イラストレーターでコンプレックスなTVアニメ動画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画のイラストレーターでコンプレックスな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年07月11日の時点で一番のイラストレーターでコンプレックスなTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

79.8 1 イラストレーターでコンプレックスなアニメランキング1位
妹さえいればいい。(TVアニメ動画)

2017年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (747)
3575人が棚に入れました
「妹さえいれば人生は常に最高なのに、 なぜ俺には妹がいないのか……」

妹モノの作品ばかりを書き続けている妹バカの小説家・羽島伊月の周囲には、 天才作家にして変態の可児那由多、 女子大生の白川京、 イラストレーターのぷりけつ、 鬼畜税理士の大野アシュリーなど、 個性豊かな人物たちが集まっている。

それぞれ悩みを抱えながらも、小説を書いたりゲームをやったりお酒を飲んだり確定申告をしたりといった、賑やかな日常を送る伊月たち。
そんな彼らを温かく見守る伊月の義理の弟・千尋には、ある大きな秘密があって―。

楽しくも心に刺さる、天才や凡人や変人たちが繰り広げる青春ラブコメ群像劇、スタート!

声優・キャラクター
小林裕介、山本希望、金元寿子、加隈亜衣、日野聡、鳥海浩輔、代永翼、沼倉愛美、藤田茜
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.5

ラノベバブル時代の夢から覚めない子供おじさん

2話までの感想
{netabare}1話冒頭掴みとして奇抜?なことをやったんだろうけどむしろ逆効果じゃないか?
ってかそれ自体もなんか見たことある気が…デートオラアライブだったかなんか。
まぁ「病的」であることの表現なのでこれで評価マイナスということはない、これで誰も「コイツ異常」って態度取ってなかったらアレだけど。
で、そこまで病的に妹が好きであることの理由が明かされるのなら見続けても良さそうだけど…ど、どうなんだ?
原作は全く知りません。
前期に「○○の謎が明かされるのなら別にいいか」と見続けたら全く謎に迫ることもなくキャラ紹介だけで終わった作品があったため、ちと警戒しちゃうなぁ。
と思いつつあにこれ覗いてみたら、うわぁ作者“はがない”の人なのか。
あれなんか正にフック張りっ放しで幕引きした作品(アニメは、原作は知らん)なので…同じパターンをやるのか別パターンを用意してるのか、ひいい、気になるなぁ。
最後まで見て後悔する可能性もあるけど、一応怖いもの見たさで視聴継続。{/netabare}

3話感想
{netabare}おふう、なんか那由多見てると今期やってる“しょびっち”と被る。
どっちかだけ観ればいいんじゃ?…とつい思ってしまったり。
いやいや、両方見るけどね、現状、あくまでこっちは那由多のセクハラがメインな作品ではないハズだし。
これだけ作品数多ければ被るのは仕方ないんだけど…何度も書いてるけど、前もってどんな作品をやるかっていう打ち合わせはせんの?と強く思う。
まさか商売敵を潰そうってことでもあるまい、スタッフ持ち寄りで護送船団でしょ?この業界。

でもって本編は…これまたその、前から気になってる点なんだけど…。
ラノベのイラストレーターって原作のファンじゃなきゃアカンのか?
もしくは「これツマンナイ」と思う感情を持っててはイラストレーターは務まらんってことかいな?
いやさぁ、最近のアニメでもさぁ、アレとかアレとか、滅茶苦茶つまらない原作のアニメ化で、これ描かされてるアニメーターも災難だなぁと思うことが結構あったりしてねぇ…。
安彦良和みたいに「別に好きでこの業界入ったわけではない、食うためだ」と割り切ってる人なんて今の時代少数だと思うんだ(結果的に割り切るんじゃなくて業界に踏み込む瞬間のことね)。
好きで足を踏み入れたのであるなら拘りもあるんじゃなかろうかと…これだけは譲れない一線ってのはあるんじゃなかろうかと。
なによりこの作品の主人公の“妹好き”こそがその拘りちゃうんかと。
…と思うとあのイラストレーターの言動もなんかウラがありそうな気が…考え過ぎかね?
シロバコやニューゲーム見てないでこんなの言うのも(自分が)マヌケっぽいけど、最近だとエロマンガ先生とかレクリエイターとか、業界ネタ入れる系って妙に綺麗事しか言わないようにしてる雰囲気を感じる。
それはそうと、これだけ羽振りの良い生活ができるクラスならとっくにアニメ化経験あっても良さそうに思えるのだが…。
まだアニメ化されたことのない中堅のラノベ作家って設定じゃなかったっけ?その程度でもこんな生活できるのか?
別に構わんけどさ、将来そんな展開あるかどうか知らんけどこれでは「作品が売れてアニメ化もされて大金入って生活変わったー」ってネタ使えなくない?ギャップが無いので。
うん…まぁ構わんけどさ。{/netabare}

4話感想
{netabare}作家って非正規社員みたいなものだと思うのだが。
ってか前回の旅費は経費になるのかどうか…ってかなるからこそあれだけ奮発できるんだろうと思ってるが、それネタにすればいいのにスルーしちゃうのか。
ってか旅行ネタや酒ネタを突っ込んで来るのはそういうことなのか?(作品に反映されてれば経費になる)と思ってるんだが、マジでそういうことなのか?
税理士への当てつけで作品書かれてもこっちは困惑だぞ。
税理士が編集以上に作品の内容に口出しできるのってのはなんか怖い。
しかもそれが作品を売れるようにって目的でないのは…。{/netabare}

5話感想
{netabare}う~ん自分が古い人間なんかねぇ。
その昔、売れないマンガ家が爪に火を点すような生活をしてる作品ってよく見た気がするのだが、エロマンガ先生同様何故にラノベ作家だとこんなに裕福なんだろう?と不思議に思ってしまう。
それ系全部見てるワケでもないので中には貧乏なラノベ作家の作品とかもあるのかね?
その…業界におべっか使った内容でないと作品として発表させて貰えないのか?なんてことまで考ええてしまったり、アニメガタリズも含めて。
(その点に於いてはSAOの一期は評価している、ネトゲ運営批判というか皮肉が効いてたので。二期以降はアレだが)
ちょい昔だったら代アニがアレだったけど今だって何やらの専門学校がスポンサーで、若者に「この業界入りたい」って思わせるように装わないといけないのかなー?、なんてね。

それでいながらこの作品自体が古く見えるという不思議な感覚。
1話冒頭で見せたような「妹推しした狂った作品」をどうしても書きたいなら“なろう”でやればいいんじゃね?
生活に余裕あるみたいだし、それが売れなくたっていいじゃない。
締め切りに追われて編集に面倒をかける…これって「他に替えが居ない」からそう扱ってもらえるだけで、いくらでも替えが居る“なろう”(多分)だったらすぐに忘れ去られる・エタった扱いされるだけなんじゃないかなー。
と思ったり。
締め切りが設定されてなくとも次々と新作の投稿される“なろう”って脅威なんじゃないのかなぁ、いくら低質なものが多いとはいえ。
って、自分も“なろう”はよく知らんのだけど、要はここ最近のなろう作家が台頭するより以前のラノベ業界に思える、バブル時代臭い。
そこまで重篤な時代錯誤ってほどではないのだけど…居ないワケじゃないんだろうけど今風じゃない感じ、今の時代に新人マンガ家が紙原稿使ってるような感じ、と言えば伝わるかな?

そんなことを思いつつ 話を見続けた訳だけど、次回予告には期待が高まりました。
コミカライズの件らしいので、そこで漫画(作画?)担当がどう描かれるかが上記の疑問点への回答になるんじゃないかなー、と。
主人公の作品の大ファンのイエスマンなのか、否定的に見てるとか仕事として何も感情持たずに作業するだけなのか。
右も左も知らない目をキラキラさせた新人で、それを主人公(を通した作者)が説教こくとかだったら目も当てられないけど、果たして…。
逆に作画担当と会議なんて全然無く、編集が勝手に話を進めて勝手にマンガが出て内容が自分が思い描いてたのと全然ちが~う!しかもそっちのほうが人気、なんて展開だったら自分は面白いんだけどなぁ。
またはそれ以外ね…原作知らないのでトンだ的外れなことを書いてるかも知れないけど先の展開が非常に楽しみです、良い意味でも悪い意味でも。

ところで作家先生が本屋でずっと売れ行きを観察するって実際にあるのかい?
怪しまれたりサインくださいとか言われそう。{/netabare}

6話感想
{netabare}わぁい、一番恐れてた方向に行っちゃったっぽい?
コミカライズ担当が主人公の作品のファンでイエスマンって、しかも美少女って…うへぇ。
いやまだ分からんか?こっちが書きたかったものと内容が違う・解釈が違うって話はまだ可能か。
と思いながら見続けたらまーた酒とゲーム。
こうやって本編に絡めれば税金落ちるんでしょ?ってやってるようにしか思えない(読者を向いていない、リアル税理士へ向けたラブコールなんて見させられてもちょっと…)ので止めた方が良いと思う。

そしてアニメ放送とその反応だけど…。
これって結局は「知り合いの作家がこんな目に遭いました」ってだけでしかないような?
先述の酒とゲームの件もそうだけど、なんか「本当はエッセイ本出したいんだけど税理士と編集から許可下りなくて嫌々書いてる」と感じてしまうのは自分だけだろうか。
しかも春斗はアニメの会議に参加しておきながら「糞アニメになってもボクには責任はありません」って態度で…えええ?
もしこれでアニメが大ヒットしたら「オレの手柄だ」って言うんでしょ?スタッフのお陰ですとは言わずに(社交辞令では言うだろうが)。
原作者がアニメに関わるのとノータッチとでは全く別、そこはちゃんと分けて考えよう。
作者のあずかり知らぬ所でアニオリ改変されたワケでもあるまい、アニメーターだって手を抜こうとして雑に作ったワケでもあるまい。
もし怒りをぶつけるなら企画(納期や予算やスタッフの選定を含め)を通したプロデューサーじゃないかな?視聴者に向けられても困る。
「おっとこれは自分はクビ突っ込まない方が良いな」と予防線張る作家だって居る以上、首突っ込んだらどうなるかってのは覚悟の上だと思ったらそうでもないって…。
会議に参加した以上原作者って肩書は忘れてスタッフの一員としてどうかって考えるべきだと思うのだが…なんかひどく“作家先生様”してて、なんか、う~ん…。
描きたいこととそのために必要な状況設定が合致してない気が…とはいえこの件は今後も続くのかな?だったらそれに期待。

1話冒頭で示してた通り“誰からも制約を受けず・読者の目線も無視して・好きなものを好きなように好きなだけ書いたら”トンでもない糞が出来上がるってのは自覚してるだろうし、それには大いに賛同なんだけどなぁ。
(そういえば個人的オススメ作品の永久アリス輪舞曲の{netabare}13話もそういうオチだったなぁ{/netabare})
これはイラストレーターの刹那の扱いもそうで、どんなにモデルとして素晴らしいケツがあったとしても「それが好きなんだ」を一方的に押し通したらキの字にしかならんってのは自覚してると思うのだが…あれー?思い切りキの字に描いちゃってるよ。
てっきり「好きなこと」と「商売(売れること・受け入れられること)」のバランスに追及する話だと思ったので(↑の突っ込みもそれを想定してのものでした)、「好きだったら何でもいいじゃない」に向いてしまうなら自分としては「あれー?」って感じ。


追記
作中のアニメ放送中のコメントのキャプ画をたまたま発見、じっくり見てみることができました。
んで、辛辣な感想の大半は「予算を原因とした問題」に終始してる様に思える。
そりゃあねぇ、メタ的に自己否定するのは辛いやねぇ、と同情。
しかしこれ、怒る先はやっぱり(スポンサー含め)プロデューサーじゃない?
さもなくば決められた予算の中でどうやりくりすれば効果的に見せられるかの采配ミス…う~ん、監督になるのか?その場合。
またはその采配を原作者様が口を挟んで台無しにした…のであれば正に自業自得だ、他のスタッフ可哀想。
ってか原作者が関わっていながら奇跡のような糞アニメになったのって何かあったっけ?
ガンスリンガー(ゲフンゲフン)二期くらいしか出てこないや。{/netabare}

7話感想 傷を舐め合う道化芝居
{netabare}他のスタッフの事情は映さないのね、映す価値も無いってことかな?
仲間内で傷を舐め合ってるだけにしか見えなかったが、今後そっち方向へ話は進んでくのだろうか。
作家先生エライんだぞ苦労してるんだぞって話はもういいって、お前だけじゃねーってばよ。{/netabare}

9話までの感想
{netabare}8話は7話に引き続きの舐め合い回。
ラブコメ作品の何番煎じだか、何倍にも薄めた程度の内容で正直どうでもいい。
ってか取材と称して遊園地へ行ったハズなのに(ついでに客も多かったらしいのに)アトラクションの感想に聞き耳立てたりしないんだ。

それより問題は9話。
コミカライズ担当(って書くと編集の人指してるみたいになっちゃうな。以降マンガ家で)と意見の対立。
やっとだ…やっと本題キターーーー!!!!
…。
と、思ったら…え、ウソ、こんな内容?
下着派か全裸派かの衝突なワケだけど…。
えっと、その、1話冒頭、繰り返しになるけどあれで示された内容は「本当に書きたい作品は他にあるけどそれはボツ喰らって、(生活のため)仕方なく別の物を書いてるんだ」じゃないのん?
要はマンガ家の我侭に「うるせえ、こっちだって書きたいこと書けずにそれでも(小説家として)やってきてるんだ」と言える立場だと思うんだが…。
これは↑で書いた「新人に説教するような内容だったらヤダなぁ」ってのとは別定義で、自分が身をもって体験してること(抑圧されてること)の吐露であり、主人公の魂の叫びにも成り得たハズで…。

な ぜ や ら ん ?

あっっれー?
1話の解釈、ワタクシ誤ってたってことですかい?
ウケを狙って奇異な描写を入れたってだけ?どこのユーチューバーだ?
自分で書いた内容の価値を自分で下げるとは、マジでか。
しかも下着か全裸かの拘りに読者は無視、まぁそれはいい、ストーリーには影響のない自由に趣向を込められる箇所なんでしょう、と納得できる。
けど、「どっちが良い」と聞かれた編集、その態度!?
バイトかな?
ってかこれでマンガがコケたら「いやぁ、やっぱりあのシーンは全裸にした方が良かったですねぇ」って言うぞ、後から。
でもってイラストレーターが首突っ込んできてマンガ対決。
立場的にどう見てもセツナは原稿料高そうなんだけどそこら辺気にしないんだ、やっぱ編集はバイトか。
「あんたから描かせてくれって言ったんじゃないですか」として新人料で済ます気だった?
ってかこれでマンガがコケたら「いやぁ、やっぱりコミカライズはセツナ先生にした方が良かったですねぇ」って言うぞ、後から。
うん?そういう展開になるのかい?それなら文句ないけど…。
ってか何故アナログ?
でもってマンガ家の穿いてたパンツ、白じゃない。
リボン用と自分が穿く用は別ってことか…それじゃあ変態度が薄い気が…。

いやぁ~、1話冒頭を好意的に解釈してたワケだけど、顔面ヘッドスライディング状態。
まだ残り話数あるのでそれで挽回は可能だけど…妹狂いになった理由明かしや弟が妹だった!ってネタも控えてるんだよね?大丈夫か?
これまでの自分の書いた各話の感想、つまりはリアルタイムでの感想を見返してみたら予言者みたいになってて吹いた。
原作読んでないですよ、ネタバレも見てないよ、本当デス。{/netabare}

総評{netabare}
この作品を見てモヤモヤっとした部分。
言いたいことはあるけど自分もそこまで詳しくなくて具体的に書き表せず、また、書いたら書いたでワナビでもないのに「ワナビの嫉妬か?」と思われそうで言いよどんでたことなんだけど…。
最近になっていい感じの具体例が世に出、またそれをいい感じにまとめてくれた動画を見つけたので、コレ幸いにとそれに頼ってみる(うp主自体の是非は無視で)。

元ラノベ作家の話が悲惨すぎる
https://www.youtube.com/watch?v=dW2dItT3g3o

この動画以前から、具体的には知らんでもボヤっと「業界はこんなモンだろ」とは思ってて、その前提でこの作品を見てた自分としては──
主人公は「有頂天時代の真っ只中」に居るだけで、何も研鑽をしてなく「おい、このままじゃ落ちぶれるぞ」という不安というか苛立つシーンばかりが目立った。
酒とゲームで日々を怠惰に過ごし、それでいて締め切り直前になると慌てて缶詰して「オレは苦労してるんだ」アピール。
取材と称して取材はしないし、自分の書きたいものを書けるという立場がどれだけ恵まれてるか感謝する素振りもない。

シリアスぶってるだけでキレイな面しか見せなくて白々しい

視聴者にラノベ業界を舞台とした絵空事の夢世界を見せたい(それが悪いという意味ではない)のか、リアルな暗部を見せたいのか、どっちなんだかハッキリさせてくれよと。
絵空事という意味では“いもいも”の方が明瞭で、そっちのが好感が持てる。
一方こっちは全然踏み込みが甘いのにリアル“風”を装って絵空事の夢世界を描いてて、なんというかこう…モヤっと来る。
更に不思議なのは、作者が新人ではなくそれなりに経験のある人ってことで…知ってないハズないでしょーw
これは“コミックガールズ”でも感じたんだけど、知ってるハズの立場の人が、そこから目を逸らしてよくまぁこんなものが書けるモンだと、ある意味感心はする。

それはそうと、酒とゲームがストーリーに落とし込み切れてなくて「作者がそれにハマってて、作品に出せば経費で落とせる」が狙いにしか感じなかったのはどうなんだろう。
「お前に酒の薀蓄を語ってもらうために印税払いたくない」と思わせてしまって逆効果のような?

あくまで原作未読での評価なのでこの後本格的にシリアスになるのかも知れないが、アニメでやった範囲だけで言えばこんな感じ。{/netabare}

投稿 : 2024/07/06
♥ : 12
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

妹さえいればいい。でさえなければいい(笑)

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
タイトルだけなら、「妹がいっぱい出てくるバカハーレムもの」ですが、そんなことないです。普通のハーレムラブコメです(笑) だから、タイトルだけで敬遠している人には観てほしいっすね。ちゃんと面白い作品ですよ♪

ひとつ言えることは、多くの方が述べているように、最初の15秒だけ我慢ですw

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
本作の主題は、「足りないものがあるから頑張れる」でしょうか? 「足りないもの」は、「劣等感」や「不満」に置き換えても良いけれど。

伊月は「主人公としての人生」(妹w)、カニ公は「伊月の愛」、京は「夢中になれるもの」、春斗は「才能」。

皆が、「今より一歩でも前へ」進もうとあがく姿は、素直に応援したくなるものでした。

本作はラブコメですが、ラブコメで一番大きな要素はキャラの良さだと思います。

その点では及第点以上のアニメかと。

まず、メインヒロインの可児那由多は、これまでにないヒロインだったと思います。超積極的でエロい裸族で下ネタ大好きで、でも純情で。しかも、ちゃんと主人公の羽島伊月に惚れる過程も描かれていて。あまりメインヒロインにはハマらない私も、本作では一番好きなキャラでした(屈折しているキャラ好きなんですw)。

主人公の羽島伊月も、わりとちゃんと働いてるし、なかなか真っ直ぐで味のある男でした。カニ公のことが本当は大好きでも、自身のプライドの為には付き合えないというのは悪くなかったし、11話で可児公への素直な気持ちを吐露するシーンは、なんか嬉しくなりました。

この大天才&天才カップル、幸せになってほしいです♪

白川京と不破春斗も、自分に出来る何かを探している秀才カップル。幸せになってほしいです♪

羽島千尋は、これから深まるキャラですね。

途中に何度か挟み込まれたゲームは、まあ可もなく不可もなく。TRPGは知っていただけに、少し楽しかったかな。

作中、かなりの頻度で全裸及びヒドイ下ネタが出てきます。エロいというより馬鹿馬鹿しいので、(あからさまなエロは苦手ですが)あまり気にならず観られました。

あとはまあ、最近多い、ラノベ作家やアニメーターを主人公にしたメタ的な要素は、あまり好きではありませんでした。(それが本当のリアルかは別にして)「BAKUMAN」「SHIROBAKO」くらい、リアル「風」にして業務の内容を教えつつも高いドラマ性をもたせられれば別ですが、、、この2作品は別格ですしね。ただ、上記の二作品との決定的な違いは、「子供達がその職業に憧れるのか」ということで、「BAKUMAN」「SHIROBAKO」を観て、漫画家や制作会社で働きたいと思う子はいても、本作を観てラノベ作家になりたいと思う子供はほぼいないでしょうね(まあ、あんなハーレムがもれなく付いてくるなら別ですがw)。

ラノベ作家(あるいは小説家)が「楽しい」「好きだ」とはキャラに言わせているものの、それが「具体的にどんなことか」は示されていないし、少なくとも私には伝わりませんでした。そもそも、原作者は、「ラノベ作家の良さ(魅力)」って、何だと思っているのかな? 一度聞いてみたいです。

とりあえず、ちょっと女々しいメタ的な要素は、カニ公が可愛かったから目をつぶりますが(笑) 2期に期待ですね♪

、、、でも、ラノベ作家(少なくとも原作者)はこんなウハウハな生活をしているのだろうか、と、勘違いされるんじゃないかな(笑)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
妹ラブは苦手だが、純愛ではなく、ギャグテイストなら、なんとか、、、。とりあえず、少し様子見。しっかし、ラノベ作家が主人公って、最近多いね。海亀ゲームはそこそこ。可児 那由多はなかなかのヒロイン力。作家としての力量差で手を出せない主人公もなかなか。

2話目
京のヒロイン力もなかなか。自分との時間も無駄と言われた気がしたわけですね。那由多と京の関係性も良いね♪ にゃんぱす(笑) ほしいモノと、もってるモノ、ね。

3話目
なんかそのエピソードは、最近観たぞ(苦笑) 新キャラ。ラノベ作家がこんな生活してるって思われるぞw

4話目


5話目
混浴露天風呂、ギャグがかなり強目(笑) ちゃんと仕事してたなw

6話目
シロバコ(笑) 実況、「エクスカリバーとかF○t○のパクリかよ」とか、そんなにリアルにしなくて良いから(苦笑) 作画キツいのはどうしようもないよね、原作者的に。原作者の嘆きは、正直、レクリエイターズよりも、シロバコよりも、ガーリッシュナンバーよりも、響いたな。

7話目
「負けたな、ガハハハハ」とかw TRPGか、ロードスだな~。TRPGやったことあるんだよね、学生時代。ロードス好きで集まってw レールガン(笑) だからなぜ、エロゲに展開させるんだよ(笑) ク○アニメをあまり批判するな、ということかな(苦笑)

8話目
不破と京、お似合いだけどな。普通であることにコンプレックスを抱いているあたり、お揃いだし。ダブルヒロインで両者共に魅力ある時の解決法としては、魅力ある男キャラもう一人ね。

9話目
下着の有無にそんなに熱くなられてもw 久々に変態仮面見たなw いや、パンツリボンの作り方なんていらんよw どんなラブシーンやねんw エロというより、ギャグw なぜこのアホみたいな回で特殊EDをw

10話目
8割くらいの動物は、実物よりもぬいぐるみの方が可愛いw

11話目
京まで、全裸が基本になってる(汗) バクマンでも言ってたけど、自分で書ければ編集になってないんだよね。京への可児公へのセクハラ(笑) 伊月が結婚したいまで言うのは嬉しかったな、なんか。主人公になりたいか。ラストの照れてる可児公がかわいかったな。

12話目
伊月の過去編。まあ、キャラを深めるためには良いし、主人公になりたいという、ある種病的なまでの伊月の執着の原点が見られて良かったかな。後半はまあ、メタ的なネタで自虐ですか。うーむ。ラスト、妹がいないから頑張れるってのは、タイトル回収として良かったと思う。
{/netabare}

投稿 : 2024/07/06
♥ : 39

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

金狼の末裔

何事が起きたのか、と絶句する出だしの数分間だが、それを過ぎるとごく常識的(?)なライトノベル作家の日常を舞台としたコメディが展開される。

仕事上の行き詰まりや家族間のすれ違いのドラマは、「作家」の生活というよりも、自活している「若い勤労青年」の生活として、あの突飛な出だしに反して、奇妙に地に足の着いた印象がある。

生活感を匂わせつつも泥臭くはない、かつてのトレンディ・ドラマ(死語か?)のような感触があるのが本当に不思議だ。



映像作品の脚本について、よく「ハリウッド流」と称する脚本術が紹介されることがある。

本当かどうかは知らないのだが、ハリウッド映画の脚本作成に当たっては、作中人物の造形に際して、着ている服や乗っている車、食品をどのチェーン店で購入しているかまで、全ての使用ブランドを設定するのだという。

「現実」に生きている人間を想定するなら、当然「どこにもない」製品を使用しているはずはないのであり、こうした設定をすることで、たとえ作劇上での明示がされないにせよ、キャラクターに立体感を生み出すと考えられているらしい。

確かに、例えば中年男の登場人物がいるとして、バーボンが好きかスコッチが好きかによって、異なった人物像を思い浮かべる、というのはありそうなことに思える。
スコッチにしても、ブレンドかシングルモルトかと、細分化することも可能だろう。

おそらく源流はイアン・フレミングの『007シリーズ』で主人公の使用するブランドが列記されていたことにあるのだろうが、この手法は、第一には荒唐無稽な物語を現実的に見せかけるために開発されたと看做されている。

フィクションを現実に着地させる新手法と称賛されたこの手法は、しかし、日本においてはフレミングに先行して、大藪春彦が独自に開発し、開拓していた。
(純文学でも、大藪に続いて大江健三郎や倉橋由美子が取り入れたが、大藪ほど効果的に使いこなせなかったようだ)


本作においても、随所にビールやウィスキーの銘柄の説明がインサートされるのが、表現上の特徴になっている。

紹介される銘柄をみると、さして高価なものではないものの「ほう、これを選んだか」とニヤリとしたりもするのだが、たとえブランド名に馴染みがなくとも「特定のブランドを選んでいる」ということを視聴者に伝える効果は発揮しているだろう。

大藪春彦が、「ライフル」ではなく「30-06口径のウィンチェスターM70」と書き、「腕時計」の代わりに「ローレックスのデイトジャスト」と記述するときに読者が受け取っていた効果を、本作の視聴者もまた受け取っているはずだ。

勤労青年の日常が、妙に地に足の着いたような印象は、こうした演出が成功している現れだろう。

大藪の時代とは異なり、現代においてブランドの列記がキャラクター像を強化するのは、それによってキャラがどのような生活文化を持っているかを表現するからだ、と言えるかもしれない。

銘柄ものの酒は、飲み会にちょっと凝ったビールをもって集まる登場人物たちが、特別な日には「ちょっと良い、変わった味わいの酒を選択する」生活文化の持ち主であり、酒と言えば「居酒屋チェーンの呑み放題チューハイしか思いつかない」生活文化を持ってはいないことを表現するのだ。

主人公が気軽に遠方へ旅行することに加え、こうした中流的な生活文化を持っていることは、主人公が収入の裏付けのある「中流」生活者であることまで表現する。
多くのアニメに登場する、ファミレスとコンビニとファストフードしか利用しないキャラ(それは、飲み会にチューハイ呑み放題か発泡酒を選ぶキャラでもあるだろう)とはクッキリと差別化されたものとして、本作における「勤労青年」の生活を浮かび上がらせる。

こうした視聴が決して深読みとばかり言えないのは、こうした主人公が住んでいるのが、異能力アニメにありがちな家賃の見当もつかないデザイナーズマンションのだだっ広い部屋ではなく、自営勤労青年の住居兼仕事場として常識的なものである設定が、「中流」と矛盾していない事にも現れている。

セリフでは説明されない、このような「背景」を表現するのが広く「演出」というものであり、その演出の確かさが、日常パートのもっともらしさを支える。

こんな七面倒なことを言葉で考えなくとも、なんとなく作中の日常が落ち着いたものに感じ取れはするだろう。
複数の女子がさや当てするラブコメのドタバタ展開でも、騒がしいのに「下品」な印象が無いのは、飲み放題を選ぶ下流的生活感ではなく、ブランド品をチョイスする中流的生活感覚の演出効果に思える。


こうした演出によって生まれる、「若い勤労青年」の地に足の着いたような日常があるから、作品空間に肌色多めのお色気シーンが頻出しても、「反射的な」拒絶感が生じにくい。
普通の「若い勤労青年」の日常世界であれば、裸の女の子が時に入り込んでも、不思議でも不自然でもないからだ。(むしろ、全く存在しないとしたら、不在の理由こそが設定される必要があるだろう)

勤労青年の日常として自然な雰囲気が維持されている限り、裸の女の子が登場しても、直観的に不自然な印象が湧き上がるのを防ぎ、脊髄反射的な裸への拒絶感にあまり妨げられずに、その先の物語へと向き合うことになる。
物語に触れた上で反発を感じるかどうかは、その次の段階の話だろう。

語られる物語に先行して、まず物語の置かれる「場」の雰囲気の印象を作り上げる「演出」の役割が、本作では十分に果たされているようだ。


ストーリーには特に入り込める要素は無かったが、久しぶりに、演出の技術とその効果を観ることが出来た気がする。

投稿 : 2024/07/06
♥ : 6

70.4 2 イラストレーターでコンプレックスなアニメランキング2位
海月姫-くらげひめ-(TVアニメ動画)

2010年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (698)
3312人が棚に入れました
クラゲオタクの月海が住むのは風呂・トイレ共同、男子禁制のアパート・天水館(あまみずかん)。住人は皆腐女子でニート、オシャレ人間は天敵、そんな彼女たちは自分たちを「尼〜ず」と呼ぶ。ある日、死にそうなクラゲを救ってくれた美人でオシャレな女の子と知り合った月海。だがその子は、父親の職業を継ぎたくないがために女装する正真正銘の男だった。

みかみ(みみかき) さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

わらうことで、すくわれる物語(追記:整形美人のはなし)

 唯一のオール5。

 原作者である、東村アキコという人は不思議な立ち位置にいる漫画家だと思う。
 基本は、アイデンティティは一義的にはギャグ漫画家なのだろう。
 ギャグはもちろんじゅうぶん面白い。だが、個人的には、ギャグはそこまで笑い死にするほどまでには面白いということはない。
 面白さよりも、感動するのは、東村のギャグがそのほとんどが一歩見方をかえれば、そのギャグがあまりに切実な問題ばかりを扱っているということだ。

■他人ではなく、自分でわらいとばすということの効用

 東村のギャグのネタは、つねにあやうい。

 「コミュ障」
 「無収入」
 「ブス」etc...

 これらはいずれも「誰」が言うか、によってギャグどころか差別発言ぎりぎりになってしまうような、そういう危ういところをついている。
 東村アキコのギャグはいつもそうだ。これは、西原理恵子なんかだともっと典型的だとは思うけれども、言い方を間違えればひどい。しかし、その言い方を間違えればひどいものを、「自分で笑い飛ばす」。これは、他人にわらわれてはいけない、自分で笑い飛ばす。そのことが重要なのだ。
 いずれも、他人からわらわれてしまえば、それは、ただの攻撃で、見せしめで、みじめさがましていくだけだ。それを、あらかじめわらいのネタにしてしまうことで、すくわれる。そういう作用を、東村アキコのギャグはもっているように思う。

 たとえば、ある精神科医が自分がかつてパニック障害に陥ったときの療法として、
 「パニック障害におちいって、呼吸困難におちいっている自分を、自分で茶化すことで、呼吸をおちつかせることができるようになった」
 と言っているのを聞いたことがある。たとえば呼吸困難におちいってきたら

 「おおっと、理恵選手(仮名)、
  呼吸が困難になってきました。
  いやー、きましたねー、本日もやってまいりました。
  今日の呼吸は、なかなかいい感じですねぇ。
  斎藤解説委員、どうでしょうか。
  /はい。そうですねぇ
  …今日の呼吸困難も、いい調子ですねぇ…。
  期待できますよぉ、今日は。」

 みたいなバカなことをやっているうちに、気持ちが落ち着いてきて治ったんだそうな。

 ギャグは、自らのどうしようもない行き詰った立場を、一歩外からみつめなおすことができる。そとから自分をみなおすための、もっとも効率的な手段でもある。そとから見つめなおす視点を獲得することで、ラクになれる。力を抜くことが、できる。
 そういうタイプのギャグが、東村アキコの作品にはあふれている。だから、東村アキコのネタは、「ギャグ」という皮を脱いでしまえば、とたんにひどく深刻で、息がつまるような、切実さをもっている。東村はそれを効率的にギャグとしてみせる。それゆえに、東村のギャグはおかしく、そしてまた、強烈だ。


(※もちろん、ギャグが<常に>精神療法として機能する、というわけではないだろうけれど。) 

■ギャグと批評性

 また、こういった一定の批評性をもったギャグというのは、基本的にはその批評性とかみたいなものがほのみえてしまうと、えらくダサく見えたりするもので、「爆笑問題」のギャグは、いつも、そういうあざとさを発揮してしまったりする。(あるいは、昔のビートたけしとかも、そうだと思う)
 だが、東村のギャグは、そういうところがほとんど存在しない※1。それは、何よりも、本人にとって、あるいは本人のごく身近な人間の問題を描きだしているようにしかみえないからだろう。少なくとも、他人を攻撃するためのギャグではない。
 作中では、直接に「痛い」キャラクター本人が自虐として語るのではなく、さまざまな形でかたられるが、いずれも攻撃性がほとんどない。

 なお、原作のあとがき漫画では、東村自身が10代のころにどれほどオタク女子にありがちな痛いことを沢山やっていたか、ということがライトに語られている。まあ、本人が過去そういう人間であったということは、なるほどそうだろう。

 くわえて、少女マンガとしてじゅうぶん機能するだけの人物の心情描写の細やかさ※2を兼ねており、わたしは、もう東村さんに関しては、本当に文句がない。







■アニメとして

 東村さんの話ばかりを描いてしまったけれど、アニメはアニメで、すばらしい脚本のリライトや、キャラクタの描写力をもっており、絶賛するしかないクオリティ。個人的には、ばんばさんと、くららが超かわいくてツボ。

 OPのチャットモンチーの『ここだけの話』も、EDのサンボマスターの曲もすばらしい。とくに、OPのチャットモンチーの曲はここ数年にきいた、すべての日本人の楽曲のなかでもっともよかった。チャットモンチーらしい、わがままで身勝手な欲望をあえてかわいく歌うことで、びっくりもするし、チャーミングでもあるすばらしい楽曲になっている。映像とあわせて本当によかった。

 そういうわけで、なんだか長々と書いてしまったけれども、
 要するに、昨年は
 「ここのところいいコンテンツって、なんかある?」と聞かれたら、
 「海月姫!海月姫!海月姫!ちょう良かった!すごく面白かった!あれこそが感動的!」
 と、ドヤ顔で答える日々を送っていたわけです。


■追記1:
・東村アキコは、岡田あーみん(『お父さんは心配性』『こいつら100%伝説』)が大好きだという。わたしも岡田あーみんは大好きで、吉田戦車、うすた京介と並ぶ90年代の三大不条理ギャグ漫画家だと思っている。少女マンガ、というプラットフォームのなかで、あれだけ不条理系にごりごりと突き進むことができていた、岡田あーみんの遺伝子を東村アキコが引き継いでいるのか、と思うと泣ける。

・あと、本編だと東村さんのギャグは自虐性がたかいけれども、たまに、周囲への敵意そのものがむき出しになってるような、場合とかもあるのは、ある(笑)。まあ、それは西原さんもそうなんだけど。なので、上記の感想は若干ほめすぎているといえば、ほめすぎてるんだけれども、大筋の言いたいこと、としてはそういうことで。『ママはテンパリスト』とか、けっこうひどいな、とも思うw

■追記2:美容整形をめぐって

 ちなみに、この「眼差される対象としてのわたし」をめぐる、コンプレックスを扱った作品としては、サブカル文脈で有名なものとしては、90年代の岡崎京子の『ヘルタースケルター』という作品がある。
 わたしは、岡崎京子は好きではない。…が、教養として岡崎京子を知っている、ということには意味があると思っているので、興味のある人は読んでもらえるといいと思うけれども、話の内容としてはWikipediaの要約によれば下記のとおり

「美しく幸せになりたいという欲望を持ったモデル・りりこは、全身を作り変えるほど危険な美容整形手術の結果、その美貌でトップアイドルになっていくが、手術の激甚な後遺症に心身ともに蝕まれていた。」

 という内容。
 基本的には、まあ、「他人から見られる私の美しさ」というリソースをゲットするために、なりふりかまわず、人生のほかの大事なものをごっそりと捨ててしまう、というそれだけの話なんだけれども、しかし、少なくない数の「女性」にとっては、美貌という資源がそれほどに、めんどくさいものとして描写可能だ、という話になっている、ということだ。

 これと比べると、海月姫の「美」をめぐる描写はかなり楽天的な部類に入るだろう。
「キレイはつくれるんだよ★」
 という言い方がカバーする範囲で、基本的には話は推移する。つきみちゃんは、見てくれをちょっと変えるだけで美人っつーね。
 いや、まあ、実際に、それまで全く手を入れてないようなタイプの人の場合、
・姿勢
・ファション
・髪型
・化粧
 あたりをゴリゴリといじっていくと、相当にいじれる、とは思うけど、…それにしても、海月姫的な「美」の世界観はけっこう希望に満ちている。整形しなくても、イケる世界だからねぇ。


 …
 で、何を言いたいのかというと、
 整形したり、何かを強力に犠牲にしてまで、「美」を手に入れようという人にとっては、「キレイは作れるんだよ★」的な世界はうざい、と思われているはずで、ここに対する、何かが入ってくるといいなー、と思っています。海月姫じゃなくて、東村さんの別の作品でもいいけど。
 整形美人とかが登場して、

 非モテ(つきみちゃん) vs 整形の怨念女

 みたいな対決とかね。
 そんでもって「キレイはつくれるんだよ★うふ」な楽観でないことを示せると、もうサイコー。

*整形に対する価値観

 ちなみに、
 整形に対する価値感とか、韓国とかだといま、全く変わっていて、ヘルタースケルター的な描写が成立する、ということ自体が、いまやバカみたいにしか見えないと思う。
 (韓国にいれば)

 「整形=性格ブス」の構図とかって、なんなのそれ?w みたいな感じで笑い飛ばしてやりたいよね。前時代もいーとこだと思うんだよね。
 整形美人が性格的にストレスを抱える理由というのは、整形自体が問題というよりは、どちらかというと「整形行為」に対する社会的なレイベリング※3の問題でしょう。
 その意味で整形美人っていうのは
1.「美人であれ」という世間的要求と、
2.「むりに美を買うなんて浅ましい」という世間的要求の
 どちらにも、二重にコンプレックスを抱えやすい人になりがちなわけで、そうなっちゃうと整形美人ってのは、けっこうガチでかわいそう。笑い飛ばせる人だと、いいと思うけど。椎名林檎とかだと、なんとも思わずにやっちゃってそうだけど。
 で、岡崎さんの話は、教養人が、そのレイベリング問題を取り扱っているようにも読めるけど、レイベリングを強化しているようにも見えて、困りものなんだよね。岡崎さんのような人がそういうもんしか描けてないってのは、ほんとにねー。まったくもー、どうなの。

 整形美人、に対して、そういうわけで今後、東村さんがなんか描いてくれればなー、というのがわたしの、ごく勝手な希望で、東村さんならやってくれる、はずだ、と勝手に期待してる。※4


※1 これは、昔の古谷実のギャグマンガ(『グリーンヒル』『ぼくと一緒』)や、西原理恵子のような人のギャグにおいては。こういうことは成立していた。

※2 心情描写のセンスの良さは、現在連載中の別の漫画『主に泣いています』のほうがよく出ているかもしれない。

※3 レイベリング、というは、たとえば「おまえは不良だ!」と学校で先生からレッテルを貼られることで、それまで、さほど不良でもなかった子が、「っち、おれはどうせ不良だよ!!!」とかやさぐれて、本当に不良になっちゃうってこと。「レイベリング」でぐぐってくれれば、社会心理学系の解説のページが出てくるはず。

※4岡崎京子は、わたしにとっては「一世代前の教養」の象徴的存在でもあるので、東村さんに、そこはなんか一発やってほしいな、と思っている。
 むかし、三島由紀夫を読んでいたら、三島が太宰のことを「あんな、田舎者」とかっていうような書き方をしていて「なんのこっちゃい」と思っていたけれども、要するにあれって、「過剰な露悪趣味にたいするナルシズム」みたいなことだよね。
 そういうものが、80年代ニューアカの残滓みたいなところと結びついちゃったのが岡崎さんで、太宰の頃には、そういう教養主義って、一高文化とか東大みたいな限られたところにしかないから、太宰が教養主義にアクセスする、ということはなかったわけだ。そこが、なんか、戦後のある時期以後は、結びついちゃってるのが、わたしは嫌なんだよなー。
 太宰はコンプレックスばりばりの無教養DQNなんだけど、村上龍とか、岡崎さんは、勉強するんだよね。あの人達は。
 これって、19世紀初頭のヨーロッパの成金が、美術を介して文化資本に手早くアクセスしようとしたときの話にすごく似てる気がする。一発目は、ただの俗悪な趣味の権威化しかできなかったんだよね。あのとき。50年ぐらいたって、ようやくそれが新しい趣味の世界を構築してきたけど。
 なお、もちろん、岡崎さんが交通事故で描けなくなったこと自体は惜しい。岡崎さんには、ずっと、わたしにとってのヒールであって欲しかった。

投稿 : 2024/07/06
♥ : 36

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

姫は海に漂い波にのまれる

序盤 ああ

中盤 ええと

終盤 これで終わり?

この話は持てないオタク女性、通称「尼ーズ」のクラゲオタクについての話
ジャンルはオタク・恋愛・コメディ・荘・女装
基本的に恋愛です。もちろんコメディ要素も少ないわけではないですが、恋愛要素のほうが多いイメージです。クラゲ姫という名前ですが(私だけかもしれませんが)、クラゲに対する知識はあまり入ってこなかったような気がします。「クラゲオタク」という要素だけが重要なだけであって「クラゲ」要素はコメディ要素でしか使われてません。そのクラゲも大雑把な特徴と名前と形だけ説明されるので生物学的な知識としてはあまり期待できないかなって感じです。まぁクラゲというものを大雑把に理解するだけなら十分かもしれませんが。
内容です。序盤の展開であまり好まない人がデてくるかもしれませんが、この先「とってもおもしろくなる!」とは言えないので別に断念しても良かったかな、という感じです。中盤も同じ調子でずっと退屈な展開が続きますが、かといって視聴をやめたいというわけでもない状態です。終盤は終わる気がしないまま展開が続きます。ラストシーンは「え?終わり?」といった感想しかありません。すべてが完結しないまま、かといって何かが始まっていたかと言われればそうでもない、という感じです。全体的に内容が薄いかな、といった感じです。
まぁ良いところといったら「日常」を描いているといったところでしょうか。日常ではそんなに大きな展開がころころとでてくるとは限りませんので、この小さすぎる展開はある意味現実を移してるかもしれません。ヒロイン(?)の過程環境が普通ではないので現実とはかけ離れているのですが。矛盾の極みですね。言ってみたかっただけです。
私はこういう主人公はあまりすきじゃないのですが、こういう奥手な人が好きという人もいるのですかね。ちょっとわかりませんが。基本的に逃げてばっかです。良くない場面もなれない場面も自分のしらないことからも。何も知ろうとせず何も変わろうとせず何も産まないただただ生きてる虚しい人生のように私は感じました。私は逃げてない、なんていうつもりはまったくないのですがさすがにこれは逃げ過ぎです。自分の人生は自分で決めるものです。100%自分とまでは行かないにしろ自分に意志があるというのは本人しか証明しようがありません。この主人公がクラゲという生物がすきなのは「自由にゆらゆらと海を漂っているから」と言っていました。それは彼女が自分だけは特別(姫)だ、とどこかで思い、自ら行動せず「波」にのまれて、「海を漂う」という表現であたかも自ら行動してるように見せてる、ということなのではないでしょうか。傲慢にもほどがあります。まぁ人間という生命体は一社会に溶け込まなければならない、という常識的な価値観が間違っていない、とは断言できるはずもないので、もしかしたら正しいかもしれませんが。とりあえず私はこの主人公は嫌いです。

監督・音響監督は大森貴弘さん。デュラララや夏目友人帳の監督をされた方ですね。
シリーズ構成は花田十輝さんローゼンメイデンのシリーズ構成をされた方ですね。
キャラデザは羽山賢二さん。マジンカイザーなどのキャラデザをされた方ですね
劇伴は吉森信さん。バッカーノやデュラララの劇伴をされた方ですね。
アニメ制作はブレインズ・ベースさん。デュラララやバッカーノを制作したところですね

作画は普通でした。
opは橋本絵莉子さん作詞曲、チャットモンチーさん編曲歌唱の「ここだけの話」
edは山口隆さん作詞曲、サンボマスターさん編曲歌唱の「きみのキレイに気づいておくれ」
声優さんは良かったです。

総合評価 見なくて良い

投稿 : 2024/07/06
♥ : 7

ローズ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

自分の持っているケータイはガラケー。この作品の鍵となるのはクラゲ……

クラゲオタクの倉下月海(くらした つきみ)の住んでいるアパート・天水館の住民は全て独自のオタク趣味を持つ集まりで、自分たちの事を”尼~ず”と称して外部のお洒落な女性や男性を拒んでいた。
月海がペットショップで死にかけているクラゲを助けようと悪戦苦闘しているところにお洒落な女性が現れて救い出すことに成功する。
ただ、その女性だと思っていた人物が女装した男・鯉淵蔵之介(こいぶち くらのすけ)であった。
お洒落っ気の無い月海をメイクして変身させたり天水館が取り壊されるピンチなどを回避するための行動をしていくうちに、蔵之介の心情に変化が……


オタクと言えば男のイメージが強いですが、本作品では女性のオタクが多く登場します。

主人公でクラゲオタクの倉下月海
着物を常に着ていて日本人形を集めている千絵子(ちえこ)
三国志が大好きな まやや
鉄道が大好きで包装紙から中身(高級食品)を当てる事ができる ばんば
中高年(特に地位武男)が大好きな ジジ
部屋に籠ってBL漫画を描いている目白樹音(めじろ じゅおん)

他人の趣味・嗜好をどうこう言うつもりはありませんが、天水館の住民はオタク趣味の中でも かなり特殊な部類になると思います。

服装やメイクに無頓着な月海に対して、徹底的に女性らしい服装やメイクをして変身させています。
中身はそのままでも外見を綺麗に変えるだけで周囲の反応が変わります。
蔵之介の兄と対面した時も 普段の月海とメイクアップした月海では態度が変わります。
(変わるというか、全然気づかないのですが^^;)

自分も高校時代に髪の毛を伸ばしたりガイコツ柄のメタルTシャツを着ていたので、周りの人と距離がありました。
ちょっとしたキッカケがあり、髪型を普通にしただけで周囲の反応は変わりました。
その時に「外見だけで人を判断する人間は多い」という事を学びました。
中身は全然変わっていなかったのですが^^;

外見だけで人を判断することはできませんが、相手の第一印象は変わります。
一度しか会わない人に対して良い印象を持ってもらいたいのならば、ある程度、外見に気を遣わなければいけません。
オタク趣味を持っている事は隠さなくてもいいかもしれませんが、相手の第一印象を良くするためにも外見に無頓着のままでは いけないかもしれません。
受験・就職・仕事先など、清潔な印象を求められる場面も多いので、外向きの服装を持っていた方がいいでしょう。

仕事や勉強の場では個性は無くても大丈夫です。
自分のくつろげる場所などで、オタク趣味などの個性を全開させましょう。
場を考えろ、という事ですね^^

場慣れしていて男を手玉に取るような女性よりも月海のような純情な女性の方が人間としては良いかもしれません。
あまりにも純粋すぎて男性恐怖症のようになってしまうのも困ってしまいますが^^;
自分の事を理解してくれて受け入れてくれる相手が見つかるといいと思います。

本作品は微妙な所で終了します。
全11話では仕方が無いのでしょうが、終わり方が唐突だったのが残念です。

今までの自分自身のままでいいんだ と思いたい人や、これから少しづつ自分を変えていこうといった人には参考になる作品かもしれません。
現状の自分に満足している間は人間として成長しないので、どちらかと言うと自分を変えるキッカケにしたほうがいいように思います。

狭いジャンルに特化した人もいいのですが、視野を広げて守備範囲を広くしてみようと思える作品でした。

投稿 : 2024/07/06
♥ : 29
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