2019年度のアーサー王おすすめアニメランキング 2

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2019年度のアーサー王成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月06日の時点で一番の2019年度のアーサー王おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

75.9 1 2019年度のアーサー王アニメランキング1位
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 3.7 (409)
1714人が棚に入れました
「Fate/Zero」において、征服王イスカンダルとともに第四次聖杯戦争を駆け抜けた少年ウェイバー・ベルベット。時を経て少年はロード・エルメロイの名を受け継ぎ、「ロード・エルメロイII世」として、魔術師たちの総本山・時計塔で魔術と神秘に満ちた様々な事件に立ち向かう―――。

声優・キャラクター
浪川大輔、上田麗奈、小野大輔、水瀬いのり、松岡禎丞、山下誠一郎、小林裕介、平川大輔、伊藤静
ネタバレ

フリ-クス さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

『やが君』の加藤誠監督が贈る、一味違った珠玉のFateシリーズ

やたら正式タイトル名の長い本作ですが、
原作は『Fate/stay night』のスピンオフ小説で、
作家は三田誠さんです。

とりあえず、原作の用い方がすごいです。
既刊10巻のうち、真ん中の4、5巻だけをアニメ化して、
前半分はオリジナルエピソードで世界観つなごうよって……。

それを言い出す監督の加藤誠さんもスゴいですが、
  まあ、別にいいっすけど
などとOKしちゃう三田さんも相当なアレです。
それですねることもなく、
オリジナルのアイディア出しを手伝ったり、脚本監修したり。

こんな人ばっかりだったら、業界、どんなに平和なことか。

おかげさまで、とっても素敵な作品に仕上がりました。
実を言うと僕的には、
スピンオフも含めたFateシリーズで最も好きな一本であります。

{netabare}

ストーリー・世界軸は『Fate/Zero』の正統な後日譚にあたります。
ですから、そっちを見ていない方は、
まるごと置いてけぼりにされることになります。

ちなみに僕は、同作に対して
  ランスロットのパーサ-カ-とか、ないわ
とか思って斜めに流しながら観ていたので、
慌てて見直す羽目になりました。


さて、この作品のいいところは、
あくまでも僕にとっては、という話なのですが、
『バトルに重きをおいていない』
という点に尽きるんじゃないかと思います。

バトルシーンは数話に一度ぐらいで、尺も三、四分程度。
さすがに大詰めの12話はBパ-トまるごとバトルですが、
それでも、一話全部バトルがあたりまえっぽいFateシリーズでは、
かなり少なめの配分なんじゃないでしょうか。

そして、そのバトルシーンがしょぼいのかと言うと、
これがしびれるほどカッコいい。

グレイの基礎造形のよさも、もちろんあるのですが、
ufotableあたりと比べても全然、まるっきり遜色ありません。
やるじゃないかTROYCA。

サ-バント達にがんがんバトって欲しい方は物足りないかも知れませんが、
人物描写重視の僕にとってはちょうどいい配分です。
もっとも僕は、
ウルトラマンが変身と同時にスペシウム光線ぶっ放しても文句ない人なので
あまり参考にならないかも知れませんが。


バトルに重きがないということは、
タイトルどおり謎解きとかトリックが中心なんですか、
と問われると、その答えは全力で『NO』です。

そもそもこの作品の『謎』は、考えるだけムダにできています。
誰にも解けません。

だって「××は○○の象徴である」とか「△△と◇◇は照応してる」とか、
そんなキテレツな理屈、誰も知らんがな。

魔眼列車の真犯人なんか、
身バレしてから初登場するわけですから、
ノックスもへったくれもあったもんじゃないです。まじで、ムリ。

ハウダニットとかホワイダニットとか、
それっぽい用語並べて「考えればわかる」みたく見せかけてますが、
真に受けて必死で考えた人、ご愁傷様でしたとしか言えません。
中二病的な事件の真相なんか、
ウェーバ-に勝手にしゃべらせとけばいいんです。
{/netabare}

つまるところ本作の魅力というのは、
裏切り上等、人殺し上等、
陰謀・策謀うごめく魔術師の世界に生きる人々を描いた、
一種の群像劇として成立しているところにあります。

{netabare}
かつて参加した聖杯戦争の残像、
征服王イスカンダルの背中を追い続けている、
ピーターパン症候群まるだしの主人公、ウェーバ-。

ア-サ-王の似姿に改造された田舎の墓守、
長年自分のアイデンティティを確立できずに孤立していて、
ウェーバ-に拾われたヒロイン、グレイ。

物語は、この闘争心に欠けた二人を中心に展開していきます。


ちなみに取り巻く仲間は
二人とは対照的に、メンタル強いやつばっかです。

ウェーバ-の義妹にしてエルメロイ家の次期当主。
若くして魔術師界のどろどろした策謀と対等以上にわたりあう、
どS気質のライネス・エルメロイ。

ウェーバ-の生徒にして才能は一級品なれど、
お気楽気質のフラットとスヴィン。

同じくウェーバ-の生徒なれど実はスパイ。
ハイテンション娘にしてエルメロイの愛人志望を公言する、
したたかさ満開のイヴェット・レーマン。

同じくウェーバ-の生徒にしてお金持ちの宝石魔術師。
本作では探偵の助手役を務める、
見かけと真逆のプロレス技使い、ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト。

『Fate/Zero』ではモードレットのマスタ-として登場、
ひょうひょうとしたオヤジハ-ドボイルダ-、獅子劫界離。

自称、ウェーバ-の親友にして大富豪。
自分が面白いと思うことにはお金に糸目をつけない、
血を吐く調律師、メルヴィン・ウェインズ。

どいつもこいつも、
生き馬の目を抜くようなおどろおどろしい魔術師界にいながら、
一筋の悲愴感もうかがわせません。
それどころか、
それなりのものを背負わされているにも係わらず、
どこか人生を楽しんでいるかのようにさえ、見えます。


かたや、事件で登場したり魔眼列車に乗ったりしてる連中は、
いかにもな重さ・暗さであったり、
ハラにいちもつ抱えているような胡散臭さを漂わせたりしています。

この対比が実に素晴らしい。てか面白い。

周りがそれぞれの思惑で黒く策動しているぶん、
  ひたすらイスカンダルの背中を追いかけるウェーバ-
  そのウェーバ-の背中をひたすら追いかけるグレイ
という純朴さが、あぶり出しのように浮かび上がってきます。

両極端な陣営にウェーバ-とグレイが引っ張り回され、
時にはコミカルに、そして時にはシリアスに、
アクションも交えながら様々な事件と対峙していく様は、
もどかしくもあり、爽快でもあり、
観る者を飽きさせない第一級のエンターテインメントに仕上がっています。


ちなみに、加藤誠監督とトロイカと言えば、
あの『やがて君になる』で繊細な心情を描いた組み合わせです。
Fateシリーズというまるで畑違い、
缶みかんと津軽三味線ぐらい縁遠い本作品においても、
そのポテンシャルは遺憾なく発揮されています。

ほんの一瞬の表情、目の動き。
それで複雑な心情を語り尽くす高度な技法と表現力は、
この手の作品ではなかなか見ることができません。

最終話まるっとエピローグに費やすという大胆な構成も、
1ク-ルものではなかなか見られないものです。
ここに加藤誠監督の、
  自分が本当に描きたかったのは謎やバトルじゃないんだよ、
という強い意志をうかがい知ることができます。

最後の最後、夢の中でウェーバ-がイスカンダルと邂逅するシ-ンは、
思わずほろっとさせられるとともに、
この作品のテ-マが見事に凝縮されています。
{/netabare}

おすすめ度としては、文句なしのAランクです。

Fate的などつきあいを期待している方や
コナンくん的な謎解きを期待している方は肩すかしになりますが、
魔術師界という特殊な世界を、
そしてそこで懸命に生きる人々を描いた作品として、
ぐいぐい惹き込まれる魅力にあふれています。

とりわけ、グレイとライネスのキャラ立ちがすごい。
上田麗奈さんと水瀬いのりさん、
このお二人の芝居を追いかけるだけでも視聴の価値アリです。
出番はあまり多くありませんが、
イヴェット役、岡咲美保さんの振り切った芝居も聞き逃せません。


なお『Fate/Zero』を見ていないと、正直、きついです。
かなり好き嫌いの分かれる作品ですし、
2ク-ルもので話数も多く、
僕はどっちかというと苦手にしている部類なのですが、
未視聴の方、余力があれば……自己判断でどうぞ。


ちなみに、音楽は劇伴も含めてすべて梶浦由記さんです。
OPは珍しくインストゥルメンタルだったのですが、
僕は音楽の評価にはじめて、
そして全く迷うことなく『5』をつけました。

この作品の影のMVPは、間違いなく梶浦さんです。
僕ごときにはおそれ多すぎて、
ちょっとこれ以上の賛辞が思い浮かばないかも。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

ロード・エルメロイII世として「ウェイバー・ベルベット」の戦いが再び始まる…

この作品の原作は未読ですが、FateシリーズのTVアニメは視聴済です。
ウェイバー・ベルベットは、「Fate/Zero」において弱冠19歳の若者ながらライダーのマスターとして聖杯戦争に参戦した人物です。
ライダーとウェイバーの人として線の太さが真逆だったのが印象的ですが、まさか一つの物語の主人公として甦ってくるとは思ってもいませんでした。

レビューの前に、この作品を視聴して強く感じたことがあります。
「Fate」という作品と、緻密な作品を作り出すTROYCAさん…
なんてヤバいくらい相性が良いんでしょう。
特に「青色」の色彩の使い方については、右に出る者はいないんじゃないでしょうか。
一口に「青色」といっても、TROYCAさんの表現する青色は一つとして同じ色はありません。
青色に無限の広がりが感じられるのです。
北野武監督の青みがかった色彩「キタノブルー」にも遜色を感じない色使い…
個人的にはこの作品の制作がTROYCAさんで本当に良かったと思っています。
こんなにもクオリティの高い作品に仕上げてくれたのですから…

物語の舞台は、冬木市にて行われた第四次聖杯戦争から10年後のイギリス…
ウェイバーは見違えるほど成長していました。
10年前はライダーの背中を追うばかりで目立った活躍は無かったと記憶しています。
それが今では魔術協会の一角である時計塔の講師を務めているんです。

この10年間、ウェイバーが何を思い日々を積み重ねてきたんでしょう。
目を閉じると、まるで昨日の事のように鮮やかに蘇る聖杯戦争…
中でもライダーと過ごした時間はかけがえの無い思い出に昇華していることでしょう。
だからウェイバーの成長は必然だったのかもしれません。
ですが、彼は自分という人間をしっかりわきまえており、現状で満足することはありません。
それに今の彼の辞書にはきっと驕りや謙遜といった類の単語は無いのでしょう。
この点が彼の成長を一番に感じる部分でした。

そしてこの作品を語る上で欠かせないのが、ウェイバーの内弟子であること以外が神秘のヴェールで包まれていた上田麗奈さん演じるグレイです。
少し内向的な女の子なんでしょうか…
それでも、師匠がピンチに陥ると彼女の存在感が一変します。
グレイの一族に代々受け継がれてきた「アッド」という魔術礼装を駆使した一級品の戦闘技術を次々と繰り出すのです。

正直ウェイバーとグレイの関係が等価だとは思えません。
これが彼女のウェイバーに対する信頼の証なんでしょう…

そしてもう1つ…この名前を見てピンと来た方も多いのではないでしょうか。
「ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト」
「獅子劫界離」
ルヴィアは宝石魔術師としてプリヤで大活躍でしたし、獅子劫界離はFate/Apocryphaで赤のセイバーのマスターでしたからね。
別の作品でそのキャラの活躍が見られるのはFateシリーズの醍醐味だと思いますし、何よりこのシリーズの視聴を続けてきた人たちの特権なのではないでしょうか。

こうして物語は「魔眼蒐集列車」編に入り、ウェイバーの探偵としての推理を堪能することになるのですが、この推理は正直かなり難解でした。
次々と発生する事件そのものが予想の遥か斜め上なのですが、
動機、手口共に未知の領域から突然降ってくるのですから…
この推理がウェイバーの著しい成長が感じられた点なのかもしれません。

ウェイバー…確かに彼は成長しました。
唯一気になったのは彼がヘビースモーカーであることくらい…
周りの人への副流煙の影響は気にならないのでしょうか。
って、吸っている人には分からないんですよね。
私も昔吸っていた時はあまり気にしませんでしたから…

TROYCAさんの繊細で緻密な色使いが堪能できる作品です。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、梶浦由記さんの「starting the case : Rail Zeppelin」
エンディングテーマは、ASCAさんの「雲雀」
どちらも梶浦節全開の楽曲だったのではないでしょうか。
オープニングはアニメとの相性も相まってとにかく迫力満点です。
一気に物語に引き込む力を持ったオープニングだと思います。
エンディングは優しい旋律が印象的でした。

1クール全13話の物語でした。
物語としては綺麗過ぎるくらいに纏まっています。
個人的にはFateとTROYCAさんとのコンビをもう少し見ていたかったのが本音です。
私にとって微塵の不可も無い作品でした。
これからもこういう作品に巡り合えるのを期待しています。
作り手の皆さま、お疲れ様でした。
しっかり堪能させて頂きました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21

kooodain さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

Fate/Zeroの続き。ウェイバー・ベルベットの生き様。

Fate/Zeroにてウェイバーがライダーと共に経験した聖杯戦争。
そしてその背中を追い続け魔術師としていつか隣に立つ。
その道中の物語。なおそれが達成されるかは知らない。

Fate/Zeroを見た人からすると結構来るシーンがあったりしました。
最終話のラストなんかも少しほろっとしてしまいましたし。
やはりライダーが関連して出てくると感情が動いてしまいますね。
Fate/Zero自体も私はFate/Stay Nightの前日談とは思えませんでした。
どちらかと言うとライダーとウェイバーの物語の様に思えてしまいました。

そのウェイバーが師であったロード・エルメロイの座を引き継ぎ教鞭を振るう。
その在り方は術を秘匿する魔術師としては異端の魔術を解体、暴くという在り方。
その在り方によって様々な難事件を魔術知識によって推理し解決していく話です。

そう。
打って変わって「推理物」の様なものです。
戦闘シーンは多少ありますが私からすればおまけみたいな物と感じました。
面白さはやはりⅡ世が推理し解決していくその過程です。
題材が魔術なので正直理解できませんがその謎を暴き答えに至る様は爽快感が有りました。
是非他のシリーズもある様なのでそっちをアニメ化してほしいです。
あぁそう。他の人ので感じましたが肝心の魔眼列車編はあんまり……。
そういう意味で短編集みたいだった前半が非常に面白かったです。

Fate/Grand Orderとかどうでもいい。
あんなのただの過去の英雄のごった煮。
スーパーロボット大戦みたいなもんですわ。

あとグレイたんが可愛いです。
以上!!

▼物語の評価
フェイトゼロを見ているとより楽しむことが出来ます。
背景や聖杯戦争への思いと言う部分が補完されるので。
それ無しでも魔術推理物?として面白さはあると感じました。
まぁ魔術だからいくらでも繕いようがあるんですけどねぇ……w
個人的にはもっと一話完結位の感じでどんどん進んでほしかったです。
そして他のシリーズもやってくれれば良かったかなと。
まぁそうすると話の厚みが無くなっちゃうから微妙な気もしますが。
構成などは可もなく不可もなくと言った感じでしょうか。
まぁグレイたんが可愛いから全て良しです。
▼作画の評価
終始綺麗な絵でした。
ただカメラワークにこだわりがあまりなかったように思います。
まぁそれを加味しても余りある綺麗さの維持がされていましたが。
あとグレイたんが綺麗です。
▼声優の評価
モブに至るまで一切の手抜きなしの演技力がある声優が使われていたと思います。
まぁ資金はたくさんありそうですしね('-' )
FGOはごった煮みたいで嫌いだけど金蔓で資金源になってると思えば。
ここまで全キャラがハイクオリティなのも珍しいです。
あとグレイたんが可愛いです。
▼音楽の評価
OPは微妙でした。Fateと言えば梶浦由記みたいな感じで依頼したんでしょう。
インストという点では良かったですが正直もっと良い手があったと思います。
Fate関連は梶浦由記以外が作っちゃいけないんですか??
曲もBGMも全て同じ様に聞こえてきますよいい加減…。
EDはいい曲でした。多分梶浦由記でしょうがね。
ただアニメのED専用に書いた感じがあってすこし印象が異なりました。
梶浦感とでも言うんですかね?それが多少抜けている感じです。
あとEDのグレイたんが儚いです。
▼キャラの評価
ロード・エルメロイⅡ世ことウェイバー・ベルベット、
その弟子のグレイ、たまに出てくるライダー。
とてもいいですねぇ~。成長したウェイバーもいい味が出てました。
どのキャラも一癖も二癖もあるキャラでしたが演技力も相まって引き立っていました。
あとグレイたんが大好きです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 6

80.0 2 2019年度のアーサー王アニメランキング2位
ヴィンランド・サガ(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 3.9 (428)
1667人が棚に入れました
千年期の終わり頃、あらゆる地に現れ暴虐の限りを尽くした最強の民族、ヴァイキング。最強と謳われた戦士の息子トルフィンは、幼くして戦場を生き場所とし、幻の大陸"ヴィンランド"を目指す――激動の時代で巻き起こる、本当の戦士の物語(サガ)。

声優・キャラクター
石上静香、上村祐翔、松田健一郎、内田直哉、小野賢章、大塚明夫、安元洋貴
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ヴァイキングの壮大な物語

名作プラネテスと同じ原作者ということで、見ることにしました。原作未読です。
ヴァイキングの子トルフィンの復讐のお話。
途中、残虐なシーンがあったりして視聴をやめようかなと思ったこともありましたが、最終話まで見て、なかなかの良作だと思いました。
とにかく物語がとても丁寧に語られていて、良質な本を読んだ時のような昂揚感も感じます。
人物の描き方も豊かで、簡単な善悪では判断できない深みがありました。
その筆頭はアシェラットです。最初はただの残虐な悪党だと思っていましたが、彼の複雑な生い立ち、想いなどが語られ、やさしい面も覗かせます。
トルフィンが主人公ですが、もう一人の主人公はアシェラットだと思いました。
最終話のタイトルが「プロローグの終わり」なので、これからがトルフィンの物語の本番ということでしょうか。
終わり方も半端な感じでしたし、これ絶対2期ありますよね?
以下、各話のレビューです。
1-12話
{netabare}1話
ヴィンランドってアメリカ大陸のことなのかな?
バイキングってノルウェーってイメージだったけど、北に移住してきた人たちなんだね。
トルフィンって金髪の少年が主人公かな。
雪に埋もれていた奴隷の男を助けるトルフィンの父親のトールズ。
この奴隷の男が話のキーになるのかと思ったら、あっけなく死んじゃうし。。
トールズが優しい男だということを言いたかったのかな?
まだ話がどう転がっていくのかよく分からない感じです。
2話
海の向こうからデンマーク軍の小隊長フローキがやってきて、トールズにイングランド攻めに加わるように言われて、村人が殺されるのを恐れて戦争に加わることにするトールズ。
戦争の話に湧く村人たち。トルフィンも戦争に行きたいと気がはやる。
フローキが部下?にトールズを殺せと命令してたけど・・
次回、話が動き出すのかな?
3話
フローキに暗殺を依頼された男は凄腕みたい。
アイスランドから出航するトールズ一行。あんな巨大なオールで漕げるってどんだけバカ力なのよ。
船に密航していたトルフィン。このままイングランドに向かって大丈夫?足手まといになりそう。。
途中で立ち寄ったフェロー諸島で襲撃されるトールズたち。
武器を持った相手を素手で倒していくトールズ。強すぎでしょ(゜o゜)
でもこのまますんなり終わらないような感じが・・・
4話
素手だけで相手のほとんどを倒すトールズ。
敵の首領アシェラットと決闘することになってなんとか勝つんだけど・・
アシュラットを殺せないトールズ。そのうちにトルフィンが人質に取られてしまって形勢逆転。
トルフィンの命を助けるために自分の命を差し出すトールズ。
あんたが弱いのに前に出てるからこうなったんじゃん!ってトルフィンにムカついてしまった。。
それだけ私がトールズというキャラに魅力を感じてたからなんだろうけど。
これからトルフィンの復讐の物語が始まるのかな・・
5話
アシェラットたちに捕えられたトルフィン。
途中立ち寄った村で略奪と暴行を行うアシェラットたち。
トルフィンはアシェラットに決闘を申し込むけど、簡単に負けて・・
殺されずに放置されるトルフィンは必死に生きて、再びアシェラットに決闘を申し込むけど・・
・・アシェラットはなぜトルフィンを殺さないんだろう・・優しいから?略奪とかしてるし優しい男とも思えない。
たぶん、子供を殺すこと自体、戦士としての自分のプライドが許さないからなのかなって思った。
トルフィンはこんな環境で生き延びても、歪んだ成長をしそうで心配です。
今後、トルフィンを導いてくれる大人が現れるんだろうか・・現れて欲しいけど。。
6話
結局アシェラットたちと一緒に船に乗ってイングランドの戦地に行くトルフィン。
成り行きでトルフィンも戦い、そして・・人を殺してしまう・・
時は流れ、数々の戦場で戦い続け、多くの敵を殺していくトルフィン。
川に流されて気を失っているところをイングランド人のおばさんに拾われて。
小屋に火をつけ合図をし、仲間を呼ぶトルフィン。でも助けてくれたおばさんは逃げなくて・・
最後、おばさんが持ってたくしが壊れてたのは殺されたって暗示?
今回とても気が重くなる話で、父親の敵討ちのためには他人をたくさん殺してもいいって考え方は嫌だ。
7話
イングランドから撤退して今度はフランスが舞台?
トルフィンの復讐の炎は消えてないけど、アシェラットにいいように使われてる感じが(-_-;)
敵の大将のカブト首を取ってきたら戦ってやると言われて本当に大将の首を取るトルフィン。
あらためて決闘を申し込むけど、はぐらかされて・・
8話
拠点にしている村に久々に帰ってきたアシェラットたち。
そして再びトルフィンとアシュラットが決闘するけど、また負けてしまう。。
1人船に残るトルフィンはトールズの幻を見る。父親の前では子供の頃に戻るトルフィン。
元貴族の奴隷の少女との出会いがトルフィンにどう影響していくんだろう・・
奴隷商人も戦もないはるか西にあるヴィンランド。トルフィンは昔聞いた話を思い出す。
デンマークとイングランドの戦い。そして舞台はロンドンへ移る。
9話
デンマークとイングランドの激戦がロンドンで始まる。
イングランド側に寝返ったトルケルとトルフィンが戦うけど、負けてしまう。。
トルフィンの勇猛さに感心したトルケルが名前を聞くと、トールズの子トルフィンと名乗る。。
トルケルはトールズのことを知ってるみたいだったけど・・
10話
トルケルすごい腕力。砲丸投げとかさせたら金メダル取れるかも(゜o゜)
夢の中のトルフィンは子供なんだね。トルフィンの心はトールズが殺されてから時間が止まったままなのかな。
アシュラットはトルフィンにイングランドの、ヨーロッパの血塗られた歴史を語る。
一方、トルケルは500人の精鋭で猛攻を始め、デンマークのクヌート王子が捕えられてしまう。
アシュラットはクヌート王子救出を決意する。
11話
クヌート王子を捕えたトルケル。
スヴェン王の本拠へと向かう途中でデンマーク軍との戦闘が始まる。
アシェラットたちは風上から火を放ち、トルフィンを向かわせて王子奪還を試みる。
そしてトルケルに再開し、トルケルはトルフィンに父トールズの話をする。
ただ1人俺より強い戦士だった、と。
火が大きくなり、その場を離れる2人。トルフィンは王子をアシェラットの元に連れ帰る。
12話
トルケルたち追ってから逃げるアシェラットたち。
ウェールズの助けを借りることに。
トルフィンはクヌート殿下の護衛に付かされる。
クヌート殿下、なんか弱弱しくて女の子みたいなんだけど、これから大化けするのかな?
歴史に名を残す王だし。{/netabare}
13話
{netabare}あ、歌変わった!んーでも普通。。
ウェールズの中でもデンマークと手を結ぶのを反対してる勢力がいるんだね。
クヌート殿下ヘタレすぎだけど、これからどう成長して大王になるのかな?
アシェラットの出自も明かされたけど、今後の展開に影響があるんだろうか。
無口のクヌートがトルフィンに挑発されてしゃべって驚く周りの人々。
なんとなく、クヌートとトルフィンは友達みたいになっていくような気がします。。{/netabare}
14話
{netabare}イングランドの寒村。貧しくも家族みんな仲良く暮らしていて。
そこに来るアシェラットたち。
そして食料をすべて奪われ、皆殺しにされる。
外に出ていて逃れた、たった一人の少女を除いて・・
彼女は天国に行けないと思ってる。指輪を万引してしまったから。
でも、その時と同じドキドキを殺された家族を見て感じている。
彼女はこの後悪党にならなければいいけど。。{/netabare}
15話
{netabare}本国ではクヌートが行方不明だということになって。
クヌート、ずいぶんしゃべるようになった!料理もしてるし。
トルフィンは久々にちゃんとした温かい料理を食べたのかな。
アシェラットの居所がトルケルにばれて追撃される。
クヌートにお付のおじさんがアシェラットに殺されて・・
やさしいおじさんだったのに・・なんかやりきれない。{/netabare}
16話
{netabare}クヌートの元へお付のナグナルの遺体がアシェラットによって運ばれる。
唖然とするクヌート王子。イングランド兵が殺したと報告するアシェラット。
イングランド兵を拷問してなぜ場所がばれたか情報を聞き出そうとする。
暴力と残酷な拷問。。リアルなんだろうけど、見ててつらいです。。
トルケルが追っていることに恐怖を覚え、あわてて逃げるアシェラットたち。
そして仲間に裏切られるアシェラット!{/netabare}
17話
{netabare} アシェラットが仲間たちに裏切られ囲まれて、トルフィンたちが味方して王子と逃げるけど・・
アシェラットはなぜか逃げないで大勢の裏切り者たちと戦い、傷つく。
アシェラットを救出しに戻るトルフィン。
父の敵としてアシェラットを憎むだけなら、同じように裏切ればいいのに。
それをしないのはトルフィンの戦士としての誇り?それとも・・
間一髪でトルケルが到着し、裏切り者たちを皆殺しにする。
そしてそこに来たトルフィンとトルケルの決闘が始まるけど・・{/netabare}
18-19話
{netabare}クヌート王子がナグナルの死を経て覚醒する話から、トルケル、アシェラット、そしてトルフィンがクヌート王子の家来となってスヴェン王を倒しにいくことになるまで、なかなかの見応えでした。次回が楽しみになってきました。{/netabare}
20-21話
{netabare}アシェラットがどんどん魅力的に思えてきます。
強くて、知恵もあり、そして仲間への思いやりもある。
でも一方、村人たちに対する残虐行為も見ているので、複雑な気持ちです。
そんなアシェラットがトルフィンと再度決闘することになるけど、アシェラットは足を悪くしているので負けてしまうような気が・・{/netabare}
22-23話
{netabare}トルフィンとアシェラットの対決はあっけなくアシェラットが勝利。
アシェラットは父を殺した自分の過去をトルフィンたちに聞かせる。
アシェラットはトルフィンに何を伝えたかったんだろう。
負けて意気消沈するトルフィン。ふらふらとうろつき回り、牢に入れられる。
そこに来たレイフから、一緒にヴィンランドへ行こうと言われ、心が揺れ動く。
一方、ウェールズを攻めるとのスヴェン王の言葉に激しく動揺するアシェラット。{/netabare}
24話
{netabare} ウェールズかクヌートのどちらかを選べとスヴェン王から迫られたアシェラットはスヴェン王を殺害。
それを見たクヌートはアシェラットの真意を知り、アシェラットを自ら成敗する。
一度はレイフの呼びかけに応え、船に乗るトルフィン。でも・・
死に際のアシェラットに「本当の戦士になれ」と言われるトルフィン。
激昂したトルフィンは、クヌートに危害を加えようとし、捕えられる。
トルフィンにとってアシェラットとは復讐の相手だったけど、いつの間にか大事な人になってたのかな。
最後の二人の会話のところでちょっとうるっときちゃいました。。
ラストの終わり方、どう考えても2期あるよねこれ。タイトルも「プロローグの終わり」だし。
これからがトルフィンの本当の物語が始まるのでしょうか。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 34
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ヴァイキングの壮大な物語

プラネテスと同じ原作者ということで、見た作品です。原作未読です。
ヴァイキングの子トルフィンの復讐のお話。

残虐なシーンがちょっときついところもありましたが、最終話まで見て、なかなかの良作だと思いました。

とにかく物語がとても丁寧に語られていて、良質な本を読んだ時のような昂揚感も感じます。

人物の描き方も豊かで、簡単な善悪では判断できない深みがありました。

その筆頭はアシェラットです。

最初はただの残虐な悪党だと思っていましたが、彼の複雑な生い立ち、想いなどが語られ、やさしい面も覗かせます。

トルフィンが主人公ですが、もう一人の主人公はアシェラットだと思いました。

最終話のタイトルが「プロローグの終わり」なので、これからがトルフィンの物語の本番ということでしょうか。

終わり方も半端な感じでしたし、NHKだし、これ絶対2期ありますよね?
というか、絶対やって欲しいです!

4話、6話、14話、18話~24話あたりのお話が印象に残りました。

以下、各話のレビューです。

1-12話
{netabare}1話
トルフィンって金髪の少年が主人公みたい。
雪に埋もれていた奴隷の男を助けるトルフィンの父親のトールズ。
この奴隷の男が話のキーになるのかと思ったら、あっけなく死んじゃうし。。
トールズが優しい男だということを言いたかったのかな?
まだ話がどう転がっていくのかよく分からない感じです。
2話
海の向こうからデンマーク軍の小隊長フローキがやってくる。
トールズにイングランド攻めに加わるように言われ、村人が殺されるのを恐れて戦争に加わることにするトールズ。
戦争の話に湧く村人たち。
トルフィンも戦争に行きたいと気がはやる。
フローキがある男にトールズを殺せと命令してたけど・・
次回、話が動き出す?
3話
フローキに暗殺を依頼された男は凄腕みたい。
アイスランドから出航するトールズ一行。
あんな巨大なオールで漕げるってどんだけバカ力なのよ。
船に密航していたトルフィン。このままイングランドに向かって大丈夫?足手まといになりそう。。
途中で立ち寄ったフェロー諸島で襲撃されるトールズたち。
武器を持った相手を素手で倒していくトールズ。強すぎでしょ(゜o゜)
でもこのまますんなり終わらないような感じが・・・
4話
素手だけで相手のほとんどを倒すトールズ。
敵の首領アシェラットと決闘することになってなんとか勝つんだけど・・
アシュラットを殺せないトールズ。
そのうちにトルフィンが人質に取られてしまって形勢逆転。
トルフィンの命を助けるために自分の命を差し出すトールズ。
あんたが弱いのに前に出てるからこうなったんじゃん!ってトルフィンにムカついてしまった。。
それだけ私がトールズというキャラに魅力を感じてたからなんだろうけど。
これからトルフィンの復讐の物語が始まるのかな・・
5話
アシェラットたちに捕えられたトルフィン。
途中立ち寄った村で略奪と暴行を行うアシェラットたち。
トルフィンはアシェラットに決闘を申し込むけど、簡単に負けて・・
殺されずに放置されるトルフィンは必死に生きて、再びアシェラットに決闘を申し込むけど・・
・・アシェラットはなぜトルフィンを殺さないんだろう・・優しいから?
略奪とかしてるし優しい男とも思えない。
たぶん、子供を殺すこと自体、戦士としての自分のプライドが許さないからなのかなって思った。
トルフィンはこんな環境で生き延びても、歪んだ成長をしそうで心配です。
今後、トルフィンを導いてくれる大人が現れるんだろうか・・現れて欲しいけど。。
6話
結局アシェラットたちと一緒に船に乗ってイングランドの戦地に行くトルフィン。
成り行きでトルフィンも戦い、そして・・人を殺してしまう・・
時は流れ、数々の戦場で戦い続け、多くの敵を殺していくトルフィン。
川に流されて気を失っているところをイングランド人のおばさんに拾われて。
小屋に火をつけ合図をし、仲間を呼ぶトルフィン。でも助けてくれたおばさんは逃げなくて・・
最後、おばさんが持ってたくしが壊れてたのは殺されたって暗示?
今回とても気が重くなる話で、父親の敵討ちのためには他人をたくさん殺してもいいって考え方は嫌だ。
7話
イングランドから撤退して今度はフランスが舞台?
トルフィンの復讐の炎は消えてないけど、アシェラットにいいように使われてる感じが。。
敵の大将のカブト首を取ってきたら戦ってやると言われて本当に大将の首を取るトルフィン。
あらためて決闘を申し込むけど、はぐらかされて・・
8話
拠点にしている村に久々に帰ってきたアシェラットたち。
そして再びトルフィンとアシュラットが決闘するけど、また負けてしまう。。
1人船に残るトルフィンはトールズの幻を見る。
父親の前では子供の頃に戻るトルフィン。
元貴族の奴隷の少女との出会いがトルフィンにどう影響していくんだろう・・
奴隷商人も戦もないはるか西にあるヴィンランド。
トルフィンは昔聞いた話を思い出す。
デンマークとイングランドの戦い。
そして舞台はロンドンへ移る。
9話
デンマークとイングランドの激戦がロンドンで始まる。
イングランド側に寝返ったトルケルとトルフィンが戦うけど、負けてしまう。
トルフィンの勇猛さに感心したトルケルが名前を聞くと、トールズの子トルフィンと名乗る。
トルケルはトールズのことを知ってるみたいだったけど・・
10話
トルケルすごい腕力。砲丸投げとかさせたら金メダル取れるかも(゜o゜)
夢の中のトルフィンは子供なんだね。
トルフィンの心はトールズが殺されてから時間が止まったままなのかな。
アシュラットはトルフィンにイングランドの、ヨーロッパの血塗られた歴史を語る。
一方、トルケルは500人の精鋭で猛攻を始め、デンマークのクヌート王子が捕えられてしまう。
アシュラットはクヌート王子救出を決意する。
11話
クヌート王子を捕えたトルケル。
スヴェン王の本拠へと向かう途中でデンマーク軍との戦闘が始まる。
アシェラットたちは風上から火を放ち、トルフィンを向かわせて王子奪還を試みる。
そしてトルケルに再開し、トルケルはトルフィンに父トールズの話をする。
ただ1人俺より強い戦士だった、と。
火が大きくなり、その場を離れる2人。
トルフィンは王子をアシェラットの元に連れ帰る。
12話
トルケルたち追ってから逃げるアシェラットたち。
ウェールズの助けを借りることに。
トルフィンはクヌート殿下の護衛に付かされる。
クヌート殿下、なんか弱弱しくて女の子みたいなんだけど、これから大化けするのかな?
歴史に名を残す王だし。{/netabare}

13-24話
{netabare}13話
あ、OP変わった♫
ウェールズの中でもデンマークと手を結ぶのを反対してる勢力がいるんだね。
クヌート殿下ヘタレすぎだけど、これからどう成長して大王になるのかな?
アシェラットの出自も明かされたけど、今後の展開に影響があるんだろうか。
無口のクヌートがトルフィンに挑発されてしゃべって驚く周りの人々。
なんとなく、これからクヌートとトルフィンの関係が深くなっていくような気がします。
14話
イングランドの寒村。
貧しくも家族みんな仲良く暮らしていて。
そこに来るアシェラットたち。
そして食料をすべて奪われ、皆殺しにされる。
外に出ていて逃れた、たった一人の少女を除いて・・
彼女は天国に行けないと思ってる。指輪を万引してしまったから。
でも、その時と同じドキドキを殺された家族を見て感じている。
彼女はこの後悪党にならなければいいけど。。
15話
本国ではクヌートが行方不明だということになって。
クヌート、ずいぶんしゃべるようになった!料理もしてるし。
トルフィンは久々にちゃんとした温かい料理を食べたのかな。
アシェラットの居所がトルケルにばれて追撃される。
クヌートにお付のおじさんがアシェラットに殺されて・・
やさしいおじさんだったのに・・なんかやりきれない。
16話
クヌートの元へお付のナグナルの遺体がアシェラットによって運ばれる。
唖然とするクヌート王子。イングランド兵が殺したと報告するアシェラット。
イングランド兵を拷問してなぜ場所がばれたか情報を聞き出そうとする。
暴力と残酷な拷問。。リアルなんだろうけど、見ててつらいです。。
トルケルが追っていることに恐怖を覚え、あわてて逃げるアシェラットたち。
そして仲間に裏切られるアシェラット!
17話
アシェラットが仲間たちに裏切られ囲まれて、トルフィンたちが味方して王子と逃げるけど・・
アシェラットはなぜか逃げないで大勢の裏切り者たちと戦い、傷つく。
アシェラットを救出しに戻るトルフィン。
父の敵としてアシェラットを憎むだけなら、同じように裏切ればいいのに。
それをしないのはトルフィンの戦士としての誇り?それとも・・
間一髪でトルケルが到着し、裏切り者たちを皆殺しにする。
そしてそこに来たトルフィンとトルケルの決闘が始まるけど・・
18-19話
クヌート王子がナグナルの死を経て覚醒する話から、トルケル、アシェラット、そしてトルフィンがクヌート王子の家来となってスヴェン王を倒しにいくことになるまで、なかなかの見応えでした。
次回が楽しみになってきました。
20-21話
アシェラットがどんどん魅力的に思えてきます。
強くて、知恵もあり、そして仲間への思いやりもある。
でも一方、村人たちに対する残虐行為も見ているので、複雑な気持ちです。
そんなアシェラットがトルフィンと再度決闘することになるけど・・
22-23話
トルフィンとアシェラットの対決はあっけなくアシェラットが勝利。
アシェラットは父を殺した自分の過去をトルフィンたちに聞かせる。
アシェラットはトルフィンに何を伝えたかったんだろう。
負けて意気消沈するトルフィン。ふらふらとうろつき回り、牢に入れられる。
そこに来たレイフから、一緒にヴィンランドへ行こうと言われ、心が揺れ動く。
一方、ウェールズを攻めるとのスヴェン王の言葉に激しく動揺するアシェラット。
24話
ウェールズかクヌートのどちらかを選べとスヴェン王から迫られたアシェラットはスヴェン王を殺害。
それを見たクヌートはアシェラットの真意を知り、アシェラットを自ら成敗する。
一度はレイフの呼びかけに応え、船に乗るトルフィン。でも・・
死に際のアシェラットに「本当の戦士になれ」と言われるトルフィン。
激昂したトルフィンは、クヌートに危害を加えようとし、捕えられる。
トルフィンにとってアシェラットとは復讐の相手だったけど、いつの間にか大事な人になってたのかな。
最後の二人の会話のところでちょっとうるっときちゃいました。。
ラストの終わり方、どう考えても2期あるよねこれ。タイトルも「プロローグの終わり」だし。
これからがトルフィンの本当の物語が始まるのでしょうか。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 27
ネタバレ

青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

おじさんたちの生き様がかっこいい

『プラネテス』の幸村誠による原作漫画は、『月刊アフタヌーン』(講談社)にて連載中(既刊27巻、原作未読)。2009年第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞。
アニメ1期は、全24話(2019年)。監督は『いぬやしき』の籔田修平。制作は『SPY×FAMILY』、『進撃の巨人1~3』などのWIT STUDIO。放送はNHK(2期まで視聴済み)。
(2024.3.9初投稿、3.18一部修正)

【史実をもとにした骨太のフィクション】
本作は、コロンブスが北アメリカ大陸に到達するおよそ500年前にヨーロッパから北アメリカ大陸への到達に成功したヴァイキングたちの史実をもとにした骨太のフィクションである。

第1話に登場するレイフ(CV.上田燿司)が発見した「ヴィンランド」は、「ブドウの国」の意味で、ヴァイキングが定住した跡が遺る(カナダの)ニューファンドランド島という説が有力。

また、主人公トルフィン(CV.上村祐翔、石上静香(幼少期))のモデルは、11世紀に実在したとされるアイスランドの商人・冒険家であったソルフィン・カルルセフニ。彼は、移民船団を率いてヴィンランドへ向かったとされる。

したがって、本作は、トルフィンが移民船団を率いて「ヴィンランド」へ向かったという壮大な「サガ」(物語)を、その幼少期から、『キングダム』と同様に穴だらけの歴史を豊かな想像力で補いつつ、丁寧に描いた作品だ。

そのため、本作は、長編で、特に1期は、ヴィンランドの存在に触れるだけで、主人公がヴィンランドへ向かう素振りすらみせない。

むしろ、1期では、人を殺し、盗み、犯すという我々が思い描くであろう典型的な「ヴァイキング」の理不尽で剥き出しの暴力をこれでもかと描いている。

だから、上に書いた史実を頭の片隅に置いておかないと、2期からは、主人公が王族と一緒に北欧の覇権を目指す英雄譚が始まるのかと思ってしまうかもしれない。
(※1期の位置づけは、あくまで主人公がヴィンランドを目指す動機となる原体験。)


【1期の主人公には歯がゆさを感じるかも…、だが、それを補って余りある周囲の人間たちの魅力】
また、一代記ものでは、幼少期の原体験がその後の人生に大きな影響を与えることから幼少期が描かれるが、幼少期は、その後の己が進むべき道を知り、そのための力を蓄える期間でもある。
本作も御多分に漏れず、主人公トルフィンは、6話くらいまで、何もできず、とても頼りない存在であるため、歯がゆく感じるかも知れない。

その後も、トルフィンは、ただ「憎しみだけで生き抜いてきた」ため、ある種、狂気じみていて、感情移入するのが難しいかもしれない(リアルに考えるなら、そもそも生き残れないだろうし、仮に生き残っても、まともな精神を保てないと思われる。ある意味、憎しみでも神でも何かにすがっていないと、まともな精神を保てないような生き地獄である。)。

しかし、1期では、その主人公を補って余りある魅力あふれる登場人物たちが出てくる。
その筆頭がヴァイキングのアシェラッド兵団の首領アシェラッド(CV.内田直哉)であり、次にデンマーク王スヴェンの次男クヌート(CV.小野賢章)だろう(あと、後述するように、出てくるおじさんたちの生き様がとにかくかっこいい。)。

特に18話あたりでクヌートが腹を決めるところから物語が一気に盛り上がってくる。そのため、1期は、24話と長く序盤で歯がゆさを感じるかもしれないが、2期でトルフィンの行動に感動するためにも見続けたことを後悔しない内容だと思う。


本作の1期は、現実を知らない少年が憧れる「強くてかっこいい戦士」ではなく、人を虐殺し村を破壊し尽くした果てに気づくかもしれない「本当の戦士」になりたかった者たちの物語であったと思う。


【おじさんたちの生き様がかっこいい話(ネタバレ有りの感想)】
1期は、アシェラッド、トルケル、ビョルン、レイフ、トールズなど、とにかく出てくるおじさんたちの生き様がかっこよくて魅力的だ(※長くなるのでアシェラッドだけ)。

{netabare}人は、平和という正義のために戦争を始め、食べ物を食べなければ生きていけないのに、人の殺し方を知っている者を尊び、食料生産に従事する者を虐げる。

もっとも、正義、正論をいくら掲げたところで、弱肉強食という剥き出しの暴力を前に多くの人間はただ「嵐が過ぎ去るのを待つ」しかない。

本作では、そんな人生の酸いも甘いも経験したおじさんたちが、現実にどっぷり浸かっているように見えて、その実は、その現実にただ絶望して黄昏るのではなく、彼らなりのやり方でその現実と折り合いをつけながら、甘っちょろくて青臭い夢や理想を何とか実現しようとしている。


アシェラッドは、トルフィンの父トールズを騙し討ちにし、ヴァイキングの頭領として破壊、殺戮、強奪の限りを尽くす残虐非道の男である。
しかし、その一方で、ヴァイキングが大嫌いで、幼少期に母親から「アヴァロンから伝説の君主アルトリウス公が復活し、国を救う」という伝説を聞かされて育ち、アルトリウスのような偉大な王が現れることを待ち望んでいるというピュアな側面もある。
クヌートにその夢の実現の可能性を感じ、祖国ウェールズとクヌートの命を救うため自らの命を賭してスヴェン王を殺害する。その際、母から与えられた真の名を初めて明かし名乗ったことは、彼なりの最期の矜持だったのだろう。
また、自分は自ら歩んできた修羅の道を後悔してか、まだ若いトルフィンには「本当の戦士になれ」と言い残す。

単純な悪でも単純な正義でもない、清濁併呑した生の現実味を感じるキャラクターであるアシェラッドは、現実にどっぷり浸かっていると思われながら、誰よりも夢を忘れない、魅力溢れる「かっこいいおじさん」だった。
(あくまで虐殺や破壊が日常であった頃の話であって、現代的な価値観・倫理観から彼を評価すべきでないと思う。その時代を変えること自体が難しいのであれば、それを受け入れたうえで、現実的に何ができ、何を遺せるのか。アシェラッドのやり方は最悪だったかもしれないが、トルフィンとクヌートに何かを遺し彼らを導いた。)


最近のアニメだと、くたびれたおじさんが多くて、トルケル(CV.大塚明夫)みたいな若い者にはまだ負けねえっていう現役バリバリのかっこいい50代が出てくることって少ないと思うんですよ(時代背景もあるかも…)。
特に1期は、過酷な現実を前にして、ただ生きる気力も失って黄昏るのではなく、何とかその現実に一矢報いてやろうとする泥臭いが、より良く生きることをどこかでまだ諦めていないおじさんたちの「凄み」を感じた作品でした。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7
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