歌うED主題歌「Dear my future」も加藤氏が作曲。
そのメインフレーズが劇伴でも軸となる。

このBGM私は正直かなりお気に入りです。
サントラが出たら、やりたくもないタスクに向かう憂鬱な朝とかに是非チョイスしたいですw

因みに主題歌「Dear my future」のフルVer.のDLカードが劇場鑑賞特典。
YouTubeのMVショートVer.じゃ納得できない方は是非劇場に足を運びましょう。



【余談】
本作の舞台は2019年ですが、ウイスキーを巡るエピソードは数年単位のスパンで物語られます。
個人的には、駒田蒸留所と家族の歯車を狂わせた起点として設定された長野県北部地震のことを失念していたことがショックでした。

3.11の翌日未明に発生したこの地震のニュースが流れた時、
どうせマスコミは3.11ばかり取り上げて、この内陸型地震のことなどすぐ忘れ去られるだろうから、私は覚えておこうと思っていたのですが……。

長期的な視点を忘却しない大切さもまた本作から学ぶことができます。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 23
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.3

酷評する楽しみすらない凡作。実写でよくね?

 感想が難しい作品です。いい話、まとまっている話ではあります。が、これは劇場版クオリティなのか?という気はします。
 アニメ作品としてではなく、ウイスキー蒸留所を舞台にしたお仕事もの、というのを強引に解釈すればほめられますが、アニメとしてほめられるか?というと疑問です。

 主役、高橋光太郎の性格造形があまりにひどすぎる気がします。他責にして自分が大物である、チャンスがなかっただけ、などという思考をしてしまうのは、今時のマインドなのかもしれませんが、それなら周囲が何とか仕上げてから取材させないと迷惑だろうという気がします。まあ、それは設定だからいいんですけど、あまりにキャラ造形が薄いというのが気になります。こいつが改心しない結末以外無いでしょう。それはいいの?という気がしました。

 そして、主人公がクズ過ぎてそうなると上司の言葉に説得力がなくなり、ひいてはストーリーそのものの説得力も薄くなる気がします。もうちょっとキャラに厚みを持たせられないの?という気がしました。

 それはヒロイン駒田琉生にも言えます。内面に全然入り込んでいないことです。もちろん、視点が光太郎だからそうなるんだと思います。ただ、彼女視点のパートが少ないため、聖女になってしまっている気がします。それを相対化するためにBL的な趣味を無理のあるシチュエーションを作って見せたのかもしれませんが、光太郎のクズさが際立っただけです。

 でまあ、{netabare} 駒田家の家族の協力で…しかも故人のノートって…それはやっちゃダメじゃないの?という気もします。そもそも火事がなあ{/netabare}…兄との対立構造の中、いったん会社を奪われて、それでも…とか何かなかったのか。母が他人ごと過ぎますし。

 そして、アニメ作品としての見ごたえ、ですね。SFやアクション、スポーツじゃないですし、アイドル、音楽や画像で見せる作品でもないです。萌えキャラでもないですし、アーティーでもないし幻想的なシーンがあるわけでもなく。なぜ、アニメという媒体なのか、という主張がほぼ感じられません。
 これを劇場で見ても…と思いますが、まあ劇場で見た印象とは違うでしょう。けど…最低限のワクワクは欲しいかなあ。

 話として仕事をやり遂げるという達成感はあるかもしれませんけど、挫折が {netabare}火事じゃなあ。例えば兄の火付けとかなら納得感はあるんでけどね。{/netabare}
 これは正直実写でいいじゃん、と思わなくはないです。というか、このストーリーならリアリティという点で実写にすべき作品だったのでは?と思います。

 作画もそれほど動かないです。印象としては最近見たジブリの「海がきこえる」と同じ印象です。いい話、まとまった話ではありますが、身近すぎます。しかも、主人公へのヘイトがたまるだけたまって、{netabare}BLと買収と火事とネットで呼びかけましょう{/netabare}…ですからね。

 ストーリーは平凡すぎて意外性が驚くほどない上に、ご都合主義というより尺を使うために作りましたという感じです。そして完全に現実世界の話なのに、キャラ造形が薄っぺらいので話に起伏がないです。結末が初めからわかっていたような感じです。作画も平凡。テーマもやりたいことと仕事の違い、家族、価値を受けつぐ、価値が分かる人はわかってる…はじめの30分で描けるでしょう。

 ということで、何を描きたくて描いた映画なのかまったくわからない、酷評する楽しみすらない、映画でした。
 作画はそうはいっても普通なので3点…いや劇場版としてはダメか。2.5にします。
 声優さんが悪いわけじゃないですが…まあ調整で3点。ストーリーキャラは1.5ずつにしておきます。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 6

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

人を選ばない作品

お仕事シリーズ、「花咲くいろは」から数えて "12年ものの銘品"。
私はそう評価してみたいと思います。

シリーズのなかでは、ちょっと抑え気味な演出です。
でも、その分、リアル寄りですし、自然体で寄り添える感覚で視聴できました。

差し込まれるサックスの音色がとても心地良くて、作品の薫りをまろやかに耳に届けてくれます。
私はどちらかというと雰囲気上戸のほうなので、お酒にもBGMにも好き嫌いはありません。

そんな91分でしたので、馥郁とした余韻に任せて向かったのは、馴染みのリカーショップ。
手に取ったのは、地産のウイスキーでした。

小瓶、でしたけど、ね。



主人公は、若くして家業を継いだ駒田琉生(こまだるい)。
声は、早見沙織さんです。
あとの出演者は、申し訳ありませんがあまり印象に残っていないんです。(本当にごめんなさい!)

それだけ、駒田琉生に肩入れしてしまったというか、早見さんの声がはまっていたというか・・・。
彼女らの想い、悩み、頑張り、歓びが、じんわりと胸を包み、ゆたかな共感を呼ぶのです。

その人柄は、今を生きている同世代の方にも、きっとフィーリングがリンクするような気がします。
琥珀の液体に命を吹き込もうとする意志と瞳が、鑑賞する人にも同じように向けられます。

勤労することの "今" に、そして "未来" に「ようこそ!」と。



実は、鑑賞前は、少し戸惑いを感じていました。
というのも、お仕事シリーズのフィクショナルな部分でいくらか違和感を感じていたからです。

作品は観られることが大前提ですから、主人公キャラを盛るのは常套だと思います。
ただ、盛りすぎる手合いはちょっと遠慮したいかなっていう過去シリーズへの受け止めもあります。

もちろん、表現性や受け止め方はそれぞれなので、あくまでも私の中にある限定バイアスなのです。
ただ、そうした縛りが拭えなかったので、同じようなテイストだと外れちゃうかなあって心配があったわけです。

で、どうなったかと言うと、気持ちよくお酒を買ったくらいですから、P.A.WORKSにも、リカーショップにも、そして私にも、ウィンウィンの相乗効果が出たというのが今回の答えです。



蒸留酒には、3年もの、5年もの、10年ものだったり、古酒と呼ばれるものだったりがあります。

そこに飲み手の人生の蘊蓄が加われば、なお味わいは深くなり、彩りが生まれるでしょう。

本作は、そこにブレンダーの手、寝かせた木樽の息遣いを、五感に加えてみるというもの。
クラフトウイスキーの造り手からの新しい提案とも言えそうです。


人と人との距離感が薄れかけている昨今です。
グラスを傾けながら、心を近づけ合う機会は、どんなにステキなことなんだろうって思いました。

人を選ばない作品。

ですが、その薫陶は、どうやらレヴューでは書ききれなかったみたいです。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 15
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